以下、添付図面を参照して、実施形態に係る干渉判定装置及び干渉判定方法について説明する。なお、以下の実施形態では、干渉判定装置を備えた放射線治療システムを例として説明する。また、本願に係る干渉判定装置及び干渉判定方法は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例を示す図である。例えば、放射線治療システム1は、図1に示すように、放射線治療計画用CT装置100と、放射線治療装置200と、医用画像収集装置300と、位置確認装置400と、治療計画装置500と、放射線治療管理システム600と、干渉判定装置700とを有する。ここで、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、干渉判定装置700が、放射線治療装置200、医用画像収集装置300、位置確認装置400及び被検体における干渉の有無を判定して、放射線治療が実行される手技室に配置されたディスプレイなどに、判定結果を表示させる。なお、図1に示す構成はあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、表示制御を実行する装置が別に配置される場合であってもよい。
放射線治療計画用CT装置100は、被検体のCT画像を収集する。具体的には、放射線治療計画用CT装置100は、被検体の治療対象部位(腫瘍等)を含むCT画像を収集し、収集したCT画像を治療計画装置500に送信する。また、放射線治療計画用CT装置100は、CT画像の収集の際に被検体の体型の情報(以下、体型情報と記す)を収集し、収集した情報を治療計画装置500に送信し、登録する。ここで、体型情報とは、例えば、CT画像から特定される被検体の輪郭の情報である。あるいは、体型情報とは、例えば、CT画像から特定される被検体の各部位の寸法や体積などの情報である。なお、体型情報については、CT画像から収集される場合に限らず、例えば、光学カメラによる画像から収集してもよいし、被検体の身長や体重の情報から収集してもよい。
治療計画装置500は、放射線治療計画用CT装置100により収集された被検体のCT画像を用いて、放射線治療装置200による放射線治療の治療計画を立てる。例えば、治療計画装置500は、放射線治療計画用CT装置100が収集したCT画像を用いて、被検体内の治療対象部位の位置を特定する。また、例えば、治療計画装置500は、CT画像を用いて位置を特定した腫瘍等に対して放射線治療装置200が照射する放射線の線量や照射角度、照射する回数などの計画を立てる。
また、治療計画装置500は、医用画像収集装置300によって収集された医用画像と、放射線治療計画用CT装置100によって収集されたCT画像とで位置合わせを行って治療計画を立てることもできる。すなわち、治療計画装置500は、放射線治療計画用CT装置100における座標系と、医用画像収集装置300における座標系(実際に放射線治療を行う空間の座標系)とで位置合わせを行うことで、放射線治療を行う空間での治療対象部位の正確な位置を同定し、同定した位置に合わせて治療計画を立てる。なお、治療計画装置500は、治療計画について操作者からの調整を受け付けることもできる。治療計画装置500は、被検体のCT画像を用いて立てた治療計画及び体型情報を干渉判定装置700や放射線治療管理システム600に送信する。また、治療計画装置500は、被検体のCT画像と医用画像収集装置300によって収集された医用画像とを用いて立てた治療計画を干渉判定装置700や放射線治療管理システム600に送信する。
放射線治療装置200は、治療計画装置500による治療計画に従い、放射線治療管理システム600による管理の下で、被検体に対して放射線を照射し、放射線治療を実行する。医用画像収集装置300は、画像誘導放射線治療(IGRT:Image Guided Radiation Therapy)を行うために、放射線治療装置200の天板に載置された被検体から医用画像を収集する。例えば、医用画像収集装置300は、Cone-BeamCT用kVイメージング装置や、超音波診断装置等であり、放射線治療装置200の天板に載置された被検体の臓器や治療対象部位などの医用画像を収集する。これにより、治療計画装置500は、上述した座標系の位置合わせを行い、放射線治療を行う空間での治療対象部位の正確な位置を同定し、同定した位置に合わせて治療計画を立てることができる。
位置確認装置400は、体動による被検体の位置の動きを検出する。例えば、位置確認装置400は、呼吸による体表面の動きを検出する。これにより、放射線治療装置200は、呼吸に伴って移動する治療対象部位に対して所定の呼吸位相に合わせて放射線を照射することができる。放射線治療管理システム600は、放射線治療を行うための種々の情報を管理するとともに、周辺機器との連携を管理する。
干渉判定装置700は、放射線治療装置200、医用画像収集装置300、位置確認装置400及び被検体における干渉の有無を判定して、ディスプレイ等を通じて操作者に判定結果を提示する。具体的には、干渉判定装置700は、放射線治療システム1における可動部が現時点の状態から所定の状態に移動する場合に、放射線治療装置200、医用画像収集装置300、位置確認装置400及び被検体において干渉が生じるか否かを判定し、判定結果を提示する。より具体的には、干渉判定装置700は、被検体の体型情報、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400の構造及び可動範囲の情報を用いて、可動部が現時点の状態から所定の状態に移動する場合に干渉が生じるか否かを判定する。
ここで、可動部とは、例えば放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400を構成する各部位のうち、回転移動や平行移動などにより位置が変化する部位を意味する。例えば、可動部は、放射線治療装置200における放射線発生器及び検出器や、医用画像収集装置300における放射線発生器及び検出器等である。また、構造の情報とは、例えば、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400を構成する各部位の寸法の情報や、各部位の装置全体における位置、範囲の情報である。また、可動範囲の情報とは、可動部の回転移動や平行移動の範囲を意味する。
なお、以下では、可動部の構造及び可動範囲の情報、及び、放射線の照射に係る機器の構造の情報を、単に、機構構造情報とも記載する。例えば、干渉判定装置700は、機構構造情報を、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400の設計データ(CAD(Computer Aided Design)データなど)から取得する。また、干渉判定装置700は、機構構造情報を、放射線治療のセットアップに先立って取得し、登録しておくことができる。
干渉判定装置700は、上述した体型情報及び機構構造情報を用いて、可動部を動かす可動手順ごとに、干渉の有無を判定する。ここで、可動手順とは、複数の可動部を動かす手順である。例えば、各装置を現時点の状態から放射線治療を開始する状態とするため、被検体を載置した天板を上昇させ、放射線発生器を備える回転架台を回転させる場合には、天板を上昇させてから回転架台を回転させる場合と、回転架台を回転させてから天板を上昇させる場合との「2通り」の可動手順が考えられる。この時、干渉判定装置700は、天板を上昇させてから回転架台を回転させた場合に干渉が生じるか否か、及び、回転架台を回転させてから天板を上昇させた場合に干渉が生じるか否かを、それぞれ判定する。そして、干渉判定装置700は、判定の結果を、可動手順に対応付けて操作者に提示する。
ここで、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、通常の放射線治療とIGRTのどちらの場合においても干渉判定を行うことができる。例えば、通常の放射線治療の場合、被検体の皮膚、或いは、固定具表面の基準となる位置にマークをつけ、レーザー照準器によるレーザーをマークに合わせることで放射線の照射位置の位置合わせが行われる。この場合、干渉判定装置700は、各装置を現時点の状態から放射線治療を開始する状態(レーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態)にするための可動手順において干渉が生じるか否かを判定する。そして、干渉判定装置700は、判定結果を可動手順に対応付けて操作者に提示する。
また、IGRTの場合、被検体の皮膚、或いは、固定具表面の基準となる位置にマークをつけ、レーザー照準器によるレーザーをマークに合わせることで放射線の照射位置の位置合わせを行った後、放射線の照射直前や照射中に収集した画像に基づいて、放射線の照射位置の補正が行われる。この場合、干渉判定装置700は、各装置を現時点の状態からレーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態にするための可動手順において干渉が生じるか否かを判定し、判定結果を可動手順に対応付けて提示する。ここで、操作者により、干渉を生じない可動手順で各可動部が動かされた後、さらに、干渉判定装置700は、レーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態から位置を補正した状態にするための可動手順において干渉が生じるか否かを判定することもできる。
例えば、放射線治療装置200と一体的に構成される医用画像収集装置300が、マークにレーザーが合わせられた状態の被検体からコーンビームCT画像、或いは、2方向からのX線画像を収集する。そして、収集したコーンビームCT画像或いは2方向からのX線画像と放射線治療計画用CT装置100が収集したCT画像とで位置合わせを行って位置補正を行う場合、干渉判定装置700は、画像収集後の各可動部の状態を、補正後の状態にするための可動手順において干渉が生じるか否かをさらに判定する。そして、干渉判定装置700は、各判定結果を可動手順に対応付けて操作者にそれぞれ提示する。
上述したように干渉判定装置700によって判定結果が提示されると、操作者は、干渉を生じない可動手順によって各可動部を動かした後、放射線治療を開始する。具体的には、干渉判定装置700は、操作者より可動手順の決定操作を受け付け、受け付けた可動手順の情報を放射線治療管理システム600に送信する。ここで、干渉判定装置700は、IGRTの場合、各装置を現時点の状態からレーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態にするための可動手順、及び、レーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態から位置を補正した状態にするための可動手順をそれぞれ放射線治療管理システム600に送信する。
放射線治療管理システム600は、治療計画装置500から転送された治療計画及び干渉判定装置700から転送された可動手順を記憶回路に記憶する。そして、放射線治療管理システム600は、記憶回路から可動手順及び治療計画を読み出して、可動手順及び治療計画に従って放射線治療装置200を制御し、放射線治療を実行する。なお、放射線治療管理システム600は、可動手順の各手順に対して実行操作を受け付ける場合であってもよい。ここで、治療対象部位が拍動や呼吸等により動く場合、位置確認装置400は、放射線治療の最中に、治療対象部位の動きをリアルタイムで検出する。そして、放射線治療管理システム600は、治療対象部位が所定の位置にある間に放射線を照射するよう放射線治療装置200を制御し、放射線治療を実行する。
次に、放射線治療システム1における各装置について説明する。まず、図2を用いて、放射線治療計画用CT装置100について説明する。図2は、第1の実施形態に係る放射線治療計画用CT装置100の構成の一例を示す図である。図2に示すように、放射線治療計画用CT装置100は、架台110と、天板122を有する寝台装置120と、制御用のコンソール130とを備える。また、図2に示すように、天板122は、体軸方向にスライド可能に寝台駆動装置121に支持され、被検体Pが載置される。
架台110は、被検体P(患者)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール130に出力する装置であり、X線照射制御回路111と、X線発生装置112と、検出器113と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)114と、回転フレーム115と、架台駆動回路116とを有する。
回転フレーム115は、X線発生装置112と検出器113とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、架台駆動回路116によって被検体Pを中心とした円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。X線照射制御回路111は、高電圧発生部として、X線管112aに高電圧を供給する装置であり、X線管112aは、X線照射制御回路111から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路111は、スキャン制御回路133の制御により、X線管112aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
また、X線照射制御回路111は、ウェッジ112bの切り替えを行う。また、X線照射制御回路111は、コリメータ112cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。X線発生装置112は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管112aと、ウェッジ112bと、コリメータ112cとを有する。
X線管112aは、図示しない高電圧発生部により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを照射する真空管であり、回転フレーム115の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。ウェッジ112bは、X線管112aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ112bは、X線管112aから被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管112aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。なお、ウェッジ112bは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ112cは、X線照射制御回路111の制御により、ウェッジ112bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。架台駆動回路116は、回転フレーム115を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置112と検出器113とを旋回させる。検出器113は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図2に示すZ軸方向)に沿って複数列配列される。
データ収集回路114は、DASであり、検出器113が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、データ収集回路114は、検出器113により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データをコンソール130に送信する。例えば、回転フレーム115の回転中に、X線管112aからX線が連続曝射されている場合、データ収集回路114は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、データ収集回路114は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、コンソール130に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。
寝台装置120は、被検体Pを載せる装置であり、寝台駆動装置121と、天板122とを有する。寝台駆動装置121は、天板122をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム115内に移動させる。天板122は、被検体Pが載置される板である。
コンソール130は、操作者による放射線治療計画用CT装置100の操作を受け付けるとともに、架台110によって収集された投影データを用いてX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する装置である。コンソール130は、図2に示すように、入力回路131と、ディスプレイ132と、スキャン制御回路133と、前処理回路134と、記憶回路135と、画像再構成回路136と、処理回路137とを有する。
入力回路131は、放射線治療計画用CT装置100の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路137に転送する。ディスプレイ132は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路137による制御のもと、X線CT画像データから生成されたCT画像を操作者に表示したり、入力回路131を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
スキャン制御回路133は、処理回路137による制御のもと、X線照射制御回路111、架台駆動回路116、データ収集回路114及び寝台駆動装置121の動作を制御することで、架台110における投影データの収集処理を制御する。具体的には、スキャン制御回路133は、放射線治療計画用のCT画像を収集する撮影における投影データの収集処理を制御する。
前処理回路134は、データ収集回路114によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成して、記憶回路135に格納する。記憶回路135は、前処理回路134により生成された投影データを記憶する。また、記憶回路135は、画像再構成回路136によって生成された画像データを記憶する。
画像再構成回路136は、記憶回路135が記憶する投影データを用いてX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。あるいは、画像再構成回路136は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成することもできる。また、画像再構成回路136は、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで、CT画像を生成する。そして、画像再構成回路136は、再構成したX線CT画像データや、各種画像処理により生成したCT画像を記憶回路135に格納する。
処理回路137は、架台110、寝台装置120及びコンソール130の動作を制御することによって、放射線治療計画用CT装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路137は、スキャン制御回路133を制御することで、架台110で行なわれるCTスキャンを制御する。また、処理回路137は、画像再構成回路136を制御することで、コンソール130における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路137は、再構成したX線CT画像データや、生成したCT画像を治療計画装置500に送信する。また、処理回路137は、記憶回路135が記憶する各種画像データを、ディスプレイ132に表示するように制御する。
なお、図2に示す各回路によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路135に記録されている。また、各回路は、各プログラムを記憶回路135から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
次に、図3を用いて、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400について説明する。図3は、第1の実施形態に係る放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400を説明するための図である。まず、放射線治療装置200は、図3に示すように、回転架台270と、天板250を有する寝台装置と、治療用の放射線を照射する放射線発生器232と、放射線絞り器233とを有し、治療計画装置500による治療計画に沿って、治療対象部位に対して放射線を照射する。
また、医用画像収集装置300は、図3に示すように、撮影用の放射線を照射する放射線発生器301と、撮影用の放射線を検出する検出器302を備え、位置合わせ用のコーンビームCT画像を生成することができる。なお、図3においては、医用画像収集装置300は、放射線治療装置200と一体的に構成されている。また、図3において、放射線発生器301及び検出器302は回転架台270と接合されており、回転架台270の回転に伴って、放射線発生器301及び検出器302も回転移動する。
例えば、放射線治療の前に、回転架台270を一回転させて、その間に放射線発生器301により放射線を被検体Pに照射し続け、被検体Pを透過した放射線が検出器302によって検出される。これにより、様々な方向からの被検体Pの透視画像(2次元画像)が生成される。そして、生成された複数の透視画像に基づいてコーンビームCT画像が再構成され、ディスプレイ220に表示される。これにより、放射線治療時の治療対象部位の位置を確認することができる。例えば、放射線発生器232によって治療用の放射線が照射されている間に、放射線発生器301が放射線を被検体Pに照射し続けてX線画像を生成することで、治療時の治療対象部位の位置を確認することができる。
また、位置確認装置400は、被検体Pの位置や動きを確認するための装置であり、例えば、被検体Pの呼吸の動作を検出する。一例を挙げると、位置確認装置400は、被検体の体表の動きを赤外線によってモニタリングすることにより、放射線発生器232から照射される放射線により放射線治療が実行されている間に、天板250の上に載置された被検体Pの呼吸の動作を検出し、検出した被検体Pの位置や動きの情報をディスプレイ220に表示させる。また、位置確認装置400は、検出した被検体Pの位置や動きの情報を放射線治療管理システム600に送信する。放射線治療管理システム600は、被検体Pの位置や動きの情報を用いることで、治療対象部位が放射線照射領域にある間に限った放射線の照射を実行する。
次に、図4を用いて、放射線治療装置200の構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る放射線治療装置200の構成の一例を示す図である。図4に示すように、放射線治療装置200は、入力回路210と、ディスプレイ220と、放射線発生装置230と、移動機構240と、天板250と、システム制御回路260とを有する。放射線発生装置230は、放射線制御回路231と、放射線発生器232と、放射線絞り器233とを有する。放射線制御回路231は、システム制御回路260による制御のもと、治療計画に沿った放射線量の放射線を照射するように、放射線発生器232の高電圧発生器における印加電圧や印加時間等を制御する。放射線発生器232は、図示しない電子銃と加速管を備える。加速管は、電子銃から発生した熱電子を加速し、タングステンターゲットに衝突させて治療用の放射線を放射する。放射線絞り器233は、治療用の放射線の照射範囲を設定する複数の絞り羽根を有する。例えば、放射線絞り器233は、絞り移動機構241によってこれらの絞り羽根を移動させることで被検体Pの治療対象部位に対応した形状を有する放射線照射領域を形成する。
移動機構240は、絞り移動機構241と、機構制御回路242と、天板移動機構243とを有する。絞り移動機構241は、機構制御回路242による制御のもと放射線絞り器233の絞り羽根を移動させる。天板移動機構243は、機構制御回路242による制御のもと、天板250を移動させる。機構制御回路242は、システム制御回路260による制御のもと、絞り羽根移動制御信号を絞り移動機構241に送信することにより絞り羽根を移動させる。また、機構制御回路242は、天板移動制御信号を天板移動機構243へ送信することにより、天板250を移動させる。ここで、機構制御回路242は、天板250を水平方向及び鉛直方向に移動させる。また、機構制御回路242は、鉛直方向を軸として天板250を回転させることで、水平方向における天板250の角度を変更することができる。また、機構制御回路242は、水平方向を軸として天板250を回転させることで、天板250の水平面に対する角度を変更することができる。
入力回路210は、放射線治療装置200の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御回路260に転送する。ディスプレイ220は、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御回路260による制御のもと、コーンビームCT画像を操作者に表示したり、入力回路210を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUIを表示したりする。
システム制御回路260は、回転架台270、放射線発生装置230、移動機構240の動作を制御することによって、放射線治療装置200の全体制御を行う。具体的には、システム制御回路260は、放射線治療管理システム600による管理の下、治療計画に基づいて放射線制御回路231を制御することで、被検体Pへの放射線の照射を制御する。また、システム制御回路260は、治療計画に基づいて、機構制御回路242を制御することで、天板250の位置を制御する。また、システム制御回路260は、コーンビームCT画像やGUIを、ディスプレイ220に表示するように制御する。
なお、図4に示す各回路によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で図示しない記憶回路に記録されている。また、各回路は、各プログラムを図示しない記憶回路から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係る干渉判定装置700について説明する。図5は、第1の実施形態に係る干渉判定装置700の構成の一例を示す図である。図5に示すように、干渉判定装置700は、入力回路710と、ディスプレイ720と、記憶回路730と、処理回路740とを有する。例えば、干渉判定装置700は、ワークステーションや、任意のパーソナルコンピュータなどである。
入力回路710は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等の入力デバイスであり、干渉判定装置700に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。ディスプレイ720は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであり、各種情報を表示する。例えば、ディスプレイ720は、干渉の判定結果を可動手順に対応付けて表示する。なお、干渉判定装置700は、複数のディスプレイ720を備えることができ、例えば、操作者が治療計画を立案する部屋や、放射線治療装置200が配置された部屋などにディスプレイ720をそれぞれ配置することもできる。
記憶回路730は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などであり、後述する処理回路740によって用いられる種々の情報を記憶する。例えば、記憶回路730は、処理回路740によって読み出され、実行される各種プログラムを記憶する。また、記憶回路730は、後述する処理回路740が干渉の有無を判定する際に用いる体型情報や機構構造情報を記憶する。また、記憶回路730は、後述する処理回路740による判定結果を記憶する。
処理回路740は、干渉判定装置700における各種処理を実行する。例えば、処理回路740は、算出機能741、判定機能742及び表示制御機能743に対応するプログラムを記憶回路730から読み出して実行することで、種々の処理を行う。なお、処理回路740による処理の詳細については後述する。図5に示す処理回路740によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路730に記録されている。また、処理回路740は、各プログラムを記憶回路730から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。また、図5に示す算出機能741は、特許請求の範囲における算出部に対応する。また、図5に示す判定機能742は、特許請求の範囲における判定部に対応する。また、図5に示す表示制御機能743は、特許請求の範囲における表示制御部に対応する。
なお、上述した放射線治療計画用CT装置100、放射線治療装置200及び干渉判定装置700の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、干渉判定装置700における各種処理により、干渉の有無を予め判定し、操作者に示すことを可能にする。以下、放射線治療のセットアップにおける、装置同士又は装置と被検体との干渉の判定を一例に挙げて説明する。なお、放射線治療のセットアップとは、放射線治療を開始するために行われる種々の操作(例えば、被検体を放射線治療装置200の天板上に載置し、放射線治療の準備を行う各種操作)である。なお、以下では、通常の放射線治療を行う場合を一例に挙げて説明する。
放射線治療においては、治療を開始するために、治療計画に応じた放射線を照射する状態まで、天板250や回転架台270等の各可動部を移動させる。例えば、機構制御回路242は、まず、被検体Pを天板250の上に載置しやすくするため、天板移動機構243を制御することで天板250の位置を下降させる。また、例えば、機構制御回路242は、被検体Pを天板250の上に載置した後、放射線治療を行うため、天板250の位置を上昇させたり、天板250を被検体Pの体軸方向に移動させたり、回転架台270を回転させたりする。即ち、放射線治療の開始前であっても、放射線治療が開始される前の当初の状態から放射線治療を行う際の状態まで、天板250や回転架台270等の各可動部が動くこととなる。ここで、各可動部を動かす可動手順によっては、放射線発生器232や放射線絞り器233、放射線発生器301、検出器302、天板250、被検体Pなどにおいて干渉を生じる場合があった。
そこで、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、干渉判定装置700が、可動部を動かす可動手順によって干渉を生じるか否かを判定し、判定結果を可動手順に対応付けて表示させることで、セットアップの段階における干渉を避けることを可能にする。
以下、第1の実施形態に係る干渉判定装置700の詳細について、放射線治療のセットアップを例として、図6を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係る放射線治療のセットアップの一例を説明するための図である。また、図6は、天板250に被検体Pを載置した直後の状態を示す。以下では、図6に示す状態から、放射線を照射する状態とするため、回転架台270を「135°」右回転させ、天板250を鉛直方向を軸として「30°」回転させ、天板250を被検体Pの体軸方向(Z方向)に「20.3cm」動かす場合について説明する。
算出機能741は、回転架台270や天板250等の可動部が、現時点の状態から、放射線を照射する状態となるまでの可動手順を算出する。具体的には、まず、算出機能741は、治療計画装置500から治療計画データを取得する。また、算出機能741は、放射線治療を開始する前の状態の情報、即ち、現時点での各可動部の位置や角度等を取得する。例えば、算出機能741は、天板250や回転架台270の動きを制御する機構制御回路242から、放射線治療を開始する前の状態の情報を取得する。また、算出機能741は、放射線を照射する状態の情報、即ち、放射線の照射を開始する時点での各可動部の位置や角度等を取得する。例えば、算出機能741は、治療計画データから、放射線を照射する状態の情報を取得する。
次に、算出機能741は、可動部及び放射線の照射に係る機器の機構構造情報に基づいて、各可動部が放射線治療開始前の状態から放射線を照射する状態となるまでの可動手順を算出する。なお、機構構造情報は、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400の設計データなどから予め取得され、記憶回路730に格納される。そして、算出機能741は、機構構造情報を、記憶回路730から読み出す。
ここで、算出機能741は、放射線を照射する状態となるまでの可動手順を複数算出する。即ち、算出機能741は、可動手順を、複数の可動部を動かす順番のパターンごとに複数算出する。例えば、算出機能741は、図6においては、回転架台270を右回転させ、天板250を回転させてから被検体Pの体軸方向(Z方向)に動かす場合や、天板250を回転させ、回転架台270を右回転させてから天板250をZ方向に動かす場合など、「6通り」の可動手順を算出する。
なお、算出機能741は、各可動部の動きを任意の単位に分けて可動手順を算出する場合であってもよい。例えば、算出機能741は、回転架台270を「135°」右回転させるという動作を、回転架台270を「45°」右回転させるという動作と「90°」右回転させるという動作とに分けて、可動手順を算出することができる。この場合、算出機能741は、「24通り」の可動手順を算出する。また、算出機能741は、可動部の構造によって実行できない可動手順を除外して、可動手順を算出する場合であってもよい。
次に、判定機能742は、算出機能741が算出した各可動手順について、干渉の有無を判定する。即ち、判定機能742は、各可動手順に従って各可動部を動かしたとした場合に、各可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器において干渉を生じるか否かを、可動手順ごとに判定する。なお、放射線の照射に係る機器とは、放射線治療に係る機器のうち、可動部を除く一切の機器を意味する。例えば、放射線の照射に係る機器には、ディスプレイ220や、回転架台270を床と結合して支持する支持部、位置確認装置400などが含まれる。
ここで、判定機能742は、可動部及び放射線の照射に係る機器の機構構造情報や、被検体Pの体型情報を用いて、各可動手順における干渉の有無を判定する。例えば、判定機能742は、機構構造情報や体型情報に基づいて、現時点での各可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器の間の距離を算出する。次に、判定機能742は、算出機能741が算出した可動手順に従って可動部を動かす際の、各可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器の間の距離の変化を算出する。そして、判定機能742は、算出した距離の値が「0以下」となる場合に、干渉を生じると判定する。
一例を挙げると、判定機能742は、機構構造情報や体型情報に基づいて、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器の輪郭の座標を取得する。次に、判定機能742は、機構構造情報に含まれる可動部の可動範囲の情報に基づいて、可動部が動いた場合に可動部の輪郭が通過する領域の輪郭の座標を取得する。そして、判定機能742は、各輪郭の座標間の距離を計算し、算出した距離の値が「0以下」となる場合には、干渉を生じると判定する。
なお、判定機能742は、各可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器の間の距離が所定の閾値以下となる場合に、干渉を生じると判定する場合であってもよい。例えば、判定機能742は、可動部及び放射線の照射に係る機器における干渉について、間の距離が「1cm以下」となる場合に干渉を生じると判定する。これにより、判定機能742は、機構構造情報の正確さに起因する誤判定を回避することができる。さらに、上述したように、所定のマージンを取って判定を行うことにより、判定機能742は、被検体Pの荷重による天板250の撓みなどを考慮した判定を行うことができる。また、例えば、判定機能742は、被検体P及び可動部又は被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉について、間の距離が「20cm以下」となる場合に干渉を生じると判定する。これにより、判定機能742は、機構構造情報や体型情報の正確さに起因する誤判定を回避し、あるいは、接触までは生じないものの、体の近傍を装置が通過することで被検体Pにストレスを与えることを回避することができる。
そして、表示制御機能743は、判定機能742によって判定された判定結果を、可動手順に対応付けてディスプレイ720に表示させる。ここで、判定結果の表示について、図7A及び図7Bを用いて説明する。図7A及び図7Bは、第1の実施形態に係る判定結果の表示例を示す図である。
例えば、表示制御機能743は、図7Aに示すように、干渉を生じないと判定された可動手順を、装置及び被検体Pを示す画像上に表示される矢印と、矢印と併せて表示される番号とにより、操作者に提示する。ここで、図7Aは、回転架台270を右回転させた後に天板250を鉛直方向を軸として回転させ、次に天板250を被検体Pの体軸方向に動かす可動手順を示す。なお、表示制御機能743は、装置及び被検体Pを示す画像が3次元画像である場合には、各可動部の動きを表現する矢印を3次元で表示することができる。
また、例えば、表示制御機能743は、図7Bに示すように、干渉を生じないと判定された可動手順の内容を文字で操作者に提示する。ここで、表示制御機能743は、図7Aに示す画像と、図7Bに示す文字とを併せて操作者に提示する場合であってもよい。また、例えば、表示制御機能743は、干渉を生じないと判定された可動手順の内容を、フローチャート等の図形により操作者に提示する場合であってもよい。
ここで、表示制御機能743は、干渉を生じないと判定された可動手順が複数ある場合には、干渉を生じないと判定された各可動手順のうち、可動部が動く回数が最小となる可動手順や、可動部が動いて放射線を照射する状態となるまでの所要時間が最小となる可動手順を表示させる。また、例えば、表示制御機能743は、複数の可動手順を表示することができる。一例を挙げると、表示制御機能743は、干渉を生じないと判定された各可動手順を、入力回路710を通じて操作者から受け付ける切り替え操作に応じて、ディスプレイ720に表示させる。
また、表示制御機能743は、干渉を生じると判定された可動手順によって可動部の動きが開始された場合に、ディスプレイ720に警告情報を表示させる。例えば、天板250を鉛直方向を軸として回転させてから被検体Pの体軸方向に動かし、次に回転架台270を右回転させると干渉が生じる場合において、操作者が、天板250を鉛直方向を軸として回転させる操作を行ったとする。ここで、操作者が天板250を被検体Pの体軸方向に動かす操作を行うと、表示制御機能743は、天板250と放射線絞り器233とが干渉するという警告メッセージを表示する。
なお、表示制御機能743は、干渉判定装置700が備えるディスプレイ720に限らず、種々のディスプレイに判定結果を表示させることができる。例えば、表示制御機能743は、判定結果を放射線治療装置200が備えるディスプレイ220に表示させることができる。また、干渉判定装置700は、警告情報を表示するのに代えて、又は警告情報の表示と共に、警告音を発する場合であってもよい。また、干渉判定装置700は、干渉を生じる操作が実行されないように各可動部を制御する場合であってもよい。
上述したように、干渉判定装置700は、放射線治療のセットアップを行う際の各可動手順について干渉を生じるか否かを判定し、判定結果を操作者に提示する。そして、操作者は、干渉を生じる可動手順を避け、適切な可動手順で放射線治療のセットアップを行うことができる。また、放射線治療のセットアップが完了し、放射線治療の開始コマンドが入力されると、放射線治療装置200は、放射線治療管理システム600による制御の下、治療計画に従って被検体Pに対して放射線を照射し、放射線治療を実行する。
なお、IGRTの場合、干渉判定装置700は、各装置を現時点の状態からレーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態にするための可動手順、及び、レーザー照準器によるレーザーをマークに合わせて放射線を照射する状態から位置を補正した状態にするための可動手順について、上述した処理をそれぞれ実行する。
次に、図8を用いて、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の処理について説明する。図8は、第1の実施形態に係る放射線治療システム1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図8における処理の手順は、放射線治療のセットアップにおける処理を示す。
図8に示すステップS103及びステップS104は、処理回路740が記憶回路730から算出機能741に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図8に示すステップS101、ステップS102及びステップS105は、処理回路740が記憶回路730から判定機能742に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図8に示すステップS106は、処理回路740が記憶回路730から表示制御機能743に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
ステップS101では、処理回路740が、放射線治療のセットアップを開始するか否かを判定する。例えば、処理回路740は、操作者からの操作に基づいて、放射線治療のセットアップを開始するか否かを判定する。ここで、放射線治療のセットアップを開始しない場合(ステップS101否定)、処理回路740は、待機状態となる。一方、放射線治療のセットアップを開始する場合(ステップS101肯定)、ステップS102に進み、処理回路740は、治療計画装置500から「治療計画データ」を取得し、放射線治療計画用CT装置100によるCT画像から被検体Pの「体型情報」を取得する。
ステップS103では、処理回路740が、可動部の現在の位置や角度といった「放射線治療開始前の状態」の情報を取得する。ステップS104では、処理回路740が、可動部及び放射線の照射に係る機器の「機構構造情報」を用いて、「放射線治療開始前の状態」から「放射線を照射する状態」となるまでの可動手順を算出する。ここで、処理回路740は、「放射線を照射する状態」を、「治療計画データ」から取得することができる。ステップS105では、処理回路740が、「機構構造情報」と「体型情報」とを用いて、算出された可動手順ごとに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。そして、ステップS106にて、処理回路740は、判定の結果を可動手順に対応付けて表示する。
上述したように、第1の実施形態によれば、算出機能741が、被検体Pの治療部位に対して放射線を照射するために動く複数の可動部が現時点の状態から所定の状態となるまでの可動手順を算出する。判定機能742が、算出機能741によって算出された可動手順によって複数の可動部を動かした場合の、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。表示制御機能743が、判定機能742によって判定された判定結果を可動手順に対応付けて表示させる。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、可動部の可動手順ごとに干渉の有無を判定し、判定結果を表示することで、放射線治療に係る装置及び被検体Pにおける干渉を防止することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、算出機能741は、放射線治療開始前の状態から、放射線を照射する状態となるまでの可動手順を算出する。また、判定機能742は、算出された可動手順ごとに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、放射線治療のセットアップにおける装置間の干渉又は装置及び被検体Pにおける干渉を防止することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、判定機能742は、被検体Pの体型情報を用いて干渉の有無を判定する。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、被検体Pの体型に応じて、装置と被検体Pとでの干渉を生じるか否かを適切に判定することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、判定機能742は、放射線治療装置200及び被検体Pに加え、医用画像収集装置300や位置確認装置400も考慮して、干渉の有無を判定する。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400の干渉を防ぐことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能743は、判定機能742により干渉を生じないと判定された可動手順を表示させる。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、放射線治療のセットアップのために必要な可動部の操作手順であって、干渉を回避する操作手順を操作者に提示し、セットアップの効率を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能743は、判定機能742により干渉を生じないと判定された可動手順のうち、可動部が動く回数又は可動部が放射線を照射する状態となるまでの所要時間が最小となる可動手順を表示させる。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、干渉を回避する操作手順のうち最も効率的な操作手順を操作者に提示し、セットアップの効率をさらに向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能743は、判定機能742により干渉を生じると判定された可動手順によって可動部の動きが開始された場合に警告情報を表示させる。従って、第1の実施形態に係る干渉判定装置700は、操作者が可動部を動かす順序を誤った場合であっても、干渉を防止することを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、放射線治療のセットアップ段階における干渉の有無を判定し、判定結果を表示する場合について説明した。第2の実施形態では、放射線治療が完了してから、次の放射線治療を開始するまでの干渉の有無を判定し、判定結果を表示する場合について説明する。なお、第2の実施形態に係る干渉判定装置700は、第1の実施形態に係る干渉判定装置700と比較して、算出機能741及び判定機能742による処理内容が異なる。以下、これについて説明する。
例えば、上述したように放射線治療がセットアップされ、放射線治療が実行された後、同一の被検体Pに対する次の放射線治療が連続的に行われる場合がある。例えば、頭部の放射線治療を実行した後、さらに、腹部の放射線治療が実行される場合がある。なお、以下では、既に実行された放射線治療を第1の放射線治療と記載し、第1の放射線治療の次に実行される放射線治療を第2の放射線治療と記載する。ここで、第1の放射線治療のための放射線を照射する状態から、第2の放射線治療のための放射線を照射する状態となるまでに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉を生じる場合がある。そこで、干渉判定装置700は、第1の放射線治療の後、第2の放射線治療が開始されるまでの干渉の有無を可動手順ごとに判定する。
例えば、まず、算出機能741は、機構構造情報を用いて、第1の放射線治療のための放射線を照射する状態から、第2の放射線治療のための放射線を照射する状態となるまでの可動手順を複数算出する。なお、機構構造情報は、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400の設計データなどから予め取得され、記憶回路730に格納される。そして、算出機能741は、機構構造情報を、記憶回路730から読み出すことができる。
なお、第1の放射線治療のための放射線を照射する状態とは、現時点での可動部の位置や角度等である。ここで、算出機能741は、第1の放射線治療のための放射線を照射する状態の情報を、例えば、天板250や回転架台270の動きを制御する機構制御回路242から取得することができる。また、算出機能741は、第2の放射線治療のための放射線を照射する状態の情報を、例えば、治療計画装置500が生成する治療計画から取得することができる。
次に、判定機能742は、算出機能741が算出した各可動手順について、体型情報及び機構構造情報を用いて、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉が生じるか否かを判定する。なお、判定機能742は、放射線治療計画用CT装置100が収集したCT画像から、被検体Pの体型情報を取得する。また、判定機能742は、放射線治療のセットアップの段階における干渉判定のため、既に体型情報を取得している場合には、新たに体型情報を取得することなく、干渉を判定することができる。そして、表示制御機能743は、判定結果を可動手順に対応付けて表示させる。また、操作者は、干渉を生じる可動手順を避け、適切な可動手順で、第2の放射線治療を開始する状態とすることができる。
次に、図9を用いて、第2の実施形態に係る放射線治療システム1の処理について説明する。図9は、第2の実施形態に係る放射線治療システム1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図9における処理の手順は、第1の放射線治療を終えてから、第2の放射線治療を開始するまでの処理を示す。また、図9においては、「体型情報」及び「機構構造情報」が、放射線治療のセットアップ段階での判定のため、既に収集されている場合について説明する。
図9に示すステップS202及びステップS203は、処理回路740が記憶回路730から算出機能741に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図9に示すステップS201及びステップS204は、処理回路740が記憶回路730から判定機能742に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図9に示すステップS205は、処理回路740が記憶回路730から表示制御機能743に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
ステップS201では、処理回路740が、第2の放射線治療があるか否かを判定する。例えば、処理回路740は、「治療計画データ」に基づいて、第2の放射線治療があるか否かを判定する。ここで、第2の放射線治療がない場合(ステップS201否定)、処理回路740は、処理を終了する。一方、第2の放射線治療がある場合(ステップS201肯定)、ステップS202に進み、処理回路740は、「第1の放射線治療のための放射線を照射する状態」の情報と、「第2の放射線治療のための放射線を照射する状態」の情報とを取得する。
ステップS203では、処理回路740が、可動部及び放射線の照射に係る機器の「機構構造情報」を用いて、「第1の放射線治療のための放射線を照射する状態」から「第2の放射線治療のための放射線を照射する状態」となるまでの可動手順を算出する。ステップS204では、処理回路740が、被検体Pの「体型情報」及び「機構構造情報」を用いて、算出された可動手順ごとに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。そして、ステップS205にて、処理回路740は、判定の結果を可動手順に対応付けて表示する。
上述したように、第2の実施形態によれば、算出機能741は、可動部が第1の放射線治療のための放射線を照射する状態から、第2の放射線治療のための放射線を照射する状態となるまでの可動手順を算出する。また、判定機能742は、算出された可動手順ごとに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。従って、第2の実施形態に係る干渉判定装置700は、複数の放射線治療が実行される場合であって次の放射線治療のために可動部を動かす際の、装置間の干渉又は装置及び被検体Pにおける干渉を防止することを可能にする。
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態では、放射線治療のセットアップ段階における干渉の有無を判定し、又は次の放射線治療を開始する状態とする際の干渉の有無を判定する場合について説明した。第3の実施形態では、放射線の照射を終えてから、放射線治療を終了するまでの干渉の有無を判定し、判定結果を表示する場合について説明する。なお、第3の実施形態に係る干渉判定装置700は、第1及び第2の実施形態に係る干渉判定装置700と比較して、算出機能741及び判定機能742による処理内容が異なる。以下、これについて説明する。
例えば、被検体Pの腫瘍等に対する放射線の照射が完了すると、被検体Pが天板250から降ろされる。ここで、被検体Pを天板250から降ろすため、可動部が動く場合がある。例えば、機構制御回路242は、被検体Pが天板250から降りやすくなるように、天板移動機構243を制御し、天板250の位置を下降させる。また、例えば、機構制御回路242は、放射線発生器232や放射線絞り器233、放射線発生器301、検出器302などが、被検体Pが天板250から降りる動作を阻害しないように、天板250を水平方向に移動させたり、回転架台270を回転させたりする。ここで、被検体Pを天板250から降ろす際の可動部の動きにより、干渉を生じる場合がある。そこで、干渉判定装置700は、被検体Pに対して放射線を照射する状態から、被検体Pを天板250から降ろすための状態となるまでの干渉の有無を可動手順ごとに判定する。
例えば、まず、算出機能741は、機構構造情報を用いて、被検体Pに対して放射線を照射する状態から、被検体Pを天板250から降ろすための状態となるまでの可動手順を複数算出する。なお、機構構造情報は、放射線治療装置200、医用画像収集装置300及び位置確認装置400の設計データなどから予め取得され、記憶回路730に格納される。そして、算出機能741は、機構構造情報を、記憶回路730から読み出すことができる。
なお、被検体Pに対して放射線を照射する状態とは、現時点での可動部の位置や角度等である。ここで、算出機能741は、被検体Pに対して放射線を照射する状態の情報を、例えば、天板250や回転架台270の動きを制御する機構制御回路242から取得することができる。また、被検体Pを天板250から降ろすための状態は、被検体Pによらず一定の状態であってもよいし、被検体Pの体型情報等に応じて変更される状態であってもよい。
次に、判定機能742は、算出機能741が算出した各可動手順について、体型情報及び機構構造情報を用いて、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉が生じるか否かを判定する。なお、判定機能742は、放射線治療計画用CT装置100が収集したCT画像から、被検体Pの体型情報を取得する。また、判定機能742は、放射線治療のセットアップの段階における干渉判定のため、あるいは次の放射線治療を開始する状態とする際の干渉判定のため、既に体型情報を取得している場合には、新たに体型情報を取得することなく、干渉を判定することができる。そして、表示制御機能743は、判定結果を可動手順に対応付けて表示させる。また、操作者は、干渉を生じる可動手順を避け、適切な可動手順で放射線治療を終了することができる。
次に、図10を用いて、第3の実施形態に係る放射線治療システム1の処理について説明する。図10は、第3の実施形態に係る放射線治療システム1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図10における処理の手順は、放射線治療を終了する際の処理を示す。また、図10においては、「体型情報」及び「機構構造情報」が、放射線治療のセットアップ段階での判定等のため、既に収集されている場合について説明する。
図10に示すステップS302及びステップS303は、処理回路740が記憶回路730から算出機能741に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図10に示すステップS301及びステップS304は、処理回路740が記憶回路730から判定機能742に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図10に示すステップS305は、処理回路740が記憶回路730から表示制御機能743に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
ステップS301では、処理回路740が、放射線治療を終了するか否かを判定する。例えば、処理回路740は、操作者からの操作に基づいて、放射線治療を終了するか否かを判定する。ここで、放射線治療を終了しない場合(ステップS201否定)、処理回路740は、待機状態となる。一方、放射線治療を終了する場合(ステップS201肯定)、ステップS202に進み、処理回路740は、「放射線を照射する状態」の情報と、「被検体Pを寝台から降ろすための状態」の情報とを取得する。
ステップS303では、処理回路740が、可動部及び放射線の照射に係る機器の「機構構造情報」を用いて、「放射線を照射する状態」から「被検体Pを寝台から降ろすための状態」となるまでの可動手順を算出する。ステップS304では、処理回路740が、「体型情報」及び「機構構造情報」を用いて、算出された可動手順ごとに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。そして、ステップS305にて、処理回路740は、判定の結果を可動手順に対応付けて表示する。
上述したように、第3の実施形態によれば、算出機能741は、可動部が放射線を照射する状態から被検体Pを寝台から降ろすための状態となるまでの可動手順を算出する。また、判定機能742は、算出された可動手順ごとに、可動部、被検体P及び放射線の照射に係る機器における干渉の有無を判定する。従って、第3の実施形態に係る干渉判定装置700は、放射線治療を終了するために可動部を動かす際の、装置間の干渉又は装置及び被検体Pにおける干渉を防止することを可能にする。
さて、これまで第1〜第3の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、干渉判定装置700が、干渉を防止することを可能にするための各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、放射線治療システム1に含まれるいずれの装置が処理する場合であってもよい。例えば、上述した干渉判定装置700による処理を、治療計画装置500や、放射線治療管理システム600などが実行する場合であってもよい。また、上述した各機能が同一の装置によって実行されてもよく、異なる装置で実行される場合であってもよい。例えば、治療計画装置500が干渉の有無を判定して、干渉を生じない可動手順を導出し、放射線治療装置200が、治療計画装置500によって導出された可動手順を提示する場合であってもよい。
また、上述した実施形態では、放射線治療のセットアップにおける干渉、次の放射線治療を行う状態とする際の干渉、放射線治療終了時の干渉について、それぞれ説明した。ここで、これらの干渉を判定する機能は、組み合わせて実行される場合であってもよい。例えば、放射線治療のセットアップにおける干渉を判定する機能と、次の放射線治療を行う状態とする際の干渉を判定する機能と、放射線治療終了時の干渉を判定する機能と、放射線治療中の干渉をチェックする従来の機能とを組み合わせて実行することにより、放射線治療の開始から終了に至るまでの一連の操作における干渉を防止することができる。
また、上述した実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態で説明した干渉判定方法は、予め用意された干渉判定プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この干渉判定プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この干渉判定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明したとおり、第1〜第3の実施形態によれば、放射線治療に係る装置及び被検体における干渉を防止することを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。