JP2022133536A - 多孔質膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水性能に優れ、さらに引張強度の高い多孔質膜およびその製造方法を提供する。【解決手段】ポリエチレンを含有する多孔質基材を有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×106以上であり、下記一般式[1]で表されるアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)とが前記多孔質基材にグラフト重合されている多孔質膜である。TIFF2022133536000006.tif23149(R1は水素原子または1~8個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は炭素数3~12個のヒドロキシアルキル基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質膜に関する。
従来から、ポリエチレン樹脂製の多孔質膜が、電池用セパレータ、電解コンデンサー用隔離膜、液体フィルタ用濾過膜、ハウスラップ、透湿防水衣料などの用途に使用されている。これらポリエチレン樹脂製の多孔質膜のうち、超高分子量ポリエチレンを含有する樹脂組成物を湿式法で製膜した多孔質膜は、孔径分布の狭い微細空孔を表面/内部に有し、機械特性(引張強伸度、耐水圧など)にも優れるとの特徴を有し、上述した用途に好適に使用されている。
一方、ポリエチレン樹脂は疎水性を示すため、上述した用途のうち、例えば水溶液系の電解液を用いた電池のセパレータ、水処理用のフィルタ用濾過膜など親水性を必要とする用途に使用する場合は、超高分子量ポリエチレンを含有する多孔質膜にアクリル系モノマーをグラフト重合し、親水化する方法が提案されている(特許文献1)。
特開平9-31226号公報
しかしながら上記1に記載の方法のように、電子線を照射した疎水性のポリエチレン多孔質膜をアクリル酸モノマーのみの水溶液に浸漬し、グラフト重合しただけでは、アクリル酸モノマーがポリエチレン多孔質基材を構成する樹脂の内部にまで拡散してグラフト重合が進行するため、ポリエチレン多孔質基材が劣化することで、ポリエチレン多孔質基材の引張強度の低下が大きく、また、ポリエチレン多孔質基材の十分な吸水性能が得られにくい。すなわち、従来の多孔質膜には、吸水性能が不十分であり、かつ、引張強度が低いとの課題がある。
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、吸水性能に優れ、さらに引張強度の高い多孔質膜を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するため、次のような構成を採用する多孔質膜。すなわち、
(1)ポリエチレンを含有する多孔質基材を有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10以上であり、下記一般式[1]で表されるアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)とが前記多孔質基材にグラフト重合されている、多孔質膜。
Figure 2022133536000001
(R1は水素原子または1~8個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は炭素数3~12個のヒドロキシアルキル基である。)
(2)前記アクリルモノマー(a)が2―ヒドロキシエチルアクリレート、及び、2-ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である(1)に記載の多孔質膜。
(3)前記多孔質膜の少なくとも一方の面の水接触角が40°以下であり、かつJIS K7209に準じて測定した吸水率が70%以上である(1)または(2)に記載の多孔質膜。
(4)引張破断強度が、100Мpa以上である(1)~(3)にいずれかに記載の多孔質膜。
本発明によれば、吸水性能に優れ、さらに引張強度の高い多孔質膜を提供することができる。
本発明の多孔質膜は、ポリエチレンを含有する多孔質基材を有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10以上であり、下記一般式[1]で表されるアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)とが前記多孔質基材にグラフト重合されている。
Figure 2022133536000002
(R1は水素原子または1~8個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は炭素数3~12個のヒドロキシアルキル基である。)
アクリルモノマー(a)は、疎水性のポリエチレンより極性が大きく、親水性が高いため、多孔質基材を、前記アクリルモノマー(a)を含む溶液に浸漬すると多孔質基材が有する細孔の内部まで拡散侵入しにくく、多孔質膜の表面近傍(すなわち、多孔質基材の細孔の内部以外の多孔質基材の部分)またはモノマー同士で重合が進行する傾向にある。そのため前記モノマーを単独で使用すると、グラフト重合で多孔質膜に十分な吸水性能を得にくい傾向がある。 また、(メタ)アクリル酸モノマー(b)は親水性の高いカルボキシル基を備えることで、グラフト重合により、多孔質膜の十分な吸水性能を得ることができるが、アクリルモノマー(a)に比較すると、分子量が小さく、多孔質基材を、前記モノマーを含む溶液に浸漬すると、多孔質基材が有する細孔の内部、さらに多孔質基材を構成するポリエチレン樹脂内部まで拡散侵入し、重合が進行する傾向にある。そのため、(メタ)アクリル酸モノマー(b)を単独で使用すると、(メタ)アクリル酸モノマー(b)のグラフト重合により、多孔質基材を構成するポリエチレンの主鎖の劣化が起こり、多孔質膜の引張強度が大きく低下する傾向がある。
一方、アクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)とを多孔質基材にグラフト重合することで、多孔質基材の表面近傍でアクリルモノマー(a)のグラフト重合が進行し、多孔質基材を構成する樹脂が膨潤するため、(メタ)アクリル酸モノマー(b)は多孔質基材を構成する樹脂内部までは拡散しにくい状態となり、多孔質基材の表面近傍及び細孔内部のみで(メタ)アクリル酸モノマー(b)のグラフト重合が進行し、吸水性能に優れ、さらに引張強度の高い多孔質膜となると推測される。
以下、順に説明する。
<アクリルモノマー(a)>
本発明の多孔質膜では、多孔質基材に下記一般式[1]で表されるアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)とがグラフト重合されている。
Figure 2022133536000003
(R1は水素原子または1~8個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は炭素数3~12個のヒドロキシアルキル基である。)
前記アクリルモノマー(a)は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのオキシアルキレン変性モノマー、2-アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミドなどの1級水酸基含有モノマー、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの2級水酸基含有モノマー、2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの3級水酸基含有モノマーが挙げられる。これらのモノマーは、単独であるいは2種以上を併せて用いることができる。
上記アクリルモノマー(a)の中でも、グラフト重合時の反応性に優れる点で、1級水酸基含有モノマーが好ましく、更に不純物が少なく、製造し易い点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
<(メタ)アクリル酸モノマー(b)>
本明細書中で(メタ)アクリル酸はアクリル酸またはメタクリル酸を指し、
(メタ)アクリル酸モノマー(b)はアクリル酸モノマーまたはメタクリル酸モノマー単独、あるいは2種を併せて用いることができる。
<多孔質基材>
多孔質基材は、超高分子量ポリエチレンを含有し、膜の表面から裏面まで貫通する空孔を有するものであれば特に限定されることはないが、孔径分布の狭い微細空孔を表面/内部に有し、機械特性(引張強伸度、耐水圧など)にも優れるとの観点から湿式法で製膜されたものであることが好ましい。ここで、湿式法とはポリエチレン樹脂組成物をポリエチレン樹脂組成物と相溶性のある溶媒に加熱溶解した溶液からゲル状シートを成形/延伸した後に溶媒を洗浄し除去することにより多孔質基材を製膜する方法である。
本発明で使用する超高分子量ポリエチレンを含有する多孔質基材が備える空孔の細孔径は、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましい。一方、上限は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。多孔質基材の細孔径が上述した範囲を下回ると、後述する親水化処理工程において、モノマー溶液が浸透し難くなり、親水性が低下する傾向にある。逆に細孔径が上述した範囲を上回ると、親水化処理した後の保水率が低下する傾向にある。
また、多孔質基材は、超高分子量ポリエチレンを含有することにより機械特性(引張強伸度、耐水圧)に優れたものとなるが、本発明では重量平均分子量(Mw)1×10以上を超高分子量と定義し、多孔質基材に含有する超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10~5×10であることが好ましく、1×10~3×10であることがより好ましい。
さらに、超高分子量ポリエチレンの含有量は、多孔質基材に含まれるポリエチレン樹脂の全体を100質量%とした場合に5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。ポリエチレン樹脂中、すなわち、未処理の多孔質基材に含まれる超高分子量ポリエチレンの含有量が5質量%を下回ると、分子鎖の絡み合いの効果が十分得られず多孔質基材の機械特性が低下する傾向にある。一方、上限には特に制限はなく、必要となる機械特性に合わせて適宜選定すれば良い。
一般的に樹脂の溶融粘度が分子量に依存し、溶融粘度が大きく異なる樹脂同士は均一に混ざり難い傾向にあるとの観点から、超高分子量ポリエチレンを除く、他のポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、5×10~9×10であることが、親水化処理を施した多孔質膜とした際の各種特性バラツキを抑制する観点から好ましい。
本発明で使用する多孔質基材の厚みは5μm以上であれば特に制限はないが、機械特性、耐熱性などを考慮すると10μm以上であることが好ましい。厚みを10μm以上とすることで、親水化処理工程での耐熱性、取扱い性が特に優れたものとなる。一方、上限は特に制限がなく使用される用途に合わせて適宜選定すれば良い。
<本発明の多孔質膜>
次に、本発明の多孔質膜の特性等について説明する。
本発明の多孔質膜が備える空孔の細孔径は20~100nmであることが好ましい。細孔径が20nmを下回ると、例えば水処理用のフィルタ用濾過膜に用いた場合に目詰まりし易く、濾過膜としての寿命が短くなる傾向にあり、また、水溶液系電解液を用いた電池のセパレータに用いた場合にイオン透過性が劣る傾向にある。さらに、細孔径が小さくなることにより、透気度(一定量の空気が透過するために要する時間)が上昇する傾向にあるため、透気性が必要とされる用途に不向きな多孔質膜となる。一方、細孔径が100nmを上回ると、例えば、水溶液系の電解液を用いた電池のセパレータに用いた場合に非常時に孔が閉塞するシャットダウン性能に劣る傾向にある。これら細孔径は、処理前の多孔質膜の細孔径とグラフト率により決定されるため、使用する用途に応じて上述した範囲で適宜決定することが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の少なくとも一方の表面は、吸水性能の指標である水接触角が40°以下であり、かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が70%以上であることが好ましい。
水接触角は多孔質膜の表面の親水性の状態を示し、吸水率は多孔質膜が備える細孔の内部の親水性の状態を示す指標であるため、水接触角と吸水率が前記の範囲となることにより、多孔質膜の表面および多孔質膜が備える細孔の内部が充分に親水化された状態となり、吸水性能に優れた多孔質膜となる。
また、本発明の多孔質膜の引張破断強度が100MPa以上であることが好ましい。引張破断強度を上述した範囲とすることで、例えば、本発明の多孔質膜を用いた電池用セパレータ、本発明の多孔質膜を用いた電解コンデンサー用隔離膜、および本発明の多孔質膜を用いた液体フィルタ用濾過膜において、多孔質膜が破断しにくくなる。
<本発明の多孔質膜の製造方法>
以下、本発明の多孔質膜の製造方法の一例について説明する。なお、以下の本発明の多孔質膜の製造方法は、本発明の多孔質膜を製造するのに好適な方法であるが、本発明の多孔質膜を製造する方法は以下の記載に限定されるものではない。
<グラフト重合処理前の多孔質膜>
グラフト重合処理前の多孔質膜は、多孔質基材である。多孔質基材の説明については、上記<多孔質基材>の項の説明を参照のこと。
<電子線放射線照射工程(工程I)>
多孔質膜の製造方法は多孔質基材に電子線を照射する工程Iと、アクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸(b)モノマーとを含有するモノマー溶液に工程Iを経た後の多孔質基材を浸漬し、多孔質基材にモノマーをグラフト重合する工程IIとを少なくとも含むものである。
上記の製造方法における電子線を照射する工程Iでは、多孔質基材に電離性放射線を照射し、多孔質基材に含有されるポリエチレンの側鎖のH(水素)を切断し、ラジカルを形成する。電離性放射線には、α線、β線、γ線、電子線を挙げることができるが、易取扱い性の観点から電子線を用いることが好ましい。照射する電子線の加速電圧は100~500keVであることが好ましい。また、電子線量としては10~100kGyであることが好ましく、10~50kGyであることがより好ましい。電子線量が10kGyを下回るとグラフト重合に充分なラジカルが発生せず、100kGyを上回ると基材である多孔質膜へのダメージが大きくなり、引張強度が低下する傾向にある。
<モノマー溶液への浸漬工程(工程II)>
次に、工程Iを経た、多孔質基材に、モノマー溶液に浸漬させる工程について説明する。本工程では、工程Iにより、多孔質基材に含有されるポリエチレンの側鎖に発生したラジカルに、多孔質基材にアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)をグラフト重合する。
まず、アクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)の均一溶液を調整する。この均一溶液中におけるアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)との質量割合は多孔質膜の用途に応じて、適宜決めることができるが、好ましくは、30:70~70:30である。
本発明では上述したアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)の均一溶液を調整し、この均一溶液を溶媒に希釈しモノマー溶液を得る。前記溶媒としては、有機溶媒を用いることが好ましく、易取扱い性を有するアルコール系溶媒を用いることがさらに好ましい。水を溶媒に用いた場合、疎水性である多孔質基材に浸透し難く、空孔内部を均一に親水化することが困難となる傾向にある。またモノマー溶液に対するアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)を合計したモノマー濃度については特に制限は無いが、20~50質量%の間で適宜選定すればよい。後述するグラフト率は、ラジカルの発生量(つまり、工程Iの電子線強度)が同一であれば、モノマー溶液の濃度および、浸漬時間により決定されるため、モノマー溶液の材料費、加工費の観点から、適宜モノマー溶液の濃度浸漬時間を決定すればよい。
また、このモノマー溶液の温度は好ましくは0~90℃であることが好ましい。前記温度範囲内とすることでグラフト重合の反応性が高まり、加工時間を短くすることができる。
上記処理は、多孔質基材に対するモノマーのグラフト率が50~100%になるまで行う。グラフト率が100%以下とすることで、多孔質膜が備える細孔が閉塞されることや孔径が小さくなることを抑制できる。一方、グラフト率を50質量%以上とすることで、十分な親水性を得ることができない。ここでグラフト率とは、グラフト重合前の多孔質基材の質量に対する、グラフト重合により多孔質膜に接合されたモノマーの質量比である。そして、グラフト率はグラフト重合後の多孔質膜の質量から、グラフト重合前の多孔質基材の質量を引いた値をグラフト重合前の多孔質膜の重量で除したものをいう。
グラフト重合処理の終了後、グラフト重合処理後の多孔質基材を湯または水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ剤を含む湯等で洗浄することにより、多孔質基材の表面のホモポリマーを除去し、熱風や赤外線、上記を満たしたシリンダーロール等の加熱手段を用いて乾燥することにより、本発明の多孔質膜を製造することができる。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、実施例中に示す特性値の測定方法は次のとおりである。
A.細孔径
(1)測定方法
パームポロメーター「CFP-1500(PMI社製)を用い試験体の細孔径をWet加圧/Dry加圧法で測定した。
(2)測定条件
・試験液 :Galwick(15.9DYNES/CM)
・測定圧力:500~2700kPa
・解析法 :細孔(DIST)の最大値を読み取り、試験体の細孔径とする。
B.水接触角
(1)測定方法
接触角計「DropMasterDMs-400(協和界面科学株式会社製)」
を用い試験体表面の水接触角を液滴法で測定した。
(2)測定条件
・試験液 :蒸留水、1μL
・測定時期:試験液滴下後1000mS
・解析法 :θ/2法
・n数 :3 。
C.引張破断強度
(1)測定方法
TENSILON(登録商標)UCT-100(オリエンテック社製)を用いて、引張破断強度を測定した
(2)引用規格
JIS K7127(1999年)
(3)測定条件
・形状:測定方向長さ150mm、幅10mmの短冊状
・初期チャック間距離50mm
・引張速度:200mm/分。
D.重量平均分子量(Mw)
(1)測定方法
ゲル浸透クロマトグラフシステム「Prominence(株式会社島津製作所製)」を用いモノマーの重量平均分子量(Mw)を測定した。
(2)測定条件
移動相:クロロホルム(HPLC用)(和光純薬工業株式会社製)
・流速:1mL/min
・カラム:TSKgel GMHHR-M(φ7.8mmX300mm;東ソー株式会社製)
・検出器:UV(254nm)、RI
・カラム、検出器温度:35℃
・標準物質:ポリスチレン。
E.吸水率
(1)測定方法
i)50℃に調整したオーブンで試験体を24時間乾燥させる。
ii)デシケーターに投入し、室温まで冷却し、試験体の重量を測定する。
iii)上記i)、ii)の作業を試験体の重量が±0.1mg以内で一定になるまで行い初期重量(m1)とする。
iV)試験体を蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し、表面の水分を拭き取る(キムタオル)。1分以内に吸水後の重量を測定し、吸水後重量(m2)とする。
V)((m2-m1)/m1)×100により、吸水率を算出する。
(2)引用規格:JIS K7209-1。
[実施例1]
<未処理の基材>
厚み:12μm、融点:137℃、細孔径:40μm、水接触角:110°、吸水率:2%、引張強度:212MPaの重量平均分子量(MW)2.0×10の超高分子量ポリエチレンを25質量%、3.0×10の高密度ポリエチレンを75質量%含有する多孔質基材を用いた。
<電離線放射線の照射工程(工程I)>
多孔質基材に電子線(加速電圧:100keV、電子線強度:20kGy)を照射し、ラジカルを形成した。
<モノマー溶液への浸漬工程(工程II)>
表1に示す組成のモノマー溶液を調整し、この溶液に前記ラジカルを形成した多孔質基材を10分間浸漬した後、50度のオーブンで乾燥させ、本発明の多孔質膜を得た。
[実施例2]
アクリルモノマー(a)として、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを2-ヒドロキシエチルアクリレートに変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
[実施例3、4]
アクリル酸の含有量および2-ヒドロキシエチルメタクリレートの含有量を変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
[比較例1]
2-ヒドロキシエチルメタクリレートを用いずに、アクリル酸のみを用いたことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
[比較例2]
アクリル酸を用いずに、2-ヒドロキシエチルメタクリレートのみを用いたことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
[比較例3]
アクリルモノマー(a)である2-ヒドロキシエチルメタアクリレートの代わりに、ヒドロキシアルキル基を有さないアクリルモノマーであるアクリル酸2-(パーフルオロヘキシル)エチルを用いたことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
実施例1~4、および比較例1~3の各試験体について、上述した測定方法を用い、水接触角、吸水率、引張破断強度を測定した結果を表1に示す。
2-ヒドロキシエチルメタクリレートとアクリル酸がグラフト重合されている実施例1は、水接触角38°、吸水率116%、引張破断強度145Mpaであり、アクリル酸のみをグラフト重合した比較例1(水接触角30°、吸水率130%、引張破断強度63Mpa)、2-ヒドロキシエチルメタクリレートのみをグラフト重合した比較例2(水接触角82°、吸水率43%、引張破断強度135Mpa)、ヒドロキシアルキル基を有しないアクリルモノマーであるアクリル酸2-(パーフルオロヘキシル)エチルをグラフト重合した比較例3(水接触角110°、吸水率31%、引張破断強度144Mpa)対比で、吸水性能に優れ、さらに引張破断強度を有することを確認した。
Figure 2022133536000004
本発明の多孔質膜は、吸水性能に優れ、さらに引張破断強度の高い性能で備え、水溶液系の電解液を用いた電池のセパレータ、水処理用のフィルタ用濾過膜など親水性および引張破断強度を必要とする用途に好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. ポリエチレンを含有する多孔質基材を有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、
    前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10以上であり、
    下記一般式[1]で表されるアクリルモノマー(a)と(メタ)アクリル酸モノマー(b)とが前記多孔質基材にグラフト重合されていることを特徴とする、多孔質膜。
    Figure 2022133536000005
    (R1は水素原子または1~8個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は炭素数3~12個のヒドロキシアルキル基である。)
  2. 前記アクリルモノマー(a)が2―ヒドロキシエチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 記多孔質膜の少なくとも一方の面の水接触角が40°以下であり、かつJIS K7209に準じて測定した吸水率が70%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質膜。
  4. 前記多孔質膜の引張破断強度が100Мpa以上である、請求項1~3のいずれかに記載の多孔質膜。
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