以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に従うチョッパ増幅器の構成を示す回路ブロック図である。図1において、このチョッパ増幅器は、チョッパ変調回路1、増幅回路2、チョッパ復調回路3、ローパスフィルタ回路(以下「LPF(Low Pass Filter)」と称する。)4、およびクロック発生回路5を備える。
チョッパ変調回路1は、クロック発生回路5から供給されるクロック信号CK,/CKに従って差動入力信号V1,V2を変調し、クロック周波数fcの信号V3,V4を生成する。信号V1は、一定のバイアス電圧VBPと電圧ΔVとの和の電圧(VBP+ΔV)を有する。信号V2は、バイアス電圧VBPと電圧ΔVとの差の電圧(VBP-ΔV)を有する。信号V3は、クロック周波数fcで交互に(VBP+ΔV)および(VBP-ΔV)に切り替わる電圧を有する。信号V4は、クロック周波数fcで交互に(VBP-ΔV)および(VBP+ΔV)に切り替わる電圧を有する。
図2は、クロック信号CK,/CKの波形を示すタイムチャートである。図2において、(A)はクロック信号CKの波形を示し、(B)はクロック信号/CKの波形を示している。クロック信号CKは、一定のクロック周波数fcで交互に「H」レベルおよび「L」レベルにされる信号である。クロック信号/CKは、クロック信号CKの反転信号である。
図3は、チョッパ変調回路1の構成を示す回路図である。図3において、チョッパ変調回路1は、入力端子1a,1b、出力端子1c,1d、クロック端子1e,1f、およびトランスファーゲートTG1~TG4(第1の切換回路)を含む。入力端子1a,1bは、それぞれ差動入力信号V1,V2を受ける。出力端子1c,1dには、それぞれ信号V3,V4が出力される。クロック端子1e,1fは、それぞれクロック信号CK,/CKを受ける。
トランスファーゲートTG1,TG2の一方端子は、それぞれ入力端子1a,1bに接続され、それらの他方端子は、それぞれ出力端子1c,1dに接続される。トランスファーゲートTG1,TG2のP側ゲート端子は、ともにクロック端子1fに接続され、それらのN側ゲート端子は、ともにクロック端子1eに接続される。
トランスファーゲートTG3,TG4の一方端子は、それぞれ入力端子1a,1bに接続され、それらの他方端子は、それぞれ出力端子1d,1cに接続される。トランスファーゲートTG3,TG4のP側ゲート端子は、ともにクロック端子1eに接続され、それらのN側ゲート端子は、ともにクロック端子1fに接続される。
クロック信号CK,/CKがそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルである場合には、トランスファーゲートTG1,TG2がオンするとともにトランスファーゲートTG3,TG4がオフし、信号V1,V2がそれぞれトランスファーゲートTG1,TG2を介して出力端子1c,1dに与えられる。
クロック信号CK,/CKがそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルである場合には、トランスファーゲートTG1,TG2がオフするとともにトランスファーゲートTG3,TG4がオンし、信号V1,V2がそれぞれトランスファーゲートTG3,TG4を介して出力端子1d,1cに与えられる。出力端子1c,1dには、クロック周波数fcの差動信号V3,V4が現れる。
図4は、トランスファーゲートTG1の構成を示す回路図である。図4において、トランスファーゲートTG1は、PチャネルMOSトランジスタ6およびNチャネルMOSトランジスタ7を含む。PチャネルMOSトランジスタ6のソース、ドレインおよびゲート(P側ゲート端子)は、入力端子1a、出力端子1cおよびクロック端子1fにそれぞれ接続される。NチャネルMOSトランジスタ7のドレイン、ソースおよびゲート(N側ゲート端子)は、入力端子1a、出力端子1cおよびクロック端子1eにそれぞれ接続される。
クロック信号CK,/CKがそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルである場合には、トランジスタ6,7がともにオンし、トランスファーゲートTG1がオンする。クロック信号CK,/CKがそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルである場合には、トランジスタ6,7がともにオフし、トランスファーゲートTG1がオフする。他のトランスファーゲートTG2~TG4の各々は、トランスファーゲートTG1と同じ構成である。
なお、トランスファーゲートTG1~TG4の各々を、PチャネルMOSトランジスタのみで置換してもよいし、NチャネルMOSトランジスタのみで置換してもよい。
再び図1を参照して、チョッパ変調回路1の出力信号V3,V4は、それぞれ増幅回路2の非反転入力端子(+端子)および反転入力端子(-端子)に与えられる。増幅回路2は、信号V3,V4を増幅および反転させて信号V5,V6を出力する。
図5は、増幅回路2の構成を示す回路ブロック図である。図5において、この増幅回路2は、非反転入力端子2a、反転入力端子2b、反転出力端子2c、非反転出力端子2d、PチャネルMOSトランジスタP1~P3、NチャネルMOSトランジスタQ1,Q2、コンデンサ10、および出力回路11を含む。
PチャネルMOSトランジスタP1のソースは電源電圧VDDを受け、そのドレインはノードN1に接続され、そのゲートは参照電圧VR1を受ける。PチャネルMOSトランジスタP1は、参照電圧VR1に応じた値の一定の駆動電流を流す。
PチャネルMOSトランジスタP2,P3のソースはともにノードN1に接続され、そのゲートはそれぞれ非反転入力端子2aおよび反転入力端子2bに接続され、それらのドレインはそれぞれノードN2,N3に接続される。
NチャネルMOSトランジスタQ1,Q2のドレインはそれぞれノードN2,N3に接続され、それらのゲートはともにノードN2に接続され、それらのソースはともに接地電圧VSSを受ける。NチャネルMOSトランジスタQ1,Q2は、カレントミラー回路を構成する。トランジスタP1~P3,Q1,Q2は、差動増幅回路を構成する。
PチャネルMOSトランジスタP2には、信号V3の電圧[(VBP+ΔV)または(VBP-ΔV)]に応じた大きさの電流I1が流れる。PチャネルMOSトランジスタP3には、信号V4の電圧[(VBP-ΔV)または(VBP+ΔV)]に応じた大きさの電流I2が流れる。PチャネルMOSトランジスタP2とNチャネルMOSトランジスタQ1は直列接続され、NチャネルMOSトランジスタQ1,Q2のゲートは互いに接続されているので、トランジスタP2,Q1,Q2には同じ大きさの電流I1が流れる。
信号V3の電圧が信号V4の電圧よりも高い場合には、I1<I2となり、ノードN3の電圧が上昇する。信号V3の電圧と信号V4の電圧との差が大きいほど電流I2と電流I1の差が大きくなり、ノードN3の電圧が高くなる。
逆に、信号V3の電圧が信号V4の電圧よりも低い場合には、I1>I2となり、ノードN3の電圧が下降する。信号V4の電圧と信号V3の電圧との差が大きいほど電流I1と電流I2の差が大きくなり、ノードN3の電圧が低くなる。
ノードN3の電圧は、コンデンサ10を介して出力回路11の入力端子11aに与えられるとともに、出力回路11の入力端子11bに直接与えられる。コンデンサ10は、増幅回路2において発振現象が発生することを防止するために設けられている。
出力回路11は、ノードN3の電圧に基づいて差動信号V5,V6を生成し、それらの信号V5,V6をそれぞれ反転出力端子2cおよび非反転出力端子2dに出力する。信号V5,V6は、それぞれ信号V3,V4を増幅および反転させた信号となる。
図1に戻って、チョッパ復調回路3は、クロック発生回路5から供給されるクロック信号CK,/CKに従って差動入力信号V5,V6を復調して信号V7,V8を生成する。信号V5は、クロック周波数fcで交互に(VBP-ΔVA)および(VBP+ΔVA)に切り替わる電圧を有する。信号V6は、クロック周波数fcで交互に(VBP+ΔVA)および(VBP-ΔVA)に切り替わる電圧を有する。信号V7は、一定のバイアス電圧VBPと電圧ΔVAとの和の電圧(VBP+ΔVA)を有する。信号V8は、バイアス電圧VBPと電圧ΔVAとの差の電圧(VBP-ΔVA)を有する。信号V1,V2のΔVは、増幅回路2によって増幅され、信号V7,V8においてΔVAになっている。ΔVA>ΔVである。
図6は、チョッパ復調回路3の構成を示す回路図である。図6において、チョッパ復調回路3は、入力端子3a,3b、出力端子3c,3d、クロック端子3e,3f、およびトランスファーゲートTG5~TG8(第2の切換回路)を含む。入力端子3a,3bは、それぞれ差動信号V5,V6を受ける。出力端子1c,1dには、それぞれ信号V7,V8が出力される。クロック端子3e,3fは、それぞれクロック信号/CK,CKを受ける。
トランスファーゲートTG5,TG6の一方端子は、それぞれ入力端子3a,3bに接続され、それらの他方端子は、それぞれ出力端子3d,3cに接続される。トランスファーゲートTG5,TG6のP側ゲート端子は、ともにクロック端子3eに接続され、それらのN側ゲート端子は、ともにクロック端子3fに接続される。
トランスファーゲートTG7,TG8の一方端子は、それぞれ入力端子3a,3bに接続され、それらの他方端子は、それぞれ出力端子3c,3dに接続される。トランスファーゲートTG7,TG8のP側ゲート端子は、ともにクロック端子3fに接続され、それらのN側ゲート端子は、ともにクロック端子3eに接続される。
クロック信号CK,/CKがそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルである場合には、トランスファーゲートTG5,TG6がオンするとともにトランスファーゲートTG7,TG8がオフし、信号V5,V6がそれぞれトランスファーゲートTG5,TG6を介して出力端子3d,3cに与えられる。
クロック信号CK,/CKがそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルである場合には、トランスファーゲートTG5,TG6がオフするとともにトランスファーゲートTG7,TG8がオンし、信号V5,V6がそれぞれトランスファーゲートTG7,TG8を介して出力端子3c,3dに与えられる。出力端子3c,3dには、差動出力信号V7,V8が現れる。
トランスファーゲートTG5~TG8の各々は、トランスファーゲートTG1(図4)と同じ構成である。なお、トランスファーゲートTG5~TG8の各々を、PチャネルMOSトランジスタのみで置換してもよいし、NチャネルMOSトランジスタのみで置換してもよい。
図1に戻って、LPF4は、チョッパ復調回路3の出力信号V7,V8のうちのクロック周波数fcよりも低い周波数成分を通過させるとともに、信号V7(=VBP+ΔVA)と信号V8(=VBP-ΔVA)との差の電圧VO=2×ΔVAを出力する。
また、クロック発生回路5は、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmに応じた値の周波数fcを有するクロック信号CK,/CKを生成する。ここで、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmに応じてクロック周波数fcを変化させる理由について説明する。
非特許文献1によれば、チョッパ増幅器で発生するノイズは次式(1)で表わされる。
SNin=π2γkTRNin(1+0.8525fk/fc)/2 …(1)
ここで、SNinは入力換算ノイズであり、γはノイズファクタであり、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、RNinは入力雑音等価抵抗値であり、fkはコーナー周波数であり、fcはクロック周波数である。コーナー周波数fkは、1/fノイズの周波数特性とホワイトノイズの周波数特性の交点周波数である。
数式(1)によれば、クロック周波数fcを増大させると、入力換算ノイズSNinが低下することが分かる。また、クロック周波数fcがfkよりも小さい場合には、チョッパ増幅器によるノイズ低減効果が得られないことも示されている。
また、非特許文献1によれば、チョッパ増幅器のオフセット電圧VOSは次式(2)で表わされる。
VOS≒4πfcΔqRON(2πfcRONCin+Qεtun) …(2)
ここで、Δqはチョッパ変調回路1およびチョッパ復調回路3のスイッチ動作(トランスファーゲートTGのオンおよびオフ動作)により流入出する電荷量であり、RONはチョッパ変調回路1およびチョッパ復調回路3に含まれるスイッチ(トランスファーゲートTG)の抵抗値であり、Cinは差動入力回路の入力端子の容量値であり、Qは品質係数であり、εtunは共振周波数とクロック周波数fcの調整誤差を示している。
数式(2)によれば、クロック周波数fcを増大させると、チョッパ増幅器のオフセット電圧VOSも増大することが分かる。したがって、クロック周波数fcを増大させると、ノイズが低減する反面、オフセット電圧VOSが増大するので、クロック周波数fcを無制限に増大させることはできないことが分かる。また、これらのことから、クロック周波数fcをコーナー周波数fkに近い値にすることにより、オフセット電圧VOSの増大を抑制しながら、発生するノイズ量を抑制できることが分かる。
図7は、増幅回路2の周波数特性を示す図である。図7において、曲線FC1は、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmが定格値gmcである場合の周波数特性を示す。曲線FC2は、トランスコンダクタンスgmが定格値gmcよりも大きい場合の周波数特性を示す。曲線FC3は、トランスコンダクタンスgmが定格値gmcよりも小さい場合の周波数特性を示す。
図7に示すように、低周波域では、増幅回路2は、その回路構成等で決定される有限のゲインGを有している。一方、高周波域では、増幅回路2を構成する素子の寄生容量等の影響により、周波数の増大に応じて増幅回路2のゲインGが徐々に低下する。
ゲインが0dBになる周波数は、ユニティゲイン周波数fuと称される。CMOSトランジスタを用いた増幅回路2のユニティゲイン周波数fuは、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmと位相補償用コンデンサ10の容量値Ccとによって決定され、fu=gm/2π/Ccとなる。
ここで、MOSトランジスタのドレイン-ソース電流Idsの変化量を∂Idsとし、ゲート-ソース間電圧Vgsの変化量を∂Vgsとすると、MOSトランジスタのトランスコンダクタンスgm1は、gm1=∂Ids/∂Vgsとなる。このトランスコンダクタンスgm1は、MOSトランジスタの製造ばらつきや温度等の外的要因によって変動する。また、MOSトランジスタのトランスコンダクタンスgm1が変動すると、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmも変動し、増幅回路2のゲインGおよびユニティゲイン周波数fuも変動する。
図7から分かるように、gm>gmc(定格値)である場合のゲインG2およびユニティゲイン周波数fu2は、gm=gmcである場合のゲインG1およびユニティゲイン周波数fu1よりも大きくなる。また、gm<gmcである場合のゲインG3およびユニティゲイン周波数fu3は、gm=gmcである場合のゲインG1およびユニティゲイン周波数fu1よりも小さくなる。
纏めると、数式(1)から分かるように、クロック周波数fcを上昇させることにより、ノイズスペクトル密度を低下させることができる。また、図7から分かるように、クロック周波数fcを上昇させると増幅回路2のゲインGが低下し、クロック周波数fcがユニティゲイン周波数fuに到達するとゲインGが0dBになる。したがって、ノイズスペクトル密度を低減しつつ高いゲインGを得るためには、クロック周波数fcをユニティゲイン周波数fuよりも低い範囲内で最適値に設定する必要がある。
しかしながら、図7から分かるように、増幅回路2の入力段を構成するトランジスタP1~P3,Q1,Q2の製造ばらつきや温度等の外的要因により、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmが変動し、ゲインGおよびユニティゲイン周波数fuも変動する。そこで、本実施の形態1では、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmの変動に応じて、クロック周波数fcを変動させる。
図8は、クロック発生回路5の構成を示す回路ブロック図である。図8において、クロック発生回路5は、V-I変換回路20、電流補正回路21、電流源22,23、スイッチ24,25、コンデンサ26、電圧源27,28、比較器29,30、RSフリップフロップ(RS-FF)31、およびインバータ32を含む。
V-I変換回路20は、一定の参照電圧VR2を受けて一定の直流電圧VP1,VN1を生成する。電流補正回路21は、増幅回路2の入力段を構成するトランジスタP1~P3,Q1,Q2と同じ工程で製造される複数のトランジスタを含み、一定のバイアス電圧VBP,VBNを受け、増幅回路2の入力段に含まれるトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じた値の直流電圧VP2,VN2を生成する。
電流源22およびスイッチ24は、電源電圧VDDのラインとノードN10との間に接続される。スイッチ25および電流源23は、ノードN10と接地電圧VDDのラインとの間に接続される。コンデンサ26は、ノードN10と接地電圧VDDのラインとの間に接続される。
電流源22は、直流電圧VP1に応じた値の直流電流Id1と、直流電圧VP2に応じた値の直流電流Id2との和の電流ID=Id1+Id2を流す。電流源23は、直流電圧VN1に応じた値の直流電流Id1と、直流電圧VN2に応じた値の直流電流Id2との和の電流ID=Id1+Id2を流す。直流電流Id1は、参照電圧VR2に応じた値の定電流である。直流電流Id2は、増幅回路2の入力段に含まれるトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じた値の電流である。
スイッチ24は、RS-FF31の出力信号Dが「H」レベルである場合にオンし、信号Dが「L」レベルである場合にオフする。スイッチ25は、RS-FF31の反転出力信号DBが「H」レベルである場合にオンし、信号DBが「L」レベルである場合にオフする。スイッチ24がオンすると、電流源22から供給される電流IDによってコンデンサ26が充電される。スイッチ25がオンすると、電流源23に流れる電流IDによってコンデンサ26が放電される。
ノードN10の電圧V10は、比較器29の非反転入力端子(+端子)および比較器30の反転入力端子(-端子)に与えられる。電圧源27,28は、それぞれ参照電圧VR3,VR4を生成する。参照電圧VR3,VR4は、それぞれ比較器29の反転入力端子(-端子)および比較器30の非反転入力端子(+端子)に与えられる。VR3>VR4である。
比較器29は、ノードN10の電圧V10と参照電圧VR3との高低を比較し、比較結果を示す信号φ29を出力する。V10<VR3である場合には、信号φ29は「L」レベルとなる。V10>VR3である場合には、信号φ29は「H」レベルとなる。信号φ29は、RS-FF31のリセット端子31aに与えられる。
比較器30は、ノードN10の電圧V10と参照電圧VR4との高低を比較し、比較結果を示す信号φ30を出力する。V10>VR4である場合には、信号φ30は「L」レベルとなる。V10<VR4である場合には、信号φ30は「H」レベルとなる。信号φ30は、RS-FF31のセット端子31bに与えられる。
RS-FF31は、比較器29,30の出力信号φ29,φ30に応答して、信号D,DBをそれぞれ出力端子31cおよび反転出力端子31dに出力する。V10>VR3である場合には、信号φ29,φ30がそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルとなり、RS-FF31がリセットされて信号D,DBはそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルになる。
V10<VR4である場合には、信号φ29,φ30がそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルとなり、RS-FF31がセットされて信号D,DBはそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルになる。信号DBは、クロック信号CKとして出力される。インバータ32は、信号DBを反転させてクロック信号/CKを出力する。
ここで、コンデンサ26の容量値をC1とすると、クロック信号CK,/CKの周波数fcは、fc=ID/[(VR3-VR4)×2π×C1]となる。ID=Id1+Id2であり、Id1は定電流であり、Id2は増幅回路2の入力段に含まれるトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じた値の電流である。したがって、クロック周波数fcは、増幅回路2の入力段に含まれるトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じた値の周波数となる。
図9は、V-I変換回路20および電流源22,23の構成を示す回路図である。図9において、V-I変換回路20は、演算増幅回路35、抵抗素子36、PチャネルMOSトランジスタP4,P5、およびNチャネルMOSトランジスタQ3,Q4を含む。
PチャネルMOSトランジスタP4、NチャネルMOSトランジスタQ3、および抵抗素子36は、電源電圧VDDのラインと接地電圧VSSのラインとの間に直列接続される。演算増幅回路35の非反転入力端子(+端子)は一定の参照電圧VR2を受け、その出力端子はNチャネルMOSトランジスタQ3のゲートに接続され、その反転入力端子(-端子)はNチャネルMOSトランジスタQ3のソース(ノードN11)に接続される。
PチャネルMOSトランジスタP5およびNチャネルMOSトランジスタQ4は、電源電圧VDDのラインと接地電圧VSSのラインとの間に直列接続される。PチャネルMOSトランジスタP4,P5のゲートは互いに接続される。トランジスタP4,P5は、カレントミラー回路を構成している。NチャネルMOSトランジスタQ4のゲートおよびドレインは互いに接続される。
演算増幅回路35は、ノードN11の電圧V11が参照電圧VR2になるようにNチャネルMOSトランジスタQ3のゲート電圧を制御する。抵抗素子36の抵抗値をRとすると、抵抗素子36に流れる電流Id1は、Id1=R/V11となる。トランジスタP4,Q3および抵抗素子36は直列接続され、トランジスタP4,P5はカレントミラー回路を構成し、トランジスタP5,Q4は直列接続されている。
したがって、トランジスタP4,P5のサイズおよび特性が同一である場合には、トランジスタQ3,P4,P5,Q4には同じ値の電流Id1が流れる。PチャネルMOSトランジスタP4,P5のゲートに現れる電圧は、V-I変換回路20の出力電圧VP1となる。NチャネルMOSトランジスタQ4のゲートに現れる電圧は、V-I変換回路20の出力電圧VN1となる。
電流源22は、PチャネルMOSトランジスタP6,P7を含む。PチャネルMOSトランジスタP6,P7のソースはともに電流源22の入力ノード22aに接続され、それらのドレインはともに電流源22の出力ノード22bに接続される。入力ノード22aは電源電圧VDDのラインに接続され、出力ノード22bはスイッチ24(図8)を介してノードN10に接続される。
PチャネルMOSトランジスタP6のゲートは、PチャネルMOSトランジスタP4,P5のゲートに接続され、直流電圧VP1を受ける。PチャネルMOSトランジスタP4~P6のサイズおよび特性が同じである場合には、PチャネルMOSトランジスタP4~P6の各々には一定の直流電流Id1が流れる。
電流源23は、NチャネルMOSトランジスタQ5,Q6を含む。NチャネルMOSトランジスタQ5,Q6のドレインはともに電流源23の入力ノード23aに接続され、それらのソースはともに電流源23の出力ノード23bに接続される。入力ノード23aはスイッチ25(図8)を介してノードN10に接続され、出力ノード23bは接地電圧VSSのラインに接続される。
NチャネルMOSトランジスタQ5のゲートは、NチャネルMOSトランジスタQ4のゲートに接続され、直流電圧VN1を受ける。NチャネルMOSトランジスタQ4,Q5のサイズおよび特性が同じである場合には、NチャネルMOSトランジスタQ4,Q5の各々には一定の直流電流Id1が流れる。
図10は、電流補正回路21の構成を示す回路ブロック図である。図10において、電流補正回路21は、PチャネルMOSトランジスタP10~P13、NチャネルMOSトランジスタQ11,Q12、抵抗素子41,42、およびカレントミラー回路43を含む。
PチャネルMOSトランジスタP10,P12、NチャネルMOSトランジスタQ11、および抵抗素子41は、電源電圧VDDのラインと接地電圧VSSのラインとの間に直列接続される。PチャネルMOSトランジスタP11,P13、NチャネルMOSトランジスタQ12、および抵抗素子42は、電源電圧VDDのラインと接地電圧VSSのラインとの間に直列接続される。
PチャネルMOSトランジスタP10,P11のゲートは、互いに接続される。PチャネルMOSトランジスタP10,P11は、カレントミラー回路を構成する。PチャネルMOSトランジスタP12,P13のゲートは、一定のバイアス電圧VBPを受ける。NチャネルMOSトランジスタQ11,Q12のゲートは、一定のバイアス電圧VBNを受ける。抵抗素子41,42は、同一の抵抗値を有する。
トランジスタP10,P12,Q11および抵抗素子41は直列接続され、トランジスタP10,P11はカレントミラー回路を構成し、トランジスタP11,P13,Q12および抵抗素子42は直列接続されている。したがって、仮に、トランジスタP10,P12,Q11のサイズおよび特性がそれぞれトランジスタP11,P13,Q12のサイズおよび特性と同じである場合には、抵抗素子41に流れる電流I11と抵抗素子42に流れる電流I12とは同じ値になり、トランジスタP13,Q12のドレイン(ノードN10)からカレントミラー回路43の入力ノード43aに流れる電流IO=I11-I12は0Aとなる。
しかしながら、この電流補正回路21では、電流IOが設定値IOrになるように、たとえば、NチャネルMOSトランジスタQ11のトランスコンダクタンスgm1は、NチャネルMOSトランジスタQ12のトランスコンダクタンスgm1よりも大きな値に設計されている。
ただし、製造ばらつきや温度変化等により、トランジスタP10~P13,Q11,Q12のトランスコンダクタンスgm1が設計値よりも大きくなった場合には、電流IOは設定値IOrよりも大きくなり、逆に、トランスコンダクタンスgm1が設計値よりも小さくなった場合には、電流IOは設定値IOrよりも小さくなる。
電流補正回路21のトランジスタP10~P13,Q11,Q12は、増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2と同じ工程で同時に製造される。したがって、製造ばらつきや温度変化等の影響により、増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のgm1が設計値よりも大きくなった場合には、電流補正回路21のトランジスタP10~P13,Q11,Q12のgm1も設計値より大きくなり、電流IOは設定値IOrよりも大きくなる。
逆に、製造ばらつきや温度変化等の影響により、増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のgm1が設計値よりも小さくなった場合には、電流補正回路21のトランジスタP10~P13,Q11,Q12のgm1も設計値より小さくなり、電流IOは設定値IOrよりも小さくなる。すなわち、電流IOは、増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のgm1に応じた値となり、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmに応じた値となる。電流IOは、カレントミラー回路43の入力ノード43aに与えられる。
図11は、カレントミラー回路43の構成を示す回路図である。図11において、カレントミラー回路43は、NチャネルMOSトランジスタQ13,Q14およびPチャネルMOSトランジスタP14を含む。NチャネルMOSトランジスタQ13のドレインおよびゲートはともに入力ノード43aに接続され、そのドレインは接地電圧VSSのラインに接続される。
PチャネルMOSトランジスタP14およびNチャネルMOSトランジスタQ14は、電源電圧VDDのラインと接地電圧VSSのラインとの間に直列接続される。PチャネルMOSトランジスタP14のゲートおよびドレインは互いに接続される。NチャネルMOSトランジスタQ14のゲートは、NチャネルMOSトランジスタQ13のゲートに接続される。
NチャネルMOSトランジスタQ13,Q14のゲートは互いに接続され、PチャネルMOSトランジスタP14およびNチャネルMOSトランジスタQ14は直列接続されているので、トランジスタQ13,Q14,P14には同じ値の電流IOが流れる。トランジスタP14,Q13のゲート電圧は、それぞれカレントミラー回路43の出力電圧VN2,VP2となる。
電流IOが増大すると、電圧VP2が下降するとともに電圧VN2が上昇する。逆に、電流IOが減少すると、電圧VP2が上昇するとともに電圧VN2が下降する。電圧VP2,VN2は、それぞれトランジスタP7,Q6(図9)のゲートに与えられる。トランジスタP7,Q6に流れる電流Id2は、電流IOに比例した値になる。カレントミラー回路43としては、たとえばWawrynのカレントミラー回路が使用される。
次に、図8~図11で示したクロック発生回路5の動作について説明する。今、RS-FF31がセットされて信号D,DBがそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルにされ、スイッチ24がオンされるとともにスイッチ25がオフされているものとする。この場合、電源電圧VDDのラインから電流源22およびスイッチ24を介してコンデンサ26に電流IDが流れ、コンデンサ26が充電されてノードN10の電圧V10が上昇する。
ノードN10の電圧V10が参照電圧VR4よりも高くなると、比較器30の出力信号φ30が「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられ、さらに、ノードN10の電圧V10が参照電圧VR3よりも高くなると、比較器29の出力信号φ29が「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。これにより、RS-FF31がリセットされて信号D,DBがそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルとなり、スイッチ24がオフされるとともにスイッチ25がオンされる。
スイッチ25がオンされると、コンデンサ26からスイッチ25および電流源23を介して接地電圧VSSのラインに電流IDが流れ、コンデンサ26が放電されてノードN10の電圧V10が下降する。
ノードN10の電圧V10が参照電圧VR3よりも低くなると、比較器29の出力信号φ29が「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられ、さらに、ノードN10の電圧V10が参照電圧VR4よりも低くなると、比較器30の出力信号φ30が「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。これにより、RS-FF31がセットされて信号D,DBがそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルとなり、スイッチ24がオンされるとともにスイッチ25がオフされ、コンデンサ26が充電される。
このように、コンデンサ26の充電と放電が交互に繰り返され、RS-FF31の反転出力信号DBは矩形波のクロック信号CKとなり、インバータ32によって反転されてクロック信号/CKとなる。クロック周波数fcは、電流源22,23に流れる電流IDに応じて変化する。電流源22,23に流れる電流IDが増大すると、クロック周波数fcは高くなり、電流源22,23に流れる電流IDが減少すると、クロック周波数fcは低くなる。
上述したように、製造ばらつきや温度変化等によって増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1が設計値よりも大きくなった場合には、ユニティゲイン周波数fu(図7)が増大するが、電流源22,23に流れる電流IDも増大し、クロック周波数fcが高くなる。
逆に、製造ばらつきや温度変化等によって増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1が設計値よりも小さくなった場合には、ユニティゲイン周波数fuが減少するが、電流源22,23に流れる電流IDも減少し、クロック周波数fcが低くなる。したがって、クロック周波数fcをユニティゲイン周波数fuよりも低い範囲内の適切な値に維持することができ、ノイズスペクトル密度の悪化を小さく抑制することができる。
比較例.
図12は、実施の形態1の比較例の要部を示す回路ブロック図であって、図8と対比される図である。図12を参照して、比較例が実施の形態1と異なる点は、クロック発生回路5がクロック発生回路45で置換されている点である。クロック発生回路45がクロック発生回路5と異なる点は、参照電圧VR2の代わりに参照電圧VR5を受け、電流源22,23がそれぞれ電流源22A,23Aで置換され、電流補正回路21が除去されている点である。
V-I変換回路20は、一定の参照電圧VR5を受けて一定の直流電圧VP1,VN1を生成する。電流源22Aは、直流電圧VP1に応じた値の直流電流Idを流す。電流源23Aは、直流電圧VN1に応じた値の直流電流Idを流す。
図13は、V-I変換回路20および電流源22A,23Aの構成を示す回路図であって、図9と対比される図である。図13を参照して、抵抗素子36の抵抗値をRとすると、抵抗素子36に流れる電流Idは、Id=VR5/Rとなる。
電流源22Aは、電流源22からPチャネルMOSトランジスタP7を除去したものである。電流源22AのPチャネルMOSトランジスタP6は、一定の電流Idを流す。電流源23Aは、電流源23からNチャネルMOSトランジスタQ6を除去したものである。電流源23AのNチャネルMOSトランジスタQ5は、一定の電流Idを流す。
増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1が設計値である場合に、電流源22A,23Aに流れる電流Idと電流源22,23に流れる電流ID(図9)とが等しくなるように、参照電圧VR5が設定されている。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
比較例では、クロック周波数fcは、fc=Id/[(VR3-VR4)×2π×C1]となり、増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1と関係なく、一定値となる。
図14は、実施の形態1の効果を説明するための図である。図14において、横軸は増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmを示し、縦軸は周波数を示している。トランスコンダクタンスgmが増大すると、増幅回路2のユニティゲイン周波数fuも増大する。
比較例では、トランスコンダクタンスgmの増減に関係なく、クロック周波数fcは一定である。したがって、比較例では、トランジスタの製造ばらつきや温度変化等によってトランスコンダクタンスgmが変動すると、ユニティゲイン周波数fuとクロック周波数fcの差が最適値からずれ、ノイズスペクトル密度が悪化する。
これに対して本実施の形態1では、トランスコンダクタンスgmが増大すると、クロック周波数fcも増大する。したがって、本実施の形態1では、トランジスタの製造ばらつきや温度変化等によってトランスコンダクタンスgmが変動した場合でも、ユニティゲイン周波数fuとクロック周波数fcの差の最適値からのズレ量を小さく抑制することができ、ノイズスペクトル密度の悪化を抑制することができる。
なお、本実施の形態1では、一定の参照電流Id1と、増幅回路2の入力段のトランスコンダクタンスgmに応じた値の補正電流Id2との和の電流IDを使用してコンデンサ26の充電および放電を行なったが、これに限るものではなく、参照電流Id1と補正電流Id2との差の電流を使用してコンデンサ26の充電および放電を行なっても構わない。
実施の形態2.
実施の形態1では、クロック周波数fcを高くすると、増幅回路2におけるノイズスペクトル密度を低減することができるが、チョッパ増幅器のオフセット電圧VOSが増大するので、クロック周波数fcをコーナー周波数fkと同程度にすることが好ましいと説明した。
しかしながら、チョッパ増幅器の使用目的によっては、ノイズスペクトル密度の低減がオフセット電圧VOSの低減よりも優先される場合もあれば、その逆の場合もある。この場合、ノイズスペクトル密度の低減を優先するチョッパ増幅器と、オフセット電圧の低減を優先するチョッパ増幅器とを予め別々に設けておき、使用目的に応じていずれかのチョッパ増幅器を選択することも考えられるが、回路面積の増大を招くという問題がある。この実施の形態2では、この問題の解決が図られる。
図15は、実施の形態2に従うチョッパ増幅器の要部を示すブロック図である。図15を参照して、実施の形態2のチョッパ増幅器が実施の形態1のチョッパ増幅器と異なる点は、クロック発生回路5がクロック発生部50で置換されている点である。
クロック発生部50は、クロック発生回路51,52および選択回路53を含む。クロック発生回路51は、たとえばクロック発生回路45(図12)と同じ構成であり、参照電圧VR11に応じた一定周波数fc1のクロック信号CK1,/CK1を出力する。クロック周波数fc1は、増幅回路2におけるノイズスペクトル密度を最低にすることが可能な周波数に設定されている。
クロック発生回路52は、たとえばクロック発生回路45(図12)と同じ構成であり、参照電圧VR12に応じた一定周波数fc2のクロック信号CK2,/CK2を出力する。クロック周波数fc2は、チョッパ増幅器のオフセット電圧VOSを最低値にすることが可能な周波数に設定されている。fc2<fc1である。ただし、クロック周波数fc1,fc2は、増幅回路2のユニティゲイン周波数fu(図7)よりも小さな値に設定される。
選択回路53は、選択信号SEに基づいて、クロック信号CK1,/CK1とクロック信号CK2,/CK2とのうちのいずれかのクロック信号を選択し、選択した方のクロック信号をクロック信号CK,/CKとしてチョッパ変調回路1およびチョッパ復調回路3の各々に与える。
チョッパ増幅器の使用者は、増幅回路2におけるノイズスペクトル密度を最低にすることを優先したい場合には選択信号SEを「H」レベルにし、チョッパ増幅器のオフセット電圧を最低値にすることを優先した場合には選択信号SEを「L」レベルにする。
選択信号SEが「H」レベルである場合には、クロック信号CK1,/CK1がクロック信号CK,/CKとしてチョッパ変調回路1およびチョッパ復調回路3の各々に与えられる。選択信号SEが「L」レベルである場合には、クロック信号CK2,/CK2がクロック信号CK,/CKとしてチョッパ変調回路1およびチョッパ復調回路3の各々に与えられる。
以上のように、本実施の形態2では、1つのチョッパ増幅器において、ノイズスペクトル密度を最低にするかオフセット電圧VOSを最低にするかを切り換えることができる。したがって、ノイズスペクトル密度を最低にすることが可能なチョッパ増幅器と、オフセット電圧VOSを最低にすることが可能なチョッパ増幅器とを別々に設ける場合に比べ、回路面積を小さくすることができる。
なお、この実施の形態2では、クロック発生回路51,52の各々が比較例のクロック発生回路45(図12)と同様の構成である場合について説明したが、これに限るものではなく、クロック発生回路51,52のうちの両方またはいずれか一方が実施の形態1のクロック発生回路5(図8)と同様の構成であっても構わない。
実施の形態3.
図16は、実施の形態3に従うチョッパ増幅器の要部を示すブロック図であって、図8と対比される図である。図16を参照して、実施の形態3のチョッパ増幅器が実施の形態1のチョッパ増幅器と異なる点は、クロック発生回路5がクロック発生回路55で置換されている点である。
クロック発生回路55がクロック発生回路5と異なる点は、V-I変換回路20およびインバータ32が除去され、電流源22,23がそれぞれPチャネルMOSトランジスタP7およびNチャネルMOSトランジスタQ6(図9)で置換され、インバータ56,57が追加されている点である。
PチャネルMOSトランジスタP7のソースは電源電圧VDDのラインに接続され、そのゲートは電流補正回路21の出力電圧VP2を受け、そのドレインはスイッチ24を介してノードN10に接続される。
NチャネルMOSトランジスタQ6のドレインはスイッチ25を介してノードN10に接続され、そのゲートは電流補正回路21の出力電圧VN2を受け、そのソースは接地電圧VSSのラインに接続される。
トランジスタP7,Q6の各々には、実施の形態1で説明した通り、増幅回路2の増幅回路2の入力段を構成するトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じた値の電流Id2が流れる。
比較器30によってRS-FF31がセットされ、スイッチ24がオンされるとともにスイッチ25がオフされている場合には、電源電圧VDDのラインからPチャネルMOSトランジスタP7およびスイッチ24を介してコンデンサ26に電流Id2が流入し、コンデンサ26が充電されてノードN10の電圧V10が上昇する。
電圧V10が参照電圧VR3よりも高くなると、比較器29によってRS-FF31がリセットされ、スイッチ24がオフされるとともにスイッチ25がオンされる。これにより、コンデンサ26からスイッチ25およびNチャネルMOSトランジスタQ6を介して接地電圧VSSのラインに電流Id2が流出し、コンデンサ26が放電されてノードN10の電圧V10が下降する。
インバータ56は、一定のしきい値電圧Vthを有する。しきい値電圧Vthは、参照電圧VR3,VR4の中間電圧(VR3+VR4)/2に設定されている。ノードN10の電圧V10がしきい値電圧Vthよりも低い場合には、インバータ56の出力信号は「H」レベルになる。ノードN10の電圧V10がしきい値電圧Vthよりも高い場合には、インバータ56の出力信号は「L」レベルになる。インバータ56の出力信号がクロック信号CKとなる。インバータ57は、インバータ56から出力されるクロック信号CKを反転させてクロック信号/CKを出力する。
コンデンサ26の容量値をC1とすると、クロック信号CK,/CKの周波数fcは、fc=Id2/[(VR3-VR4)×2π×C1]となる。増幅回路2の入力段を構成するトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じて、電流Id2が変化し、クロック周波数fcも変化する。
また、図17は、このチョッパ増幅器に含まれる増幅回路2Aの構成を示す回路ブロック図であって、図5と対比される図である。図17を参照して、この増幅回路2Aが図5の増幅回路2と異なる点は、参照電圧VR1の代わりに電流補正回路21の出力電圧VP2がPチャネルMOSトランジスタP1のゲートに与えられる点である。
PチャネルMOSトランジスタP1には、増幅回路2の入力段のトランジスタP1~P3,Q1,Q2のトランスコンダクタンスgm1に応じた値の駆動電流Id2が流れる。増幅回路2のユニティゲイン周波数fuは、駆動電流Id2に応じて変化し、トランスコンダクタンスgm1に応じて変化する。
したがって、本実施の形態3では、クロック周波数fcと増幅回路2のユニティゲイン周波数fuとの両方がトランスコンダクタンスgm1に応じて変化するので、トランジスタの製造ばらつきや温度変化等によるノイズスペクトル密度の悪化を抑制することができる。
また、本実施の形態3では、上記の数式fc=Id2/[(VR3-VR4)×2π×C1]およびfu=gm/2π/Ccから分かるように、クロック周波数fcはクロック発生回路55内のコンデンサ26の容量値C1に反比例し、かつユニティゲイン周波数fuは増幅回路2内の位相補償用コンデンサ10の容量値Ccに反比例する。したがって、コンデンサの製造ばらつきや温度変化等によるノイズスペクトル密度の悪化を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。