JP7277350B2 - 伝動用vベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ローエッジVベルトやローエッジコグドVベルトなどのローエッジタイプの伝動用Vベルト及びその製造方法に関する。
摩擦伝動により動力を伝達するVベルト(伝動用Vベルト)には、摩擦伝動面(V字状側面)が露出したゴム層であるローエッジ(Raw-Edge)タイプ(ローエッジVベルト)と、摩擦伝動面が補強布で覆われたラップド(Wrapped)タイプ(ラップドVベルト)とがあり、摩擦伝動面の表面性状(ゴム層と補強布との摩擦係数)の違いから用途に応じて使い分けられている。また、ローエッジタイプのベルトには、コグを設けないローエッジVベルトの他、ベルトの下面(内周面)のみにコグを設けて屈曲性を改善したローエッジコグドVベルトや、ベルトの下面(内周面)及び上面(外周面)の両方にコグを設けて屈曲性を改善したローエッジコグドVベルト(ローエッジダブルコグドVベルト)がある。なお、ローエッジコグドVベルトの外観は、歯付ベルトと類似する部分はあるものの、歯付ベルトは、歯部をプーリ溝と嵌合させてかみ合い伝動により動力を伝達するかみ合い伝動ベルトに分類されるのに対し、ローエッジコグドVベルトは、ベルト下面(内周面)がプーリと接触することなく、ベルト側面をプーリと接触させて摩擦伝動を行う摩擦伝動ベルトに分類され、両者は動力伝達機構が全く異なる別の種類の伝動ベルトである。
摩擦伝動ベルトであるローエッジVベルトは、耐側圧性や伝達力を向上する観点からはベルト全体の厚みを厚くする要求がある一方で、耐屈曲疲労性や伝達効率を向上する観点からはベルト全体の厚みを薄くするなどして、屈曲性を良好に保つ要求もある。ローエッジコグドVベルトでは、ローエッジVベルトにコグを設けることで、このような二律背反の要求に応えることができる。つまり、コグ山により摩擦伝動面を大きくして耐側圧性や伝達力を向上することができるとともに、コグ谷により屈曲性を良好に保つ工夫がなされている。すなわち、ローエッジコグドVベルトがプーリに巻きかかる際には、コグ谷の屈曲がコグ山の屈曲よりも大きくなる。そのため、コグ谷において繰り返し屈曲される圧縮ゴム層の疲労が大きくなり、コグ山に比べてコグ谷の圧縮ゴム層に亀裂が発生し易くなる。
このようなコグ谷における亀裂の発生を抑制する方法として、例えば、実開昭59-164856号公報(特許文献1)には、コグ部外周面に有機繊維、無機繊維、又は金属繊維からなる編布又は織布などの帆布が挿入されたコグ付Vベルトが開示されている。
しかし、特許文献1では、帆布をどのように用いるか具体的には記載されていない。また、本来、伸縮性に乏しい織布をコグ部外周面に沿わせるには、織布の伸縮性を高めるための前処理、具体的には、織布を斜めにカットした後に織り目が斜め方向を向くようにつなぎ合わせるバイアス処理、及び、経糸と緯糸との成す角を大きくする広角処理などが必要となることが多い。そのため、補強布として織布を用いるためには多くの工数が必要となり、生産性が低下し易い。また、バイアス処理で生じるジョイント部は強度低下を招くのみならず、外観も好ましくない。さらに、前記前処理により得られる織布でも伸縮性は十分ではなく、ベルト走行時の屈曲及び伸張に追従できずにベルトから剥離して、亀裂の発生を抑えることができない。
また、米国特許第7749120号明細書(特許文献2)には、N×Nリブ(Nは少なくとも2)を有する緯編布を補強布として用いた伝動ベルトが開示されている。さらに、前記緯編布は10~150%伸びてよいことや、平面状に編まれたものを筒状に縫い合わせてもよく、はじめから筒状に編み込んでもよいことなどが記載されている。
しかし、このような編布を補強布としても、ベルトの耐久性を十分に向上できない場合がある。
実開昭59-164856号公報(実用新案登録請求の範囲第2項、明細書第4頁第8~15行目、第2図) 米国特許第7749120号明細書(クレーム1、明細書第3欄第1~3行目)
従って、本発明の目的は、耐久性に優れたローエッジタイプVベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、コグ高さが高いコグ部を有していても、高い生産性及び耐久性を示すローエッジタイプVベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、特許文献2のように、織布よりも良好な伸縮性を有する編布を補強布として用いても、ベルトの形状(例えば、コグの大きさなど)や、ベルトの使用状態(例えば、ベルトが大きく屈曲し易い小径プーリに巻き掛ける場合など)などによっては、補強布の伸縮性などが不十分であり、ローエッジタイプVベルトの生産性や耐久性を十分に向上できない場合があることを発見した。
詳しくは、コグ形状は、通常、補強布と未加硫の圧縮ゴム層用シートとを含む積層体を、コグ付き型(コグ形状が刻印された金型など)に押し付けて加硫する方法などにより形成されるが、コグ形状に対して補強布の伸縮性が不足すると、金型のコグ形状に補強布を沿わせることが困難となる。そのため、金型のコグ形状通りに転写することができず、コグ形状の不良又は異常(又は金型のコグ形状よりコグ高さが小さく形成される状態)が発生し易く、生産性が低下する場合がある。なお、コグ形状の不良又は異常は、単に外観が好ましくないだけでなく、コグ高さの低下に伴う動力伝達性能の低下などのベルト特性低下の原因にもなり得る。また、コグ形状の有無にかかわらず、補強布の伸縮性が不足するためか、プーリ上を走行するベルトの屈曲及び伸張に補強布が追従し難くなるため、使用状態によっては早期にベルトから補強布が剥離して耐久性を十分に向上できないことがある。
このような不具合を解消するために、本発明者らがさらに鋭意検討した結果、少なくとも浮き編部を有する編布を補強布とすると、意外にも生産性及び耐久性を大きく向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のローエッジタイプVベルトは、圧縮ゴム層と、この圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を被覆する編布とを含み、前記編布が、少なくとも浮き編部を有している。
前記浮き編部の数の割合は、編布を形成する基本要素(基本構造又は基本ループ構造)全体(基本要素の総数)に対して、20~80%程度であってもよい。前記編布を形成する組織は、コース方向及びウェール方向から選択される少なくとも一方の方向において、浮き編部とニットループ部とが交互にあらわれる配列を含んでいてもよく、好ましくはコース方向及びウェール方向において、浮き編部とニットループ部とが交互に配列されていてもよい。前記編布のコース方向は、ベルト長手方向(ベルト長さ方向)に配向(略平行に配向)していてもよい。JIS L 1096(2010)に準拠して測定した前記編布のウェール方向の密度(又は編目密度)は40~100/インチ程度であってもよく、ウェール方向の密度(又は編目密度)とコース方向の密度(又は編目密度)との割合は、前者/後者=1/1~1/2程度であってもよい。前記編布は丸編であってもよい。
前記編布を形成する糸は、伸縮性糸、例えば、カバリング糸であってもよい。前記カバリング糸の鞘糸は、ポリアミド繊維であってもよい。前記カバリング糸の鞘糸の繊度は、40~150dtex程度であってもよい。前記編布は、ポリウレタン繊維及びポリアミド繊維を含んでいてもよく、その割合は、前者/後者(質量比)=20/80~40/70程度であってもよい。前記編布の50N/3cm時伸長率は260~1000%程度であってもよく、かつ引張強力が80~500N/3cm程度であってもよい。
前記ローエッジタイプVベルトは、前記圧縮ゴム層がコグ部を有し、かつ編布が少なくとも前記コグ部のコグ谷を被覆していてもよい。前記編布は、圧縮ゴム層の内周面全体を被覆していてもよい。前記ローエッジタイプVベルトは、ローエッジコグドVベルト又はローエッジダブルコグドVベルトであってもよい。前記コグ部の高さは、1~20mm程度であってもよい。
また、本発明は、圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を、浮き編部を少なくとも有する編布で被覆した状態で加硫する加硫工程を含む前記ローエッジタイプVベルトの製造方法を包含する。前記編布は丸編であってもよく、加硫工程において、円筒状の型に筒状の編布を被せ、この編布に圧縮ゴム層を形成するための未加硫ゴム組成物を積層した状態で加硫してもよい。
本発明では、圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を、少なくとも浮き編部を有する編布で被覆するため、ベルトの耐久性を有効に向上できる。特に、前記編布の伸縮性が優れるため、コグ高さが高いコグ部を内周側に有していても、型のコグ形状を正確に転写でき、効率よく生産性を向上できるのみならず、編布がベルトの屈曲及び伸張に追従して剥離が抑制されるため、圧縮ゴム層における亀裂の発生を低減でき、耐久性を有効に向上できる。
図1は、本発明のローエッジコグドVベルトの一例を示す概略部分断面斜視図である。 図2は、図1のローエッジコグドVベルトをベルト長手方向に切断した概略部分断面図である。 図3(a)は、本発明における編布の編組織(裏面又は裏目側)の一例を示す概略図であり、図3(b)は、図3(a)に対応して、浮き編部を「浮」、ループ部を「ル」としてそれぞれ表示し、基本要素の配列を示した図である。 図4は、実施例、参考例及び比較例で得られたローエッジコグドVベルトの耐久走行試験を説明するための概略図である。 図5(a)は、実施例2における編布の編組織(裏面又は裏目側)を示す概略図であり、図5(b)は、図5(a)に対応して、浮き編部を「浮」、ループ部を「ル」としてそれぞれ表示し、基本要素の配列を示した図である。 図6(a)は、実施例5における編布の編組織を示す概略図であり、図6(b)は、図6(a)に対応して、浮き編部を「浮」、ループ部を「ル」としてそれぞれ表示し、基本要素の配列を示した図である。 図7(a)は、実施例6における編布の編組織(裏面又は裏目側)を示す概略図であり、図7(b)は、図7(a)に対応して、浮き編部を「浮」、ループ部を「ル」としてそれぞれ表示し、基本要素の配列を示した図である。 図8(a)は、実施例7における編布の編組織(裏面又は裏目側)を示す概略図であり、図8(b)は、図8(a)に対応して、浮き編部を「浮」、ループ部を「ル」としてそれぞれ表示し、基本要素の配列を示した図である。 図9は、実施例12で使用したジョイント部を有する筒状編布の調製方法を示す概略図である。
[ローエッジタイプVベルト]
本発明のローエッジタイプVベルト(ローエッジタイプの伝動用Vベルト)は、圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域が、少なくとも浮き編部を有する編布で被覆されたローエッジタイプVベルトであれば、特に限定されない。ローエッジタイプVベルトには、ローエッジVベルト、ローエッジコグドVベルトが含まれる。さらに、ローエッジコグドVベルトは、ローエッジVベルトの内周側のみにコグが形成されたローエッジコグドVベルトと、ローエッジVベルトの内周側及び外周側の双方にコグが形成されたローエッジダブルコグドVベルトとに大別できる。これらのうち、コグ谷(コグ底)で発生する亀裂を効果的に抑制できる点から、ローエッジVベルトの少なくとも内周側にコグ部が形成されたローエッジコグドVベルトが好ましい。
図1は、本発明のローエッジコグドVベルトの一例を示す概略部分断面斜視図であり、図2は、図1のローエッジコグドVベルトをベルト長手方向に切断した概略部分断面図である。
この例では、ローエッジコグドVベルト1は、ベルト本体の内周面に、ベルトの長手方向(図中のA方向)に沿ってコグ山1aとコグ谷1bとが交互に並んで形成されたコグ部を有しており、このコグ山1aの長手方向における断面形状は略半円状(湾曲状又は波形状)であり、長手方向に対して直交する方向(幅方向又は図中のB方向)における断面形状は台形状である。すなわち、各コグ山1aは、ベルト厚み方向において、コグ谷1bからA方向の断面において略半円状に突出している。ローエッジコグドVベルト1は、積層構造を有しており、ベルト外周側から内周側(コグ部が形成された側)に向かって、外周側の補強布2、伸張ゴム層3、接着ゴム層4、圧縮ゴム層5、編布6が順次積層されている。ベルト幅方向における断面形状は、ベルト外周側から内周側に向かってベルト幅が小さくなる台形状である。さらに、接着ゴム層4内には、芯体4aが埋設されており、前記コグ部は、コグ付き成形型により圧縮ゴム層5に形成されている。
また、本発明では、後述するように、伸縮性などに優れる所定の編布を補強布とするため、コグ高さ(コグ山とコグ谷との距離)が高いコグ部を内周側に有するベルトであっても、ベルトの生産性を有効に向上できる。そのため、少なくとも内周側にコグ部が形成されたローエッジコグドVベルトである場合、内周側に形成されたコグ部の高さ(コグ高さ)は、例えば、1~20mm(例えば、2~15mm)程度の範囲から選択してもよく、好ましくは3~12mm(例えば、4~10mm)、さらに好ましくは4.5~8mm(例えば、5~7mm)程度であってもよい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、コグ部のコグ谷とは、コグ部を有する圧縮ゴム層の薄肉部を形成する部分を意味し、通常、ベルト内周側に突起した隣接するコグ山間にある曲面状または平面状の谷部又は溝部(湾曲した溝部又はベルト面方向に平行な面状溝部)を意味する。
[編布]
本発明では、編布は、浮き編部を少なくとも有している。そのため、圧縮ゴム層の少なくとも一部の領域を前記編布で被覆することにより、ベルトの屈曲及び伸張に対して編布が十分に追従でき、ベルトからの剥離や編布自体の破壊が抑制されるため、圧縮ゴム層における亀裂の発生を有効に低減してベルトの寿命を向上できる。
そのため、編布は、圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を被覆していればよく、例えば、ローエッジVベルトが、少なくとも内周側にコグ部が形成されたローエッジコグドVベルトである場合、亀裂が発生し易い前記コグ部のコグ谷を少なくとも被覆していてもよい。また、亀裂の発生をより有効に抑制できる点から、編布は、内周面全体の面積に対して、例えば、50%以上被覆してもよく、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であり、耐亀裂性の向上加えて、生産性も向上できる点から、100%(圧縮ゴム層の内周面全体を被覆)が最も好ましい。
すなわち、ベルト内周側にコグ高さが大きなコグを有していても、前記編布の高い伸縮性により、編布(及び圧縮ゴム層用未加硫シートを含む積層体)をコグ付き型に刻設された凹凸面に容易に沿わせる(押し付ける)ことができるため、ベルトのコグ形状の不良又は異常を抑制しつつ、コグ付き型のコグ形状を正確に転写でき、コグ形状の不良又は異常を有効に抑制して、耐久性、動力伝達性能、外観などの品質に優れた伝動ベルトを効率よく又は簡便に生産できる。
(編布の構造)
編布は、その編み方により緯編と経編とに大別されるが、より伸縮性に優れる緯編が好ましい。編布の編組織は、通常、基本要素(基本ループ構造又は基本構造)である3種類の編目構造(又は編み方)、すなわち、ニットループ(ループ部)、タックループ、ウェルト(浮き編部、ミス、フロート又は沈み)から形成され、これらのなかでも、主としてニットループで形成されることが多い。なお、ウェルト(浮き編部)は、ループ構造を形成しないものの、基本要素(基本ループ構造又は基本構造)に含まれる。
編布は、織布などと比べて伸縮性に優れた布帛であり、この伸縮性は、ループの変形やループ間における糸のすべりなどにより構造が柔軟に変形可能な点に由来している。一方、本発明の編布は、浮き編部を少なくとも有している。浮き編部は、前述のようにループを形成することなく、糸をよこ方向(コース方向)に走らせる構造のため、編布のコース方向の変形に対する拘束部として作用し、よこ方向の伸縮性が抑えられたタイトな編布を形成することが予想される。しかし、予想に反して、浮き編部を有する編布は、ローエッジタイプVベルトの耐久性及び生産性を向上するのに有用な伸縮性と強度とを備えていることが分かった。
編布を形成する組織(編組織)は、少なくとも浮き編部を含んでいれば特に制限されず、基本となる所定の編組織中に浮き編部を編成(又は分布)してもよい。代表的な編組織としては、平編(天竺編)、リブ編(又はゴム編)、パール編の三原組織であってもよく、変化組織であってもよい。変化組織としては、例えば、平編を基本組織とする変化組織{例えば、平編にタックループを応用した組織[例えば、鹿の子編(表鹿の子、裏鹿の子、並鹿の子)など]、平編にウェルトを応用した組織、立毛編、裏毛編、添え糸編、パイル編、インレイ編など};リブ編を基本組織とする変化組織{例えば、リブ編にタックループを応用した組織[例えば、片畦編、両畦編など]、リブ編にウェルトを応用した組織[例えば、ミラノリブ編、ダブルピケ編(スイスダブルピケ、フレンチダブルピケ)、オーバーニット編など]、ブリスター編、両面編(ダブルリブ編、スムース編又はインターロック編)、両面編にタックループを応用した組織[例えば、シングルピケ編、モックシングルピケ編、ロイヤルインターロック編、タックリップル編、テクシーピケ編など]、両面編にウェルトを応用した組織[例えば、クロスミスインターロック編、モックロイヤルインターロック編、モックロディ編、ウェルトリップル編など]、ポンチローマ編、エイトロック編、モックエイトロック編など};パール編を基本組織とする変化組織(バスケット編など);三原組織(又は両面編)にウェルトを応用したジャカード編などが挙げられる。これらの編み組織は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの編組織のうち、ベルトの耐久性や生産性を向上する点から、平編又は平編を基本組織とする変化組織、あるいはリブ編(例えば、1×1、2×2、3×3などの表目と裏目とを同数ごとに配列するリブ編、3×1、5×2などの表目及び裏目の数に差をつけて配列するリブ編など)又はリブ編みを基本とする変化組織を基本として浮き編部を編成(又は分布)するのが好ましく、平編又はリブ編(表目と裏目とを同数ごとに配列するリブ編など)がさらに好ましく、なかでも、平編又は1×1リブ編が好ましい。なお、平編(又は平編を基本組織とする変化組織)には表面(又は表目)と裏面(又は裏目)とがあり、いずれの面が圧縮ゴム層側に配置されてもよいが、生産性及び圧縮ゴム層との接着性の観点から、編布の表面(又は表目)が圧縮ゴム層側となるように配置するのが好ましい。
編布に含まれる浮き編部の数の割合(浮き編比率)は、編布(又は編組織)を形成する基本要素(基本ループ構造又は基本構造)全体(基本要素の総数)に対して、例えば、5~95%(例えば、10~90%)程度の範囲から選択でき、例えば、15~85%(例えば、20~80%)、好ましくは25~75%(例えば、30~70%)、より好ましくは35~65%(例えば、40~60%)、さらに好ましくは45~55%(例えば、47~53%、特に、50%程度)であるのが好ましい。浮き編部の割合が少なすぎると、伸縮性が十分でなく耐久性や生産性が低下するおそれがあり、多すぎると、織布に近い構造になり、耐久性や生産性が低下するおそれがある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、前記浮き編比率は、編布を構成する浮き編部の総数を、編布を構成する基本要素(基本ループ構造又は基本構造)の総数で除することで算出される。前記基本要素の総数は、編布を構成するコース及びウェールの交点の総数を意味し、通常、コース数×ウェール数であることが多い。また、浮き編部の数は、コース及びウェールの交点ごとにカウントすることとし、例えば、同一コース内において、連続する複数のウェールを横切る浮き編部が形成される場合、この浮き編部の数は、横切った複数のウェール数だけカウントすることとする。
編布を形成する組織は、通常、浮き編部(ウェルト)とループ部(ニットループ)との組み合わせで編成されることが多い。そのため、編布は、ループ部のみで編成された編布を基本として、所定箇所のループ部を浮き編部に置き換えて編成してもよい。ループ部から浮き編部への置き換えは、上記浮き編比率の好ましい範囲となるように置き換えればよい。例えば、基本とするループ部のみで編成された編布において、ループ部4つのうちの1つを浮き編部に置き換える(ループ部4つに対して1つの割合で置き換える)ことで浮き編み比率25%(例えば、図5に示す組織など)の編布が編成でき、ループ部2つのうちの1つを浮き編部に置き換える(ループ部2つに対して1つの割合で置き換える)ことで浮き編み比率50%(例えば、図3に示す組織など)の編布が編成できる。
また、編布を形成する組織は、編布の伸縮性をより一層大きく向上できる点から、コース方向及びウェール方向から選択される少なくとも一方の方向において、浮き編部(ウェルト)とループ部(ニットループ)とが交互にあらわれる配列(以下、交互配列という場合がある)を含むのが好ましく、なかでも、コース方向及びウェール方向の双方において、浮き編部とループ部とが交互にあらわれる配列を含むのが好ましい。
このような編組織の例として、平編を基本とする図3(a)及び(b)、又はリブ編を基本とする図6(a)及び(b)に示す編組織などが挙げられる。図3又は図6の編組織(ハーフ組織)は、平編又はリブ編を形成するニットループの半分が浮き編部に置き換えられた例(平編又はリブ編を基本として、浮き編比率を50%とした例)であり、コース方向C及びウェール方向Wの双方において、ループを形成するループ部8と、ループ部8を横切ってコース方向に走る浮き編部7とが交互にあらわれる配列(交互配列)で構成されている。なお、これらの例では、編布を形成する全てのコース及びウェールが交互配列で構成されているが、必ずしも全てのコース及びウェールが交互配列で構成されていなくてもよく、交互配列とは異なる配列で構成されるコース及び/又はウェールを含んでいてもよい。交互配列で構成されるコース数又はウェール数の割合は、全コース数又は全ウェール数に対して、それぞれ同一又は異なって、例えば、10%以上(例えば、30~100%)程度の範囲から選択でき、編布の伸縮性をより一層大きく向上できる点から、好ましくは50%以上(例えば、60~100%)、より好ましくは70%以上(例えば、80~100%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、95~100%)、特に100%程度であるのが好ましい。なかでも、コース方向及びウェール方向の双方において、交互配列で構成されたコース及びウェールの割合が高いほど、編布がより均一に伸び易いためか、ベルトの耐久性及び生産性を有効に向上できるようであり、図3、図6に示す編組織などのハーフ組織(コース方向及びウェール方向の双方において、浮き編部とループ部とが交互に配列される組織)が最も好ましい。
編布のウェール方向の密度又は編目密度(ウェール方向1インチ間のコース数)は、例えば、10~200コース/インチ(例えば、20~150コース/インチ)程度の範囲から選択でき、例えば、30~120コース/インチ(例えば、40~100コース/インチ)、好ましくは45~95コース/インチ(例えば、50~90コース/インチ)、さらに好ましくは55~85コース/インチ(例えば、60~80コース/インチ)、特に、65~75コース/インチ程度であってもよい。
また、編布のコース方向の密度又は編目密度(コース方向1インチ間のウェール数)は、例えば、10~300ウェール/インチ(例えば、20~250ウェール/インチ)程度の範囲から選択でき、例えば、30~200ウェール/インチ(例えば、40~180ウェール/インチ)、好ましくは50~170ウェール/インチ(例えば、60~160ウェール/インチ)、さらに好ましくは70~150ウェール/インチ(例えば、80~140ウェール/インチ)、なかでも、90~130ウェール/インチ(例えば、95~125ウェール/インチ)、特に、100~120ウェール/インチ(例えば、105~115ウェール/インチ)程度であってもよい。
各方向の編目密度が小さすぎると、編目密度の小さい方向に対する伸縮性が低下するおそれがあるとともに、強度が低くベルトを補強し難くなるおそれがある。特に、編布のコース方向をベルト周長方向に向けた場合、ウェール方向の編目密度が小さすぎる(コース数が少なすぎる)と、補強性が低下し易く耐久性が低下するおそれがあり、コース方向の編目密度が小さすぎる(ウェール数が少なすぎる)と、伸縮性が低下し易く、生産性及び耐久性が低下するおそれがある。また、各方向の編目密度が大きすぎると、生産性が低下するおそれがあるとともに、垂直方向の伸縮性が低下する(例えば、ウェール方向の編目密度が大きすぎると、コース方向における伸縮性が低下する)おそれがある。
なお、ウェール方向及びコース方向の編目密度は、JIS L 1096(2010)の8.6.2 編物の密度に記載の方法に準拠して測定できる。
ウェール方向の編目密度とコース方向の編目密度との割合は、例えば、前者/後者=1/0.5~1/4(例えば、1/0.8~1/3)程度の範囲から選択でき、好ましくは1/1~1/2(例えば、1/1.2~1/1.9)、さらに好ましくは1/1.3~1/1.8(例えば、1/1.4~1/1.7)、特に、1/1.5~1/1.65(例えば、1/1.55~1/1.6)程度であってもよい。コース方向の編目密度がウェール方向の編目密度に対して小さすぎると、コース方向のループ部の数が少なく、ループ自体のサイズが小さく(又はループ部のウェール方向の長さが短く)なるため、コース方向に対する伸縮性が低下して、コグ形状の不良が発生し易くなるおそれがある。また、コース方向の編目密度がウェール方向の編目密度に対して大きすぎると、コース数が少ないことで補強性が低下するおそれがあり、特に、コース方向がベルト長手方向に略平行に配向する場合、コグ谷をベルト長手方向に横断するコース数が少なく、コグ谷における亀裂の発生を十分に抑制できなくなるおそれがある。
編布は、単層に編成された単層編布又は多層に編成された多層編布であってもよく、これらの単層又は多層編布を単独で又は複数積層して補強布としてもよい。生産性の観点から、通常、単層又は多層編布(特に、単層編布)を単独で補強布とするのが好ましい。
また、編布は、糸をコース方向に往復して平面状に編成するよこ編であってもよいが、糸を周方向に回転させて筒状に編成する丸編であるのが好ましい。丸編であると、後述するように、編布の端部同士をつなげるジョイント部(つなぎ目)を形成する工程が不要となり、円筒状のコグ付き型に編布を被せる形態で簡便にベルトを製造できるため、生産性を有効に向上できる。さらに、ベルト走行中における編布の破壊や剥離の起点となり易いジョイント部を含まないため、耐久性を向上できるのみならず、外観も良好となる。
編布を配置する方向は、圧縮ゴム層の内周面を被覆する限り特に制限されず、例えば、編布のコース方向をベルト幅方向(図1中のB方向)に配向したり、編布のコース方向がベルト長手方向と0°を超える所定の角度をなす方向に配置してもよいが、生産性及び耐久性を有効に向上できる点から、編布のコース方向がベルト長手方向(図1中のA方向)と略平行に配向(配置)しているのが好ましい。
(編布を形成する糸)
編布を形成する糸は、特に制限されないが、生産性及び耐久性を向上し易い点から、伸縮性糸であるのが好ましい。前記糸を形成する材質又は繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ビニルアルコール系繊維(ポリビニルアルコール繊維、エチレン-ビニルアルコール共重合体の繊維、ビニロン繊維など)、ポリアミド繊維(ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維などの脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維などの芳香族ポリアミド繊維など)、アクリル繊維、ポリエステル繊維[ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などのポリC2-4アルキレンC6-14アリレート系繊維、ポリアリレート系繊維など]、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維、プロミックス繊維などの半合成繊維;レーヨン、キュプラ、リヨセルなどの再生繊維;綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維;ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機繊維などが挙げられる。
これらの材質は、単独で又は2種以上組み合わせて糸を形成してもよい。なお、糸を形成する繊維は、単一の材質で形成される繊維であってもよく、単繊維内に前記合成繊維を形成するポリマーなどを複数種含むコンジュゲート糸(コンジュゲートファイバー又は複合繊維)であってもよく、これらを2種以上組み合わせてもよい。コンジュゲート糸の断面形状としては、例えば、芯鞘型(シースコア型)、サイドバイサイド型(並列型)、偏芯芯鞘型、放射型、中空放射型、海島型、ブレンド型、ブロック型などが挙げられる。これらの断面形状は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの断面形状のうち、伸縮性を付与し易いサイドバイサイド型(並列型)、偏芯芯鞘型などが好ましい。
編布を形成する糸は、前記材質のうち、合成繊維が好ましく、伸縮性に優れる点から、ポリウレタン繊維(スパンデックス)を含むのが好ましく、強度又は補強性に優れる点から、ポリアミド繊維を含むのが好ましい。そのため、生産性と耐久性とをより一層バランスよく両立し易い点から、前記糸は、ポリウレタン繊維(スパンデックス)と、ポリアミド繊維(好ましくは脂肪族ポリアミド繊維)とを組み合わせて含むのが好ましい。
編布を形成する糸は、通常、長繊維糸(フィラメント糸)、短繊維を撚り合わせたスパン糸(紡績糸)などである。フィラメント糸は、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸であってもよく、紡績糸は、複数種の短繊維を紡績した混紡糸であってもよい。これらのうち、マルチフィラメント糸が好ましい。これらの糸は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
そのため、前記糸は、複数種の繊維で形成された複合糸(混合糸)であってもよい。複合糸としては、混繊糸(異収縮性混繊糸、異繊維混繊糸など)、芯糸を鞘糸で被覆するカバリング糸(シングルカバリングヤーン、ダブルカバリングヤーンなどのフィラメントツイストヤーン、コアスパンヤーン、ツイステッドヤーン(プライ糸)、エアカバードヤーン、ラッピングヤーンなど)などが挙げられる。これらの複合糸は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの複合糸のうち、特に伸縮性に優れるカバリング糸が好ましく、なかでも、シングルカバリングヤーンなどのフィラメントツイストヤーンが好ましい。
カバリング糸(シングルカバリングヤーンなどのフィラメントツイストヤーン)において、芯糸の繊度(単糸繊度)は、例えば、10dtex以上(例えば、15~60dtex)程度の範囲から選択でき、好ましくは20~50dtex(例えば、23~45dtex)、さらに好ましくは25~40dtex(例えば、28~38dtex)程度であってもよい。また、鞘糸の繊度(単糸繊度)は、例えば、10dtex以上(例えば、20~200dtex)程度の範囲から選択でき、好ましくは30dtex以上(例えば、40~150dtex)、より好ましくは50dtex以上(例えば、60~100dtex)、さらに好ましくは70dtex以上(例えば、73~90dtex)程度であってもよい。芯糸及び鞘糸の繊度(特に、鞘糸の繊度)が低すぎると、糸の強度が低下して、ベルトの走行に伴う屈曲及び伸張などの影響で糸が切断(又は破壊)され易くなり、補強性又は耐久性が低下するおそれがある。
また、編布を形成する糸は、無撚糸であってもよく、撚糸であってもよい。撚糸は、複数の片撚糸を下撚り糸として上撚りした糸(例えば、諸撚糸、駒撚糸、ラング撚糸など)であってもよく、片撚糸と単糸とを下撚り糸として上撚りした撚糸(例えば、壁撚糸など)であってもよい。
編布を形成する糸(フィラメント糸)は、必要に応じて、加工(捲縮加工、構造かさ高加工などのかさ高加工など)が施された加工糸(テクスチャードヤーンなど)であってもよい。代表的な加工方法としては、例えば、加撚・熱固定・解撚法、仮撚法(ウーリー加工)、ケンネル法、押込法、擦過法、賦型法、潜在捲縮法などの捲縮加工;空気噴射法(タスラン加工)、異収縮混繊法、弾性回復差法、羽毛加工法、撚糸法などの構造かさ高加工(非伸縮性かさ高加工);非かさ高加工(例えば、混繊法(インターレース加工)、斑延伸法、撚糸法など)などが挙げられる。これらの加工法は、単独で又は2種以上組み合わせて施してもよい。これらの加工法のうち、伸縮性を向上し易い点から、ウーリー加工などの捲縮加工が好ましい。
編布を形成する糸の好ましい形態としては、ポリアミド繊維及びポリウレタン繊維から選択される少なくとも一方(特に、少なくともポリアミド繊維)を含むマルチフィラメント糸であり、さらに好ましくは、芯糸にポリウレタン繊維を含み、鞘糸にポリアミド繊維を含むカバリング糸(特に、シングルカバリングヤーンなどのフィラメントツイストヤーン)である。なお、カバリング糸における芯糸及び鞘糸の繊度は、前述の好ましい範囲と同様である。
編布を形成する糸におけるポリアミド繊維及びポリウレタン繊維の総量の割合は、糸を形成する繊維全体に対して、例えば、10質量%以上(例えば、30~100質量%)程度の範囲から選択でき、好ましくは50質量%以上(例えば、60~100質量%)、より好ましくは70質量%以上(例えば、80~100質量%)、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95~100質量%)、特に100質量%程度(実質的に、ポリアミド繊維及び/又はポリウレタン繊維のみ)であるのが好ましい。
編布を形成する糸がカバリング糸である場合、芯糸におけるポリウレタン繊維の割合は、芯糸全体に対して、例えば、10質量%以上(例えば、30~100質量%)程度の範囲から選択でき、好ましくは50質量%以上(例えば、60~100質量%)、より好ましくは70質量%以上(例えば、80~100質量%)、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95~100質量%)、特に100質量%程度(実質的に、ポリウレタン繊維のみ)であるのが好ましい。また、鞘糸におけるポリアミド繊維の割合は、鞘糸全体に対して、例えば、10質量%以上(例えば、30~100質量%)程度の範囲から選択でき、好ましくは50質量%以上(例えば、60~100質量%)、より好ましくは70質量%以上(例えば、80~100質量%)、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95~100質量%)、特に100質量%程度(実質的に、鞘糸がポリアミド繊維のみ)であるのが好ましい。
編布を形成する糸(例えば、カバリング糸など)が、ポリウレタン繊維及びポリアミド繊維の双方を含む場合、その割合は、例えば、前者/後者(質量比)=1/99~99/1(例えば、5/95~90/10)程度の範囲から選択でき、好ましくは10/90~80/20(例えば、12/88~70/30)、より好ましくは15/85~60/40(例えば、18/82~50/50)、さらに好ましくは20/80~40/60(例えば、22/78~38/62、特に、25/75~35/65)程度である。
編布を形成する糸において、ポリウレタン繊維の割合が少なすぎると、伸縮性が低下して生産性及び耐久性を向上し難くなるおそれがあり、ポリアミド繊維の割合が少なすぎると、糸の強度が低下して補強性及び耐久性が低下するおそれがある。
(編布の特性)
編布の目付けは、例えば、80~400g/m(例えば、100~350g/m)、好ましくは120~300g/m(例えば、150~250g/m)、さらに好ましくは170~230g/m(例えば、180~220g/m)程度であってもよい。目付けが低すぎると、補強性又は耐久性が低下するおそれがある。
編布の平均厚みは、例えば、0.3~2mm、好ましくは0.5~1.5mm、さらに好ましくは0.6~1mm(例えば、0.7~0.9mm)程度であってもよい。平均厚みが低すぎると、補強性又は耐久性が低下するおそれがある。
なお、編布の目付け及び平均厚みは、JIS L 1096(2010)に準拠して測定できる。
編布のコース方向の50N/3cm時伸長率は、例えば、260%以上(例えば、260~1000%)程度の範囲から選択でき、例えば、280%以上(例えば、290~800%)、好ましくは300%以上(例えば、310~700%)、より好ましくは320%以上(例えば、330~600%)、さらに好ましくは350~550%(例えば、370~500%)、なかでも、380~450%(例えば、390~420%)程度であってもよい。コース方向の50N/3cm時伸長率が低すぎると、生産性及び耐久性を有効に向上し難いおそれがある。
編布の引張強力は、例えば、50~1000N/3cm(例えば、80~500N/3cm)程度の範囲から選択でき、好ましくは100~400N/3cm(例えば、120~350N/3cm)、さらに好ましくは150~300N/3cm(例えば、170~250N/3cm)、なかでも、180~220N/3cm(例えば、190~210N/3cm)程度であってもよい。引張強力が小さすぎると、糸が切断し易く補強性又は耐久性が低下するおそれがあり、大きすぎると、伸縮性が低くなり生産性及び耐久性を有効に向上し難いおそれがある。
なお、コース方向の50N/3cm時伸長率及び引張強力は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
なお、編布は、圧縮ゴム層との接着力を高めるために、慣用の接着処理が施されていてもよい。このような接着処理としては、エポキシ化合物又はポリイソシアネート化合物を含む処理液に浸漬する方法、レゾルシンとホルムアルデヒドとラテックスとを含むRFL処理液に浸漬する方法、ゴム糊に浸漬する方法などが挙げられる。これらの処理は単独で適用してもよく、2種以上を組み合わせて適用してもよい。
[圧縮ゴム層]
本発明のローエッジタイプVベルトにおいて、圧縮ゴム層は、第1のゴム成分を含むゴム組成物(加硫ゴム組成物)で形成されている。
(第1のゴム成分)
第1のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴムを用いてよく、例えば、ジエン系ゴム[天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど]、エチレン-α-オレフィンエラストマー[エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)など]、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらのゴム成分は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、エチレン-α-オレフィンエラストマー、クロロプレンゴムが好ましく、耐熱性、耐摩耗性、耐油性などに優れ、生産性も高い点から、クロロプレンゴムが特に好ましい。
第1のゴム成分がクロロプレンゴムを含む場合、第1のゴム成分中のクロロプレンゴムの割合は、前記特性及び生産性を向上できる点から、50質量%以上であってもよく、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上(特に、90~100質量%)であり、100質量%(クロロプレンゴムのみ)が最も好ましい。第1のゴム成分がエチレン-α-オレフィンエラストマーを含む場合の第1のゴム成分中のエチレン-α-オレフィンエラストマーの割合も、前記クロロプレンゴムの割合と同様である。
(第1の短繊維)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、第1の短繊維をさらに含んでいてもよい。第1の短繊維としては、ポリアミド短繊維(ポリアミド6短繊維、ポリアミド66短繊維、ポリアミド46短繊維などの脂肪族ポリアミド短繊維、アラミド短繊維など)、ポリアルキレンアリレート短繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維、ポリエチレンナフタレート短繊維など)、液晶ポリエステル短繊維、ポリアリレート短繊維(非晶質全芳香族ポリエステル短繊維など)、ビニロン短繊維、ポリビニルアルコール系短繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)短繊維などの合成短繊維;綿、麻、羊毛などの天然短繊維;カーボン短繊維などの無機短繊維などが挙げられる。これら第1の短繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、アラミド短繊維、PBO短繊維が好ましく、アラミド短繊維が特に好ましい。
第1の短繊維は、繊維状に延伸した繊維を所定の長さにカットした短繊維であってもよい。第1の短繊維は、プーリからの側圧に対するベルトの圧縮変形を抑制するため(耐側圧性を高めるため)、ベルト幅方向に配向して圧縮ゴム層中に埋設されることが好ましい。また、表面の摩擦係数を低下させてノイズ(発音)を抑制したり、プーリとの擦れによる摩耗を低減できるため、圧縮ゴム層の表面より短繊維を突出させるのが好ましい。
第1の短繊維の平均繊維長は、屈曲性を低下させることなく耐側圧性および耐摩耗性を向上できる点から、例えば、0.1~20mm、好ましくは0.5~15mm(例えば、0.5~10mm)、さらに好ましくは1~6mm(特に、2~4mm)程度であってもよい。第1の短繊維の繊維長が短すぎると、列理方向の力学特性を十分に高めることができずに耐側圧性及び耐摩耗性が低下するおそれがあり、逆に長すぎると、ゴム組成物中の短繊維の配向性が低下することにより屈曲性が低下するおそれがある。
第1の短繊維の単糸繊度は、屈曲性を低下させることなく高い補強効果を付与できる点から、例えば、1~12dtex、好ましくは1.2~10dtex(例えば、1.5~8dtex)、さらに好ましくは2~5dtex(特に、2~3dtex)程度である。単糸繊度が大きすぎると配合量当たりの耐側圧性や耐摩耗性が低下するおそれがあり、単糸繊度が小さすぎるとゴムへの分散性が低下することにより屈曲性が低下するおそれがある。
第1の短繊維は、第1のゴム成分との接着力を高めるために、汎用の接着処理を行ってもよい。このような接着処理としては、エポキシ化合物又はポリイソシアネート化合物を含む処理液に浸漬する方法、レゾルシンとホルムアルデヒドとラテックスとを含むRFL処理液に浸漬する方法、ゴム糊に浸漬する方法などが挙げられる。これらの処理は単独で適用してもよく、2種以上を組み合わせて適用してもよい。
第1の短繊維の割合は、第1のゴム成分100質量部に対して、例えば、5~50質量部、好ましくは5~40質量部(例えば8~35質量部)、さらに好ましくは10~30質量部(特に、15~25質量部)程度である。第1の短繊維が少なすぎると耐側圧性及び耐摩耗性が低下するおそれがあり、多すぎると加工性が低下したり、ベルトの屈曲性が低下することで耐久性が低下するおそれがある。
(他の成分)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、慣用の添加剤を含んでいてもよく、添加剤としては、例えば、加硫剤又は架橋剤(又は架橋剤系)(硫黄系加硫剤など)、共架橋剤(ビスマレイミド類など)、加硫助剤又は加硫促進剤(チウラム系促進剤など)、加硫遅延剤、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、充填剤[カーボンブラック、酸化ケイ素(含水シリカなど)の補強剤(補強性充填剤);クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの増量剤(非補強性充填剤又は不活性充填剤)など]、軟化剤(パラフィンオイルやナフテン系オイルなどのオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイドなど)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲き裂防止剤、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。なお、金属酸化物は架橋剤として作用してもよい。
[伸張ゴム層]
本発明のローエッジタイプVベルトは、第2のゴム成分を含むゴム組成物(加硫ゴム組成物)で形成された伸張ゴム層をさらに含んでいてもよい。
第2のゴム成分としては、第1のゴム成分で例示されたゴム成分を利用でき、好ましい態様も第1のゴム成分と同一である。第2のゴム成分は、第1のゴム成分と異なるゴム成分であってもよいが、通常、第1のゴム成分と同一である。
伸張ゴム層を形成するゴム組成物も、耐側圧性及び耐摩耗性をより向上できる点から、第2の短繊維を含むのが好ましい。圧縮ゴム層だけでなく、伸張ゴム層も短繊維として第2の短繊維を含むと、耐側圧性及び耐摩耗性がさらに向上する。第2の短繊維としては、第1の短繊維で例示された短繊維を利用でき、好ましい態様及び割合も第1の短繊維と同一である。第2の短繊維は、第1の短繊維と異なる短繊維であってもよいが、通常、第1の短繊維と同一である。
伸張ゴム層を形成するゴム組成物も、圧縮ゴム層を形成するゴム組成物で例示された他の成分をさらに含んでいてもよい。
[接着ゴム層]
本発明の伝動用Vベルトは、第3のゴム成分を含むゴム組成物(加硫ゴム組成物)で形成された接着ゴム層をさらに含んでいてもよい。
第3のゴム成分としては、第1のゴム成分で例示されたゴム成分を利用でき、好ましい態様も第1のゴム成分と同一である。第3のゴム成分は、第1のゴム成分と異なるゴム成分であってもよいが、通常、第1のゴム成分と同一である。
接着ゴム層を形成するゴム組成物も、圧縮ゴム層を形成するゴム組成物で例示された短繊維や他の成分をさらに含んでいてもよい。
[芯体]
芯体としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定間隔で配列した心線(撚りコード)を使用できる。心線は、ベルトの長手方向に延びて配設され、通常、ベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列的に延びて配設されている。心線は、少なくともその一部が接着ゴム層と接していればよく、接着ゴム層が心線を埋設する形態、接着ゴム層と伸張ゴム層との間に心線を埋設する形態、接着ゴム層と圧縮ゴム層との間に心線を埋設する形態のいずれの形態であってもよい。これらのうち、耐久性を向上できる点から、接着ゴム層が心線を埋設する形態が好ましい。
心線を構成する繊維としては、前記短繊維と同様の繊維が例示できる。前記繊維のうち、高モジュラスの点から、エチレンテレフタレート、エチレン-2,6-ナフタレートなどのC2-4アルキレン-C6-12アリレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維)、アラミド繊維などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維などがよく利用され、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート系繊維など)、ポリアミド繊維が好ましい。繊維はマルチフィラメント糸であってもよい。マルチフィラメント糸の繊度は、例えば、2000~10000dtex(特に、4000~8000dtex)程度であってもよい。マルチフィラメント糸は、例えば、100~5000本であってもよく、好ましくは500~4000本、さらに好ましくは1000~3000本程度のモノフィラメント糸を含んでいてもよい。
心線としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線の平均線径(撚りコードの直径)は、例えば、0.5~3mmであってもよく、好ましくは0.6~2mm、さらに好ましくは0.7~1.5mm程度であってもよい。
心線は、ゴム成分との接着性を改善するため、短繊維と同様の方法で接着処理(又は表面処理)されていてもよい。心線は、少なくともRFL液で接着処理するのが好ましい。
[外周側の補強布]
本発明のローエッジタイプVベルトにおいて、ベルト外周側に補強布を使用する場合、伸張ゴム層の表面に補強布を積層する形態に限定されず、例えば、伸張ゴム層に補強層を埋設する形態(例えば、特開2010-230146号公報に記載の形態など)であってもよい。補強布は、例えば、織布、広角度帆布、編布(例えば、上述の編布など)、不織布などの布材(好ましくは織布)などで形成できる。必要であれば、前記接着処理、例えば、RFL液で処理(浸漬処理など)を施したり、接着ゴムを前記布材に擦り込むフリクションや、前記接着ゴムと前記布材とを積層(コーティング)した後、伸張ゴム層の表面に積層してもよい。
[ローエッジタイプVベルトの製造方法]
本発明の伝動用Vベルトの製造方法は、圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を、浮き編部を少なくとも有する編布で被覆した状態で加硫する加硫工程を含む以外は、特に限定されず、各層の積層工程(ベルトスリーブの製造方法)に関しては、慣用の方法を利用してもよい。
例えば、円筒状の金型に、編布、圧縮ゴム層用未加硫シート、第1の接着ゴム層用未加硫シート(下接着ゴム)を順次に巻き付けて積層し、芯体となる心線を螺旋状にスピニングした後、[必要に応じて、前記第1の接着ゴム層用シートと同じ第2の接着ゴム層用未加硫シート(上接着ゴム)、]伸張ゴム層用未加硫シート、外周側の補強布をこの順に巻き付け、母型及びジャケットを被せて金型を加硫缶に設置して加硫することによりベルトスリーブを調製してもよい。得られたベルトスリーブは、カッターなどを用いて、V状に切断加工してもよい。
また、編布が、よこ編で形成された平面状の形態である場合、ベルトの補強性又は耐久性を有効に向上する点から、対向する端部をつなぎ合わせて(ジョイント部を形成して)筒状の形態(筒状編布)とし、円筒状金型に被せるのが好ましい。一方、編布が丸編で形成された筒状の形態である場合は、ジョイント部を形成する工程が不要となるため、生産性の点で有利である。
なお、加硫温度及び時間は、編布の伸縮性を保持する観点から、編布を形成する糸の溶融などにより編組織が完全に消失しない程度であればよく、加硫温度は、例えば、120~200℃、好ましくは150~180℃程度であってもよく、加硫時間は、例えば、10~120分、好ましくは30~60分程度であってもよい。
また、少なくとも内周側にコグ部が形成されたローエッジコグドVベルトを調製する場合、前記円筒状の金型として、円筒の外周側表面にコグ形状に対応する凹凸面が刻設されたコグ付き型などが利用できる。コグ付き型を用いる場合、編布は、必要に応じて、ピニオンロールなどを利用して凹凸面に沿うように押し込んでもよい。しかし、本発明では、少なくとも浮き編部を有し、伸縮性に優れた編布を用いるため、前述のように編布を金型凹部に押し込んで凹凸面に沿わせなくても、積層した圧縮ゴム層用未加硫シート側から圧力を加えつつ加硫することで、圧縮ゴム層用組成物とともに編布が伸縮しつつ金型の凹凸面に押し付けることができ(凹面に圧入でき)、コグ形状の不良又は異常を起こすことなく容易に転写できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、実施例に用いた材料、ベルトの調製方法及び評価方法を以下に示す。なお、特にことわりのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[使用材料]
CR(クロロプレンゴム):DENKA(株)製「PM-40」
アラミド短繊維:帝人(株)製「トワロン(登録商標)」、モジュラス88cN、繊度2.2dtex、繊維長3mm
ナフテン系オイル:出光興産(株)製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルNS-90S」
シリカ:エボニックジャパン(株)製、「ULTRASIL(登録商標)VN3」、BET比表面積175m/g
カーボンブラックHAF:東海カーボン(株)製「シースト(登録商標)3」
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック(登録商標)AD-F」
加硫促進剤TT:大内新興化学工業(株)製「ノクセラー(登録商標)TT」
心線:1100dtexのアラミド繊維の束を2×3の撚り構成で、上撚り係数3.0、下撚り係数3.0で諸撚りした総繊度6600dtexの撚りコードにRFL液で接着処理を施した処理コード
スパンデックス:旭化成(株)製「ロイカ」、単糸繊度33dtex又は20dtexのモノフィラメント糸
ナイロン6のフィラメント糸:東レ(株)製「東レナイロン」、単糸繊度78dtex又は44dtexのマルチフィラメント糸
ナイロン66のフィラメント糸:東レ(株)製「東レナイロン」、単糸繊度78dtexのマルチフィラメント糸
RFL液:レゾルシン2.6質量部、37%ホルマリン1.4質量部、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス17.2質量部、水78.8質量部を含む溶液。
[圧縮ゴム、伸張ゴム、接着ゴム層用ゴム組成物]
圧縮ゴム層、伸張ゴム層及び接着ゴム層を形成するためのゴム組成物は、それぞれ、下記表1記載の配合比でバンバリーミキサーなどの公知の方法を用いてゴム練りを行い、この練りゴムをカレンダーロールに通して、未加硫の圧延ゴムシート(圧縮ゴム層用シート、伸張ゴム層用シート、接着ゴム層用シート)を作製した。なお、短繊維は、RFL液で接着処理し、固形分の付着率6質量%の短繊維を用いた。
Figure 0007277350000001
[ベルトの製造]
後述する方法で調製した筒状編布(緯編布)に、RFL液を用いて接着処理(RFL処理)を施した。具体的には、筒状編布をRFL液に10秒間浸漬後、2本のロールの間(線圧2kgf/cm)を通過させて余分なRFL液を除去し、170℃で5分間乾燥した。外周に凸部と凹部とを交互に設けた円筒状の金型(ベルト内周側のコグ高さに対応する凸部と凹部との距離が6.0mmである金型)の外周に、RFL処理した筒状編布、圧縮ゴム層用シート(未加硫ゴム)、接着ゴム層用シート(未加硫ゴム)をこの順に、ピニオンロールなどで金型の凹部に押し込むことなく積層した。その後、心線を螺旋状にスピニングし、この上に接着ゴム層用シート(上記接着ゴム層用シートと同じ)、伸張ゴム層用シート(未加硫ゴム)を順次巻き付けて成形体を作製した。その後、ベルト外周側にコグ形状を形成するための母型及びジャケットを被せて金型を加硫缶に設置し、温度170℃、時間40分で加硫してベルトスリーブを得た。このスリーブをカッターでV字状に切断して、ベルト内周側と外周側にコグを有する変速ベルトであるローエッジダブルコグドVベルト(サイズ:上幅33.0mm、厚み(内周側コグ山部から外周側コグ山部までの距離)16.0mm、V角度28度、コグ高さ(内周側)約6.0mm、コグ高さ(外周側)2.8mm、ベルト外周長さ1100mm)を作製した。
[耐久走行試験]
耐久走行試験は、図4に示すように、直径100mmの駆動プーリ22、直径100mmの従動プーリ23、直径80mmの背面アイドラプーリ24を備える走行試験機を用いて行った。各プーリにローエッジダブルコグドVベルト21を掛架し、アイドラプーリ24へのベルト巻きかけ角度が160度となるように調節し、駆動プーリ22の回転数を3600rpm、軸荷重付加機構25によって発生させる軸荷重(デッドウェイト)を115kgfとし、雰囲気温度80℃にてベルト21を走行させ、コグ谷に発生した亀裂が心線に達して寿命となるまでの時間を測定した。
[50N時伸張率及び引張強力の測定]
RFL処理を行う前の未処理編布から、幅3cm、長さ30cmの短冊状の試料を採取(カット)した。短冊状の試料の長さ方向は編布のコース方向と略平行となるようにした。短冊状の試料をオートグラフ((株)島津製作所製「AGS-J10kN」)に掴み間隔20cmでたるまないようにセットした。短冊状の試料を引張速度200mm/分の条件で引張り、歪みと引張力を記録した。得られた歪みと引張力の関係から、引張力が50Nである時の歪みを50N時伸張率とした。同様に、歪みと引張力の関係から、短冊状の試料が切断する直前の引張力(最大引張力)を引張強力とした。それぞれの編布について任意の3点から短冊状の試料を採取し、それらの測定値の平均値を採用した。
[内周側コグ高さ測定]
コグ高さは、接触型形状測定器((株)ミツトヨ製「CBH-1」)を用いてベルトの内周側のコグ部の形状をトレースし、その形状データを基に解析ソフトを用いて測定した。1つのベルトについて任意の4点についてコグ高さの測定を行い、4点の測定値の平均値を採用した。
[実施例1]
芯糸としての単糸繊度33dtexのスパンデックス(モノフィラメント糸)の周囲に、鞘糸としての単糸繊度78dtexのナイロン6のマルチフィラメント糸1本を巻きつけたカバリング糸(シングルカバリングヤーン)を用いて、釜径30インチの丸編機により、直径320mm(周長1005mm)×長さ800mm×平均厚み0.8mm、目付け200g/mのジョイント部を有しない筒状編布(丸編布)を調製した。スパンデックスとナイロンとの質量比は30:70であった。編布の組織(筒状編布(丸編布)の内側から見た組織)は、平編を基本としながら、図3(a)及び(b)に示すようにループ部と浮き編部とが交互に配され、浮き編比率は50%であった。ウェール方向の編目密度は70コース/インチ、コース方向の編目密度は110ウェール/インチであり、ウェール方向の編目密度とコース方向の編目密度との比は、約1/1.57であった。なお、ベルトの製造に際して、編布の表面又は表目側(編成した筒状編布の外側)が圧縮ゴム層側となるように(裏返すことなく)前記円筒状の金型に被せ、編布のコース方向がベルト周長方向(ベルト長さ方向)とほぼ平行になるように積層した。
[実施例2]
編布の組織(筒状編布の内側から見た組織)を図5(a)及び(b)に示すように変更して、浮き編部の比率を25%とした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[実施例3]
芯糸としての単糸繊度を20dtexのスパンデックス(モノフィラメント糸)の周囲に、鞘糸としての単糸繊度を44dtexのナイロン6のマルチフィラメント糸1本を巻き付けたカバリング糸(シングルカバリングヤーン)を用いて、平均厚み0.5mm、目付け120g/mとした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[実施例4]
鞘糸の材質をナイロン66とした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[実施例5]
編布の組織を図6(a)及び(b)に示すように、1×1のリブ編を基本として浮き編部を編成した以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[実施例6]
編布の組織(筒状編布の内側から見た組織)を図7(a)及び(b)に示すように変更して、浮き編部の比率を約67%とした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[実施例7]
編布の組織(筒状編布の内側から見た組織)を図8(a)及び(b)に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[実施例8]
コース方向の編目密度を90ウェール/インチとした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。なお、ウェール方向の編目密度とコース方向の編目密度との比は、約1/1.29であった。
[実施例9]
ウェール方向の編目密度を50コース/インチとした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。なお、ウェール方向の編目密度とコース方向の編目密度との比は、1/2.2であった。
[実施例10]
ウェール方向の編目密度を80コース/インチ、コース方向の編目密度を130ウェール/インチとした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。なお、ウェール方向の編目密度とコース方向の編目密度との比は、約1/1.63であった。
[実施例11]
実施例1と同様の筒状編布を用いて、筒状編布の内側と外側とを反転させ、編布の裏面(又は裏目)側(編成した筒状編布の内側)が圧縮ゴム層側となるように前記円筒状の金型に被せた以外は、実施例1と同様にしてベルトを製造した。
[実施例12]
実施例1と同様の筒状編布を切り開いた後に溶着してジョイント部を有する筒状編布を調製し、得られたジョイント部を有する筒状編布のコース方向がベルト幅方向とほぼ平行になるように積層した以外は、実施例1と同様にしてベルトを製造した。詳しくは、図9に示すように、実施例1で調製したジョイント部を有しない筒状編布を軸方向(筒の高さ方向)にほぼ平行に切り開き、この切り開いた端部と直交して互いに対向する端部同士を超音波溶着機でジョイントして、コース方向が軸方向とほぼ平行な筒状編布を作製し、前記円筒状の金型に被せてベルトを製造した。なお、編布の表面又は表目側(ジョイント部を有する筒状編布の外側)が圧縮ゴム層側となるように積層した。
[参考例1]
浮き編部の比率を0%とした以外は、実施例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
[比較例1]
組織を1×1のリブ編とした以外は、参考例1と同様にして筒状編布およびベルトを調製した。
結果を表2~3に示す。なお、表2~3中の各例において、実施例1の調製条件から変更した項目を太字で示した。
Figure 0007277350000002
Figure 0007277350000003
表2~3の結果から明らかなように、浮き編部を有する実施例1~12は、浮き編部を有しない参考例1及び比較例1と比べて走行寿命が長かった。一方、参考例1及び比較例1は、編布の伸張率が十分ではないためにコグ高さが低くなり、走行寿命が短かった。
実施例2は、実施例1に対して浮き編部の比率が低いためか、コグ高さが少し低くなり、走行寿命も少し短めであった。一方、実施例1に対して浮き編部の比率が高い実施例6では、ループ部が少なく織布に近い構造となるためか、50N時伸長率が低下してコグ高さが少し低くなり、走行寿命も少し低下した。また、浮き編比率が50%で、ループ部と浮き編部とが交互配列であるウェール及びコースを含まない実施例7では、編布の伸びが不均一となるためか、実施例1に対して走行寿命が若干低下したものの、実施例2、6よりはコグ高さ及び走行寿命が優れていた。
実施例3は、実施例1に対して芯糸および鞘糸の繊度が小さく引張強力が低いためか、編布に亀裂が発生して走行寿命が少し短めであった。実施例1から鞘糸の材質を変更した実施例4では、編布の伸縮性と引張強力とが共に高かったことから、実施例1と同様に走行寿命が最も長くなった。
表目と裏目とが交互にあらわれる(編地に裏表がない)1×1リブ編を基本として浮き編部を編成した実施例5は、表目と裏目とがそれぞれ一方の面にあらわれる(編地に裏表がある)平編の表目側を圧縮ゴム層に向けて積層した実施例1と同等の結果であった。一方、実施例1に対して、編布(平編)の表裏を反転させて裏目側を圧縮ゴム層に向けて積層した実施例11では、裏目に接着成分であるRFL液の付着率が低いためか、走行寿命が低下した。
実施例1に対して、コース方向の編目密度が小さい実施例8では、コース方向(実施例8ではベルト周長方向)の50N時伸張率が低下し、コグ高さおよび走行寿命が低下した。一方、ウェール方向の編目密度が小さい実施例9では、引張強力が低下し、コグ谷における亀裂が発生して走行寿命が低下した。また、コース方向及びウェール方向の双方の編目密度が大きい実施例10では、50N時伸張率及びコグ高さが若干低下したものの、引張強力は向上し、走行寿命が実施例1と同等であった。
編布のコース方向をベルト幅方向に向けた実施例12では、編布のウェール方向がコース方向よりも伸び難く、実施例1に比べてベルト周長方向の伸びが低下して、コグ高さおよび走行寿命が低下した。
これらの実施例のうち、耐久性に優れ、かつコグ部を有していても高い生産性で製造できる点から、実施例1、4および5が好ましい。
本発明のローエッジタイプVベルトは、ローエッジVベルト、コグ部を有するローエッジコグドVベルトなどに適用でき、コグ谷での亀裂を有効に抑制できる点から、ローエッジコグドVベルト、ローエッジダブルコグドVベルトに有用である。
1…ローエッジコグドVベルト
2…外周側の補強布
3…伸張ゴム層
4…接着ゴム層
4a…芯体
5…圧縮ゴム層
6…編布
7…浮き編部(ウェルト)
8…ループ部(ニットループ)

Claims (16)

  1. 圧縮ゴム層と、この圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を被覆する編布とを含むローエッジタイプVベルトであって、前記編布が、少なくとも浮き編部を有し、前記浮き編部の数の割合が、前記編布を形成する基本要素の総数に対して、20~80%であり、
    前記編布のコース方向が、ベルト長手方向に配向しているローエッジタイプVベルト。
  2. 編布を形成する組織が、コース方向及びウェール方向において、浮き編部とニットループ部とが交互に配列されている請求項1記載のローエッジタイプVベルト。
  3. JIS L 1096(2010)に準拠して測定した編布のウェール方向の密度が40~100/インチであり、JIS L 1096(2010)に準拠して測定したウェール方向の密度とコース方向の密度との割合が、前者/後者=1/1~1/2である請求項1又は2記載のローエッジタイプVベルト。
  4. 編布が丸編である請求項1~のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  5. 編布を形成する糸が、伸縮性糸である請求項1~のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  6. 編布を形成する糸が、カバリング糸である請求項1~のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  7. カバリング糸の鞘糸が、ポリアミド繊維である請求項記載のローエッジタイプVベルト。
  8. カバリング糸の鞘糸の繊度が、40~150dtexである請求項又は記載のローエッジタイプVベルト。
  9. 編布が、ポリウレタン繊維及びポリアミド繊維を含み、その割合が、前者/後者(質量比)=20/80~40/60である請求項1~のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  10. 編布の50N/3cm時伸長率が260~1000%であり、かつ引張強力が80~500N/3cmである請求項1~のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  11. 圧縮ゴム層がコグ部を有し、かつ編布が少なくとも前記コグ部のコグ谷を被覆する請求項1~10のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  12. 編布が圧縮ゴム層の内周面全体を被覆する請求項1~11のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  13. ローエッジコグドVベルト又はローエッジダブルコグドVベルトである請求項1~12のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  14. コグ部の高さが、1~20mmである請求項1113のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルト。
  15. 圧縮ゴム層の内周面の少なくとも一部の領域を、浮き編部を少なくとも有し、かつ前記浮き編部の数の割合が、編布を形成する基本要素の総数に対して20~80%である編布で、前記編布のコース方向をベルト長手方向に配向させて被覆した状態で加硫する加硫工程を含む請求項1~14のいずれか一項に記載のローエッジタイプVベルトの製造方法。
  16. 編布が丸編であり、加硫工程において、円筒状の型に筒状の編布を被せ、この編布に圧縮ゴム層を形成するための未加硫ゴム組成物を積層した状態で加硫する請求項15記載の製造方法。
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