JP7275770B2 - 樹脂組成物および電子デバイス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物および電子デバイス製造方法に関する。より具体的には、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物、および、その樹脂組成物を用いた電子デバイス製造方法に関する。
電子デバイス製造においては、種々の目的のため、犠牲層(後工程で除去されることが前提の層)を形成する工程が行われる場合がある。犠牲層は、通常、樹脂組成物を用いて形成される。
一例として、特許文献1の実施例には、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物などを原料として得られた樹脂を、ウェハ上に塗布して犠牲層とした旨が記載されている。
別の例として、特許文献2には、センサー構造の製造において、センサーエレメントの保護のために、犠牲層を形成することが記載されている。
特開2016-004929号公報 特開2008-529273号公報
電子デバイス製造において、レーザグルービングという工程が行われる場合がある。
レーザグルービングとは、ブレードを用いたウェハのダイシングにおいて、ウェハ上にLow-k層などの脆弱層がある場合、ダイシング前にその脆弱層をレーザで焼き切ることをいう。これにより、ブレードでのダイシング時に、脆弱層の剥離を抑制することができる。
近年の電子デバイス製造の更なる高度化、複雑化、多様化に伴い、犠牲層を有するウェハをダイシングすることがありうる。また、そのダイシングの前に犠牲層をレーザグルービングで焼き切ることがありうる。
しかし、本発明者らの知見として、従来の犠牲層をレーザグルービングに供した場合、適切にレーザグルービングを行うことができない場合があった。例えば、犠牲層をレーザで十分に焼き切ることができない場合があった。
そこで、本発明者らは、レーザグルービングを含む電子デバイス製造工程に好ましく適用可能な、犠牲層形成用の樹脂組成物を提供することを目的の1つとして、検討を行った。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物を、窒素雰囲気下、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長355nmの光の透過率は50%以下であり、
誘導結合型プラズマ方式のドライエッチング装置を用いて、前記硬化膜を、流量550sccm、圧力4.0Paの条件でOドライエッチングしたときのエッチングレートは2.3μm/分以上であり、
非感光性である樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の樹脂組成物により基板上に犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
前記犠牲層をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法
が提供される。
本発明によれば、レーザグルービングを含む電子デバイス製造工程に好ましく適用可能な、犠牲層形成用の樹脂組成物が提供される。
レーザグルービング工程を含む電子デバイス製造方法の例を説明するための模式図である。 レーザグルービング工程を含む電子デバイス製造方法の例を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書における「電子デバイス」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる。
本実施形態の樹脂組成物を、窒素雰囲気下、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長355nmの光の透過率は、50%以下である。また、この硬化膜を、誘導結合型プラズマ方式のドライエッチング装置を用いて、流量550sccm、圧力4.0Paの条件でOドライエッチングしたときのエッチングレートは、2.3μm/分以上である。
本実施形態の樹脂組成物は、非感光性である。すなわち、本実施形態の樹脂組成物にg線やi線を当てても、アルカリ現像液に対する溶解性は実質的に変化しない。
本発明者らは、従来の犠牲層をレーザグルービングに供した場合、適切にレーザグルービングを行うことができない(例えば、犠牲層をレーザで十分に焼き切ることができない)原因を検討した。
検討の結果、従来の犠牲層は、レーザグルービングで通常用いられる波長355nmのレーザ光の吸収性が低いためにレーザ照射による発熱が少なく、このため、適切にレーザグルービングを行うことができないと考えられた。
そこで、本発明者らは、上記のように、樹脂組成物から得られる硬化膜の、波長355nmの光の透過率を一定値以下に設計した。この設計により、樹脂組成物により形成した硬化膜(犠牲層)がレーザ光を適度に吸収し、発熱することで良好なレーザグルービングを可能としている。
また、本実施形態の樹脂組成物は、特定条件でのエッチングレートが2.3μm/分以上であることにより、犠牲層としての役目を終えた後に除去しやすいものとなっている。
エッチングレートは、好ましくは2.5μm/分以上、より好ましくは2.8μm/分以上である。上限は特にないが、通常15μm/分以下である。
エッチングレートの測定方法の詳細は、後掲の実施例で説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、非感光性であるため、フォトリソグラフィーによる精緻なパターニングはできない。しかし、犠牲層を設ける目的や、電子デバイスの構造によっては、非感光性であることは特に問題とならない。非感光性であることは、感光剤の分解によるアウトガスや汚染が生じにくいというメリットにもつながる。
本実施形態の樹脂組成物は、非感光性であるにもかかわらず、光の透過性(硬化膜としたときの波長355nmの光の透過率)が特定範囲となるように設計されているという点で、従来にない技術思想に基づく樹脂組成物と言える。
樹脂組成物から得られる硬化膜の、波長355nmの光の透過率を適当な値とするためには、例えば、後述のポリマーや架橋剤などとして、波長355nmの光を適度に吸収する性質を有するものを用いればよい。かつ/または、ポリマーや架橋剤などとは別成分として、波長355nmの光を適度に吸収する紫外線吸収剤を樹脂組成物に含めてもよい。
樹脂組成物のエッチングレートを適当な値とする方法としては、例えば、樹脂組成物に後掲の環状オレフィンポリマーを含める方法が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物の含有成分や性状などについてより具体的に説明する。
(ポリマー)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくはポリマーを含む。
ポリマーは、好ましくは、環状オレフィンポリマー(環状オレフィンモノマーに由来する構造単位を含むポリマー)を含む。
環状オレフィンポリマーは剛直な化学構造を有する。よって、犠牲層としたときの耐熱性を高めることができると考えられる。耐熱性が高いということは、電子デバイス製造において高温の加熱を行っても犠牲層の性状が維持されやすいということであり、犠牲層として好ましい性質の1つである。
一方、環状オレフィンポリマーの環状骨格は、剛直でありつつ、芳香環構造よりは大きめのエッチングレートを示す傾向がある。よって、例えば特許文献1に記載の樹脂組成物(芳香環構造を含むポリイミド樹脂を含む)に比べて、エッチングレートを大きくしやすいと考えられる。このことは、エッチングによる犠牲層の除去性向上につながる。
環状オレフィンポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。各種性能バランスの観点からは、環状オレフィンポリマーはコポリマーであることが好ましい。コポリマーは、例えば、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位と、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位とを含む。
ポリマーは、好ましくは、以下一般式(NB)で表される構造単位を含む環状オレフィンポリマーである。ポリマーがこの構造単位を含むことで、ポリマー全体としての剛直性が適当となり、耐熱性を一層高めうる。
Figure 0007275770000001
一般式(NB)中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
は0、1または2である。
一般式(NB)における、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などを挙げることができる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
一般式(NB)における、R、R、RおよびRとしては水素またはアルキル基が好ましく、水素がより好ましい。
、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基中の水素原子は、任意の原子団により置換されていてもよい。例えば、フッ素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基などで置換されていてもよい。より具体的には、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基として、フッ化アルキル基などを選択してもよい。
一般式(NB)において、aは好ましくは0または1、より好ましくは0である。
別の態様として、以下一般式(NB-2)で表される構造単位を含むものであってもよい。この構造単位は、一般式(NB)で表される構造単位と同様、特に耐熱性を高めることに有効である。
一般式(NB-2)中、R、R、R、Rおよびaの定義および具体的態様は、一般式(NB)と同様である。
Figure 0007275770000002
ポリマーの全構造単位中の、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位(具体的には、上記一般式(NB)や(NB-2)で表される構造単位)の割合は、例えば10~100mol%、好ましくは20~80mol%、より好ましくは45~55mol%である。
ポリマーが一般式(NB)で表される構造単位と一般式(NB-2)で表される構造単位の両方を含む場合は、それらの合計が上記範囲にあることが好ましい。
ポリマーが環状オレフィンポリマーである場合、ポリマーは、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位を含むことが好ましい。この構造単位として、具体的には以下式(MA)で表される構造単位を挙げることができる。
式(MA)で表される構造単位は、その構造中に酸素原子を含む。よって、ポリマー中にこの構造単位を含めることで、ドライエッチング(Oプラズマエッチング)による犠牲層の除去性を比較的大きく設計しやすい。
Figure 0007275770000003
ポリマーの全構造単位中の、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位(具体的には式(MA)で表される構造単位)の割合は、例えば10~50mol%、好ましくは20~50mol%、より好ましくは40~50mol%である。
ポリマーは、上記の環状オレフィンモノマーに由来する構造単位や、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位とは異なる、第三の構造単位を含んでもよい。例えば、後述の架橋剤との反応性の制御などを目的として、ポリマー中に第三の構造単位を含めてもよい。
第三の構造単位としては、例えば、下記一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位を挙げることができる。
一般式(a2-1)および一般式(a2-2)中、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1~30の有機基である。
Figure 0007275770000004
14、R15およびR16を構成する炭素数1~30の有機基は、その構造中にO、N、S、P、Siのいずれか1以上を含んでいてもよい。また、R14、R15およびR16を構成する有機基は、酸性官能基を含まないものとすることができる。これにより、酸価の制御を容易とすることができる。
14、R15およびR16を構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、ビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基等が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
アルカリル基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。
ポリマーは、少なくとも、一般式(a2-1)および/または一般式(a2-3)で示される構造単位を含むことが好ましい。
ポリマーは、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位のうち、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。もちろん、ポリマーは、これら構造単位を含まなくてもよい。
補足しておくと、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)で表される構造単位は、例えば以下のようにしてポリマー中に導入することができる。
(i)まず、前掲の式(MA)で表される構造単位を特定ポリマー中に導入する。
(ii)その後、その構造単位を適当な手段で開環させる。
上記(ii)についてより具体的には、例えば、式(MA)で表される構造単位を含む樹脂に、1価のアルコールが作用することで、式(MA)で表される構造単位は、一般式(a2-1)で表される構造単位に変化する。
もちろん、ポリマーの重合の際に、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)で表される構造単位に直接対応するモノマーを用いることで、ポリマー中に、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)で表される構造単位を導入してもよい。
一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位以外で挙げることができる第三の構造単位としては、例えば、(i)(メタ)アクリル酸モノマーに由来する構造単位や、(ii)一般式(NB)または(NB-2)においてR~Rのうち少なくとも1つがカルボキシ基やヒドロキシ基である構造単位、などがある。
ポリマーは、上記のような第三の構造単位を、1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
特定ポリマーが第三の構造単位を含む場合、その含有比率は、ポリマー中の全構造単位を基準として、例えば10~80mol%、好ましくは20~60mol%である。
ポリマーは、適度なエッチングレートを得る観点から、芳香族構造を含まないか、含むとしても少量であることが好ましい。具体的には、ポリマー中の芳香族構造を含む構造単位の割合は、例えば50mol%以下、好ましくは30mol%以下、より好ましくは10mol%以下、さらに好ましくは5mol%以下、特に好ましくは0である。
ポリマーが2種以上の構造単位を含む場合、ポリマーは、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
ポリマーは、公知の高分子合成技術、具体的には公知のラジカル重合や触媒重合に関する技術を適用して製造することができる。より具体的には、例えば特開2017-9915号公報の記載や特許第5618537号公報に記載の合成例などを参考とすることができる。
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、例えば3000~30000、好ましくは6000~20000である。なお、Mwは、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)により測定することができる。
(架橋剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは架橋剤を含む。これにより、例えば、硬化膜(犠牲層)の耐熱性をより高めることができる。
架橋剤は、典型的には、1分子中に2個以上の架橋性基を含む。これにより、ポリマー同士を連結する架橋構造が形成され、硬化膜(犠牲層)の耐熱性が一層高まる。
架橋剤が1分子中に含む架橋性基の数は、通常2~8、好ましくは2~6、より好ましくは2~4である。この数を適切に選択することで、架橋構造を制御することができ、各種性能を高め得る。
架橋性基としては、アルコキシメチル基、メチロール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、マレイミド基などが挙げられる。
架橋剤としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかが好ましい。詳細なメカニズムは定かでないが、おそらくは、これら化合物の反応性ないし反応温度が、電子デバイス製造における硬化条件(温度条件)などとちょうど合致しており、このことがより良好な耐熱性や硬化収縮率の低減につながるものと推定される。
エポキシ化合物としては、例えば、公知のエポキシ樹脂を挙げることができる。
エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができる。エポキシ樹脂の分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂(例えばフルオレン骨格を有する多官能エポキシ樹脂など)、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上あるもの)も挙げることができる。多官能エポキシ樹脂としては、3~20官能のものがより好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂を用いることで、硬化膜の耐熱性をより高められる傾向がある。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α-2,3-エポキシプロポキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1~7){2-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンジリデン-2,3-エポキシプロポキシフェニレン}、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7-ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
エポキシ化合物の一種としては、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテル)も好ましく挙げることができる。フェノキシ樹脂を用いることにより、硬化膜の耐熱性を高められる傾向がある。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との共重合フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000~10000、より好ましくは1000~5000である。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法のポリスチレン換算値として測定される。
フェノキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
オキセタン化合物としては、オキセタニル基を有する化合物であれば特に限定されない。
例えば、1,4-ビス{[(3-エチルー3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
ポリオール化合物としては、1分子中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物であれば特に限定されない。
ポリオール化合物は、例えば、以下一般式(PO)で表される化合物を含むことができる。
Figure 0007275770000005
一般式(PO)中、
nは、2以上であり、
複数のRは、それぞれ独立に、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、
複数のXは、それぞれ独立に、カーボネート基(-O-(C=O)-O-)、エステル基(-COO-または-OCO-)およびエーテル基(-O-)からなる群より選ばれるいずれかであり、
は、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基である。
nは、2以上であれば特に限定されない。上限は特にないが、上限は例えば300である。
一般式(PO)において、複数のXのうち少なくとも1つは、好ましくはカーボネート基である。より好ましくは、複数のXの全てがカーボネート基である。
およびRは、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であれば、特に限定されない。
化合物の入手の容易性や、適度な柔軟性などの観点からは、Rの炭素数は、好ましくは4~7、より好ましくは5~6である。Rの炭素数も同様である。
炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基としては、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-C(CH-、-CH-CH(CH)-、-CH-CH(CH)-CH-、-CH-C(CH-CH-などを挙げることができる。
特に好ましくは、Rは、-(CH-または-(CH-である。Rについても同様である。
およびRは、発明の効果を過度に損なわない範囲において、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基などを挙げることができる。もちろん、RおよびRは無置換であってもよい。
ポリオール化合物の分子量(分子量分布がある場合には重量平均分子量)は、例えば300~6000、好ましくは350~5000、より好ましくは400~4000である。
ポリオール化合物としては、市販品を用いてもよい。具体的には、「ポリカーボネートジオール」「ポリエステルポリオール」「ポリエーテルジオール」などとして市販されている化合物を用いることができる。
一例として、宇部興産社より販売されているETERNACOLL(登録商標)UH-50、UH-100、UH-200、UH-300、PH-50、PH-100、PH-200、PH-300などを挙げることができる(これらはポリカーボネートジオールである)。
別の例として、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラノールシリーズ(ポリカーボネートジオール)、三菱ケミカル社製の商品名BENEBiOLシリーズ(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の商品名クラレポリオール(ポリカーボネートジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
さらに別の例として、AGC社の商品名エクセノール(ポリエーテルジオール)、DIC社の商品名ポリライトシリーズ(ポリエーテルジオール)、ADEKA社製の商品名アデカポリエーテル(ポリエーテルジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
ポリエーテルジオールとしては、いわゆるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの中から、両末端が水酸基であるものを適宜用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物が架橋剤を含む場合、架橋剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物中、架橋剤の量は、ポリマー100質量部に対し、好ましくは25~150質量部、より好ましくは30~120質量部、さらに好ましくは40~100質量部である。適度な量の架橋剤を用いることで、硬化収縮率をより小さくできる等のメリットを得ることができる。
(紫外線吸収剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは紫外線吸収剤を含む。これにより、波長355nmの光の透過率を高度に制御することができる。そして、レーザグルービングに対する適性をさらに高めることができる。
使用可能な紫外線吸収剤は特に限定されない。波長355nmの光の透過率を制御可能なものを任意に用いることができる。
紫外線吸収剤は、ポリマーや架橋剤との相溶性、後のエッチングによる除去性などの観点から、紫外線吸収剤は有機化合物であること(無機粒子などではないこと)が好ましい。
紫外線吸収剤としてより具体的には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アントラセン系化合物、トリアジン系化合物などを挙げることができる。これらは、波長355nmの光の透過率の制御のしやすさ、ポリマーや架橋剤との相溶性、入手容易性などの観点で好ましい。
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,4,4'-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイビジルメチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(3-オン-4-オキサ-ドデシル)-6-tert-ブチル-フェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4-(3-オン-4-オキサ-ドデシル)-6-tert-ブチル-フェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4-メチル-6-tert-ブチル-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-n-ドデシルフェノール、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)-6-[(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]]などを挙げることができる。
アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、4'-ニトロベンジル-9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホネート、4'-ニトロベンジル-9,10-ジエトキシアントラセン-2-スルホネート及び4'-ニトロベンジル-9,10-ジプロポキシアントラセン-2-スルホネートなどを挙げることができる。
トリアジン系化合物の具体例としては、2-(4-フェノキシ-2-ヒドロキシ-フェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘキサデシロキシ)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘプタデシロキシ)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-iso-オクチロキシ-フェニル)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、BASF社のUvinul(登録商標)シリーズ、大塚化学株式会社のRUVA-93、川崎化成工業株式会社のアントラキュアー(登録商標)シリーズなどが挙げられる。参考までに、感光性樹脂組成物の分野で知られている「増感剤」の中には、波長355nmの光を良く吸収し、本実施形態における紫外線吸収剤として使用可能なものがある。
本実施形態の樹脂組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物中、紫外線吸収剤の量は、ポリマー100質量部に対し、好ましくは1~20質量部、より好ましくは3~15質量部である。適度な量の紫外線吸収剤を用いることで、他の性能を維持しつつ、波長355nmの光の透過率を最適化してレーザグルービング適性を一層高めることができる。
(界面活性剤)
本実施形態の樹脂組成物は、界面活性剤を含んでもよい。これにより、膜形成時の膜の均一性を向上させうる。
界面活性剤とは、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
界面活性剤の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、樹脂組成物は界面活性剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、その量は、ポリマー100質量部に対し、0.005~1質量部であることが好ましく、0.02~0.5質量部であることがより好ましい。
(溶剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは溶剤を含む。換言すると、本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは、各成分を溶剤に溶解または分散したものである。溶剤により、樹脂組成物を樹脂膜に形成しやすくなる。
溶剤は、典型的には有機溶剤である。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などの有機溶剤を挙げることができる。
より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、デカン等の有機溶剤を挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物が溶剤を含む場合、樹脂組成物は溶剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。すなわち、溶剤は、単独溶剤であってもよいし、混合溶剤であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されないが、組成物中の不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。溶剤の量を適当に調整することで、例えば樹脂組成物を基板上に塗布して製膜する際の膜厚を調整することができる。
(その他成分)
本実施形態の樹脂組成物は、レーザグルービングを含む電子デバイス製造工程に適用可能な限り、上記以外の各種成分を含んでもよい。そのような成分としては、例えば酸化防止剤、フィラー等を挙げることができる。ただし、電子デバイスの意図せぬ汚染防止などの観点から、本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは、染料や顔料などの着色剤を含まない。
(密着助剤について)
本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤等の密着助剤を含んでもよい。しかしながら、エッチング後の残渣の低減の観点からは、本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤のようなSi含有化合物を含まないか、または含むとしても少量であることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物の固形分中のシランカップリング剤の量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。さらに好ましくは、本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤を含まない。
別観点として、本実施形態の樹脂組成物の固形分中の全Si含有化合物の量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。さらに好ましくは、本実施形態の樹脂組成物は、Si含有化合物を含まない。
(感光性/感光剤について)
本実施形態の樹脂組成物は、非感光性である。換言すると、本実施形態の樹脂組成物で形成した樹脂膜に、g線やi線を照射しても、アルカリ水溶液に対する溶解性が実質的に変化することはない。
本実施形態の樹脂組成物は、通常、キノンジアジド化合物や感光性オニウム塩などの感光剤、すなわち、紫外線等の光が照射されることで、酸、アルカリ、ラジカル等の化学種を発生する化合物を含まない。
(耐熱性に関する指標)
本実施形態の樹脂組成物は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物として、様々な加熱プロセスに耐えられること(つまり耐熱性が良好であること)が好ましい。耐熱性については、樹脂組成物を熱で硬化させた硬化物のガラス転移温度により定量的に評価することができる。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物を、窒素雰囲気下、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜を、熱機械分析(Thermomechanical Analysis)することで求められるガラス転移温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上である。換言すると、上記手順により求められるガラス転移温度が150℃以上となるように樹脂組成物を設計することで、より良好な耐熱性を有する犠牲層形成用の樹脂組成物を得ることができる。
ガラス転移温度の上限は特に無いが、硬化膜の適度な柔軟性などの観点から、300℃以下である。
ガラス転移温度の測定の具体的手順については、後述の実施例の記載を参照されたい。
(光の透過/吸収性に関する追加の説明)
前述のように、本実施形態の樹脂組成物を、窒素雰囲気下、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長355nmの光の透過率は、50%以下である。この透過率は、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
この透過率の下限は特になく、波長355nmの光の透過率は0%であってもよい。例えば0%以上である。ちなみに、レーザグルービングは樹脂膜をレーザで「焼き切る」ものであるため、光の透過率が0%であっても、樹脂膜は上面から徐々に焼き切られる(樹脂膜の下部まで光が届かないからといって、レーザグルービングできないということは無い)。
「膜厚25μmあたりの」光の透過率について念のため説明しておく。
透過率の測定を膜厚25μmの硬化膜で行った場合には、その測定で得られる数値をそのまま採用することができる。種々の誤差をできるだけ少なくする観点からは、透過率の測定は、膜厚25μmの硬化膜で行われることが好ましい。
透過率の測定を膜厚25μmではない硬化膜で行った場合には、以下のとおりである。
ランベルト・ベールの法則より、入射光強度と透過光強度から算出される吸光度Aは、媒質の光路長Lに比例する。よって、「膜厚25μmあたりの」吸光度A25μmは、A×(L/25)と表すことができる(Lの単位はμmである)。
ここで、吸光度Aと透過率Tには、A=-logTの関係があるから、この関係式に上記A25μmの値を代入してTについて計算すれば、膜厚25μmあたりの光の透過率を求めることができる。
別観点として、本実施形態の樹脂組成物を、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長633nmの光の透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。
電子デバイスの製造において、ウェハの位置合わせなどのために、波長633nmの光を利用する場合がある。この点で、硬化膜は、波長633nmおよびその周辺波長の光をよく透過することが好ましい。
<電子デバイス製造方法>
本実施形態の樹脂組成物により基板上に犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、その犠牲層をドライエッチングするドライエッチング工程と、を含む工程により、電子デバイスを製造することができる。
例えば、前述の特許文献1や2に開示されているような、犠牲層形成工程を含むデバイスの製造において、本実施形態の樹脂組成物を用いることができる。犠牲層としての役割(基板上の部材の保護や、中空構造の形成など)を終えた後の犠牲層は、Oガスを用いたドライエッチングにより比較的容易に除去される。
既に述べたように、本実施形態の樹脂組成物は、特に、レーザグルービングを含む電子デバイス製造工程に好ましく適用可能である。具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、上記の犠牲層形成工程とドライエッチング工程との間に、犠牲層にレーザグルービングを行うレーザグルービング工程を含む電子デバイス製造方法に、好ましく適用することができる。
レーザグルービング工程を含む電子デバイス製造方法の一例を、図1を参照しつつ具体的に説明する。
まず、図1Aに示されるように、基板1の片面の一部または全部に、本実施形態の樹脂組成物による犠牲層5を形成する(犠牲層形成工程)。
基板1は特に限定されない。基板1としては、例えば、シリコンウェハ、セラミック基板、アルミ基板、SiC基板、SiN基板、GaN基板などが挙げられる。基板1は、未加工の基板であってもよいし、素子および/または配線を備える基板であってもよい。
犠牲層5を形成(成膜)する方法は特に限定されず、公知の方法を適宜適用することができる。電子デバイスの製造においては通常スピンコート法が適用される。基板面積の広さなどによってはバーコート法、スリットコート法、スプレー法、インクジェット法などを適用してもよい。
犠牲層5の形成(成膜)の際、加熱による乾燥を行ってもよい。乾燥は、典型的にはホットプレート、熱風、オーブン等で加熱処理することで行われる。加熱温度は、通常80~140℃、好ましくは90~120℃である。また、加熱の時間は、通常30~600秒、好ましくは30~300秒程度である。
製膜の際の膜厚は特に限定されず、最終的に得ようとする電子デバイスの構造等により適宜調整される。製膜の際の膜厚は、一例として5~50μm程度である。
形成された犠牲層5は、加熱により熱硬化されることが好ましい。熱硬化の条件は、例えば、150~350℃程度で、10分~3時間程度とすることができる。
次に、図1Bに示されるように、犠牲層5にレーザ光10を照射し、犠牲層5の一部を焼き切って、「溝」を形成する。この工程が、狭義のレーザグルービングである。犠牲層5を本実施形態の樹脂組成物により形成することで、犠牲層5の一部を適切に焼き切ることができる。
レーザ光10の波長は、典型的には355nmである。レーザの出力、レーザがパルスレーザの場合はその周波数、レーザを動かすスピードなどは、特に限定されない。レーザグルービングが可能である限り任意の条件を採用することができる。条件の一例としては後述の実施例などを参照されたい。
レーザグルービングは、具体的には、πレーザグルービング、ωレーザグルービングなどとして知られている、細い溝(グルーブ)を2本形成する方法であってもよい。
犠牲層5に溝が形成された後、その溝の部分にダイシングブレード11を当てて、基板1をダイシングする(図1Cおよび図1D)。使用可能なダイシングブレード11や、ダイシングの具体的なやり方については、公知技術を適宜適用することができる。
ダイシング後、切断された基板1の上に残存する犠牲層5をドライエッチングで除去するドライエッチング工程を行う。ドライエッチングに用いるガスは、典型的にはOである。ドライエッチングの具体的な条件や、ドライエッチングを行うための装置などは、犠牲層5を除去できる限り特に限定されず、公知技術を適宜適用することができる。
図1とは異なる、レーザグルービング工程を含む電子デバイス製造方法の例を、図2を参照しつつ具体的に説明する(図1と異なる部分を中心に説明する)。
図2に示される電子デバイス製造方法は、基板1と犠牲層5の間に中間層3が存在する点で、図1の製造方法と異なっている。別の言い方として、犠牲層形成工程において、犠牲層は、中間層3を備える基板のその中間層3の上に形成される(特に図2A参照)。
中間層3は、例えばポリイミド膜などの永久膜である。
図2Bに示されるレーザグルービング工程では、中間層3と犠牲層5の両方を、一度にレーザグルービングして、溝を設けることができる。
本発明者らの知見として、本実施形態の樹脂組成物により形成された犠牲層5の波長355nmの光の透過率は、ポリイミド膜のそれと同程度となっている。このため、一度のレーザ照射により、中間層3と犠牲層5の両方をきれいに(目立った剥離など無く)焼き切ることができると考えられる。
図2Cおよび図2Dに示されるダイシング工程、および、図2Eに示されるドライエッチング工程については、中間層3が存在することを除き、基本的に図1C、図1Dおよび図1Eの説明と同様である。よって改めての説明は割愛する。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の参考形態を以下に付記する。
1.
電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物を、窒素雰囲気下、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長355nmの光の透過率は50%以下であり、
誘導結合型プラズマ方式のドライエッチング装置を用いて、前記硬化膜を、流量550sccm、圧力4.0Paの条件でO ドライエッチングしたときのエッチングレートは2.3μm/分以上であり、
非感光性である樹脂組成物。
2.
1.に記載の樹脂組成物であって、
前記硬化膜の、熱機械分析により求められるガラス転移温度が150℃以上である樹脂組成物。
3.
1.または2.に記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量が5質量%以下である樹脂組成物。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
環状オレフィンポリマーを含む樹脂組成物。
5.
4.に記載の樹脂組成物であって、
前記環状オレフィンポリマーは、前掲の一般式(NB)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
一般式(NB)中、
、R 、R およびR は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
は0、1または2である。
6.
4.または5.に記載の樹脂組成物であって、
前記環状オレフィンポリマーは、前掲の式(MA)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
さらに架橋剤を含む樹脂組成物。
8.
7.に記載の樹脂組成物であって、
前記架橋剤は、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
感光剤を含まない樹脂組成物。
10.
1.~9.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長633nmの光の透過率が80%以上である樹脂組成物。
11.
1.~10.のいずれか1つに記載の樹脂組成物により基板上に犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
前記犠牲層をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法。
12.
11.に記載の電子デバイス製造方法であって、
前記犠牲層形成工程と前記ドライエッチング工程との間に、前記犠牲層にレーザグルービングを行うレーザグルービング工程と、
前記レーザグルービング工程と前記ドライエッチング工程との間に、前記基板をダイシングするダイシング工程と、
を含む電子デバイス製造方法。
13.
11.または12.に記載の電子デバイス製造方法であって、
前記犠牲層形成工程では、前記犠牲層を、ポリイミド膜を備える基板の当該ポリイミド膜上に形成する電子デバイス製造方法。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<ポリマーの合成>
[合成例1:ポリマー1の合成]
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(122.4g、1.25mol)、2-ノルボルネン(117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を投入した。これに対してメチルエチルケトン(150.8g)およびトルエン(77.7g)を加えて溶解し、溶解液を得た。
この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃、16時間、加熱した。
その後、この溶解液に対して、メチルエチルケトン(320g)を加え、さらにその後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol)、ブタノール(463.1g、6.25mol)、トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88質量%水溶液、49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加を行った。
次いで、この混合液にメチルエチルケトン(MEK)および水を加えて水層を分離する水洗工程を、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ金属濃度が5ppm以下となるまで繰り返した。その後、メタノール、ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加し、系内のメタノールおよびブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、以下にポリマー1として示される化学構造のポリマーを40質量%含むポリマー溶液1107.7gを得た。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)測定によると、重量平均分子量Mwは13,700、数平均分子量Mnは7,400であった。
Figure 0007275770000006
<樹脂組成物の調製>
後掲の表1に示される配合に従って各成分を均一に攪拌・混合し、その後、孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、樹脂組成物を調製した。
表1に示される各成分の詳細は以下のとおりである。また、表1中、溶剤のPGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、MEKはメチルエチルケトンを表す。
(ポリマー)
ポリマー1:上述のもの
PBO樹脂:公知のポリベンゾオキサゾール系樹脂
PMMA:公知のポリ(メチルメタクリレート)
(架橋剤)
エポキシ1:EPICRON(登録商標) HP-6000(DIC株式会社製、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂)
エポキシ2:VG3101L(プリンテック株式会社製、以下構造)
フェノキシ1:jER(登録商標)YX7105(三菱ケミカル社製、重量平均分子量3000~4000)
ポリオール1:PCP-100L2(東ソー株式会社製、3官能以上の多官能ポリオール)
Figure 0007275770000007
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤1:Uvinul(登録商標)3050(BASFジャパン株式会社製、以下構造)
紫外線吸収剤2:RUVA-93(大塚化学株式会社製、以下構造)
紫外線吸収剤3:アントラキュアー(登録商標)UVS-1331(川崎化成工業株式会社製、以下構造)
Figure 0007275770000008
(その他成分)
シランカップリング剤:KBM-403E(信越化学工業株式会社製、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
フッ素含有界面活性剤:メガファックR-41(DIC株式会社製)
<光の透過率の測定>(波長355nm、633nm)
以下手順により測定した。
(1)樹脂組成物をシリコンウェハにスピンコートした。回転数などについては、硬化後の膜厚が25μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)(1)で得られた樹脂膜を、N雰囲気のオーブン内で、200℃、90分間加熱し、その後室温まで放冷して硬化膜を得た。
(3)(2)で得られた硬化膜を、シリコンウェハごと、1質量%フッ酸水溶液に浸漬し、硬化膜をウェハから剥離した。その後、硬化膜に付着したフッ酸水溶液を十分に水洗した。
(4)(3)で剥離・水洗された硬化膜を、オーブンを用いて60℃で10時間乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。その後、硬化膜を30mm×30mmサイズにカットした。これを光の透過率の測定用サンプルとした。
(5)(4)で得られた測定用サンプルを、日本分光株式会社製の紫外可視近赤分光光度計「JASCOV-670」にセットし、波長190~1000nm範囲の透過率を測定した。この測定結果より、膜厚25μmの硬化膜の光の透過率(波長355nm、633nm)を得た。
<エッチングレートの測定>
まず、上記<光の透過率の測定>の(1)および(2)のようにして、シリコンウェハ上に硬化膜を設けた。
硬化膜に対し、以下の装置および条件で、2分間、ドライエッチングを行った。そして、この前後での膜厚変化量から、(硬化膜の膜厚-プラズマ処理後膜厚)/(ドライエッチング時間)の式に基づき、エッチングレートを算出した(単位:μm/min)。膜厚の測定には、オリンパス社の光干渉式膜厚計VM-1030を用いた。
・装置:Samco社製のICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置、品番「RIE-200iP」
・エッチング条件:Oガス、出力900W(ICP)、450W(Bias)、流量550sccm、圧力4.0Pa、温度23℃(室温)、電圧200V、周波数13.56MHz
<レーザグルービング適性の評価>
以下手順により評価した。
(1)シリコンウェハ上にポリイミドワニス(ポリイミド前駆体の有機溶剤溶液、汎用品)をスピンコートし、120℃、3分の条件で乾燥し、そして室温まで冷却した。これによりポリイミド前駆体の樹脂膜を形成した。塗布量やスピンコートの回転数などは、以下(2)で得られる硬化ポリイミド膜の厚みが5μmとなるように適宜調整した。
(2)オーブンを用いて、320℃、30分の条件で、ポリイミド前駆体の樹脂膜をシリコンウェハごと加熱した。このようにして、硬化ポリイミド膜(厚み5μm)が形成されたシリコンウェハを得た。
(3)上記(2)の硬化ポリイミド膜の上に、上記<光の透過率の測定>の(1)および(2)のようにして、硬化膜(犠牲層)を設けた。
(4)上記(3)の硬化膜(犠牲層)に対し、株式会社ファインデバイス製の装置「MWL-WS05T」を用いて、以下条件でレーザグルービングを行い、硬化膜(犠牲層)および硬化ポリイミド膜を焼き切った。その後、レーザグルービングにより形成されたライン上を、DISCO社製の装置を用い、カットスピード10mm/secでダイシングした(すなわち、シリコンウェハをカットした)。
(レーザグルービング条件)
レーザ波長:355nm
出力:0.8W
繰り返し周波数:10kHz
加工速度:500mm/min
カットされたシリコンウェハの断面を走査電子顕微鏡 (SEM)で観察し、以下3段階で評価した。
〇(良好):断面のSEM観察において、犠牲層と下地PI層間に剥離が全くない。
△(普通):断面のSEM観察において、犠牲層と下地PI層間の剥離は見られるが、剥離範囲は5μm以下。
×(不良):レーザーグルービング・ダイシング後のダイシングライン断面のSEM観察において、犠牲層と下地PI層間の剥離が見られ、剥離範囲が5μmより大きい。
<耐熱性の評価(ガラス転移温度Tgの測定)>
まず、上記<光の透過率の測定>の(1)~(4)のようにして測定用サンプルを得た。ただし、硬化膜の膜厚が10μmとなるようにスピンコートの回転数などを調整した。また、測定用サンプルの大きさは20mm×4mmサイズとした。
測定用サンプルを、日立ハイテクサイエンスの熱機械分析装置TMA-6000にセットした。そして、サンプルに引張荷重30mNをかけつつ、昇温速度5℃/分で10℃から400℃まで昇温して、横軸:温度、縦軸:伸び量のグラフを描いた。このグラフにおける高温側の直線部分と低温側の直線部分の延長線の交点を、Tgとした。
<エッチング後残渣の評価>
シリコンウェハをCuウェハに変えた以外は、上記<光の透過率の測定>の(1)および(2)と同様の手順により、硬化膜を得た。
上記硬化膜に対し、上記<エッチングレートの測定>と同様の装置および条件でドライエッチングを行った。ただし、時間については、(膜厚/エッチングレート)×1.5で算出される時間とし、硬化膜を全て除去するようにした。
その後、Cuウェハ表面の面積314cm分の領域を顕微鏡観察した。顕微鏡としてはVHX-5000(キーエンス社)を用いた。
顕微鏡観察により残渣が見られた場合には、その残渣がSi由来であるか(ケイ素化合物に由来する残渣であるか)を、エネルギー分散型X線分析(EDX分析)により分析した。そして、以下3段階で評価した。
〇(良):Si由来の残渣面積が全面積に対して0%
△(可):Si由来の残渣面積が全面積に対して0.01~3%
×(不可):Si由来の残渣面積が全面積に対して3%超
<硬化収縮率の評価>
上記<光の透過率の測定>の(1)および(2)のようにして、シリコンウェハ上に硬化膜を設けた。このときの、硬化前後での膜厚を測定し、以下式より硬化収縮率(%)を求めた。膜厚の測定には、オリンパス社の光干渉式膜厚系VM-1030を用いた。
式:{(硬化前の樹脂膜の厚み-硬化膜の厚み)/硬化前の樹脂膜の厚み}×100
樹脂組成物の成分組成と評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 0007275770000009
表1に示されるとおり、硬化膜としたときの波長355nmの光の透過率(膜厚25μmあたり)が50%以下である実施例1~7の樹脂組成物の、レーザグルービング適性は良好であった。
また、実施例1~7の樹脂組成物の硬化膜のエッチングレートは2.3μm/分以上であった。つまり、実施例1~7の樹脂組成物は、犠牲層形成用の樹脂組成物として優れた除去性を有するものであると言える。
また、架橋剤として3官能エポキシ化合物であるエポキシ2を用いた実施例2~4や、架橋剤としてフェノキシ樹脂であるフェノキシ1を用いた実施例5の評価では、耐熱性がより良好な傾向が見られた。
比較例1の樹脂組成物の評価では、エッチングレートが小さく、犠牲層としての役割を終えた後の除去性が悪かった。つまり、比較例1の樹脂組成物は、実施例1~7の樹脂組成物と比べて、犠牲層形成用の樹脂組成物として不適であった。
比較例2および3の樹脂組成物については、レーザグルービング適性が悪かった。硬化膜としたときの波長355nmの光の透過率(膜厚25μmあたり)が大きすぎたためと考えられる。
1 基板
3 中間層
5 犠牲層
10 レーザ光
11 ダイシングブレード

Claims (11)

  1. 電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
    環状オレフィンモノマーに由来する構造単位を含むポリマーと、紫外線吸収剤と、を含み、
    前記紫外線吸収剤の量は、前記ポリマー100質量部に対して1~20質量部であり、
    当該樹脂組成物を、窒素雰囲気下、200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長355nmの光の透過率は50%以下であり、
    誘導結合型プラズマ方式のドライエッチング装置を用いて、前記硬化膜を、流量550sccm、圧力4.0Paの条件でOドライエッチングしたときのエッチングレートは2.3μm/分以上であり、
    非感光性である樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物であって、
    前記硬化膜の、熱機械分析により求められるガラス転移温度が150℃以上である樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量が5質量%以下である樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    記ポリマーは、以下一般式(NB)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
    Figure 0007275770000010
    一般式(NB)中、
    、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
    は0、1または2である。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    記ポリマーは、以下式(MA)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
    Figure 0007275770000011
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    さらに架橋剤を含む樹脂組成物。
  7. 請求項に記載の樹脂組成物であって、
    前記架橋剤は、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記硬化膜の、膜厚25μmあたりの、波長633nmの光の透過率が80%以上である樹脂組成物。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物により基板上に犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
    前記犠牲層をドライエッチングするドライエッチング工程と、
    を含む電子デバイス製造方法。
  10. 請求項に記載の電子デバイス製造方法であって、
    前記犠牲層形成工程と前記ドライエッチング工程との間に、前記犠牲層にレーザグルービングを行うレーザグルービング工程と、
    前記レーザグルービング工程と前記ドライエッチング工程との間に、前記基板をダイシングするダイシング工程と、
    を含む電子デバイス製造方法。
  11. 請求項または10に記載の電子デバイス製造方法であって、
    前記犠牲層形成工程では、前記犠牲層を、ポリイミド膜を備える基板の当該ポリイミド膜上に形成する電子デバイス製造方法。
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