図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
電力変換装置1は、電源が出力した電圧の大きさや周波数を所望の値に変換する装置である。電力変換装置1で電力を所望の値に変換することで、電気負荷を適切に駆動することが可能となる。電力変換装置1は、例えば車両に搭載され、走行用モータを駆動するための電力を提供する装置として使用可能である。ただし、電力変換装置1を電車や飛行機などに搭載してもよい。
図1において、電力変換装置1は、収納ケース10とコンデンサユニット30と電流センサ40と半導体ユニット80とを備えている。収納ケース10は、アルミニウムなどの金属製である。収納ケース10は、箱型形状である。収納ケース10には、コンデンサユニット30などの部品が内部に収納されている。各部品を収納した状態の収納ケース10には、蓋が取り付けられることとなる。収納ケース10は、内部に収納された部品を保護するとともに、各部品を適切な場所に固定して1つの電力変換装置1を構成している。
コンデンサユニット30は、平滑コンデンサやノイズ除去用コンデンサなどのコンデンサを構成するコンデンサ素子を複数備えている。複数のコンデンサ素子は、コンデンサケースに収納されて、一体のコンデンサとして取り扱い可能に構成されている。コンデンサ素子に電流が流れるとジュール熱が発生してコンデンサユニット30全体の温度が上昇する。ただし、コンデンサユニット30を必ずしも1つの装置としなくてもよい。例えば、平滑コンデンサとノイズ除去用コンデンサを別々のユニットとして構成してもよい。この場合、コンデンサユニット30が複数のユニットで構成されることとなる。コンデンサユニット30は、発熱部品の一例を提供する。
半導体ユニット80は、半導体モジュール81と半導体冷却器85とを備えている。半導体モジュール81は、MOSFETやIGBTなどのスイッチング素子を含んでいる。半導体モジュール81は、矩形の薄板状である。半導体モジュール81は、複数枚並んで設けられている。以下、複数の半導体モジュール81の並び方向をX方向と示す。
半導体モジュール81に電流が流れるとジュール熱が発生して半導体モジュール81とその周辺の温度が上昇する。半導体モジュール81に流れる電流は、ノイズ電流などに比べて大きいため、発生するジュール熱も大きくなる。したがって、半導体モジュール81の温度が上昇し過ぎないように、半導体モジュール81を冷却する必要がある。
半導体冷却器85は、半導体モジュール81を冷却するための冷却媒体が内部を流れる冷却器である。半導体冷却器85は、扁平状の流路をなす複数の扁平管87を備えている。半導体冷却器85は、複数の扁平管87同士を連結する流路をなす2本の連結管86を備えている。連結管86は、円管状の流路をなしている。連結管86内部の冷却媒体の流れ方向は、X方向である。1枚の半導体モジュール81は、2つの扁平管87に挟まれて両面が冷却されることとなる。扁平管87における冷却媒体の流れ方向は、X方向に直交する方向である。以下では、扁平管87における冷却媒体の流れ方向をY方向と示す。また、X方向とY方向との2つの方向に直交する方向をZ方向と示す。
2本の連結管86のうち、扁平管87に流入する前の冷却媒体が流れている方の連結管86は、上流側連結管86uである。一方、扁平管87から流出した後の冷却媒体が流れている方の連結管86は、下流側連結管86dである。冷却媒体は、半導体冷却器85を流れる過程で半導体モジュール81などによって加熱されて温度が上昇する。このため、上流側連結管86uは、下流側連結管86dよりも温度の低い冷却媒体が流れることとなる。
コンデンサユニット30と半導体ユニット80とは、正極バスバや負極バスバを介して接続されている。正極バスバには、電源の高電位側が接続されている。負極バスバには、電源の低電位側が接続されている。正極バスバと負極バスバとは、電力変換装置1で電力を変換する際に大きな電流が流れるため、発熱しやすい電流経路である。
電力変換装置1は、正極バスバや負極バスバなどのバスバに流れる電流の大きさを計測する電流センサ40を備えている。バスバに電流が流れるとジュール熱が発生する。このため、発生したジュール熱で温度の上昇したバスバによって、電流センサ40が加熱されることとなる。電流センサ40としては、シャント抵抗の両端の電圧を測定することで電流値を計測する電流計を採用可能である。電流センサ40としては、ホール素子やGMR素子やTMR素子などの磁界を電流に変換する磁気抵抗効果素子を用いたセンサを採用可能である。電流センサ40における電流計測方法は上述の方法に限られず、様々な計測方法を適宜採用可能である。電流センサ40は、発熱部品の一例を提供する。
収納ケース10の中央部分を含む位置に半導体ユニット80が配置されている。半導体ユニット80に隣接してコンデンサユニット30が配置されている。コンデンサユニット30の長手方向は、X方向である。半導体ユニット80に隣接して電流センサ40が配置されている。電流センサ40の長手方向は、X方向である。コンデンサユニット30と電流センサ40とは、半導体冷却器85を挟んで互いに反対側に位置している。言い換えると、コンデンサユニット30と電流センサ40とは、半導体ユニット80の周囲に隣接して配置されている。
図2において、収納ケース10には、内部空間をZ方向に仕切るためのベースプレート11が設けられている。ベースプレート11は、主にZ方向に直交する面を提供している。ベースプレート11には、複数の凹凸形状や開口部が形成されている。ベースプレート11の外周縁には、Z方向に立設した外周壁部12が設けられている。外周壁部12は、ベースプレート11に対して、Z方向の両側に突出している。外周壁部12は、金属製であり、収納ケース10から連続して一体に形成されている。
ベースプレート11には、内部空間を複数の空間に区画するための区画壁15が形成されている。区画壁15は、半導体ユニット80が収納される部分を他の部分と区切る機能を備えている。区画壁15は、外周壁部12と交差してX方向に沿って延びている交差壁部15xを2本備えている。区画壁15は、2本の交差壁部15x同士の端を連結している連結壁部15yを備えている。連結壁部15yは、ベースプレート11の略中央部においてY方向に沿って延びている。収納ケース10の内部空間は、2本の交差壁部15xと1本の連結壁部15yと外周壁部12の一部とによって、矩形状に区画されている。区画壁15は、交差壁部15xから連続して設けられ、交差壁部15xと交差している外周壁部12とは反対の外周壁部12に向かって延びる延長壁部15aを備えている。区画壁15は、金属製であり、収納ケース10から連続して一体に形成されている。区画壁15は、収納ケース10の剛性を高めることに寄与している。
ベースプレート11のうち、区画壁15で区画された内側の部分には、接続用開口部19が形成されている。接続用開口部19は、矩形状の開口部である。接続用開口部19は、ベースプレート11に形成された複数の開口部のうち、最も開口面積の大きな開口部である。区画壁15で周りから区画された空間は、半導体ユニット80が配置される空間である。接続用開口部19は、半導体ユニット80からZ方向に延びている半導体用信号線を挿通するための開口部である。
図3において、区画壁15は、Z方向の突出量が外周壁部12よりも小さい。区画壁15は、収納ケース10の内部空間をZ方向の全体にわたって区画しているのではなく、Z方向の一部までの空間を区画している。したがって、収納ケース10の内部空間において、区画壁15で区画されている空間と区画されていない空間とは、一部で連通可能な状態である。
区画壁15のZ方向の突出量や形状は、場所によって異なる。一方の交差壁部15xは、突出量の小さい部分と大きい部分とが設けられ、Z方向において段差が形成された形状である。連結壁部15yは、Y方向における中央部分が切り欠かれた形状である。交差壁部15xのY方向における厚さは、連結壁部15yのX方向における厚さよりも小さい。
図4において、電力変換装置1は、制御基板90を備えている。制御基板90には、電力変換装置1の通電制御を行うための複数の電子部品が実装されている。制御基板90は、一部分が切り欠かれた矩形の板状である。制御基板90は、Z方向に直交する面を提供している。制御基板90は、実装されている電子部品や電流経路に電流が流れることでジュール熱が発生する発熱部品である。
制御基板90には、半導体モジュール81からZ方向に突出している半導体用信号線が接続されている。制御基板90は、半導体用信号線を介して信号のやり取りを行い、半導体モジュール81のスイッチングを制御している。制御基板90で発生した熱は、半導体用信号線を介して半導体モジュール81に伝導し得る。また、半導体モジュール81で発生した熱は、半導体用信号線を介して半導体モジュール81に伝導し得る。言い換えると、半導体モジュール81と制御基板90との間では、半導体用信号線を介した熱のやり取りが行われ得る。ここで、制御基板90は、半導体モジュール81以外の部品とも接続して対象となる部品を制御する。このため、制御基板90は、半導体モジュール81以外の部品とも信号線を介した熱のやり取りが行われ得る。
図5において、ベースプレート11には、区画壁15の突出方向とは反対方向に凹んでいる区画溝25が形成されている。区画溝25は、外周壁部12と交差してX方向に沿って延びている交差溝部25xを2本備えている。交差溝部25xは、交差壁部15xのZ方向における反対の位置に対応して設けられている。区画溝25は、連結壁部15yのZ方向における反対の位置に対応して設けられている連結溝部25yを備えている。連結溝部25yは、ベースプレート11の略中央部においてY方向に沿って延びている。
図6において、区画溝25のZ方向の凹み量は略同一である。言い換えると、2本の交差溝部25xと1本の連結溝部25yとは、互いに略同一の凹み量の溝部である。区画溝25は、短手方向に沿う断面形状が半円形状である。交差溝部25xの一部には、開口部が形成されている。
図7において、ベースプレート11は、収納ケース10の収納空間をZ方向に2分割している。収納ケース10の2分割された収納空間のうち、半導体冷却器85が収納されている方の収納空間が冷却器収納空間である。収納ケース10の2分割された収納空間のうち、制御基板90が収納されている方の収納空間が基板収納空間である。冷却器収納空間は、基板収納空間よりも大きな容積を有する収納空間である。以下では、基板収納空間が冷却器収納空間よりも上に位置している場合を例に説明する。ただし、電力変換装置1を設置する向きによっては、基板収納空間と冷却器収納空間とが左右方向に並んで構成されるなどしてもよい。
制御基板90は、コンデンサユニット30よりも上方に位置している。制御基板90は、電流センサ40よりも上方に位置している。制御基板90は、半導体ユニット80よりも上方に位置している。コンデンサユニット30は、半導体ユニット80よりも右方に位置している。電流センサ40は、半導体ユニット80よりも下方かつ左方に位置している。言い換えると、電流センサ40は、半導体ユニット80の斜め左下に位置している。
半導体モジュール81から突出している半導体用信号線は、ベースプレート11に形成された接続用開口部19を通過して制御基板90と接続している。半導体用信号線は、半導体モジュール81に流れる電流の大きさを制御するための電気信号が流れる電線である。半導体用信号線は、Z方向に延びている。半導体用信号線において、半導体モジュール81と接続している端部が半導体冷却器85に最も近接している部分である。半導体用信号線において、制御基板90と接続している端部が半導体冷却器85から最も離れている部分である。
図8において、電力変換装置1は、コンデンサユニット30と制御基板90とを繋いでいるコンデンサ用信号線33を備えている。コンデンサ用信号線33は、コンデンサユニット30に蓄えられている電気の量を取得するための電気信号が流れる電線である。コンデンサ用信号線33は、Y方向に延びている部分とZ方向に延びている部分とを備えている。コンデンサ用信号線33は、発熱部品であるコンデンサユニット30と発熱部品である制御基板90との両方に接触している。このため、コンデンサ用信号線33は、コンデンサユニット30と制御基板90との間で、熱を伝導し得る部品である。コンデンサ用信号線33は、信号線の一例を提供する。
コンデンサ用信号線33は、始端部33sと終端部33eとを備えている。始端部33sは、コンデンサ用信号線33のうち、コンデンサユニット30と接触している部分である。言い換えると、始端部33sは、コンデンサ用信号線33とコンデンサユニット30との接続箇所である。終端部33eは、コンデンサ用信号線33のうち、制御基板90と接触している部分である。言い換えると、終端部33eは、コンデンサ用信号線33と制御基板90との接続箇所である。始端部33sは、コンデンサ用信号線33のうち、発熱部品であるコンデンサユニット30によって最も加熱されやすい部分である。終端部33eは、コンデンサ用信号線33のうち、発熱部品である制御基板90によって最も加熱されやすい部分である。
始端部33sは、コンデンサユニット30の外表面をなしている複数の面のうち、半導体冷却器85と対向している面に設けられている。言い換えると、始端部33sは、コンデンサユニット30の外表面をなしている複数の面のうち、最も半導体冷却器85に近い面に設けられている。図においては、左側面が最も半導体冷却器85に近い側の面を提供している。
コンデンサ用信号線33は、最近接部33pを備えている。最近接部33pは、コンデンサ用信号線33のうち、半導体冷却器85に最も近接している部分である。最近接部33pは、始端部33sと終端部33eとの間に設けられている。言い換えると、コンデンサ用信号線33において、半導体冷却器85に最も近接している部分は、始端部33sと終端部33e以外の部分に設けられている。最近接部33pは、コンデンサ用信号線33のうち、半導体冷却器85によって最も冷却されやすい部分である。特に、半導体冷却器85の中でも温度の低い状態の冷却媒体が通過する上流側連結管86uによって最近接部33pが冷却されることとなる。
コンデンサ用信号線33は、始端部33sから最近接部33pに向かって徐々に半導体冷却器85に向かって近づく方向に延びている。コンデンサ用信号線33は、最近接部33pから終端部33eに向かって徐々に半導体冷却器85から離れる方向に延びている。
コンデンサ用信号線33と半導体冷却器85との間には、区画壁15の一部をなしている交差壁部15xが設けられている。コンデンサ用信号線33のうち、交差壁部15xに沿って設けられている部分は、優先冷却部33cである。優先冷却部33cと交差壁部15xとは、Y方向に対向している。優先冷却部33cは、最近接部33pを含んでいる。交差壁部15xは、半導体冷却器85と対向しており、温度の低い状態が維持されやすい。このため、コンデンサ用信号線33は、交差壁部15xを介して半導体冷却器85によって冷却されることとなる。特に、交差壁部15xと対向しており、距離の近い優先冷却部33cが優先的に冷却されやすい。
コンデンサ用信号線33が冷却されることで、コンデンサ用信号線33を介してコンデンサユニット30から制御基板90に伝導する熱を低減できる。あるいは、コンデンサ用信号線33を介して制御基板90からコンデンサユニット30に伝導する熱を低減できる。
図9において、電力変換装置1は、電流センサ40と制御基板90とを繋いでいるセンサ用信号線43を備えている。センサ用信号線43は、電流センサ40で計測した電流の大きさを取得するための電気信号が流れる電線である。センサ用信号線43は、上下方向に延びている。センサ用信号線43は、発熱部品である電流センサ40と発熱部品である制御基板90との両方に接触している。このため、センサ用信号線43は、電流センサ40と制御基板90との間で、熱を伝導し得る部品である。センサ用信号線43は、信号線の一例を提供する。
センサ用信号線43は、始端部43sと終端部43eとを備えている。始端部43sは、センサ用信号線43のうち、電流センサ40と接触している部分である。言い換えると、始端部43sは、センサ用信号線43と電流センサ40との接続箇所である。終端部43eは、センサ用信号線43のうち、制御基板90と接触している部分である。言い換えると、終端部43eは、センサ用信号線43と制御基板90との接続箇所である。始端部43sは、センサ用信号線43のうち、発熱部品である電流センサ40によって最も加熱されやすい部分である。終端部43eは、センサ用信号線43のうち、発熱部品である制御基板90によって最も加熱されやすい部分である。
始端部43sは、電流センサ40の外表面をなしている複数の面のうち、半導体冷却器85に近い面である上面に設けられている。図においては、上面と右側面とが半導体冷却器85に近い面であり、下面と左側面とが半導体冷却器85から遠い面である。したがって、始端部43sを電流センサ40の右側面に設けてもよい。上面と右側面とは、半導体冷却器85に近い側の面を提供している。上面と右側面とは、半導体冷却器85に最も近い角部である右上角部を構成している面である。
センサ用信号線43と半導体冷却器85との間には、区画壁15の一部をなしている延長壁部15aが設けられている。センサ用信号線43のうち、延長壁部15aに沿って設けられている部分は、優先冷却部43cである。優先冷却部43cと延長壁部15aとは、Y方向に対向している。優先冷却部43cは、始端部43sを含んでいる。延長壁部15aは、半導体冷却器85と対向している交差壁部15xと連続しており、温度の低い状態が維持されやすい。このため、センサ用信号線43は、延長壁部15aを介して半導体冷却器85によって冷却されることとなる。特に、延長壁部15aと対向しており、距離の近い優先冷却部43cが優先的に冷却されやすい。
センサ用信号線43が冷却されることで、センサ用信号線43を介して電流センサ40から制御基板90に伝導する熱を低減できる。あるいは、センサ用信号線43を介して制御基板90から電流センサ40に伝導する熱を低減できる。
上述した実施形態によると、コンデンサ用信号線33は、コンデンサユニット30において半導体冷却器85に近い側に設けられている。このため、コンデンサユニット30を介することなくコンデンサ用信号線33を半導体冷却器85によって冷却することができる。したがって、コンデンサユニット30と制御基板90との間でのコンデンサ用信号線33を介した熱伝導を低減できる。よって、コンデンサ用信号線33を介した熱伝導を低減可能な電力変換装置1を得ることができる。
センサ用信号線43は、電流センサ40において半導体冷却器85に近い側に設けられている。このため、電流センサ40を介することなくセンサ用信号線43を半導体冷却器85によって冷却することができる。したがって、電流センサ40と制御基板90との間でのセンサ用信号線43を介した熱伝導を低減できる。よって、センサ用信号線43を介した熱伝導を低減可能な電力変換装置1を得ることができる。
電力変換装置1に流れる電流が大きいほど、コンデンサユニット30や電流センサ40や制御基板90で発生する熱も大きくなりやすい。このため、信号線を介した熱伝導を低減することは、電力変換装置1を大きな電流を取り扱う車両用電力変換装置として用いる場合に非常に重要である。また、電力変換装置1をトランスアクスルなどの発熱する装置に固定した場合など、高温環境下で使用する場合においては、コンデンサユニット30や電流センサ40における熱寿命が問題となりやすい。このため、信号線を介した熱伝導を低減することは、電力変換装置1を高温環境下で使用する場合に非常に重要である。
コンデンサ用信号線33は、コンデンサユニット30において半導体冷却器85に対向している面から突出して設けられている。このため、コンデンサ用信号線33を半導体冷却器85に近づけやすい。したがって、コンデンサ用信号線33を半導体冷却器85によって冷却しやすい。
最近接部33pは、始端部33sと終端部33eとを除く位置であって、始端部33sから終端部33eまでの間の位置に設けられている。このため、最も冷却効果を受けやすい最近接部33pを、発熱部品であるコンデンサユニット30や制御基板90から離れた位置とすることができる。したがって、コンデンサ用信号線33を介した熱伝導を低減しやすい。
収納ケース10は、半導体冷却器85とコンデンサ用信号線33との間に金属製の区画壁15の一部をなす交差壁部15xを備えている。このため、収納ケース10の強度を高めつつ、半導体冷却器85によって冷却された区画壁15を用いてコンデンサ用信号線33を冷却できる。また、コンデンサ用信号線33と区画壁15との間の距離は、コンデンサ用信号線33と半導体冷却器85との間の距離よりも小さい。このため、コンデンサ用信号線33を半導体冷却器85で冷却する場合に比べて、より近い位置でコンデンサ用信号線33を冷却できる。
コンデンサ用信号線33は、区画壁15の一部をなす交差壁部15xに沿って延びている優先冷却部33cを備えている。このため、交差壁部15xによって優先冷却部33cを安定して冷却できる。したがって、コンデンサ用信号線33の温度を低く保ちやすい。
センサ用信号線43は、区画壁15の一部をなす延長壁部15aに沿って延びている優先冷却部43cを備えている。このため、交差壁部15xによって優先冷却部43cを安定して冷却できる。したがって、センサ用信号線43の温度を低く保ちやすい。
半導体冷却器85は、収納ケース10の中央部分を含む位置に配置されている。さらに、制御基板90と半導体冷却器85との並び方向であるZ方向は、半導体冷却器85とコンデンサユニット30との並び方向であるY方向に直交する方向である。このため、半導体冷却器85とコンデンサユニット30との両方について、制御基板90をZ方向に隣接した位置に配置することができる。したがって、半導体用信号線やコンデンサ用信号線33の長さを短くしやすい。
半導体冷却器85は、連結管86で連通されている複数の扁平管87が半導体モジュール81を挟んだ状態で積層されている積層型冷却器である。このため、半導体モジュール81を両側から効率的に冷却できるとともに、半導体冷却器85の周囲を冷却することができる。
コンデンサユニット30は、積層型冷却器である半導体冷却器85の連結管86に沿って設けられている。言い換えると、コンデンサユニット30の長手方向と連結管86の長手方向とは、ともにX方向である。このため、コンデンサユニット30を長手方向であるX方向に沿って安定して冷却できる。また、コンデンサユニット30と連結管86を含む半導体冷却器85とが対向している部分を広く確保できる。このため、コンデンサ用信号線33をコンデンサユニット30の半導体冷却器85との対向面に設けやすい。
コンデンサユニット30は、上流側連結管86uに沿って設けられている。このため、下流側連結管86dに沿ってコンデンサユニット30を設ける場合に比べて、コンデンサユニット30やコンデンサ用信号線33を冷却しやすい。
電力変換装置1の設置方向は、電力変換装置1を使用する状況に応じて適宜選択可能である。すなわち、X方向とY方向とZ方向とのいずれの方向を電力変換装置1の上下方向としてもよい。あるいは、X方向とY方向とZ方向とは異なる方向として斜めの方向を電力変換装置1の上下方向としてもよい。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、電力変換装置1が半導体冷却器85と対向する位置にリアクトル250を備えている。また、リアクトル用信号線253が半導体冷却器85に近い側に設けられている。
図10において、収納ケース10内部の中央部分を含む位置には、半導体冷却器85を含む半導体ユニット80が配置されている。半導体冷却器85のY方向に隣接して、コンデンサユニット30が配置されている。半導体冷却器85のY方向に隣接して、電流センサ40が配置されている。言い換えると、半導体冷却器85のY方向における隣接位置は2か所あり、一方にはコンデンサユニット30が配置され、他方には電流センサ40が配置されている。半導体冷却器85のX方向に隣接して、リアクトル250が配置されている。
リアクトル250は、電力変換装置1において昇圧機能を提供する部品である。リアクトル250の長手方向は、Y方向である。リアクトル250と半導体冷却器85との間には、区画壁15の一部を構成している連結壁部15yが設けられている。このため、リアクトル250は、連結壁部15yを介して半導体冷却器85によって冷却されることとなる。リアクトル250は、発熱部品の一例を提供する。
電力変換装置1は、リアクトル250と制御基板90とを接続しているリアクトル用信号線253を備えている。リアクトル用信号線253は、リアクトル250の複数の面のうち、半導体冷却器85と対向している面からX方向に突出している。このため、リアクトル用信号線253は、連結壁部15yを介して半導体冷却器85によって冷却されることとなる。リアクトル用信号線253は、信号線の一例を提供する。
コンデンサ用信号線33は、上流側連結管86uの中でも冷却媒体の入り口に近い上流部分に対向して設けられている。ここで、半導体冷却器85においては、半導体モジュール81の温度入り口付近における冷却媒体の温度が最も低い。このため、コンデンサ用信号線33を効率的に冷却しやすい。
上述した実施形態によると、リアクトル用信号線253を半導体冷却器85によって冷却することができる。このため、リアクトル250と制御基板90との間でのリアクトル用信号線253を介した熱の伝導を低減しやすい。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、電力変換装置1が半導体冷却器85と対向する位置に補助ユニット360を備えている。また、補助用信号線363が半導体冷却器85に近い側に設けられている。
図11において、収納ケース10内部の中央部分を含む位置には、半導体冷却器85を含む半導体ユニット80が配置されている。半導体冷却器85のX方向に隣接して、補助ユニット360が配置されている。言い換えると、半導体冷却器85のX方向における隣接位置は2か所あり、一方にはリアクトル250が配置され、他方には補助ユニット360が配置されている。
補助ユニット360は、電力変換装置1において必要な機能を補助するためのユニットである。例えば、補助ユニット360としてノイズ除去用コンデンサ素子を備えたユニットを採用できる。これによると、平滑コンデンサ素子をコンデンサユニット30に集中させ、ノイズ除去用コンデンサ素子を補助ユニット360に集中させるなどして、機能の異なるコンデンサ素子を別々のユニットとして配置することができる。あるいは、補助ユニット360として回路基板を採用できる。ただし、補助ユニット360が発揮すべき機能は限定されず、発熱する様々な部品を補助ユニット360として採用可能である。補助ユニット360は、発熱部品の一例を提供する。
電力変換装置1は、補助ユニット360と制御基板90とを接続している補助用信号線363を備えている。補助用信号線363は、補助ユニット360の複数の面のうち、半導体冷却器85と対向している面からX方向に突出している。このため、補助用信号線363は、外周壁部12を介して半導体冷却器85によって冷却されることとなる。補助用信号線363は、信号線の一例を提供する。
上述した実施形態によると、補助用信号線363を半導体冷却器85によって冷却することができる。このため、補助ユニット360と制御基板90との間での補助用信号線363を介した熱の伝導を低減しやすい。
コンデンサ用信号線33とリアクトル用信号線253と補助用信号線363とは、収納ケース10の中央部分を含む位置に配置した半導体冷却器85に向かって突出している。このため、各信号線と制御基板90とが接触する位置を中央付近に集中させやすい。したがって、制御基板90のサイズを小さくしやすい。
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。