JP7275757B2 - 化粧材 - Google Patents

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本開示は、化粧材に関する。
建築物の内壁、室内の装飾品等のインテリア部材、及び、キャビネット、テーブル、机等の家具等においては、従来、意匠性及び耐汚染性や耐候性等の耐久性等を付与するために、表面に化粧材が用いられている。
化粧材の耐候性を向上させるためには、例えば、化粧材の表面保護層に紫外線吸収剤を含有させることが行われている。しかし、紫外線吸収剤は、経時的に表面保護層からブリードアウトしやすいという問題がある。紫外線吸収剤がブリードアウトすると、表面保護層の耐候性は低下する。表面保護層への紫外線吸収剤の添加量を増やすことにより、より優れた耐候性を付与することができるが、紫外線吸収剤を多量に添加しても、経時的に紫外線吸収剤がブリードアウトする結果、十分な耐候性を維持することは困難であった。
紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制する手段として、本出願人は、特許文献1に、(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する紫外線吸収剤を用いることや、紫外線吸収剤をリン脂質からなるナノシェルに内包させることを提案している。
特開2018-171835号公報
しかしながら、紫外線吸収能に優れる紫外線吸収剤は、反応性官能基を有しないものも多い。そのため、反応性官能基を有しない紫外線吸収剤においてもブリードアウトを抑制することが望まれている。
紫外線吸収剤をリン脂質からなるナノシェルに内包させる手法では、表面保護層の強度を維持しながら耐候性を向上させることが難しいという問題がある。表面保護層中にリン脂質の含有量が多すぎると、表面保護層の強度が低下しやすい。一方で、強度を維持できるようにリン脂質の含有量を抑えると、十分な量の紫外線吸収剤をナノシェルに内包させて表面保護層に含有させることが困難なため、強度を維持しながら耐候性を十分に向上させることが難しい。
本開示は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、優れた耐候性を持続可能な化粧材を提供することを目的とする。
本開示の化粧材は、基材と、表面保護層とを有し、
前記表面保護層が、樹脂と、多孔質シリカと、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有する。
本開示においては、前記紫外線吸収剤(A)の含有量が、前記樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であってもよい。
本開示においては、前記表面保護層が、更に、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び光安定剤(C)から選ばれる少なくとも1種を含有するものであってもよい。
本開示によれば、優れた耐候性を持続可能な化粧材を提供することができる。
本開示の化粧材の一例を示す断面模式図である。 本開示の化粧材の別の一例を示す断面模式図である。
以下に、本開示の実施の態様について詳細に説明するが、本開示は以下の実施の態様に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本開示の化粧材は、基材と、表面保護層とを有し、
前記表面保護層が、樹脂と、多孔質シリカと、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有することを特徴とする。
図1は、本開示の化粧材の一例を示す断面模式図である。図1に示す化粧材10は、基材1と表面保護層2とを有し、表面保護層2は、樹脂11と、多孔質シリカ12と、多孔質シリカ12に付着した紫外線吸収剤(A)13と、多孔質シリカ12から離れて存在する紫外線吸収剤(B)14とを含有する。
表面保護層に紫外線吸収剤を含有させた従来の化粧材においては、表面保護層から紫外線吸収剤が経時的にブリードアウトすることにより、表面保護層に含まれる紫外線吸収剤の量が減少し、その結果、経時で耐候性が低下し、耐候性を持続させることが困難であった。また、従来の化粧材は、屋外用途としては耐候性が不十分であった。屋外で使用される外装用の化粧材には、いわゆる超耐候性が求められており、内装用の化粧材に比べ、より優れた耐候性が求められる。
本開示の化粧材が有する表面保護層は、図1に示すように、多孔質シリカ12に付着した紫外線吸収剤(A)13を含有する。紫外線吸収剤(A)13は、多孔質シリカ12の内部に入り込んでいるか又は外側表面に付着しているため、多孔質シリカ12から離れて存在する紫外線吸収剤(B)14に比べ、ブリードアウトしにくい。特に多孔質シリカ12の内部に入り込んでいる紫外線吸収剤(A)13はブリードアウトが抑制される。また、表面保護層中の多孔質シリカは、表面保護層の艶を低減する効果(本開示において艶消し効果という場合がある)を有する。艶消し効果が発揮される量で、表面保護層に、紫外線吸収剤(A)が付着した多孔質シリカを含有させることにより、耐候性を付与するのに十分な量の紫外線吸収剤も、表面保護層に含有させることができる。また、艶消し効果が発揮される量で多孔質シリカを含有させても、表面保護層の強度は維持される。このようにして、本開示の化粧材においては、十分な量の紫外線吸収剤が、多孔質シリカに付着した状態で含有されるため、表面保護層中に十分な量の紫外線吸収剤を保持することができ、優れた耐候性を持続できると推定される。
本開示の化粧材は、少なくとも基材と、表面保護層とを有し、必要に応じて、更にその他の層を有していてもよい。
図2は、本開示の化粧材の別の一例を示す断面模式図である。図2に示す化粧材10は、基材1の一方の面に、絵柄層3と、接着剤層4と、透明樹脂層5と、プライマー層6と、表面保護層2とをこの順に有し、基材1のもう一方の面に、裏面プライマー層7を有する。
なお、本開示の化粧材は、図1及び図2に示す層構成のみに限定されるものではない。
1.基材
本開示の化粧材が有する基材は、化粧材の形状を保持しうる強度を有していれば特に限定はされず、化粧材の基材として従来用いられているものを適宜選択して用いることができる。前記基材の材料としては、例えば、樹脂、各種の紙類、金属、木材、窯業系素材等を挙げることができる。前記基材が可撓性基材であると、本開示の化粧材を他の部材表面等に貼着する用途に好適な点、及び加工性の点から好ましい。前記可撓性基材の材料としては、例えば、樹脂、各種の紙類、及び樹脂含浸紙等を挙げることができる。
前記基材としては、中でも、強度及び耐久性の点、並びに、各種添加剤を添加することにより所望の特性を付与できる点、可撓性を付与しやすい点、及び加工性等の点から、樹脂基材が好ましい。本開示において、樹脂基材は、樹脂に、必要に応じて各種添加剤を含有させた材料により構成される。
前記樹脂基材に含まれる樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、三酢酸セルロース、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐候性、耐水性等の各種物性、印刷適性、成形加工適性、価格等の観点から、前記樹脂基材に含まれる樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、又はアクリル系樹脂であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂であることがより好ましい。
また、前記樹脂基材は、予めその片面又は両面にコロナ処理を施したものであってもよい。
前記樹脂基材の樹脂として、塩化ビニル樹脂のように可塑剤添加により材料力学的特性を可変して成形加工適性等の諸特性を調整可能な樹脂を選択する場合は、必要に応じて、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤は、当該樹脂基材に柔軟性を付与し、その硬さを制御することを目的として用いられる。
前記樹脂基材は、着色剤を含有していてもよい。着色剤は、前記樹脂基材の少なくとも一方の面を、所望の色相に着色させる。着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾ化合物、ペリレン系化合物、ニッケルアゾ錯体等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の金属の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色顔料が挙げられる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色のいずれでも良いが、一般的には、被着体を隠蔽するために不透明着色が良い。
着色剤の含有量は、本開示の化粧材が加工性及び密着性等の機械特性を有する範囲で適宜調整され、特に限定はされない。
また、前記樹脂基材は、必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。
前記樹脂基材は、例えば、前記樹脂、及び必要に応じて可塑剤、着色剤、添加剤等を混合した組成物を、カレンダー製法等の常用の方法で製膜することにより得ることができる。
前記基材の厚さは、化粧材の用途及び前記基材の材料に応じて、強度及び耐熱性が適切になるように適宜設定することができ、特に限定はされない。本開示の化粧材が、他の部材表面等に貼着して用いられるものである場合は、前記基材の厚さは、貼着の容易性及び加工性の点から、1μm以上1,000μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下であることがより好ましい。
2.表面保護層
表面保護層は、化粧材に要求される耐擦傷性等の耐久性を付与するために設けられる。本開示の化粧材において、表面保護層は、樹脂と、多孔質シリカと、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有し、更に、耐候性を向上する点から、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び光安定剤(C)から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく、効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を更に含有していてもよい。
(樹脂)
表面保護層に用いられる樹脂としては、特に限定はされず、例えば、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂等が挙げられる。表面保護層に用いられる樹脂としては、中でも、強度及び製造容易性の観点から、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が好ましく、これらは併用しても良い。なお、表面保護層が含有する樹脂は、典型的には、前記硬化性樹脂の硬化物であるが、少量の未硬化物を含有していてもよい。
前記硬化性樹脂としては、中でも、樹脂の架橋密度を高めて、表面保護層の耐傷性及び耐摩耗性等を向上させ得る点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、更に、無溶媒での塗布が可能であり、取扱いが容易な点から、電子線硬化性樹脂がより好ましい。
なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV-A、UV-B、UV-C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリシロキサン系樹脂等を用いることができる。中でも、得られる塗膜の可撓性や、耐薬品性等の耐久性等の諸特性が良好な2液硬化型ウレタン系樹脂が好ましい。2液硬化型ウレタン系樹脂は、ポリオールを主剤としイソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂であり、ポリオールは分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である。ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。多価イソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(脂環式を含む)イソシアネート等が挙げられる。また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等を用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線硬化性を有する樹脂として従来慣用されているような、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する重合性モノマー及び重合性オリゴマー乃至プレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
分子中に(メタ)アクリロイル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
分子中に(メタ)アクリロイル基を有する重合性オリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
なお、本開示において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの各々を意味する。
分子中にカチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
これらの重合性モノマー、重合性オリゴマー及びプレポリマーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂としては、中でも、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する重合性オリゴマーが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが特に好ましい。
また、表面保護層に用いる樹脂としては、表面保護層の耐候性を向上する点から、フッ素含有樹脂を好ましく用いることができる。電離放射線硬化性のフッ素含有樹脂としては、例えば、分子中に、前記ラジカル重合性不飽和基又は前記カチオン重合性官能基と、フッ素原子とを有する重合性モノマー、重合性オリゴマー、及びこれらの重合体が挙げられる。
表面保護層中の前記樹脂の含有量は、特に限定はされないが、表面保護層の強度の点から、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、一方、多孔質シリカ及び紫外線吸収剤(A)を十分に含有させて耐候性を向上させる点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
(多孔質シリカ)
表面保護層は、多孔質シリカを含有することにより、艶消し効果が得られる。また、多孔質シリカに後述する紫外線吸収剤(A)を付着させることにより、表面保護層からの紫外線吸収剤(A)のブリードアウトを抑制することができるため、表面保護層は優れた耐候性を維持することができる。
なお、多孔質シリカは、表面に複数の細孔を有するシリカ粒子であり、通常、BET比表面積が50m/g以上である。
多孔質シリカは、その製造方法により湿式法シリカと乾式法シリカとに大別されるが、比較的安価で高性能な湿式法シリカが一般的に用いられる。
湿式法シリカには、沈降法により製造されるシリカ(以下、沈降法シリカと称する場合がある。)と、ゲル法により製造されるシリカ(以下、ゲル法シリカと称する場合がある。)が存在する。
沈降法シリカとは、一般的に、下記式(I)の化学反応を塩基性条件下で進行させることにより得られるシリカを指す。
式(I)
NaO・nSiO+HSO→nSiO+NaSO+H
上記式(I)において、塩基性条件下ではシリカの一次粒子の成長が促進される。十分に成長したシリカの一次粒子同士が凝集することにより、沈降法シリカ(nSiO)が生成する。その際、凝集体がフロック状(綿状)となり反応混合物の底に沈降する。
一方、ゲル法シリカとは、一般的に、上記式(I)の化学反応を酸性条件下で進行させることにより得られるシリカを指す。
上記式(I)において、酸性条件下ではシリカの一次粒子の成長が抑制される。成長途上のシリカの一次粒子同士が凝集することにより、ゲル法シリカ(nSiO)が生成する。その際、凝集体が形成する強固な3次元網目構造により、反応混合物全体がゲル状となる。このように、ゲル法シリカにおいては、その製造方法に由来して、沈降法シリカよりも一次粒子同士の凝集力がより強い二次粒子が形成される。
沈降法シリカとゲル法シリカとの違いは、例えば、これらのシリカのSEM写真によってもおおよその区別が可能である。
まず、両シリカの外形を対比する。沈降法シリカはフロック状(綿状)構造を有するため、通常、その外形は丸みを帯びることが多い。一方、ゲル法シリカの外形は、その製造方法に由来して角ばっているのが通常である。したがって、SEM写真からシリカの外形を特定することにより、沈降法シリカ又はゲル法シリカのいずれであるかの判別が可能となる場合がある。
次に、両シリカの内部構造と強度を対比する。沈降法シリカは、一次粒子同士の凝集力が弱いため、密度が比較的小さく、もろい傾向がある。一方、ゲル法シリカは、一次粒子同士の凝集力が強いため比較的高密度であり硬い傾向がある。
前記多孔質シリカとしては、中でも、紫外線吸収剤(A)を内包しやすい点から、沈降法シリカを好ましく用いることができる。
多孔質シリカの大きさは、特に限定はされないが、多孔質シリカによる艶消し効果が発揮されやすく、表面保護層からの多孔質シリカの脱離が起こりにくい点から、多孔質シリカの粒径(D50)が1μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。ここで、前記粒径(D50)は、粒子の体積基準でのメジアン径を意味する。
多孔質シリカの吸油量は、特に限定はされないが、十分な量の紫外線吸収剤(A)を付着させる点、及び十分な艶消し効果を発揮しつつ艶調整が容易である点から、100mL/100g以上300mL/100g以下であることが好ましく、150mL/100g以上250mL/100g以下であることがより好ましい。
多孔質シリカは、表面処理済みのものであっても、表面未処理のものであってもいずれでもよい。多孔質シリカの表面処理方法は、無機処理及び有機処理のいずれでもよく、従来公知の方法を使用できる。多孔質シリカの表面処理方法としては、例えば、界面活性剤、高分子化合物、親水性樹脂、ワックス、無機化合物等を多孔質シリカ表面に含浸コーティングする方法;多孔質シリカ表面の活性基等とのラジカル反応、キレート反応、カップリング反応、ゾル吸着等を利用したトポケミカルな改質方法;粉砕活性面と有機化合物とのグラフト反応、無機化合物の吸着反応等を利用したメカノケミカルな改質方法;等が挙げられる。
多孔質シリカとしては市販品を用いてもよい。多孔質シリカの市販品としては、例えば、東ソー・シリカ(株)製の商品名Nipsilとして市販されている各種製品等を挙げることができ、具体的には、東ソー・シリカ(株)製Nipsilの銘柄E-200A、E-220A、K-500、E-1009、E-1011、E-1030、E-150J、E-170、E-200及びE-200等を好ましく用いることができる。
表面保護層中の多孔質シリカの含有量は、特に限定はされないが、表面保護層の艶を低減する点、表面保護層の耐擦傷性を向上する点、及び多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)を十分に含有させる点から、表面保護層中の樹脂100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがより更に好ましい。一方、表面保護層の塗工適性や透明性を保持する観点から、表面保護層中の樹脂100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましい。
なお、本開示において、表面保護層中の各成分の含有量の基準とされる樹脂の量は、仕込み量から求められる量であってよく、表面保護層の形成に硬化性樹脂を用いる場合に、未硬化物が少量残存している場合には、硬化性樹脂の硬化物と少量の未硬化物とを合わせた量であってよい。
(紫外線吸収剤(A))
表面保護層は、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)を含有する。紫外線吸収剤(A)は、予め前記多孔質シリカに付着した状態で表面保護層に含有される。なお、本開示において、紫外線吸収剤(A)が多孔質シリカに付着しているとは、紫外線吸収剤(A)が、多孔質シリカの内部に入り込んでいる又は多孔質シリカの外側表面に付着していることをいう。
紫外線吸収剤(A)としては、化粧材の表面保護層に従来用いられている紫外線吸収剤を用いることができ、特に限定はされないが、常温において固体であることが好ましい。そのような好ましい紫外線吸収剤(A)としては、具体的には、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル化合物等の有機系の紫外線吸収剤の他、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系の紫外線吸収剤を挙げることができる。中でも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化し難い点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤(A)としては、市販品を用いてもよい。紫外線吸収剤(A)の市販品としては、例えば、BASF社製、商品名「TINUVIN 479」(2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン)、BASF社製、商品名「TINUVIN 400」(2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン{特に、[(C10―C16、主としてC12―C13アルキルオキシ)メチル]オキシラン}との反応生成物)、BASF社製、商品名「TINUVIN 405」(2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物)、BASF社製、商品名「TINUVIN 460」(2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン)、及びBASF社製、商品名「TINUVIN 1600」等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を好ましく用いることができる。これらの中でも、TINUVIN 479及びTINUVIN 1600は、紫外線吸収能に優れるため、特に屋外用の化粧材に好ましく用いられる。
前記紫外線吸収剤(A)を前記多孔質シリカに付着させる方法は、特に限定はされない。例えば、溶剤中に前記紫外線吸収剤(A)を溶解させた溶液に、前記多孔質シリカを加えて撹拌した後、溶液中の溶剤を除去することにより、紫外線吸収剤(A)が付着した多孔質シリカを得ることができる。
前記紫外線吸収剤(A)を溶解させる溶剤は、前記紫外線吸収剤(A)の種類に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、前記紫外線吸収剤(A)としてヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を用いる場合は、酢酸エチル等のエステル系溶剤を好ましく用いることができる。
また、前記紫外線吸収剤(A)を溶解させた溶液における前記紫外線吸収剤(A)の含有量は、前記紫外線吸収剤(A)が多孔質シリカに付着しやすい点から、溶剤100質量部に対し、前記紫外線吸収剤(A)の含有量を1質量部以上とすることが好ましい。前記紫外線吸収剤(A)を溶解させた溶液への多孔質シリカの添加量は、多孔質シリカへの前記紫外線吸収剤(A)の付着量が所望の量となるように、溶液中の前記紫外線吸収剤(A)の濃度等に応じて適宜調整され、特に限定されない。
表面保護層中の前記紫外線吸収剤(A)の含有量は、特に限定はされないが、耐候性を向上する点から、前記樹脂100質量部に対し、1.0質量部以上であることが好ましい。前記紫外線吸収剤(A)の含有量の上限は、特に限定はされないが、表面保護層の強度の点及び製造容易性の観点から、前記樹脂100質量部に対し、20質量部以下であることが好ましい。
また、特に限定はされないが、前記紫外線吸収剤(A)を前記多孔質シリカに付着させやすい点から、前記多孔質シリカ100質量部に対し、前記紫外線吸収剤(A)の含有量が、1質量部以上60質量部以下であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
なお、前記紫外線吸収剤(A)の含有量は、多孔質シリカへの紫外線吸収剤(A)の付着量、及び当該紫外線吸収剤(A)が付着した多孔質シリカの仕込み量から算出することができる。表面保護層を形成する過程で、多孔質シリカに付着していた紫外線吸収剤(A)の極少量が遊離する場合があるが、樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤(A)の含有量としては、予め多孔質シリカに付着させた紫外線吸収剤(A)の仕込み量と実質的に同一である。
(紫外線吸収剤(B))
表面保護層は、耐候性を向上するために、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とは別に、更に、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)を含有していてもよい。
前記紫外線吸収剤(B)としては、例えば、前記紫外線吸収剤(A)と同様のものが挙げられる。また、前記紫外線吸収剤(B)としては、前記紫外線吸収剤(A)として好ましいものを、同様に好ましく用いることができる。なお、前記紫外線吸収剤(B)は、前記紫外線吸収剤(A)と同種のものであっても、異種のものであってもよい。
表面保護層が前記紫外線吸収剤(B)を含有する場合、前記紫外線吸収剤(B)の含有量は、耐候性を向上する点から、前記樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上であることがより好ましく、一方、表面保護層の強度及び透明性の点から、20質量部以下であることが好ましい。
なお、前記多孔質シリカに付着した前記紫外線吸収剤(A)は、極少量が前記多孔質シリカから遊離する場合があるが、前記紫外線吸収剤(B)は、前記紫外線吸収剤(A)とは別に添加されるものである。表面保護層が前記紫外線吸収剤(B)を含有する場合は、前記紫外線吸収剤(A)と前記紫外線吸収剤(B)との合計含有量が、前記紫外線吸収剤(A)の含有量よりも多くなる。すなわち、表面保護層が前記紫外線吸収剤(B)を含有する場合は、表面保護層が含有する紫外線吸収剤の総量が、前記紫外線吸収剤(A)の含有量よりも多くなる。
特に限定はされないが、本開示の化粧材が優れた耐候性を持続しやすい点から、表面保護層が含有する紫外線吸収剤の総量のうち、前記多孔質シリカに付着した前記紫外線吸収剤(A)の割合が、1/3以上であることが好ましく、1/2以上であることがより好ましい。
(光安定剤(C))
表面保護層は、耐候性を向上するために、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とは別に、更に、前記多孔質シリカから離れて存在する光安定剤(C)を含有していてもよい。
光安定剤(C)としては、化粧材の表面保護層に従来用いられている光安定剤を用いることができ、特に限定はされないが、耐候性を向上する点から、ヒンダードアミン系光安定剤を好ましく用いることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1-オクチルオシキ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、市販品を用いてもよい。ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製、商品名「TINUVIN123」(ビス(1-オクチルオシキ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート)、BASF社製、商品名「TINUVIN292」(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート)、BASF社製、商品名「TINUVIN765」、(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート)BASF社製、商品名「TINUVIN770DF」(ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)等が挙げられる。
中でも、ビス(1-オクチルオシキ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート及びビス-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートから選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。
表面保護層が前記光安定剤(C)を含有する場合、前記光安定剤(C)の含有量は、耐候性を向上する点から、前記樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、一方、表面保護層の強度及び透明性の点から、10質量部以下であることが好ましい。
また、表面保護層の強度及び透明性の点から、表面保護層に含まれる前記紫外線吸収剤(B)及び前記光安定剤(C)の合計量は、前記樹脂100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましい。
表面保護層は、耐候性を向上する点から、前記樹脂が前記フッ素含有樹脂を含有する、又は、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び前記光安定剤(C)から選ばれる少なくとも1種を含有する、の少なくともいずれかであることが好ましく、中でも、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び前記光安定剤(C)から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましい。
(その他の添加剤)
表面保護層が含有していてもよいその他の添加剤としては、例えば、前記多孔質シリカとは異なる無機微粒子、及び合成樹脂ビーズ等の微粒子、及び重合開始剤等を挙げることができる。
前記無機微粒子の材料としては、例えば、α-アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド及び炭化ケイ素等が挙げられる。前記無機微粒子の形状は、特に限定はされないが、例えば、球状、楕円球状、多面体状及び鱗片状等が挙げられ、表面保護層の耐久性が向上しやすい点から、球状又は楕円球状であることが好ましい。
前記合成樹脂ビーズの材料としては、例えば、架橋アクリル系樹脂及びポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。前記合成樹脂ビーズの形状は、特に限定はされないが、球状、楕円球状等が挙げられる。
前記無機微粒子及び前記合成樹脂ビーズの粒径は、表面保護層の膜厚の3%以上200%以下であることが好ましい。
なお、前記多孔質シリカとは異なるシリカ微粒子とは、実質的に表面に細孔を有しない非多孔質シリカであり、通常、BET比表面積が5m/g以下である。
表面保護層が前記その他の添加剤を含有する場合、前記その他の添加剤の合計含有量は、表面保護層の透明性の点から、前記樹脂100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましい。
表面保護層の厚さは、本開示の化粧材の用途及び前記多孔質シリカの粒径等に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、耐久性の観点から、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、意匠性の観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
なお、表面保護層がその表面に、前記多孔質シリカ、前記無機微粒子又は前記合成樹脂ビーズに起因する凸部を有する場合、表面保護層の厚さは、当該凸部を有しない領域で測定されることが好ましい。表面保護層の表面において当該凸部が密接している場合は、当該凸部間の谷部から、表面保護層の基材側の界面までの垂直方向の距離を、表面保護層の厚さとする。
なお、本開示の化粧材を構成する各層の厚さは、化粧材の断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡等で観察して測定される3か所~10か所程度の厚さの平均とする。
3.層構成
本開示の化粧材は、少なくとも前記表面保護層と、前記基材とを有し、化粧材の表面の少なくとも一部に、前記表面保護層を有する。本開示の化粧材は、典型的には、シート状又は板状であり、片方の表面全体に前記表面保護層を有する。
本開示の化粧材は、必要に応じて、前記表面保護層及び前記基材とは異なるその他の層を更に有していてもよい。前記その他の層としては、例えば、図2に示す絵柄層3、接着剤層4、透明樹脂層5、プライマー層6及び裏面プライマー層7等を挙げることができる。
(絵柄層)
絵柄層は、本開示の化粧材に所望の模様による意匠性を付与するために設けられ、例えば、前記基材と前記表面保護層との間に配置される。
絵柄層により形成される模様としては、例えば、木目、石目、布目等の天然物の表面外観を模した絵柄模様、水玉模様、縞模様、幾何学模様等の抽象柄模様、文字又は数字を含む模様等が挙げられる。また、絵柄層は、複数の色彩の組み合わせによって写真又は絵画を再現するもの、或いはそれ自体が絵画であってもよい。
前記絵柄層としては、例えば、金属薄膜、及び着色インク層等が挙げられる。
前記金属薄膜としては、例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属の薄膜を挙げることができる。これらの金属薄膜は、真空蒸着やスパッタリング等の方法で成膜される。
前記着色インク層は、バインダーに着色剤を分散させた着色インクを用いて形成される。
前記着色インク層に用いられる着色剤としては、例えば、前記樹脂基材が含有していてもよい着色剤と同様のものが挙げられる。
前記着色インク層に用いられるバインダーとしては、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらバインダーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。2種類以上の樹脂を混合したバインダーの例としては、例えば、2液硬化型アクリル-ウレタン系樹脂が挙げられる。
前記着色インク層は、前記バインダーの種類に応じた方法で形成される。
前記樹脂基材に前記着色インクを直接印刷する場合は、バインダーとして、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物やウレタン系樹脂を採用することが、接着性の点で好ましい。
前記絵柄層の厚さは、装飾の内容や色柄の種類に応じて適宜設定することができ、特に限定はされないが、0.1μm以上20μm以下が一般的で、好ましくは0.5μm以上10μm以下である。
(接着剤層)
接着剤層は、本開示の化粧材が有する各層間を接着させるために設けられる。
前記接着剤層の原料としては、例えば、透明ポリウレタン樹脂系接着剤等が挙げられる。
前記接着剤層の厚さは、特に限定はされないが、接着性の観点から、1μm以上であることが好ましく、意匠性の観点から、5μm以下であることが好ましい。
(透明樹脂層)
透明樹脂層は、前記絵柄層及び着色剤を含有する前記樹脂基材等の着色剤を含有する層を保護するために設けられ、例えば、前記絵柄層と前記表面保護層との間、又は着色剤を含有する前記樹脂基材と前記表面保護層との間等に配置される。
前記絵柄層は、大気に露出すると、水(雨)、空気(特に酸素)、紫外線、熱により、劣化し、剥げ落ちる場合がある。着色剤を含有する前記樹脂基材が大気に露出する場合についても、同様の問題が生じるおそれがある。中でも、前記絵柄層の劣化を抑制するために、前記絵柄層と前記表面保護層との間に、透明樹脂層を有することが好ましい。
前記透明樹脂層の材料としては、例えば、アクリル系樹脂や、オレフィン系樹脂等の透明樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸エステル(ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸ブチル等)、ポリメタクリル酸エステル(ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル等)、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体等を挙げることができる。
前記透明樹脂層は、更に添加剤を含有していてもよい。前記透明樹脂層が含有していてもよい添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
また、前記透明樹脂層は、コロナ放電処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
前記透明樹脂層の厚さは、特に限定はされないが、通常、50μm以上100μm以下であり、好ましくは60μm以上90μm以下である。
前記透明樹脂層の形成方法は、前記透明樹脂の種類によって適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、前記透明樹脂として、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いる場合は、前記透明樹脂と、必要に応じて添加される添加剤とを含有する透明樹脂層用樹脂組成物を、加熱溶融押出しすることにより形成することができる。また、前記透明樹脂層は、前記透明樹脂層用樹脂組成物をカレンダー製法等の常用の方法により製膜して得られる透明樹脂フィルムを貼着することにより形成することもできる。また、前記透明樹脂フィルムの一面側に前記絵柄層を形成したものを、前記基材に貼着することにより、前記透明樹脂層と前記絵柄層と前記基材とを有する積層体を得ることもできる。
(プライマー層)
プライマー層は、前記表面保護層の密着性を向上させるために、前記表面保護層の前記基材側の面に設けられる層であり、通常、少なくとも樹脂を含有する。前記プライマー層を有することにより、前記表面保護層の密着性を向上させるとともに、加工性を向上させ、また製造工程においてブロッキングを防止することもできる。
前記プライマー層に用いられる樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等を好ましく用いることができる。中でも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ウレタン-アクリル共重合体及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。また、優れた密着性が得られる観点から、上記の樹脂を主剤とし、イソシアネート等を硬化剤とした2液硬化性樹脂が好ましい。
イソシアネート硬化剤としては、従来公知の化合物を適宜選択すればよく、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(脂環式を含む)イソシアネート等のポリイソシアネート等が挙げられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いられる。
前記プライマー層の厚さは、通常0.5μm以上20μm以下程度であり、密着性の観点から、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
前記プライマー層は、例えば、前記バインダー樹脂を含むプライマー層用樹脂組成物を、グラビア印刷法等の常用の方法で塗布することにより形成することができる。
(裏面プライマー層)
裏面プライマー層は、本開示の化粧材を他の部材表面等に貼着して用いる場合に、化粧材が有する前記基材と当該部材表面等との密着性を向上させるための下地として機能する層であり、通常、少なくとも樹脂を含有する。
前記裏面プライマー層に用いられる樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン-硝化綿混合樹脂(硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート等)、ポリエステル-ウレタン混合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を好ましく用いることができ、これらのうち1種又は2種以上を組み合せて用いることができる。裏面プライマー層に用いられる樹脂としては、中でも、ポリエステル-ウレタン混合樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが特に好ましく、ポリエステル-ウレタン混合樹脂を含むことが最も好ましい。
前記裏面プライマー層の厚さは、接着性を確保する観点から、0.1μm以上10.0μm以下が好ましく、0.5μm以上3.0μm以下がより好ましい。
前記裏面プライマー層は、例えば、前記樹脂を含有する裏面プライマー層用樹脂組成物を用いて、グラビア印刷法等の公知の方法で塗布することにより形成することができる。
(化粧材の厚さ)
本開示の化粧材の厚さは、化粧材の用途に応じて適宜調整され、特に限定はされない。本開示の化粧材が、他の部材表面等に貼着して用いられるものである場合は、本開示の化粧材の厚さは、貼着の容易性及び加工性の点から、10μm以上1,000μm以下であることが好ましく、50μm以上300μm以下であることがより好ましい。
4.用途
本開示の化粧材は、屋外用又は屋内用のいずれにも好適に用いられる。屋外用途としては、例えば、外壁、塀、屋根等の建築物の外装材、自動車等の車両の外装材、バルコニー用部材、屋外に設置される窓枠、扉枠、手摺等の建具及び装飾品、玄関扉、門、柵等のその他エクステリア部材等が挙げられる。屋内用途としては、例えば、壁、床、天井等の建築物の内装材、自動車等の車両の内装材、屋内に設置される建具及び装飾品、キャビネット、テーブル、机等の家具等が挙げられる。本開示の化粧材は、優れた耐候性能を持続可能であるため、中でも、耐候性が要求される屋外用として好適に用いられる。
5.化粧材の製造方法
本開示の化粧材の製造方法は、前述した本開示の化粧材を得ることができる方法であれば、特に限定はされないが、例えば、
基材と、表面保護層とを有する化粧材の製造方法であって、
前記表面保護層を形成する工程が、
前記基材を含む支持体上に、硬化性樹脂と、多孔質シリカと、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有する表面保護層用樹脂組成物の塗膜を形成する工程と、
前記表面保護層用樹脂組成物の塗膜を硬化する工程とを有する、化粧材の製造方法を挙げることができる。
前記化粧材の製造方法に用いられる基材は、前述した本開示の化粧材が有する基材と同様である。
前記表面保護層を形成する工程で用いられる前記基材を含む支持体としては、前記基材そのものであってもよいし、前記基材の一方の面又は両面に他の層を更に有するものであってもよい。例えば、図1に示す層構成の化粧材を製造する場合は、前記基材を含む支持体として、前記基材そのものが用いられる。図2に示す層構成の化粧材を製造する場合は、前記基材を含む支持体として、前記基材1の一方の面に、絵柄層3と、接着剤層4と、透明樹脂層5と、プライマー層6とをこの順に有し、前記基材1のもう一方の面に、裏面プライマー層7を有する積層体が用いられる。なお、図2に示す層構成の化粧材を製造する場合、裏面プライマー層7は、表面保護層2を形成した後に形成してもよい。
前記表面保護層用樹脂組成物は、硬化性樹脂と、多孔質シリカと、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有し、更に、耐候性を向上させるために、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び光安定剤(C)から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく、効果を損なわない範囲において、その他の添加剤、及び塗工性を向上させるための溶剤等を更に含有していてもよい。
なお、前記表面保護層用樹脂組成物が含有する硬化性樹脂、多孔質シリカ、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び光安定剤(C)、並びにその他の添加剤は、それぞれ前記表面保護層が含有するものと同様である。
前記表面保護層用樹脂組成物中の硬化性樹脂の含有量は、特に限定はされないが、表面保護層の強度の点から、前記表面保護層用樹脂組成物に含まれる全固形分100質量%に対し、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、一方、多孔質シリカ及び紫外線吸収剤(A)を十分に含有させて耐候性を向上する点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。なお、本開示において固形分とは、溶剤以外のもの全てであり、液状の樹脂等も含まれる。
前記表面保護層用樹脂組成物中の多孔質シリカ、紫外線吸収剤(A)、紫外線吸収剤(B)、光安定剤(C)及びその他の添加剤の含有量については、前記表面保護層と同様である。
前記表面保護層用樹脂組成物は、溶剤を含有していても良い。前記表面保護層用樹脂組成物に用いられる溶剤としては、前記表面保護層用樹脂組成物中の各成分を溶解又は分散可能なものが適宜選択され、特に限定はされない。
前記表面保護層用樹脂組成物中の溶剤の含有量は、他の層への溶剤の浸透を抑制する点から、溶剤を含めた組成物全体100質量%中、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、前記表面保護層用樹脂組成物は溶剤を含有しないことが最も好ましい。
前記表面保護層用樹脂組成物の塗膜を形成する方法としては、例えば、前記表面保護層用樹脂組成物を塗布し、必要に応じ、溶剤を除去するための乾燥を行う方法を挙げることができる。
前記表面保護層用樹脂組成物を塗布する方法としては、特に限定はされず、グラビア印刷法等の公知の方法を用いることができる。
前記表面保護層用樹脂組成物の塗膜を硬化する方法は、前記表面保護層用樹脂組成物中の硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択される。前記硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂の場合は、電離放射線の照射により硬化することができ、前記硬化性樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、加熱により硬化することができる。前記硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の双方を含む場合は、電離放射線の照射及び加熱を組み合わせた方法により硬化してもよい。
前記表面保護層用樹脂組成物の塗膜を硬化するために行われる電離放射線の照射及び加熱の条件は、硬化性樹脂の種類及び含有量等に応じて適宜調整され、特に限定されない。
(合成例1:紫外線吸収剤(A)付着シリカIの作製)
酢酸エチル100質量部に、紫外線吸収剤(A)としてのヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 479、BASF社製)を3質量部溶解させた溶液を得た。当該溶液を撹拌しながら、多孔質シリカ(Nipsil 特殊シリカ(沈降法シリカ)、銘柄:E-150J、東ソー・シリカ(株)製、粒径(D50)8μm、吸油量200mL/100g、)を15質量部投入した。その後、多孔質シリカが沈降するまで放置した後、上澄みを取り除き、更に乾燥して溶剤を除去することにより、紫外線吸収剤(A)付着シリカIを得た。紫外線吸収剤(A)付着シリカIは、多孔質シリカ15質量部に対し、紫外線吸収剤(A)が2質量部付着していた。
(合成例2:紫外線吸収剤(A)付着シリカIIの作製)
合成例1において、多孔質シリカ15質量部に対し、紫外線吸収剤(A)が1質量部付着するように、紫外線吸収剤の投入量を変更した以外は、合成例1と同様にして、紫外線吸収剤(A)付着シリカIIを得た。紫外線吸収剤(A)付着シリカIIは、多孔質シリカ15質量部に対し、紫外線吸収剤(A)が1質量部付着していた。
[実施例1]
基材として、両面にコロナ処理を施したポリプロピレンシート(厚さ:80μm)を用意した。
基材の一方の面に、2液硬化型アクリル-ウレタン系樹脂をバインダーとする着色インクを、グラビア印刷法で塗布することによって、木目模様の絵柄層(厚さ:3μm)を形成した。
基材のもう一方の面に、2液硬化型ウレタン-硝化綿混合樹脂、及び当該樹脂100質量部に対して、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを5質量部含む裏面プライマー層用樹脂組成物を塗布することによって、裏面プライマー層(厚さ:3μm)を形成した。
次いで、絵柄層上に、透明ポリウレタン樹脂系接着剤を塗布することによって、接着剤層(厚さ:3μm)を形成した。
その後、接着剤層上に、透明なポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機により加熱溶融押出して製膜した後、表面にコロナ放電処理を施すことにより、透明樹脂層(厚さ:80μm)を形成した。
透明樹脂層上に、下記組成のプライマー層用樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布することにより、プライマー層(厚さ:4μm)を形成し、支持体を得た。
(プライマー層用樹脂組成物)
主剤:ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体 100質量部
硬化剤:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート 5質量部
前記支持体のプライマー層上に、下記組成の表面保護層用樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成した。
(表面保護層用樹脂組成物)
電離放射線硬化性樹脂:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:4,000、官能基数:3) 100質量部
多孔質シリカ及び紫外線吸収剤(A):紫外線吸収剤(A)付着シリカI 17質量部(多孔質シリカ15質量部、紫外線吸収剤(A)2質量部)
紫外線吸収剤(B):ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 479、BASF社製) 1質量部
光安定剤(C):ヒンダードアミン系光安定剤(TINUVIN 123、BASF社製) 1質量部
前記表面保護層用樹脂組成物の塗膜に、電子線(加圧電圧:175KeV、5Mrad(50kGy))を照射して硬化させることにより、表面保護層(厚さ:5μm)を形成した。
このようにして、図2に示すような、表面保護層2、プライマー層6、透明樹脂層5、接着剤層4、絵柄層3、基材1、及び裏面プライマー層7をこの順に有する化粧材を得た。
[実施例2]
実施例1において、合成例1で得た紫外線吸収剤(A)付着シリカI 17質量部(多孔質シリカ15質量部、紫外線吸収剤(A)2質量部)に代えて、合成例2で得た紫外線吸収剤(A)付着シリカII 16質量部(多孔質シリカ15質量部、紫外線吸収剤(A)1質量部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の化粧材を得た。
[比較例1]
実施例1において、合成例1で得た紫外線吸収剤(A)付着シリカI 17質量部に代えて、紫外線吸収剤(A)を付着させていない多孔質シリカ15質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧材を得た。
[比較例2]
実施例1において、合成例1で得た紫外線吸収剤(A)付着シリカI 17質量部に代えて、紫外線吸収剤(A)を付着させていない多孔質シリカ15質量部を用い、更に、紫外線吸収剤(B)の含有量を3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の化粧材を得た。
[耐候性評価]
各実施例及び各比較例で得た化粧材について、超促進耐候性試験機(アイスーパーUVテスター、型式:SUV-W261、岩崎電気(株)製)を用い、下記の試験条件及び試験方法により耐候性評価試験(以下、S-UV試験という)を実施した。
(照射条件)
紫外線照度:100mW/cm
ブラックパネル温度:63℃
湿度:50%RH
(試験方法)
前記照射条件で、20時間連続で紫外線を照射した後、試験環境を4時間結露の状態にした。これを1サイクルとして繰り返した。
試験開始500時間後及び1000時間後の各化粧材の表面保護層を目視及び光学顕微鏡(倍率:1000倍)で観察し、それぞれ以下の通り評価した。評価結果を表1に示す。
A:目視及び光学顕微鏡観察のいずれにおいても、表面保護層の外観変化が確認されなかった
B:目視では表面保護層の外観変化が確認されなかったが、光学顕微鏡観察では表面保護層に割れ又は浮きが確認された
C:目視で表面保護層に割れ又は浮きが確認された
前記S-UV試験は、屋外暴露10年分を約1000時間で再現できる試験である。前記S-UV試験において、試験開始500時間後及び1000時間後の前記評価結果がA又はBであれば、屋外用としても使用可能な耐候性を有すると評価される。
Figure 0007275757000001
比較例1、2の化粧材は、表面保護層中に、多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)を含有しないものであったため、前記S-UV試験開始1000時間後までに、目視で表面保護層に割れ又は浮きが確認され、耐候性が不十分であった。
実施例1と比較例2とを対比すると、表面保護層に含まれる紫外線吸収剤の総量は同じであるにも関わらず、実施例1では、紫外線吸収剤の総量の2/3が多孔質シリカに付着した状態で表面保護層に含有されたため、前記S-UV試験開始1000時間後においても表面保護層の外観変化が確認されず、優れた耐候性を持続できるものであった。
実施例2と比較例2とを対比すると、表面保護層に含まれる紫外線吸収剤の総量は、実施例2の方が少ないにも関わらず、実施例2では、前記S-UV試験開始後の表面保護層の外観変化が小さく、優れた耐候性を持続できるものであった。
これらの結果により、表面保護層が、樹脂と、多孔質シリカと、多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有する本開示の化粧材は、優れた耐候性が持続することが明らかにされた。
前記S-UV試験開始後の表面保護層の外観変化の差は、表面保護層中に含まれる紫外線吸収剤の量の違いが影響していると推定される。つまり、表面保護層に含まれる紫外線吸収剤の量が少ないほど、紫外線吸収能に劣るため、耐候性が劣り、表面保護層中の樹脂が分解しやすく、表面保護層の割れ及び浮きが生じやすいと推定される。比較例1、2では、全ての紫外線吸収剤が多孔質シリカから離れて表面保護層中に存在していたことにより、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できず、表面保護層中の紫外線吸収剤の含有量が不十分となったため、耐候性が低下し、前記S-UV試験により顕著な外観変化が生じたと考えられる。一方、実施例1、2では、表面保護層中の紫外線吸収剤(A)が、多孔質シリカに付着していたためブリードアウトしにくく、表面保護層中に残存したため、十分な量の紫外線吸収剤が保持された結果、優れた耐候性が持続され、前記S-UV試験によっても外観変化が生じない又はほとんど生じなかったと考えられる。
1 基材
2 表面保護層
3 絵柄層
4 接着剤層
5 透明樹脂層
6 プライマー層
7 裏面プライマー層
10 化粧材
11 樹脂
12 多孔質シリカ
13 紫外線吸収剤(A)
14 紫外線吸収剤(B)

Claims (3)

  1. 基材と、表面保護層とを有し、
    前記表面保護層が、樹脂と、多孔質シリカと、前記多孔質シリカに付着した紫外線吸収剤(A)とを含有し、
    前記多孔質シリカ100質量部に対する前記紫外線吸収剤(A)の含有量が、1質量部以上60質量部以下である、化粧材。
  2. 前記紫外線吸収剤(A)の含有量が、前記樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上である、請求項1に記載の化粧材。
  3. 前記表面保護層が、更に、前記多孔質シリカから離れて存在する紫外線吸収剤(B)及び光安定剤(C)から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1又は2に記載の化粧材。
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