以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置、X線診断システム及び医用情報処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、医用情報処理装置を含んだX線診断システムを一例として説明する。
図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断システム1は、X線診断装置10と、画像保管装置20と、医用情報処理装置30とを備える。ここで、図1は、第1の実施形態に係るX線診断システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用情報処理装置30は、ネットワークを介して相互に接続される。
X線診断装置10は、被検体PからX線画像データを収集する。例えば、X線診断装置10は、被検体Pの治療対象部位に対する回転撮影を実行することで複数のX線画像データを収集し、収集した複数のX線画像データから3次元X線画像データ(ボリュームデータ)を再構成する。ここで、3次元X線画像データは、3次元医用画像データの一例である。また、X線診断装置10は、再構成した3次元X線画像データを画像保管装置20又は医用情報処理装置30に送信する。
また、X線診断装置10は、3次元医用画像データに基づいて設定されたX線照射の配向を取得し、取得した配向でX線を照射して、複数のX線画像データを収集する。また、X線診断装置10は、収集したX線画像データをリアルタイムに表示する。例えば、X線診断装置10は、被検体Pの治療対象部位に対する手術中に、治療対象部位のX線画像データをリアルタイムに表示する。なお、X線診断装置10の構成については後述する。
画像保管装置20は、X線診断装置10によって収集された3次元X線画像データを保管する。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。本実施形態では、画像保管装置20は、ネットワークを介してX線診断装置10から3次元X線画像データを取得し、取得した3次元X線画像データを、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。
医用情報処理装置30は、ネットワークを介して3次元X線画像データを取得し、取得した3次元X線画像データを用いて種々の処理を実行する。例えば、医用情報処理装置30は、取得した3次元X線画像データの表示を行なう。一例を挙げると、医用情報処理装置30は、3次元X線画像データに対するレンダリング処理を行なうことによって表示用の3次元画像を生成し、生成した3次元画像の表示を行なう。ここで、レンダリング処理としては、例えば、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)処理や最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)等が挙げられる。また、例えば、医用情報処理装置30は、表示する3次元X線画像データの配向に基づいて、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を作成し、作成した可動領域を示す図の表示を行なう。更に、医用情報処理装置30は、3次元X線画像データ及び可動領域を示す図を参照した操作者から、X線照射の配向の設定を受け付け、受け付けた配向の設定をX線診断装置10に送信する。例えば、医用情報処理装置30は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
図1に示すように、医用情報処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。
入力インターフェース31は、各種指示や各種設定などを行なうためのトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース31は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路34へと出力する。なお、入力インターフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、3次元X線画像データを表示する。また、例えば、ディスプレイ32は、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
なお、医用情報処理装置30は、ディスプレイ32を複数含んでもよい。例えば、医用情報処理装置30は、ディスプレイ32として、物理的に分離した2つのディスプレイ(デュアルディスプレイ)を含んでもよい。また、これら複数のディスプレイ32は相互に関連するように制御されてもよい。例えば、複数のディスプレイ32は、連続した1つの領域を表示するように制御される。この場合、ディスプレイ32における表示領域は、ディスプレイ32の数に応じて拡張される。
メモリ33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ33は、画像保管装置20から取得した3次元X線画像データを記憶する。また、例えば、メモリ33は、医用情報処理装置30に含まれる各回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。
処理回路34は、取得機能34a、表示制御機能34b、作成機能34c及び操作機能34dを実行することで、医用情報処理装置30全体の動作を制御する。
例えば、処理回路34は、取得機能34aに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、X線診断装置10又は画像保管装置20から3次元X線画像データを取得して、メモリ33に記憶させる。また、例えば、処理回路34は、表示制御機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、3次元X線画像データをディスプレイ32に表示させる。また、例えば、処理回路34は、作成機能34cに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を、3次元X線画像データのディスプレイ32における配向に基づいて作成する。また、例えば、処理回路34は、表示制御機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を更にディスプレイ32に表示させる。
図1に示す医用情報処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ33へ記憶されている。処理回路34は、メモリ33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路34にて、取得機能34a、表示制御機能34b、作成機能34c及び操作機能34dが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
次に、X線画像データを収集するX線診断装置10について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、コリメータ103と、フィルタ104と、天板105と、Cアーム106と、X線検出器107と、メモリ108と、ディスプレイ109と、入力インターフェース110と、処理回路111とを備える。
X線高電圧装置101は、処理回路111による制御の下、X線管102に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管102に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管102が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行なうX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
X線管102は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管102は、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
コリメータ(X線絞り装置ともいう)103は、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータ103は、絞り羽根をスライドさせることで、X線管102が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管102のX線照射口付近に設けられる。例えば、コリメータ103は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路111による制御の下、X線の照射範囲を制御する。例えば、コリメータ103は、処理回路111から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、絞り羽根の開度を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
フィルタ104は、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像データの画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラストの低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタ104は、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、X線管102から被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。例えば、フィルタ104は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路111による制御の下、駆動機構を動作させることにより、移動する。例えば、フィルタ104は、処理回路111から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタ104の位置を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
天板105は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。例えば、寝台は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路111による制御の下、駆動機構を動作させることにより、天板105の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台は、処理回路111から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、天板105を移動させたり、傾斜させたりする。
Cアーム106は、X線管102、コリメータ103及びフィルタ104と、X線検出器107とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。例えば、Cアーム106は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路111による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、Cアーム106は、処理回路111から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、X線管102、コリメータ103及びフィルタ104と、X線検出器107とを被検体Pに対して回転・移動させ、X線の照射位置や照射角度を制御する。なお、図2では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
X線検出器107は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器107は、X線管102から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路111へと出力する。なお、X線検出器107は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
メモリ108は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ108は、例えば、処理回路111によって収集されたX線画像データを受け付けて記憶する。また、メモリ108は、処理回路111によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。
ディスプレイ109は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ109は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、各種のX線画像データを表示する。例えば、ディスプレイ109は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。
入力インターフェース110は、各種指示や各種設定などを行なうためのトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース110は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路111へと出力する。なお、入力インターフェース110は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路111へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース110の例に含まれる。
処理回路111は、制御機能111a、収集機能111b及び表示制御機能111cを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。例えば、処理回路111は、メモリ108から制御機能111aに対応するプログラムを読み出して実行することにより、入力インターフェース110を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路111の各種機能を制御する。
また、処理回路111は、メモリ108から収集機能111bに対応するプログラムを読み出して実行することにより、X線画像データを収集する。例えば、収集機能111bは、X線高電圧装置101を制御し、X線管102に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、収集機能111bは、コリメータ103を制御し、絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能111bは、フィルタ104を制御し、フィルタ104の位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、収集機能111bは、Cアーム106の動作を制御することで、Cアーム106を回転させたり、移動させたりする。また、例えば、収集機能111bは、寝台の動作を制御することで、天板105を移動させたり、傾斜させたりする。また、収集機能111bは、X線検出器107から受信した検出信号に基づいてX線画像データを生成し、生成したX線画像データをメモリ108に格納する。ここで、収集機能111bは、メモリ108が記憶するX線画像データに対して各種画像処理を行なう場合であってもよい。例えば、収集機能111bは、X線画像データに対して、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や、散乱線補正を実行する。
ここで、回転撮影を行なう場合、収集機能111bは、Cアーム106を回転させながら被検体PにX線を照射し、所定のフレームレートで複数のX線画像データを収集する。また、収集機能111bは、収集した複数のX線画像データから3次元X線画像データを再構成する。また、収集機能111bは、再構成した3次元X線画像データを画像保管装置20又は医用情報処理装置30に送信する。
また、処理回路111は、メモリ108から表示制御機能111cに対応するプログラムを読み出して実行することにより、ディスプレイ109において、収集機能111bによって収集された3次元X線画像データやX線画像データを表示する。例えば、処理回路111は、3次元X線画像データから、ボリュームレンダリング画像やMPR(Multi Planar Reconstruction)画像といった3次元X線画像を生成してディスプレイ109に表示させる。また、表示制御機能111cは、ディスプレイ109において、操作者の指示を受け付けるためのGUIを表示する。
また、収集機能111bは、3次元X線画像データに基づいて設定されたX線照射の配向を取得し、取得した配向でX線を照射させて、複数のX線画像データを収集する。また、表示制御機能111cは、収集されたX線画像データをリアルタイムに表示する。例えば、表示制御機能111cは、被検体Pの治療対象部位に対する手術中に、治療対象部位のX線画像データをディスプレイ109にリアルタイム表示させる。
図2に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ108へ記憶されている。処理回路111は、メモリ108からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路111は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図2においては単一の処理回路111にて、制御機能111a、収集機能111b及び表示制御機能111cが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路111を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路111が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理医療デバイス(例えば、単純プログラマブル論理医療デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理医療デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ33又はメモリ108に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ33又はメモリ108にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態のプロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、医用情報処理装置30を含んだX線診断システム1について説明した。かかる構成の下、X線診断システム1における医用情報処理装置30は、以下、詳細に説明する処理回路34による処理によって、X線照射の配向の設定を容易にする。以下、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30が行なう処理について詳細に説明する。
まず、X線診断装置10における収集機能111bは、3次元X線画像データを収集する。例えば、収集機能111bは、被検体Pの治療対象部位について回転撮影を実行することで複数のX線画像データを収集し、収集した複数のX線画像データから3次元X線画像データを再構成する。次に、収集機能111bは、再構成した3次元X線画像データを、画像保管装置20に送信する。ここで、画像保管装置20は、X線診断装置10から送信された3次元X線画像データを、装置内又は装置外に設けられたメモリにおいて保管する。
次に、医用情報処理装置30における取得機能34aは、画像保管装置20から3次元X線画像データを取得する。なお、取得機能34aは、画像保管装置20を介さず、X線診断装置10から3次元X線画像データを取得する場合であってもよい。そして、取得機能34aは、取得した3次元X線画像データをメモリ33に記憶させる。
次に、表示制御機能34bは、3次元X線画像データをメモリ33から読み出し、読み出した3次元X線画像データをディスプレイ32に表示させる。例えば、処理回路111は、図3に示すように、3次元X線画像データに対するボリュームレンダリング処理によって3次元X線画像I11を生成し、生成した3次元X線画像I11をディスプレイ32に表示させる。なお、図3は、第1の実施形態に係る3次元X線画像データの表示の一例を示す図である。
また、図3においては、3次元X線画像I11と併せてポインタを示す。ポインタは、マウスやトラックボール、ジョイスティック、タッチパッド等によって実現される入力インターフェース31を介して、操作者によって操作される。例えば、操作者は、ポインタを用いて、ディスプレイ32における3次元X線画像I11の配向を回転させる操作を入力することができる。
一例を挙げると、操作者は、マウスを用いてドラッグ操作を行ない、3次元X線画像I11上でポインタの位置を移動させることにより、3次元X線画像I11の配向を回転させる操作を入力する。この際、操作機能34dは、操作者によって入力された操作を受け付ける。そして、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて3次元X線画像I11を回転させて表示させる。例えば、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の表示の中心を回転中心として、ポインタの移動量及び移動方向に応じて、3次元X線画像I11を回転させて表示させる。即ち、操作機能34dは、ディスプレイ32における3次元X線画像I11の向きを、ディスプレイ32に表示されたポインタの変位に基づいて回転させる操作を受け付ける。
次に、作成機能34cは、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向に基づいて作成する。例えば、作成機能34cは、マウスを操作する操作者がドラッグ操作を開始したこと(マウスのボタンが押下されたこと)をトリガとして、可動領域を示す図を作成する。以下、作成機能34cによる可動領域を示す図の作成について説明する。
まず、作成機能34cは、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向を取得する。ここで、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向とは、表示されている3次元X線画像I11の位置及び方向に関する情報である。例えば、作成機能34cは、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向として、表示されている3次元X線画像I11の中心座標と、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向とを取得する。
例えば、作成機能34cは、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向として、表示されている3次元X線画像I11の中心座標と、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向とを、被検体Pを基準とした座標系において取得する。換言すると、作成機能34cは、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向として、表示されている3次元X線画像I11が被検体Pのどの位置をどの方向から見たものなのかを示す情報を取得する。一例を挙げると、作成機能34cは、3次元X線画像I11に係る3次元X線画像データを収集した回転撮影における被検体Pの天板105に対する位置関係と、X線管102及びX線検出器107の天板105に対する位置関係とに基づいて、3次元X線画像データと被検体Pとの位置を対応付けることにより、3次元X線画像I11の中心座標及び奥行き方向を、被検体Pを基準とした座標系において取得する。なお、以下では、ドラッグ操作が開始された時点において表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向をZ方向として説明する。また、Z方向と直交し且つ相互に直交する2方向を、X方向及びY方向として説明する。
また、作成機能34cは、X線診断装置10の可動部に関する情報を取得する。ここで、X線診断装置10の可動部とは、X線診断装置10の構成のうち、被検体Pに対するX線の照射の配向を制御するために移動したり、回転したりすることが可能な構成をいう。例えば、X線診断装置10の可動部は、図2に示したX線管102、コリメータ103、フィルタ104、天板105、Cアーム106及びX線検出器107を含む。
例えば、可動部のうちX線管102、コリメータ103、フィルタ104、Cアーム106及びX線検出器107は、収集機能111bによる制御の下、Cアーム106が回転・移動するのに伴って、回転・移動する。これにより、可動部は、被検体Pに対するX線管102及びX線検出器107の位置関係を変化させ、被検体PにおいてX線が照射される位置及び被検体Pに対するX線の照射角度を制御する。また、例えば、可動部のうち天板105は、被検体Pを載置し、収集機能111bによる制御の下、傾斜したり、移動したりする。これにより、可動部は、X線管102及びX線検出器107に対する被検体Pの位置関係を変化させ、被検体PにおいてX線が照射される位置及び被検体Pに対するX線の照射角度を制御する。
また、可動部に関する情報とは、例えば、可動部の回転・移動に関し、構造上生じる回転角度や移動範囲の制限である。例えば、作成機能34cは、可動部に関する情報として、Cアーム106が回転することができる角度の範囲や、移動することができる範囲を取得する。また、例えば、作成機能34cは、可動部に関する情報として、天板105が傾斜することができる角度の範囲や、移動することができる範囲を取得する。一例を挙げると、作成機能34cは、3次元X線画像データの付帯情報から、可動部に関する情報を取得する。別の例を挙げると、作成機能34cは、ネットワークを介してX線診断装置10の設定情報を参照することにより、可動部に関する情報を取得する。
そして、作成機能34cは、可動部に関する情報と、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向とに基づいて、可動部の可動領域を示す図を作成する。例えば、作成機能34cは、可動部の可動領域を示す図として、図4に示す図I21を作成する。ここで、作成機能34cは、ポインタの位置と、図I21に示される位置とが対応するように、図I21を作成する。なお、図4は、第1の実施形態に係る可動部の可動領域を示す図I21の一例を示す図である。
例えば、作成機能34cは、ポインタの位置に応じて回転する3次元X線画像I11の配向と、図I21に示される位置に応じたX線の照射の配向とが対応するように、図I21を作成する。例えば、作成機能34cは、まず、ポインタの各位置に対応付いた3次元X線画像I11の配向をそれぞれ取得する。ここで、操作機能34dにより、ポインタの移動に応じて3次元X線画像I11の配向が回転するところ、ポインタの各位置は、それぞれ、3次元X線画像I11の配向と対応付いているといえる。従って、作成機能34cは、操作機能34dから、ポインタの各位置に対応付いた3次元X線画像I11の配向をそれぞれ取得することができる。そして、作成機能34cは、ポインタの各位置について、3次元X線画像I11の配向とX線の照射の配向とが略一致するように、図I21を作成する。
ここで、可動領域を示す図I21について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、第1の実施形態に係る可動部の可動領域を示す図I21の一例を示す図である。図5に示すように、可動領域を示す図I21は、可動領域I21aと非可動領域I21bとから構成される。なお、図5においては、可動領域I21aをドットのパターンで示し、非可動領域I21bを斜線のパターンで示す。
可動領域I21aは、ポインタが可動領域I21aの中に位置するときに表示されている3次元X線画像I11の中心座標に対して、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置に、可動部が移動可能であることを示す。即ち、操作者がポインタの位置を移動させるのに応じて、ディスプレイ32において表示される3次元X線画像I11の配向は回転し、3次元X線画像I11の奥行き方向の被検体Pに対する角度も変化して、奥行き方向と平行にX線を照射するために可動部が行なう制御も変化する。ここで、可動領域I21aは、ポインタが可動領域I21aに位置する限りにおいては、3次元X線画像I11の奥行き方向が変化しようとも、奥行き方向と平行にX線を照射することが可能であることを示す。換言すると、可動領域I21aは、ポインタが可動領域I21aに位置する場合に表示されている3次元X線画像I11と同じ方向から、治療対象部位をリアルタイム表示することが可能であることを示す。
これに対して、非可動領域I21bは、ポインタが非可動領域I21bに位置するときに表示されている3次元X線画像I11の中心座標に対して、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置に、可動部が移動可能ではないことを示す。即ち、非可動領域I21bは、ポインタが非可動領域I21bに位置する場合、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射することができないことを示す。換言すると、非可動領域I21bは、ポインタが非可動領域I21bに位置する場合に表示されている3次元X線画像I11と同じ方向から、治療対象部位をリアルタイム表示することはできないことを示す。
例えば、作成機能34cは、まず、図5に示すポインタの位置(ドラッグ操作を開始した位置)が、可動領域I21a及び非可動領域I21bのいずれに対応するかを判定する。なお、ドラッグ操作の開始は、第1の位置を指定する操作の一例である。即ち、作成機能34cは、表示されている3次元X線画像I11の中心座標に対して、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置に、可動部が移動可能であるか否かを判定する。具体的には、作成機能34cは、表示されている3次元X線画像I11の中心座標を挟んで、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線管102とX線検出器107とを配置することが、可動部の構造上可能であるか否かを、可動部に関する情報に基づいて判定する。
ここで、作成機能34cは、更に、X線診断装置10の配置に関する情報を用いる場合であってもよい。この場合、まず、取得機能34aは、配置に関する情報を取得する。例えば、取得機能34aは、配置に関する情報として、手術中にリアルタイム表示するX線画像データを収集する際、天板105に対してCアーム106を頭入れの配置とするか、横入れの配置とするかを示す情報を取得する。なお、頭入れの配置は、天板105の長手方向にCアーム106を配置することである。また、横入れの配置は、天板105の短手方向にCアーム106を配置することである。一例を挙げると、取得機能34aは、ネットワークを介してX線診断装置10の設定情報を参照することにより、かかる配置に関する情報を取得する。以下、取得機能34aが、配置に関する情報として、頭入れの配置とする旨の情報を取得した場合について説明する。この場合、作成機能34cは、Cアーム106を頭入れした場合に、表示されている3次元X線画像I11の中心座標を挟んで、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行に、X線管102とX線検出器107とを配置することが可能であるか否かを判定する。
また、例えば、取得機能34aは、配置に関する情報として、X線診断装置10の各構成の形状及び寸法や、天板105に載置される被検体Pの体位情報を取得する。また、作成機能34cは、配置に関する情報に基づいて、X線診断装置10の構成の間での干渉や、X線診断装置10の構成と被検体Pとの干渉が生じるか否かを更に判定する。そして、作成機能34cは、干渉を生じることなく、表示されている3次元X線画像I11の中心座標を挟んで、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行に、X線管102とX線検出器107とを配置することが可能であるか否かを判定する。
即ち、中心座標を挟んで奥行き方向と平行にX線管102とX線検出器107とを配置する際のCアーム106の角度及び位置が、Cアーム106が回転することができる角度の範囲及び移動することができる範囲に含まれる場合であっても、その角度及び位置にCアーム106を配置させると、Cアーム106と天板105との干渉が生じる場合等がある。そして、このような場合には、作成機能34cは、中心座標を挟んで奥行き方向と平行にX線管102とX線検出器107とを配置することが可能ではないと判定する。
同様に、作成機能34cは、ポインタの移動後の各位置が、可動領域I21a及び非可動領域I21bのいずれに対応するかを判定する。即ち、作成機能34cは、ドラッグ操作を開始した位置からポインタが移動され、3次元X線画像I11の配向が回転した場合に、回転後の3次元X線画像I11の中心座標に対して、回転後の3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置に可動部が移動可能であるか否かを、ドラッグ操作を開始した位置の周辺の各位置について判定する。ここで、ポインタを移動させる操作は、第1の位置からの変位を指定する操作の一例である。これにより、作成機能34cは、図5に示すように、ドラッグ操作を開始した位置の周辺の各位置について、可動領域I21a及び非可動領域I21bのいずれに対応するかを判定し、可動領域を示す図I21を作成する。
ここで、作成機能34cは、少なくとも1つの可動領域I21aを含むように、図I21を作成する場合であってもよい。例えば、作成機能34cは、各位置が可動領域I21a及び非可動領域I21bのいずれに対応するかを、ドラッグ操作を開始した位置を始点として放射方向に、可動領域I21aと非可動領域I21bとの境界に至るまで順次判定する。これにより、作成機能34cは、可動領域I21aと非可動領域I21bとの境界を抽出して、少なくとも1つの可動領域I21aを抽出する。そして、作成機能34cは、抽出した可動領域I21aを囲む矩形領域や、抽出した境界から所定の距離に含まれる領域を、非可動領域I21bとすることにより、可動領域を示す図I21を作成する。
なお、図5においては、可動領域を示す図I21が矩形である場合について説明したが、可動領域を示す図I21の形状は任意である。例えば、作成機能34cは、ドラッグ操作を開始した位置から所定の距離に含まれる各位置について、可動領域I21a及び非可動領域I21bのいずれに対応するかを判定することで、円形となるように可動領域を示す図I21を作成する。また、図5においては、説明の便宜のため、可動領域I21aを矩形として示すが、可動領域I21aの形状は矩形に限られるものではない。
図4に示したように、表示制御機能34bは、作成機能34cが作成した可動領域を示す図I21を更にディスプレイ32に表示させる。ここで、表示制御機能34bは、可動領域を示す図I21を、図4に示すように非透過表示してもよいし、透過表示してもよい。また、表示制御機能34bは、可動領域I21aと非可動領域I21bとを異なる態様で表示させてもよい。例えば、表示制御機能34bは、可動領域を示す図I21として、可動領域I21aと非可動領域I21bとを色分けした図を表示させてもよいし、可動領域I21aと非可動領域I21bとを異なる透過率とした図を表示させてもよい。
ここで、操作者は、可動領域を示す図I21を参照しながら、3次元X線画像I11の配向を回転させる操作を入力することができる。例えば、まず、マウスを操作する操作者がマウスのボタンを押下したことをトリガとして、作成機能34cは、可動領域を示す図I21を作成し、表示制御機能34bは、作成された可動領域を示す図I21を表示させる。この場合、操作者は、マウスのボタンを押下したままドラッグ操作を行なうことにより、3次元X線画像I11の配向を回転させる操作を入力することができる。そして、操作機能34dは、3次元X線画像I11の配向を回転させる操作を受け付け、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて3次元X線画像I11の配向を回転させて表示させる。
例えば、図6Aに示す矢印の方向に沿って操作者がドラッグ操作を行なった場合、操作機能34dは、操作者による操作を、3次元X線画像I11の配向をY方向に平行な軸を回転軸として回転させる操作として受け付ける。そして、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて、3次元X線画像I11の配向を回転させて表示させる。例えば、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の表示の中心を通り、Y方向に平行な軸を回転軸として、ポインタの移動量に応じた角度だけ回転させた3次元X線画像I11を表示させる。なお、図6Aは、第1の実施形態に係る3次元X線画像データの配向を回転させる操作の一例について説明するための図である。
また、例えば、図6Bに示す矢印の方向に沿って操作者がドラッグ操作を行なった場合、操作機能34dは、操作者による操作を、3次元X線画像I11の配向をX方向に平行な軸を回転軸として回転させる操作として受け付ける。そして、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて、3次元X線画像I11の配向を回転させて表示させる。例えば、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の表示の中心を通り、X方向に平行な軸を回転軸として、ポインタの移動量に応じた角度だけ回転させた3次元X線画像I11を表示させる。なお、図6Bは、第1の実施形態に係る3次元X線画像データの配向を回転させる操作の一例について説明するための図である。
なお、操作者がドラッグ操作を行なう方向は、横方向(図6Aに示す矢印の方向)及び縦方向(図6Bに示す矢印の方向)に限られるものではなく、斜め方向であってもよい。この場合、操作機能34dは、例えば、斜め方向へのドラッグ操作を、横方向へのドラッグ操作と縦方向へのドラッグ操作との組み合わせとして受け付ける。そして、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて、3次元X線画像I11の配向を回転させて表示させる。例えば、表示制御機能34bは、X方向に平行な軸を回転軸として回転させ、更にY方向に平行な軸を回転軸として回転させた3次元X線画像I11を表示させる。
ここで、表示制御機能34bは、X方向に平行な軸を回転軸とした回転と、Y方向に平行な軸を回転軸とした回転とを組み合わせることにより、Z方向に平行な軸を回転軸として回転させた3次元X線画像I11を表示させることもできる。即ち、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の配向を、X方向、Y方向及びZ方向の3方向を含む任意の方向を軸として回転させることができる。
そして、操作者は、ディスプレイ32における3次元X線画像I11の配向を回転させながら、治療対象部位を観察し易い配向を選択する。例えば、操作者は、可動領域を示す図I21を参照しながら可動領域I21aの中でポインタを移動させ、回転させた3次元X線画像I11の配向が治療対象部位を観察し易いと判断した時点でドラッグ操作を終了することにより、治療対象部位を観察し易い配向を選択する。なお、ドラッグ操作が終了した時点でのポインタの位置は、第2の位置の一例である。
また、操作機能34dは、操作者によるドラッグ操作が終了した時点で表示されている3次元X線画像I11の配向を、操作者が選択した配向として受け付けて、受け付けた配向をX線診断装置10に送信する。また、X線診断装置10は、操作機能34dにより送信された配向を、X線画像データの収集に用いるX線の照射の配向として設定する。なお、表示制御機能34bは、操作者によるドラッグ操作が終了した時点で、可動領域を示す図I21の表示を終了することとしてもよい。
また、操作者が、非可動領域I21bにおいてドラッグ操作を終了した場合、操作機能34dは、選択された配向を受け付けないこととしてもよい。この際、表示制御機能34bは、選択された配向がX線の照射の配向として設定することができないものであることを操作者に通知してもよい。この場合、操作者は、再度ドラッグ操作を開始する。また、作成機能34cは、ドラッグ操作が再開されたことをトリガとして、可動部の可動領域を示す図を、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向に基づいて、再度作成する。また、表示制御機能34bは、新たに作成された可動部の可動領域を示す図を、ディスプレイ32に更に表示させる。ここで、操作者は、ディスプレイ32における3次元X線画像I11の配向を回転させながら、治療対象部位を観察し易い配向を選択する。そして、操作機能34dは、選択された配向を受け付けて、受け付けた配向をX線診断装置10に送信する。また、X線診断装置10は、操作機能34dにより送信された配向を、X線画像データの収集に用いるX線の照射の配向として設定する。
なお、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の表示倍率が変更された場合、可動領域を示す図I21を、3次元X線画像I11の表示倍率に応じた大きさでディスプレイ32に表示させることとしてもよい。例えば、まず、操作機能34dが、操作者から表示倍率を変更する操作を受け付ける。一例を挙げると、操作機能34dは、操作者によるマウスのホイール操作を、3次元X線画像I11の表示倍率を変更する操作として受け付ける。そして、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて、3次元X線画像I11を拡大又は縮小して表示させるとともに、可動領域を示す図I21を拡大又は縮小して表示させる。
例えば、3次元X線画像I11の表示倍率を上げる操作(ズームする操作)を受け付けた場合、表示制御機能34bは、可動領域を示す図I21を拡大してディスプレイ32に表示させる。換言すると、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の表示倍率を上げる操作を受け付けた場合、3次元X線画像I11の配向を回転させる操作が行われた際に、ポインタの移動量に対する3次元X線画像I11の配向の回転量を低下させる。これにより、表示制御機能34bは、ポインタの移動量に対して生じるディスプレイ32の表示領域の変化(表示領域の移動速度)を表示倍率によらず略固定して、操作者による配向の選択をより容易なものとすることができる。
その後、被検体Pの治療対象部位に対する手術において、X線診断装置10は、設定したX線照射の配向に基づいて、治療対象部位のX線画像データのリアルタイム表示を行なう。例えば、X線診断装置10は、まず、取得した配向に従って可動部を移動させる。一例を挙げると、X線診断装置10は、配向として取得した中心座標及び奥行き方向に従って、中心座標を挟んで奥行き方向と平行にX線管102とX線検出器107とが配置されるように、可動部を移動させる。ここで、X線診断装置10が取得する配向は可動領域I21aにおいて設定されているため、X線診断装置10は、取得した配向に従って可動部を移動させることが可能である。
そして、X線診断装置10は、被検体Pに対してX線を照射することで、複数のX線画像データを収集し、収集したX線画像データをリアルタイム表示する。この際、リアルタイム表示されるX線画像データは、操作者がディスプレイ32における3次元X線画像I11の配向を回転させながら選択した、治療対象部位を観察し易い配向で表示されることとなる。
なお、図4、図5、図6A及び図6Bにおいては、非可動領域を、可動領域と異なる1つの態様で表示するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、医用情報処理装置30は、非可動領域を複数の態様で表示する場合であってもよい。
一例を挙げると、作成機能34cは、可動部に関する情報と、X線診断装置10の配置に関する情報と、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向とに基づいて、図7に示す図I21cを作成する。また、表示制御機能34bは、可動領域を示す図I21cをディスプレイ32に表示させる。ここで、図7に示すように、図I21cは、可動領域I21dと、非可動領域I21eと、非可動領域I21fとを含む。即ち、表示制御機能34bは、非可動領域を複数の態様で表示させる。なお、図7は、第1の実施形態に係る可動部の可動領域を示す図の一例を示す図である。
具体的には、可動領域I21dは、ポインタが可動領域I21dの中に位置するときに表示されている3次元X線画像I11の中心座標に対して、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置に、可動部が移動可能であることを示す。即ち、可動領域I21dは、可動領域I21dの中でポインタを移動させて3次元X線画像I11を回転させた場合に、3次元X線画像I11の回転後の向きに対応する位置に可動部が到達可能であることを示す。
また、非可動領域I21eは、可動部に関する情報に基づいて判定された非可動領域である。具体的には、非可動領域I21eは、ポインタが非可動領域I21eの中に位置するときに表示されている3次元X線画像I11の中心座標に対して、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置まで、可動部が構造上移動できないことを示す。即ち、非可動領域I21eは、非可動領域I21eまでポインタを移動させて3次元X線画像I11を回転させた場合に、3次元X線画像I11の回転後の向きに対応する位置に可動部が到達可能でないことを示す。
また、非可動領域I21fは、X線診断装置10の配置に関する情報に基づいて判定された非可動領域である。具体的には、非可動領域I21fは、ポインタが可動領域I21fの中に位置するときに表示されている3次元X線画像I11の中心座標に対して、表示されている3次元X線画像I11の奥行き方向と平行にX線を照射する位置まで可動部を移動させると、干渉が生じることを示す。即ち、非可動領域I21fは、非可動領域I21fまでポインタを移動させて3次元X線画像I11を回転させた場合に、3次元X線画像I11の回転後の向きに対応する位置に可動部が到達可能でないことを示す。
また、図2では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。この場合、X線診断装置10は、X線管及びX線検出器を対向するように支持する2つのアームを有する。例えば、X線診断装置10は、X線管102aとX線検出器107aとを対向するように支持する第1のアーム106aと、X線管102bとX線検出器107bとを対向するように支持する第2のアーム106bとを備える。
X線診断装置10がバイプレーンである場合、作成機能34cは、更に、第1のアーム106aと第2のアーム106bとの干渉を考慮して、可動領域を示す図を作成する。一例を挙げると、作成機能34cは、第1のアーム106aがF(Frontal)側に配置された後、第2のアーム106bをL(Lateral)側に配置する際に、第2のアーム106bが第1のアーム106aに対して干渉するか否かを判定する。また、作成機能34cは、第2のアーム106bが配置された後、第1のアーム106aを再度配置する際に、第1のアーム106aが第2のアーム106bに対して干渉するか否かを判定する。
なお、第1のアーム106aの配置を先に行うものとして説明したが、第2のアーム106bの配置を先に行うこととしてもよい。また、第1のアーム106aがF側に配置され、第2のアーム106bがL側に配置される場合について説明したが、第1のアーム106aがL側に配置され、第2のアーム106bがF側に配置される場合であってもよい。
例えば、作成機能34cは、X線診断装置10における構成間の干渉として、第1のアーム106aと第2のアーム106bとの干渉、第1のアーム106aと天板105との干渉、第2のアーム106bと天板105との干渉等が生じるか否かを判定する。また、例えば、作成機能34cは、X線診断装置10における構成と被検体Pとの干渉として、第1のアーム106aと被検体Pとの干渉、第2のアーム106bと被検体Pとの干渉等が生じるか否かを判定する。そして、作成機能34cは、X線診断装置10における構成間の干渉、及び、X線診断装置10における構成と被検体Pとの干渉が生じるか否かの判定結果に基づいて、可動領域を示す図を作成する。
ここで、第1のアーム106aと第2のアーム106bとは、同期して動作する場合がある。例えば、第2のアーム106bは、収集機能111bによる制御の下、第1のアーム106aが動作する際にアーム間の干渉が生じないよう、第1のアーム106aと同期して動作する場合がある。第1のアーム106aと第2のアーム106bとが同期して動作する場合、アーム間の干渉は生じなくなる一方で、同期して動作するアームが、アーム以外の他の構成や被検体Pに接触する可能性がある。
例えば、第1のアーム106aの配置を行なう際に、第2のアーム106bが第1のアーム106aと同期して動作する場合、アーム間の干渉は生じないものの、同期して動作する第2のアーム106bが天板105や被検体Pに干渉する可能性がある。そこで、作成機能34cは、第1のアーム106aの配置を行なう際に表示する可動領域を示す図を、第2のアーム106bが干渉を生じるか否かを判定することにより作成する。より具体的には、作成機能34cは、X線診断装置10の配置に関する情報に基づいて、第1のアーム106aを動作させた際に、第1のアーム106aと同期して動作する第2のアーム106bが、X線診断装置10における第1のアーム106a及び第2のアーム106b以外の構成、及び、被検体Pの少なくとも一方と干渉するか否かを判定して、第1のアーム106aの配置を行なう際に表示する可動領域を示す図を作成する。
次に、医用情報処理装置30による処理の手順の一例を、図8を用いて説明する。図8は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101は、取得機能34aに対応するステップである。ステップS102、ステップS103、ステップS106及びステップS108は、表示制御機能34bに対応するステップである。ステップS104及びステップS105は、作成機能34cに対応するステップである。ステップS107は、操作機能34dに対応するステップである。
まず、処理回路34は、X線診断装置10又は画像保管装置20から3次元X線画像データを取得し(ステップS101)、取得した3次元X線画像データをメモリ33に記憶させる。次に、処理回路34は、メモリ33から3次元X線画像データを読み出して、ディスプレイ32に表示させる(ステップS102)。例えば、処理回路34は、3次元X線画像データに対するレンダリング処理を行なうことで表示用の3次元画像を生成し、生成した3次元画像を表示させる。ここで、処理回路34は、3次元X線画像データの表示を終了するか否かを判定する(ステップS103)。
表示を終了しない場合(ステップS103否定)、処理回路34は、操作者によってドラッグ操作が開始されたか否かを判定する(ステップS104)。ここで、ドラッグ操作が開始されない場合(ステップS104否定)、処理回路34は、再度ステップS103に移行する。一方で、操作者によってドラッグ操作が開始された場合(ステップS104肯定)、処理回路34は、可動部の可動領域を示す図を、3次元X線画像データのディスプレイ32における配向に基づいて作成する(ステップS105)。また、処理回路34は、作成した可動部の可動領域を示す図を更にディスプレイ32に表示させる(ステップS106)。
ここで、処理回路34は、ディスプレイ32における3次元X線画像データの配向を、ディスプレイ32に表示されたポインタを用いて回転させる操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS107)。例えば、処理回路34は、配向を回転させる操作として、ドラッグ操作を受け付けたか否かを判定する。ここで、配向を回転させる操作を受け付けた場合(ステップS107肯定)、処理回路34は、受け付けた操作に応じてディスプレイ32における3次元X線画像データの配向を回転させる(ステップS108)。例えば、処理回路34は、受け付けた操作に応じて3次元X線画像データに対するレンダリング処理を行なうことで、配向を回転させた3次元画像を生成し、生成した3次元画像を表示させる。その後、処理回路34は、再度ステップS107に移行する。
一方で、配向を回転させる操作を受け付けなかった場合(ステップS107否定)、処理回路34は、再度ステップS103に移行する。例えば、操作者によるドラッグ操作が終了した場合、処理回路34は、配向を回転させる操作を受け付けなかったものとして、ステップS103に移行する。この際、処理回路34は、ドラッグ操作が終了された時点で表示されている3次元X線画像データの配向を、操作者が選択した配向として受け付ける。また、ステップS103において表示を終了すると判定した場合(ステップS103肯定)、処理回路34は、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、表示制御機能34bは、3次元X線画像データをディスプレイ32に表示させる。また、作成機能34cは、可動部の可動領域を示す図を、3次元X線画像データのディスプレイ32における配向に基づいて作成する。また、表示制御機能34bは、可動領域を示す図を更にディスプレイ32に表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30は、X線照射の配向の設定を容易にすることができる。即ち、操作者は、X線照射の配向を設定する際に可動領域を示す図の提示を受けることで、可動領域を直観的に確認しながら、X線照射の配向を容易に設定することができる。また、医用情報処理装置30は、X線照射の配向を設定する際に可動領域を示す図を提示することで、治療対象部位を観察し易いと判断して選択した配向が実際には使用できない配向であったというような事態を回避させ、X線照射の配向を設定するために要する時間を短縮することができる。
なお、図5においては、1つの可動領域(可動領域I21a)を示す可動領域を示す図I21について説明した。しかしながら、作成機能34cは、複数の可動領域を示す図を作成する場合であってもよい。例えば、作成機能34cは、複数の可動領域を示す図として、図9に示す可動領域を示す図I22を作成する。なお、図9は、第1の実施形態に係る可動部の可動領域を示す図I22の一例を示す図である。
図9に示すように、可動領域を示す図I22は、可動領域I22a、可動領域I22b、可動領域I22c、可動領域I22d及び可動領域I22eと、非可動領域I22fとから構成される。なお、図9においては、可動領域I22a、可動領域I22b、可動領域I22c、可動領域I22d及び可動領域I22eをドットのパターンで示し、非可動領域I22fを斜線のパターンで示す。
まず、作成機能34cは、可動領域を示す図I22を、3次元X線画像I11のディスプレイ32における配向に基づいて作成する。例えば、作成機能34cは、まず、図9に示すポインタの位置(ドラッグ操作を開始した位置)が、可動領域及び非可動領域のいずれに対応するかを判定する。更に、作成機能34cは、ポインタの移動後の各位置が、可動領域及び非可動領域のいずれに対応するかを判定する。これにより、作成機能34cは、可動領域を示す図I22に示す各位置について可動領域及び非可動領域のいずれに対応するかを判定し、可動領域を示す図I22を作成する。また、表示制御機能34bは、可動領域を示す図I22をディスプレイ32に表示させる。
ここで、可動領域I22a、可動領域I22b、可動領域I22c、可動領域I22d及び可動領域I22eにおいて対応する位置は、それぞれ、3次元X線画像I11のディスプレイ32における同一の配向に対応する。例えば、操作者がドラッグ操作を行なうことで、ポインタの位置を図9に示す位置P1から、位置P2を経て位置P3まで移動させた場合、表示制御機能34bは、3次元X線画像I11の配向を360°回転させる。即ち、ポインタが位置P1に位置しているときに表示される3次元X線画像I11の配向と、ポインタが位置P3に位置しているときに表示される3次元X線画像I11の配向とは同じものとなる。
そして、操作者は、可動領域を示す図I22を参照しながらディスプレイ32における3次元X線画像I11の配向を回転させ、可動領域においてドラッグ操作を終了することにより、治療対象部位を観察し易い配向を選択する。ここで、操作者は、可動領域I22a、可動領域I22b、可動領域I22c、可動領域I22d及び可動領域I22eのいずれかの中でドラッグ操作を終了すればよいこととなる。従って、表示制御機能34bは、可動領域を示す図I22を表示することにより、治療対象部位を観察し易い配向の選択をより容易なものとすることができる。
また、これまで、3次元医用画像データの例として3次元X線画像データについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、3次元X線画像データに代えて、被検体Pの治療対象部位について収集された3次元CT(Computed Tomography)画像データや、3次元超音波画像データを用いる場合であってもよい。
例えば、まず、取得機能34aは、被検体Pの治療対象部位について収集された3次元CT画像データを取得する。例えば、取得機能34aは、ネットワークを介して、被検体Pの3次元CT画像データを収集したX線CT装置から3次元CT画像データを取得する。また、例えば、取得機能34aは、画像保管装置20から被検体Pの3次元CT画像データを取得する。なお、取得機能34aは、3次元CT画像データと併せて、3次元CT画像データの被検体Pに対する位置及び角度を示す付帯情報を取得してもよい。かかる付帯情報により、3次元CT画像データを収集する際にX線CT装置が有する天板に載置された被検体Pと、天板105に載置される被検体Pとの位置及び角度が対応付けられる。
次に、表示制御機能34bは、3次元CT画像データをディスプレイ32に表示させる。また、作成機能34cは、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を、3次元CT画像データのディスプレイ32における配向に基づいて作成する。そして、表示制御機能34bは、可動部の可動領域を示す図をディスプレイ32に更に表示させる。これにより、操作者は、可動領域を示す図を参照しながら、ディスプレイ32に表示されたポインタを用いてディスプレイ32における3次元CT画像データの配向を回転させ、治療対象部位を観察し易い配向を容易に選択することができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、3次元医用画像データのディスプレイ32における配向に基づいて、可動領域を示す図を作成する場合について説明した。これに対し、第2の実施形態では、X線診断装置10の可動部を示す3次元画像データのディスプレイ32における配向に基づいて、可動領域を示す図を作成する場合について説明する。
第2の実施形態に係る医用情報処理装置30は、図1に示した医用情報処理装置30と同様の構成を有し、取得機能34a、表示制御機能34b及び作成機能34cによる処理の一部が相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、取得機能34aは、X線診断装置10の可動部を示す3次元画像データを取得する。ここで、可動部を示す3次元画像データとは、例えば、X線診断装置10において可動部に含まれる構成(X線管102、コリメータ103、フィルタ104、天板105、Cアーム106及びX線検出器107等)を示すモデルデータである。可動部を示す3次元画像データは、X線診断装置10の全体を示すものであってもよいし、X線診断装置10のうち可動部を含んだ一部のみを示すものであってもよい。
また、可動部を示す3次元画像データは、X線診断装置10の可動部に含まれる各構成の形状や寸法等に応じたモデルデータであってもよいし、各構成の一般的な外観を示すモデルデータであってもよい。例えば、可動部のうち天板105を示す3次元画像データは、天板105の実際の形状及び寸法に応じて作成されたモデルデータであってもよいし、単に天板105の一般的な外観を示したものであってもよい。例えば、取得機能34aは、ネットワークを介して可動部を示す3次元画像データを事前に取得し、又は入力インターフェース31を介して3次元画像データの入力を事前に受け付けて、メモリ33に記憶させる。
例えば、可動部を示す3次元画像データは、被検体Pの手術に先立って、手術中にリアルタイム表示するX線画像データの収集に用いるX線の照射の配向を選択するために用いられる。一例を挙げると、操作者は、被検体Pの手術を行なう際における自らの立ち位置と可動部とが重ならないように、可動部を示す3次元画像データのディスプレイ32における配向を回転させながら、X線の照射の配向を選択する。
以下では、可動部を示す3次元画像データの例として、図10に示す3次元画像データI31について説明する。図10は、第2の実施形態に係るX線診断装置10の可動部を示す3次元画像データの表示の一例を示す図である。3次元画像データI31は、X線診断装置10のうち、Cアーム106と天板105との位置関係を示すモデルデータである。ここで、Cアーム106は、X線管102、コリメータ103及びフィルタ104と、X線検出器107とを対向するように支持する。Cアーム106は、収集機能111bによる制御の下、回転・移動することにより、天板105に載置される被検体Pに対するX線管102及びX線検出器107の位置関係を変化させ、被検体PにおいてX線が照射される位置及び被検体Pに対するX線の照射角度を制御する。また、天板105は、収集機能111bによる制御の下、傾斜・移動することにより、X線管102及びX線検出器107に対する被検体Pの位置関係を変化させ、被検体PにおいてX線が照射される位置及び被検体Pに対するX線の照射角度を制御する。
まず、表示制御機能34bは、図10の左図に示すように、3次元画像データI31及びポインタをディスプレイ32に表示させる。例えば、操作者は、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向を、ディスプレイ32に表示されたポインタを用いて回転させる操作を行なうことができる。
ここで、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向とは、表示されている3次元X線画像I11が示すX線照射の配向である。例えば、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向は、ディスプレイ32における天板105に被検体Pが載置された場合に、被検体PにおいてX線が照射される位置の座標、及び、被検体Pに対するX線の照射角度である。一例を挙げると、操作者は、ディスプレイ32に表示されたポインタを用いて、ディスプレイ32におけるCアーム106を回転させ、又は、ディスプレイ32における天板105を傾斜させることにより、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向を回転させる操作を入力する。
ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向を回転させるため、Cアーム106を回転させるか天板105を傾斜させるかについては、操作者によって事前に選択されてもよいし、いずれか一方がプリセットされてもよい。以下では、ディスプレイ32におけるCアーム106が回転することにより、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向が回転する場合について説明する。
表示制御機能34bによって3次元画像データI31がディスプレイ32に表示された後、作成機能34cは、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を、3次元画像データI31のディスプレイ32における配向に基づいて作成する。例えば、作成機能34cは、マウスを操作する操作者がドラッグ操作を開始したこと(マウスのボタンが押下されたこと)をトリガとして、図10の左図に示すように、可動領域を示す図I23を作成する。なお、図10においては、可動領域をドットのパターンで示し、非可動領域を斜線のパターンで示す。
例えば、作成機能34cは、まず、図10の左図に示すポインタの位置(ドラッグ操作を開始した位置)が、可動領域及び非可動領域のいずれに対応するかを判定する。具体的には、作成機能34cは、表示されている位置及び角度でCアーム106を配置することが可動部の構造上可能であるか否かを、可動部に関する情報に基づいて判定する。この際、作成機能34cは、X線診断装置10の配置に関する情報を更に用いる場合であってもよい。なお、干渉の有無を判定するに当たっては、作成機能34cは、3次元画像データI31において表示しない構成(例えば、Cアーム106を支持する基台、天板105を支持する支持フレーム、天板105及び支持フレームを支持する基台等)や、被検体Pを考慮してもよい。
同様に、作成機能34cは、ポインタの移動後の各位置が、可動領域及び非可動領域のいずれに対応するかを判定する。即ち、作成機能34cは、ドラッグ操作を開始した位置からポインタが移動され、ディスプレイ32におけるCアーム106が回転した場合に、回転後の位置及び角度でCアーム106を配置することが可能か否かを、ドラッグ操作を開始した位置の周辺の各位置について判定する。これにより、作成機能34cは、図10の左図に示すように、ドラッグ操作を開始した位置の周辺の各位置について可動領域及び非可動領域のいずれに対応するかを判定し、可動領域を示す図I23を作成する。また、表示制御機能34bは、図10の左図に示すように、作成された可動領域を示す図I23を更にディスプレイ32に表示させる。
ここで、操作者は、可動領域を示す図I23を参照しながら、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向を回転させる操作を入力することができる。例えば、操作者は、ドラッグ操作により、ディスプレイ32におけるCアーム106を回転させることで、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向を回転させる。そして、操作機能34dは、3次元画像データI31の配向を回転させる操作を受け付け、表示制御機能34bは、操作機能34dが受け付けた操作に応じて3次元画像データI31の配向を回転させて表示させる。
例えば、図10の左図に示すポインタの位置から、図10の右図に示すポインタの位置まで操作者がドラッグ操作を行なった場合、操作機能34dは、ポインタの移動量及び移動方向に応じて、ディスプレイ32におけるCアーム106を回転させて表示させる。ここで、図10の右図に示す場合、表示制御機能34bは、ポインタが非可動領域に位置していることを通知してもよい。例えば、ポインタが非可動領域に位置している場合、表示制御機能34bは、その旨を示すメッセージを表示したり、3次元画像データI31の一部(Cアーム106等)又は全部の色を変更して表示したりしてもよい。
そして、操作者は、ディスプレイ32における3次元画像データI31の配向を回転させながら、リアルタイム表示するX線画像データの収集に用いるX線の照射の配向を選択する。例えば、操作者は、可動領域を示す図I23を参照しながら可動領域の中でポインタを移動させ、被検体Pの手術を行なう際における自らの立ち位置とCアーム106とが重ならないと判断した時点でドラッグ操作を終了することにより、X線の照射の配向を選択する。
また、操作機能34dは、操作者によるドラッグ操作が終了した時点で表示されている3次元画像データI31の配向を、操作者が選択した配向として受け付けて、受け付けた配向をX線診断装置10に送信する。また、X線診断装置10は、操作機能34dにより送信された配向を、X線画像データの収集に用いるX線の照射の配向として設定する。なお、表示制御機能34bは、操作者によるドラッグ操作が終了した時点で、可動領域を示す図I23の表示を終了することとしてもよい。
その後、被検体Pの治療対象部位に対する手術において、X線診断装置10は、設定したX線照射の配向に基づいて、治療対象部位のX線画像データのリアルタイム表示を行なう。例えば、X線診断装置10は、まず、取得した配向に従って可動部を移動させる。一例を挙げると、X線診断装置10は、天板105に載置される被検体PにおいてX線が照射される位置、及び、被検体Pに対するX線の照射角度を配向として取得し、取得した位置を挟んで、取得した照射角度に沿ってX線管102とX線検出器107とが配置されるように、可動部を移動させる。ここで、X線診断装置10が取得する配向は可動領域において設定されているため、X線診断装置10は、取得した配向に従って可動部を移動させることが可能である。
そして、X線診断装置10は、被検体Pに対してX線を照射することで、複数のX線画像データを収集し、収集したX線画像データをリアルタイム表示する。この際、Cアーム106は、被検体Pの手術を行なう際に操作者の立ち位置と重ならないように配置されているため、X線診断装置10は、Cアーム106が手術の障害となることを回避することができる。
(第3の実施形態)
さて、これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、可動部の可動領域を示す図を、3次元医用画像データのディスプレイ32における配向、及び、可動部を示す3次元画像データのディスプレイ32における配向のいずれか一方に基づいて作成する場合について説明した。しかしながら、作成機能34cは、可動部の可動領域を示す図を、3次元医用画像データのディスプレイ32における配向及び3次元画像データのディスプレイ32における配向の双方に基づいて作成する場合であってもよい。
例えば、まず、表示制御機能34bは、3次元医用画像データと可動部を示す3次元画像データとを対応付けてディスプレイ32に表示させる。即ち、表示制御機能34bは、表示される3次元画像データが示すX線の照射位置に、表示される3次元医用画像データの中心座標が含まれ、かつ、表示される3次元画像データが示すX線の照射角度と表示される3次元医用画像データの奥行き方向とが一致するように、3次元医用画像データと3次元画像データとを対応付けてディスプレイ32に表示させる。ここで、操作機能34dが、操作者によるドラッグ操作等を受け付けた場合、表示制御機能34bは、かかる対応関係を維持した状態で、3次元医用画像データ及び3次元画像データを回転させて表示させる。
次に、作成機能34cは、可動部の可動領域を示す図を、3次元医用画像データ及び3次元画像データのディスプレイ32における配向に基づいて作成する。また、表示制御機能34bは、作成された可動部の可動領域を示す図を更にディスプレイ32に表示させる。ここで、表示制御機能34bは、可動部の可動領域を示す図を、3次元医用画像データに重畳させて表示してもよいし、3次元画像データに重畳させて表示してもよいし、3次元医用画像データ及び3次元画像データのいずれとも重畳しない位置に表示してもよい。例えば、表示制御機能34bは、操作者によるドラッグ操作が開始された際のポインタの位置に、可動部の可動領域を示す図を表示させる。これにより、操作者は、治療対象部位を観察し易く、かつ、被検体Pの手術を行なう際における自らの立ち位置と可動部とが重ならないように、リアルタイム表示するX線画像データの収集に用いるX線の照射の配向を選択することができる。
また、医用情報処理装置30が複数のディスプレイ32を備える場合、表示制御機能34bは、可動領域を示す図、3次元医用画像データ及び3次元画像データを異なるディスプレイ32に表示させてもよい。例えば、医用情報処理装置30がディスプレイ32を2つ備える場合、表示制御機能34bは、第1のディスプレイにおいて3次元医用画像データを表示し、第2のディスプレイにおいて、可動部の可動領域を示す図を3次元画像データに重畳させて表示する。
また、上述した実施形態では、ディスプレイ32における3次元医用画像データ又は3次元画像データの配向を、ディスプレイ32に表示されたポインタを用いて回転させる操作の例として、マウスを用いたドラッグ操作について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、操作機能34dは、ドラッグ操作に代えて、2回のクリック操作を受け付けてもよい。この場合、操作機能34dは、ドラッグ操作が開始されたことに代えて1回目のクリック操作を受け付け、ドラッグ操作が終了されたことに代えて2回目のクリック操作を受け付ける。なお、1回目のクリック操作は、第1の位置を指定する操作の一例である。また、2回目のクリック操作は、第1の位置からの変位を指定する操作の一例である。また、2回目のクリック操作が行われた位置は、第2の位置の一例である。また、例えば、操作機能34dは、マウスを用いた操作に代えて、トラックボールやジョイスティック、タッチパッド等を用いた操作を受け付けてもよい。
また、操作機能34dは、ディスプレイ32に表示されたポインタを用いた操作に代えて、操作者がディスプレイ32において指定する位置を用いた操作を受け付けてもよい。即ち、操作機能34dは、ディスプレイ32における3次元医用画像データ又は3次元画像データの配向を、操作者がディスプレイ32において指定する位置を用いて回転させる操作を受け付けてもよい。
例えば、入力インターフェース31及びディスプレイ32がタッチスクリーンによって実現される場合において、操作機能34dは、操作者がタッチスクリーンに触れる位置を、操作者がディスプレイ32において指定する位置として受け付ける。この場合、作成機能34cは、例えば、操作者がタッチスクリーンに触れたことをトリガとして、タッチスクリーンにおいて指定される位置と可動領域を示す図に示される位置とが対応するように、可動領域を示す図を作成する。例えば、作成機能34cは、タッチスクリーンにおいて指定される位置に応じて回転する3次元医用画像データ又は3次元画像データの配向と、可動領域を示す図に示される位置に応じたX線の照射の配向とが対応するように、可動領域を示す図を作成する。
なお、タッチスクリーンに触れる操作は、第1の位置を指定する操作の一例である。また、例えば、表示制御機能34bは、操作者がタッチスクリーンに触れる位置をスライドさせた場合、操作者がタッチスクリーンに触れる位置の移動量及び移動方向に応じて、3次元医用画像データ又は3次元画像データの配向を回転させて表示する。なお、タッチスクリーンに触れる位置をスライドさせる操作は、第1の位置からの変位を指定する操作の一例である。また、スライド後の位置は、第2の位置の一例である。
また、上述した実施形態では、X線診断装置10の構成のうち、X線管102、コリメータ103、フィルタ104、天板105、Cアーム106及びX線検出器107を可動部として説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、天板105は移動させないこととして、X線管102、コリメータ103、フィルタ104、Cアーム106及びX線検出器107を可動部としてもよい。また、例えば、X線管102、コリメータ103、フィルタ104、Cアーム106及びX線検出器107は移動させないこととして、天板105のみを可動部としてもよい。また、例えば、Cアーム106を支持する基台を回転させたり、移動させたりすることができる場合においては、可動部には基台を含めることとしてもよい。即ち、可動部は、X線診断装置10の構成のうち、被検体Pに対するX線照射の配向を制御することが可能な構成の全てを含んでもよいし、X線照射の配向を制御するのに用いる構成として選択された一部の構成のみを含んでもよい。
また、作成機能34cは、可動部に含む構成に応じて、可動部の可動領域を示す図を作成してもよい。例えば、作成機能34cは、可動領域を示す図として、X線管102、コリメータ103、フィルタ104、天板105、Cアーム106及びX線検出器107を可動部とする場合における可動領域と、更にCアーム106を支持する基台を可動部に含める場合における可動領域と、非可動領域とを示す図を作成する。この場合、表示制御機能34bは、例えば、これら3つの領域をそれぞれ異なる色で色分けして、ディスプレイ32に表示させる。
また、上述した実施形態では、医用情報処理装置30が、作成機能34c及び操作機能34dを有する処理回路34を備える場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置10における処理回路111が、作成機能34c及び操作機能34dに対応した機能を有する場合であってもよい。例えば、処理回路111は、図11に示すように、作成機能34cに対応する作成機能111d、及び、操作機能34dに対応する操作機能111eを更に有する場合であってもよい。なお、図11は、第3の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。
この場合、まず、収集機能111bは、3次元医用画像データ又は3次元画像データを取得する。例えば、収集機能111bは、3次元医用画像データとして、被検体Pの3次元X線画像データを収集する。次に、表示制御機能111cは、3次元医用画像データをディスプレイ109に表示させる。また、作成機能111dは、X線診断装置10の可動部の可動領域を示す図を、3次元医用画像データのディスプレイ109における配向に基づいて作成する。そして、表示制御機能111cは、作成された可動領域を示す図を更にディスプレイ109に表示させる。なお、処理回路111が作成機能111d及び操作機能111eを有する場合、X線診断システム1は、医用情報処理装置30を含まないこととしてもよい。更に、X線診断システム1は、画像保管装置20を含まないこととし、X線診断装置10のみから構成されることとしてもよい。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意された医用情報処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用情報処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線照射の配向の設定を容易にすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。