JP7272029B2 - サイクロン捕集装置、希土類磁石合金粉砕システム、及びr-t-b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

サイクロン捕集装置、希土類磁石合金粉砕システム、及びr-t-b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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本願は、サイクロン捕集装置、希土類磁石合金粉砕システム、及びR-T-B系焼結磁石の製造方法に関する。
R-T-B系焼結磁石(Rは希土類元素のうち少なくとも一種であり、Nd及びPrの少なくとも1種を含み、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む。Bはホウ素である。)は、RFe14B型結晶構造を有する化合物の主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相と微量添加元素や不純物の影響により生成する化合物相とから構成されており、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られている。このため、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、電気自動車(EV、HV、PHV)用モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品など多種多様な用途に用いられている。
このようなR-T-B系焼結磁石は、原料合金粉末を準備する工程、原料合金粉末をプレス成形して粉末成形体を作製する工程、粉末成形体を焼結する工程を経て製造される。原料合金粉末は、例えば、以下の方法で作製される。
まず、インゴット法又はストリップキャスト法などの方法によって各種原料金属の溶湯から原料合金を製造する。得られた原料合金を粉砕工程に供し、所定の粒径分布を有する合金粉末を得る。この粉砕工程には、通常、粗粉砕工程と微粉砕工程とが含まれており、前者は、例えば水素脆化現象を利用して、後者は例えば気流式粉砕機(ジェットミル)を用いて行われる。
このような粉砕工程によって得られた合金粉末は、そのままでは必ずしもR-T-B系焼結磁石の製造に適しておらず、適切な粒度(粒子径)分布を持つように分級が行われる場合がある。分級とは、粉末(粉体)を構成する粒子を、粒子の大きさに応じて分別する操作である。
特許文献1は、遠心力を利用して分級を行うサイクロン式分級装置を開示している。
特開2014-155901号公報
従来のサイクロン式分級装置は、電子素材の研磨材料の粒度調整、資源リサイクルにおける粉末の分離など、粉末粒子の比重が比較的小さな粒子の分級に用いられることが多かった。これに対して、R-T-B系焼結磁石を製造するための合金粉末の比重は、非常に大きく、例えば7g/cm以上に達する。サイクロン式分級装置は、気流によって粉末粒子を運び、遠心力によって分離するため、軽い粒子の分級に優れていても、比重が7g/cm以上の粉末の捕集装置として必ずしも適していないことが本発明者の検討によってわかった。
本開示の実施形態は、このような課題を解決するサイクロン捕集装置、希土類磁石合金粉砕システム、及びR-T-B系焼結磁石の製造方法を提供する。
本開示のサイクロン捕集装置は、例示的な実施形態において、粉末を運ぶ気流から前記粉末を分離するサイクロン捕集装置であって、鉛直方向に延びる中心軸を有する円柱状内部空間を規定する上側部分、及び、前記円柱状内部空間に連続する逆円錐状内部空間を規定する下側部分を含むハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記粉末を運ぶ気流を前記円柱状内部空間および逆円錐状内部空間に導入して旋回させる入口管と、前記ハウジングの前記上側部分に設けられ、前記中心軸に沿って前記円柱状内部空間に突出する出口管と、を備え、前記出口管の下端は、前記入口管の下端よりも高い位置にある。
ある実施形態において、前記ハウジングの前記上側部分は、前記円柱状内部空間の上端を規定する天板を有しており、前記天板から前記出口管の下端までの距離が前記天板から前記入口管の下端までの距離よりも小さく、前記円柱状内部空間の直径の2倍よりも小さい。
ある実施形態において、前記出口管の下端から前記入口管の下端までの高低差は、0mm超、入口管高さの3/2倍以下である。
ある実施形態において、前記出口管の内径は、入口管高さの1/2倍以上、2倍以下である。
ある実施形態において、前記粉末の90質量%以上は、希土類磁石合金の粉末粒子から構成されている。
ある実施形態において、前記粉末を構成する粒子の比重は、7g/cm以上である。
ある実施形態において、前記出口管が前記円柱状内部空間に突出する部分の長さを変化または変更する粒度分布調整部を備える。
本開示の希土類磁石合金粉砕システムは、例示的な実施形態において、上記いずれかのサイクロン捕集装置と、前記サイクロン捕集装置の入口管に接続されたジェットミル粉砕装置と、
を備える。
本開示の希土類磁石の製造方法は、例示的な実施形態において、前記希土類磁石合金粉砕システムを用いて実行するR-T-B系焼結磁石の製造方法であって、ジェットミル粉砕装置により、第1の粒度分布を有するR-T-B系合金の第1の粉末を用意する工程と、前記R-T-B系合金粉末の粉末を前記サイクロン捕集装置によって気流から分離して、第2の粒度分布を有するR-T-B系合金の第2の粉末を得る工程と、を含む。
本開示の実施形態によれば、比重が7g/cm以上の粉末粒子の捕集に優れ、中位径以下の微粒子の分級について分級ロータを用いずに粒度分布の調整が可能なサイクロン捕集装置が提供される。また、このサイクロン捕集装置を用いる希土類磁石合金粉砕システム及びR-T-B系焼結磁石の製造方法が提供される。
図1は、サイクロン捕集装置100の斜視図である。 図2は、サイクロン捕集装置100の主要部の構成を模式的に示す断面図である。 図3は、ハウジング10に対する入口管20の配置例を示す断面図である。 図4は、サイクロン捕集装置100の改変例における主要部の構成を模式的に示す断面図である。 図5は、本実施形態における希土類磁石合金粉砕システム1000の構成例を模式的に示す図である。 図6は、サイクロン捕集装置100の実施例について入口管と出口管との距離が粒度分布に与える影響を示すグラフである。 図7は、サイクロン捕集装置100の実施例について入口管と出口管との距離が粒度分布上の10%粒径に与える影響を示すグラフである。 図8は、サイクロン捕集装置100の実施例について入口管と出口管との距離がサイクロンにより回収される回収率に与える影響を示すグラフである。
本開示の実施形態を説明する前に、本発明者が見出した知見と背景から説明する。
R-T-B系焼結磁石の原料合金の微粉砕を気流式粉砕機(ジェットミル)を用いて行うとき、粉砕によって得られた微粉末に含まれる粒子径の大きな粉末粒子は、分級ロータによって分別される。この場合、所定の粒子径(微粉末の中位径)よりも小さな粒子径を有する粒子(以下、単に「微粒子」と称する)は分別されず、最終的に捕集された粉末の一部を構成することになる。このため、通常の分級ロータによると、ジェットミルで得られた微粉末から相対的に粒子径の大きな粗粉末粒子は除去されるが、粒子径の小さい側になだらかな粒度分布が示されることになる。このような粒度分布を有する粉末から、微粒子を選択的に除去して、よりシャープな粒度分布を実現すると、粉末成形時の成形金型への給粉ばらつきが低減できたり、間口が狭く下方に長い金型への給粉も可能になるなど品質や生産性の向上に加え、磁気特性を向上させたりすることが可能になる。なお、粒度分布は、乾式法によるレーザ回折散乱法を用いて測定した。
中位径以下の微粒子を分級ロータによって分別しようとすると、分級ロータの回転数を極度に高める必要がある。そのためには、分級ロータを高速で回転させることが可能な高価なモータが必要になる。また、高速回転はモータや軸受けの劣化を早め、交換を頻繁に行う必要がある。一方、磁石用合金粉末よりも比重の軽い粉末の分級に用いられてきた従来のサイクロン分級装置では、微粒子の適切な分別は困難である。
本開示のサイクロン捕集装置は、高価なモータや分級ロータを使用せず、簡便に微粒子を除去する装置が求められている状況で発明された。本開示の実施形態によれば、ジェットミル装置の後段に接続され、比重が7g/cm以上の重い合金粉末からシャープな粒度分布を持つ粉末を得ることのできるサイクロン捕集装置が提供される。
以下、図面を参照しながら、本開示のサイクロン捕集装置の実施形態を説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態におけるサイクロン捕集装置100の概略構成を説明する。図1は、サイクロン捕集装置100の斜視図であり、図2は、サイクロン捕集装置100の主要部の構成を模式的に示す断面図である。図面には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸が模式的に示されている。図1では、Z軸が鉛直方向に平行である。
本実施形態におけるサイクロン捕集装置100は、粉末を運ぶ気流から粉末を分離するために使用される。具体的には、R-T-B系焼結磁石用の原料合金が前段のジェットミルで粉砕され、粉砕によって生成された粉末粒子(個体)が、粉砕に利用された気体とともに配管を通って、サイクロン捕集装置100に供給される。本実施形態におけるサイクロン捕集装置100が分離する粉末の90質量%以上は、希土類磁石合金の粉末粒子から構成されていることが好ましく、前記粉末を構成する粒子の比重は、7g/cm以上である。R-T-B系焼結磁石用原料合金は非常に活性であり、酸化しやすい。このため、ジェットミルで使用される気体としては、発熱・発火の危険性の回避、不純物としての酸素含有量を低減させて磁石の高性能化を図るため、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが用いられる。不活性ガス(粉砕ガス)と粉砕された合金粉末との混合物が高速な気流をなして、サイクロン捕集装置100に送られてくる。サイクロン捕集装置100は、これらの粉砕ガスと微粉末とを分離するために利用される。なお、このような固気分離のために、サイクロン捕集装置100を用いず、バッグフィルタを用いることも可能であるが、フィルタの破損による微粉末の大気飛散などが環境面、安全面に与える影響が大きい。本開示の実施形態では、サイクロン捕集装置によって分離された後の気体から、さらにバッグフィルタを併用して微粒子を分離してもよい。
図示されているサイクロン捕集装置100は、上側部分10A及び下側部分10Bを含むハウジング(サイクロン槽)10を備えている。ハウジング10の上側部分10Aは、鉛直方向(Z軸方向)に延びる中心軸Cを有する円柱状内部空間S1を規定する。下側部分10Bは、円柱状内部空間S1に連続する逆円錐状内部空間S2を規定する。円柱状内部空間S1は、必ずしも数学的に厳密な意味での円柱形状を有している必要はなく、高さ(鉛直方向における位置)によって内径が僅かに変化していてもよい。
サイクロン捕集装置100は、ハウジング10の上側部分10A又は下側部分10Bに設けられた入口管(インレット)20と、ハウジング10の上側部分10Aに設けられた出口管(アウトレット)30とを備えている。入口管20は、粉末を運ぶ気流を逆円錐状内部空間S2に導入して旋回させる。もちろん、入口管20から供給される気流は、円柱状内部空間S1にも導入されて旋回し得る。
次に図3を参照する。図3は、ハウジング10に対する入口管20の配置例を示す断面図である。この断面は、鉛直方向を横切る水平面(XY面)に平行である。ハウジング10の内部空間S1、S2には、入口管20から噴き出す気体によって高速の気流が形成される。入口管20の接続位置は、図示される例に限定されない。図4に示すように、ハウジング10の上側部分10Aに接続されていてもよい。
再び図1及び図2を参照する。本実施形態において、出口管30は、図2に示されるように中心軸Cに沿って円柱状内部空間S1に突出している。ハウジング10の上側部分10Aは、図2に示すように、円柱状内部空間S1の上端を規定する天板10Tを有している。出口管30の一部は、天板10Tから中心軸Cに沿ってハウジング10の内部に突出している。この突出部30Xは、中心軸Cに沿って長さLを有している。出口管30の下端eは、入口管20の下端wよりも、距離Hだけ、高い位置にある。すなわち、本開示における距離Hは、出口管30の下端から入口管の下端までの高低差(出口管の下端が高で、入口管の下端が低であり、その差)のことである。従来、出口管30の下端eは、入口管20の下端wよりも下に位置していた。本実施形態におけるサイクロン捕集装置100の特徴点は、出口管30の下端eが、入口管20の下端wよりも高い位置にあることにある。このことによって得られる技術的効果は後述する。ハウジング10、入口管20及び出口管30には、希土類合金の粉末が衝突しても研削されにくいように、ニッケルまたはクロムのめっき処理を施したり、ニッケル、クロム、ホウ素などの合金やジルコニアなどのセラミックスの溶射を行ったりすることもある。
図1には、旋回しながら下降する気流が破線で模式的に表されている。サイクロン捕集装置100の基本的な作用として、入口管20から加速された固気混合体がサイクロン捕集装置100の内部に流入すると、軸対称形の内部空間(S1、S2)において高速の旋回流が形成される。気流に運ばれる粉末の粒子は、旋回運動に伴う遠心力及び重力により、ハウジング10の内壁に衝突しながら下降していく。ハウジング10の下側部分10Bが逆円錐状に狭く絞られた構造を有しているため、ハウジング10の下部へ固気混合体が向かうにつれ、さらに旋回流が加速する。このため、相対的に細かい微粒子も遠心力によって旋回流の外側に追いやられ、内部空間S1、S2の中央部で気体が出口管30の方向へ逆流上昇する気流が発生する。この気流は、粉末粒子が非常に高い割合で除去された状態で中央付近を上昇し、出口管30を通って外部に吐き出されるため、固気分離を行うことが可能になる。ハウジング10の下端には、排出口40を介して粉末捕集器などの装置又は容器が接続され、随時、ハウジング10の下端に集まった粉末が捕集される。
こうして、ハウジング10の内部空間S1、S2は、遠心分離室として機能し、モータなどの機械的な装置を必要としない固気分離が実現する。なお、遠心力及び粉末粒子の自重を利用して分級を行うため、わずかながら微粒子の一部は上昇気流又は乱流に乗って出口管30から排出されてしまうことになる。特に、本開示の実施形態では、出口管30の下端eから入口管の下端wまでの高低差を調整することにより、このような微粒子の排出量を精密に制御し、粒度分布の調整を実現することができる。このため、出口管30の後段には、配管を介して不図示のバックフィルタ装置を接続してもよい。バックフィルタ装置は、サイクロン捕集装置100から排出された気流中にわずかに含まれる微粒子を気流から分離する。
前述したように、本実施形態におけるサイクロン捕集装置100の特徴点は、出口管30の下端が、入口管20の下端よりも高い位置にあることにある。従来、出口管30の下端は必ず入口管20の下端よりも下側に位置しなければならないと考えられてきた。なぜならば、入口管20から流入してきた固気混合体は、ハウジング10の内部空間S1、S2で旋回流を形成するが、出口管30の下端が入口管20の下端よりも高い位置にあると、旋回流の一部がハウジング10の下部に向かわず、出口管30から排出されてしまうと考えられていたからである。そうなると、十分な分級操作が行えず、最終的に必要な粉末粒子までも排出されてしまうと考えられてきた。また、入口管20の上部と天板10Tとの間に大きな空間が存在すると、入口管20から流入してきた固気混合体の旋回流がハウジング10の上部にも拡散するため、入口管20の上部と天板100Tの間に隙間を設けないことが望ましいと考えられてきた。
従来、サイクロン捕集装置の入口管及び出口管について種々の検討がなされてきたが、いずれも、やむを得ず排出される微粒子の回収歩留まりを向上させることが目的とされていた。これは、従来、ジェットミル粉砕及びサイクロン捕集が、主に医薬品、セラミックス粉末、カーボントナーなどの製造分野で利用され、これらの粉末の比重は1~4g/cm程度であり、サイクロンでの固気分離を行うとき、遠心力が小さく、回収率が低かったためと考えられる。
本発明者は、R-T-B系焼結磁石用の原料合金の比重が7g/cm以上と比較的大きいことを利用し、上記の構成を採用することにより、旋回流における遠心力と自重による比重沈降をバランスさせることで微粒子の排出量を調整することが可能になることを見出した。
比重の小さな粉末の場合、旋回流による遠心力のみを利用して分離が実現するため、入口管の上端と天板とのあいだの距離は、上部に無用な旋回流を向かわせないため、できるだけ近づけておく必要がある。さらに中央に位置する出口管30についても、入口管20よりも低い位置としないとハウジングに流入してきた粉末の一部がそのまま出口管30から排出されてしまう。しかし、R-T-B系焼結磁石用の原料合金では、比重が大きいため、自重による比重沈降も活用できる。よって入口管20から流入してきた固気混合体の流れに制約をかけないようにするため天板100Tの高さを上げてもよい。中央に位置する出口管30については、入口管20の下端wよりも高く配置することで旋回流による遠心分離と比重沈降をバランスさせるようにしている。このようにすることで、入口管20から流入してきた固気混合体の流速やハウジング10内の圧力を変化させることにより、遠心力による固気分離と比重沈降による固気分離の割合を変化させることが可能である。その結果、回収される粉末のうち、特に中位径以下の微粒子の回収量を制御することが可能となる。
好ましい実施形態において、天板10Tから入口管20の上端uまでの長さ(距離)Pはかなり高くても問題はないが設置スペースの問題や出口管30長さの調整を容易にするために上限は入口管高さdの4倍までが好ましい。前記天板10Tから前記出口管30の下端eまでの距離Lは、天板10Tから入口管の下端wまでの距離よりも小さく、円柱状内部空間S1の直径の2倍よりも小さい。また、出口管30の下端から入口管の下端までの高低差(距離H)は、0mm超、入口管高さdの3/2倍以下(3/2d≧H>0)の範囲において回収率を大きく低下させることなく微粒子の割合を調整して所望の粒度分布を実現することができる。ここで、入口管高さdは、図2および図4に示すように、ハウジングとの接続部における入口管20の内側の高さのことをいう。中位径以下の微粒子を出口管30からバックフィルタへ排出させる量の極大値をとるのは、Hとdが等しい付近である。
入口管高さdは、ハウジング10の内径をDとすると、2/3D≧d≧1/5Dの範囲であることが好ましい。dが2/3Dを超えると、ハウジング10内に流入するガスの流速が著しく低下するため、固気分離効率が著しく低下する。dが1/5Dに満たない場合は、入口管20内での圧力損失が著しく悪化する。
出口管30の内径fは、入口管高さdの1/2倍以上2倍以下(2d≧f≧1/2d)が望ましく、1/2倍以上3/2倍以下(3/2d≧f≧1/2d)がさらに望ましい。出口管30の内径fが1/2dよりも小さいと、圧力損失が大きくなり分級効率が低下する。4/3dよりも大きい場合は、出口管内部の流速の低下により分級効率が低下する。
以下、本実施形態におけるサイクロン捕集装置100を用いる希土類磁石合金粉砕システム及びR-T-B系焼結磁石の製造方法の実施形態を説明する。
図5は、本実施形態における希土類磁石合金粉砕システム1000の構成例を模式的に示す図である。この例において、希土類磁石合金粉砕システム1000は、本開示の実施形態に係るサイクロン捕集装置100と、サイクロン捕集装置100の入口管20に接続されたジェットミル粉砕装置200と、サイクロン捕集装置100の出口管30に接続されたバックフィルタ装置300とを備えている。
ジェットミル粉砕装置200は、不図示の原料タンクから原料投入パイプ34を介して被粉砕物の供給を受ける。原料投入パイプには複数のバルブが設けられ、バルブの開閉によってジェットミル粉砕装置200の内部圧力が適切に維持される。ジェットミル粉砕装置200の内部に導入された被粉砕物は、不図示のノズル口からの不活性ガスの高速噴射によって被粉砕物同士の相互衝突や粉砕を効率的に進行させるために設置された衝突板との衝突によって細かく粉砕される。このようにして微粉砕された粉末粒子は上昇気流に乗って上部の排出口からサイクロン捕集装置100の入口管20に導かれる。粉砕が不十分な粗い粒子は、中位径以上の粗粒子の分級するために設置された分級ロータにより分別され、ジェットミル粉砕装置200の内部に残り、更に衝突による粉砕処理工程を受けることになる。この粗粒子の分級については分級ロータを用いても良いし、旋回流による遠心分離を用いても良い。こうして、ジェットミル粉砕装置200に投入された被粉砕物は、例えば中位径が3~5μm程度の粒度分布を持つ微粉末(第1の粒度分布を有するR-T-B系合金の第1の粉末)に粉砕されてからサイクロン捕集装置100に移動することになる。
サイクロン捕集装置100では、入口管20を通って内部に供給された粉末及び気体の混合物から粉末と気体の分離を行う。具体的には、気体から分離された粉末(第2の粒度分布を有するR-T-B系合金の第2の粉末)は、排出口40を介して粉末捕集器50で回収する。気体は出口管30を介してバックフィルタ装置300に供給される。バックフィルタ装置300では微粒子が回収され、清浄な気体が排気口32から外部に放出される。粉末捕集器50で回収した粉末は、磁場中プレス成型、焼結工程など、公知の製造工程を経て、焼結磁石の製造に用いられる。
本実施形態における希土類磁石合金粉砕システム1000では、たとえば出口管30の長さを調整することで、サイクロン捕集装置100の内部における微粒子の挙動を制御することが可能になる。このような出口管長さの調整は、天板10Tと出口管30の接続部分を可変とし、突出部30Xの長さを調整しても良いし、天板10Tと出口管30を一体型とした場合では天板10Tと出口管30の一体構造品を付け替えることでも対応できる。このような構造(粒度分布調整部)を備えることより、出口管30を通って最終的な粉末から排除される微粒子の割合を調整して所望の粒度分布を実現することができる。
なお、本開示の実施形態では、ジェットミル粉砕装置200とサイクロン捕集装置100との間に中位径以下の微粒子を分級するための分級ロータを設ける必要は無いが、粒度分布の更なる調整を目的として分級ロータを設けてもよい。
(実施例)
水素吸蔵粉砕法により、Nd:22.3mass%、Pr:7.3mass%、B:0.9mass%、残部Feである希土類磁石合金の粗粉砕粉を準備した。この合金の密度を測定した結果、7.55g/cmであった。
純度99.9%以上の窒素ガスを用い、ガス中の酸素含有量を0.1mass%以下となる条件のもとで、ジェットミル粉砕を行い、得られた粉末をサイクロン捕集装置に供給した。
サイクロン捕集装置は、天板10Tから入口管20の上端uまでの長さPが160mm、ハウジングの内径Dが95.6mm、入口管高さdが50mm、出口管内径fが35.7mmであった。そして、出口管30における突出部30Xの長さLを変化させることにより、出口管の下端eから入口管の下端wまでの高低差(距離H)を135mm(本実施例)、85mm(本実施例)、60mm(本実施例)、35mm(本実施例)、10mm(本実施例)と変化させ、それぞれ、前記粉末を供給した。一方、比較例のサイクロン捕集装置では、内径D、入口管高さd、出口管内径fを実施例と同じ大きさにし、長さPを15mmに設定した状態で、長さLを調整することで、出口管の下端eから入口管の下端wまでの高低差(距離H)を-5mmとして前記粉末を供給した。すなわち、比較例では、出口管30の下端eが入口管20の下端wよりも5mm低い位置にある。実施例および比較例では、ともに設計流量が1000L/minである。
図6は、実施例のサイクロン捕集装置について、出口管30の下端eから入口管20の下端wまでの高低差(距離H)と粒度分分布との関係を示すグラフである。図7は距離Hと得られた粉末の10%粒径(X10径)の関係を示すグラフである。X10径が大きいということは得られた粉末中の微粒子が少ないということを示しており、より多くの微粒子をバックフィルタへ排出し、微粉分級を行った(すなわち、中位径以下の微粒子を分級した)ということになる。図8は距離Hと得られた粉末の回収率を示すグラフである。図6ならびに図7から、本実施例によれば、出口管30の下端eを入口管20の下端wよりも上方に位置させること、言い換えると、距離Hを大きくしていくと、中位径以下の微粒子が減少していくことがわかる。極大値は距離Hが60mmのところであった。入口管高さdは50mmであるから、距離Hが60mmである位置は、出口管30の下端eが入口管20の上端uから10mm上方である位置であった。図8から、出口管30を上方に配置する、つまり距離Hを大きくしていくと、回収率が低下していくことがわかる。中位径以下の微粒子をバックフィルタへ排出して分級を行っているため、回収率が低下するのは当然であるが、距離Hが85mm以上になると、回収率が70%を下回り著しく劣化していく傾向がある。言い換えると、距離Hを過剰に大きくすると、分級ではなく分離が進んでしまうことがわかる。よって、距離Hは、入口管高さdの3/2以下である方が好ましい。
このように、本実施例のサイクロン捕集装置では、固気分離を行うだけでなく、距離Hの調整によって粒度分布を制御することが可能になる。
本開示のサイクロン捕集装置は、比重が7g/cm以上の粉末を生成するジェットミルと組み言わせて利用され、希土類磁石合金粉砕システム、及びR-T-B系焼結磁石の製造方法に用いられる。
10・・・ハウジング、10A・・・ハウジングの上側部分、10B・・・ハウジングの下側部分、20・・・入口管、30・・・出口管、100・・・サイクロン捕集装置、S1・・・円柱状内部空間、S2・・・逆円錐状内部空間

Claims (9)

  1. 粉末を運ぶ気流から前記粉末を分離するサイクロン捕集装置であって、
    鉛直方向に延びる中心軸を有する円柱状内部空間を規定する上側部分、及び、前記円柱状内部空間に連続する逆円錐状内部空間を規定する下側部分を含むハウジングと、
    前記ハウジングに設けられ、前記粉末を運ぶ気流を前記円柱状内部空間および逆円錐状内部空間に導入して旋回させる入口管と、
    前記ハウジングの前記上側部分に設けられ、前記中心軸に沿って前記円柱状内部空間に突出する出口管と、を備え、
    前記出口管の下端は、前記入口管の下端よりも高い位置にあ
    前記入口管は、前記ハウジングの前記下側部分に設けられている、サイクロン捕集装置。
  2. 前記ハウジングの前記上側部分は、前記円柱状内部空間の上端を規定する天板を有しており、
    前記天板から前記出口管の下端までの距離が前記天板から前記入口管の下端までの距離よりも小さく、前記円柱状内部空間の直径の2倍よりも小さい、請求項1に記載のサイクロン捕集装置。
  3. 前記出口管の下端から前記入口管の下端までの高低差は、0mm超、入口管高さの3/2倍以下である、請求項1又は2に記載のサイクロン捕集装置。
  4. 前記出口管の内径は、入口管高さの1/2倍以上、2倍以下である、請求項1から3のいずれかに記載のサイクロン捕集装置。
  5. 前記粉末の90質量%以上は、希土類磁石合金の粉末粒子から構成されている、請求項1から4のいずれかに記載のサイクロン捕集装置。
  6. 前記粉末を構成する粒子の比重は、7以上である、請求項5に記載のサイクロン捕集装置。
  7. 前記出口管が前記円柱状内部空間に突出する部分の長さを変化または変更する粒度分布調整部を備える、請求項1から6のいずれかに記載のサイクロン捕集装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のサイクロン捕集装置と、
    前記サイクロン捕集装置の入口管に接続されたジェットミル粉砕装置と、
    を備える、希土類磁石合金粉砕システム。
  9. 請求項8に記載の希土類磁石合金粉砕システムを用いて実行するR-T-B系焼結磁石の製造方法であって、
    ジェットミル粉砕装置により、第1の粒度分布を有するR-T-B系合金の第1の粉末を用意する工程と、
    前記R-T-B系合金粉末の粉末を前記サイクロン捕集装置によって気流から分離して、第2の粒度分布を有するR-T-B系合金の第2の粉末を得る工程と、を含む、R-T-B系焼結磁石の製造方法。
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