JP7279357B2 - ポリアリーレンエーテルケトン樹脂及びその製造方法、並びに成形品 - Google Patents

ポリアリーレンエーテルケトン樹脂及びその製造方法、並びに成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂及びその製造方法、並びにそのポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含む成形品に関する。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(以下「PAEK樹脂」と略すことがある。)は、耐熱性、耐薬品性、強靭性等に優れ、高温で連続使用可能な結晶性スーパーエンプラとして、電気電子部品、自動車部品、医療用部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。
従来、PAEK樹脂としては、4,4’-ジフルオロベンゾフェノンとハイドロキノンの2つのモノマーを、ジフェニルスルホン中で炭酸カリウムを用いた芳香族求核置換型溶液重縮合反応(特許文献1参照)により製造される、1つの繰り返し単位中に2つのエーテル基と1つのケトン基を持つポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下「PEEK樹脂」と略すことがある。)がよく知られている。
また、ハイドロキノンの代わりに、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを使用することで製造される、1つの繰り返し単位中にエーテル基、ケトン基を1つずつ持つポリエーテルケトン樹脂(以下「PEK樹脂」と略すことがある。)や、1つの繰り返し単位中に1つのエーテル基、2つのケトン基を有するポリエーテルケトンケトン樹脂(以下「PEKK樹脂」と略すことがある。)もある。
しかしながら、これらのPAEK樹脂の製造に用いられている芳香族求核置換型溶液重縮合反応は、モノマーに高価な4,4’-ジフルオロベンゾフェノンを使用するため原料費が高く、かつ、反応温度が300℃以上で製造工程費も高いという欠点があり、樹脂の価格が高くなる傾向にある。
そこで、モノマーに4,4’-ジフルオロベンゾフェノンを用いることなく、かつ、温和な重合条件で、PAEK樹脂を製造する芳香族求電子置換型溶液重縮合反応が知られている。
芳香族求電子置換型溶液重縮合反応を用いた例として、4-フェノキシ安息香酸クロリドをフッ化水素/三フッ化ホウ素の存在下で反応させる方法によるPEK樹脂(例えば、特許文献2参照)、テレフタル酸クロリドとジフェニルエーテルをルイス酸の存在下で反応させる方法によるPEKK樹脂(例えば、特許文献3参照)、4-フェノキシ安息香酸をメタンスルホン酸と五酸化二リンの混合物存在下で反応させる方法によるPEK樹脂(例えば、特許文献4参照)等がある。
特開昭54-090296号公報 特公昭56-000451号公報 米国特許第3065205号明細書 特開昭61-247731号公報
上述した従来のPEEK樹脂、PEK樹脂、PEKK樹脂等のPAEK樹脂は、部分結晶性のポリマーであり、そのガラス転移温度は140℃以上と高く、耐熱性に優れるものの、結晶融点も340℃以上と高く、成形加工に高い温度や圧力を要して、成形加工性が劣るという欠点がある。
本発明は、耐熱性に優れ高いガラス転移温度を有するとともに、高い結晶性を保持したまま結晶融点を制御することが可能で、良好な成形加工性を有するポリアリーレンエーテルケトン樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、このポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造に好適な製造方法を提供することを目的とする。
PAEK樹脂などのスーパーエンプラは、高い耐熱性を実現するため、できるだけ不純物のない均一構造のポリマーが望ましいものとされていた。したがって、従来、PAEK樹脂としては単一の繰り返し単位を有するポリマーの開発が中心であった。しかし単一の繰り返し単位構造では結晶融点などの熱物性の調整が難しく、成形加工性の改良が困難であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、剛直かつ靭性成分である下記繰り返し単位(1-1)と柔軟成分である下記繰り返し単位(2-1)とを共重合させたPAEK樹脂は、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を調整することにより、高い結晶性を保持したまま結晶融点を制御することが可能で、良好な成形加工性を発現されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1] 下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)と、下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)とを有するポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
Figure 0007279357000001
Figure 0007279357000002
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、ArおよびArは下記一般式(3-1)で表される2価の有機基(3-1)である。)
Figure 0007279357000003
(式中、nは0または1である。)
[2] 前記繰り返し単位(1-1)と前記繰り返し単位(2-1)との割合が、モル比で、97:3~35:65の範囲である、前記[1]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
[3] 下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記一般式(2-2)で表されるモノマー(2-2)と、下記一般式(3-2)で表されるモノマー(3-2)とを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの存在下で反応させる、前記[1]又は[2]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
Figure 0007279357000004
Figure 0007279357000005
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
Figure 0007279357000006
(式中、nは0または1である。)
[4] 下記一般式(2-2)で表されるモノマー(2-2)と、下記一般式(3-2)で表されるモノマー(3-2)とを反応させて、下記一般式(2-3)で表される反応生成物(2-3)を合成し、前記反応生成物(2-3)と、下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)とを反応させる、前記[1]又は[2]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
Figure 0007279357000007
Figure 0007279357000008
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
Figure 0007279357000009
(式中、nは0または1である。)
Figure 0007279357000010
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、mは0以上の整数値である。Arは下記一般式(3-3)で表される2価の有機基(3-3)であり、Arは下記一般式(3-4)で表される1価の有機基(3-4)である。)
Figure 0007279357000011
(式中、nは0または1である。)
Figure 0007279357000012
(式中、nは0または1である。)
[5] 前記モノマー(2-2)の添加量と、前記モノマー(3-2)の添加量との割合が、モル比で、3:100~55:100の範囲である、前記[3]又は[4]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
[6] 前記[1]又は[2]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含む成形品。
本発明のポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、耐熱性に優れ高いガラス転移温度を有するとともに、高い結晶性を保持したまま結晶融点を制御することが可能で、良好な成形加工性を有する。また、本発明のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法は、この本発明のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造に好適である。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂))
本発明のPAEK樹脂は、下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)と、下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)とを有する。
Figure 0007279357000013
Figure 0007279357000014
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、ArおよびArは下記一般式(3-1)で表される2価の有機基(3-1)である。)
Figure 0007279357000015
(式中、nは0または1である)
本発明のPAEK樹脂は、剛直かつ靭性成分である繰り返し単位(1-1)と柔軟成分である繰り返し単位(2-1)とを有するので、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を調整することにより、高い結晶性を保持したまま結晶融点(Tm)を制御することが可能で、良好な成形加工性を発現される。
本発明のPAEK樹脂において、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合は、モル比で、97:3~35:65の範囲であることが好ましく、95:5~40:60の範囲であることがより好ましく、92:8~53:48の範囲であることがさらに好ましく、90:10~60:40の範囲であることが特に好ましい。この割合の範囲で、繰り返し単位(2-1)のモル量に対する、繰り返し単位(1-1)のモル量の比の値を大きくすることで、ガラス転移温度(Tg)を高く調整することができ、結晶化度及び結晶融点(Tm)を高くすることができて、耐熱性に優れたPAEK樹脂とすることができる。また、この割合の範囲で、繰り返し単位(2-1)のモル量に対する、繰り返し単位(1-1)のモル量の比の値を小さくすることで、結晶融点(Tm)を比較的低くすることができて、成形性に優れたPAEK樹脂とすることができる。この割合を調整することで、本発明のPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)を120~160℃、好ましくは130~155℃、より好ましくは140~150℃に調整することができ、結晶融点(Tm)を345~260℃、好ましくは340~270℃、より好ましくは335~280℃に調整することができ、結晶化度を50~10%、好ましくは45~20%、より好ましくは40~30%に調整することができ、5%重量減少温度(Td5)を500~560℃、好ましくは520~555℃、より好ましくは530~550℃に調整することができ、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を最適化することで、耐熱性と成形性の両者に優れるPAEK樹脂とすることができる。なお、本発明のPAEK樹脂の還元粘度は、通常、0.5~1.5dl/gである。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)の製造方法)
本発明のPAEK樹脂の製造方法の一の態様は、下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記一般式(2-2)で表されるモノマー(2-2)と、下記一般式(3-2)で表されるモノマー(3-2)とを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの存在下で反応させる、PAEK樹脂の製造方法である。
Figure 0007279357000016
Figure 0007279357000017
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
Figure 0007279357000018
(式中、nは0または1である。)
芳香族求電子置換型溶液重縮合反応であるので、温和な重合条件で反応させることができ、具体的には、有機スルホン酸及び五酸化二リンを20~100℃で1~40時間で混合してから、この混合液に、前記モノマー(1-2)、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)を添加し、混合し、昇温させてから、例えば、40~80℃で1~100時間、一括して反応させることで、前記PAEK樹脂を製造することができる。
有機スルホン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、脂肪族スルホン酸が好ましい。より具体的には、有機スルホン酸として、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(トシル酸)等が挙げられる。
有機スルホン酸の添加量と、五酸化二リンの添加量との割合は、質量比で、100:25~100:1の範囲であることが好ましく、100:20~100:2の範囲であることが好ましく、100:15~100:5の範囲であることが好ましい。
前記モノマー(2-2)としては、炭素数1~4のアルキル基が各フェニル基の任意の位置にそれぞれ置換可能な、ビフェニルジカルボン酸である。カルボン酸の結合位置としては、各フェニル基のオルト位、メタ位、パラ位いずれでも良いが、通常、オルト位が好ましい。より具体的には、前記モノマー(2-2)としては、例えば、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビフェニルジカルボン酸、3,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、6,6’-ジメチルビフェニル-2,2’-ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、6,6’-ジメチルビフェニル-2,2’-ジカルボン酸が好ましい。
なお、前記一般式(2-2)におけるRおよびRは、それぞれ別の置換基でもよく、通常、同一の置換基を選択するのが好ましい。前記一般式(2-2)以外の式中におけるRおよびRにおいても同様である。
前記モノマー(3-2)としては、ジフェニルエーテル(n=0)、1,4-ジフェノキシベンゼン(n=1)が挙げられる。
前記モノマー(1-2)、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)の合計の添加量と、有機スルホン酸及び五酸化二リンの合計の添加量との割合は、質量比で、1:100~40:100の範囲であることが好ましく、2:100~30:100の範囲であることが好ましく、5:100~20:100の範囲であることが好ましい。
また、本発明のPAEK樹脂は、上述の製造方法に限定されず、例えば、前記モノマー(2-2)と、前記モノマー(3-2)と、下記一般式(4-2)で表されるモノマー(3-2)とを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの存在下で反応させることによっても製造することができる。
Figure 0007279357000019
この製造方法も、芳香族求電子置換型溶液重縮合反応であるので、温和な重合条件で反応させることができ、具体的には、有機スルホン酸及び五酸化二リンを20~100℃で1~40時間で混合してから、この混合液に、前記モノマー(2-2)、前記モノマー(3-2)及び前記モノマー(4-2)を添加し、混合し、昇温させてから、例えば、40~80℃で1~100時間反応させることで、前記PAEK樹脂を製造することができる。
また、本発明のPAEK樹脂は、例えば、前記モノマー(3-2)と、下記一般式(5-2)で表されるモノマー(5-2)と、下記一般式(6-2)で表されるモノマー(6-2)とを、無水塩化アルミニウム等のルイス酸触媒の存在下で反応させることによっても製造することができる。
Figure 0007279357000020
Figure 0007279357000021
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
この製造方法も、芳香族求電子置換型溶液重縮合反応であるので、温和な重合条件で反応させることができ、具体的には、1,2-ジクロロベンゼン等の溶媒中に、前記モノマー(3-2)、前記モノマー(5-2)及び前記モノマー(6-2)を溶解させ、窒素雰囲気下、例えば、-10~0℃に冷却してから、無水塩化アルミニウムを添加し、均一に溶解したら徐々に昇温し、20~40℃で1~100時間反応させることで、前記PAEK樹脂を製造することができる。
本発明のPAEK樹脂の製造方法の他の態様は、前記モノマー(2-2)と、前記モノマー(3-2)とを反応させて、下記一般式(2-3)で表される反応生成物(2-3)を合成し、前記反応生成物(2-3)と、前記モノマー(1-2)とを反応させる、前記PAEK樹脂の製造方法である。
Figure 0007279357000022
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、mは0以上の整数値である。Arは下記一般式(3-3)で表される2価の有機基(3-3)であり、Arは下記一般式(3-4)で表される1価の有機基(3-4)である。)
Figure 0007279357000023
(式中、nは0または1である。)
Figure 0007279357000024
(式中、nは0または1である。)
この製造方法も、芳香族求電子置換型溶液重縮合反応で、温和な重合条件で反応させることができ、具体的には、前記有機スルホン酸及び五酸化二リンを20~100℃で1~40時間で混合してから、この混合物に、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)を添加し、混合し、昇温してから、例えば、40~80℃で0.5~20時間、より好ましくは50~70℃で1~15時間反応させることで、反応生成物(2-3)を合成することができ、この反応溶液に、前記モノマー(1-2)を添加し、混合し、例えば、40~80℃で1~60時間、より好ましくは50~70℃で5~50時間反応させることで、前記PAEK樹脂を製造することができる。
前記モノマー(2-2)の添加量と、前記モノマー(3-2)の添加量との割合は、モル比で、3:100~55:100の範囲であることが好ましく、5:100~50:100の範囲であることがより好ましく、10:100~45:100の範囲であることが特に好ましい。
前記モノマー(1-2)及び前記モノマー(2-2)の合計の添加量と、前記モノマー(3-2)の添加量との割合は、モル比で、85:100~115:100の範囲であることが好ましく、90:100~110:100の範囲であることが好ましく、92:100~108:100の範囲であることが好ましい。
反応生成物(2-3)のうち、mは0または1であることが好ましい。反応溶液中のmの平均は0~1であることが好ましく、0~0.5であることが好ましく、0~0.2であることが好ましい。mの平均が0に近いほど、得られるPAEK樹脂は、交互共重合体に近しい形態になり、ポリマー全体の均一性及び熱安定性が良好になる傾向がある。
上述の、前記モノマー(1-2)、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)を一括して反応させる方法は、前記モノマー(1-2)及び前記モノマー(3-2)が反応性に富むので、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)の重合反応よりも、前記モノマー(1-2)及び前記モノマー(3-2)の重合反応が優先して進む場合がある。この場合には、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)の重合反応は、重合反応の後期に反応することとなる。
そこで、本発明のPAEK樹脂の製造方法としては、モノマーの仕込み順を分割して、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)から前記反応生成物(2-3)を合成した後に、前記反応生成物(2-3)に前記モノマー(1-2)を反応させるのが、より好ましい。前記反応生成物(2-3)は、メタンスルホン酸への溶解性が比較的高いため、重合反応全体でメタンスルホン酸への溶解性が保たれたまま、前記モノマー(1-2)の重合反応が進行する。その結果、繰り返し単位(1-1)及び繰り返し単位(2-1)が、ポリマーシーケンス上でランダム共重合体又は交互共重合体に近しい形態で導入される。
すなわち、上述したモノマーの仕込み順を分割する方法により、前記繰り返し単位(1―1)のセグメントと、前記繰り返し単位(2-1)のセグメントとに分離された不均一構造となることを抑制することができ、その結果、耐熱性の比較的低い前記繰り返し単位(2-1)から熱分解されることを抑制することができる。このため、ポリマー全体の均一性及び熱安定性が良好になる傾向があり、好ましい。
上述したモノマーを一括して反応させた製造方法により、通常、490℃~510℃の範囲の5%重量減少温度を有するPAEK樹脂を得ることができる。また、上述したモノマーの仕込み順を分割した製造方法により、通常、500℃~550℃の範囲の5%重量減少温度を有するPAEK樹脂を得ることができる。
メタンスルホン酸と五酸化二リンの混合物の代わりに、上述の、無水塩化アルミニウムを用いる方法は、重合速度が速すぎて、ポリマーシーケンスの制御が難しくなるおそれがある。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)を含む成形品)
本発明のPAEK樹脂は、耐熱性に優れ高いガラス転移温度(Tg)を有するとともに、高い結晶性を保持したまま結晶融点(Tm)を制御することが可能で、良好な成形加工性を有する。このため、ニートレジンとしての使用や、ガラス繊維、炭素繊維、フッ素樹脂などのコンパウンドとしての使用が可能である。そして、本発明のPAEK樹脂を成形することで、ロッド、ボード、フィルム、フィラメントなどの一次加工品や、各種射出・切削加工品、ギア、軸受、コンポジット、インプラント、3D成形品などの二次加工品を製造することができ、これらの本発明のPAEK樹脂を含む成形品は、自動車、航空機、電気電子、医療用部材などの利用が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定
されるものではない。
(ガラス転移点(Tg)および結晶融点(Tm))
パーキンエルマー製DSC装置(Pyris Diamond)を用いて、50mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温条件で40~400℃まで測定を行い、ガラス転移点(Tg)および結晶融点(Tm)を求めた。
(5%重量減少温度(Td5))
TG-DTA装置(株式会社リガク TG-8120)を用いて、20mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温速度で測定を行い、5%重量減少温度(Td5)を測定した。
(結晶化度)
パーキンエルマー製DSC装置(Pyris Diamond)を用いて、50mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温条件で400℃まで加熱し、次に5℃/minの降温条件で40℃まで冷却したあと、20℃/minの昇温条件で40~400℃まで測定を行い、融解熱量を求め、次式で結晶化度を算出した。
結晶化度(%) = ΔHm/ΔHc×100
ここで、ΔHmはポリマーの融解熱量であり、ΔHcはPEEK樹脂の完全結晶の融解熱量である130J/gである。
(還元粘度)
キャノンフェンスケ粘度計を用いて、25℃において、溶媒、および、溶媒100ml中にポリマー0.3gを溶解したポリマー溶液の流出時間を測定し、次式で還元粘度を算出した。なお溶媒には、クロロホルムとトリフルオロ酢酸を4:1の質量比で混合した溶液を用いた。
還元粘度(dl/g) = (t-t0)/(c×t0)
ここで、t0は溶媒の流出時間、tはポリマー溶液の流出時間、cはポリマー溶液中のポリマー濃度(g/dl)である。
(実施例1)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸2.8gとジフェニルエーテル39.8gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸57.4gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.1dl/gであり、実施例1に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例1に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例2)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸5.7gとジフェニルエーテル39.9gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸55.4gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.1dl/gであり、実施例2に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例2に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例3)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸11.4gとジフェニルエーテル40.0gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸48.6gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.1dl/gであり、実施例3に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例3に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例4)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸17.2gとジフェニルエーテル40.2gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸42.7gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.1dl/gであり、実施例4に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例4に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例5)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸23.0gとジフェニルエーテル40.3gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸36.7gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.0dl/gであり、実施例5に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例5に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例6)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸28.8gとジフェニルエーテル40.5gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸30.7gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.0dl/gであり、実施例6に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例6に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例7)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸34.7gとジフェニルエーテル40.6gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸24.7gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させ
た。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、0.9dl/gであり、実施例7に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例7に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-1に示した。
(実施例8)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸14.1gと1、4-ジフェノキシベンゼン50.9gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸35.0gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.2dl/gであり、実施例8に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例8に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
(実施例9)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、6,6’-ジメチルビフェニル-2,2’-ジカルボン酸18.8gとジフェニルエーテル39.4gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で10時間反応させた。その後、4,4’-オキシビス安息香酸41.8gを添加し、同温度で40時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.1dl/gであり、実施例9に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例9に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
(実施例10)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸17.2gと4,4’-オキシビス安息香酸42.7gとジフェニルエーテル40.2gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で50時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、0.9dl/gであり、実施例10に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例10に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
(実施例11)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、2、2’-ビフェニルジカルボン酸17.2gと4-フェノキシ安息香酸70.8gとジフェニルエーテル12.1gを仕込み、60℃まで昇温後、同温度で50時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、0.8dl/gであり、実施例11に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例11に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
(実施例12)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、および攪拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、1、2-ジクロロベンゼン864gと2、2’-ビフェニルジカルボン酸クロリド9.1gと4、4’-オキシビス(ベンゾイルクロリド)22.4gとジフェニルエーテル18.5gを仕込み、窒素雰囲気下で-5℃まで冷却した。その後、無水塩化アルミニウム86gを添加して均一になったら、2時間かけて30℃に昇温し、同温度で50時間反応させた。室温まで冷却し、次に反応溶液を強撹拌しているところに、メタノールを少量ずつ添加して、微粒子状のポリマーを析出させた。そして、析出したポリマーを濾過した。その後、固液分離し、濾過した洗浄ケーキを真空下の180℃で10時間乾燥させた。還元粘度を測定したところ、1.2dl/gであり、実施例12に係るPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例12に係るPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
(比較例1)
比較例1に係るPEEK樹脂として、ビクトレックス社製:VICTREX PEEK 150Pを準備し、その還元粘度、ガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
(比較例2)
比較例2に係るPEK樹脂として、ビクトレックス社製:VICTREX HTを準備し、その還元粘度、ガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1-2に示した。
Figure 0007279357000025

実施例1~12のPAEK樹脂は、表1-1及び表1-2に示されるように、120~150℃のガラス転移温度(Tg)、12~40%の結晶化度に調整することができ、市販のPEEK樹脂(比較例1)やPEK樹脂(比較例2)と同等の耐熱性に優れた樹脂であることがわかる。また、実施例1~12のPAEK樹脂は、このように優れた耐熱性と高い結晶性を保持したまま、270~339℃の結晶融点(Tm)に制御することが可能であり、この結晶融点(Tm)は市販のPEEK樹脂(比較例1)やPEK樹脂(比較例2)の結晶融点(Tm)(343℃及び373℃)よりも低いので、良好な成形加工性を有することがわかる。
特に、実施例1~9のPAEK樹脂は、表1-1及び表1-2に示されるように、5%重量減少温度(Td5)が510~540℃であり、実施例10~12のPAEK樹脂の5%重量減少温度(Td5)の500~505℃に比べて、耐熱性に優れていた。この結果は、PAEK樹脂の前記繰り返し単位(1-1)と前記繰り返し単位(2-1)との割合が寄与していることの他に、モノマーの仕込み順を分割して、前記モノマー(2-2)及び前記モノマー(3-2)から前記反応生成物(2-3)を合成した後に、前記反応生成物(2-3)に前記モノマー(1-2)を反応させたことで、繰り返し単位(1-1)及び繰り返し単位(2-1)が、ポリマーシーケンス上で無秩序に導入され、ポリマー全体の均一性及び熱安定性が良好になったことが寄与していると推察される。

Claims (6)

  1. 下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記一般式(2-2)で表されるモノマー(2-2)と、下記一般式(3-2)で表されるモノマー(3-2)とを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの存在下で反応させる、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
    Figure 0007279357000026
    Figure 0007279357000027
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
    Figure 0007279357000028
    (式中、nは0または1である。)
  2. 下記一般式(2-2)で表されるノマー(2-2)と、下記一般式(3-2)で表されるノマー(3-2)とを反応させて、下記一般式(2-3)で表される反応生成物(2-3)を合成し、前記反応生成物(2-3)と、下記式(1-2)で表されるノマー(1-2)とを反応させる、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
    Figure 0007279357000029
    Figure 0007279357000030
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
    Figure 0007279357000031
    (式中、nは0または1である。)
    Figure 0007279357000032
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、mは0以上の整数値である。Arは下記一般式(3-3)で表される2価の有機基(3-3)であり、Arは下記一般式(3-4)で表される1価の有機基(3-4)である。)
    Figure 0007279357000033
    (式中、nは0または1である。)
    Figure 0007279357000034
    (式中、nは0または1である。)
  3. 前記モノマー(2-2)の添加量と、前記モノマー(3-2)の添加量との割合が、モル比で、3:100~55:100の範囲である、請求項1又は2に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
  4. 下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)と、下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)とを有するポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
    Figure 0007279357000035
    Figure 0007279357000036
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、ArおよびArは下記一般式(3-1)で表される2価の有機基(3-1)である。ただし、繰り返し単位中に各カルボキシ基の結合位置が各フェニル基のオルト位である構成単位を1種以上含む。
    Figure 0007279357000037
    (式中、nは0または1である。)
  5. 前記繰り返し単位(1-1)と前記繰り返し単位(2-1)との割合が、モル比で、97:3~35:65の範囲である、請求項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
  6. 請求項又はに記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含む成形品。
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