JP7277165B2 - 塗膜形成装置、塗膜形成方法及び部材製造方法 - Google Patents

塗膜形成装置、塗膜形成方法及び部材製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、円筒状または円柱状、及びシート状の基材の表面へ塗膜を形成する塗膜形成装置及び塗膜形成方法に関する。
また本発明は、上記塗膜形成方法を用いた円筒状部材または円柱状部材、及びシート状部材の製造方法に関するものである。
円筒状または円柱状の基体(以降「円筒状基体」とも記載する。)や、シート状の基体の表面にゴムや樹脂等を含む液状材料を塗布して塗膜を均一に形成する手法としては、リング塗工法やスリット塗工法が知られている。
従来、リング塗工法およびスリット塗工法では、タンクからポンプなどにより押し出された液状材料が配管を経由し、1~2箇所から塗工ヘッドに供給されている。さらに塗工ヘッド内ではノズルで液状材料が均一に流れるようにトーナメント方式の流路を形成したり、マニホールドで塗工ヘッド内の液圧をノズル方向に向けて均一にしたりするなどの工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、一つの材料注入口より注入された液状材料を、マニホールドを持った塗工ヘッドによって、ノズル方向に向けて均一に吐出する技術が開示されている。
一方、近年の部材の一層の高品位化に伴い、円筒状部材及びシート状部材等に対してもより一層の高精度化が要求されており、ノズルから液状材料を高精度に吐出する必要がある。ノズルから高精度に吐出する手法としては、分配室に供給された液状材料をピストンによりノズル方向に均一に吐出する手法がある。特許文献2には、分配室に供給させた液状材料を環状ピストンで吐出方向に移動させることで、周方向から高精度に均一に吐出する技術が開示されている。
特開2010-5616号公報 特開2008-155087号公報
上記特許文献2に開示されている製造方法では、液状材料の種類によっては、連続成形時において、吐出後に環状のピストンを最も後退した位置に移動させた時、環状スリットからノズル内に空気を巻き込む場合があった。この場合、吐出前に、ノズル内から空気を排出しなくては良好な塗膜を形成することが困難となることがある。そこで、本発明者らは、多様な液状材料においても、吐出後にノズル内への空気の巻き込みを防止し、次の吐出を円滑に行うことができる塗膜形成装置が必要であるとの認識を得るに至った。
そこで、本発明の一態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好な塗膜を形成し得る塗膜形成装置の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好な塗膜の形成方法の提供に向けたものである。
さらに、本発明の他の態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好な円筒状部材の製造方法の提供に向けたものである。
さらにまた、本発明の他の態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好なシート状部材の製造方法の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、基体の上に液状材料の塗膜を形成する塗膜形成装置であって、下記(a)~(g)を具備する塗膜形成装置が提供される。
(a)該液状材料を貯蔵しているタンク、
(b)該液状材料を基体の上に供給する塗工ヘッドであって、
該塗工ヘッドは、
該液状材料を吐出するノズル、
該ノズルに連通している、該ノズルより吐出される該液状材料の貯留部、
該貯留部に該液状材料を供給する供給口、及び
該貯留部に臨んで配置され、往動させることによって、該貯留部に蓄えられた該液状材料を加圧して、該ノズルから押し出すピストン、を具備し、
該供給口は、該ピストンが往動時に達することができる限界の位置よりも該ノズルに近い位置に配置されている;
(c)該タンクと該供給口を連結する流路、
(d)該タンクから該貯留部に該液状材料を供給する供給手段、
(e)該タンクから該貯留部への該液状材料の供給を遮断する手段、
(f)該ノズルの遮蔽手段、並びに
(g)該基体と該塗工ヘッドとを相対的に移動させる手段。
また、本発明の他の態様によれば、上記の塗膜形成装置を用いて、基体の上に液状材料の塗膜を形成する塗膜形成方法であって、下記(1)~(5)の工程を含む塗膜形成方法が提供される。
(1)該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
(2)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出しつつ、該基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、第1の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程;
(3)該工程(2)の後、該ノズルを遮蔽し、該ノズルの遮蔽を維持した状態で、該遮断する手段による該タンクから該貯留部への材料供給の遮断を解除し、該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、該ピストンを復動させつつ、該貯留部に該液状材料を貯留させ、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
(4)該工程(3)で遮蔽したノズルを開放する工程;並びに
(5)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出し、該基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、第2の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程。
また、本発明の他の態様によれば、円筒状または円柱状の基体と、該基体の外周面上の塗膜と、を有する円筒状部材または円柱状部材の製造方法であって、
上記の塗膜形成方法を用いて、円筒状または円柱状の基体の外周面に液状材料の塗膜を形成する工程を有する、円筒状部材または円柱状部材の製造方法が提供される。
さらに、本発明の他の態様によれば、シート状の基体と、該基体の上の塗膜と、を有するシート状部材の製造方法であって、
上記の塗膜形成方法を用いて、シート状の基体の上に液状材料の塗膜を形成する工程を有する、シート状部材の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、寸法精度の良好な塗膜を形成し得る塗膜形成装置を得ること
ができる。また、本発明の他の態様によれば、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成
形が可能で、かつ寸法精度の良好な塗膜の形成方法を得ることができる。
さらに、本発明の他の態様によれば、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可
能で、かつ寸法精度の良好な円筒状部材を得ることができる。さらにまた、本発明の他の
態様によれば、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良
好なシート状部材を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。 (a)~(c)は本発明の第1の実施の形態における塗工ヘッドの概略断面図である。 (a)~(b)は本発明の第1の実施の形態に係る塗工ヘッドへの材料供給の具体的な挙動を示した図である。 (a)~(c)は本発明の第1の実施の形態に係る塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。 (a)~(c)は本発明の第1の実施の形態に係る塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。 本発明の第2の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。 本発明の第2の実施の形態における塗工ヘッドの概略断面図である。 (a)~(b)は本発明の第2の実施の形態に係る塗工ヘッドへの材料供給の具体的な挙動を示した図である。 (a)~(c)は本発明の第2の実施の形態に係る塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。 (a)~(c)は本発明の第2の実施の形態に係る塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。 比較例における塗膜形成装置の概略説明図である。 比較例における塗工ヘッドの概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。 (a)~(c)は本発明の第3の実施の形態に係る塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。 (a)~(c)は本発明の第3の実施の形態に係る塗工ヘッドへの材料供給の具体的な挙動を示した図である。
以下、本発明における実施の形態を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[1]第1の実施の形態
以下に、第1の実施の形態を図面を参照して順に説明する。
図1は、第1の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。
架台101の上に略垂直にコラム102が取り付けられている。架台101とコラム102の上部に精密ボールネジ103が鉛直方向に平行に取り付けられている。2本のリニアガイド104が、精密ボールネジ103と平行にコラム102上に取り付けられている。プレート114は、リニアガイド104と精密ボールネジ103とを連結し、サーボモータ105より回転運動が伝達されて昇降できるようになっている。
コラム102には、塗工ヘッド108が取り付けられている。塗工ヘッド108は、環状ノズルから液状材料(例えば、未硬化の液状ゴム)を円筒状または円柱状の基体の外周面に吐出して、円筒状部材または円柱状部材を製造する。本実施の形態では、塗工ヘッド108は円筒状基体112の外周面に液状材料を吐出して、円筒状部材を製造する。塗工ヘッド108には液状材料を貯蔵しているタンク111から給送ポンプ117によって材料流路113を通って、供給口115から液状材料が供給される。材料流路113には液状材料の供給を遮断する開閉バルブ116が取り付けられており、開閉バルブ116を開閉することで、材料を供給及び停止することができる。さらに塗工ヘッド108には、オイル供給口120が取り付けられている。オイルは貯蔵しているオイルタンク119より配管121を通り、オイル供給口120より塗工ヘッド108に供給される。
プレート114には上ブラケット106および下ブラケット107が取り付けられている。
下ブラケット107には円筒状基体112を保持、固定する下保持軸110が取り付けられている。
下保持軸110には、塗工ヘッドの内周面をシールする遮蔽部材118が取り付けられている。
上ブラケット106には上保持軸109が取り付けられおり、上保持軸109は下保持軸110に対向して同芯になるように配置して円筒状基体112を保持している。
塗工ヘッド108の中心軸は下保持軸110と上保持軸109の移動方向と平行となるようにそれぞれに支持されている。
下保持軸110および上保持軸109の移動時において、塗工ヘッド108の内側に開口した環状ノズルの中心軸と下保持軸110および上保持軸109の中心軸とが同芯となるように調節してある。
このような構成により塗工ヘッド108の環状ノズルの中心軸と、円筒状基体の中心軸とを同芯に合わせることができる。塗工ヘッドの内周面と円筒状基体112の外周面との間には、均一な隙間が形成される。
[1-1]塗工ヘッド
図2(a)は、図1中の塗工ヘッド108の概略断面図である。図2(b)、(c)は各々、図2(a)に示した塗工ヘッド108のA-A線及びB-B線における断面図である。
塗工ヘッド108は、中空円筒形の内リング(以下、内リング)201および中空円筒形のキャップリング(以下、キャップリング)202が、中空円筒形の外リング(以下、外リング)205を保持することによって構成されている。外リング205は、供給口115を少なくとも一つ有する。塗工ヘッド108の内部には環状の貯留部206が存在し、貯留部206にはリング状のピストン204が配されている。ピストン204より上側を貯留部206Aとし、ピストン204より下側を貯留部206Bとする。
貯留部206Aは、供給口115を経て材料流路113に連通しており、図1に示したタンク111から送られた液状材料が貯留部206Aに供給される。
貯留部206Bは、オイル供給口120を経て配管121に連通しており、図1に示したオイルタンク119から送られたオイルが貯留部206Bに供給される。
内側に開口した環状ノズル203は、内リング201及びキャップリング202により、制御され、貯留部206Aと連通している。
リング状のピストン204は、供給口115より貯留部206A内に供給された液状材料を加圧し、環状ノズル203から吐出させる。液状材料の加圧方法は、オイル供給口120から貯留部206Bにオイルを供給し、ピストン204が貯留部206A側に移動(往動)することで、液状材料を加圧することができる(油圧駆動)。ピストン204の往動により、貯留部206A内の全周に亘って分配された材料は、環状ノズル203から均一な圧力で吐出される。なお、ここでは、ピストン204の往動は貯留部206Bへのオイル供給によるものを例示するが、サーボモータ等をピストン204に連結して、ピストン204を往動させてもよい(モータ駆動)。
ピストン204は、貯留部206内を図2(a)に示す可動範囲L1の中で往復移動することができる。可動範囲L1は、内リング201や外リング205の形状及びストッパー等により制御する。図2(a)には外リング205の内周面に設けた段差により制御する例を示す。寸法精度の良好な塗膜を形成するため、ピストン204が可動範囲L1の下限位置から上限位置へ移動することによって貯留部206Aから吐出可能な量が、1本の円筒状基体に塗膜を形成するために必要な吐出量よりも多くなるようにする必要がある。「1本の円筒状基体に塗膜を形成するために必要な吐出量」とは「1本の円筒状基体の外周面の塗膜形成が必要な全領域に塗膜を形成するために必要な吐出量」を意味する。
また、ピストン204が可動範囲L1の中のどこに位置していても、供給口115から貯留部206A内に液状材料を供給可能とするために、供給口115はピストンの可動範囲L1の上限位置よりも環状ノズル側(図2(a)において上方)に配置している。
可動範囲L1の上限位置は、ピストン204が往動時に達することができる限界の位置である。供給口115をピストン204の可動範囲L1の上限位置よりも環状ノズル側に配置することによって、ピストンが往動中、往動から復動への反転時、復動中及び復動から往動への反転時のいずれのときも、ピストンは供給口からの液状材料の供給を妨げない。
同様に、ピストン204が可動範囲L1の中のどこに位置していても、オイル供給口120から貯留部206B内にオイルを供給可能とするために、オイル供給口120はピストンの可動範囲L1の下限位置よりも下流側(図2(a)において下方)に配置している。
可動範囲L1の下限位置は、ピストン204が復動時に達することができる限界の位置である。オイル供給口120をピストン204の可動範囲L1の下限位置よりも下流側に配置することによって、ピストンが往動中、往動から復動への反転時、復動中及び復動から往動への反転時のいずれのときも、ピストンはオイル供給口からのオイルの供給を妨げない。
なお、ここでは、塗工ヘッド108が、複数の部材から構成される例を示すが、一体成形型であってもよいし、また、構成部材の数は例示の数より多くても少なくてもよい。なお、塗工ヘッド108の内径および環状ノズル203の幅W1は、基体の周囲に塗工する液状材料の膜厚や粘度、固形分、塗工速度により適宜選ばれる。
[1-2]当該塗膜形成装置を用いた塗膜形成方法、円筒状部材の製造方法
次に、基体の外周面上に液状材料からなる円筒形状の塗膜を形成する方法を説明する。
[1-2-1]第1の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給
図3(a)~(b)は塗工ヘッドへの材料供給の際の具体的な挙動を示した図である。
(a)は材料供給により貯留部が充填した状態を示した図である。(b)は材料供給の停止の状態を示した図である。
塗工ヘッド108を固定とし、円筒状基体112を軸方向に移動させる場合において、
塗工ヘッド108の貯留部206A及び環状ノズル203には、図3(a)に示すように、液状材料を充填する。バルブ116を開くと、液状材料は図1に示すタンク111から、給送ポンプ117によって材料流路113を通り、供給口115から貯留部206Aへ所定量供給される。ここで貯留部206A及び環状ノズル203への供給量は、基体表面に形成する塗膜の厚さ、基体の長さなどを考慮して、基体表面への吐出量に応じ、適宜設定すればよい。
また、貯留部206Bにはオイルを図1に示したオイルタンク119から送り、充填する。
次いで、図3(b)に示したように、液状材料の供給が終了後、バルブ116を閉じ、貯留部206Aへの供給を停止して、第1の基体表面への塗膜形成に向けた、塗工ヘッド108への材料供給が完了する。
[1-2-2]第1の基体表面への塗膜形成
図4(a)~(c)に基体の表面への塗膜形成時の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示す。(a)は塗工前の状態を示した図である。(b)は塗工中の状態を示した図である。(c)は塗工終了の状態を示した図である。
まず、図3に示した材料供給の完了後、図1に示す上保持軸109および下保持軸110により円筒状基体112を把持する。
円筒状基体112の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、アルミニウム、銅等またはそれらの合金の他に、熱硬化性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどを用いることができる。
次いで、図4(a)に示したように、円筒状基体112における塗膜の塗工開始場所を塗工ヘッド108の環状ノズル203の位置(高さ)に合わせるように円筒状基体112を移動させる。
次いで、図4(b)に示したように、ピストン204を図4(b)中の矢印Aの方向に往動させて、貯留部206A内の液状材料を環状ノズル203に向けて押し出し、環状ノズル203から吐出させる。ピストン204は、オイル供給口120から貯留部206Bにオイルを供給することで往動させる。ここでは貯留部206Bにはオイルを供給しているが、特に限定されるものではなく、オイル以外の液体であってもよく、また気体であってもよいが、特に駆動伝達の応答性を考慮すると、非圧縮性の液体を使用するのが好ましい。
さらに液状材料を吐出させると同時に、基体保持軸に把持された円筒状基体112を鉛直方向に移動させ、基体の長さに応じて、所望の距離を移動させることで、図4(c)に示したように基体の外周面上に液状材料からなる円筒形状の塗膜が形成される。
[1-2-3]第2の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給
図5は第1の基体表面への塗膜形成後、連続して第2の基体表面へ塗膜を形成するための材料供給の際の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。(a)は材料供給前の状態を示したである。(b)は材料供給により材料が貯留部に充填される状態を示した図である。(c)は材料供給の停止の状態を示した図である。
まず図5(a)に示したように、図1に示す下保持軸110に取付けられた環状の遮蔽部材118を環状ノズル203の位置に合わせるように移動し、環状ノズル全周を遮蔽する。これにより、塗工ヘッド内を密閉状態にすることができる。
遮蔽部材118は、環状ノズル203を遮蔽して、塗工ヘッド内を密閉することができればよく、材質としては、特に限定されるものではない。例えば、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴム等の一般的なゴム材料が適用できる。
次いで、図5(b)に示したように、環状ノズル203の遮蔽を維持した状態で、バルブ116を開いて材料供給の遮断を解除する。そして、液状材料を図1に示すタンク111から、給送ポンプ117によって材料流路113、及び供給口115を経て貯留部206Aに供給する。これにより、貯留部206A内は陽圧となり、環状ノズル203は密閉状態のため、ピストン204が液状材料の圧力で貯留部206B側である図5(b)中の矢印Bの方向に移動(復動)する。ピストン204の復動により、貯留部206Bに充填されていたオイルは押出され、オイル供給口120より配管121を通ってオイルタンク119に送られる。液状材料を第1の基体同様に所定量供給することで、貯留部206Aには液状材料が充填される。
次いで、図5(c)に示したように、液状材料の供給が終了後、バルブ116を閉じ、貯留部206Aへの供給を停止して、第2の基体表面への塗膜形成に向けた、塗工ヘッド108への材料供給が完了する。その後、遮蔽部材118が鉛直方向に移動して、環状ノズル203を開放状態にする。
このように、環状ノズル203を遮蔽した状態で貯留部206Aへの材料供給を実施することによって、貯留部206A内を陽圧にすることが可能となり、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。
[1-2-4]第2の基体表面への塗膜成形
第2の基体の表面への塗膜形成方法は図4で示した第1の基体表面への塗膜形成方法で実施することができる。
上記の方法によれば、連続成形においても、環状ノズル203を遮蔽した状態で材料を供給することが可能となり、貯留部206A内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。それにより、貯留部206A内に環状に分配された液状材料に対してリング状のピストン204を用いて均一に圧力を加え、環状ノズル203からの吐出を均一にすることができる。そのため、吐出時に周方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ない円筒形状の塗膜を形成することができる。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好な円筒状部材を製造することができる。
上記の説明では塗工ヘッド108の位置(高さ)を固定し、円筒状基体112を中心軸方向に移動させている。これに対し、円筒状基体112の位置(高さ)を固定し、塗工ヘッド108を円筒状基体112の中心軸方向に移動させることもできる。すなわち、塗工ヘッドを円筒状基体に対し、相対的に移動させることで、基体の外周面上に液状材料からなる円筒状の塗膜を形成する際に、塗工ヘッド108または円筒状基体112のどちらを移動させてもよい。
[2]第2の実施の形態
以下に、第2の実施の形態を図面を参照して順に説明する。
図6は、第2の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。
架台301の上に精密ボールネジ303が水平方向に平行に取り付けられている。2本のリニアガイド304が、精密ボールネジ303と平行に架台301上に取り付けられている。プレート314は、リニアガイド304と精密ボールネジ303とを連結し、サーボモータ305より回転運動が伝達されて水平移動できるようになっている。
架台301には、塗工ヘッド308が取り付けられている。塗工ヘッド308は、紙面奥行方向(以下、奥行)に幅を持っているシート状基体312の表面に、奥行のある板状ノズル403から液状材料(例えば、未硬化の液状ゴム)を吐出する。塗工ヘッド308には液状材料を貯蔵しているタンク311から給送ポンプ317によって材料流路313を通って、供給口315から液状材料が供給される。材料流路313には液状材料の供給を遮断する開閉バルブ316が取り付けられており、バルブ316を開閉することで、材料を供給及び停止することができる。さらに塗工ヘッド308には、オイル供給口320が取り付けられている。オイルは貯蔵しているオイルタンク319より配管321を通り、オイル供給口320より塗工ヘッド308に供給される。
プレート314にはシート状基体312を保持、固定する奥行のある保持プレート309が取り付けられている。さらに、プレート314には、板状ノズル403の開口した先端面をシールする遮蔽部材318が取り付けられている。
塗工ヘッド308の下側に開口したノズルの先端面は、保持プレート309と平行となるように支持されており、さらに、保持プレート309の移動方向に対しても平行になるように支持されている。
このような構成により、シート状基体312が塗工ヘッド308の先端面の下を移動する間、塗工ヘッド308の先端面とシート状基体312の表面との間には、均一な隙間が形成され、かつ維持される。
[2-1]塗工ヘッド
図7は、図6中の塗工ヘッド308の概略断面図である。
塗工ヘッド308は、供給口315を少なくとも一つ有する保持体405が、1対の板形のリップ401及び板形のキャップ402を保持することによって構成されている。塗工ヘッド308の内部には貯留部406A、406Bがあり、貯留部406には板状のピストン404が配されている。
貯留部406Aは、供給口315を経て材料流路313により連通しており、図6に示したタンク311から送られた液状材料が貯留部406Aに供給される。
貯留部406Bは、オイル供給口320を経て配管321に連通しており、図6に示したオイルタンク319から送られたオイルが貯留部406Bに供給される。
下側に開口した板状ノズル403は、1対のリップ401及び保持体405により、制御され、貯留部406Aと連通している。
板状のピストン404は、供給口315より貯留部406A内に供給された液状材料を加圧し、板状ノズル403から吐出させる。液状材料の加圧方法は、オイル供給口320から貯留部406Bにオイルを供給し、ピストン404が貯留部406A側に移動(往動)することで、液状材料を加圧することができる(油圧駆動)。ピストン404の往動により、貯留部406A内の全域に亘って分配された材料は、板状ノズル403から均一な圧力で吐出される。なお、ここでは、ピストンの往動は貯留部406Bへのオイル供給による例を示すが、サーボモータ等をピストンに連結して、ピストンを往動させてもよい(モータ駆動)。
ピストン404は、貯留部406内を図7に示す可動範囲L2の中で往復移動することができる。可動範囲L2は、保持体405の形状及びストッパー等により制御する。図7には保持体405の内径を絞ることにより制御する例を示す。寸法精度の良好な塗膜を形成するため、ピストン404が可動範囲L2の上限位置から下限位置へ移動することによって貯留部406Aから吐出可能な量が、1枚のシート状基体に塗膜を形成するために必要な吐出量よりも多くなるようにする必要がある。「1枚のシート状基体に塗膜を形成するために必要な吐出量」とは「1枚のシート状基体の表面の塗膜形成が必要な全領域に塗膜を形成するために必要な吐出量」を意味する。
また、ピストン404が可動範囲L2の中のどこに位置していても、供給口315から貯留部406A内に液状材料を供給可能とするために、供給口315はピストンの可動範囲L2の下限位置よりもノズル側に配置している。
同様に、ピストン404が可動範囲L2の中のどこに位置していても、オイル供給口320から貯留部206B内にオイルを供給可能とするために、オイル供給口320はピストンの可動範囲L2の上限位置よりも上側に配置している。
可動範囲L2の下限位置はピストン404が往動から復動へ反転する反転位置であり、可動範囲L2の上限位置はピストン404が復動から往動へ反転する反転位置である。
なお、ここでは、塗工ヘッド308が、複数の部材から構成される例を示すが、一体成形型であってもよいし、また、構成部材の数は例示の数より多くても少なくてもよい。なお、板状ノズル403の幅W2は、基体の周囲に塗工する液状材料の膜厚や粘度、固形分、塗工速度により適宜選ばれる。
[2-2]当該塗膜形成装置を用いた塗膜形成方法、シート状部材の製造方法
次に、基体の表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜を形成する方法を説明する。
[2-2-1]第1の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給
図8(a)及び図8(b)は塗工ヘッドへの材料供給の際の具体的な挙動を示した図である。図8(a)は材料供給により貯留部が充填した状態を示した図である。図8(b)は材料供給の停止の状態を示した図である。
塗工ヘッド308を固定とし、シート状基体312を水平方向に移動させる場合において、塗工ヘッド308の貯留部406A及び板状ノズル403には、図8(a)に示すように、液状材料を充填する。バルブ316を開くと、液状材料は図6に示すタンク311から、給送ポンプ317によって材料流路313を通り、供給口315から貯留部406Aへ所定量供給される。ここで貯留部406A及び板状ノズル403への供給量は、基体表面に形成する塗膜の厚さ、基体の長さなどを考慮して、基体表面への吐出量に応じ、適宜設定すればよい。
また、貯留部406Bにはオイルを図6に示したオイルタンク319から送り、充填する。
次いで、図8(b)に示したように、液状材料の供給が終了後、バルブ316を閉じ、貯留部406Aへの供給を停止して、第1の基体表面への塗膜形成に向けた、塗工ヘッド308への材料供給が完了する。
[2-2-2]第1の基体表面への塗膜形成
図9(a)~図9(c)に基体の表面への塗膜形成時の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示す。図9(a)は塗工前の状態を示した図である。図9(b)は塗工中の状態を示した図である。図9(c)は塗工終了の状態を示した図である。
まず、図8に示した材料供給の完了後、図6に示す保持プレート309によりシート状基体312を把持する。
シート状基体312の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、アルミニウム、銅等またはそれらの合金の他に、熱硬化性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどを用いることができる。
また、保持プレート309は、多孔質の吸着テーブルであり、真空ポンプ等により負圧にすることでシート状基体312を全面保持することができる。なお、ここでは、保持プレートとして吸着テーブルによる例を示すが、特に限定するものではなく、トグルレンチ等を複数設けてシート状基体を挟み込み保持する方法等が適用できる。
次いで、図9(a)に示したように、シート状基体312における塗膜の塗工開始場所を塗工ヘッド308の板状ノズル403の位置に合わせるようにシート状基体312を移動させる。
次いで、図9(b)に示したように、ピストン404を図9(b)中の矢印Cの方向に往動させて、貯留部406A内の液状材料を板状ノズル403に向けて押し出し、板状ノズル403から吐出させる。ピストン404は、オイル供給口320から貯留部406Bにオイルを供給することで往動させる。ここでは貯留部406Bにはオイルを供給しているが、特に限定されるものではなく、オイル以外の液体であってもよく、また気体であってもよいが、特に駆動伝達の応答性を考慮すると、非圧縮性の液体を使用するのが好ましい。
さらに液状材料を吐出させると同時に、保持プレート309に保持されたシート状基体312を水平方向に移動させ、基体の長さに応じて、所望の距離を移動させることで、図9(c)に示したように基体表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜が形成される。
[2-2-3]第2の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給
図10(a)~図10(c)は第1の基体表面への塗膜形成後、連続して第2の基体表面へ塗膜を形成するための材料供給の際の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。図10(a)は材料供給前の状態を示したである。図10(b)は材料供給により材料が貯留部に充填される状態を示した図である。図10(c)は材料供給の停止の状態を示した図である。
まず図10(a)に示したように、図6に示すプレート314に取付けられた板状の遮蔽部材318を板状ノズル403の位置に合わせるように移動し、板状ノズル403全面を遮蔽する。これにより、塗工ヘッド内を密閉状態にすることができる。
遮蔽部材318は、板状ノズル403を遮蔽して、塗工ヘッド内を密閉すればよく、材質としては、特に限定されるものではなく、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴム等の一般的なゴム材料が適用できる。
次いで、図10(b)に示したように、板状ノズル403の遮蔽を維持した状態で、バルブ316を開いて材料供給の遮断を解除する。そして、液状材料を図6に示すタンク311から、給送ポンプ317によって材料流路313、及び供給口315を経て貯留部406Aに供給する。これにより、貯留部406A内は陽圧となり、板状ノズル403は密閉状態のため、ピストン404が液状材料の圧力で貯留部406B側である図10(b)中の矢印Dの方向に移動(復動)する。ピストン404の復動により、貯留部406Bに充填されていたオイルは押出され、オイル供給口320より配管321を通ってオイルタンク319に送られる。液状材料を第1の基体同様に所定量供給することで、貯留部406Aには液状材料が充填される。
次いで、図10(c)に示したように、液状材料の供給が終了後、バルブ316を閉じ、貯留部406Aへの供給を停止して、第2の基体表面への塗膜形成に向けた、塗工ヘッド308への材料供給が完了する。その後、遮蔽部材318が水平方向に移動して、板状ノズル403を開放状態にする。
このように、板状ノズル403を遮蔽した状態で貯留部406Aへの材料供給を実施することによって、貯留部406A内を陽圧にすることが可能となり、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。
[2-2-4]第2の基体表面への塗膜成形
第2の基体の表面への塗膜形成方法は図9で示した第1の基体表面への塗膜形成方法で実施することができる。
上記の方法によれば、連続成形においても、板状ノズル403を遮蔽した状態で材料を供給することが可能となり、貯留部406A内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。それにより、貯留部406A内に分配された液状材料に対して板状のピストン404を用いて均一に圧力を加え、板状ノズル403からの吐出を均一にすることができる。そのため、吐出時に幅方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ないシート形状の塗膜を形成することができる。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができる。
上記の説明では塗工ヘッド308の位置を固定し、シート状基体312を水平方向に移動させている。これに対し、シート状基体312の位置を固定し、塗工ヘッド308を水平方向に移動させることもできる。すなわち、塗工ヘッドをシート状基体に対し、相対的に移動させることで、基体の表面上に液状材料からなるシート状の塗膜を形成する際に、塗工ヘッド308またはシート状基体312のどちらを移動させてもよい。
[3]第3の実施の形態
以下に、第3の実施の形態を図面を参照して順に説明する。
図13は、第3の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。
架台301の上に精密ボールネジ303が水平方向に平行に取り付けられている。2本のリニアガイド304が、精密ボールネジ303と平行に架台301上に取り付けられている。枠体1301は、リニアガイド304と精密ボールネジ303とを連結し、サーボモータ305より回転運動が伝達されて水平移動できるようになっている。
架台301には、塗工ヘッド308が取り付けられている。第3の実施の形態における塗膜形成装置の塗工ヘッド308は、第2の実施の形態の説明で示した塗工ヘッド308と同様である。さらに架台301には、支持部材1302が固定されている。支持部材1302は板状ノズル403に対向して配置され、かつ、板状ノズル403に対向する側にシート状基体312の支持面を備えている。
枠体1301には押圧体1303が固定されており、押圧体1303Aには第1把持体1304、押圧体1303Bには第2把持体1305が各々備えられている。
シート状基体312の一方の端部を固定する奥行のある第1把持体1304と、シート状基体312の他方の端部を固定する第2把持体1305とでシート状基体312を把持することができる。第1把持体1304と第2把持体1305は、枠体1301及びこれに固定される押圧体1303の水平移動に伴って同様に水平移動することで、シート状基体312を板状ノズル403の長手方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)に搬送することができる。
押圧体1303A及び押圧体1303Bは、シート状基体312を把持した状態の第1把持体1304及び第2把持体1305を、互いに離れる水平方向(X軸方向)に移動させることによって、シート状基体312に作用する張力を高めることができる。また、押圧体1303A及び押圧体1303Bは、シート状基体312を把持した状態の第1把持体1304及び第2把持体1305を、板状ノズル403から支持部材1302の支持面に向かう方向(Z軸方向)に移動させることができる。シート状基体312に作用する張力を高めることによって、シート状基体312の板状ノズル403に対向する側とは反対側の面を、支持部材1302の支持面に対して押圧せしめることができる。また、シート状基体312を把持した状態の第1把持体1304及び第2把持体1305をZ軸方向に移動させることによって、シート状基体312の板状ノズル403に対向する側とは反対側の面を、支持部材1302の支持面に対して押圧せしめることができる。
以上の構成により、リップ401の先端と支持部材1302の支持面との固定された隙間に対して、該支持面に押圧されながらシート状基体312が搬送される。このため、搬送時においても、リップ401の先端とシート状基体312の塗布面との間の隙間を維持しながら搬送塗布することができ、搬送方向の厚み精度が優れた良好な塗膜形成が可能である。
また、搬送方向において塗布厚み精度を出すために、第2の実施の形態では、大面積かつ高精度なプレート314や高精度なリニアガイド304を必要とするが、第3の実施の形態における塗膜形成装置は、それらを必要としない。このため、より装置を簡便にすることができる。
第1把持体1304及び第2把持体1305がシート状基体を把持する方法としては、トグルクランプ等を複数設けてシート状基体を挟みこみ把持する方法などが適用でき、シート状基体312を把持できれば良く、特に限定されない。
また、押圧体1303は、第1把持体1304及び第2把持体1305を、互いに離れる水平方向(X軸方向)や、板状ノズル403から支持部材1302の支持面に向かう方向(Z軸方向)に、移動させることができれば良く、特に限定されない。一般的なシリンダ昇降機構およびスライド機構を用いることができる。
枠体1301に固定されている昇降ステージ1306には遮蔽部材1307が設置されている。昇降ステージ1306は、遮蔽部材1307を昇降させるために、シリンダ昇降機構などの一般的な昇降機構を有している。また、塗工ヘッド308への材料供給を目的として板状ノズル403を遮蔽する場合には、昇降ステージ1306の高さを支持部材1302に合わせて上昇させた状態で、枠体1301を水平移動させて、遮蔽部材1307を板状ノズル403の位置に合わせる。このようにすることで、板状ノズル403の全面を遮蔽することができる。
[3-1]塗工ヘッド
第3の実施の形態における塗膜形成装置の塗工ヘッドは、第2の実施の形態で説明で示した塗工ヘッド308と同様である。
[3-2]当該塗膜形成装置を用いた塗膜形成方法、シート状部材の製造方法
次に、第3の実施の形態において、基体の表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜を形成する方法を説明する。
[3-2-1]第1の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給
第3の実施の形態における第1の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給は、[2-2-1]に示した材料供給方法と同様である。
[3-2-2]第1の基体表面への塗膜形成
図14(a)~(c)に基体の表面への塗膜形成時の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示す。図14(a)は塗工前の状態を示した図である。図14(b)は塗工中の状態を示した図である。図14(c)は塗工終了の状態を示した図である。
まず、図8に示した材料供給の完了後、図13に示す押圧体1303、第1把持体1304及び第2把持体1305により、シート状基体312を支持部材1302に押圧せしめた状態で把持する。シート状基体312の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、アルミニウム、銅等またはそれらの合金の他に、熱硬化性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどを用いることができる。シート状基体312の材質は、塗布搬送時に支持部材1302の支持面に沿って変形可能である必要がある。
次いで、図14(a)に示したように、シート状基体312における塗膜の塗工開始場所を塗工ヘッド308の板状ノズル403の位置に合わせるようにシート状基体312を搬送させる。
次いで、図14(b)に示したように、ピストン404を図14(b)中の矢印Cの方向に往動させて、貯留部406A内の液状材料を板状ノズル403に向けて押し出し、板状ノズル403から吐出させる。ピストン404は、オイル供給口320から貯留部406Bにオイルを供給することで往動させる。ここでは貯留部406Bにはオイルを供給しているが、特に限定されるものではなく、オイル以外の液体であってもよく、また気体であってもよいが、特に駆動伝達の応答性を考慮すると、非圧縮性の液体を使用するのが好ましい。
さらに液状材料を吐出させると同時に、第1把持体1304と第2把持体1305とに把持されたシート状基体312を搬送させ、シート状基体312の長さに応じて、所望の距離を移動させる。
前記のようにすることで、図14(c)に示したようにシート状基体312の表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜が形成される。
[3-2-3]第2の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給
図15(a)~図15(c)は第1の基体表面への塗膜形成後、連続して第2の基体表面へ塗膜を形成するための材料供給の際の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。図15(a)は材料供給前の状態を示したである。図15(b)は材料供給により材料が貯留部に充填される状態を示した図である。図15(c)は材料供給の停止の状態を示した図である。
まず図15(a)に示したように、図13に示す昇降ステージ1306に取付けられた板状の遮蔽部材1307を板状ノズル403の位置に合わせるように移動し、板状ノズル403全面を遮蔽する。これにより、塗工ヘッド内を密閉状態にすることができる。
遮蔽部材1307は、板状ノズル403を遮蔽して、塗工ヘッド内を密閉すればよく、材質としては、特に限定されるものではなく、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴム等の一般的なゴム材料が適用できる。
次いで、図15(b)に示したように、板状ノズル403の遮蔽を維持した状態で、バルブ316を開いて材料供給の遮断を解除する。そして、液状材料を図13に示すタンク311から、給送ポンプ317によって材料流路313、及び供給口315を経て貯留部406Aに供給する。これにより、貯留部406A内は陽圧となり、板状ノズル403は密閉状態のため、ピストン404が液状材料の圧力で貯留部406B側である図15(b)中の矢印Dの方向に移動(復動)する。ピストン404の復動により、貯留部406Bに充填されていたオイルは押出され、オイル供給口320より配管321を通ってオイルタンク319に送られる。液状材料を第1の基体同様に所定量供給することで、貯留部406Aには液状材料が充填される。
次いで、図15(c)に示したように、液状材料の供給が終了後、バルブ316を閉じ、貯留部406Aへの供給を停止して、第2の基体表面への塗膜形成に向けた、塗工ヘッド308への材料供給が完了する。その後、遮蔽部材1307が水平方向に移動して、板状ノズル403を開放状態にする。
このように、板状ノズル403を遮蔽した状態で貯留部406Aへの材料供給を実施することによって、貯留部406A内を陽圧にすることが可能となり、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。
[3-2-4]第2の基体表面への塗膜成形
第2の基体の表面への塗膜形成方法は図13で示した第1の基体表面への塗膜形成方法で実施することができる。
上記の方法によれば、連続成形においても、[2-2-4]と同様に、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができる。
[実施例1]
シート状部材を製造するにあたり、厚み0.1mm、1000mm×1000mmの熱硬化性樹脂であるポリイミドのシート状体を基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-3093)を用いた。
オイルとしては、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:信越シリコーン:KF-96-200CS)を用いた。
図6に示した形態の塗膜形成装置を用いて、[2-1]に示した塗工ヘッドに[2-2-1]で示した材料供給方法で、液状シリコーンゴム混合液を576mL供給して、貯留部406A及び板状ノズル403に充填した。塗工ヘッドの1対のリップ401の奥行長さは900mmであり、板状ノズル403の幅W2は0.5mmとした。また、ピストン404は幅W3 40mm、奥行長さ900mm、高さH2 10mmであり、可動範囲L2は30mmとした。
次に、[2-2-2]で示した塗膜形成方法により、吸着テーブルである保持プレート309でシート状基体312を吸着保持した状態で、保持プレート309を水平方向に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
リップ先端面とシート状基体312の表面との隙間が1mmになるように、塗工ヘッド308を取り付けた。
シート状基体312を水平方向に15mm/秒の速度で800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒の速度で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、1枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、保持プレート309による吸着を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1枚目のシート状部材を製造した。
続いて2枚目のシート状部材の製造を行った。[2-2-3]で示した材料供給方法で、プレート314に取付けられたウレタンゴム製である板状の遮蔽部材318を、板状ノズル403の位置にあわせせるように移動し、板状ノズル全面を遮蔽した。
次に、バルブ316を開き、液状シリコーンゴム混合液を供給することで、ピストン404が復動し、貯留部406A及び板状ノズル403には576mLの液状シリコーンゴム混合液が充填された。その後、バルブ316を閉じ、遮蔽部材318を水平方向に移動させた。
次に、[2-2-4]で示した塗膜形成方法により、吸着テーブルである保持プレート309によってシート状基体312を吸着保持した状態で、水平方向に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
シート状基体312を水平方向に15mm/秒の速度で基体を800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、2枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、保持プレート309による吸着を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、2枚目のシート状部材を製造した。
3枚目以降のシート状部材の製造も、2枚目のシート状部材の製造と同様の方法で行い、連続で50枚のシート状部材の製造を行った。
上記で製造したシート状部材の塗膜厚みをDIGIMICRO((株)ニコン製 MF-501)にて測定した。900mm×800mmシートを、端より50mmの位置から100mmピッチ毎に測定し、全72点の最大厚みと最小厚みの差であるΔtを算出した。
50枚のシート状部材のΔtの最大値は16μmであり、厚み精度に優れた良好なものであった。その理由は以下のとおりであると考える。
連続成形においても、ノズルの遮蔽を維持した状態で材料を供給することができたため、材料供給時において、ノズル内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができた。それにより、貯留部内に分配された液状材料に対して板状のピストンを用いて均一に圧力を加え、ノズルからの吐出を均一にすることができた。そのため、吐出時にリップの奥行方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ないシート形状の塗膜を形成することができた。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができた。
[比較例]
図11に示した塗膜形成装置を用いて、実施例1と同様にシート状部材を製造した。塗工ヘッド1108は、図12に示した概略断面図のものを使用し、一つの材料注入口315より注入された液状材料が、貯留部1206によりノズル奥行方向に供給され、ノズル403から均一に吐出する従来方式である。
シート状部材を製造するにあたり、厚み0.1mm、1000mm×1000mmの熱硬化性樹脂であるポリイミドのシート状体を基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-3093)を用いた。塗工ヘッドの1対のリップ401の奥行長さは900mmであり、板状ノズル403の幅W2は0.5mmとした。
塗膜形成方法は、図11に示す吸着テーブルである保持プレート309でシート状基体312を吸着保持した状態で、保持プレート309を水平方向に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
リップ先端面とシート状基体312の表面との隙間が1mmになるように、塗工ヘッド1108を取り付けた。
シート状基体312を水平方向に15mm/秒の速度で800mm移動させ、これと同時に、材料供給口315より液状材料を10.8mL/秒の速度で供給することで、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、1枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、保持プレート309による吸着を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1枚目のシート状部材を製造した。
2枚目以降のシート状部材の製造も、1枚目のシート状部材の製造と同様の方法で行い、連続で50枚のシート状部材の製造を行った。
上記で製造したシート状部材の塗膜厚みをDIGIMICRO((株)ニコン製 MF-501)にて測定した。900mm×800mmシートを、端より50mmの位置から100mmピッチ毎に測定し、全72点の最大厚みと最小厚みの差であるΔtを算出した。
50枚のシート状部材のΔtの最大値は128μmであり、厚みムラの大きいものであった。
[実施例2]
円筒状部材を製造するにあたり、長さ310mm、外径29.8mm、厚み0.2mmのステンレス鋼(SUS)の円筒状体にプライマー(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-051)を塗布し、150℃、30分間焼き付けしたものを基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-4097)を用いた。
オイルとしては、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:信越シリコーンオイル:KF-96-100CS)を用いた。
図1に示した形態の塗膜形成装置を用いて、[1-1]に示した塗工ヘッドに[1-2-1]で示した材料供給方法で、液状シリコーンゴム混合液を5mL供給して、貯留部206A及び環状ノズル203に充填した。塗工ヘッドの内リング201及びキャップリング202の内径は30mmであり、環状ノズル203の幅W1は0.4mmとした。また、ピストン204は外径40mm、内径35mm、高さH1 10mmであり、可動範囲L1は20mmとした。
次に、[1-2-2]で示した塗膜形成方法により、上保持軸109及び下保持軸110によって円筒状基体をクランプした状態で、両保持軸を上から下に垂直方向に50mm/秒の速度で下降させ、円筒状基体112を塗工開始場所に移動させた。
円筒状基体112を下から上に垂直方向に30mm/秒の速度で上昇させて280mm移動させ、これと同時に、オイル供給口120よりオイルを0.28mL/秒の速度で供給した。ピストン204が往動し、環状ノズル203から液状シリコーンゴム混合液を0.28mL/秒の速度で吐出し、1本目の円筒状基体の外周面に厚み0.1mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を形成した。
その後、上保持軸109及び下保持軸110によるクランプを開放して、円筒状基体112を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1本目の円筒状部材を製造した。
続いて2本目の円筒状部材の製造を行った。[1-2-3]で示した材料供給方法で、下保持軸110に取付けられたシリコーンゴム製である環状の遮蔽部材118を、環状ノズル203の位置にあわせせるように移動し、環状ノズル全周を遮蔽した。
次にバルブ116を開き、液状シリコーンゴム混合液を供給することで、ピストン204が復動し、貯留部206A及び環状ノズル203には5mLの液状シリコーンゴム混合液が充填された。その後、バルブ116を閉じ、遮蔽部材を下から上に上昇し移動させた。
次に、[1-2-4]で示した塗膜形成方法により、上保持軸109及び下保持軸110によって円筒状基体をクランプした状態で、両保持軸を上から下に垂直方向に50mm/秒の速度で下降させ、円筒状基体112を塗工開始場所に移動させた。
円筒状基体112を下から上に垂直方向に30mm/秒の速度で上昇させて約9.3秒間で円筒状基体を280mm移動させ、これと同時に、オイル供給口120よりオイルを0.28mL/秒の速度で供給した。ピストン204が往動し、環状ノズル203から液状シリコーンゴム混合液を0.28mL/秒の速度で吐出し、2本目の円筒状基体の外周面に厚み0.1mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を形成した。
その後、上保持軸109及び下保持軸110によるクランプを開放して、円筒状基体112を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、2本目の円筒状部材を製造した。
3本目以降の円筒状部材の製造も、2本目の円筒状部材の製造と同様の方法で行い、連続で100本の円筒状部材の製造を行った。
上記の方法で製造した円筒状部材は、全て厚み精度に優れた良好なものであった。その理由は以下のとおりであると考える。
連続成形においても、ノズルの遮蔽を維持した状態で材料を供給することができたため、材料供給時において、ノズル内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができた。それにより、貯留部内に環状に分配された液状材料に対してリング状のピストンを用いて均一に圧力を加え、ノズルからの吐出を均一にすることができた。そのため、吐出時に周方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ない円筒形状の塗膜を形成することができた。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好な円筒状部材を製造することができた。
[実施例3]
シート状部材を製造するにあたり、厚み0.1mm、1000mm×1000mmの熱硬化性樹脂であるポリイミドのシート状体を基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-3093)を用いた。
オイルとしては、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:信越シリコーン:KF-96-200CS)を用いた。
図13に示した形態の塗膜形成装置を用いて、[3-1]に示した塗工ヘッドに[3-2-1]で示した材料供給方法で、液状シリコーンゴム混合液を576mL供給して、貯留部406A及び板状ノズル403に充填した。塗工ヘッドの1対のリップ401の奥行長さは900mmであり、板状ノズル403の幅W2は0.5mmとした。また、ピストン404は幅W3 40mm、奥行長さ900mm、高さH2 10mmであり、可動範囲L2は30mmとした。
次に、[3-2-2]で示した塗膜形成方法により、図13奥行方向にシート状基体の奥行長さ1000mmに対して均等間隔で設置した5つのトグルクランプを有する第1把持体1304と第2把持体1305とでシート状基体312の両端を各々把持した。
シート状基体312を把持した状態で、シリンダ昇降機構を持つ押圧体1303により、第1把持体1304及び第2把持体1305を図13下方向(Z軸方向)に下降させた。これにより、シート状基体312が支持部材1302の支持面の形状に追従変形することを確認した。その後、枠体1301を水平方向(X軸方向)に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
リップ先端面とシート状基体312の表面との隙間が1mmになるように、塗工ヘッド308を取り付けた。
シート状基体312を水平方向(X軸方向)に15mm/秒の速度で800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒の速度で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、1枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、第1把持体及び第2把持体の把持を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1枚目のシート状部材を製造した。
続いて2枚目のシート状部材の製造を行った。[3-2-3]で示した材料供給方法で、昇降ステージ1306に取付けられたウレタンゴム製である板状の遮蔽部材1307で板状ノズル全面を遮蔽した。
次に、バルブ316を開き、液状シリコーンゴム混合液を供給することで、ピストン404が復動し、貯留部406A及び板状ノズル403には576mLの液状シリコーンゴム混合液が充填された。その後、バルブ316を閉じ、遮蔽部材1307を水平方向(X軸方向)に移動させ、第1把持体1304及び第2把持体1305によるシート状基体312把持の障害とならないように昇降ステージ1306を下降させた。
次に、[3-2-4]で示した塗膜形成方法により、図13奥行方向にシート状基体の奥行長さ1000mmに対して均等間隔で設置した5つのトグルクランプを有する第1把持体1304と第2把持体1305とでシート状基体312の両端を各々把持した。
シート状基体312を把持した状態で、シリンダ昇降機構を持つ押圧体1303により、第1把持体1304及び第2把持体1305を図13下方向(Z軸方向)に下降させた。これにより、シート状基体312が支持部材1302の支持面の形状に追従変形することを確認した。その後、枠体1301を水平方向(X軸方向)に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
シート状基体312を水平方向(X軸方向)に15mm/秒の速度で基体を800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、2枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、第1把持体及び第2把持体のトグルクランプを開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、2枚目のシート状部材を製造した。
3枚目以降のシート状部材の製造も、2枚目のシート状部材の製造と同様の方法で行い、連続で50枚のシート状部材の製造を行った。
上記で製造したシート状部材の塗膜厚みをデジタル測長器(商品名:DIGIMICRO (株)ニコン製 MF-501)にて測定した。900mm×800mmシートを、端より50mmの位置から100mmピッチ毎に測定し、全72点の最大厚みと最小厚みの差であるΔtを算出した。
50枚のシート状部材のΔtの最大値は14μmであり、厚み精度に優れた良好なものであった。その理由は以下のとおりであると考える。
連続成形においても、ノズルの遮蔽を維持した状態で材料を供給することができたため、材料供給時において、ノズル内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができた。それにより、貯留部内に分配された液状材料に対して板状のピストンを用いて均一に圧力を加え、ノズルからの吐出を均一にすることができた。そのため、吐出時にリップの奥行方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ないシート形状の塗膜を形成することができた。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができた。また、実施例1で用いたプレート314などが無いため、簡便な装置構成で厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができた。
101 架台
102 コラム
103 精密ボールネジ
104 リニアガイド
105 サーボモータ
106 上ブラケット
107 下ブラケット
108、308、1108 塗工ヘッド
109 上保持軸
110 下保持軸
111 タンク
112 円筒状基体
113 材料流路
114 プレート
115 供給口
116 開閉バルブ
117 給送ポンプ
118 遮蔽部材
119 オイルタンク
120 オイル供給口
121 配管
201 内リング
202、402、1202 キャップリング
203 環状ノズル
204、404 ピストン
205 外リング
206A、206B、406A、406B、1206 貯留部
301 架台
303 精密ボールネジ
304 リニアガイド
305 サーボモータ
309 保持プレート
311 タンク
312 シート状基体
313 材料流路
314 プレート
315 供給口
316 開閉バルブ
317 給送ポンプ
318 遮蔽部材
319 オイルタンク
320 オイル供給口
321 配管
401 リップ
403 板状ノズル
405、1205 保持体
1301 枠体
1302 支持部材
1303 押圧体
1304 第1把持体
1305 第2把持体
1306 昇降ステージ
1307 遮蔽部材

Claims (5)

  1. 基体の上に液状材料の塗膜を形成する塗膜形成装置であって、下記(a)~(g)を具備していることを特徴とする塗膜形成装置:
    (a)該液状材料を貯蔵しているタンク、
    (b)該液状材料を基体の上に供給する塗工ヘッドであって、
    該塗工ヘッドは、
    該液状材料を吐出するノズル、
    該ノズルに連通している、該ノズルより吐出される該液状材料の貯留部、
    該貯留部に該液状材料を供給する供給口、及び
    該貯留部に臨んで配置され、往動させることによって、該貯留部に蓄えられた該液状材料を加圧して、該ノズルから押し出すピストン、を具備し、
    該供給口は、該ピストンが往動時に達することができる限界の位置よりも該ノズルに近い位置に配置されている;
    (c)該タンクと該供給口を連結する流路、
    (d)該タンクから該貯留部に該液状材料を供給する供給手段、
    (e)該タンクから該貯留部への該液状材料の供給を遮断する手段、
    (f)該ノズルの遮蔽手段、並びに
    (g)該基体と該塗工ヘッドとを相対的に移動させる手段。
  2. 塗膜形成装置を用いて、第1の基体の上に液状材料の塗膜を形成し、引き続いて第2の基体の上に液状材料の塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
    該塗膜形成装置は、下記(a)~(g)を具備し、
    (a)該液状材料を貯蔵しているタンク、
    (b)該液状材料を基体の上に供給する塗工ヘッドであって、
    該塗工ヘッドは、
    該液状材料を吐出するノズル、
    該ノズルに連通している、該ノズルより吐出される該液状材料の貯留部、
    該貯留部に該液状材料を供給する供給口、及び
    該貯留部に臨んで配置され、往動させることによって、該貯留部に蓄えられた該液状材料を加圧して、該ノズルから押し出すピストン、を具備し、
    該供給口は、該ピストンが往動時に達することができる限界の位置よりも該ノズルに近い位置に配置されている;
    (c)該タンクと該供給口を連結する流路、
    (d)該タンクから該貯留部に該液状材料を供給する供給手段、
    (e)該タンクから該貯留部への該液状材料の供給を遮断する手段、
    (f)該ノズルの遮蔽手段、並びに
    (g)基体と該塗工ヘッドとを相対的に移動させる手段、
    該塗膜形成方法は、下記(1)~(5)の工程を含むことを特徴とする塗膜形成方法:
    (1)該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
    (2)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出しつつ、該第1の基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、該第1の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程;
    (3)該工程(2)の後、該ノズルを遮蔽し、該ノズルの遮蔽を維持した状態で、該遮断する手段による該タンクから該貯留部への材料供給の遮断を解除し、該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、該ピストンを復動させつつ、
    該貯留部に該液状材料を貯留させ、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
    (4)該工程(3)で遮蔽したノズルを開放する工程;並びに
    (5)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出し、該第2の基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、該第2の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程。
  3. 円筒状または円柱状の基体と、該基体の外周面上の塗膜と、を有する円筒状部材または円柱状部材を複数個製造する方法であって、
    請求項2に記載の塗膜形成方法を用いて、円筒状または円柱状の第1の基体の外周面に液状材料の塗膜を形成し、引き続いて円筒状または円柱状の第2の基体の外周面に液状材料の塗膜を形成する工程を有することを特徴とする、円筒状部材または円柱状部材の製造方法。
  4. シート状の基体と、該基体の上の塗膜と、を有するシート状部材を複数個製造する方法であって、
    請求項2に記載の塗膜形成方法を用いて、シート状の第1の基体の上に液状材料の塗膜を形成し、引き続いて、シート状の第2の基体の上に液状材料の塗膜を形成する工程を有することを特徴とする、シート状部材の製造方法。
  5. 前記基体が、シート状の基体であり、
    前記塗膜形成装置は、さらに、
    前記ノズルに対向して配置され、かつ、該ノズルに対向する側に該基体の支持面を備えている該基体の支持部材と、
    該基体の一方の端部を把持する第1把持手段、および他方の端部を把持する第2把持手段と、
    該第1把持手段および該第2把持手段で把持されてなる該基体を、該ノズルの長手方向に直交する方向に搬送する手段と、
    該第1把持手段および該第2把持手段を、該基体の該ノズルに対向する側とは反対側の面を該支持面に対して押圧せしめる方向に移動させる押圧手段と、を具備している請求項1に記載の塗膜形成装置。
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