JP2008067157A - 差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成された、周波数変換回路、並びに無線通信装置を提供する。
【解決手段】Rail−to−rail形式の差動増幅回路を周波数変換回路のスイッチング動作段に用い、出力に差動信号のコモンモード電圧を検出するコモンモード電圧検出手段と、入力にコモンモード電圧を印加するコモンモード電圧印加手段を備える。コモンモード電圧検出手段により検出されたコモンモード電圧を所定の基準電圧に収束させるための負帰還ループ手段が前記コモンモード電圧検出手段と前記コモンモード電圧印加手段の間に配設され、コモンモードのフィードバックを行なうことで、コモンモード電圧の不安定性を改善する。
【選択図】図7

Description

本発明は、無線通信機のRFフロントエンド部に用いられる周波数変換回路のスイッチング動作段として適用される差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置に係り、特に、低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成された差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置に適用される差動増幅回路に関する。
さらに詳しくは、インバータ回路のペアで構成されるRail−to−Rail形式の差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置に係り、特に、MOSトランジスタのばらつきに伴うインバータ回路の閾値電圧のばらつきに拘わらず高周波ローカル信号に対し正しい増幅動作を行なう差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置に関する。
携帯電話機や無線LANなど、移動体通信技術が広範に普及している。移動体通信端末のRFフロントエンドは、通常、アナログ・ベースバンド信号を周波数変換器(直交変調器)によりRF帯域にアップコンバートし、バンドパス・フィルタにより帯域制限を掛けた後、さらに利得可変増幅回路により送信電力を増幅するというのが一般的な構成である。また、最近の無線通信機では、ベースバンド信号をアップコンバート、あるいは受信RF信号をダウンコンバートする周波数変換器のローカル周波数fLOに搬送波周波数を用いて直接周波数変換を行なうというダイレクト・コンバージョン方式が採用されている(例えば、W−CDMA方式の携帯無線端末において、ダイレクト・コンバージョン方式が広く用いられている)。ダイレクト・コンバージョン方式によれば、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタを用いないため、小型化に適するとともに、原理的にスプリアス周波数を発生させないことから、送受信機の設計性に優れる。
ダイレクト・コンバージョン方式に適用可能な周波数変換回路の一例として、ギルバートセル(Gilbert cell)・ミキサが知られている。図10には、ギルバート回路を用いて周波数変換回路の一構成例を示している。図示のギルバート回路は、1対のトランジスタTr1及びTr2からなる増幅段と、2対のトランジスタTr3及びTr4とTr5及びTr6からなるスイッチ段(以下、「カスコード段」とも呼ぶ)を襷(たすき)掛けに直列に接続した回路である(例えば、非特許文献1を参照のこと)。
高周波信号Vinの差動入力がトランジスタTr1及びTr2のベースにそれぞれ与えられ、ローカル信号VLOの差動入力がトランジスタTr3とTr6のベース及びトランジスタTr4とTr5のベースにそれぞれ与えられる。トランジスタTr3とTr5のコレクタ及びトランジスタTr4とTr6のコレクタはそれぞれ出力負荷Rc1及びRc2を介してハイレベルの電源にそれぞれ接続されるとともに、周波数変換された信号のバランス出力端となる。トランジスタTr1とTr2のエミッタはそれぞれバイアス電流Ibiasを供給する定電流源を介して接地され、また、トランジスタTr1とTr2のエミッタ間には線形性の向上のために、負荷RE1が接続されている。負荷Rc1、Rc2、RE1は実抵抗である他、LやCなどの交流負荷を用いたインピーダンスであってもよい。
トランジスタTr1、Tr2に流れる電流Ibiasがローカル入力信号VLOによりスイッチングされた電流がI3、I4、I5、I6であり、VLOがマイナスのときはI3=I1、I4=0、I5=0、I6=I2となり、また、VLOがプラスのときにはI3=0、I4=I2、I5=I1、I6=0となる。ここで、RF入力信号VRFの周波数がωRFであり、ローカル入力信号VLOの周波数がωLOであるとすると、ギルバート回路の出力には、VRFとVLOの周波数和成分(ωLO+ωRF)となる上片側帯(USB:Upper Side Band)と、VRFとVLOの周波数差成分(ωLO−ωRF)となる下片側帯(LSB:Lower Side Band)の2つの周波数成分が得られることが知られている。以上から、同図の回路は周波数変換回路として動作する。送信系では、ギルバート回路の後段でバンドパス・フィルタを用いてUSB(Upper Side Band)成分のみを取り出して、アップコンバート・ミキサとして使用することができる。また、受信系では逆にLSB(Lower Side Band)成分を取り出してダウンコンバート・ミキサとして使用することができる。ギルバートセル・ミキサによれば、800MHz〜5GHzといった広い帯域で周波数変換を行なうことができ、例えば800MHz帯を使用する通信方式と2GHz帯を使用する通信方式を切り替えること、すなわちソフトウェア無線(Software−defined radio)への応用が可能である。
近年では、通信装置の低コスト化や低電圧化、さらにはデジタル信号処理部との親和性の観点から、RF部もCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)化する試みが盛んに行なわれている。例えば、図10に示したギルバートセル・ミキサは、差動対をなすトランジスタTr1とTr2、Tr3とTr4、Tr5とTr6はいずれもバイポーラ型トランジスタからなるが、MOS型トランジスタで構成することも可能である。pチャネルMOSトランジスタ及びnチャネルMOSトランジスタを組み合わせたCMOSトランジスタを用いて構成されるミキサ回路について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。また、CMOS集積回路上に構成され、低電圧で動作し且つ低電圧動作時の出力振幅の電源電圧依存性を抑えた高周波ミキサ回路について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
MOSトランジスタはバイポーラ・トランジスタに比べ電圧ゲインが小さい。CMOSプロセスでギルバートセル・ミキサを構成した場合、ローカル信号の振幅に対するゲインの依存性を小さくするためには、バイポーラ・トランジスタで構成した場合に比べ、大きな振幅を持つローカル信号が必要となる。さらに、電源電圧を低電圧化した場合には、バイアス設計も難しくなる。
そこで、低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成するギルバートセル・ミキサの構成法の一例として、Switched Transconductor Mixerが知られている。図11には、Switched Transconductor Mixerの基本的な構成例を示している(例えば、非特許文献2を参照のこと))。同図において、nチャネルMOSトランジスタM5、M6、M7、M8は襷掛けに接続されたギルバートセルを構成している。また、M1とM3、及び、M2とM4はそれぞれインバータ回路の構成を有し、Rail−to−Rail形式、すなわち出力電圧範囲が電源電圧(Vdd.sw)にほぼ等しい差動増幅器として動作する。
このRail−to−Rail形式の差動増幅器に十分な振幅を持つローカル信号LO+、LO−を印加することで、この差動増幅器はローカル信号の半周期毎にオンとオフに交互に切り換わるスイッチと等価な役割を果たし、スイッチング動作が行なわれる。ローカル信号の半周期毎にnチャネルMOSトランジスタM5及びM6からなるソース接地ペア、あるいは、M7及びM8からなるソース接地ペアのどちらかがオン状態となる。
したがって、M5とM6のソース接地ペア、及びM7とM8のソース接地ペアそれぞれのゲート間に交流信号RF+、RF−を印加することで、ソース接地ペアのドレイン出力Vout1、Vout2にはこの交流信号の周波数成分fRFがローカル信号の周波数fLOを以って周波数変換された成分が出力される。以上から、同図の回路は周波数変換回路として動作する。
図11に示したSwitched Transconductor Mixerは、低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成可能な周波数変換回路の一構成法であるが、ローカル信号でスイッチングさせるRail−to−Rail形式の差動増幅器の部分の高速化が課題となる。
Rail−to−Rail形式の差動増幅器を構成するインバータ回路の閾値電圧が電源電圧Vddの1/2の電圧であり、且つ、入力されるローカル信号のコモンモード電圧がこの閾値電圧に等しいことが理想的である。ところが、インバータ回路は非常に高い利得を持つとともに、インバータ回路を構成するMOSトランジスタは一般的にばらつきが大きいことが知られている。このため、MOSトランジスタのばらつきに伴い、閾値電圧がばらつき、インバータ回路の出力波形は電源側、あるいはグラウンド側に張り付いたような波形になる。つまり、正しい増幅動作が行なわれないという問題が生じる。特に、閾値電圧を超えるための許容時間がより短くなる高周波動作になる程、この問題は顕著となる。
また、この差動増幅回路の差動間のばらつきにより、差動DCオフセット電圧の発生も懸念される。この差動DCオフセット電圧が入力に発生することで、非常に高い利得を持つ差動増幅回路で増幅され、出力波形を電源側あるいはグラウンド側に張り付かせる原因と成り得る。
特開2005−6127号公報 特開2002−124834号公報 渡辺一雄著「実用アナログ電子回路設計法」第6章高周波回路設計法と設計留意点(平河工業社、1996年6月22日第1版) E.A.M.Klumperink外著"A 1V Switched Transconductor Mixer in 0.18μm CMOS"(2003 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers)
本発明の目的は、無線通信機のRFフロントエンド部に用いられる周波数変換回路のスイッチング動作段として適用することができる、優れた差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成された、Rail−to−Rail形式の優れた差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、MOSトランジスタのばらつきに伴うインバータ回路の閾値電圧のばらつきに拘わらず高周波ローカル信号に対し正しい増幅動作を行なうことができる、優れた差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、差動信号を増幅する差動増幅回路であって、
出力に差動信号のコモンモード電圧を検出するコモンモード電圧検出手段と、
入力にコモンモード電圧を印加するコモンモード電圧印加手段と、
前記コモンモード電圧検出手段と前記コモンモード電圧印加手段の間に配設された、前記コモンモード電圧検出手段により検出されたコモンモード電圧を所定の基準電圧に収束させるための負帰還ループ手段と、
を具備することを特徴とする差動増幅回路である。
例えば、無線通信装置に適用されるダイレクト・コンバージョン方式の周波数変換器としてギルバートセル・ミキサが知られている。近年では、通信装置の低コスト化や低電圧化、さらにはデジタル信号処理部との親和性の観点から、RF部もCMOS化する試みが盛んであり、CMOS集積回路上に構成され、低電圧で動作し且つ低電圧動作時の出力振幅の電源電圧依存性を抑えた高周波ミキサ回路について提案がなされている。
CMOSプロセスでギルバートセル・ミキサを構成した場合、ローカル信号の振幅に対するゲインの依存性を小さくするためには、バイポーラ・トランジスタで構成した場合に比べ、大きな振幅を持つローカル信号が必要となる。また、低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成するギルバートセル・ミキサの構成法の一例として、Switched Transconductor Mixerが知られている。このSwitched Transconductor Mixerは、ローカル信号のスイッチング動作段として、1対のインバータ回路を組み合わせた差動増幅回路を用いている。
この種の差動増幅回路は、Rail−to−Rail形式であり、非常に高い利得を持つが、CMOSトランジスタで構成した場合には、素子のばらつきにより閾値電圧がばらつくため、高周波数で動作する際にはインバータ回路の出力波形が電源側又はグラウンド側に張り付き易く、正しい増幅動作が行なわれないという問題がある。
また、この差動増幅回路の差動間のばらつきにより、差動DCオフセット電圧の発生も懸念される。この差動DCオフセット電圧が入力に発生することで、非常に高い利得を持つ差動増幅回路で増幅され、出力波形を電源側あるいはグラウンド側に張り付かせる原因と成り得る。
これに対し、本発明に係る差動増幅回路は、出力に差動信号のコモンモード電圧を検出するコモンモード電圧検出手段と、入力にコモンモード電圧を印加するコモンモード電圧印加手段を備えるとともに、前記コモンモード電圧検出手段により検出されたコモンモード電圧を所定の基準電圧に収束させるための負帰還ループ手段が前記コモンモード電圧検出手段と前記コモンモード電圧印加手段の間に配設されており、負帰還ループによりコモンモードのフィードバックを行なうようになっている。すなわち、コモンモード電圧が所望のDC電圧に収束するようなフィードバック・ループを備えているので、MOSトランジスタのばらつきによらず、コモンモード電圧の不安定性を改善して、より高周波数での差動増幅動作を実現することができる。
本発明に係る差動増幅回路は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを接合した1対のインバータ回路の組み合わせからなるRail−to−Rail形式の差動増幅回路として構成される。
このような場合、前記コモンモード電圧検出手段は、前記の各インバータ回路の出力の中点電圧をコモンモード電圧として検出することができる。そして、前記コモンモード電圧印加手段は、前段回路と前記の各インバータ回路の入力とを直流的に分離するとともに、前記の各インバータ回路の入力にバイアス電圧を供給するよう構成され、前記負帰還ループ手段は、該検出したコモンモード電圧と前記基準電圧との差を増幅したコモンモード電圧を、前記コモンモード電圧印加手段を介して、前記の各インバータ回路の入力へ印加するようにすればよい。
差動DCオフセット電圧が入力に発生すると、非常に高い利得を持つ差動増幅回路で増幅され、出力波形を電源側あるいはグランド側に張り付かせる原因となる。ペアをなすインバータ回路の各出力の中点電圧から出力コモンモードを検出するという構成では、コモンモード電圧が所望のDC電圧に収束している状態では、差動DCオフセット電圧を除去することはできない。そこで、本発明に係る差動増幅回路は、差動DCオフセット電圧をキャンセルする差動DCオフセット電圧キャンセル手段をさらに備えるようにしてもよい。
差動DCオフセット電圧キャンセル手段は、前記の各インバータ回路の差動DCオフセット電圧の極性に応じた補償電圧を各インバータ回路間に印加することで、差動DCオフセット電圧をキャンセルすることができる。
例えば、差動DCオフセット電圧キャンセル手段として、一方のインバータ回路の差動増幅出力と所定の比較基準電圧とを比較する第1の比較手段と、他方のインバータ回路の差動増幅出力と所定の比較基準電圧とを比較する第2の比較手段と、前記第1及び第2の比較手段からの情報を一致判定する一致判定手段を備えている。ここで、前記インバータの差動増幅出力から前記の比較手段への入力に抵抗を介することで、比較手段の入力の容量と前記抵抗によるローパス・フィルタが構成され、高周波信号が重畳された各差動増幅出力からコモンモードであるDC電圧のみを取り出すことができる。よって、比較基準電圧との比較が可能となる。そして、前記の各インバータ回路の差動DCオフセット電圧に応じた極性で各インバータ回路間に印加する補償電圧を可変制御させながら、前記一致判定手段により一致判定した時点における状態を保持することで、差動DCオフセット電圧はキャンセルされる。さらに、前記の補償電圧を可変制御する作業を制御ビット数と等価なビット数を持つカウンタ回路を用いて行い、前記一致判定手段が一致判定した時点でカウンタ回路の動作を止めることにより、差動DCオフセット電圧を自動でキャンセルすることができる。
本発明に係る差動増幅回路は、例えば、Switched Transconductor MixerなどのCMOSトランジスタで構成される周波数変換回路のローカル信号用スイッチング回路として適用することができる。
また、本発明に係る差動増幅回路は、例えば、Switched Transconductor MixerなどのCMOSトランジスタで構成される周波数変換回路のローカル信号用バッファ回路として適用することができる。
また、本発明に係る差動増幅回路を利用して構成された周波数変換回路を、例えばW−CDMA携帯無線端末やその他の無線通信端末の直交変調回路や直交復調回路に用いて、ベースバンド信号のアップコンバージョン又は無線信号のダウンコンバージョンを行なうことができる。
本発明によれば、無線通信機のRFフロントエンド部に用いられる周波数変換回路のスイッチング動作段として適用することができる、優れた差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置を提供することができる。
また、本発明によれば、低電圧動作に適したCMOSプロセスで構成された、Rail−to−Rail形式の優れた差動増幅回路、周波数変換回路、並びに無線通信装置を提供することができる。
また、本発明によれば、CMOSプロセスで構成したRail−to−Rail形式の差動増幅回路において、MOSトランジスタのばらつきに因らず、より高速での動作が可能となる。
さらに、本発明に係る差動増幅回路によれば、差動DCオフセット電圧をキャンセルすることにより、プロセスばらつきや素子ばらつきに対しても、安定したRail−to−Rail形式の動作が可能である。また、差動DCオフセット電圧をキャンセルするための調整を自動化することが可能である。
また、本発明によれば、スイッチング動作段に安定したRail−to−Rail形式の動作が可能となる差動増幅回路を用いることで、低電圧動作が可能なCMOSプロセスで構成され、より高周波での動作が可能となる周波数変換回路を実現することができる。とりわけ、Rail−to−rail形式の差動増幅回路をより高周波数で動作させる際に問題となるコモンモード電圧の不安定性を、コモンモード・フィードバックを利用して改善することができる。かかる周波数変換回路は、より小さな振幅のローカル信号入力での動作が可能である。よって、低電圧で且つ高周波数で動作する無線通信装置において、ダイレクト・コンバージョン方式の周波数変換を実現することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
図1には、本発明の一実施形態に係る差動増幅回路の構成を示している。
図示の差動増幅回路101は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを接合した1対のインバータ回路を組み合わせることで、Rail−to−Rail形式の差動増幅回路として構成されている。この差動増幅回路101の入力側、すなわち接続されたPチャネルMOSトランジスタM1とNチャネルMOSトランジスタM3のゲート、及び、PチャネルMOSトランジスタM2とNチャネルMOSトランジスタM4のゲート間に、それぞれ差動電圧RF_IN、RF_INXが印加される。
接続されたM1とM3のドレイン、及びM2とM4のドレイン間には、分圧のための同じ抵抗値を持つ2個の抵抗R3及びR4が直列に接続されている。そして、これらの抵抗R3及びR4の中点電圧(すなわち差動増幅回路101の差動出力電圧RF_OUTとRF_OUTXの中点電圧)を、差動増幅回路101の出力信号のコモンモードとして検出することができる。これら分圧抵抗R3とR4は、コモンモード検出手段102の一構成例である。
差動増幅回路101の差動入力には、前段回路のバイアス電圧と直流的に分離するための容量C1及びC2が装荷されている。また、差動増幅回路101への入力としての差動電圧RF_IN、RF_INX間には、コモンモード電圧を印加するための抵抗R1とR2が配設されている。また、これら抵抗R1とR2、及び容量C1とC2は、コモンモード印加手段103の一構成例である。
オペアンプ104は、コモンモード検出手段102で検出した差動増幅回路101の出力信号のコモンモードと、所望のコモンモードを規定する基準電圧VCM105との差に応じた増幅信号を生成し、コモンモード印加手段103に与える。ここで、負帰還ループを構成することにより、差動増幅回路101の出力信号のコモンモードは、基準電圧VCMに等しくなるように安定化され、Rail−to−Rail形式の増幅回路の理想的な増幅作用を可能にする。
図12A及び図12Bには、コモンモードの負帰還ループを利用しない場合と利用した場合の差動増幅回路出力での差動信号の出力例をそれぞれ示している。
コモンモードの負帰還ループを利用しない場合、図12Aに示すように、MOSトランジスタのばらつきに伴いインバータ回路の出力コモンモードが電源側に張り付いてしまうと、この状態を解消することができない。
これに対し、コモンモードの負帰還ループを利用する場合には、図12Bに示すように、MOSトランジスタのばらつきに伴いインバータ回路の出力コモンモードが所望の基準電圧VCMから離れてしまったとしても、これらの電圧の差分がオペアンプ104で増幅された後インバータ回路への入力段へ負帰還されるので、出力コモンモードが基準電圧VCMに等しくなるように安定化される。この結果、差動増幅回路の出力ではRail−to−rail形式の理想的な増幅作用を得ていることが分かる。
図2には、本発明の他の実施形態に係る差動増幅回路の構成例を示している。
図示の差動増幅回路201は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを接合したインバータ回路を組み合わせることでRail−to−Rail形式としているが、図1では1組のインバータ回路を用いた1段構成であるのに対し、図2では3段構成としている点で相違する。差動増幅回路の段数に関しては、用途や要求特性により可変であることを理解されたい。
コモンモード検出手段102は、最終段の出力、すなわち接続されたM9とM11のドレイン及びM10とM12のドレイン間に2個の抵抗R3及びR4が直列に設けることで構成されている。
また、コモンモード印加手段103は、初段の入力、すなわち、接続されたM1とM3のゲート及びM2とM4のゲート間に設けられている。
オペアンプ104は、コモンモード検出手段102で検出した3段の差動増幅回路201の出力信号のコモンモードと所望の基準電圧VCM105との差に応じた増幅信号を生成して、コモンモード印加手段103に与える。ここで、負帰還ループを構成することにより、差動増幅回路201の出力信号のコモンモードは、VCMに等しくなるように安定化され、Rail−to−Rail形式の増幅回路の理想的な増幅作用を可能にする。このようにインバータ回路の段数を増やすことで、利得を増加させることができるということを理解されたい。
図3には、本発明のさらに他の実施形態に係る差動増幅回路の構成例を示している。
差動DCオフセット電圧が入力に発生すると、非常に高い利得を持つ差動増幅回路で増幅され、出力波形を電源側、あるいはグランド側に張り付かせる原因となる(前述)。図1及び図2に示したように、ペアをなすインバータ回路の各出力の中点電圧から出力コモンモードを検出するという構成では、各インバータ回路の差動DCオフセット電圧が発生していても、出力コモンモード電圧が閾値電圧VCMと等しく安定化している状態では、差動DCオフセット電圧を除去することはできない。そこで、図3に示す回路構成では、図1に示した差動増幅回路に、さらに差動DCオフセット電圧キャンセル回路301を付加している。
図示の差動増幅回路101は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタを接合した1対のインバータ回路を組み合わせることで、Rail−to−Rail形式の差動増幅回路101として構成されている。この差動増幅回路101の入力側にそれぞれ差動電圧RF_IN、RF_INXが印加される。
接続されたM1とM3のドレイン、及びM2とM4のドレイン間に、分圧のための同じ抵抗値を持つ2個の抵抗R3及びR4をそれぞれ直列に接続して、コモンモード検出手段102を構成している。抵抗R3及びR4の中点電圧を、差動増幅回路101の出力信号のコモンモードとして検出する。
差動増幅回路101の差動入力には前段回路のバイアス電圧と直流的に分離するための容量C1及びC2が装荷され、また、入力差動電圧RF_IN、RF_INX間にはコモンモード電圧を印加するための抵抗R1とR2が装荷され、コモンモード印加手段103を構成している。
オペアンプ104は、コモンモード検出手段102で検出した差動増幅回路101の出力信号のコモンモードと、所望のコモンモードを規定する基準電圧VCM105との差に応じた増幅信号を生成し、コモンモード印加手段103に与える。かかる負帰還ループにより、差動増幅回路101の出力信号のコモンモードは、基準電圧VCMに等しくなるように安定化される。
ここで、差動増幅回路101に用いている各MOSトランジスタの特性は、相対的にばらつくことは不可避であり、その結果、差動DCオフセット電圧が発生する。この差動DCオフセット電圧が入力に発生することで、非常に高い利得を持つ差動増幅回路101の出力波形は、電源側あるいはグラウンド側に張り付いてしまい、正しい増幅動作を行なうことができなくなる。そこで、図3に示した差動増幅回路101では、その入力に差動DCオフセット電圧キャンセル回路301を設け、MOSトランジスタの相対ばらつきなどで発生する差動DCオフセット電圧を意図的に打ち消すことで、差動増幅回路101が適正な増幅作用を行なうことを可能にしている。
差動DCオフセット電圧キャンセル回路301は、一方の差動入力信号RF_INに対し、可変電流源Ivar_pを介して電源電圧VDDを接続し、可変電流源Ivar_mを介してグランドに接続するとともに、他方の差動入力信号RF_INXに対し、可変電流源Ivar_mを介して電源電圧VDDを接続し、可変電流源Ivar_pを介してグランドに接続している。そして、差動DCオフセット電圧の極性に応じてIvar_p若しくはIvar_mのどちらかが選択され、差動DCオフセット電圧の大きさに応じて補償用電流値が制御される。
図4には、図3に示した差動増幅回路に適用可能な差動DCオフセット電圧キャンセル回路401の一構成例を示している。
同図において、ノードAのノードBに対する差動DCオフセット電圧の極性が「正」の場合にはIvar_m側に補償用の電流を流すように制御して、差動DCオフセット電圧をキャンセルするようにする。一方、ノードAのノードBに対する差動DCオフセット電圧の極性が「負」となる場合には、Ivar_p側に補償用の電流を流すよう制御して、差動DCオフセット電圧をキャンセルする。
例えば、Ivar_m側に補償用電流Irefを流す場合には、抵抗R2とR1での電圧降下によりノードAにはノードBに対して、「負」の極性を持つ補償DC電圧が発生する。この「負」の極性を持つ補償DC電圧により、ノードAとノードB間に発生していた「正」の極性を持つ差動DCオフセット電圧をキャンセルすることができる。逆に、Ivar_p側に補償用電流Irefを流す場合には、抵抗R2とR1での電圧降下によりノードAにはノードBに対して、「正」の極性を持つ補償DC電圧が発生して、ノードAとノードB間に発生していた「負」の極性を持つ差動DCオフセット電圧をキャンセルすることができる。
なお、図4に示した差動DCオフセット電圧キャンセル回路は、図3に示した差動増幅回路に適用可能となる1つの回路構成例であり、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。図3に示した差動DCオフセット電圧キャンセル回路301は、回路に用いる各素子の相対ばらつきなどで発生する差動DCオフセット電圧に、逆の極性のDC補償電圧を加えキャンセルする手法を用いる差動DCオフセット電圧キャンセル回路全般を含むものであると理解されたい。
図13A及び図13Bには、差動DCオフセット電圧のキャンセルを行なわない場合と差動DCオフセット電圧のキャンセルを行なう場合の差動増幅回路出力での差動信号の出力例をそれぞれ示している。
差動DCオフセット電圧のキャンセルを行なわない場合、図13Aに示すように、各インバータ回路の差動DCオフセット電圧が発生して、それぞれ電源電圧側とグランド側に張り付いている状態であっても、両者の出力電圧の中点電圧が所望のコモンモードを規定する基準電圧VCMと等しく安定化していると、この状態が維持されてしまい、差動DCオフセット電圧を除去することはできない。この場合、差動増幅回路の出力ではRail−to−rail形式の理想的な増幅作用が得られていないことは、図13Aからも明らかである。
これに対し、差動DCオフセット電圧のキャンセルを行なう場合には、図13Bに示すように、各インバータ回路の出力が電源電圧側並びにグランド側に張り付いた状態が解消され、出力コモンモードが基準電圧VCMに等しくなるように安定化されるとともに、差動増幅回路の出力ではRail−to−rail形式の理想的な増幅作用が得られていることが分かる。
図5には、図3に示した差動増幅回路に対して、差動DCオフセット電圧キャンセル回路を制御するための手段を含んだ回路構成例を示している。図5に示す差動増幅回路は、図3に示した回路に加え、コンパレータ501及び502と、一致判定回路503をさらに備えている。
コンパレータ501は、差動増幅回路出力RF_OUTのコモンモード電圧と比較基準電圧Vcmp1との比較を行ない、その大小関係に応じて2値のデジタル値を出力する。また、コンパレータ502は、比較基準電圧Vcmp2と差動増幅回路出力RF_OUTのコモンモード電圧との比較を行ない、その大小関係に応じて2値のデジタル値を出力する。
一致判定回路503は、コンパレータ501及びコンパレータ502からの2つのデジタル出力の一致判定を行なう。すなわち、差動増幅回路RF_OUTXのコモンモード電圧と比較基準電圧Vcmp1との比較結果と、差動増幅回路出力RF_OUTのコモンモード電圧と比較基準電圧Vout2との比較結果が一致を判定する条件であるときには、差動DCオフセット電圧がキャンセルされたことを示す一致判定信号を出力する。そして、一致判定回路503から出力される一致判定信号を観測して、差動DCオフセット電圧キャンセル回路の制御を行なうことができる。
図6は、一致判定信号を用いた差動DCオフセット電圧キャンセル回路の制御回路の一構成例を示している。図示の回路は、一致判定回路503からの一致判定信号により外部クロック信号の入力のオン/オフを制御するスイッチ601と、クロック数をカウントするカウンタ回路602と、カウンタ回路602によるカウント値に応じた補償用電流Ivar_p又はIvar_mを出力する電流スイッチ形のDAC(Digital Analog Converter)603で構成される。
カウンタ回路602は、外部クロックを用いてクロック数のカウント動作を行なう。図示の例では、カウンタ回路602は、0から15までのカウントを行ない、16通りの各状態を4ビットで出力するように構成されている。
また、図示の例では、電流スイッチ形のDAC603は、カウンタ回路602からの4ビットのカウンタ出力を用いて制御される。すなわち、スイッチ601がない場合は、0〜7×Iref1までの電流値がIref1ステップで変化し、差動DCオフセット電圧キャンセル回路用の制御電流として、Ivar_p若しくはIvar_m側に出力する動作を繰り返す。これによって、スイッチ601を介して外部クロックがカウンタ回路602に入力される間は、Ivar_p若しくはIvar_m側への制御電流がクロックをカウントする度にIref1ステップで変化し続け、ノードAとノードBに加えられる「正」若しくは「負」の補償用DC電圧値が制御される。
ここで、一致判定信号でスイッチ601のオン/オフが制御されていることにより、一致判定回路503がコンパレータ501及び502の比較結果の一致を判断した時点、すなわち差動DCオフセット電圧がキャンセルすることができたと判断した時点で、カウンタ回路602への外部クロックの入力がストップして、カウント動作が停止する。つまり、一致を判断した時点における差動DCオフセット電圧キャンセル回路用の制御電流の状態が保持されるようになっている。よって、図5及び図6で示した構成からなる差動増幅回路を用いることで、ペアとなる各インバータ回路で発生する差動DCオフセット電圧を自動でキャンセルすることができる。
なお、図6に示した例では、制御電流Ivar_p若しくはIvar_mを生成する手段とし電流スイッチ形DACを示しているが、同じ動作を実現できるその他のDACを適用することもできる。
また、図5には、差動DCオフセット電圧キャンセル回路301に電流を制御して調整する回路構成例を示しており、DAC603として電流を出力する形式のDACを用いているが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、差動DCオフセット電圧キャンセル回路301に電圧を調整して差動DCオフセットのキャンセルを行なう構成を採用することもでき、この場合には電圧値を出力する形式のDACを用いることで、図5と等価な動作を実現することができる。
図7には、図1に示したRail−to−rail形式の差動増幅回路701をスイッチング動作段に用いて構成される周波数変換回路の構成例を示している。
同図において、周波数変換回路部分は、nチャネルMOSトランジスタM23、M24、M25、M26を襷掛けに接続したSwitched Transconductor Mixerとして構成されている。高周波信号VMIX_INの差動入力がトランジスタM23、M24、M25、M26のゲートにそれぞれ与えられる。また、トランジスタM23及びM26のドレインには、それぞれインピーダンスZ1及びZ2の負荷を介して電源電圧VDDが接続されるとともに、トランジスタM23及びM25、並びにM24及びM26のドレインから当該周波数変換回路の差動出力VMIX_OUT及びVMIX_OUTXが取り出されている。また、トランジスタM23及びM24、並びにM25及びM26のドレインには、ローカル信号VLO_IN、VLO_INXを差動増幅した出力信号がそれぞれ与えられている。そして、トランジスタM23、M24、M25、M26の通過電流が差動増幅されたローカル信号によってスイッチングされ、高周波入力信号VMIXの角周波数がωMIXであり、ローカル入力信号VLOの角周波数がωLOであるとすると、周波数変換回路の出力には、VMIXとVLOの角周波数和成分(ωLO+ωMIX)となる上片側帯USBと、VMIXとVLOの角周波数差成分(ωLO−ωMIX)となる下片側帯LSBの2つの周波数成分が得られる。
一方、差動増幅回路701の入力側となるトランジスタM1とM3のゲート、及び、トランジスタM2とM4のゲート間に、それぞれ差動電圧VLO_IN、VLO_INXが印加される。
接続されたM1とM3のドレイン、及びM2とM4のドレイン間に、分圧のための同じ抵抗値を持つ2個の抵抗R3及びR4をそれぞれ直列に接続して、コモンモード検出手段102を構成している。抵抗R3及びR4の中点電圧を、差動増幅回路101の出力信号のコモンモードとして検出する。
差動増幅回路101の差動入力には前段回路のバイアス電圧と直流的に分離するための容量C1及びC2が装荷され、また、入力差動電圧VLO_IN、VLO_INX間にはコモンモード電圧を印加するための抵抗R1とR2が装荷され、コモンモード印加手段103を構成している。
オペアンプ104は、コモンモード検出手段102で検出した差動増幅回路101の出力信号のコモンモードと、所望のコモンモードを規定する基準電圧VCM105との差に応じた増幅信号を生成し、コモンモード印加手段103に与える。かかる負帰還ループにより、差動増幅回路101の出力信号のコモンモードは、基準電圧VCMに等しくなるように安定化される。
なお、図示しないが、周波数変換回路のスイッチング動作段には、図2に示したような複数段のインバータ回路からなる差動増幅回路を用いることもできる。また、周波数変換回路のスイッチング動作段に、図3に示したような差動DCオフセット電圧キャンセル回路を含んだ差動増幅回路を用いることもできる。また、差動DCオフセット電圧キャンセル回路は、図4に示した回路構成であってもよく、さらに図5に示したような差動DCオフセット電圧キャンセル回路の制御機能を備えて、差動DCオフセット電圧を自動でキャンセルするように構成することもできる。
また、本発明に係る差動増幅回路を、周波数変換回路のスイッチング動作段ではなく、ローカル信号用のバッファ回路に適用することもできる。図8には、Switched Transconductor Mixerのローカル信号用バッファ回路として、図1に示したRail−to−rail形式の差動増幅回路801を用いた回路構成例を示している。Switched Transconductor Mixer、並びにRail−to−rail形式の差動増幅回路の構成及び動作については既に述べたので、ここでは説明を省略する。
なお、図示しないが、図8に示したローカル信号用バッファ回路801を、図2に示したような複数段のインバータ回路からなる差動増幅回路として構成することもできる。また、ローカル信号用バッファ回路801に、図3に示したような差動DCオフセット電圧キャンセル回路301を含んだ差動増幅回路を用いることもできる。また、差動DCオフセット電圧キャンセル回路は、図4に示した回路構成であってもよく、さらに図5に示したような差動DCオフセット電圧キャンセル回路の制御機能を備えて、差動DCオフセット電圧を自動でキャンセルするように構成することもできる。
図9には、本発明に係る差動増幅回路をスイッチング動作段とした周波数変換回路を用いて構成される無線通信装置の構成例を示している。図示の無線通信装置の一例は、W−CDMA方式の携帯無線端末である。
当該周波数変換回路は、CMOSプロセスで構成するギルバートセル・ミキサ、すなわちSwitched Transconductor Mixerであり、低電圧で動作が可能であるとともに、800MHz〜5GHzといった広い帯域でダイレクト・コンバージョン方式による周波数変換を行なうことができる。勿論、スーパー・ヘテロダイン方式など、周波数変換部を持つ構成に適応可能なことは言うまでもない。
図9に示した例では、送信機側における直交変調器、又は受信機側における直交復調器の一方又は双方を、図7や図8に示した周波数変換器により構成することができる。また、送受信機において、直交変調器若しくは直交復調器とそのローカル信号用のバッファ回路を、図8に示した回路構成とすることができる。なお、その他の送受信機構成自体は一般的なものでよいので、ここでは説明を省略する。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、低電圧動作が可能なCMOSプロセスで構成された周波数変換回路や、より高周波での動作が可能となる周波数変換回路低電圧で且つ高周波数で動作する無線通信装置に適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。CMOSプロセスで構成された周波数変換回路を必要とする通信装置以外の電気電子機器や、CMOSプロセスで構成されるとともにRail−to−Rail形式のスイッチング動作段を必要とする周波数変換回路以外の回路モジュール、さらにはCMOSプロセス以外で構成されたこれらの回路モジュールに対しても、同様に本発明に係る差動増幅回路を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、本発明の一実施形態に係る差動増幅回路構成を模式的に示した図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る差動増幅回路の構成例を示した図である。 図3は、本発明のさらに他の実施形態に係る差動増幅回路の構成例を示した図である。 図4は、図3に示した差動増幅回路に適用可能な差動DCオフセット電圧キャンセル回路の一構成例を示した図である。 図5は、図3に示した差動増幅回路に対して、差動DCオフセット電圧キャンセル回路を制御するための手段を含んだ回路構成例を示した図である。 図6は、図5に示した一致判定回路503から出力される一致判定信号に基づいて差動DCオフセット電圧キャンセル回路の制御を行なうための回路構成例を示した図である。 図7は、図1に示したRail−to−rail形式の差動増幅回路701をスイッチング動作段に用いて構成される周波数変換回路の構成例を示した図である。 図8は、図8には、Switched Transconductor Mixerのローカル信号用バッファ回路として、図1に示したRail−to−rail形式の差動増幅回路801を用いた回路構成例を示した図である。 図9は、本発明に係る差動増幅回路をスイッチング動作段とした周波数変換回路を用いて構成される無線通信装置の構成例を示した図である。 図10は、ギルバート回路を用いて周波数変換回路の一構成例(従来技術)を示した図である。 図11は、Switched Transconductor Mixerの基本的な構成例を示した図である。 図12Aは、図1に示す差動増幅回路において、コモンモードの負帰還ループを利用しない場合の差動増幅回路出力での差動信号の出力例を示した図である。 図12Bは、図1に示す差動増幅回路において、コモンモードの負帰還ループを利用した場合の差動増幅回路出力での差動信号の出力例を示した図である。 図13Aは、差動DCオフセット電圧のキャンセルを行なわない場合の差動増幅回路出力での差動信号の出力例を示した図である。 図13Bは、差動DCオフセット電圧のキャンセルを行なう場合の差動増幅回路出力での差動信号の出力例を示した図である。
符号の説明
101、201、701、801…差動増幅回路
102…コモンモード検出手段
103…コモンモード印加手段
104…オペアンプ
105…基準電圧
301、401…差動DCオフット電圧キャンセル回路
501、502…コンパレータ
503…一致判定回路
601…スイッチ
602…カウンタ回路
603…DAC

Claims (9)

  1. 差動信号を増幅する差動増幅回路であって、
    出力に差動信号のコモンモード電圧を検出するコモンモード電圧検出手段と、
    入力にコモンモード電圧を印加するコモンモード電圧印加手段と、
    前記コモンモード電圧検出手段と前記コモンモード電圧印加手段の間に配設された、前記コモンモード電圧検出手段により検出されたコモンモード電圧を所定の基準電圧に収束させるための負帰還ループ手段と、
    を具備することを特徴とする差動増幅回路。
  2. PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを接合した1対のインバータ回路の組み合わせからなるRail−to−Rail形式の差動増幅回路として構成され、
    前記コモンモード電圧検出手段は、前記の各インバータ回路の出力の中点電圧をコモンモード電圧として検出し、
    前記コモンモード電圧印加手段は、前段回路と前記の各インバータ回路の入力とを直流的に分離するとともに、前記の各インバータ回路の入力にバイアス電圧を供給し、
    前記負帰還ループ手段は、該検出したコモンモード電圧と前記基準電圧との差を増幅したコモンモード電圧を、前記コモンモード電圧印加手段を介して、前記の各インバータ回路の入力へ印加する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の差動増幅回路。
  3. 差動DCオフセット電圧をキャンセルする差動DCオフセット電圧キャンセル手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の差動増幅回路。
  4. PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを接合した1対のインバータ回路の組み合わせからなるRail−to−Rail形式の差動増幅回路として構成され、
    前記差動DCオフセット電圧キャンセル手段は、前記の各インバータ回路の差動DCオフセット電圧の極性に応じた補償電圧を各インバータ回路間に印加する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の差動増幅回路。
  5. 前記差動DCオフセット電圧キャンセル手段は、一方のインバータ回路の差動増幅出力と所定の比較基準電圧とを比較する第1の比較手段と、他方のインバータ回路の差動増幅出力と所定の比較基準電圧とを比較する第2の比較手段と、前記第1及び第2の比較手段からの情報を一致判定する一致判定手段を備え、
    前記差動DCオフセット電圧キャンセル手段は、前記の各インバータ回路の差動DCオフセット電圧に応じた極性で各インバータ回路間に印加する補償電圧を可変制御させながら、前記一致判定手段により一致判定した時点における状態を保持する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の差動増幅回路。
  6. 請求項1に記載の差動増幅回路をローカル信号用スイッチング回路に用いる、
    ことを特徴とする周波数変換回路。
  7. 請求項1に記載の差動増幅回路をローカル信号用バッファ回路に用いる、
    ことを特徴とする周波数変換回路。
  8. CMOSプロセスで構成され、請求項2に記載の差動増幅回路をローカル信号用スイッチング回路に用いる、
    ことを特徴とする周波数変換回路。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載の周波数変換回路を用いてベースバンド信号のアップコンバージョン又は無線信号のダウンコンバージョンを行なう、
    ことを特徴とする無線通信装置。
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