以下、図面を参照して、X線診断装置及び制御プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係るX線診断装置及び制御プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示す図である。図1に示すように、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、X線絞り器103と、天板104と、Cアーム105と、X線検出器106と、メモリ107と、ディスプレイ108と、入力インターフェース109と、処理回路110とを備える。
X線高電圧装置101は、処理回路110による制御の下、X線管102に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管102に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管102が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
X線管102は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管102は、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
X線絞り器103は、X線管102により発生されたX線の照射範囲を絞り込むX線絞りと、X線管102から曝射されたX線を調節するフィルタとを有する。
X線絞り器103におけるX線絞りは、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。X線絞りは、絞り羽根をスライドさせることで、X線管102が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管102のX線照射口付近に設けられる。
X線絞り器103におけるフィルタは、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像データの画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラスト低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタは、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、X線管102から被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
例えば、X線絞り器103は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることによりX線の照射を制御する。例えば、X線絞り器103は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、X線絞りの絞り羽根の開度を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、例えば、X線絞り器103は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタの位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
天板104は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。例えば、寝台は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、天板104の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。
Cアーム105は、X線管102及びX線絞り器103と、X線検出器106とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。例えば、Cアーム105は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、Cアーム105は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、X線管102及びX線絞り器103と、X線検出器106とを被検体Pに対して回転・移動させ、X線の照射位置や照射角度を制御する。なお、図1では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
X線検出器106は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器106は、X線管102から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。なお、X線検出器106は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
メモリ107は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ107は、処理回路110によって収集されたX線画像データを受け付けて記憶する。また、メモリ107は、処理回路110の処理によって生成される関連情報や、マップ像などを記憶する。なお、関連情報及びマップ像については、後に詳述する。
また、メモリ107は、処理回路110によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。なお、メモリ107は、X線診断装置10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。また、メモリ107は、記憶部の一例である。
ディスプレイ108は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ108は、処理回路110による制御の下、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、各種のX線画像(例えば、部分透視像等)を表示する。例えば、ディスプレイ108は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。なお、ディスプレイ108はデスクトップ型でもよいし、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース109は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路110に出力する。例えば、入力インターフェース109は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。例えば、入力インターフェース109は、部分透視モードを実行するためのスイッチや、通常透視モードを実行するためのスイッチを含む。なお、入力インターフェース109は、入力部の一例である。
ここで、入力インターフェース109は、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース109は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路110へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース109の例に含まれる。
処理回路110は、制御機能110a、出力機能110b、保存機能110c及び生成機能10dを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。ここで、制御機能110aは、制御部の一例である。また、出力機能110bは、出力部の一例である。また、保存機能110cは、保存部の一例である。また、生成機能110dは、生成部の一例である。
例えば、処理回路110は、メモリ107から制御機能110aに相当するプログラムを読み出して実行することにより、X線画像データを収集する。例えば、制御機能110aは、X線高電圧装置101を制御し、X線管102に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。
また、例えば、制御機能110aは、X線絞り器103の動作を制御し、X線絞りが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。具体的には、制御機能110aは、X線絞りにおける複数の絞り羽根をスライドさせることにより、複数の絞り羽根で形成される開口部の形状、サイズ、位置を任意に変化させることができる。例えば、制御機能110aは、入力インターフェース109を介してユーザが設定したROIのみにX線が照射されるように、絞り羽根をスライド移動させる。すなわち、制御機能110aは、ユーザによって指定されたROIの形状、サイズ及び位置となるように、絞り羽根をスライド移動させる。
また、制御機能110aは、X線絞り器103の動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。例えば、制御機能110aは、入力インターフェース109を介してユーザが設定した位置にフィルタを移動させて、X線の線量の分布を制御する。また、制御機能110aは、Cアーム105の動作を制御することで、Cアーム105を回転させたり、移動させたりする。また、例えば、制御機能110aは、寝台の動作を制御することで、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。
なお、制御機能110aは、メモリ107によって記憶される関連情報に基づいて、X線絞りにおける絞り羽根の位置や、フィルタの位置を制御することができる。この点については、後に詳述する。
また、制御機能110aは、X線検出器106から受信した検出信号に基づいて投影データを生成し、生成した投影データをメモリ107に格納する。また、制御機能110aは、メモリ107が記憶する投影データに対して各種画像処理を行なうことで、X線画像を生成する。また、制御機能110aは、X線画像に対して、例えば、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や、散乱線補正を実行する。また、制御機能110aは、回転撮影によって収集した投影データを用いてボリュームデータを再構成し、再構成したボリュームデータからX線画像を生成する。
また、処理回路110は、メモリ107から出力機能110bに相当するプログラムを読み出して実行することにより、ディスプレイ108にGUIやX線画像を表示させる。例えば、出力機能110bは、制御機能110aの制御によって収集された部分透視像などをディスプレイ108に表示させる。
図1に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ107へ記憶されている。処理回路110は、メモリ107からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路110は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図1においては、制御機能110a、出力機能110b、保存機能110c及び生成機能10dの各処理機能が単一の処理回路110によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路110は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路110が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ107に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、図1においては、メモリ107が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、複数のメモリ107を分散して配置し、処理回路110は、個別のメモリ107から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ107にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
以上、X線診断装置10の全体構成について説明した。かかる構成のもと、X線診断装置10は、処理回路110による処理によって、操作性を向上させる。具体的には、X線診断装置10は、X線絞り器103が制御された状態でX線画像が収集されるごとに、X線絞り器103の状態と、X線画像を収集するための機構系の配置とを関連付けて保存することで、同様の配置で再度X線画像を収集する際に、ユーザによるX線絞り器103の設定を省略させ、操作性を向上させることを可能にする。
ここで、本実施形態に係るX線診断装置10における機構系について説明する。機構系は、被検体における撮像位置を設定するために、被検体を移動させたり、X線管102を移動させたりする可動部である。図2は、第1の実施形態にかかる機構系の一例を示す図である。例えば、機構系は、図2に示すように、被検体が載置される天板104と、X線管102及びX線検出器106を保持するCアーム105と、Cアーム105を支持する支持器とを有する。
例えば、Cアーム105は、天板104を挟んで対向する位置にX線管102とX線検出器106とをそれぞれ支持する。そして、Cアーム105は、図2に示すように、水平方向を回転軸として矢印31の方向に回転可能に軸支される。すなわち、Cアーム105が矢印31の方向に回転することで、X線管102及びX線検出器106が矢印34の方向に回転することとなる。ここで、支持器は、鉛直方向を回転軸として矢印32の方向に回転可能に構成される。すなわち、Cアーム105は、支持器によって、鉛直方向を回転軸として矢印32の方向に回転可能に軸支される。さらに、Cアーム105は、図2に示すように、矢印33の方向にスライド移動することができる。さらに、支持器は、矢印35に沿って床回転可能に構成される。
また、天板104は、図2に示すように、長手方向、短手方向、及び、上下方向にそれぞれ移動可能に構成される。なお、図示していないが、天板104は、長手方向及び短手方向に傾けることも可能である。
制御機能110aは、上述したように機構系を種々の方向に移動させることで、天板104上に横臥する被検体の種々の位置に対して様々な角度からX線を曝射させることができ、被検体の種々の位置における様々な角度のX線画像を収集することができる。
本実施形態に係るX線診断装置10では、X線絞り器103を制御してX線画像を収集した際に、X線絞り器103の状態と機構系の配置とを関連付けて記憶する。具体的には、制御機能110aがX線絞り器103のX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方を制御した状態でX線画像を収集した場合に、保存機能110cは、当該X線画像を収集した際のX線絞り器103の状態と機構系の配置とを関連付けた関連情報を生成する。そして、保存機能110cは、生成した関連情報をメモリ107に保存する。すなわち、保存機能110cは、X線画像の収集時の機構系の配置と、当該X線画像の収集時におけるX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態とを関連付けた関連情報をメモリ107に保存する。
図3は、第1の実施形態に係る保存機能110cによる処理の一例を説明するための図である。ここで、図3においては、部分透視が実行された際の関連情報の生成について示す。例えば、図3に示すように、制御機能110aが、まず、全ての絞り羽根を全開にした状態の撮像領域である撮像可能領域R1においてX線画像を収集する。その後、制御機能110aが、撮像可能領域R1に対して4枚の絞り羽根をそれぞれ挿入した状態の撮像領域である撮像領域R2において部分透視像を収集すると、保存機能110cは、部分透視像が収集されている際の機構系の配置と、4枚の絞り羽根の状態とを関連付けた関連情報を生成する。そして、保存機能110cは、生成した関連情報をメモリ107に保存する。また、保存機能110cは、撮像可能領域R1において収集されたX線画像を、各関連情報にさらに関連付けて保存することもできる。
ここで、保存機能110cは、X線絞り器103の状態が変更されるごとに、メモリ107における関連情報を更新する。すなわち、保存機能110cは、関連情報に含まれる機構系の配置において、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態が変更されるごとに、メモリ107における関連情報を更新する。例えば、図3に示す撮像可能領域R1の位置が変化することなく、撮像領域R2の位置やサイズが変更された場合に、保存機能110cは、保存済みの関連情報における4枚の絞り羽根の状態を、変更後の4枚の絞り羽根の状態に更新する。
ここで、保存機能110cは、機構系の配置ごとに関連情報を生成する場合でもよいが、撮像可能領域R1ごとに関連情報を生成する場合でもよい。すなわち、保存機能110cは、機構系の配置が変化した場合でも撮像可能領域R1の位置が実質変化しない場合に、変更前後の機構系の配置に対して1つの関連情報をメモリ107に格納する。
なお、図3における部分透視では、例えば、出力機能110bが、撮像可能領域R1において収集された過去画像(LIH画像等)と、撮像領域R2において収集された部分透視像とを合成した合成画像をディスプレイ108にて表示させる。すなわち、出力機能110bは、撮像領域R2における部分透視像が収集されるごとに、合成画像における部分透視像の領域を新たに収集された部分透視像に更新した動画像をディスプレイ108にて表示させる。また、上述した例では、X線絞りのみを制御してX線画像を収集する部分透視について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、フィルタのみ、或いは、X線絞りとフィルタの両方が制御されてX線画像が収集されるその他の撮像の場合でもよい。
上述したように、保存機能110cは、X線絞り器103が制御された撮像において、関連情報を生成する。以下、関連情報の一例について、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る保存機能110cによって生成される関連情報の一例を示す図である。例えば、保存機能110cは、図4に示すように、機構系とX線絞り器とを対応付けた関連情報を生成する。ここで、保存機能110cによって生成される関連情報は、例えば撮像系の情報に、「寝台」における「位置」及び「傾き」と、「アーム」における「LAO(Left Anterior Oblique)/RAO(Right Anterior Oblique)」及び「CRA(CRANIAL)/CAU(CAUDAL)」と、「X線検出器」における「回転角度」と、「X線管」における「位置」が含まれる。
ここで、「寝台」における「位置」とは、天板104の長手方向、短手方向及び高さ方向の位置を示す。上述したように、天板104は、被検体が載置された状態で長手方向、短手方向及び高さ方向に移動可能である。保存機能110cは、撮像時のこれらの情報を取得して、関連情報に格納する。また、「寝台」における「傾き」とは、天板104の長手方向及び短手方向の傾きを示す。上述したように、天板104は、被検体が載置された状態で長手方向及び短手方向に傾けることが可能である。保存機能110cは、撮像時のこれらの情報を取得して、関連情報に格納する。
また、「アーム」における「LAO/RAO」とは、Cアーム105のラテラル方向の角度を示す。また、「アーム」における「CRA/CAU」とは、Cアーム105の頭足方向の角度を示す。保存機能110cは、撮像時のこれらの情報を取得して、関連情報に格納する。
また、「X線検出器」における「回転角度」とは、X線検出器106の回転角度を示す。図2において説明したように、X線検出器106は、矢印36の方向に回転することができる。保存機能110cは、撮像時のこの情報を取得して、関連情報に格納する。
また、「X線管」における「位置」とは、Cアーム105に支持された状態でのX線管102の位置を示す。保存機能110cは、撮像時のこの情報を取得して、関連情報に格納する。
また、「X線絞り器」における「X線絞り」とは、X線しぼりに含まれる絞り羽根の状態を示す。例えば、「X線絞り器」における「X線絞り」には、4枚の絞り羽根それぞれの開閉状態(開度)が保存される。また、「X線絞り器」における「フィルタ」とは、X線の線質を調整するフィルタの移動後の位置を示す。保存機能110cは、撮像時のこれらの情報を取得して、機構系の情報と関連付けた関連情報に格納する。
保存機能110cは、被検体に対する一連の撮像において、機構系の配置ごと(撮像位置ごと)に、図4に示すような関連情報を生成して、メモリ107に保存する。なお、図4に示す関連情報はあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、機構系の配置の情報として、その他種々の情報を含む場合でもよく、図4に示す情報の一部が省略される場合でもよい。
上述したように、保存機能110cによって関連情報がメモリ107に格納されると、制御機能110aは、関連情報を参照してX線絞り器103を制御する。具体的には、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像における機構系の配置を関連情報と比較し、関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置での撮像において、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態が関連情報にて関連付けられた状態となるように制御する。
例えば、被検体に対する一連の撮像において、操作者は、1度ROIを設定して部分透視を実行した後に、その他の撮像部位に対する位置合せや、一時的な退避の目的で、機構系を操作する(例えば、天板104や、Cアームを移動させる)ことがある。このような場合、例えば、機構系の移動中の視野を確保するために、操作者は、X線絞り器103を退避させる。そして、再度、同一のROIの部分透視を実行する際には、操作者は、ROIの再設定を行う。このように、X線絞り器103を制御した一連の撮像においては、機構系を操作するごとに操作者がX線絞り器103も操作することとなり、操作者に負荷がかかり、操作性が低下する。
そこで、本実施形態では、制御機能110aが、関連情報を参照し、機構系の配置に応じてX線絞り器103を自動制御することで、操作者の負荷を低減し、操作性を向上させる。すなわち、制御機能110aは、関連情報が記憶されている機構系の配置(撮像領域の位置)において、再度撮像が実施される際に、X線絞り器103の状態を関連情報に記憶された状態となるように制御する。
図5は、第1の実施形態に係る制御機能110aによる処理を説明するための図である。ここで、図5においては、被検体における2つの領域においてROIが設定されて部分透視像が収集された場合について示す。例えば、被検体に対する一連の撮像において、図5に示す2つの撮像領域で部分透視像が収集されると、保存機能110cは、図5の左側の図に示す過去撮像領域1における関連情報と過去撮像領域2における関連情報をそれぞれ生成して、メモリ107に格納する。
その後、操作者によって機構系が操作されて、過去撮像領域1及び過去撮像領域2に対応する機構系の配置ではなくなると、制御機能110aは、図5の右側の図に示すように、絞り羽根を退避させることでX線絞りが全開の状態となるように制御する。すなわち、制御機能110aは、図5の右側の図に示すように、撮像領域R2の形状及びサイズが撮像可能領域R1と同一となるように、X線絞りを制御する。
そして、操作者が引き続き機構系を操作して、過去撮像領域1に対応する機構系の配置となると、制御機能110aは、過去撮像領域1の関連情報に含まれるX線絞りの状態となるように絞り羽根を制御する。また、操作者が引き続き機構系を操作して、過去撮像領域2に対応する機構系の配置となると、制御機能110aは、過去撮像領域2の関連情報に含まれるX線絞りの状態となるように絞り羽根を制御する。
ここで、機構系の操作は、操作者によって実行されるため、制御機能110aは、ある程度のずれを考慮して、機構系の配置が関連情報に記憶されている配置(撮像領域の位置)に近づいた場合に、X線絞り器103の状態を制御する。具体的には、制御機能110aは、機構系の配置が機構系の配置が関連情報に記憶されている配置に近づいたか否かを判定し、近づいたと判定した場合に、X線絞り器103の状態を制御する。
例えば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像における機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に近似した場合に、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態を関連情報にて関連付けられた状態に制御する。図6Aは、第1の実施形態に係る制御機能110aによるX線絞り器103の制御の一例を示す図である。なお、図6Aでは、図5における過去撮像領域1における部分透視像を再度収集する際の処理について示す。
例えば、制御機能110aは、図6Aの上段の図に示すように、過去撮像領域1に対して制御対象領域R3を設定する。ここで、制御対象領域R3は、例えば、撮像可能領域R1より周囲5cm程度大きく設定される。そして、制御機能110aは、入力インターフェース109を介して移動されている機構系の移動情報(例えば、天板104の移動情報)に基づいて、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入ったか否かを判定する。すなわち、制御機能110aは、機構系の配置が、制御対象領域R3に含まれる位置を撮像することが可能となる配置となったか否かを判定する。
ここで、制御機能110aは、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入った場合に、図6Aの下段に示すように、過去撮像領域1におけるX線絞りの状態と同一になるように、絞り羽根を制御する。なお、制御機能110aは、撮像可能領域R1の全てが制御対象領域R3に入った場合に、X線絞り器3を制御する場合でもよく、或いは、撮像可能領域R1の一部が制御対象領域R3に入った場合に、X線絞り器3を制御する場合でもよい。操作者は、図6Aの下段に示すように絞り羽根が挿入された状態で収集される部分透視画像を参照しながら、撮像領域R2が過去撮像領域1と略同一の位置となるように、機構系を操作する。なお、制御機能110aは、図6Aの上段の図に示すように、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入るまで、X線絞りの開度を全開にした状態を継続させる。
また、例えば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像における機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に近似した場合に、機構系の配置の変化に追従して、関連情報にて関連付けられた状態においてX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方が挿入された領域に対してX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方が挿入されるように制御する。図6Bは、第1の実施形態に係る制御機能110aによるX線絞り器103の制御の一例を示す図である。なお、図6Bでは、図5における過去撮像領域1における部分透視像を再度収集する際の処理について示す。
例えば、制御機能110aは、図6Bの上段の図に示すように、過去撮像領域1に対して制御対象領域R3を設定する。ここで、制御対象領域R3は、例えば、撮像可能領域R1より周囲5cm程度大きく設定される。そして、制御機能110aは、入力インターフェース109を介して移動されている機構系の移動情報(例えば、天板104の移動情報)に基づいて、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入ったか否かを判定する。すなわち、制御機能110aは、機構系の配置が、制御対象領域R3に含まれる位置を撮像することが可能となる配置となったか否かを判定する。
ここで、制御機能110aは、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入った場合に、過去撮像領域1に相当する領域以外に絞り羽根が挿入されるように制御する。例えば、制御機能110aは、図6Bの中段に示すように、撮像可能領域R1において過去撮像領域1と重なっている領域のみが撮像領域R2となるように、絞り羽根を挿入する。そして、制御機能110aは、図6Bの下段に示すように、機構系の移動に追従して、撮像可能領域R1において過去撮像領域1と重ねっている領域のみが撮像領域R2となるように、絞り羽根の状態を徐々に変化させる。操作者は、図6Aの下段に示すように絞り羽根が挿入された状態で収集される部分透視画像を参照しながら、撮像領域R2が過去撮像領域1と略同一の位置となるように、機構系を操作する。なお、制御機能110aは、図6Aの上段の図に示すように、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入るまで、X線絞りの開度を全開にした状態を継続させる。
上述したように、制御機能110aは、機構系の配置に応じて、X線絞り器103の状態を制御する。ここで、上述した例では、撮像可能領域R1が制御対象領域R3に入ったか否かを判定する2次元の判定について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、撮像空間における撮像対象部位の位置が過去の撮像における位置と略同一となるように、機構系が配置されているか否かを判定する場合でもよい。
図7は、第1の実施形態に係る制御機能110aによる処理の一例を説明するための図である。例えば、図7に示すように、制御機能110aは、Cアーム105を移動させている際に、撮像空間における被写体(撮像対象部位)の位置が過去の撮像空間における位置と略同一となるCアーム105の幾何学的な配置となっているか否かを判定する。そして、制御機能110aは、Cアーム105の配置が、撮像空間における被写体の位置が過去の撮像空間における位置と略同一となる配置となっている場合に、X線絞りや、フィルタの状態を制御する。
上述したように、制御機能110aがX線絞り器103を制御してX線画像を収集すると、出力機能110bは、収集されたX線画像と過去画像とを合成した合成画像をディスプレイ108に表示させる。ここで、合成画像の生成に用いられる過去画像は、過去画像同士が合成された合成X線画像が用いられる場合でもよい。
かかる場合には、まず、生成機能110dが、被検体に対する一連の撮像によって収集されたX線画像を用いて合成X線画像を生成する。具体的には、生成機能110dは、被検体の位置ごとに収集されたX線画像を位置情報に基づいて合成することで、合成X線画像を生成する。ここで、X線画像における位置情報は、例えば、各X線画像が収集された際の機構系の配置でもよく、或いは、各X線画像に含まれる解剖学的な特徴点でもよい。
図8は、第1の実施形態に係る生成機能110dによって生成される合成X線画像の一例を示す図である。例えば、生成機能110dは、図8に示すように、被検体の各位置から収集された複数の過去画像を位置情報に基づいて合成した合成X線画像を生成する。一例を挙げると、生成機能110dは、X線絞りを全開にした状態で機構系が移動されることで収集される各位置のX線画像を用いて合成X線画像を生成する。なお、合成X線画像において、各位置のX線画像間で重複する領域については、いずれかの画像の該当領域が用いられる。
そして、生成機能110dは、生成した合成X線画像に位置情報を関連付けてメモリ107に格納する。出力機能110bは、収集された部分透視像の位置情報(ROIの位置情報)に基づいて、絞り羽根が挿入された領域の位置を特定する。そして、出力機能110bは、特定した位置の領域に対応する領域を合成X線画像から抽出し、抽出した合成X線画像の領域と、収集された部分透視像とを合成した合成画像をディスプレイ108に表示させる。
一例を挙げると、出力機能110bは、図6Aや、図6Bにおいて絞り羽根が挿入された領域に対応する領域を合成X線画像から抽出し、抽出した領域を撮像領域R2の部分透視像と合成した合成画像を表示させる。出力機能110bは、制御対象領域R3において撮像領域R2が移動するごとに上述した処理を実行することで、機構系の配置が変化するごとに、部分透視像及びその周辺の画像が変化する合成画像を表示させることができる。
また、上述した例では、機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置以外の場合に、X線絞り及びフィルタを退避させる場合について説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば、機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置以外でも、X線絞り器103の状態を維持する場合でもよい。かかる場合には、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像において、機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置以外の場合に、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態を継続させる。
図9は、第1の実施形態に係る制御機能110aによる制御の一例を説明するための図である。例えば、制御機能110aは、図9に示すように、絞り羽根の開度を維持した状態で、撮像領域R2を移動させることができる。この場合にも、合成X線画像がメモリ107に記憶されていれば、出力機能110bは、絞り羽根が挿入された領域に対応する領域を合成X線画像から抽出し、抽出した領域を撮像領域R2の部分透視像と合成した合成画像を表示させることができる。
なお、上述した実施形態では、機構系の配置を変更している際にも、撮像を継続している場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、機構系の配置を変更している際に、撮像を停止させる場合でもよい。かかる場合においても、X線絞り器103は退避される場合でもよく、或いは、制御された状態が継続される場合でもよい。
上述したように、制御機能110aは、機構系の配置に応じて、X線絞り器103の状態を制御する。さらに、制御機能110aは、X線絞りを挿入した際に、開度に応じて自動輝度補正を実行することができる。例えば、X線絞りの開度が小さく場合(小さいROIが設定された場合)輝度が低下するため、制御機能110aは、部分透視像における輝度を上げる処理を実行する。一例を挙げると、制御機能110aは、X線管102から照射されるX線の線量を増加させる、或いは、部分透視像における表示ゲインを上げることで、部分透視像の輝度を上げる。
また、上述した実施形態では、関連情報に機構系の配置と、X線絞り器103の状態、過去画像とを対応付けてメモリ107に保存する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、さらに、X線条件が対応付けられる場合でもよい。すなわち、保存機能110cは、X線絞り器103を制御した際のX線条件を関連情報にさらに対応付けて格納する。制御機能110aは、関連情報に対応付けられたX線条件に基づいて、X線画像を収集する。
また、部分透視像が参照される場合には、透視ロードマップ機能が利用される場合もある。ここで、機構系が操作されて撮像領域の位置が変化した場合、部分透視像に重畳された血管像の表示を継続すると、その後のX線画像の視認性が低下する。そこで、出力機能110bは、透視ロードマップ機能が利用された状態で、撮像領域の位置が変更された場合に、血管像の重畳表示を解除する。
また、上述した実施形態では、部分透視像を生成した際に、保存機能110cが関連情報を生成する処理を実行する場合について説明した。ここで、部分透視と通常透視は、モードを切り替えるためのスイッチによって識別させることができる。例えば、保存機能110cは、部分透視モードを実行するためのスイッチと通常透視モードを実行するためのスイッチのいずれかが押下されたかを判定することにより、部分透視と通常透視を識別することができる。
次に、図10を用いて、X線診断装置10による処理の手順の一例を説明する。図10は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の処理の流れを示すフローチャートである。なお、図10においては、部分透視像が生成される際の処理について示す。ステップS101~S102、S104、S107~S110は、処理回路110が、制御機能110aに対応するプログラムを読み出して実行することにより実現されるステップである。ステップS103、S105は、処理回路110が、保存機能110cに対応するプログラムを読み出して実行することにより実現されるステップである。ステップS106は、処理回路110が、出力機能110b及び保存機能110cに対応するプログラムを読み出して実行することにより実現されるステップである。
第1の実施形態に係るX線診断装置10においては、処理回路110が、透視が開始されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、透視が開始されると(ステップS101肯定)、処理回路110は、透視像を収集して(ステップS102)、部分透視モードのスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS103)。なお、透視が開始されるまで、処理回路110は待機状態である(ステップS101否定)。
ステップS103において部分透視モードのスイッチが押下されていない場合(ステップS103否定)、すなわち、通常透視モードのスイッチが押下された場合、処理回路110は、入力インターフェース109を介して操作者が受け付けた操作に応じてX線絞り器103を制御して、透視像を収集する(ステップS104)。
一方、ステップS103において部分透視モードのスイッチが押下された場合(ステップS103肯定)、処理回路110は、部分透視像が収集されたか否かを判定する(ステップS105)。ここで、部分透視像が収集されると(ステップS105肯定)、処理回路110は、透視像と部分透視像とを合成して表示するとともに、機構系の配置とX線絞り器の状態とを関連付けてメモリ107に保存する(ステップS106)。なお、部分透視像が収集されるまで、処理回路110は待機状態である(ステップS105否定)。
そして、ステップS106において関連情報を保存すると、処理回路110は、撮像領域が変更されたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、撮像領域が変更された場合(ステップS107肯定)、処理回路110は、X線絞り器103の制御を解除して(ステップS108)、機構系の配置が保存済みの状態となったか否かを判定する(ステップS109)。
ここで、機構系の配置が保存済みの状態となった場合(ステップS109肯定)、処理回路110は、X線絞り器103を対応する状態に制御する(ステップS110)。なお、ステップS107においては、撮像領域が変更されるまで、処理回路110は、S106における表示を継続する(ステップS107否定)。また、ステップS109においては、機構系の配置が保存済みの状態となるまで、透視像の表示を継続する(ステップS109否定)。
上述したように、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対してX線を照射させ、X線画像の収集を制御する。保存機能110cは、X線画像の収集時の機構系の配置と、当該X線画像の収集時におけるX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態とを関連付けた関連情報をメモリ107に保存する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、関連情報に基づいてX線絞り器103を制御することができ、操作者の負荷を低減して、操作性を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像における機構系の配置を関連情報と比較し、関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置での撮像において、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態が関連情報にて関連付けられた状態となるように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、関連情報に基づいてX線絞り器103を制御することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像における機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に近似した場合に、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態を関連情報にて関連付けられた状態に制御する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、過去の撮像領域に対して正確に合わせることなく、X線絞り器103を制御することができ、X線絞り器103の自動制御を容易に行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像における機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に近似した場合に、機構系の配置の変化に追従して、関連情報にて関連付けられた状態においてX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方が挿入された領域に対してX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方が挿入されるように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、過去のROIの形状と同一の形状となるように機構系を操作することで、過去の撮像領域と略同一位置の撮像領域の決定とROIの設定を同時に行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像において、機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置以外の場合に、X線絞り及びフィルタを退避させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、操作者による機構系の操作に合わせて、X線絞り器103が自動的に動き、操作者は、常にあたかも全面透視を実施しているような広い視野の画像で診断を行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対する一連の撮像において、機構系の配置が関連情報に含まれる機構系の配置に相当する配置以外の場合に、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態を継続させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、被曝量を低減させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、生成機能110dは、被検体に対する一連の撮像において収集された位置ごとのX線画像を合成した合成X線画像を生成する。出力機能110bは、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態が制御されて収集された部分X線画像と、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方が挿入された領域に対応する合成X線画像の領域とを合成した合成画像を出力させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、広範囲にわたって広い視野の画像を観察させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、保存機能110cは、X線を照射するX線管102及びX線を検出するX線検出器106を支持するCアーム105及び被検体が横臥する天板104を含む機構系の配置と、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態とを関連付けた関連情報をメモリ107に保存する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、機構系の種々の配置に対して関連情報を生成することができ、種々の状況での操作性を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能110aは、被検体に対する撮像において、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方を撮像領域に挿入して透視する部分透視モードと、X線絞り及びフィルタを退避して透視する通常透視モードとを制御する。保存機能110cは、部分透視モードにおいて、関連情報をメモリ107に保存する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、部分透視モードでの操作性を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、入力インターフェース109は、部分透視モードを実行させるための第1のスイッチと、通常透視モードを実行させるための第2のスイッチとを有する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、どちらのモードであるかを容易に識別することを可能にする。
(その他の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、機構系の配置とX線絞り器103の状態とを関連付けた関連情報を生成して保存する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、オートポジショニング機能(自動位置決め機能)における各位置にX線絞り器103の状態を関連付けた関連情報を生成して保存する場合でもよい。ここで、オートポジショニング機能とは、番号や画像情報などから、特定の天板、Cアームの位置を再現する機能である。
図11は、その他の実施形態に係る保存機能110cによって生成される関連情報の一例を示す図である。ここで、図11における「オートポジショニング番号」は、機構系における特定の配置を一意に識別するための番号であり、「1」、「2」、「3」などの各番号が、特定の機構系の配置をそれぞれ示す。
また、図11における「X線絞り器」の「X線絞り」とは、X線しぼりに含まれる絞り羽根の状態を示す。例えば、「X線絞り器」における「X線絞り」には、4枚の絞り羽根それぞれの開閉状態(開度)が保存される。また、「X線絞り器」における「フィルタ」とは、X線の線質を調整するフィルタの移動後の位置を示す。
その他の実施形態に係る保存機能110cは、図11に示すように、オートポジショニング番号とX線絞り器とを対応付けた関連情報を生成する。ここで、図11に示す関連情報は、各オートポジショニング番号に対して、X線絞り器103の固定の状態が対応付けられる場合でもよい。また、図11に示す関連情報は、各オートポジショニング番号において、最後に操作されたX線絞り器103の状態が対応付けられる場合でもよい。
制御機能110aは、オートポジショニング番号が選択されて、オートポジショニング機能が実行された場合に、選択された番号に対応する状態となるように、X線絞り器103を制御する。
このように、その他の実施形態に係る保存機能110cは、オートポジショニング機能で決定された機構系の配置と、当該機構系の配置で設定されたX線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態とを関連付けた関連情報をメモリ107に保存する。これにより、その他の実施形態に係るX線診断装置10は、オートポジショニング機能においても、X線絞り器103を自動で制御することを可能にする。
また、上述した実施形態では、天板104や、Cアーム105の移動に応じて、X線絞り器103の状態を変化させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、X線管102から被写体までの距離に応じて、X線絞り器103の状態を変化させる場合でもよい。
かかる場合には、制御機能110aは、例えば、天板104の高さ方向の移動や、X線管102の移動により、X線管102から被写体までの距離が変化すると、距離の変化に応じて、X線絞りの開度を調整する。一例を挙げると、制御機能110aは、X線管102から被写体までの距離が短くなった場合、撮像部位が拡大されるため、距離が変化する前のROIに含まれていた撮像部位の領域を含むように、X線絞りの開度を広げる。
一方、X線管102から被写体までの距離が長くなった場合、撮像部位が縮小されるため、制御機能110aは、距離が変化する前のROIに含まれていた撮像部位の領域にROIが設定されるように、X線絞りの開度を閉じる。
このように、その他の実施形態に係る制御機能110aは、X線を照射するX線管102と被検体との距離に応じて、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方の状態を調整する。これにより、その他の実施形態に係るX線診断装置10は、X線管102から被写体までの距離に変化が生じた場合でも、適切なROIを自動で設定することを可能にする。
また、上述した実施形態では、関連情報に保存するX線絞り器103の状態として、X線絞り及びフィルタのうち少なくとも一方が撮像可能領域内に挿入されている場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、X線絞り及びフィルタがともに撮像可能領域内に挿入されていない状態が関連情報に保存される場合でもよい。
また、上述した実施形態では、透視が実行される際に関連情報を保存する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、撮影が実行される際に関連情報を保存する場合であってもよい。例えば、同一の撮像部位に対して透視と撮像が実行され、それぞれでX線絞り器103の状態が異なる場合に、保存機能110cは、透視でのX線絞り器103の状態及び撮影でのX線絞り器103の状態を、機構系の配置に対応付けた関連情報を生成する。
制御機能110aは、その後の撮像において、透視が実行されているか、或いは、撮影が実行されているかに基づいて、X線絞り器103の状態を制御する。
また、上述した実施形態では、X線診断装置10がシングルプレーンである場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、X線診断装置10がバイプレーンの場合でもよい。かかる場合には、保存機能110cは、アームごとに関連情報を生成して、メモリ107に格納する。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、操作性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。