JP7277165B2 - 塗膜形成装置、塗膜形成方法及び部材製造方法 - Google Patents
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Description
また本発明は、上記塗膜形成方法を用いた円筒状部材または円柱状部材、及びシート状部材の製造方法に関するものである。
従来、リング塗工法およびスリット塗工法では、タンクからポンプなどにより押し出された液状材料が配管を経由し、1~2箇所から塗工ヘッドに供給されている。さらに塗工ヘッド内ではノズルで液状材料が均一に流れるようにトーナメント方式の流路を形成したり、マニホールドで塗工ヘッド内の液圧をノズル方向に向けて均一にしたりするなどの工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、一つの材料注入口より注入された液状材料を、マニホールドを持った塗工ヘッドによって、ノズル方向に向けて均一に吐出する技術が開示されている。
また、本発明の他の態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好な塗膜の形成方法の提供に向けたものである。
さらに、本発明の他の態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好な円筒状部材の製造方法の提供に向けたものである。
さらにまた、本発明の他の態様は、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良好なシート状部材の製造方法の提供に向けたものである。
(a)該液状材料を貯蔵しているタンク、
(b)該液状材料を基体の上に供給する塗工ヘッドであって、
該塗工ヘッドは、
該液状材料を吐出するノズル、
該ノズルに連通している、該ノズルより吐出される該液状材料の貯留部、
該貯留部に該液状材料を供給する供給口、及び
該貯留部に臨んで配置され、往動させることによって、該貯留部に蓄えられた該液状材料を加圧して、該ノズルから押し出すピストン、を具備し、
該供給口は、該ピストンが往動時に達することができる限界の位置よりも該ノズルに近い位置に配置されている;
(c)該タンクと該供給口を連結する流路、
(d)該タンクから該貯留部に該液状材料を供給する供給手段、
(e)該タンクから該貯留部への該液状材料の供給を遮断する手段、
(f)該ノズルの遮蔽手段、並びに
(g)該基体と該塗工ヘッドとを相対的に移動させる手段。
(1)該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
(2)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出しつつ、該基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、第1の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程;
(3)該工程(2)の後、該ノズルを遮蔽し、該ノズルの遮蔽を維持した状態で、該遮断する手段による該タンクから該貯留部への材料供給の遮断を解除し、該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、該ピストンを復動させつつ、該貯留部に該液状材料を貯留させ、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
(4)該工程(3)で遮蔽したノズルを開放する工程;並びに
(5)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出し、該基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、第2の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程。
上記の塗膜形成方法を用いて、円筒状または円柱状の基体の外周面に液状材料の塗膜を形成する工程を有する、円筒状部材または円柱状部材の製造方法が提供される。
さらに、本発明の他の態様によれば、シート状の基体と、該基体の上の塗膜と、を有するシート状部材の製造方法であって、
上記の塗膜形成方法を用いて、シート状の基体の上に液状材料の塗膜を形成する工程を有する、シート状部材の製造方法が提供される。
ができる。また、本発明の他の態様によれば、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成
形が可能で、かつ寸法精度の良好な塗膜の形成方法を得ることができる。
さらに、本発明の他の態様によれば、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可
能で、かつ寸法精度の良好な円筒状部材を得ることができる。さらにまた、本発明の他の
態様によれば、ノズル内に空気を巻き込むことなく連続成形が可能で、かつ寸法精度の良
好なシート状部材を得ることができる。
以下に、第1の実施の形態を図面を参照して順に説明する。
図1は、第1の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。
架台101の上に略垂直にコラム102が取り付けられている。架台101とコラム102の上部に精密ボールネジ103が鉛直方向に平行に取り付けられている。2本のリニアガイド104が、精密ボールネジ103と平行にコラム102上に取り付けられている。プレート114は、リニアガイド104と精密ボールネジ103とを連結し、サーボモータ105より回転運動が伝達されて昇降できるようになっている。
下ブラケット107には円筒状基体112を保持、固定する下保持軸110が取り付けられている。
下保持軸110には、塗工ヘッドの内周面をシールする遮蔽部材118が取り付けられている。
上ブラケット106には上保持軸109が取り付けられおり、上保持軸109は下保持軸110に対向して同芯になるように配置して円筒状基体112を保持している。
下保持軸110および上保持軸109の移動時において、塗工ヘッド108の内側に開口した環状ノズルの中心軸と下保持軸110および上保持軸109の中心軸とが同芯となるように調節してある。
このような構成により塗工ヘッド108の環状ノズルの中心軸と、円筒状基体の中心軸とを同芯に合わせることができる。塗工ヘッドの内周面と円筒状基体112の外周面との間には、均一な隙間が形成される。
図2(a)は、図1中の塗工ヘッド108の概略断面図である。図2(b)、(c)は各々、図2(a)に示した塗工ヘッド108のA-A線及びB-B線における断面図である。
塗工ヘッド108は、中空円筒形の内リング(以下、内リング)201および中空円筒形のキャップリング(以下、キャップリング)202が、中空円筒形の外リング(以下、外リング)205を保持することによって構成されている。外リング205は、供給口115を少なくとも一つ有する。塗工ヘッド108の内部には環状の貯留部206が存在し、貯留部206にはリング状のピストン204が配されている。ピストン204より上側を貯留部206Aとし、ピストン204より下側を貯留部206Bとする。
貯留部206Bは、オイル供給口120を経て配管121に連通しており、図1に示したオイルタンク119から送られたオイルが貯留部206Bに供給される。
内側に開口した環状ノズル203は、内リング201及びキャップリング202により、制御され、貯留部206Aと連通している。
可動範囲L1の上限位置は、ピストン204が往動時に達することができる限界の位置である。供給口115をピストン204の可動範囲L1の上限位置よりも環状ノズル側に配置することによって、ピストンが往動中、往動から復動への反転時、復動中及び復動から往動への反転時のいずれのときも、ピストンは供給口からの液状材料の供給を妨げない。
可動範囲L1の下限位置は、ピストン204が復動時に達することができる限界の位置である。オイル供給口120をピストン204の可動範囲L1の下限位置よりも下流側に配置することによって、ピストンが往動中、往動から復動への反転時、復動中及び復動から往動への反転時のいずれのときも、ピストンはオイル供給口からのオイルの供給を妨げない。
次に、基体の外周面上に液状材料からなる円筒形状の塗膜を形成する方法を説明する。
図3(a)~(b)は塗工ヘッドへの材料供給の際の具体的な挙動を示した図である。
(a)は材料供給により貯留部が充填した状態を示した図である。(b)は材料供給の停止の状態を示した図である。
塗工ヘッド108を固定とし、円筒状基体112を軸方向に移動させる場合において、
塗工ヘッド108の貯留部206A及び環状ノズル203には、図3(a)に示すように、液状材料を充填する。バルブ116を開くと、液状材料は図1に示すタンク111から、給送ポンプ117によって材料流路113を通り、供給口115から貯留部206Aへ所定量供給される。ここで貯留部206A及び環状ノズル203への供給量は、基体表面に形成する塗膜の厚さ、基体の長さなどを考慮して、基体表面への吐出量に応じ、適宜設定すればよい。
また、貯留部206Bにはオイルを図1に示したオイルタンク119から送り、充填する。
図4(a)~(c)に基体の表面への塗膜形成時の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示す。(a)は塗工前の状態を示した図である。(b)は塗工中の状態を示した図である。(c)は塗工終了の状態を示した図である。
まず、図3に示した材料供給の完了後、図1に示す上保持軸109および下保持軸110により円筒状基体112を把持する。
円筒状基体112の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、アルミニウム、銅等またはそれらの合金の他に、熱硬化性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどを用いることができる。
次いで、図4(b)に示したように、ピストン204を図4(b)中の矢印Aの方向に往動させて、貯留部206A内の液状材料を環状ノズル203に向けて押し出し、環状ノズル203から吐出させる。ピストン204は、オイル供給口120から貯留部206Bにオイルを供給することで往動させる。ここでは貯留部206Bにはオイルを供給しているが、特に限定されるものではなく、オイル以外の液体であってもよく、また気体であってもよいが、特に駆動伝達の応答性を考慮すると、非圧縮性の液体を使用するのが好ましい。
図5は第1の基体表面への塗膜形成後、連続して第2の基体表面へ塗膜を形成するための材料供給の際の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。(a)は材料供給前の状態を示したである。(b)は材料供給により材料が貯留部に充填される状態を示した図である。(c)は材料供給の停止の状態を示した図である。
まず図5(a)に示したように、図1に示す下保持軸110に取付けられた環状の遮蔽部材118を環状ノズル203の位置に合わせるように移動し、環状ノズル全周を遮蔽する。これにより、塗工ヘッド内を密閉状態にすることができる。
第2の基体の表面への塗膜形成方法は図4で示した第1の基体表面への塗膜形成方法で実施することができる。
上記の方法によれば、連続成形においても、環状ノズル203を遮蔽した状態で材料を供給することが可能となり、貯留部206A内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。それにより、貯留部206A内に環状に分配された液状材料に対してリング状のピストン204を用いて均一に圧力を加え、環状ノズル203からの吐出を均一にすることができる。そのため、吐出時に周方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ない円筒形状の塗膜を形成することができる。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好な円筒状部材を製造することができる。
以下に、第2の実施の形態を図面を参照して順に説明する。
図6は、第2の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。
架台301の上に精密ボールネジ303が水平方向に平行に取り付けられている。2本のリニアガイド304が、精密ボールネジ303と平行に架台301上に取り付けられている。プレート314は、リニアガイド304と精密ボールネジ303とを連結し、サーボモータ305より回転運動が伝達されて水平移動できるようになっている。
塗工ヘッド308の下側に開口したノズルの先端面は、保持プレート309と平行となるように支持されており、さらに、保持プレート309の移動方向に対しても平行になるように支持されている。
このような構成により、シート状基体312が塗工ヘッド308の先端面の下を移動する間、塗工ヘッド308の先端面とシート状基体312の表面との間には、均一な隙間が形成され、かつ維持される。
図7は、図6中の塗工ヘッド308の概略断面図である。
塗工ヘッド308は、供給口315を少なくとも一つ有する保持体405が、1対の板形のリップ401及び板形のキャップ402を保持することによって構成されている。塗工ヘッド308の内部には貯留部406A、406Bがあり、貯留部406には板状のピストン404が配されている。
貯留部406Aは、供給口315を経て材料流路313により連通しており、図6に示したタンク311から送られた液状材料が貯留部406Aに供給される。
貯留部406Bは、オイル供給口320を経て配管321に連通しており、図6に示したオイルタンク319から送られたオイルが貯留部406Bに供給される。
下側に開口した板状ノズル403は、1対のリップ401及び保持体405により、制御され、貯留部406Aと連通している。
同様に、ピストン404が可動範囲L2の中のどこに位置していても、オイル供給口320から貯留部206B内にオイルを供給可能とするために、オイル供給口320はピストンの可動範囲L2の上限位置よりも上側に配置している。
可動範囲L2の下限位置はピストン404が往動から復動へ反転する反転位置であり、可動範囲L2の上限位置はピストン404が復動から往動へ反転する反転位置である。
次に、基体の表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜を形成する方法を説明する。
図8(a)及び図8(b)は塗工ヘッドへの材料供給の際の具体的な挙動を示した図である。図8(a)は材料供給により貯留部が充填した状態を示した図である。図8(b)は材料供給の停止の状態を示した図である。
塗工ヘッド308を固定とし、シート状基体312を水平方向に移動させる場合において、塗工ヘッド308の貯留部406A及び板状ノズル403には、図8(a)に示すように、液状材料を充填する。バルブ316を開くと、液状材料は図6に示すタンク311から、給送ポンプ317によって材料流路313を通り、供給口315から貯留部406Aへ所定量供給される。ここで貯留部406A及び板状ノズル403への供給量は、基体表面に形成する塗膜の厚さ、基体の長さなどを考慮して、基体表面への吐出量に応じ、適宜設定すればよい。
また、貯留部406Bにはオイルを図6に示したオイルタンク319から送り、充填する。
図9(a)~図9(c)に基体の表面への塗膜形成時の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示す。図9(a)は塗工前の状態を示した図である。図9(b)は塗工中の状態を示した図である。図9(c)は塗工終了の状態を示した図である。
まず、図8に示した材料供給の完了後、図6に示す保持プレート309によりシート状基体312を把持する。
シート状基体312の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、アルミニウム、銅等またはそれらの合金の他に、熱硬化性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどを用いることができる。
また、保持プレート309は、多孔質の吸着テーブルであり、真空ポンプ等により負圧にすることでシート状基体312を全面保持することができる。なお、ここでは、保持プレートとして吸着テーブルによる例を示すが、特に限定するものではなく、トグルレンチ等を複数設けてシート状基体を挟み込み保持する方法等が適用できる。
次いで、図9(b)に示したように、ピストン404を図9(b)中の矢印Cの方向に往動させて、貯留部406A内の液状材料を板状ノズル403に向けて押し出し、板状ノズル403から吐出させる。ピストン404は、オイル供給口320から貯留部406Bにオイルを供給することで往動させる。ここでは貯留部406Bにはオイルを供給しているが、特に限定されるものではなく、オイル以外の液体であってもよく、また気体であってもよいが、特に駆動伝達の応答性を考慮すると、非圧縮性の液体を使用するのが好ましい。
図10(a)~図10(c)は第1の基体表面への塗膜形成後、連続して第2の基体表面へ塗膜を形成するための材料供給の際の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。図10(a)は材料供給前の状態を示したである。図10(b)は材料供給により材料が貯留部に充填される状態を示した図である。図10(c)は材料供給の停止の状態を示した図である。
まず図10(a)に示したように、図6に示すプレート314に取付けられた板状の遮蔽部材318を板状ノズル403の位置に合わせるように移動し、板状ノズル403全面を遮蔽する。これにより、塗工ヘッド内を密閉状態にすることができる。
第2の基体の表面への塗膜形成方法は図9で示した第1の基体表面への塗膜形成方法で実施することができる。
上記の方法によれば、連続成形においても、板状ノズル403を遮蔽した状態で材料を供給することが可能となり、貯留部406A内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができる。それにより、貯留部406A内に分配された液状材料に対して板状のピストン404を用いて均一に圧力を加え、板状ノズル403からの吐出を均一にすることができる。そのため、吐出時に幅方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ないシート形状の塗膜を形成することができる。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができる。
以下に、第3の実施の形態を図面を参照して順に説明する。
図13は、第3の実施の形態における塗膜形成装置の概略説明図である。
架台301の上に精密ボールネジ303が水平方向に平行に取り付けられている。2本のリニアガイド304が、精密ボールネジ303と平行に架台301上に取り付けられている。枠体1301は、リニアガイド304と精密ボールネジ303とを連結し、サーボモータ305より回転運動が伝達されて水平移動できるようになっている。
シート状基体312の一方の端部を固定する奥行のある第1把持体1304と、シート状基体312の他方の端部を固定する第2把持体1305とでシート状基体312を把持することができる。第1把持体1304と第2把持体1305は、枠体1301及びこれに固定される押圧体1303の水平移動に伴って同様に水平移動することで、シート状基体312を板状ノズル403の長手方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)に搬送することができる。
また、搬送方向において塗布厚み精度を出すために、第2の実施の形態では、大面積かつ高精度なプレート314や高精度なリニアガイド304を必要とするが、第3の実施の形態における塗膜形成装置は、それらを必要としない。このため、より装置を簡便にすることができる。
第3の実施の形態における塗膜形成装置の塗工ヘッドは、第2の実施の形態で説明で示した塗工ヘッド308と同様である。
次に、第3の実施の形態において、基体の表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜を形成する方法を説明する。
第3の実施の形態における第1の基体表面への塗膜形成に向けた材料供給は、[2-2-1]に示した材料供給方法と同様である。
[3-2-2]第1の基体表面への塗膜形成
図14(a)~(c)に基体の表面への塗膜形成時の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示す。図14(a)は塗工前の状態を示した図である。図14(b)は塗工中の状態を示した図である。図14(c)は塗工終了の状態を示した図である。
まず、図8に示した材料供給の完了後、図13に示す押圧体1303、第1把持体1304及び第2把持体1305により、シート状基体312を支持部材1302に押圧せしめた状態で把持する。シート状基体312の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、アルミニウム、銅等またはそれらの合金の他に、熱硬化性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどを用いることができる。シート状基体312の材質は、塗布搬送時に支持部材1302の支持面に沿って変形可能である必要がある。
次いで、図14(b)に示したように、ピストン404を図14(b)中の矢印Cの方向に往動させて、貯留部406A内の液状材料を板状ノズル403に向けて押し出し、板状ノズル403から吐出させる。ピストン404は、オイル供給口320から貯留部406Bにオイルを供給することで往動させる。ここでは貯留部406Bにはオイルを供給しているが、特に限定されるものではなく、オイル以外の液体であってもよく、また気体であってもよいが、特に駆動伝達の応答性を考慮すると、非圧縮性の液体を使用するのが好ましい。
前記のようにすることで、図14(c)に示したようにシート状基体312の表面上に液状材料からなるシート形状の塗膜が形成される。
図15(a)~図15(c)は第1の基体表面への塗膜形成後、連続して第2の基体表面へ塗膜を形成するための材料供給の際の塗工ヘッド内のピストン等の具体的な挙動を示した図である。図15(a)は材料供給前の状態を示したである。図15(b)は材料供給により材料が貯留部に充填される状態を示した図である。図15(c)は材料供給の停止の状態を示した図である。
まず図15(a)に示したように、図13に示す昇降ステージ1306に取付けられた板状の遮蔽部材1307を板状ノズル403の位置に合わせるように移動し、板状ノズル403全面を遮蔽する。これにより、塗工ヘッド内を密閉状態にすることができる。
第2の基体の表面への塗膜形成方法は図13で示した第1の基体表面への塗膜形成方法で実施することができる。
上記の方法によれば、連続成形においても、[2-2-4]と同様に、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができる。
シート状部材を製造するにあたり、厚み0.1mm、1000mm×1000mmの熱硬化性樹脂であるポリイミドのシート状体を基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-3093)を用いた。
オイルとしては、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:信越シリコーン:KF-96-200CS)を用いた。
リップ先端面とシート状基体312の表面との隙間が1mmになるように、塗工ヘッド308を取り付けた。
シート状基体312を水平方向に15mm/秒の速度で800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒の速度で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、1枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、保持プレート309による吸着を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1枚目のシート状部材を製造した。
次に、バルブ316を開き、液状シリコーンゴム混合液を供給することで、ピストン404が復動し、貯留部406A及び板状ノズル403には576mLの液状シリコーンゴム混合液が充填された。その後、バルブ316を閉じ、遮蔽部材318を水平方向に移動させた。
シート状基体312を水平方向に15mm/秒の速度で基体を800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、2枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、保持プレート309による吸着を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、2枚目のシート状部材を製造した。
3枚目以降のシート状部材の製造も、2枚目のシート状部材の製造と同様の方法で行い、連続で50枚のシート状部材の製造を行った。
50枚のシート状部材のΔtの最大値は16μmであり、厚み精度に優れた良好なものであった。その理由は以下のとおりであると考える。
連続成形においても、ノズルの遮蔽を維持した状態で材料を供給することができたため、材料供給時において、ノズル内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができた。それにより、貯留部内に分配された液状材料に対して板状のピストンを用いて均一に圧力を加え、ノズルからの吐出を均一にすることができた。そのため、吐出時にリップの奥行方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ないシート形状の塗膜を形成することができた。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができた。
図11に示した塗膜形成装置を用いて、実施例1と同様にシート状部材を製造した。塗工ヘッド1108は、図12に示した概略断面図のものを使用し、一つの材料注入口315より注入された液状材料が、貯留部1206によりノズル奥行方向に供給され、ノズル403から均一に吐出する従来方式である。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-3093)を用いた。塗工ヘッドの1対のリップ401の奥行長さは900mmであり、板状ノズル403の幅W2は0.5mmとした。
リップ先端面とシート状基体312の表面との隙間が1mmになるように、塗工ヘッド1108を取り付けた。
シート状基体312を水平方向に15mm/秒の速度で800mm移動させ、これと同時に、材料供給口315より液状材料を10.8mL/秒の速度で供給することで、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、1枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、保持プレート309による吸着を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1枚目のシート状部材を製造した。
50枚のシート状部材のΔtの最大値は128μmであり、厚みムラの大きいものであった。
円筒状部材を製造するにあたり、長さ310mm、外径29.8mm、厚み0.2mmのステンレス鋼(SUS)の円筒状体にプライマー(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-051)を塗布し、150℃、30分間焼き付けしたものを基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-4097)を用いた。
オイルとしては、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:信越シリコーンオイル:KF-96-100CS)を用いた。
円筒状基体112を下から上に垂直方向に30mm/秒の速度で上昇させて280mm移動させ、これと同時に、オイル供給口120よりオイルを0.28mL/秒の速度で供給した。ピストン204が往動し、環状ノズル203から液状シリコーンゴム混合液を0.28mL/秒の速度で吐出し、1本目の円筒状基体の外周面に厚み0.1mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を形成した。
その後、上保持軸109及び下保持軸110によるクランプを開放して、円筒状基体112を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1本目の円筒状部材を製造した。
次にバルブ116を開き、液状シリコーンゴム混合液を供給することで、ピストン204が復動し、貯留部206A及び環状ノズル203には5mLの液状シリコーンゴム混合液が充填された。その後、バルブ116を閉じ、遮蔽部材を下から上に上昇し移動させた。
円筒状基体112を下から上に垂直方向に30mm/秒の速度で上昇させて約9.3秒間で円筒状基体を280mm移動させ、これと同時に、オイル供給口120よりオイルを0.28mL/秒の速度で供給した。ピストン204が往動し、環状ノズル203から液状シリコーンゴム混合液を0.28mL/秒の速度で吐出し、2本目の円筒状基体の外周面に厚み0.1mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を形成した。
その後、上保持軸109及び下保持軸110によるクランプを開放して、円筒状基体112を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、2本目の円筒状部材を製造した。
3本目以降の円筒状部材の製造も、2本目の円筒状部材の製造と同様の方法で行い、連続で100本の円筒状部材の製造を行った。
連続成形においても、ノズルの遮蔽を維持した状態で材料を供給することができたため、材料供給時において、ノズル内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができた。それにより、貯留部内に環状に分配された液状材料に対してリング状のピストンを用いて均一に圧力を加え、ノズルからの吐出を均一にすることができた。そのため、吐出時に周方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ない円筒形状の塗膜を形成することができた。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好な円筒状部材を製造することができた。
シート状部材を製造するにあたり、厚み0.1mm、1000mm×1000mmの熱硬化性樹脂であるポリイミドのシート状体を基体として用いた。
液状材料としては、液状シリコーンゴム混合液(東レ・ダウコーニング(株)製:DY35-3093)を用いた。
オイルとしては、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:信越シリコーン:KF-96-200CS)を用いた。
シート状基体312を把持した状態で、シリンダ昇降機構を持つ押圧体1303により、第1把持体1304及び第2把持体1305を図13下方向(Z軸方向)に下降させた。これにより、シート状基体312が支持部材1302の支持面の形状に追従変形することを確認した。その後、枠体1301を水平方向(X軸方向)に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
リップ先端面とシート状基体312の表面との隙間が1mmになるように、塗工ヘッド308を取り付けた。
シート状基体312を水平方向(X軸方向)に15mm/秒の速度で800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒の速度で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、1枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、第1把持体及び第2把持体の把持を開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、1枚目のシート状部材を製造した。
次に、バルブ316を開き、液状シリコーンゴム混合液を供給することで、ピストン404が復動し、貯留部406A及び板状ノズル403には576mLの液状シリコーンゴム混合液が充填された。その後、バルブ316を閉じ、遮蔽部材1307を水平方向(X軸方向)に移動させ、第1把持体1304及び第2把持体1305によるシート状基体312把持の障害とならないように昇降ステージ1306を下降させた。
シート状基体312を把持した状態で、シリンダ昇降機構を持つ押圧体1303により、第1把持体1304及び第2把持体1305を図13下方向(Z軸方向)に下降させた。これにより、シート状基体312が支持部材1302の支持面の形状に追従変形することを確認した。その後、枠体1301を水平方向(X軸方向)に30mm/秒の速度で移動させ、シート状基体312を塗工開始場所に移動させた。
シート状基体312を水平方向(X軸方向)に15mm/秒の速度で基体を800mm移動させ、これと同時に、オイル供給口320よりオイルを10.8mL/秒で供給した。ピストン404が往動し、板状ノズル403から液状シリコーンゴム混合液を10.8mL/秒で吐出し、2枚目のシート状基体の表面に厚み0.8mmの液状シリコーンゴム混合液の塗膜を900mm×800mmで形成した。
その後、第1把持体及び第2把持体のトグルクランプを開放して、シート状基体312を取出し、温風循環式オーブンにて加熱硬化し、2枚目のシート状部材を製造した。
3枚目以降のシート状部材の製造も、2枚目のシート状部材の製造と同様の方法で行い、連続で50枚のシート状部材の製造を行った。
50枚のシート状部材のΔtの最大値は14μmであり、厚み精度に優れた良好なものであった。その理由は以下のとおりであると考える。
連続成形においても、ノズルの遮蔽を維持した状態で材料を供給することができたため、材料供給時において、ノズル内を陽圧にすることで、外部から塗工ヘッド内への空気の混入を防ぐことができた。それにより、貯留部内に分配された液状材料に対して板状のピストンを用いて均一に圧力を加え、ノズルからの吐出を均一にすることができた。そのため、吐出時にリップの奥行方向で、液状材料の吐出ムラが生じず、厚みムラの少ないシート形状の塗膜を形成することができた。その結果、連続成形性の高い、厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができた。また、実施例1で用いたプレート314などが無いため、簡便な装置構成で厚み精度に優れた良好なシート状部材を製造することができた。
102 コラム
103 精密ボールネジ
104 リニアガイド
105 サーボモータ
106 上ブラケット
107 下ブラケット
108、308、1108 塗工ヘッド
109 上保持軸
110 下保持軸
111 タンク
112 円筒状基体
113 材料流路
114 プレート
115 供給口
116 開閉バルブ
117 給送ポンプ
118 遮蔽部材
119 オイルタンク
120 オイル供給口
121 配管
201 内リング
202、402、1202 キャップリング
203 環状ノズル
204、404 ピストン
205 外リング
206A、206B、406A、406B、1206 貯留部
301 架台
303 精密ボールネジ
304 リニアガイド
305 サーボモータ
309 保持プレート
311 タンク
312 シート状基体
313 材料流路
314 プレート
315 供給口
316 開閉バルブ
317 給送ポンプ
318 遮蔽部材
319 オイルタンク
320 オイル供給口
321 配管
401 リップ
403 板状ノズル
405、1205 保持体
1301 枠体
1302 支持部材
1303 押圧体
1304 第1把持体
1305 第2把持体
1306 昇降ステージ
1307 遮蔽部材
Claims (5)
- 基体の上に液状材料の塗膜を形成する塗膜形成装置であって、下記(a)~(g)を具備していることを特徴とする塗膜形成装置:
(a)該液状材料を貯蔵しているタンク、
(b)該液状材料を基体の上に供給する塗工ヘッドであって、
該塗工ヘッドは、
該液状材料を吐出するノズル、
該ノズルに連通している、該ノズルより吐出される該液状材料の貯留部、
該貯留部に該液状材料を供給する供給口、及び
該貯留部に臨んで配置され、往動させることによって、該貯留部に蓄えられた該液状材料を加圧して、該ノズルから押し出すピストン、を具備し、
該供給口は、該ピストンが往動時に達することができる限界の位置よりも該ノズルに近い位置に配置されている;
(c)該タンクと該供給口を連結する流路、
(d)該タンクから該貯留部に該液状材料を供給する供給手段、
(e)該タンクから該貯留部への該液状材料の供給を遮断する手段、
(f)該ノズルの遮蔽手段、並びに
(g)該基体と該塗工ヘッドとを相対的に移動させる手段。 - 塗膜形成装置を用いて、第1の基体の上に液状材料の塗膜を形成し、引き続いて第2の基体の上に液状材料の塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
該塗膜形成装置は、下記(a)~(g)を具備し、
(a)該液状材料を貯蔵しているタンク、
(b)該液状材料を基体の上に供給する塗工ヘッドであって、
該塗工ヘッドは、
該液状材料を吐出するノズル、
該ノズルに連通している、該ノズルより吐出される該液状材料の貯留部、
該貯留部に該液状材料を供給する供給口、及び
該貯留部に臨んで配置され、往動させることによって、該貯留部に蓄えられた該液状材料を加圧して、該ノズルから押し出すピストン、を具備し、
該供給口は、該ピストンが往動時に達することができる限界の位置よりも該ノズルに近い位置に配置されている;
(c)該タンクと該供給口を連結する流路、
(d)該タンクから該貯留部に該液状材料を供給する供給手段、
(e)該タンクから該貯留部への該液状材料の供給を遮断する手段、
(f)該ノズルの遮蔽手段、並びに
(g)基体と該塗工ヘッドとを相対的に移動させる手段、
該塗膜形成方法は、下記(1)~(5)の工程を含むことを特徴とする塗膜形成方法:
(1)該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
(2)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出しつつ、該第1の基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、該第1の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程;
(3)該工程(2)の後、該ノズルを遮蔽し、該ノズルの遮蔽を維持した状態で、該遮断する手段による該タンクから該貯留部への材料供給の遮断を解除し、該タンクから、該供給手段により、所定量の該液状材料を該貯留部に供給し、該ピストンを復動させつつ、
該貯留部に該液状材料を貯留させ、供給を終了した後、該遮断する手段により、該タンクからの該液状材料の該貯留部への供給を停止する工程;
(4)該工程(3)で遮蔽したノズルを開放する工程;並びに
(5)該貯留部に貯留された該液状材料を、該ピストンを往動させて該ノズルから吐出し、該第2の基体と該塗工ヘッドを相対的に移動させ、該第2の基体の表面に該液状材料の塗膜を形成する工程。 - 円筒状または円柱状の基体と、該基体の外周面上の塗膜と、を有する円筒状部材または円柱状部材を複数個製造する方法であって、
請求項2に記載の塗膜形成方法を用いて、円筒状または円柱状の第1の基体の外周面に液状材料の塗膜を形成し、引き続いて円筒状または円柱状の第2の基体の外周面に液状材料の塗膜を形成する工程を有することを特徴とする、円筒状部材または円柱状部材の製造方法。 - シート状の基体と、該基体の上の塗膜と、を有するシート状部材を複数個製造する方法であって、
請求項2に記載の塗膜形成方法を用いて、シート状の第1の基体の上に液状材料の塗膜を形成し、引き続いて、シート状の第2の基体の上に液状材料の塗膜を形成する工程を有することを特徴とする、シート状部材の製造方法。 - 前記基体が、シート状の基体であり、
前記塗膜形成装置は、さらに、
前記ノズルに対向して配置され、かつ、該ノズルに対向する側に該基体の支持面を備えている該基体の支持部材と、
該基体の一方の端部を把持する第1把持手段、および他方の端部を把持する第2把持手段と、
該第1把持手段および該第2把持手段で把持されてなる該基体を、該ノズルの長手方向に直交する方向に搬送する手段と、
該第1把持手段および該第2把持手段を、該基体の該ノズルに対向する側とは反対側の面を該支持面に対して押圧せしめる方向に移動させる押圧手段と、を具備している請求項1に記載の塗膜形成装置。
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