JP7275687B2 - 多孔質膜および、その製造方法 - Google Patents
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Description
(1)少なくとも一方の面の水接触角が、80°以下であり、かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上である多孔質膜、
(2)ポリエチレンを含有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×106以上であり、前記ポリエチレンは、COONa基を有している多孔質膜、
(3)前記多孔質膜が備える空孔の細孔径が、20~100nmである(1)または(2)の多孔質膜、
(4)前記多孔質膜の少なくとも一方の面の水接触角が、80°以下であり、
かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上である(1)~(3)いずれかの多孔質膜、
(5)少なくとも、ポリエチレンを含有する多孔質膜に、電離性放射線を照射する工程Iと、前記多孔質膜を、アクリル系モノマーを含有する溶液に浸漬する工程IIと、前記多孔質膜を、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する工程IIIと、をこの順に有し、前記ポリエチレンが、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×106以上である多孔質膜の製造方法、
(6)前記工程IIを経た後の前記多孔質膜のグラフト率が15~40重量%である(5)の多孔質膜の製造方法である。
本発明の多孔質膜は、少なくとも一方の面の水接触角が、80°以下であり、
かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上である。
本発明の多孔質膜の含有するポリエチレンは、COONa基を有するものであることを特徴とする。COONa基は、疎水性のポリエチレン多孔質膜に親水性を付与し、多孔質膜の少なくとも一方の面と水との親和性を向上させる役割を果す。すなわち、本発明のように多孔質膜が有するポリエチレンがCOONa基を含むことにより、多孔質膜の親水性が大きく向上する。
次に、本発明の多孔質膜の特性等について説明する。
本発明の未処理の多孔質膜は、超高分子量ポリエチレンを含有し、膜の表面から裏面まで貫通する空孔を有するものであれば特に限定されることはないが、孔径分布の狭い微細空孔を表面/内部に有し、機械特性(引張強伸度、耐水圧など)にも優れるとの観点から湿式法で製膜されたものであることが好ましい。ここで、湿式法とはポリエチレン樹脂組成物をポリエチレン樹脂組成物と相溶性のある溶媒に加熱溶解した溶液からゲル状シートを成形/延伸した後に溶媒を洗浄し除去することにより多孔質膜を製膜する方法である。
本発明の多孔質膜の製造方法は、未処理の多孔質膜に電離性放射線を照射する工程I、アクリル系モノマーの溶液に浸漬し多孔質膜の中間体を作製する工程II、前記多孔質膜の中間体を水酸化ナトリウム溶液に浸漬する工程IIIを少なくとも含むものである。
次に、工程Iを経た、多孔質膜を、アクリル系モノマーの溶液に浸漬する工程について説明する。本工程では、工程Iにより、多孔質膜に含有されるポリエチレンの側鎖に発生したラジカルに、COOH基をグラフト重合し、COOH基を有するポリエチレンを含有する多孔質膜を作製する。
次に、この中間体を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することにより、COOH基をCOONa基に置換する。水酸化ナトリウム水溶液の濃度については特に制限はないが、0.05~1mol/Lであることが好ましい。水酸化ナトリウム水溶液の濃度を0.05mol/L以上とすることでCOOH基のCOONa基への置換がより確実に起こり、多孔質膜の親水性がより高度なものとなる。一方で、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1mol/L以下とすることで、材料費対効果の観点で、より効率的にCOOH基のCOONa基への置換を実行することができる。
(1)測定方法
パームポロメーター「CFP-1500(PMI社製)を用い試験体の細孔径をWet加圧/Dry加圧法で測定した。
(2)測定条件
・試験液 :Galwick(15.9DYNES/CM)
・測定圧力:500~2700kPa
・解析法 :細孔(DIST)の最大値を読み取り、試験体の細孔径とする。
(1)測定方法
接触角計「DropMasterDMs-400(協和界面科学株式会社製)」
を用い試験体表面の水接触角を液滴法で測定した。
(2)測定条件
・試験液 :蒸留水、1μL
・測定時期:試験液滴下後1000mS
・解析法 :θ/2法
・n数 :3 。
(1)測定方法
i)50℃に調整したオーブンで試験体を24時間乾燥させる。
ii)デシケーターに投入し、室温まで冷却し、試験体の重量を測定する。
iii)上記i)、ii)の作業を試験体の重量が±0.1mg以内で一定になるまで行い初期重量(m1)とする。
iV)試験体を蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し、表面の水分を拭き取る(キムタオル)。1分以内に吸水後の重量を測定し、吸水後重量(m2)とする。
V)((m2-m1)/m1)×100により、吸水率を算出する。
(2)引用規格:JIS K7209-2000に準拠
D.多孔質膜の組成
(1)測定方法
フーリエ変換赤外分光光度計「IR Prestige-21(株式会社島津製作所製)を用い赤外吸収スペクトルを測定し、ポリエチレン由来のピーク(2960cm-1、2870cm-1付近)の有無を確認した。
・ユニット: ATR法ユニット(MIRacleA)
・測定波数: 400~4000cm-1
E.重量平均分子量
(1)測定方法
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)を用
い重量平均分子量を測定した。
(2)測定条件
・溶媒 : o―ジクロロベンゼン
・温度 : 135℃
・流量 : 1.0ml/min 。
(1)測定方法
フーリエ変換赤外分光光度計「IR Prestige-21(株式会社島津製作所製)を用い赤外吸収スペクトルを測定し、COONa由来のピーク(1550cm-1付近)の有無を確認した。
・ユニット: ATR法ユニット(MIRacleA)
・測定波数: 400~4000cm-1
(3)その他
・上記測定方法で組成の定性が困難な場合、NMRなどの既知の方法を併用してもよい。
<未処理の多孔質膜>
厚み:12μm、融点:137℃、細孔径:40μm、水接触角:110°、吸水率:2%、引張強度:212MPa、引張伸度:117%の重量平均分子量(MW)2.0×10-6の超高分子量ポリエチレンを25質量%、3.0×10-5の高密度ポリエチレンを75質量%含有する未処理の多孔質膜を基材に用いた。
前記未処理の多孔質膜に電子線(加速電圧:100keV、電子線強度:20kGy)を照射し、ラジカルを形成した。
前記ラジカルを形成した多孔質膜を濃度35質量%のアクリル酸アルコール溶液に120分間浸漬した後、50℃オーブンで乾燥させ中間体を得た。なお、グラフト率は16%であった。
親水性ポリエチレン多孔質膜中間体を0.1M/Lの水酸化ナトリウム水溶液に12時間浸漬した後、蒸留水で洗浄し、50℃オーブンで乾燥させ試験体を得た。
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を40質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は19%であった。
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を45質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は23%であった。
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を50質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は33%であった。
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を60質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は44%であった。
水酸化ナトリウム水溶液への浸漬(工程III)を行わないことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
Claims (2)
- 少なくとも、ポリエチレンを含有する多孔質膜に、電離性放射線を照射する工程Iと、前記多孔質膜を、アクリル系モノマーを含有する溶液に浸漬する工程IIと、前記多孔質膜を、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する工程IIIと、をこの順に有し、
前記ポリエチレンが、超高分子量ポリエチレンを含有し、
前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10 6 以上であり、
前記水酸化ナトリウム水溶液の濃度が0.05~1mol/Lであることを特徴とする、多孔質膜の製造方法。 - 前記工程IIを経た後の前記多孔質膜のグラフト率が15~40重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質膜の製造方法。
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