以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
(実施の形態1)
図1に、実施の形態1に係る空調システム1の全体構成を示す。空調システム1は、空調対象の空間を空調する設備である。空調とは、空調対象の空間の空気の温度、湿度、清浄度又は気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿、空気清浄等である。空調システム1は、空調対象の空間に存在するユーザの位置情報を検出し、検出されたユーザの位置情報に基づいて空調を制御するシステムである。
図1に示すように、空調システム1は、検出装置10と、端末装置20と、制御装置30と、空調機40と、を備える。空調機40は、室外機41と室内機42とを備える。なお、検出装置10と制御装置30とを合わせて“空調制御装置”と呼ぶ。また、検出装置10と制御装置30と空調機40とを合わせて“空調装置”と呼ぶ。
検出装置10は、空調機40による空調に用いられる情報を検出する。空調に用いられる情報とは、空調対象の空間に存在するユーザに適した空調を実現するために用いられる情報である。具体的には、検出装置10は、空調対象の空間におけるユーザの位置情報、ユーザを識別するための識別情報等のような、ユーザに関する情報を検出する。検出装置10は、“空調用検出装置”と呼ぶことができる。
図2に、空調対象の空間の例として、空調システム1が適用された室内空間2を示す。室内空間2は、例えば戸建て住宅、集合住宅、オフィスビル、工場、車両等における一室であって、空調機40の室内機42が設置されたエリアである。図2の例では、室内機42は、室内空間2の天井に設置されている。そして、検出装置10は、室内機42における空調空気の吹き出し口の近傍に設置されており、室内空間2に存在するユーザに関する情報を検出する。
図3に示すように、検出装置10は、制御部11と、記憶部12と、撮像部13と、画像処理部14と、通信部15と、ビーコンアンテナ16と、回転駆動部17と、を備える。これら各部は通信バスを介して接続されている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、検出装置10の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部である。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、検出装置10を統括制御する。
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、制御部11が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
撮像部13は、室内空間2を赤外線、可視光等で撮像することにより、室内空間2内の様子を表す撮像画像を取得する。具体的に説明すると、撮像部13は、室内空間2における、図2において破線で示した撮像範囲R1を撮像する。撮像範囲R1は、撮像部13が有する視野角によって定められる範囲である。例えば図2に示したように、室内空間2に居るユーザが撮像範囲R1の内側に位置している場合には、撮像部13は、ユーザが写された撮像画像を取得する。
以下では、撮像部13は、室内空間2を赤外線で撮像するサーモカメラであって、撮像画像として、撮像範囲R1内の温度分布を表す熱画像を取得する場合を例にとって説明する。撮像部13は、撮像手段として機能する。
画像処理部14は、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)等の画像処理用のプロセッサと、処理される画像を一時的に保存するバッファメモリと、を備える。画像処理部14は、撮像部13により得られた撮像画像を加工する加工処理、及び、撮像画像に含まれる人、人の顔、物体等を認識する画像認識処理を実行する。
通信部15は、端末装置20及び制御装置30を含む外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部15は、外部の装置との間で、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、USB(Universal Serial Bus)等の周知の通信規格に則って通信する。
ビーコンアンテナ16は、室内空間2に存在する端末装置20から発信された信号であるビーコンを受信する。ビーコンは、無線標識とも呼ばれ、ビーコンの発信元の位置、ID等の情報を他の機器に伝達するための無線信号である。ビーコンアンテナ16は、Bluetooth(登録商標)により外部の装置と通信するアンテナであって、BLE(Bluetooth Low Energy)の規格に則って、端末装置20から発信されたビーコンを受信する。BLEは、低消費電力で通信可能な近距離無線通信規格である。
より詳細に説明すると、ビーコンアンテナ16は、ビーコンを受信可能な範囲に指向性を有する。具体的に説明すると、ビーコンアンテナ16は、図2において実線で示した受信範囲R2の内側から発信されたビーコンを受信可能である。例えば図2に示したように、端末装置20が受信範囲R2の内側に位置している場合には、ビーコンアンテナ16は、端末装置20からビーコンを受信する。一方で、端末装置20が受信範囲R2の外側に位置している場合には、ビーコンアンテナ16は、端末装置20から発信されるビーコンを受信しない。
回転駆動部17は、モータ、アクチュエータ等の駆動部材を備えており、撮像部13とビーコンアンテナ16とを回転駆動させてこれらの向きを変化させる。これにより、回転駆動部17は、撮像部13による撮像範囲R1と、ビーコンアンテナ16によるビーコンの受信範囲R2と、を変化させる。回転駆動部17による回転駆動により、撮像部13は、室内空間2の広範囲に亘って撮像画像を取得できる。また、ビーコンアンテナ16は、室内空間2の広範囲から発信されるビーコンを受信することができる。回転駆動部17は、回転駆動手段として機能する。
より詳細には、検出装置10の全体が回転して向きを変えることができるように、検出装置10の全体が回転駆動部17に搭載されている。回転駆動部17は、検出装置10全体を回転させることで、検出装置10に搭載されている撮像部13とビーコンアンテナ16とを、同時に且つ同じ角速度で回転させる。
端末装置20は、スマートフォン、タブレット端末等であって、室内空間2に存在するユーザにより把持されて操作される操作端末である。図4に示すように、端末装置20は、制御部21と、記憶部22と、操作部23と、表示部24と、通信部25と、ビーコンアンテナ26と、を備える。これら各部は通信バスを介して接続されている。
制御部21は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、端末装置20の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部である。制御部21において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、端末装置20を統括制御する。
記憶部22は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部22は、制御部21が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、制御部21が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
操作部23は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル等の入力デバイスを備えており、ユーザから操作を受け付ける。ユーザは、操作部23を操作することによって、様々な指示を端末装置20に入力することができる。操作部23は、ユーザから入力された操作指示を受け付けると、受け付けた操作指示を制御部21に送信する。操作部23は、操作受付手段として機能する。
表示部24は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。表示部24は、図示しない表示駆動回路によって駆動され、制御部21による制御のもとで様々な画像を表示する。表示部24は、表示手段として機能する。
通信部25は、検出装置10及び制御装置30を含む外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部25は、外部の装置との間で、無線LAN等の周知の通信規格に則って通信する。
ビーコンアンテナ26は、端末装置20の周囲にビーコンを発信する。ビーコンアンテナ26は、Bluetooth(登録商標)により外部の装置と通信するアンテナであって、BLEの規格に則って、予め定められた強度のビーコンを予め定められた周期で繰り返し発信する。
より詳細に説明すると、ビーコンアンテナ26は、指向性を有さないアンテナであって、周囲の全方向にビーコンを送信する。言い換えると、検出装置10のビーコンアンテナ16が指向性を有するアンテナであったのに対して、端末装置20のビーコンアンテナ26は、全方向性のアンテナである。端末装置20が検出装置10とBluetooth(登録商標)により通信可能な範囲内に位置している場合、ビーコンアンテナ26から発信されたビーコンは、検出装置10のビーコンアンテナ16により受信される。
ビーコンアンテナ26から発信されるビーコンには、端末装置20を識別するための識別情報が含まれる。識別情報は、ビーコンIDとも呼ばれ、ビーコンを受信した側からビーコンの発信元を識別することができるように、ビーコンの発信元である端末装置20毎に一意に設定された情報である。
制御装置30は、空調機40による室内空間2の空調を制御する装置である。制御装置30は、例えば、室内空間2に存在するユーザにより操作され、空調機40に様々な指令を送信するリモコンである。或いは、制御装置30は、空調機40における例えば室内機42に内蔵されていても良い。制御装置30は、空調機40との間で各種信号を送受信することにより、空調機40を制御する。図5に示すように、制御装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部35と、を備える。これら各部は通信バスを介して接続されている。
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、制御装置30の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部である。制御部31において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、制御装置30を統括制御する。
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部32は、制御部31が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、制御部31が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
通信部35は、検出装置10、端末装置20及び空調機40を含む外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部35は、外部の装置との間で、無線LAN等の周知の通信規格に則って通信する。
空調機40は、CO2(二酸化炭素)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等を冷媒として用いたヒートポンプ式の空調設備である。空調機40は、空調対象の空間である室内空間2を空調する。
図6に、空調機40の構成を示す。図6に示すように、空調機40は、室内空間2の外部に設置される室外機41と、室内空間2に設置される室内機42と、を備える。室外機41と室内機42とは、冷媒が流れる冷媒回路50及び通信線43を介して接続されている。
室外機41は、圧縮機51と、四方弁52と、室外熱交換器53と、膨張弁54と、室外ファン56と、室外機制御部44と、を備える。室内機42は、室内熱交換器55と、室内ファン57と、室内機制御部45と、を備える。冷媒回路50は、圧縮機51と、四方弁52と、室外熱交換器53と、膨張弁54と、室内熱交換器55と、を環状に接続している。これにより、冷凍サイクルが構成されている。
圧縮機51は、冷媒を圧縮して冷凍サイクルを循環させる。具体的に説明すると、圧縮機51は、低温且つ低圧の冷媒を圧縮し、高圧及び高温となった冷媒を四方弁52に吐出する。圧縮機51は、駆動周波数に応じて運転容量を変化させることができるインバータ回路を備える。運転容量とは、圧縮機51が単位時間当たりに冷媒を送り出す量である。圧縮機51は、室外機制御部44からの指示に従って駆動周波数を調整することによって運転容量を変更する。
四方弁52は、圧縮機51の吐出側に設置されている。四方弁52は、空調機40の運転が冷房又は除湿運転であるか暖房運転であるかに応じて、冷媒回路50中の冷媒の流れる方向を切り換える。
室外熱交換器53は、冷媒回路50を流れる冷媒と、室内空間2の外部の空気と、の間で熱交換を行う第1の熱交換器である。室外ファン56は、室外熱交換器53の傍に設けられており、室内空間2の外部の空気を室外熱交換器53に送る第1の送風機である。室外ファン56は、送風動作を開始すると、室外機41の内部に負圧が生じて、室内空間2の外部の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室外熱交換器53に供給され、冷媒回路50を流れる冷媒により供給される冷温熱との間で熱交換された後、室内空間2の外部に吹き出される。
膨張弁54は、室外熱交換器53と室内熱交換器55との間に設置されており、冷媒回路50を流れる冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁54は、その開度が可変に制御可能な電子式膨張弁である。膨張弁54は、室外機制御部44からの指示に従って開度を変更して、冷媒の圧力を調整する。
室内熱交換器55は、冷媒回路50を流れる冷媒と、室内空間2の空気と、の間で熱交換を行う第2の熱交換器である。室内ファン57は、室内熱交換器55の傍に設けられており、室内空間2の空気を室内熱交換器55に送る第2の送風機である。室内ファン57は、送風動作を開始すると、室内機42の内部に負圧が生じて室内空間2の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室内熱交換器55に供給され、冷媒回路50を流れる冷媒より供給される冷温熱との間で熱交換された後、室内空間2に吹き出される。室内熱交換器55で熱交換された空気は、空調空気として吹き出し口から吹き出されて、室内空間2に供給される。これにより、室内空間2が空調される。
室外機制御部44及び室内機制御部45は、CPU、ROM、RAM、通信インタフェース、及び、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備えており、それぞれ室外機41及び室内機42の動作を制御する。室外機制御部44と室内機制御部45とは、通信線43によって接続されており、通信線43を介して各種信号を授受することにより協調動作して、空調機40全体を制御する。
次に、図7を参照して、空調システム1の機能的な構成について説明する。
図7に示すように、検出装置10は、機能的に、回転制御部110と、方向検出部120と、位置情報検出部130と、検出情報送信部140と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
回転制御部110は、回転駆動部17による回転駆動を制御することにより、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転させてこれらの向きを変化させる。具体的に説明すると、回転制御部110は、検出装置10が検出動作を実行している間、回転駆動部17を駆動させて、撮像部13及びビーコンアンテナ16を予め定められた角速度で同時に回転させる。回転制御部110は、制御部11が回転駆動部17と協働することにより実現される。回転制御部110は、回転制御手段として機能する。
より詳細には、回転制御部110は、室内空間2のどの位置にユーザが居ても、ユーザを撮像でき、且つ、ビーコンを受信できるように、撮像部13及びビーコンアンテナ16を、原点方向を中心として+180°の方向と-180°の方向との間を繰り返し往復させる。これにより、回転制御部110は、撮像部13及びビーコンアンテナ16を、検出装置10の周囲360°に亘って満遍なく走査させる。
図8から図10に、室内空間2に複数のユーザA~Dが存在する場合において、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転させた例を示す。図8から図10では、撮像部13による撮像範囲R1を破線で表しており、ビーコンアンテナ16によるビーコンの受信範囲R2を実線で表している。撮像部13とビーコンアンテナ16とは、近傍に設置されており、1つの回転駆動部17によって同時に回転駆動する。そのため、撮像部13による撮像範囲R1とビーコンアンテナ16によるビーコンの受信範囲R2とは、ほぼ同じ位置を頂点とする範囲となる。図8から図10は、一例として、撮像部13の視野角が90°であり、また、ビーコンアンテナ16が検出装置10の表裏程度の指向性を有する場合を示している。
図8に示すように、検出装置10が基準方向である0°の方向を向いている場合、受信範囲R2には、ユーザA~Dの全員が含まれている。そのため、ビーコンアンテナ16は、ユーザA~Dの端末装置20から発信されるビーコンを受信する。一方で、撮像範囲R1には、ユーザB,Cは含まれているが、ユーザA,Dは含まれていない。そのため、撮像部13は、ユーザB,Cが含まれ、ユーザA,Dが含まれない撮像画像を取得する。
図8の状態から撮像部13とビーコンアンテナ16とが30°回転すると、図9に示すように、受信範囲R2からユーザAが外れる。一方で、撮像範囲R1からはユーザBが外れ、ユーザDが新たに撮像範囲R1に含まれる。更に、図8の状態から撮像部13とビーコンアンテナ16とが60°回転すると、図10に示すように、受信範囲R2からユーザBが外れる。一方で、撮像範囲R1にはユーザC,Dが含まれるまま維持される。
このように、回転制御部110は、撮像部13とビーコンアンテナ16とを回転させることにより、撮像範囲R1とビーコンの受信範囲R2とを徐々に変化させる。これにより、室内空間2の様々な位置に存在するユーザA~Dの撮像画像を取得することができ、ユーザA~Dに把持されている端末装置20から発信されるビーコンを受信することができる。
図7に戻って、方向検出部120は、回転駆動部17により撮像部13及びビーコンアンテナ16が回転している際にビーコンアンテナ16により受信されたビーコンの強度の変化に基づいて、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出する。方向検出部120は、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出するために、回転制御部110によりビーコンアンテナ16が回転している間、ビーコンアンテナ16により受信したビーコンに関する情報を、ビーコンデータ180として記憶部12に記憶する。
図11に、ビーコンデータ180の例を示す。図11に示すように、ビーコンデータ180は、ビーコンアンテナ16の角度と、受信したビーコンに含まれる端末装置20の識別情報と、受信したビーコンの強度と、が紐付けられたデータテーブルである。方向検出部120は、回転制御部110によりビーコンアンテナ16が予め定められた角度を回転する毎に、記憶部12に記憶されているビーコンデータ180を更新する。
例えば図8のように、ビーコンの受信範囲R2の内側にユーザA~Dが位置している場合、方向検出部120は、角度0°に対応付けて、ユーザA~Dの端末装置20から受信したビーコンの強度と、ユーザA~Dの端末装置20の識別情報と、をビーコンデータ180に保存する。
その後、図9に示したようにビーコンアンテナ16が図8の状態から30°回転すると、ビーコンの受信範囲R2からユーザAが外れる。この状態では、方向検出部120は、角度30°に対応付けて、ユーザB~Dの端末装置20から受信したビーコンの強度と、ユーザB~Dの端末装置20の識別情報と、をビーコンデータ180に保存する。一方で、方向検出部120は、ユーザAの端末装置20から受信したビーコンの強度には“受信せず”と保存する。
更に、図10に示したようにビーコンアンテナ16が図8の状態から60°回転すると、ビーコンの受信範囲R2からユーザBが外れる。この状態では、方向検出部120は、角度60°に対応付けて、ユーザC,Dの端末装置20から受信したビーコンの強度と、ユーザC,Dの端末装置20の識別情報と、をビーコンデータ180に保存する。一方で、方向検出部120は、ユーザA,Bの端末装置20から受信したビーコンの強度には“受信せず”と保存する。
方向検出部120は、このようなビーコンデータ180を参照して、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出する。具体的に説明すると、方向検出部120は、いずれかの端末装置20から受信したビーコンの強度が予め定められた閾値よりも大きく低下したか否かを判定する。判定の結果、いずれかの端末装置20から受信したビーコンの強度が閾値よりも大きく低下した場合、方向検出部120は、ビーコンの強度が閾値よりも大きく低下した時のビーコンアンテナ16の角度と受信範囲R2とにより定められる方向を、ビーコンアンテナ16からその端末装置20への方向として検出する。閾値は、受信範囲R2の内側に位置する端末装置20からビーコンを受信した場合と、ビーコンを受信しなかった場合と、を判定できる程度の値に予め設定される。
例えば、図8から図9にかけてビーコンアンテナ16の角度が0°から30°に変化すると、ユーザAの端末装置20がビーコンの受信範囲R2から外れるため、ユーザAの端末装置20から受信したビーコンの強度が大きく低下する。この場合、方向検出部120は、ビーコンの強度が閾値よりも大きく低下した時のビーコンアンテナ16の角度である0~30°から、ビーコンの受信範囲R2の中心方向から端部までの角度である90°を減じた角度の方向を計算する。具体的には、方向検出部120は、0~30°に対して-90°の方向である270~300°の範囲の方向を、ビーコンアンテナ16からユーザAの端末装置20への方向として検出する。
また、図9から図10にかけてビーコンアンテナ16の角度が30°から60°に変化すると、ユーザBの端末装置20がビーコンの受信範囲R2から外れるため、ユーザBの端末装置20から受信したビーコンの強度が大きく低下する。この場合、方向検出部120は、30~60°に対して-90°の方向である300~330°の範囲の方向を、ビーコンアンテナ16からユーザBの端末装置20への方向として検出する。
このように、方向検出部120は、端末装置20から受信したビーコンの強度が閾値よりも大きく低下した時に受信範囲R2の内側から外側に外れた方向を、ビーコンアンテナ16からその端末装置20への方向として検出する。方向検出部120は、制御部11がビーコンアンテナ16と協働することにより実現される。方向検出部120は、方向検出手段として機能する。
図7に戻って、位置情報検出部130は、室内空間2における方向検出部120により検出された方向の領域を撮像部13が撮像することにより得られた撮像画像に基づいて、室内空間2に存在するユーザの位置情報を検出する。位置情報検出部130は、制御部11が画像処理部14と協働することにより実現される。位置情報検出部130は、位置情報検出手段として機能する。
位置情報検出部130は、回転制御部110により撮像部13が回転している間、撮像部13が室内空間2における様々な方向を撮像することにより得られた複数の撮像画像を、撮像データ190として記憶部12に記憶する。
図12に、撮像データ190の例を示す。図12に示すように、撮像データ190は、撮像部13の角度と、撮像画像のデータと、が紐付けられたデータテーブルである。位置情報検出部130は、回転制御部110により撮像部13が予め定められた角度を回転する毎に、記憶部12に記憶されている撮像データ190を更新する。
図13に、撮像部13により撮像された撮像画像3の例を示す。図13に示す撮像画像3は、撮像部13の角度が0°である場合、すなわち図8に示したように撮像部13の光軸が基準方向である0°の方向を向いている場合において、視野角が±45°である撮像範囲R1の内側に位置しているユーザB,Cが撮像された画像である。撮像画像3は、赤外線により撮像された熱画像であるため、室内空間2で端末装置20を把持しているユーザB,Cの温度分布を表している。撮像データ190は、このような撮像画像3を、予め定められた角度として30°毎に記憶している。
位置情報検出部130は、このような撮像データ190に記憶された撮像画像を解析することにより、撮像画像の中からユーザを検出する。位置情報検出部130は、撮像画像の中からユーザを検出するために、周知の画像認識技術を用いる。例えば、位置情報検出部130は、撮像画像中の人の顔、体等を認識することにより、或いは撮像画像中の動く熱源を認識することにより、撮像画像のうちのいずれかの部分に人の画像が含まれているか否かを判定する。
撮像画像に少なくとも1人のユーザが含まれている場合、位置情報検出部130は、撮像画像における、その少なくとも1人のユーザが写っている領域を検出する。例えば図13に示した撮像画像3を解析した場合、位置情報検出部130は、撮像画像3におけるユーザB,Cの領域を検出する。
位置情報検出部130は、撮像データ190に記憶されている、撮像部13が様々な方向を撮像して得られた複数の撮像画像のうちの、方向検出部120により検出された方向の領域を撮像部13が撮像することにより得られた撮像画像に基づいて、室内空間2に存在するユーザの位置情報を検出する。ここで、方向検出部120により検出された方向の領域を撮像部13が撮像することにより得られた撮像画像とは、方向検出部120により検出された方向が撮像部13の視野内に入っている状態で得られた撮像画像を意味する。具体的には、当該撮像画像は、回転している撮像部13が方向検出部120により検出された方向を向いている時に得られた撮像画像に相当する。
例えば図8から図10に示したように、ユーザAの端末装置20への方向が270~300°の方向であると方向検出部120により検出された場合、位置情報検出部130は、撮像部13が270~300°の方向を向いている時に得られた撮像画像に基づいて、ユーザAの位置情報を検出する。また、ユーザBの端末装置20への方向が300~330°の方向であると方向検出部120により検出された場合、位置情報検出部130は、撮像部13が300~330°の方向を向いている時に得られた撮像画像に基づいて、ユーザBの位置情報を検出する。
位置情報検出部130は、撮像画像におけるユーザの大きさに基づいて、室内機42からユーザまでの距離を位置情報として検出する。位置情報検出部130は、方向検出部120により検出された方向の撮像画像に対して実行したユーザ検出処理の結果を用いる。具体的に説明すると、位置情報検出部130は、撮像画像におけるユーザの大きさとして、ユーザ検出処理により検出された撮像画像におけるユーザの顔、体等の領域の面積又は幅を計算する。そして、位置情報検出部130は、撮像画像におけるユーザの大きさがより大きい場合に、室内機42からユーザまでの距離がより近いと判定し、撮像画像におけるユーザの大きさがより小さい場合に、室内機42からユーザまでの距離がより遠いと判定する。
図7に戻って、検出情報送信部140は、検出装置10により検出された検出情報を制御装置30に送信する。検出情報は、位置情報検出部130により検出されたユーザの位置情報と、方向検出部120により検出された方向と、そのユーザに把持されている端末装置20の識別情報と、を含む情報である。
検出情報送信部140は、位置情報検出部130によりユーザの位置情報が検出されると、検出されたユーザの位置情報と、そのユーザの端末装置20から受信されたビーコンに含まれる識別情報と、方向検出部120により検出されたビーコンアンテナ16から端末装置20への方向と、を対応付けて、検出情報を生成する。そして、検出情報送信部140は、通信部15を介して制御装置30と通信し、生成した検出情報を制御装置30に送信する。
なお、図8から図10に示したように、室内空間2に複数のユーザが存在している場合には、各ユーザの位置情報が検出される毎に、検出されたユーザの位置情報とそのユーザの端末装置20の識別情報と方向検出部120により検出された方向とを含む検出情報を、制御装置30に送信する。検出情報送信部140は、制御部11が通信部15と協働することにより実現される。検出情報送信部140は、検出情報送信手段として機能する。
次に、制御装置30の機能的な構成について説明する。図7に示すように、制御装置30は、機能的に、検出情報受信部310と、端末通信部320と、空調制御部330と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部32に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部32に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
検出情報受信部310は、検出装置10から送信された検出情報を受信する。検出情報受信部310は、検出装置10において検出されたユーザの位置情報及び識別情報を示す検出情報が検出情報送信部140により送信されると、通信部35を介して検出装置10と通信することにより、送信された検出情報を受信する。検出情報受信部310は、制御部31が通信部35と協働することにより実現される。検出情報受信部310は、検出情報受信手段として機能する。
端末通信部320は、通信部35を介して端末装置20と通信する。具体的に説明すると、端末通信部320は、端末装置20においてユーザから受け付けられた空調の操作を示す操作情報を端末装置20から受信する。端末装置20において、制御部21は、例えば空調機40による空調の運転モードを切り替える操作、又は、設定温度、設定湿度、送風モード等の入力操作を操作部23によりユーザから受け付けると、受け付けた操作を示す操作情報を通信部25により制御装置30に送信する。端末通信部320は、このようにして端末装置20から送信された操作情報を受信する。
また、端末通信部320は、室内空間2の空調の状態を示す状態情報を、端末装置20に送信する。状態情報は、例えば空調機40による現在の空調の運転モード、設定温度、設定湿度、送風モード等を示す情報である。端末通信部320は、このような状態情報を、予め定められたタイミングで自発的に、又は端末装置20からの要求に応じて、端末装置20に送信する。端末装置20において、制御部21は、端末通信部320により送信された状態情報を受信すると、受信した状態情報を表示部24に表示することで、ユーザに通知する。端末通信部320は、制御部31が通信部35と協働することにより実現される。端末通信部320は、端末通信手段として機能する。
空調制御部330は、通信部35を介して空調機40に制御指令を送信することにより、空調機40による室内空間2の空調を制御する。空調制御部330は、制御部31が通信部35と協働することにより実現される。空調制御部330は、空調制御手段として機能する。
第1に、空調制御部330は、端末通信部320により端末装置20から操作情報が受信されると、受信された操作情報に従って、空調機40による空調を制御する。例えば、端末装置20から運転モードを切り替える操作情報を受信すると、空調制御部330は、受信した操作情報に従って、運転モードを切り替える。また、端末装置20から設定温度、設定湿度又は送風モードを変更する操作情報を受信すると、空調制御部330は、受信した操作情報に従って、設定温度、設定湿度又は送風モードを変更する。
第2に、空調制御部330は、検出情報受信部310により検出装置10から受信された検出情報に基づいて、空調機40による室内空間2の空調を制御する。上述したように、検出情報は、位置情報検出部130により検出された室内空間2に存在するユーザの位置情報と、そのユーザに把持されている端末装置20の識別情報と、方向検出部120により検出されたビーコンアンテナ16から端末装置20への方向の情報と、を含んでいる。そのため、空調制御部330は、ユーザの位置情報と、端末装置20の識別情報と、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向と、に基づいて、空調機40による空調を制御する。
まず、空調制御部330は、検出情報受信部310により受信された検出情報に含まれる位置情報に基づいて、空調機40による空調を制御する。具体的に説明すると、空調制御部330は、位置情報検出部130により位置情報として検出された、室内機42からユーザまでの距離を参照する。そして、空調制御部330は、検出された距離の位置に存在するユーザの快適性を高めるように、空調を制御する。
例えば、空調制御部330は、検出された距離が相対的に大きい場合には、室内機42から吹き出される空調空気がより遠くまで届くように、空調空気を吹き出す強さ又は上下の角度を調整する。或いは、空調制御部330は、検出された距離が相対的に小さい場合には、室内機42から吹き出される空調空気がより近い範囲に集中するように、空調空気を吹き出す強さ又は上下の角度を調整する。
また、空調制御部330は、方向検出部120により検出された方向に基づいて、空調機40による空調を制御する。具体的に説明すると、空調制御部330は、ユーザに向けて空調空気が吹き出されるように、室内機42から吹き出される空調空気の方向を、方向検出部120により検出された方向に向ける。或いは、これとは逆に、空調制御部330は、空調空気がユーザに直接には当たらないようにするため、室内機42から吹き出される空調空気の方向を、方向検出部120により検出された方向以外の方向に向けても良い。
更に、空調制御部330は、ユーザの位置情報に加えて、検出情報受信部310により受信された検出情報に含まれる識別情報に基づいて、空調機40による空調を制御する。具体的に説明すると、空調制御部330は、方向検出部120により検出された方向からビーコンアンテナ16により受信されたビーコンに含まれる識別情報に対応する制御内容で、室内空間2の空調を制御する。そのために、空調制御部330は、記憶部32に記憶されている好みデータ340を参照する。
図14に、好みデータ340の例を示す。好みデータ340は、ユーザの空調の好みを示す情報を、ユーザにより操作される端末装置20毎に対応付けて記憶しているデータテーブルである。具体的には図14に示すように、好みデータ340は、ユーザの空調の好みを示す情報として、設定温度と設定湿度と送風モードとの情報を、端末装置20の識別情報に紐付けて記憶している。
好みデータ340は、室内空間2に存在する複数の端末装置20のそれぞれから端末通信部320により過去に受信された操作情報の履歴に基づいて生成され、記憶部32に記憶される。例えば、空調制御部330は、ユーザ毎に端末装置20において過去に設定された設定温度の平均値、最頻値等の代表値を、各ユーザの好みの設定温度として、各ユーザの端末装置20の識別情報に対応付けて保存する。設定湿度についても同様である。また、空調制御部330は、ユーザ毎に端末装置20において過去に最も多く設定された送風モードを、各ユーザの好みの送風モードとして、各ユーザの端末装置20の識別情報に対応付けて保存する。空調制御部330は、室内空間2に存在するいずれかの端末装置20から端末通信部320により操作情報が受信される毎に、好みデータ340において、その端末装置20の識別情報に対応付けられて記憶されている設定温度、設定湿度又は送風モードを更新する。
空調制御部330は、このような好みデータ340を参照して空調の制御内容を決定し、決定した制御内容で空調機40に空調させる。具体的に説明すると、空調制御部330は、検出情報受信部310により受信された検出情報に含まれる識別情報に対応付けられた設定温度、設定湿度又は送風モードで、空調機40に空調させる。このように、空調制御部330は、端末装置20の識別情報に応じて空調の制御内容を変えることにより、ユーザの好みに応じた空調を空調機40に行わせる。これにより、ユーザの快適性を向上させることができる。
なお、室内空間2に端末装置20を把持している複数のユーザが存在しており、検出装置10によって複数のユーザの位置情報が検出された場合、空調制御部330は、複数のユーザのうちの優先度が最も高いユーザの端末装置20の識別情報に基づいて、空調を制御する。例えば、室内空間2に在室している時間が最も長い、すなわち、検出装置10により位置情報が検出されてからの経過時間が最も長いユーザの優先度を最も大きく設定する。或いは、室内機42からの距離が最も近い位置に存在するユーザの優先度を最も大きく設定しても良い。
以上のように構成される空調システム1において実行される処理の流れについて、図15に示すシーケンス図を参照して説明する。図15に示す処理は、検出装置10、端末装置20及び制御装置30のそれぞれが正常に処理を実行可能な状態において、適宜実行される。
端末装置20において、制御部21は、予め定められた周期で、ビーコンアンテナ26からビーコンを発信する(ステップS11)。検出装置10において、制御部11は、端末装置20から発信されたビーコンに基づいて、位置情報検出処理を実行する(ステップS12)。ステップS12における位置情報検出処理の詳細については、図16に示すフローチャートを参照して説明する。
図16に示す位置情報検出処理を開始すると、制御部11は、まず、運転開始時における撮像部13及びビーコンアンテナ16の角度を取得する(ステップS101)。具体的に説明すると、制御部11は、運転開始時に、予め定められた基準方向に対する撮像部13及びビーコンアンテナ16の角度を取得する。これにより、制御部11は、初期状態において、撮像部13及びビーコンアンテナ16がどの方向を向いているのかの情報を取得する。
なお、制御部11は、回転制御部110の機能により、運転開始時又は運転終了時に、撮像部13及びビーコンアンテナ16の向きを、基準方向に戻しても良い。その場合は、運転開始時における撮像部13及びビーコンアンテナ16の角度は0°である。
次に、制御部11は、回転制御部110として機能し、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転駆動を開始する(ステップS102)。具体的に説明すると、制御部11は、回転駆動部17を駆動させて、撮像部13及びビーコンアンテナ16を予め定められた角速度で回転させる。これにより、制御部11は、撮像部13により撮像される範囲R1と、ビーコンアンテナ16によりビーコンを受信可能な範囲R2と、を徐々に変化させる。
回転駆動を開始すると、制御部11は、回転駆動しているビーコンアンテナ16により、室内空間2に存在する端末装置20から発信されたビーコンを受信する(ステップS103)。例えば図8から図10に示したように、ビーコンの受信範囲R2の内側に端末装置20を把持している少なくとも一人のユーザが位置している場合、制御部11は、ビーコンの受信範囲R2の内側に位置しているユーザの端末装置20から発信されたビーコンを受信する。これに対して、ビーコンの受信範囲R2の内側に端末装置20を把持しているユーザが一人も位置していない場合には、制御部11は、ビーコンを受信しない。
ビーコンを受信すると、制御部11は、受信したビーコンの識別情報と強度とを、ビーコンアンテナ16の角度に対応付けて保存する(ステップS104)。具体的に説明すると、制御部11は、ビーコンアンテナ16が予め定められた角度を回転する毎に、新たに受信したビーコンの識別情報と強度とを、その時の角度に紐付けて、ビーコンデータ180に加える。
また、ビーコンの受信と並行して、制御部11は、回転駆動している撮像部13を用いて撮像画像を取得する(ステップS105)。例えば図8から図10に示したように、撮像範囲R1の内側に少なくとも一人のユーザが位置している場合、制御部11は、撮像範囲R1の内側に位置しているユーザが含まれる撮像画像を取得する。これに対して、撮像範囲R1の内側にユーザが一人も位置していない場合には、制御部11は、ユーザが含まれない撮像画像を取得する。
撮像画像を取得すると、制御部11は、取得した撮像画像のデータを、撮像部13の角度に対応付けて保存する(ステップS106)。具体的に説明すると、制御部11は、撮像部13が予め定められた角度を回転する毎に、新たに取得した撮像画像のデータを、その時の角度に紐付けて、撮像データ190に加える。
撮像画像のデータを保存すると、制御部11は、保存された撮像画像に対してユーザ検出処理を実行する(ステップS107)。具体的に説明すると、制御部11は、撮像画像のいずれか一部にユーザが含まれているか否かを判定する。撮像画像に少なくとも1人のユーザが含まれている場合、制御部11は、撮像画像におけるその少なくとも1人のユーザの位置及び大きさを特定する。
次に、制御部11は、室内空間2に存在するいずれかの端末装置20から受信したビーコンの強度の低下量が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS108)。具体的に説明すると、制御部11は、記憶部12に記憶されているビーコンデータ180を参照して、ビーコンデータ180に新たに保存された角度におけるビーコンの強度と、その1つ前に保存された角度におけるビーコンの強度とを、端末装置20毎に比較する。そして、制御部11は、いずれかの端末装置20において、新たに保存された角度におけるビーコンの強度が、その1つ前に保存された角度におけるビーコンの強度に比べて、閾値よりも大きく低下しているか否かを判定する。
どの端末装置20から受信したビーコンの強度の低下量も閾値を超えていない場合(ステップS108;NO)、制御部11は、処理をステップS103に戻して、ステップS103~S108の処理を再び実行する。具体的に説明すると、制御部11は、引き続き撮像部13とビーコンアンテナ16とを回転駆動させながら、撮像部13により室内空間2を撮像して撮像データ190を更新する処理、撮像画像からユーザを検出する処理、及び、ビーコンアンテナ16によりビーコンを受信してビーコンデータ180を更新する処理を実行する。
これに対して、いずれかの端末装置20から受信したビーコンの強度の低下量が閾値を超えた場合(ステップS108;YES)、制御部11は、方向検出部120として機能し、ビーコンの強度の変化に基づいて、端末装置20への方向を検出する(ステップS109)。具体的に説明すると、制御部11は、ビーコンの強度の低下量が閾値を超えたタイミングにおけるビーコンアンテナ16の角度に対して、ビーコンの受信範囲R2の中心方向から端部までの角度である90°を減じた方向を、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向として特定する。
端末装置20への方向を特定すると、制御部11は、位置情報検出部130として機能し、ユーザの位置情報を検出する(ステップS110)。具体的に説明すると、制御部11は、回転駆動している撮像部13がステップS109で検出された方向を向いている時に得られた撮像画像に写っているユーザの大きさに基づいて、室内機42からユーザまでの距離を検出する。以上により、図16に示した位置情報検出処理は終了する。
図15に戻って、検出装置10において、制御部11は、ステップS12で位置情報検出処理を実行すると、検出情報送信部140として機能し、ステップS12で検出されたユーザの位置情報と、対応する端末装置20の識別情報と、を含む検出情報を制御装置30に送信する(ステップS13)。制御装置30において、制御部31は、ステップS13で検出情報受信部310として機能し、検出装置10から送信された検出情報を受信する。
制御装置30において、制御部31は、検出情報を受信すると、空調制御部330として機能し、受信した検出情報に含まれる位置情報と識別情報とに基づいて、空調機40による室内空間2の空調を制御する(ステップS14)。空調システム1は、以上のようなステップS11~S14の処理を繰り返し実行することで、ユーザの位置と好みとに応じた空調を実現する。
なお、図15では省略しているが、端末装置20において、制御部21は、ユーザから空調の操作を受け付けると、操作情報を制御装置30に送信し、受け付けた操作に従って制御装置30に空調を制御させる。また、制御装置30において、制御部31は、空調の状態を示す状態情報を端末装置20に送信し、端末装置20に表示させる。
以上説明したように、実施の形態1に係る空調システム1は、指向性を有するビーコンアンテナ16が回転している際にビーコンアンテナ16により受信されたビーコンの強度の変化に基づいて、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出し、室内空間2における検出された方向の領域を撮像部13が撮像することにより得られた撮像画像に基づいて、室内空間2に存在するユーザの位置情報を検出する。このように、実施の形態1に係る空調システム1は、ビーコンを用いて端末装置20への方向を検出してから、撮像部13による撮像を用いて方向が検出された端末装置20のユーザの位置情報を検出する。そのため、ビーコンのみを用いた場合、又は撮像のみを用いた場合に比べて、室内空間2におけるユーザの位置情報を的確に検出することができる。その結果として、ユーザの位置情報に応じて空調を制御することができ、快適性及び省エネ性の向上につながる。
また、実施の形態1に係る空調システム1は、ビーコンアンテナ16により受信されるビーコンに含まれる端末装置20の識別情報に基づいて、室内空間2の空調を制御する。これにより、室内空間2が複数のユーザによって使用される場合であっても、ユーザ一人一人の好みに合った空調制御を行うことができるため、快適性をより向上させることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1と同様の事項については、適宜説明を省略する。
上記実施の形態1では、回転制御部110は、撮像部13及びビーコンアンテナ16を、端末装置20においてユーザから操作が受け付けられたか否かとは無関係に回転させた。これに対して、実施の形態2では、回転制御部110は、端末装置20においてユーザから操作が受け付けられたことに応答して、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を開始させる。
図17を参照して、実施の形態2に係る空調システム1において実行される処理の流れについて説明する。図17に示す処理において、まず端末装置20の制御部21は、操作部23を介してユーザから空調の操作を受け付ける(ステップS21)。例えば、制御部21は、空調機40による空調の運転モードの切り替える操作、又は、設定温度、設定湿度、送風モード等を設定する操作をユーザから受け付ける。ステップS21において、操作部23は、操作受付手段として機能する。
空調の操作を受け付けると、制御部21は、受け付けた操作を示す操作情報を制御装置30に送信する(ステップS22)。制御装置30において、制御部31は、端末通信部320として機能し、送信された操作情報を受信する。
更に、制御部21は、空調の操作を受け付けたことに応答して、端末装置20の識別情報を検出装置10に送信する(ステップS23)。検出装置10において、制御部11は、端末装置20から送信された識別情報を受信する。
制御部21は、通信部25を介して検出装置10と通信することにより、識別情報を検出装置10に送信する。或いは、制御部21は、識別情報を操作情報と共に制御装置30に送信し、制御装置30を経由させて検出装置10に送信しても良い。このように識別情報を検出装置10に送信することで、制御部21は、端末装置20においてユーザから空調の操作を受け付けた旨を検出装置10に通知する。
このような操作を受け付ける処理と操作情報及び識別情報を送信する処理とを実行することに加えて、端末装置20において、制御部21は、予め定められた周期で、ビーコンアンテナ26からビーコンを発信する(ステップS24)。そして、検出装置10において、制御部11は、端末装置20から発信されたビーコンに基づいて、位置情報検出処理を実行する(ステップS25)。
ステップS25における位置情報検出処理は、図16に示した実施の形態1における位置情報検出処理と基本的には同様である。但し、ステップS102において、回転制御部110は、端末装置20の操作部23によりユーザから空調の操作が受け付けられると、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を開始する。
具体的に説明すると、実施の形態1では、回転制御部110は、端末装置20において操作が受け付けられたか否かとは無関係に、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転駆動させた。これに対して、実施の形態2では、回転制御部110は、端末装置20において空調の操作が受け付けられるまでは、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転させず、端末装置20において空調の操作が受け付けられてから、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転させ始める。
回転制御部110は、端末装置20において空調の操作が受け付けられたか否かを、端末装置20から識別情報を受信したか否かにより判定する。回転制御部110は、ステップS23で端末装置20から識別情報を受信したことに応答して、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を開始する。これにより、回転制御部110は、室内空間2に存在する複数の端末装置20のうちの、操作を受け付けた端末装置20、すなわち識別情報の送信元である端末装置20への方向を検出し、その端末装置20を操作するユーザの位置情報を検出する処理を開始する。
更に、回転制御部110は、ステップS109において方向検出部120により識別情報の送信元である端末装置20への方向が検出されると、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を停止する。具体的に説明すると、実施の形態1では、回転制御部110は、方向検出部120により室内空間2に存在するいずれかの端末装置20への方向が検出された後も、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転させ続けた。これに対して、実施の形態2では、回転制御部110は、目標となる端末装置20への方向が検出されたタイミングで、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を停止する。
より詳細には、回転制御部110は、ステップS109において方向検出部120によりビーコンアンテナ16から端末装置20への方向が検出されると、その端末装置20から受信したビーコンに含まれる識別情報がステップS23で受信した識別情報と一致するか否かを判定する。判定の結果、識別情報が一致する場合、回転制御部110は、方向が検出された端末装置20が、目標となる端末装置20、すなわちユーザにより操作が受け付けられた端末装置20であると特定する。そして、回転制御部110は、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を停止する。なお、ステップS102,S109以外の処理は、図16に示した実施の形態1における位置情報検出処理と同様であるため、説明を省略する。
検出装置10において、制御部11は、ステップS25で位置情報検出処理を実行すると、ユーザの位置情報と、対応する端末装置20の識別情報と、を含む検出情報を制御装置30に送信する(ステップS26)。制御装置30において、制御部31は、検出装置10から送信された検出情報を受信し、受信した検出情報に基づいて、空調を制御する(ステップS27)。ステップS26,S27の処理は、実施の形態1におけるステップS13,S14と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、実施の形態2に係る空調システム1は、端末装置20において空調の操作が受け付けられるまでは、撮像部13及びビーコンアンテナ16を回転させず、端末装置20において空調の操作が受け付けられると、撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を開始する。これにより、撮像部13及びビーコンアンテナ16が様々な方向に回転し続けている場合に比べて、初期状態の方向から端末装置20に操作を入力したユーザの方向まで直接的に撮像部13及びビーコンアンテナ16の方向を変化させることができる。そのため、端末装置20に操作を入力したユーザの位置情報を短時間で検出し、空調制御に反映させることができる。
また、実施の形態に係る空調システム1は、端末装置20において操作が受け付けられてから撮像部13及びビーコンアンテナ16の回転を開始し、更にビーコンアンテナ16から端末装置20への方向が検出されたタイミングで回転を停止するため、不要な電力消費を抑制することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1と同様の事項については、適宜説明を省略する。
上記実施の形態1,2では、検出装置10において撮像部13が室内空間2を撮像することにより得られた撮像画像は、端末装置20において表示されなかった。これに対して、実施の形態3では、端末装置20は、撮像部13により撮像された撮像画像を表示する。端末装置20のユーザは、表示された撮像画像を確認しながら、空調機40による空調範囲を選択することができる。
図18を参照して、実施の形態3に係る空調システム1において実行される処理の流れについて説明する。図18に示す処理において、まず端末装置20の制御部21は、予め定められた周期で、ビーコンアンテナ26からビーコンを発信する(ステップS31)。検出装置10において、制御部11は、端末装置20から発信されたビーコンに基づいて、位置情報検出処理を実行する(ステップS32)。
検出装置10において、制御部11は、位置情報検出処理を実行すると、ユーザの位置情報と、対応する端末装置20の識別情報と、を含む検出情報を制御装置30に送信する(ステップS33)。制御装置30において、制御部31は、検出装置10から送信された検出情報を受信し、受信した検出情報に基づいて、空調を制御する(ステップS34)。ステップS32~S34の処理は、実施の形態1におけるステップS12~S14と同様であるため、説明を省略する。
更に、制御部11は、ステップS32で位置情報検出処理を実行すると、検出情報を制御装置30に送信することに加えて、室内空間2における方向検出部120により検出された方向を撮像部13が撮像することにより得られた撮像画像を、端末装置20に送信する(ステップS35)。端末装置20において、制御部21は、検出装置10から送信された撮像画像を受信する。
制御部11は、通信部15を介して端末装置20と通信することにより、撮像画像を端末装置20に送信する。或いは、制御部11は、撮像画像を検出情報と共に制御装置30に送信し、制御装置30を経由させて端末装置20に送信しても良い。
端末装置20において、制御部21は、撮像画像を受信すると、受信した撮像画像を表示部24に表示する(ステップS36)。例えば図19に示すように、制御部21は、端末装置20を把持するユーザが写された撮像画像4を表示部24に表示する。このように端末装置20において撮像画像4が表示されることにより、ユーザは、室内空間2における自身が居る場所を含む領域の様子を確認することができる。
撮像画像を表示すると、制御部21は、操作部23を介してユーザから空調範囲の選択を受け付ける(ステップS37)。ユーザは、表示部24に表示された撮像画像を見ながら操作部23を操作することで、空調機40により空調することを望む範囲を選択する。
例えばユーザの頭部を重点的に空調することを望む場合、ユーザは、図19に示すように、表示された撮像画像4内のユーザの頭部周辺の範囲を空調範囲R3として選択する。或いは、室内空間2におけるより広い範囲を空調することを望む場合、ユーザは、表示された撮像画像内の広い範囲を選択する。制御部21は、このようにしてユーザから空調を望む範囲の選択を受け付ける。ステップS37において、操作部23は、選択受付手段として機能する。
空調範囲の選択を受け付けると、制御部21は、選択された空調範囲を示す選択情報を制御装置30に送信する(ステップS38)。制御装置30において、制御部31は、端末装置20から送信された選択情報を受信する。
制御装置30において、制御部31は、選択情報を受信すると、空調制御部330として機能し、受信した選択情報に示される空調範囲の選択に従って、空調機40に空調範囲を空調させる(ステップS39)。例えば図19に示したように、ユーザの頭部周辺の空調範囲R3が選択された場合には、空調制御部330は、ユーザの頭部に向けて室内機42の吹き出し口から空調空気を送る。或いは、空調範囲としてより広い範囲が選択された場合には、空調制御部330は、室内空間2における広い範囲に空調空気が送られるように、風向きを制御する。
以上説明したように、実施の形態3に係る空調システム1は、端末装置20において撮像画像を表示させる。そして、実施の形態3に係る空調システム1は、ユーザから空調範囲の選択を受け付け、選択を受け付けた空調範囲を空調する。このように、検出装置10により検出された位置情報だけではなく、ユーザから選択された空調範囲に基づいて空調を制御するため、ユーザの要望を反映させたより細かい空調制御が可能になる。その結果、ユーザの快適性をより高めることができる。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、方向検出部120は、指向性を有するビーコンアンテナ16により受信したビーコンの強度が閾値よりも大きく低下したか否かを判定することによって、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出した。これとは逆に、方向検出部120は、受信したビーコンの強度が閾値よりも大きく上昇したか否かを判定することによって、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出しても良い。この場合、方向検出部120は、受信したビーコンの強度が閾値よりも大きく上昇した時にビーコンの受信範囲R2の外側から内側に入った方向を、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向として検出する。
上記実施の形態では、端末装置20がビーコンを発信し、検出装置10が、端末装置20から発信されたビーコンを、ビーコンを受信可能な範囲に指向性を有するビーコンアンテナ16により受信した。しかしながら、本発明において、検出装置10が、ビーコンを発信可能な範囲に指向性を有するビーコンアンテナ16によりビーコンを発信し、端末装置20が、ビーコンアンテナ26によりビーコンを受信するように構成されても良い。すなわち、検出装置10と端末装置20とでビーコンの発信側と受信側とを入れ替えても良い。
検出装置10がビーコンの発信側である場合、検出装置10から発信されたビーコンは、ビーコンアンテナ16によるビーコンの発信範囲の内側に位置する端末装置20により受信されるが、発信範囲の外側に位置する端末装置20には受信されない。端末装置20は、検出装置10から発信されたビーコンを受信した場合、受信したビーコンに対する応答として、端末装置20の識別情報を含む信号を検出装置10に送信する。ここで、端末装置20は、検出装置10から受信したビーコンに対する応答を、ビーコンアンテナ26からビーコンとして送信しても良いし、通信部25によるビーコン以外の通信手段で送信しても良い。検出装置10は、ビーコンアンテナ16又は通信部15により、端末装置20から送信された応答を受信する。
方向検出部120は、回転駆動部17によりビーコンアンテナ16が回転している際にビーコンアンテナ16から発信されたビーコンに対する応答に基づいて、ビーコンアンテナ16から室内空間2に存在する端末装置20への方向を検出する。具体的に説明すると、ビーコンアンテナ16によるビーコンの発信範囲の内側に端末装置20が位置している端末装置20はビーコンに対する応答を送信する。そのため、方向検出部120は、ビーコンアンテナ16が回転しながら発信するビーコンに対する応答が途絶えたか否か、又は、応答を受信し始めたか否かを判定することによって、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出する。このようにビーコンの受信側と発信側とを入れ替えた場合であっても、ビーコンアンテナ16から端末装置20への方向を検出することができる。
また、検出装置10と端末装置20との間で送受信されるビーコンは、例えば赤外線を利用した赤外線ビーコンのように、BLE以外の規格によるビーコンであっても良い。また、指向性を有するアンテナで受信又は発信することによって方向を検出することが可能であれば、ビーコン以外の信号を用いても良い。
上記実施の形態では、検出装置10は、室内機42における空調空気の吹き出し口の近傍に設置されていた。しかしながら、空調対象の空間を撮像部13により撮像でき、且つ、空調対象の空間から発せられるビーコンをビーコンアンテナ16により受信することができれば、検出装置10は、室内機42に限らず、どのような場所に設置されても良い。
上記実施の形態では、検出装置10と制御装置30とは別の装置であった。しかしながら、検出装置10は、1つの空調制御装置として、制御装置30と一体化されていても良い。また、検出装置10に備えられる機能と制御装置30に備えられる機能とは、上記実施の形態に限らない。例えば、方向検出部120又は位置情報検出部130の処理を制御装置30が実行しても良いし、好みデータ340が検出装置10に記憶されていても良い。
上記実施の形態では、回転駆動部17は、撮像部13とビーコンアンテナ16とを同時に回転させた。しかしながら、撮像部13とビーコンアンテナ16とは、1つの回転駆動部17により同時に回転することに限らず、異なる回転駆動部によって別々に回転するように構成しても良い。但し、撮像部13とビーコンアンテナ16とを1つの回転駆動部17により同時に回転させることで、構成を簡略にすることができ、コストを抑えることができる。
また、撮像部13の視野角が広く、空調対象の空間内における広範囲を一度に撮像できる場合には、撮像部13は回転せず、撮像部13により撮像される範囲R1が固定されたままであっても良い。言い換えると、回転駆動部17が撮像部13を回転させず、ビーコンアンテナ16のみを回転させる構成にすることも可能である。
上記実施の形態では、位置情報検出部130は、位置情報として、撮像画像におけるユーザの大きさに基づいて、室内機42からユーザまでの距離を検出した。しかしながら、位置情報検出部130は、位置情報として、撮像画像におけるユーザの位置に基づいて、室内機42からユーザへの方向を検出しても良い。位置情報検出部130により方向が検出される場合には、検出装置10から制御装置30に送信される検出情報には、方向検出部120により検出された方向の情報が含まれなくても良い。撮像画像に基づいて方向を検出することで、方向検出部120によりビーコンの強度の変化に基づいて方向を検出する場合よりも、高精度で方向を検出することができる。
また、位置情報検出部130は、室内機42からユーザまでの距離を、撮像画像だけでなく、ビーコンアンテナ16により受信されたビーコンの強度の情報も併用して検出しても良い。言い換えると、位置情報検出部130は、方向検出部120により検出された方向の領域を撮像部13が撮像することによって得られた撮像画像と、方向検出部120により検出された方向からビーコンアンテナ16により受信されたビーコンの強度と、に基づいて、室内機42からユーザまでの距離を検出しても良い。端末装置20は一定の強度でビーコンを送信しているため、受信されたビーコンの強度がより強い場合にユーザまでの距離がより近いと判定することができる。
ビーコンの強度の情報を併用する場合、位置情報検出部130は、撮像画像に基づいて検出された距離と、ビーコンの強度に基づいて検出された距離と、の平均値を、室内機42からユーザまでの距離として検出しても良い。或いは、位置情報検出部130は、その他の規則に従って、撮像画像に基づいて検出された距離とビーコンの強度に基づいて検出された距離とから室内機42からユーザまでの距離を検出しても良い。
上記実施の形態では、空調制御部330は、位置情報検出部130により検出されたユーザの位置情報に基づいて空調を制御した。しかしながら、空調制御部330は、撮像部13がサーモカメラである場合、サーモカメラにより撮像された撮像画像から得られるユーザの表面温度に更に基づいて、空調を制御しても良い。例えば、空調制御部330は、好みデータ340として、識別情報に対応付けてユーザ毎の好みの表面温度を予め登録しておく。そして、空調制御部330は、撮像画像から得られるユーザの表面温度が好みデータ340に予め登録されたそのユーザの好みの表面温度に近付くように、設定温度又は送風モードを調整する。このように位置情報に加えて更に表面温度に基づいて空調を制御することで、より快適性を高めることができる。
上記実施の形態では、制御部11において、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、回転制御部110、方向検出部120、位置情報検出部130及び検出情報送信部140の各部として機能した。また、制御部31において、CPUがROM又は記憶部32に記憶されたプログラムを実行することによって、検出情報受信部310、端末通信部320及び空調制御部330の各部として機能した。しかしながら、本発明において、制御部11,31は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11,31が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11,31は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明に係る検出装置10又は制御装置30の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本発明に係る検出装置10又は制御装置30として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。