本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。
〔コンバインの全体構成〕
図1に示されるように、自脱型のコンバイン1は、刈取部Hと、クローラ式の走行装置11と、運転部12と、脱穀装置13と、穀粒タンク14と、藁排出装置17と、穀粒排出装置18と、衛星測位モジュール80と、を備えている。
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジン(不図示)からの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。なお、走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
また、運転部12と、脱穀装置13と、穀粒タンク14と、は走行装置11の上方に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。なお、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14に接続している。また、衛星測位モジュール80は、運転部12を覆うキャビンの上面部に取り付けられている。
刈取部Hは、コンバイン1における機体前部に設けられ、圃場の作物を条刈りするものである。刈取部Hは、複数のデバイダ5と、バリカン型の切断装置15と、搬送装置16と、を有している。複数のデバイダ5は、コンバイン1における前端部に位置し、圃場の植立穀稈を梳き分ける。複数のデバイダ5の詳細に関しては図6等に基づいて後述する。
切断装置15は、複数のデバイダ5によって梳き分けられた植立穀稈の株元を切断する。
そして、搬送装置16は、切断装置15によって切断された穀稈を後側へ搬送する。
この構成によって、刈取部Hは、圃場の植立穀稈を刈り取る。コンバイン1は、刈取部Hによって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。即ち、コンバイン1は、圃場の植立穀稈を刈り取る刈取部Hを有する。
搬送装置16によって搬送された穀稈は、脱穀装置13において脱穀処理される。脱穀処理によって得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
また、藁排出装置17は、コンバイン1の後端部に備えられている。そして、藁排出装置17は、脱穀処理によって穀粒が分離された藁を機体後方に排出する。なお、本実施形態において、藁排出装置17は、藁をカッター(不図示)によって細断処理した後に排出することが可能である。また、藁排出装置17は、藁を細断処理せずに排出することも可能である。
また、運転部12には、通信端末4(図4参照)が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。なお、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。通信端末4は、本発明の『可搬型通信端末』であって、コンバイン1に装備された通信ユニット(不図示)とデータ通信可能に構成されている。
ここで、コンバイン1は、図2に示されるように圃場における外周側の領域で穀物を収穫しながら周回走行した後、図3に示されるように圃場における内側の作業対象領域CAで刈取走行することによって、圃場の穀物を収穫するように構成されている。
本実施形態においては、図2に示される周回走行は手動走行によって行われる。最初に、オペレータは、コンバイン1を手動で操作し、図2に示されるように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線BDに沿って周回するように刈取走行を行う。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。図2に示される例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行うが、2周の周回走行や4周の周回走行であっても良い。この周回走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
また、図3に示される作業対象領域CAでの刈取走行は、自動走行によって行われる。
例えば、オペレータが自動走行開始ボタン(不図示)を押すことによって、図3に示されるように、目標走行経路LAに沿った自動走行が開始される。作業対象領域CAにおける自動走行では、コンバイン1は、目標走行経路LAに沿って前進しながら行われる刈取走行と、Uターンによる方向転換と、を繰り返すことによって、作業対象領域CAの未刈領域の全体を網羅するように刈取走行を行う。なお、以下では、前進しながらの刈取走行及びUターンによる方向転換を繰り返す走行を、「往復走行」と称する。
なお、オペレータは、通信端末4を操作することによって、エンジンの回転速度を変更できる。作物の状態によって、適切な作業速度は異なる。オペレータが通信端末4を操作し、エンジンの回転速度を適切な回転速度に設定すれば、作物の状態に適した作業速度で作業を行うことができる。
コンバイン1によって刈取走行が行われている間、上述の通り、切断装置15によって刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。そして、脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。
圃場での収穫作業において、コンバイン1は、自動走行システムA(図4参照)によって制御される。即ち、自動走行システムAは、コンバイン1の自動走行を管理する。以下では、自動走行システムAの構成について説明する。
〔自動走行システムの構成〕
図4に示されるように、自動走行システムAは、制御部20及び衛星測位モジュール80を備えている。なお、制御部20は、コンバイン1に備えられている。また、上述の通り、衛星測位モジュール80も、コンバイン1に備えられている。
制御部20は、自車位置算出部21と、走行軌跡算出部22と、経路設定部23と、走行制御部24と、を有している。
衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星からのGPS信号を受信する。そして、図4に示されるように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部21へ送る。
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80によって出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、走行軌跡算出部22及び走行制御部24へ送られる。
走行軌跡算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示されるように、外周領域SA及び作業対象領域CAを算出する。
例えば図2においては、圃場の外周側における周回走行のためのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。
そして、この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
このとき、走行軌跡算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。換言すると、走行軌跡算出部22は、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、走行軌跡算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。そして、図4に示されるように、走行軌跡算出部22による算出結果は、経路設定部23へ送られる。
経路設定部23は、走行軌跡算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示されるように、作業対象領域CAにおける刈取走行のための走行経路である目標走行経路LAを算出する。本実施形態における複数の目標走行経路LAの夫々は、条方向に沿って延びるとともに互いに平行である。図4に示されるように、経路設定部23によって算出された目標走行経路LAは、走行制御部24へ送られる。
走行制御部24は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路設定部23から受け取った目標走行経路LAと、に基づいてコンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、図3に示されるように、目標走行経路LAに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。即ち、コンバイン1は、自動走行可能であって、条方向に沿って自動走行しながら圃場の作物を刈り取る。このように、自動走行システムAは、前進しながらの刈取走行及びUターンによる方向転換を繰り返す往復走行が行われるようにコンバイン1の走行を制御する走行制御部24を備えている。
なお、本実施形態において、走行制御部24は、図3に示されるような往復走行を行う場合、未刈領域において、進行方向に対して最も右側の部分に対応する目標走行経路LAに沿って刈取走行を行うように、コンバイン1の走行を制御する。このことは、後述する図5乃至図8でも同じ状態が示されている。
〔目標走行経路の算出に関する構成〕
図4に示される経路設定部23は、条方向に沿う自動走行のための複数の目標走行経路LAを算出する。即ち、自動走行システムAは、条方向に沿う自動走行のための目標走行経路LAを算出する経路設定部23を備えている。
経路設定部23は、複数の目標走行経路LAの夫々の間隔が所定の第1間隔D1(図5乃至図7参照、以下同じ)または第2間隔D2(図8参照、以下同じ)となるように、平行に並ぶ複数の目標走行経路LAを算出する。即ち、経路設定部23は、所定の第1間隔D1または第2間隔D2で平行に並ぶ複数の目標走行経路LAを算出するように構成されている。
目標走行経路LAの夫々の間隔は第1間隔D1または第2間隔D2に設定され、第1間隔D1と第2間隔D2との何れかが、条間隔に基づいて選択される。即ち、経路設定部23は、条間隔に基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定する。
まず、第1間隔D1について詳述する。図4に示されるように、制御部20は、機種情報記憶部26及び条間取得部27を有している。
機種情報記憶部26は、コンバイン1の仕様に関する各種情報を記憶している。ここで、機種情報記憶部26に記憶されている情報には、コンバイン1の刈取条数が含まれている。そして、経路設定部23は、機種情報記憶部26から、コンバイン1の刈取条数を取得する。なお、本実施形態において、コンバイン1の刈取条数は、6条である。
条間取得部27は、通信端末4から条間隔を取得し、この条間隔を経路設定部23へ送る。即ち、制御部20に条間取得部27が備えられ、条間取得部27は圃場における条間隔を取得する。通信端末4に条間隔入力部4aが備えられ、条間隔入力部4aは、例えばタッチパネルに映し出される操作画面であって、条間隔を入力可能に構成されている。圃場の作業者や管理者、オペレータは条間隔入力部4aを操作することによって条間隔を入力できる。なお、通信端末4の操作画面には、条間隔が数値として表示されていなくても良く、例えば、「大」、「標準」、「小」、「条なし」、等の複数段階で表示されても良い。
図4に示されるように、制御部20は、第1間隔算出部23bを有している。第1間隔算出部23bは、機種情報記憶部26から取得したコンバイン1の刈取条数と、条間取得部27から受け取った条間隔と、に基づいて、適切な第1間隔D1を算出する。これにより、経路設定部23は、第1間隔D1を決定する(第一設定)。
即ち、第1間隔算出部23bは、第1間隔D1を、コンバイン1の刈取条数に基づいて決定する。また、第1間隔算出部23bは、第1間隔D1を、条間隔に基づいて決定する。
なお、第1間隔算出部23bは、コンバイン1の刈取条数が多いほど第1間隔D1が大きくなるように、第1間隔D1を算出する。また、第1間隔算出部23bは、条間隔が大きいほど第1間隔D1が大きくなるように、第1間隔D1を算出する。
次に、第2間隔D2について詳述する。図4に示されるように、経路設定部23は、第2間隔算出部23cを有している。
また、機種情報記憶部26に記憶されている情報には、コンバイン1の刈幅(刈取部Hが植立穀稈を受け入れ可能な最大幅)が含まれている。そして、経路設定部23は、機種情報記憶部26から、コンバイン1の刈幅を取得する。
図4に示される第2間隔算出部23cは、機種情報記憶部26から取得したコンバイン1の刈幅に基づいて、適切な第2間隔D2を算出する。これにより、経路設定部23は、第2間隔D2を決定する(第二設定)。即ち、第2間隔算出部23cは、第2間隔D2を、コンバイン1の刈幅に基づいて決定する。なお、第2間隔算出部23cは、コンバイン1の刈幅が大きいほど第2間隔D2が大きくなるように、第2間隔D2を算出する。
経路設定部23は、条間隔に基づいて第1間隔算出部23bと第2間隔算出部23cとを使い分ける。具体的には、経路設定部23は、条間隔を予め設定された閾値で判定し、条間隔が当該閾値以下である場合に第1間隔算出部23bを使用し、条間隔が当該閾値よりも大きい場合に第2間隔算出部23cを使用する。
図4に示されるように、制御部20は、未刈領域の条数を算出する条数算出部28を備えている。条数算出部28は、圃場における未刈領域の条数を算出するように構成されている。
コンバイン1が手動走行または自動走行によって刈取走行を行っている間、自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80によって出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、条数算出部28へ送られる。また、条間取得部27は、条間隔入力部4aで入力された条間隔を条数算出部28へ送る。
そして、条数算出部28は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場における未刈領域の範囲を経時的に算出する。さらに、条数算出部28は、算出された未刈領域の範囲と、条間取得部27から受け取った条間隔と、に基づいて、圃場における未刈領域の条数を経時的に算出する。
経路設定部23はシフト算出部23dを有し、条数算出部28による算出結果は、シフト算出部23dへ送られる。シフト算出部23dは、条数算出部28の算出結果と、コンバイン1の刈取条数と、に基づいて目標走行経路LAの位置を改めて算出する。シフト算出部23dに関しては後述する。
〔条間隔に基づいた目標走行経路の間隔の設定に関する構成〕
図4に基づいて上述したように、経路設定部23に、第1間隔算出部23bと第2間隔算出部23cとが備えられている。以下、第1間隔算出部23bと第2間隔算出部23cとの使い分けに関して、図6乃至図8に基づいて説明する。
経路設定部23は、条間隔を予め設定された閾値で判定し、条間隔が当該閾値以下である場合に第1間隔算出部23bを使用し、条間隔が当該閾値よりも大きい場合に第2間隔算出部23cを使用する。図6に示される例では、条方向と直交する方向に植立穀稈が第1条間隔G1だけ離間して並列し、これらの植立穀稈が6条刈り仕様の刈取部Hによって条刈りされる。また、図7に示される例では、条方向と直交する方向に植立穀稈が第2条間隔G2だけ離間して並列し、これらの植立穀稈が6条刈り仕様の刈取部Hによって条刈りされる。第2条間隔G2は第1条間隔G1よりも大きい。本実施形態では、図6に示される第1条間隔G1は当該閾値以下であって、図7及び図8に示される第2条間隔G2は当該閾値よりも大きい。図6及び図7に示される夫々の目標走行経路LAは、並列する2つの植立穀稈の間に位置するように設定される。
図6に示す圃場では、条方向は、東西方向である。作業対象領域CA1に対応する目標走行経路LAとして、第1目標走行経路LA1と、第2目標走行経路LA2と、第3目標走行経路LA3と、第4目標走行経路LA4と、の4つの目標走行経路LAが既に算出されている。
北側から順に、第1目標走行経路LA1、第2目標走行経路LA2、第3目標走行経路LA3、第4目標走行経路LA4、が並んでいる。また、これら4つの目標走行経路LAのうち、第1目標走行経路LA1と、第2目標走行経路LA2と、第3目標走行経路LA3と、は互いに第1間隔D11を空けて並んでいる。なお、図6に示される例では、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔は第1シフト間隔DS1となっており、この間隔はシフト算出部23dによって設定されている。第1シフト間隔DS1及びシフト算出部23dに関しては後述する。
第2目標走行経路LA2は、複数の目標走行経路LAのうちコンバイン1が最後に走行する目標走行経路LAである。このことは、図7及び図8でも同じ状態が示されている。
なお、本実施形態では、図5乃至図8に示されるように、複数のデバイダ5として、第1デバイダ51と、第2デバイダ52と、第3デバイダ53と、第4デバイダ54と、第5デバイダ55と、第6デバイダ56と、第7デバイダ57と、が備えられている。これらのデバイダ5は、機体左側から、第1デバイダ51、第2デバイダ52、第3デバイダ53、第4デバイダ54、第5デバイダ55、第6デバイダ56、第7デバイダ57の順に並んでいる。そして、これらのデバイダ5は、圃場の植立穀稈を梳き分ける。
本実施形態において、コンバイン1の刈幅は、機体横幅方向における第1デバイダ51と第7デバイダ57との間の距離であって、第1デバイダ51と第7デバイダ57との間に6条分の穀稈が植立している。このことから、刈取部Hの刈幅は、刈取部Hの本来の刈取条数に対応する幅よりも左右に幅広となるように構成されている。
本実施形態では、第4デバイダ54が目標走行経路LA上に位置するように、コンバイン1が制御される。また、本実施形態では、第4デバイダ54と第7デバイダ57との離間距離は、第4デバイダ54と第1デバイダ51との離間距離よりも大きく設定されている。
図6に示される例では、第1間隔D11(第1間隔D1)は第1条間隔G1の6倍に設定される。第1間隔D11は、第1間隔算出部23bによって設定される。そして、夫々の目標走行経路LAに沿って刈取走行が行われると、コンバイン1が第1目標走行経路LA1を走行する際の第1デバイダ51の位置は、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の第7デバイダ57の位置よりも南側に位置する。コンバイン1が第1目標走行経路LA1を走行する際の刈取部Hの刈取領域と、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)と、が第1重複幅OL1の幅で重複する。つまり、第1間隔D11は、刈取部Hの刈幅よりも第1重複幅OL1だけ小さくなっている。
図6に示される例では、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔は、シフト算出部23dによって第1シフト間隔DS1となっている。第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔が本来の第1間隔D11に設定されている場合であっても、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔は、刈取部Hの刈幅よりも第1重複幅OL1だけ小さくなる。
コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際に、コンバイン1は西へ向かって走行するため、このときの第1デバイダ51の位置は刈取部Hのうちの最も南側に位置する。また、コンバイン1が第3目標走行経路LA3を走行する際に、コンバイン1は東へ向かって走行するため、このときの第1デバイダ51の位置は刈取部Hのうちの最も北側に位置する。このことは、図7及び図8でも同じ状態が示されている。
コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の第1デバイダ51の位置は、コンバイン1が第3目標走行経路LA3を走行する際の第1デバイダ51の位置よりも南側に位置する。つまり、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)と、コンバイン1が第3目標走行経路LA3を走行する際の刈取部Hの刈取領域と、が第2重複幅OL2の幅で重複する。本実施形態では、第4デバイダ54と第7デバイダ57との離間距離が、第4デバイダ54と第1デバイダ51との離間距離よりも大きいため、第2重複幅OL2は第1重複幅OL1よりも小さい。
図6に示される例では、第1目標走行経路LA1と第2目標走行経路LA2と第3目標走行経路LA3との夫々では、刈取部Hの刈取条数である6条分でしっかりと刈取走行が行われる。そして、互いに隣接する2つの目標走行経路LAの夫々で刈取走行が行われる際の夫々の刈取領域が、少なくとも第2重複幅OL2の幅で部分的に重複する。このため、互いに隣接する2つの目標走行経路LA間の中間領域に位置する植立穀稈が刈り残される虞は殆どない。
図7に示される例では、条方向と直交する方向に植立穀稈が第2条間隔G2だけ離間して並列し、第2条間隔G2は第1条間隔G1よりも大きい。このため、第1間隔D1は、第2条間隔G2の6倍であって、図7では第1間隔D12として示されている。第1間隔D12は、図6に示される第1間隔D11よりも大きい。
図7に示されるような第1間隔D12が設定され、夫々の目標走行経路LAに沿って刈取走行が行われると、コンバイン1が第1目標走行経路LA1を走行する際の第1デバイダ51の位置と、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の第7デバイダ57の位置と、が図7に示された線OL5上で略一致する。つまり、コンバイン1が第1目標走行経路LA1を走行する際の刈取部Hの刈取領域と、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)と、が殆ど重複しないか、全く重複しない。
また、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の第1デバイダ51の位置は、コンバイン1が第3目標走行経路LA3を走行する際の第1デバイダ51の位置よりも北側にΔDの距離だけ離間する。つまり、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)と、コンバイン1が第3目標走行経路LA3を走行する際の刈取部Hの刈取領域と、の間にΔDの幅だけ隙間が生じる。
図7に示される例では、第1条間隔G1よりも大きな第2条間隔G2で並列した植立穀稈が、刈取部Hの刈取条数で条刈りされる。このため、第1条間隔G1で植立穀稈が並列する場合と比較して、互いに隣接する2つの目標走行経路LAの夫々で条刈りが行われる際の夫々の刈取領域が重複し難くなっている。このことから、目標走行経路LAに対する制御誤差等が発生すると、互いに隣接する2つの目標走行経路LA間の中間領域に位置する植立穀稈が刈り残される虞がある。また、図7に示される例の通り、植立穀稈が第2条間隔G2で等間隔に植えられていれば問題ないが、植立穀稈が不等間隔に植えられ、ΔDの幅の隙間領域に植立穀稈が位置する場合には、この植立穀稈が刈り残される虞がある。
このような場合、上述の不都合を回避するため、経路設定部23は、刈取部Hの刈幅に基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定する。
即ち、経路設定部23は第2間隔算出部23cを使用し、図8に示されるように、第2間隔算出部23cは、機種情報記憶部26から取得したコンバイン1の刈幅W(刈取部Hが植立穀稈を受け入れ可能な最大幅)に基づいて第2間隔D2を算出する。コンバイン1が第1目標走行経路LA1を走行する際の刈取部Hの刈取領域と、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)と、が第3重複幅OL3の幅で重複する。つまり、第2間隔D2は刈幅Wよりも第3重複幅OL3だけ小さくなっている。
また、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)と、コンバイン1が第3目標走行経路LA3を走行する際の刈取部Hの刈取領域と、が第4重複幅OL4の幅で重複する。本実施形態では、第4デバイダ54と第7デバイダ57との離間距離が、第4デバイダ54と第1デバイダ51との離間距離よりも大きいため、第4重複幅OL4は第3重複幅OL3よりも小さい。
即ち、経路設定部23は、条間隔が予め設定された閾値よりも大きい場合に、刈取部Hの刈幅Wよりも、予め設定された幅としての第3重複幅OL3だけ小さくなるように複数の目標走行経路LAの間隔を設定する。そして、互いに隣接する2つの目標走行経路LAの夫々で刈取走行が行われる際の夫々の刈取領域が、少なくとも第4重複幅OL4の幅で部分的に重複する。このため、互いに隣接する2つの目標走行経路LA間の中間領域に位置する植立穀稈が刈り残される虞は防止される。
このように、経路設定部23は、条間隔が予め設定された閾値以下である場合に条間隔に基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定し(第一設定)、条間隔が閾値よりも大きい場合に刈取部Hの刈幅Wに基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定する(第二設定)。
〔目標走行経路のシフトに関する構成〕
図4に示されるように、経路設定部23は、シフト算出部23dを有している。シフト算出部23dは、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って走行する際に所定条件が満たされるように、目標走行経路LAを算出する。
そして、この所定条件は、下記の第1条件及び第2条件の2条件から構成されている。
第1条件は、「複数のデバイダ5のうちの左端から所定個数目のデバイダ5が、未刈領域における左端に位置する条よりも右側に位置し、且つ、複数のデバイダ5のうちの右端から所定個数目のデバイダ5が、未刈領域における右端に位置する条よりも左側に位置すること」である。
本実施形態では、第1条件における『所定個数』は、3つである。即ち、本実施形態において、第1条件は、「第3デバイダ53が、未刈領域における左端に位置する条よりも右側に位置し、且つ、第5デバイダ55が、未刈領域における右端に位置する条よりも左側に位置すること」である。
既刈領域には刈取後の藁屑等が散乱している。刈取部Hの刈取領域の一部が既刈領域と重複したまま条刈りが行われると、散乱した藁屑等が刈取部Hによって拾われる場合が考えられる。この場合には、藁屑等が刈取穀稈と一緒に脱穀処理され、穀粒タンク14(図1参照)に貯留される穀粒に細かな藁屑等が混ざったり、脱穀負荷が不必要に増大したりする虞がある。このため、第1条件が満たされれば、刈取部Hの刈取領域の一部が既刈領域と重複する場合であっても、刈取部Hのうち作物が入ってこない領域が左右何れかの端部の1条分だけに留まる。これにより、散乱した藁屑等が刈取部Hによって拾われる虞が軽減される。
第2条件は、「複数の目標走行経路LAのうちコンバイン1が最後に走行する目標走行経路LAに対応する未刈領域の条数が刈取部Hの刈取条数分だけ確保されるように、目標走行経路LAを設定すること」である。
最後に残された目標走行経路LAに沿ってコンバイン1が刈取走行を行うとき、未刈領域(最後の作業対象領域CAL)の進行方向に対する左右両側方には既刈領域の藁屑等が大量に堆積している。大量の藁屑が刈取部によって拾われる虞を軽減するため、この未刈領域には植立穀稈が刈取部Hの刈取条数分だけ確保され、刈取部Hによる最後の条刈りが刈取部Hの刈取条数分で行われることが望ましい。第2条件が満たされれば、コンバイン1が最後に条刈りする際の未刈領域が刈取部Hの刈取条数分だけ確保され、刈取部Hの刈取領域のうち既刈領域と重複する領域がなくなる。これにより、散乱した藁屑等が刈取部Hによって拾われる虞が大きく軽減され、収穫作業の効率が最後まで良好となる。
上述のように第1間隔D1または第2間隔D2で平行に並ぶ複数の目標走行経路LAが算出された後、シフト算出部23dは、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って走行する際に第1条件及び第2条件が常に満たされるか否かを判定する。なお、この判定は、条数算出部28の算出結果と、コンバイン1の刈取条数と、に基づいて行われる。また、この判定は、第1間隔D1または第2間隔D2で平行に並ぶ複数の目標走行経路LAが算出された直後、及び、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って走行しているときに行われる。
そして、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って走行する際に第1条件及び第2条件が常には満たされないと判定された場合、シフト算出部23dは、複数の目標走行経路LAのうち、1つまたは複数の目標走行経路LAの位置を、改めて算出する。このとき、シフト算出部23dは、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って走行する際に第1条件及び第2条件が常に満たされるように、目標走行経路LAの位置を改めて算出する。これにより、複数の目標走行経路LAのうち、1つまたは複数の目標走行経路LAの位置がシフトする。
以下では、シフト算出部23dによって目標走行経路LAの位置が改めて算出される例として、コンバイン1が、図5に示される圃場で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。図5に示される例では、図6乃至図8で示された場合と同じく、第1目標走行経路LA1と、第2目標走行経路LA2と、第3目標走行経路LA3と、第4目標走行経路LA4と、の4つの目標走行経路LAが既に算出されている。条方向は、東西方向である。
また、条方向と直交する方向に植立穀稈が等間隔に並列し、夫々の目標走行経路LAは、並列する2つの植立穀稈の間に位置するように設定される。
図5に示されるように、作業対象領域CA1の条数は22条である。このとき、作業対象領域CA1の条数は、条数算出部28によって算出され、シフト算出部23dへ送られる。また、このとき、経路設定部23は、機種情報記憶部26から、コンバイン1の刈取条数を既に取得している。刈取部Hの刈取条数は6条である。
本実施形態では、圃場の植立穀稈の植付条数が刈取部Hの刈取条数の倍数と一致しない。即ち、作業対象領域CA1の条数を刈取部Hの刈取条数で割ると4条分の余りが発生する。換言すると、第1目標走行経路LA1と、第2目標走行経路LA2と、第3目標走行経路LA3と、第4目標走行経路LA4と、に亘ってコンバイン1が刈取走行すると、合計で2条分だけ刈取部Hに作物が入ってこない領域が発生する。
シフト算出部23dは、コンバイン1が、第4目標走行経路LA4、第1目標走行経路LA1、第3目標走行経路LA3、第2目標走行経路LA2の順に刈取走行した場合に、第1条件及び第2条件が常に満たされるか否かを判定する。
図5に示される例では、コンバイン1が第1目標走行経路LA1に沿って刈取走行を行うとき、第5デバイダ55は、第2位置Q2よりも右側に位置している。つまり、刈取部Hのうち作物が入ってこない領域が刈取部Hの右側領域で2条発生しているため、この場合にシフト算出部23dは、第1条件及び第2条件が常には満たされないと判定する。なお、この判定は、コンバイン1が第4目標走行経路LA4に沿う走行を開始する前に行われる。
その結果、シフト算出部23dは、図6に示されるように、第1目標走行経路LA1の位置と、第2目標走行経路LA2の位置と、第3目標走行経路LA3の位置と、の夫々を改めて算出する。この例では、第1目標走行経路LA1の位置と、第2目標走行経路LA2の位置と、第3目標走行経路LA3の位置と、の夫々は1条分だけ南側へシフトする。
これにより、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔は、第1シフト間隔DS1となる。第1シフト間隔DS1は、第1間隔D11よりも第1条間隔G1だけ小さい。そして、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って走行する際に第1条件及び第2条件が常に満たされるようになる。
詳述すると、図6に示されるように、コンバイン1が第4目標走行経路LA4に沿って刈取走行を行うとき、未刈領域における右端と左端との夫々に位置する条は、図6における第1位置Q1と第2位置Q2とに示されている。このとき、第3デバイダ53は第2位置Q2よりも右側に位置し、第5デバイダ55は第1位置Q1よりも左側に位置している。
次に、コンバイン1が第1目標走行経路LA1に沿って刈取走行を行うとき、未刈領域における右端と左端との夫々に位置する条は、図6における第2位置Q2と第3位置Q3とに示されている。このとき、第3デバイダ53は第3位置Q3よりも右側に位置し、第5デバイダ55は第2位置Q2よりも左側に位置している。
続いて、コンバイン1が第3目標走行経路LA3に沿って刈取走行を行うとき、未刈領域における右端と左端との夫々に位置する条は、図6における第3位置Q3と第4位置Q4とに示されている。このとき、第3デバイダ53は第4位置Q4よりも右側に位置し、第5デバイダ55は第3位置Q3よりも左側に位置している。
最後に、コンバイン1が第2目標走行経路LA2に沿って刈取走行を行うとき、未刈領域における右端と左端との夫々に位置する条は、図6における第4位置Q4と第5位置Q5とに示されている。つまり、第4位置Q4と第5位置Q5との間には、刈取部Hの刈取条数である6条分の未刈領域(最後の作業対象領域CAL)が確保されている。換言すると、複数の目標走行経路LAのうちコンバイン1が最後に走行する第2目標走行経路LA2に対応する未刈領域の条数が刈取部Hの刈取条数分だけ確保されるように、目標走行経路LAが設定されている。従って、コンバイン1が目標走行経路LAに沿って刈取走行を行う間、上述の第1条件及び第2条件は常に満たされる。
即ち、経路設定部23は、複数の目標走行経路LAのうちコンバイン1が最後に走行する第2目標走行経路LA2に対応する未刈領域の条数が刈取部Hの刈取条数分だけ確保されるように、目標走行経路LAを設定する。
目標走行経路LAの位置のシフトの仕方は、未刈領域の条数や植立穀稈の条間隔によって異なる。即ち、シフト算出部23dは、コンバイン1が現在刈取走行を行っている未刈領域を対象にして、第1条件及び第2条件が常に満たされるか否かの判定を行うとともに、未刈領域の条数に応じて目標走行経路LAの位置をシフトさせる。その例として、図7に示される例においても、図6に示される場合と同様に、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔が第2シフト間隔DS2となるように、シフト算出部23dによる目標走行経路LAの位置のシフトが行われる。第2シフト間隔DS2は、第1間隔D12よりも第2条間隔G2だけ小さい。そして、図6に基づいて説明した通り、コンバイン1が図7に示された目標走行経路LAに沿って刈取走行を行う間、上述の第1条件及び第2条件は常に満たされる。
また、図8には、目標走行経路LAの位置のシフトに関する別の例が示されている。図8に示される例では、刈幅Wに基づいて複数の目標走行経路LAの間隔である第2間隔D2が算出される場合にも、シフト算出部23dは、上述した第1条件及び第2条件を満たすように、目標走行経路LAの位置を改めて算出する。この例では、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔が第3シフト間隔DS3となるように、シフト算出部23dによる目標走行経路LAの位置のシフトが行われる。第1シフト間隔DS1は、第2間隔D2よりも第2条間隔G2だけ小さい。そして、図6に基づいて説明した通り、コンバイン1が図8に示された目標走行経路LAに沿って刈取走行を行う間、上述の第1条件及び第2条件は常に満たされる。
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されず、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
(1)自車位置算出部21、走行軌跡算出部22、経路設定部23、走行制御部24、機種情報記憶部26、条間取得部27、条数算出部28のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理サーバ6に備えられていても良い。
(2)上述した実施形態では、図6乃至図8に示されるように、第4デバイダ54が常に目標走行経路LA上に位置するように、コンバイン1が制御されるが、この実施形態に限定されない。例えば、コンバイン1が最後に条刈りを行う目標走行経路LAにおいて、刈取部Hの刈幅の範囲における左右中心位置が目標走行経路LA上に位置するように、コンバイン1が制御されても良い。コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際の刈取部Hの刈取領域(最後の作業対象領域CAL)では、上述の第2条件を満たすため、刈取部Hの刈取条数である6条分の未刈領域が確保されている。また、本実施形態では、未刈領域は第1デバイダ51と第7デバイダ57との間に位置する。加えて、第4デバイダ54と第7デバイダ57との離間距離は、第4デバイダ54と第1デバイダ51との離間距離よりも大きく設定されている。このため、未刈領域のうちの左端に位置する植立穀稈と第1デバイダ51との離間距離と、未刈領域のうちの右端に位置する植立穀稈と第7デバイダ57との離間距離と、が同一または略同一となるように、コンバイン1の左右位置が調整される構成(以下、『構成α』と称する)であっても良い。図6乃至図8に基づいて説明すると、構成αは、コンバイン1が第2目標走行経路LA2を走行する際に、第4位置Q4と第7デバイダ57との離間距離と、第5位置Q5と第1デバイダ51との離間距離と、が同一または略同一となる構成であっても良い。構成αを実現するため、走行制御部24は、第2目標走行経路LA2から予め設定された距離だけ機体横方向に位置ずれするように、コンバイン1の走行を制御しても良い。また、構成αを実現するため、シフト算出部23dが、図6乃至図8に示された第2目標走行経路LA2を、予め設定された距離だけ機体横方向にずらすように、第2目標走行経路LA2の位置を改めて算出しても良い。
(3)上述した実施形態では、刈幅Wに基づいて複数の目標走行経路LAの間隔である第2間隔D2が算出される場合においても、シフト算出部23dは目標走行経路LAの位置をシフトすることが図8に基づいて示された。この例では、第3目標走行経路LA3と第4目標走行経路LA4との間隔が第3シフト間隔DS3となるように、シフト算出部23dによる目標走行経路LAの位置のシフトが行われるが、この実施形態に限定されない。
例えば、経路設定部23は、図8に示された夫々の目標走行経路LAの間隔を均等に算出する構成であっても良い。即ち、経路設定部23は、条間隔が予め設定された閾値よりも大きい場合に、刈取部Hの刈幅Wよりも予め設定された幅よりも小さくなるように、複数の目標走行経路LAの間隔を設定する構成であっても良い。この場合にも、経路設定部23は、上述した第1条件及び第2条件を満たすように、目標走行経路LAの夫々の間隔を均等に算出する構成であっても良い。
(4)上述した自動走行制御システムの技術的特徴は、自動走行制御方法にも適用可能である。この場合における自動走行制御方法は、条方向に沿って自動走行しながら圃場の作物を刈り取るコンバイン1のための自動走行制御方法であって、条方向に沿って延びるとともに互いに平行な複数の目標走行経路LAを設定する経路設定ステップと、圃場における条間隔を取得する条間取得ステップと、が含まれ、経路設定ステップは、条間隔に基づいて前記複数の目標走行経路の間隔を設定する構成であっても良い。また、経路設定ステップは、条間隔が予め設定された閾値以下である場合に条間隔に基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定し、条間隔が前記閾値よりも大きい場合に刈取部Hの刈幅Wに基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定する構成であっても良い。
(5)上述した自動走行制御システムの技術的特徴は、自動走行制御プログラムにも適用可能である。この場合における自動走行制御プログラムは、条方向に沿って自動走行しながら圃場の作物を刈り取るコンバイン1のための自動走行制御プログラムであって、条方向に沿って延びるとともに互いに平行な複数の目標走行経路LAを設定する経路設定機能と、圃場における条間隔を取得する条間取得機能と、をコンピュータに実行させ、経路設定機能は、条間隔に基づいて前記複数の目標走行経路の間隔を設定する構成であっても良い。また、経路設定機能は、条間隔が予め設定された閾値以下である場合に条間隔に基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定し、条間隔が前記閾値よりも大きい場合に刈取部Hの刈幅Wに基づいて複数の目標走行経路LAの間隔を設定する構成であっても良い。
(6)上述した実施形態に示された条間隔入力部4aは、通信端末4に備えられていなくても良く、例えば建物内に配置された管理サーバ等のコンピュータに備えられても良い。
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。