以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像処理装置、X線診断装置及び医用画像処理プログラムを説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30を含んだ医用画像処理システム1について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像処理システム1は、X線診断装置10と、画像保管装置20と、医用画像処理装置30とを備える。図1に示すように、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30は、ネットワークNWを介して相互に接続される。
X線診断装置10は、被検体から2次元X線画像データを収集する装置である。具体的には、X線診断装置10は、被検体をX線撮像して2次元X線画像データを収集し、収集した2次元X線画像データを医用画像処理装置30に対して出力する。なお、X線診断装置10の構成については後述する。
画像保管装置20は、医用画像処理システム1に含まれる装置により収集された各種の医用画像データを保管する装置である。例えば、画像保管装置20は、被検体の3次元医用画像データを受け付けて、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。なお、被検体の3次元医用画像データについては後述する。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
医用画像処理装置30は、ネットワークNWを介して、X線診断装置10から被検体の2次元X線画像データを取得し、取得した2次元X線画像データを用いた種々の処理を実行する。例えば、医用画像処理装置30は、2次元X線画像データ上の各位置に対して、被検体の3次元医用画像データに基づく情報を付加し、付加した情報に応じた画像処理を実行する。なお、医用画像処理装置30が行なう処理については後述する。例えば、医用画像処理装置30は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
なお、ネットワークNWを介して接続可能であれば、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30が設置される場所は任意である。例えば、医用画像処理装置30は、X線診断装置10と異なる病院に設置されてもよい。即ち、ネットワークNWは、院内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。また、図1においてはX線診断装置10を1つ示すが、医用画像処理システム1は複数のX線診断装置10を含んでもよい。
図1に示すように、医用画像処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。
入力インターフェース31は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インターフェース31は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース31は、医用画像処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用画像処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、入力インターフェース31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。また、ディスプレイ32は、被検体について収集された各種の画像データを表示する。例えば、ディスプレイ32は、処理回路34による画像処理後の2次元X線画像データを表示させる。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、医用画像処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
メモリ33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ33は、画像保管装置20から取得した被検体の3次元医用画像データや、X線診断装置10から取得した被検体の2次元X線画像データを記憶する。また、例えば、メモリ33は、医用画像処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ33は、医用画像処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
処理回路34は、制御機能341、付加機能342、画像処理機能343及び表示制御機能344を実行することで、医用画像処理装置30全体の動作を制御する。ここで、付加機能342は、付加部の一例である。また、画像処理機能343は、画像処理部の一例である。
例えば、処理回路34は、制御機能341に対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、入力インターフェース31を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路34の各種機能を制御する。また、制御機能341は、ネットワークNWを介したデータの送受信を制御する。例えば、制御機能341は、画像保管装置20から被検体の3次元医用画像データを受信して、メモリ33に記憶させる。また、例えば、制御機能341は、X線診断装置10から被検体の2次元X線画像データを受信して、メモリ33に記憶させる。
また、例えば、処理回路34は、付加機能342に対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、3次元医用画像データに基づいて、2次元X線画像データ上の各位置に対してその位置に対応する情報を付加する。また、例えば、処理回路34は、画像処理機能343に対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、2次元X線画像データ上の各位置に対して、その位置に付加された情報に応じた画像処理を施す。なお、付加機能342及び画像処理機能343による処理については後述する。また、例えば、処理回路34は、表示制御機能344に対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、画像処理機能343による画像処理後の2次元X線画像データをディスプレイ32に表示させる。
図1に示す医用画像処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ33へ記憶されている。処理回路34は、メモリ33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路34にて、制御機能341、付加機能342、画像処理機能343及び表示制御機能344が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路34が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
次に、図2を用いて、X線診断装置10について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、X線絞り器103と、天板104と、Cアーム105と、X線検出器106と、メモリ107と、ディスプレイ108と、入力インターフェース109と、処理回路110とを備える。
X線高電圧装置101は、処理回路110による制御の下、X線管102に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管102に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管102が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
X線管102は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管102は、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
X線絞り器103は、X線管102により発生されたX線の照射範囲を絞り込むコリメータと、X線管102から曝射されたX線を調節するフィルタとを有する。
X線絞り器103におけるコリメータは、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータは、絞り羽根をスライドさせることで、X線管102が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管102のX線照射口付近に設けられる。
X線絞り器103におけるフィルタは、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像データの画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラスト低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタは、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、X線管102から被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
例えば、X線絞り器103は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることによりX線の照射を制御する。例えば、X線絞り器103は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、コリメータの絞り羽根の開度を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、例えば、X線絞り器103は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタの位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
天板104は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。例えば、寝台は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、天板104の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。
Cアーム105は、X線管102及びX線絞り器103と、X線検出器106とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。例えば、Cアーム105は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、Cアーム105は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、X線管102及びX線絞り器103と、X線検出器106とを被検体Pに対して回転・移動させ、X線の照射位置や照射角度を制御する。なお、図2では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
X線検出器106は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器106は、X線管102から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。なお、X線検出器106は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
メモリ107は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ107は、処理回路110によって収集されたX線画像データを受け付けて記憶する。また、メモリ107は、処理回路110によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。なお、メモリ107は、X線診断装置10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
ディスプレイ108は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ108は、処理回路110による制御の下、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、各種のX線画像を表示する。例えば、ディスプレイ108は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。なお、ディスプレイ108はデスクトップ型でもよいし、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース109は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路110に出力する。例えば、入力インターフェース109は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース109は、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース109は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路110へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース109の例に含まれる。
処理回路110は、制御機能110a、収集機能110b及び表示制御機能110cを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。
例えば、処理回路110は、メモリ107から制御機能110aに相当するプログラムを読み出して実行することにより、入力インターフェース109を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路110の各種機能を制御する。また、制御機能110aは、ネットワークNWを介したデータの送受信を制御する。例えば、制御機能110aは、収集機能110bにより収集された被検体Pの2次元X線画像データを医用画像処理装置30に対して送信する。
また、処理回路110は、メモリ107から収集機能110bに相当するプログラムを読み出して実行することにより、被検体PをX線撮像して、2次元X線画像データを収集する。例えば、収集機能110bは、X線高電圧装置101を制御し、X線管102に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。
また、例えば、収集機能110bは、X線管102、X線絞り器103、天板104、Cアーム105及びX線検出器106の動作を制御することにより、X線の照射範囲やX線の線量の分布、X線の照射角度等を制御する。なお、以下では、X線診断装置10において2次元X線画像データの収集に用いられる機構(X線管102、X線絞り器103、天板104、Cアーム105及びX線検出器106)を、撮像系とも記載する。
具体的には、収集機能110bは、X線絞り器103の動作を制御し、コリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能110bは、X線絞り器103の動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、収集機能110bは、Cアーム105を回転させたり、移動させたりすることで、X線の照射範囲及び照射角度を制御する。また、収集機能110bは、天板104を移動させたり、傾斜させたりすることで、X線の照射範囲及び照射角度を制御する。また、収集機能110bは、X線検出器106から受信した検出信号に基づいてX線画像データを生成し、生成したX線画像データをメモリ107に格納する。また、処理回路110は、メモリ107から表示制御機能110cに相当するプログラムを読み出して実行することにより、GUIや各種のX線画像をディスプレイ108に表示させる。
図2に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ107へ記憶されている。処理回路110は、メモリ107からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路110は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図2においては単一の処理回路110にて、制御機能110a、収集機能110b及び表示制御機能110cが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路110を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路110が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ33又はメモリ107に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、図1及び図2においては、単一のメモリ33又はメモリ107が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ33を分散して配置し、処理回路34は、個別のメモリ33から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。同様に、複数のメモリ107を分散して配置し、処理回路110は、個別のメモリ107から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ33及びメモリ107にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
また、処理回路34及び処理回路110は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路34は、メモリ33から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用画像処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
以上、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30を含んだ医用画像処理システム1について説明した。かかる構成のもと、医用画像処理システム1における医用画像処理装置30は、処理回路34による処理によって、2次元X線画像データに対する画像処理の効果を高める。
具体的には、まず、医用画像処理装置30における制御機能341は、被検体Pの3次元医用画像データを取得する。ここで、3次元医用画像データの例には、X線CT(Computed Tomography)装置により収集されるCT画像データや、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置により収集されるMR画像データ、超音波診断装置により収集される超音波画像データ等が含まれる。また、3次元医用画像データの例には、X線診断装置10が被検体Pを回転撮像することにより収集される3次元X線画像データが含まれる。制御機能341は、ネットワークNWを介して、MRI装置やX線CT装置、超音波診断装置、X線診断装置10等の医用画像診断装置から被検体Pの3次元医用画像データを受信し、メモリ33に記憶させる。
以下では、被検体Pの3次元医用画像データの例として、CT画像データI11について説明する。この場合、X線CT装置は、まず、被検体Pに対するCTスキャンを実行し、被検体Pを透過したX線の信号を検出することで投影データを収集する。ここで、X線CT装置は、血管内に造影剤を注入した状態の被検体Pに対するCTスキャンを実行することにより、被検体Pの血管が造影された投影データを収集する。
また、X線CT装置は、収集した投影データに対して、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施した後、CT画像データI11(ボリュームデータ)を生成する。例えば、X線CT装置は、前処理後の投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行うことにより、CT画像データI11を生成する。次に、X線CT装置は、生成したCT画像データI11を画像保管装置20に送信して記憶させる。そして、制御機能341は、画像保管装置20から被検体PのCT画像データI11を受信し、メモリ33に記憶させる。
次に、付加機能342は、被検体PのCT画像データI11上の各位置に対して、その位置に対応する情報を付加する。例えば、付加機能342は、ボクセル値(CT値等)による物質弁別処理によって、CT画像データI11上の各位置に対して、その位置に対応する組織又はデバイスを示す情報を付加する。なお、以下では、3次元医用画像データ上の各位置に付加される情報を、第1ラベルと記載する。第1ラベルは、第1情報の一例である。
一例を挙げると、付加機能342は、まず、CT画像データI11をメモリ33から読み出して、血管モデルI12と、非血管モデルI13とに分離する。即ち、付加機能342は、CT画像データI11を、血管に対応する領域と他の領域とに分離する。
例えば、付加機能342は、CT画像データI11のボクセルごとに、ボクセル値を閾値と比較することで、CT画像データI11を血管モデルI12と非血管モデルI13とに分離する。このような閾値は、CT画像データI11に基づいて付加機能342が設定する値でもよいし、プリセットされた値であってもよい。或いは、閾値は、操作者が設定してもよい。即ち、操作者は、入力インターフェース31を介して閾値を調整することにより、CT画像データI11をマニュアルで分離してもよい。
また、CT画像データI11の分離は、付加機能342でなく、医用画像処理装置30以外の他の装置が行う場合であってもよい。例えば、X線CT装置は、CT画像データI11を生成するとともに、CT画像データI11を血管モデルI12と非血管モデルI13とに分離し、血管モデルI12と非血管モデルI13とを画像保管装置20に送信して記憶させる。そして、制御機能341は、画像保管装置20から血管モデルI12と非血管モデルI13とを受信し、メモリ33に記憶させる。
次に、付加機能342は、血管モデルI12の各ボクセルに対して、「血管」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、非血管モデルI13の各ボクセルに対して第1ラベルを付加する。例えば、付加機能342は、非血管モデルI13のボクセルごとに、ボクセル値を閾値と比較することで、非血管モデルI13の各ボクセルを「デバイス」、「骨」、「軟組織(臓器等)」、「空気(肺における空気や、被検体Pの体外領域等)」に分類する。
次に、付加機能342は、「デバイス」に分類されたボクセルに対して、「デバイス」の第1ラベルを付加する。なお、「デバイス」の例としては、被検体Pの血管内に留置されたステントや、人工骨等のインプラント、心臓ペースメーカー等が挙げられる。また、付加機能342は、「骨」に分類されたボクセルに対して、「骨」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、「軟組織」に分類されたボクセルに対して、「軟組織」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、「空気」に分類されたボクセルに対して、「空気」の第1ラベルを付加する。
これまで、ボクセル値による物質弁別処理によって、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものでない。
例えば、付加機能342は、フォトンカウンティングCTによる物質弁別処理によって、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加してもよい。即ち、フォトンカウンティングCTにおいて、X線CT装置は、検出器に入射した個々のX線をカウントし、入射したX線のエネルギーを計測することで、被検体Pを透過したX線のスペクトラムを得る。また、X線CT装置は、得られたスペクトラムから、被検体Pに含まれる物質の種類を弁別するとともに、CT画像データI11を生成する。そして、付加機能342は、物質弁別処理の結果に基づいて、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する。
また、例えば、付加機能342は、デュアルエナジー(Dual-Energy:DE)撮像又はマルチエナジー(Multi-Energy:ME)撮像による物質弁別処理によって、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加してもよい。即ち、デュアルエナジー撮像又はマルチエナジー撮像において、X線CT装置は、エネルギーが異なるX線を用いて複数の投影データを収集する。また、X線CT装置は、物質ごとにX線の吸収特性が異なることに基づいて、被検体Pに含まれる物質の種類を弁別するとともに、CT画像データI11を生成する。そして、付加機能342は、物質弁別処理の結果に基づいて、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する。
また、例えば、付加機能342は、操作者による入力操作を受け付けることにより、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加してもよい。一例を挙げると、付加機能342は、まず、CT画像データI11を血管モデルI12と非血管モデルI13とに分離する。次に、付加機能342は、血管モデルI12の各ボクセルに対して、「血管」の第1ラベルを付加する。また、表示制御機能344は、非血管モデルI13から表示用画像を生成し、ディスプレイ32に表示させる。次に、操作者は、入力インターフェース31を介して、非血管モデルI13上の各位置に対して第1ラベルを付加する操作を入力する。例えば、操作者は、非血管モデルI13において、「デバイス」の第1ラベルを付加する領域と、「骨」の第1ラベルを付加する領域と、「軟組織」の第1ラベルを付加する領域と、「空気」の第1ラベルを付加する領域とをそれぞれ設定する。
また、付加機能342は、CT画像データI11上の位置のうち、デバイスが既に留置されている位置のみならず、デバイスがこれから挿入される位置に対して、「デバイス」の第1ラベルを付加してもよい。即ち、付加機能342は、被検体Pの体内にデバイスを挿入する手技の治療計画において、CT画像データI11上の位置のうちデバイスが挿入される位置に対して、「デバイス」の第1ラベルを付加してもよい。例えば、付加機能342は、被検体Pの血管内にステントを留置するインターベンション治療において、ステントを留置する予定の位置に対して「デバイス」の第1ラベルを付加する。
なお、付加機能342がCT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、医用画像処理装置30以外の他の装置がCT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する場合であってもよい。この場合、制御機能341は、第1ラベルが付加されたCT画像データI11を受信して、メモリ33に格納する。
第1ラベルが付加されたCT画像データI11がメモリ33に格納された後、X線診断装置10は、被検体Pに対するX線撮像を実行する。例えば、X線診断装置10における収集機能110bは、天板104に載置された被検体PをX線撮像して、2次元X線画像データI21を収集する。また、制御機能110aは、収集された2次元X線画像データI21を、医用画像処理装置30に対して送信する。
次に、付加機能342は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に対応する情報を付加する。具体的には、付加機能342は、被検体PのCT画像データI11に基づいて、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に対応する情報を付加する。例えば、付加機能342は、CT画像データI11上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。ここで、第2ラベルは、第2情報の一例である。
ここで、付加機能342による第2ラベルの付加の一例について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る第2ラベルの付加について説明するための図である。なお、図3においては、CT画像データI11の一例としてCT画像データI111を示し、2次元X線画像データI21の一例として2次元X線画像データI211を示す。また、以下では、CT画像データI111に基づく血管モデルI12を血管モデルI121とし、CT画像データI111に基づく非血管モデルI13を非血管モデルI131とする。
また、図3においては、説明の便宜のため、CT画像データI111を2次元で示し、2次元X線画像データI211を1次元で示す。即ち、図3に示すCT画像データI111は、CT画像データI111に含まれる平面の1つを示したものである。また、図3に示す2次元X線画像データI211は、2次元X線画像データI211に含まれる1列分の画素を示したものである。
図3に示すように、付加機能342は、まず、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。例えば、2次元X線画像データI211に血管が造影されていない場合、付加機能342は、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211とを位置合わせすることにより、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。これにより、付加機能342は、2次元X線画像データI211に血管が造影されていない場合においても、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを精度良く位置合わせすることができる。
例えば、付加機能342は、まず、2次元X線画像データI211のうち骨に対応する領域の輪郭データLcを抽出する。一例を挙げると、付加機能342は、2次元X線画像データI211についてエッジ抽出処理を行なうことにより、輪郭データLcを抽出する。輪郭データLcは、例えば、2次元座標値を持つ頂点の集合として表現される。
なお、付加機能342は、輪郭データLc抽出の前処理として、2次元X線画像データI211のうち骨に対応する領域を強調してもよい。例えば、付加機能342は、エネルギーが異なるX線を用いて撮像された複数の2次元X線画像データI211を相互に差分することで、2次元X線画像データI211のうち骨に対応する領域を強調する。即ち、被検体Pに対してデュアルエナジー撮像やマルチエナジー撮像が実行された場合において、付加機能342は、物質ごとにX線の吸収特性が異なることに基づいて被検体Pに含まれる物質の種類を弁別し、骨に対応する領域を強調する。
そして、付加機能342は、骨に対応する領域を強調した後の2次元X線画像データI211から輪郭データLcを抽出する。即ち、付加機能342は、エネルギーが異なるX線を用いて撮像された複数の2次元X線画像データI211を用いて、2次元X線画像データI211のうち骨に対応する領域を特定する。
また、付加機能342は、非血管モデルI131を平面に投影した投影画像データを複数生成する。ここで、付加機能342は、位置及び向きを変化させつつ非血管モデルI131を平面に透視することで、様々な投影画像データを生成する。次に、付加機能342は、複数の投影画像データそれぞれについて、投影画像データのうち骨に対応する領域の輪郭データLvを抽出する。輪郭データLvは、例えば、2次元座標値を持つ頂点の集合として表現される。
次に、付加機能342は、複数の投影画像データそれぞれについて、輪郭データLc上の各頂点と、その頂点から最短距離にある輪郭データLvの頂点との間の距離値の総和を算出する。次に、付加機能342は、算出した距離値の総和が最小となる投影画像データを特定する。そして、付加機能342は、特定した投影画像データの生成時における非血管モデルI131の位置及び向きを、2次元X線画像データI211に対する非血管モデルI131の位置及び向きとして、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。
即ち、付加機能342は、輪郭データLcの頂点と輪郭データLvの頂点との間の距離値の総和を、非血管モデルI131の位置及び向きを変数とする評価関数として定義する。そして、付加機能342は、評価関数の最小化を図ることで、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。
なお、評価関数の変数は、非血管モデルI131の位置及び向きに限定されるものではない。例えば、付加機能342は、非血管モデルI131の位置及び向きと、非血管モデルI131の変形度とを変数として、評価関数を定義してもよい。即ち、付加機能342は、非血管モデルI131を剛体として2次元X線画像データI211と位置合わせしてもよいし、非血管モデルI131を変形させながら2次元X線画像データI211と位置合わせしてもよい。
更に、付加機能342は、血管モデルI121と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。ここで、血管モデルI121と非血管モデルI122との位置関係は明らかであるため、付加機能342は、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211との位置合わせの結果を用いて、血管モデルI121と2次元X線画像データI211とを位置合わせすることができる。例えば、付加機能342は、上述した評価関数が最小となる投影画像データの生成時における非血管モデルI131の位置及び向きを、2次元X線画像データI211に対する血管モデルI121の位置及び向きとして、血管モデルI121と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。
即ち、付加機能342は、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211との位置合わせ、及び、血管モデルI121と2次元X線画像データI211との位置合わせを順次実行することにより、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。これにより、付加機能342は、2次元X線画像データI211に血管が造影されていない場合においても、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせすることができる。
なお、これまで、非血管モデルI131のうち骨に対応する領域と、2次元X線画像データI211のうち骨に対応する領域とを位置合わせする場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、付加機能342は、非血管モデルI131のうち骨以外の部位(臓器、被検体Pの体内に留置されたデバイス等)に対応する領域と、2次元X線画像データI211のうち骨以外の部位に対応する領域とを位置合わせすることにより、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせしてもよい。
また、非血管モデルI131に含まれる部位の輪郭と、2次元X線画像データI211に含まれる部位の輪郭とを位置合わせする場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、付加機能342は、輪郭以外の基準に基づいて、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211とを位置合わせしてもよい。
例えば、付加機能342は、2次元X線画像データI211のうち骨に対応する領域に対して細線化処理を行なうことにより、細線化データを抽出する。また、付加機能342は、非血管モデルI131を平面に投影した投影画像データを複数生成する。次に、付加機能342は、複数の投影画像データそれぞれについて、投影画像データのうち骨に対応する領域に対して細線化処理を行なうことにより、細線化データを抽出する。なお、細線化データは、例えば、2次元座標値を持つ頂点の集合として表現される。そして、付加機能342は、2次元X線画像データI211に基づく細線化データと非血管モデルI131に基づく細線化データとの間における頂点間の距離値の総和を評価関数と定義し、評価関数の最小化を図ることで、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。
また、これまで、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211とを位置合わせすることにより、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、付加機能342は、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを直接位置合わせしてもよい。
例えば、造影剤が注入された被検体Pについて2次元X線画像データI211が収集された場合、付加機能342は、非血管モデルI131と2次元X線画像データI211との位置合わせを介すことなく、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを直接位置合わせする。なお、この場合、付加機能342は、CT画像データI111に基づく血管モデルI121及び非血管モデルI131を生成しないこととしてもよい。また、この場合、付加機能342は、CT画像データI111のうち血管に対応する領域と、2次元X線画像データI211のうち血管に対応する領域とを位置合わせすることにより、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせしてもよい。
また、付加機能342は、他の医用画像データを介して、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせしてもよい。例えば、付加機能342は、被検体Pを撮像した3次元超音波画像データI311を用いて、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。一例を挙げると、付加機能342は、CT画像データI111と3次元超音波画像データI311との位置合わせを実行し、CT画像データI111に対する3次元超音波画像データI311の位置及び向きを特定する。また、付加機能342は、2次元X線画像データI211において、3次元超音波画像データI311の撮像に用いられる超音波プローブの位置及び向きを特定することにより、2次元X線画像データI211に対する3次元超音波画像データI311の位置及び向きを特定する。例えば、付加機能342は、超音波プローブの構造を示す3次元モデルを、2次元のX線画像データに対してマッチングすることにより、2次元X線画像データI211において超音波プローブの位置及び向きを特定する。そして、付加機能342は、CT画像データI111に対する3次元超音波画像データI311の位置及び向きと、2次元X線画像データI211に対する3次元超音波画像データI311の位置及び向きとに基づいて、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。
また、これまで、CT画像データI111と2次元X線画像データI211との位置合わせを付加機能342が実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、CT画像データI111と2次元X線画像データI211との位置合わせは、操作者が行う場合であってもよい。一例を挙げると、操作者は、ディスプレイ32に表示されたCT画像データI111及び2次元X線画像データI211を参照しつつ、入力インターフェース31を介して、2次元X線画像データI211に対するCT画像データI111の位置及び向きを変化させる。そして、操作者は、2次元X線画像データI211に対するCT画像データI111の位置及び向き決定する操作を入力することにより、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせする。
次に、付加機能342は、CT画像データI111と2次元X線画像データI211とを位置合わせした状態において、CT画像データI111上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI211に投影することで、2次元X線画像データI211上の各位置に対して第2ラベルを付加する。例えば、付加機能342は、図3に示すように、2次元X線画像データI211の各ピクセル(ピクセルP11、ピクセルP12、ピクセルP13、ピクセルP14、ピクセルP15及びピクセルP16)に対して第2ラベルを付加する。
具体的には、図3に示す場合、付加機能342は、CT画像データI111において2次元X線画像データI211と重なる位置に付されている第1ラベルを、第2ラベルとして2次元X線画像データI211に付加する。これにより、付加機能342は、2次元X線画像データI211におけるピクセルP11、ピクセルP12、ピクセルP13及びピクセルP14に対して「軟組織」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、2次元X線画像データI211におけるピクセルP15及びピクセルP16に対して、「骨」の第1ラベルを付加する。なお、2次元X線画像データI211において、CT画像データI111のいずれのボクセルとも重ならないピクセルがある場合、付加機能342は、例えば、「空気」の第1ラベルを付加する。
なお、図3においては、CT画像データI111において2次元X線画像データI211と重なる位置に付されている第1ラベルを、第2ラベルとして2次元X線画像データI211に付加する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、付加機能342は、CT画像データI111において2次元X線画像データI211と重なる位置から所定範囲内に付されている第1ラベルを、第2ラベルとして2次元X線画像データI211に付加してもよい。以下、この点について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る第2ラベルの付加について説明するための図である。
図4においては、CT画像データI11の一例としてCT画像データI112を示し、2次元X線画像データI21の一例として2次元X線画像データI212を示す。また、図4においては、説明の便宜のため、CT画像データI112を2次元で示し、2次元X線画像データI212を1次元で示す。即ち、図4に示すCT画像データI112は、CT画像データI112に含まれる平面の1つを示したものである。また、図4に示す2次元X線画像データI212は、2次元X線画像データI212に含まれる1列分の画素を示したものである。
図4に示すように、付加機能342は、まず、CT画像データI112と2次元X線画像データI212とを位置合わせする。次に、付加機能342は、CT画像データI112と2次元X線画像データI212とを位置合わせした状態において、CT画像データI112上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI212に投影することで、2次元X線画像データI212上の各位置に対して第2ラベルを付加する。即ち、付加機能342は、図4に示すように、2次元X線画像データI212の各ピクセル(ピクセルP21、ピクセルP22、ピクセルP23、ピクセルP24、ピクセルP25及びピクセルP26)に対して第2ラベルを付加する。
一例を挙げると、付加機能342は、まず、CT画像データI112と2次元X線画像データI212とを位置合わせした状態において、CT画像データI112においてピクセルP21と重なる位置を算出する。以下、CT画像データI112においてピクセルP21と重なる位置を、位置L1とする。
次に、付加機能342は、CT画像データI112において、位置L1から、2次元X線画像データI212に垂直な方向(以下、単に垂直方向と記載する)の位置に付された第1ラベルを、ピクセルP21に投影する。例えば、図4に示す場合、付加機能342は、位置L1から垂直方向の位置に付された第1ラベルとして、「軟組織」の第1ラベルと「血管」の第1ラベルとを、ピクセルP21に投影する。即ち、ピクセルP21には、複数の第1ラベルが投影される。
次に、付加機能342は、ラベルの優先度に基づいて、複数の第1ラベルのうちいずれかをピクセルP21に対して付加する。ここで、ラベルの優先度は、付加機能342が決定してもよいし、プリセットされてもよいし、操作者が設定してもよい。例えば、付加機能342は、検査情報に基づいて、ラベルの優先度を自動で決定する。一例を挙げると、被検体Pの血管に対するインターベンション治療が行われる場合、付加機能342は、「血管」の第1ラベルの優先度を高く設定する。
以下では一例として、「血管」の第1ラベルの優先度が最も高い場合について説明する。この場合、付加機能342は、複数の第1ラベルのうち優先度の高いラベルに対応した第2ラベルを、ピクセルP21に対して付加する。即ち、付加機能342は、図4の矢印に示すように、「血管」の第2ラベルを、ピクセルP21に対して付加する。また、付加機能342は、ピクセルP21以外の他のピクセル(ピクセルP22、ピクセルP23、ピクセルP24、ピクセルP25及びピクセルP26)についても同様に、「血管」の第2ラベルを付加する。
即ち、付加機能342は、2次元X線画像データI212のうち複数の第1ラベルが付加される位置に対して、複数の第1ラベルのうち優先度の高いラベルに対応した第2ラベルを付加する。これにより、付加機能342は、例えば、CT画像データI112における血管と2次元X線画像データI212との間に距離がある場合でも、2次元X線画像データI212に対して、「血管」の第2ラベルを優先的に付加することができる。
上述したように、付加機能342は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。次に、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に付された第2ラベルに応じた画像処理を施す。
例えば、被検体Pの血管に対するインターベンション治療が行われる場合において、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「血管」の第2ラベルが付加された位置のコントラストを強調する。これにより、画像処理機能343は、インターベンション治療において操作者が注目する「血管」の視認性を向上させることができる。
例えば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「血管」の第2ラベルが付加された位置に対して、濃度変換による血管強調処理を実行する。一例を挙げると、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「血管」の第2ラベルが付加された位置における画素値ヒストグラムを拡張する。また、例えば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「血管」の第2ラベルが付加された位置に対して、エッジ強調フィルタ等を用いたフィルタリング処理を実行する。
また、例えば、インターベンション治療が行われる場合において、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「骨」の第2ラベルが付加された位置の画素値を、2次元X線画像データI21における背景領域の画素値に置換する。これにより、画像処理機能343は、インターベンション治療において操作者が通常注目しない「骨」を目立たないようにして、「血管」の視認性を向上させることができる。
なお、2次元X線画像データI21における背景領域の画素値とは、2次元X線画像データI21において操作者が注目しない領域の画素値である。例えば、画像処理機能343は、背景領域の画素値として、2次元X線画像データI21において被検体Pの体外(即ち、空気)を示す画素値を用いてもよいし、プリセットされた値を用いてもよい。また、例えば、操作者が軟組織に注目しない場合、画像処理機能343は、背景領域の画素値として、2次元X線画像データI21において軟組織を示す画素値を用いてもよい。
また、例えば、インターベンション治療が行われる場合において、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「軟組織」の第2ラベルが付加された位置のノイズを除去する。例えば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「軟組織」の第2ラベルが付加された位置の低周波成分を抑制したり、ノイズ除去フィルタを用いたフィルタリング処理を実行したりする。これにより、画像処理機能343は、軟組織から血管を識別することを容易にして、「血管」の視認性を向上させることができる。
また、例えば、インターベンション治療が行われる場合において、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21における「デバイス」が治療に関係するものであるか否かを判定する。
一例を挙げると、被検体Pの脳血管に対するインターベンション治療が行われる場合において、2次元X線画像データI21における「デバイス」が歯科用インプラントである場合、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21における「デバイス」が治療に関係するものではないと判定する。この場合、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「デバイス」の第2ラベルが付加された位置の画素値を、2次元X線画像データI21における背景領域の画素値に置換する。これにより、画像処理機能343は、インターベンション治療に関係しない「デバイス」を目立たないようにして、「血管」の視認性を向上させることができる。
別の例を挙げると、被検体Pの血管内に留置された第1ステントの近傍に第2ステントを追加で留置するインターベンション治療が行われる場合において、2次元X線画像データI21における「デバイス」が留置済みの第1ステントである場合、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21における「デバイス」が治療に関係するものであると判定する。この場合、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「デバイス」の第2ラベルが付加された位置の高周波成分を強調する。例えば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち「デバイス」の第2ラベルが付加された位置に対して、エッジ強調フィルタ等を用いたフィルタリング処理や、高周波側の強調成分を付加する処理を実行する。これにより、画像処理機能343は、インターベンション治療において操作者が注目する「デバイス」の視認性を向上させることができる。
また、例えば、時系列的に複数の2次元X線画像データI21が収集される場合において、画像処理機能343は、複数の2次元X線画像データI21それぞれの各位置に対し、その位置に付加された第2ラベルに応じて、時間方向のフィルタ処理を行なう。例えば、画像処理機能343は、複数の2次元X線画像データI21それぞれの各位置に対し、その位置に付加された第2ラベルに応じて、リカーシブフィルタを用いたフィルタ処理を行なう。
一例を挙げると、まず、X線診断装置10は、時系列的に複数の2次元X線画像データI21を収集し、収集した複数の2次元X線画像データI21を医用画像処理装置30に対して送信する。次に、付加機能342は、複数の2次元X線画像データI21それぞれの各位置に対して、第2ラベルを付加する。次に、画像処理機能343は、複数の2次元X線画像データI21それぞれの各位置に対し、その位置に付加された第2ラベルに応じた強度のリカーシブフィルタを用いて、フィルタ処理を実行する。ここで、リカーシブフィルタの強度とは、例えば、フィルタ処理に用いるフレーム数や重み付け係数等である。例えば、画像処理機能343は、「血管」の第2ラベルが付加された位置等、フレーム間での画素値の変化が大きい位置ほどフレーム数が少なくなるようにリカーシブフィルタの強度を決定して、フィルタ処理を実行する。一例を挙げると、画像処理機能343は、第2ラベルに応じたフレーム数の2次元X線画像データI21の間で、対応する位置の画素値を、第2ラベルに応じた重み付け係数に基づいて加算処理する。
なお、上述した例では、被検体Pの血管に対するインターベンション治療が行われる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、画像処理機能343は、検査の種類や目的に応じて、第2ラベルに応じた画像処理の内容を適宜変更することが可能である。
そして、表示制御機能344は、画像処理機能343による画像処理後の2次元X線画像データI21をディスプレイ32に表示させる。或いは、制御機能341は、画像処理後の2次元X線画像データI21を外部装置に出力する。例えば、制御機能341は、画像処理後の2次元X線画像データI21をX線診断装置10に対して送信し、X線診断装置10は、受信した2次元X線画像データI21をディスプレイ108に表示させる。
なお、2次元X線画像データI21は透視像であってもよい。即ち、X線診断装置10は、時系列的に複数の2次元X線画像データI21を収集し、収集した2次元X線画像データI21を、医用画像処理装置30に対して順次送信する。次に、付加機能342は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、第2ラベルを順次付加する。次に、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に付加された第2ラベルに応じた画像処理を順次施す。次に、表示制御機能344は、画像処理機能343による画像処理後の2次元X線画像データI21を、ディスプレイ32に順次表示させる。
或いは、制御機能341は、画像処理後の2次元X線画像データI21をX線診断装置10に対して順次送信する。この場合、制御機能110aは、2次元X線画像データI21を順次受信し、表示制御機能110cは、2次元X線画像データI21をディスプレイ108に順次表示させる。
次に、医用画像処理装置30による処理の手順の一例を、図5を用いて説明する。図5は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101は、制御機能341に対応するステップである。ステップS102、ステップS103、ステップS104、ステップS105、ステップS106、ステップS107、ステップS110、ステップS111及びステップS112は、付加機能342に対応するステップである。ステップS108は、画像処理機能343に対応するステップである。ステップS109は、表示制御機能344に対応するステップである。
まず、処理回路34は、画像保管装置20から、CT画像データI11を取得する(ステップS101)。次に、処理回路34は、CT画像データI11を、血管モデルI12と非血管モデルI13とに分離する(ステップS102)。次に、処理回路34は、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する(ステップS103)。例えば、処理回路34は、血管モデルI12の各ボクセルに対して「血管」の第1ラベルを付加し、非血管モデルI13の各ボクセルに対して「デバイス」や「骨」、「軟組織」、「空気」等の第1ラベルを付加する。
次に、処理回路34は、被検体Pに対する透視が開始されたか否かを判定する(ステップS104)。ここで、透視を開始しない場合(ステップS104否定)、処理回路34は待機状態となる。一方で、透視を開始する場合(ステップS104肯定)、処理回路34は、非血管モデルI13と、被検体PをX線撮像した得られた2次元X線画像データI21とを位置合わせする(ステップS105)。次に、処理回路34は、非血管モデルI13と2次元X線画像データI21との位置合わせの結果を用いて、血管モデルI12と2次元X線画像データI21とを位置合わせする(ステップS106)。
次に、処理回路34は、CT画像データI11と2次元X線画像データI21とを位置合わせした状態において、CT画像データI11上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する(ステップS107)。次に、処理回路34は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に付加された第2ラベルに応じた画像処理を施す(ステップS108)。次に、処理回路34は、画像処理後の2次元X線画像データI21をディスプレイ32に表示させる(ステップS109)。
ここで、処理回路34は、透視が終了したか否かを判定する(ステップS110)。透視が終了していない場合(ステップS110否定)、処理回路34は、撮像系の配置が変化したか否かを判定する(ステップS111)。即ち、処理回路34は、最後に画像処理した2次元X線画像データI21と、次に画像処理する2次元X線画像データI21との間で、撮像位置及び撮像角度の少なくとも一方が変化したか否かを判定する。以下、最後に画像処理した2次元X線画像データI21を、処理済み画像とも記載する。また、次に画像処理する2次元X線画像データI21を、処理前画像とも記載する。
例えば、処理回路34は、X線診断装置10の撮像系を制御する処理回路110から、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間に、撮像系の配置が変化したか否かを示す情報を受信する。一例を挙げると、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間に、Cアーム105が回転したり移動したりした場合、処理回路34は、撮像系の配置が変化したことを示す情報を受信する。また、一例を挙げると、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間に、天板104が移動したり傾斜したりした場合、処理回路34は、撮像系の配置が変化したことを示す情報を受信する。
撮像系の配置が変化した場合(ステップS111肯定)、処理回路34は、再度ステップS107に移行し、処理前画像上の各位置に対して第2ラベルを付加する。ここで、処理回路34は、CT画像データI11と処理済み画像との位置合わせの結果と、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間における撮像系の配置の変化に基づいて、処理前画像上の各位置に対して第2ラベルを付加することができる。
例えば、Cアーム105の回転及び移動によって撮像位置及び撮像角度が変化した場合、処理回路34は、処理回路110から、処理済み画像の撮像時におけるCアーム105の配置と、処理前画像の撮像時におけるCアーム105の配置とを取得する。例えば、処理回路34は、処理回路110から、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間におけるCアーム105の回転量及び移動量を取得する。
次に、処理回路34は、Cアーム105の配置に基づいて、処理済み画像と処理前画像との位置関係を算出する。そして、処理回路34は、CT画像データI11と処理済み画像との位置合わせの結果、及び、処理済み画像と処理前画像との位置関係に基づいて、CT画像データI11上の各位置に付加された第1ラベルを処理前画像に投影することで、処理前画像上の各位置に対して第2ラベルを付加する。即ち、処理回路34は、Cアーム105の配置に基づいて第1ラベルを処理前画像に投影することで、処理前画像上の各位置に対して第2ラベルを付加する。
また、例えば、Cアーム105の回転及び移動に加えて、天板104の傾斜及び移動によって撮像位置及び撮像角度が変化した場合、処理回路34は、処理回路110から、処理済み画像の撮像時におけるCアーム105及び天板104の配置と、処理前画像の撮像時におけるCアーム105及び天板104の配置とを取得する。例えば、処理回路34は、処理回路110から、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間におけるCアーム105の回転量及び移動量と、天板104の傾斜量及び移動量とを取得する。
次に、処理回路34は、Cアーム105及び天板104の配置に基づいて、処理済み画像と処理前画像との位置関係を算出する。そして、処理回路34は、CT画像データI11と処理済み画像との位置合わせの結果、及び、処理済み画像と処理前画像との位置関係に基づいて、CT画像データI11上の各位置に付加された第1ラベルを処理前画像に投影することで、処理前画像上の各位置に対して第2ラベルを付加する。即ち、処理回路34は、Cアーム105及び天板104の配置に基づいて第1ラベルを処理前画像に投影することで、処理前画像上の各位置に対して第2ラベルを付加する。
撮像系の配置が変化しなかった場合(ステップS111否定)、処理回路34は、体動があったか否かを判定する(ステップS112)。体動があった場合(ステップS112肯定)、処理回路34は、再度ステップS105に移行し、非血管モデルI13と処理前画像とを位置合わせする。例えば、操作者は、処理済み画像の撮像から処理前画像の撮像までの間に被検体Pの体動があったと判断した場合、入力インターフェース31を介して、体動があった旨の入力操作を行なう。この場合、処理回路34は、体動があったと判定して、非血管モデルI13と処理前画像との位置合わせを実行する。
被検体Pの体動がなかった場合(ステップS112否定)、処理回路34は、再度ステップS108に移行し、処理前画像に対する画像処理を実行する。具体的には、処理回路34は、処理済み画像の各位置に付加されていた第2ラベルを処理前画像の対応する位置に付加し、処理前画像上の各位置に対してその位置に付加された第2ラベルに応じた画像処理を施す。即ち、撮像系の配置の変化及び被検体Pの体動のいずれもがない場合、処理回路34は、処理済み画像の各位置に付加されていた第2ラベルを処理前画像に引き継がせて、画像処理を実行する。また、透視が終了した場合(ステップS110肯定)、処理回路34は、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、被検体PのCT画像データI11上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に付加された第2ラベルに応じた画像処理を施す。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21に対する画像処理の効果を高めることができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、2次元X線画像データI21のうち複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルのうち、優先度の高いラベルに対応した第2ラベルを付加する。即ち、付加機能342は、CT画像データI11上で複数の組織やデバイスが重なっている場合、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、優先度の高い組織やデバイスの第2ラベルを付加する。例えば、医用画像処理装置30は、インターベンション治療に際してCT画像データI11上で血管や骨、軟組織、空気、デバイス等が重なっている場合、「血管」の第2ラベルを優先的に付加して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21について、操作者が注目する組織やデバイスの視認性を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、CT画像データI11を血管モデルI12と非血管モデルI13とに分離し、非血管モデルI13と2次元X線画像データI21とを位置合わせすることにより、CT画像データI11と2次元X線画像データI21とを位置合わせする。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21において被検体Pの血管が造影されていない場合でも、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを実行することができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、エネルギーが異なるX線を用いて撮像された複数の2次元X線画像データI21を用いて、2次元X線画像データI21のうち骨に対応する領域を特定する。即ち、付加機能342は、X線の吸収特性の違いを利用して、2次元X線画像データI21のうち骨に対応する領域を精度良く特定することができる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、非血管モデルI13のうち骨に対応する領域と、2次元X線画像データI21のうち骨に対応する領域とを位置合わせすることにより、CT画像データI11と2次元X線画像データI21とを精度良く位置合わせすることができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、被検体Pに対する2次元X線画像データI21の撮像位置及び撮像角度の少なくとも一方が変化した場合において、Cアーム105の配置に基づいて第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。或いは、付加機能342は、被検体Pに対する2次元X線画像データI21の撮像位置及び撮像角度の少なくとも一方が変化した場合において、Cアーム105の配置と天板104の配置とに基づいて第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、透視中に撮像位置及び撮像角度の少なくとも一方が変化した場合において、再度の位置合わせを要することなく、第2ラベルを付加することができる。即ち、医用画像処理装置30は、透視中に撮像位置及び撮像角度の少なくとも一方が変化した場合において、位置合わせに要する計算コストを削減し、第2ラベルを迅速に付加することができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、被検体Pの体動があった場合、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを再度実行する。即ち、付加機能342は、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを繰り返し実行し、位置合わせを実行する毎に2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。また、画像処理機能343は、第2ラベルが付加される毎に、新たに付加された第2ラベルに応じた画像処理を施す。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、被検体Pの体動があった場合においても第2ラベルを適切に付加し、2次元X線画像データI21に対する画像処理の効果を高めることができる。
なお、図5においては、被検体Pの体動があった場合に、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを再度実行するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、付加機能342は、被検体Pの体動の有無に関わらず、周期的にCT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを実行してもよい。即ち、付加機能342は、周期的に、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを繰り返し実行してもよい。これにより、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、被検体Pの体動の有無を判定することなく、被検体Pの体動があった場合において第2ラベルを適切に付加し、2次元X線画像データI21に対する画像処理の効果を高めることができる。
また、付加機能342は、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを繰り返し実行することにより、計算コストを低減することができる。具体的には、CT画像データI11と2次元X線画像データI21との位置合わせを繰り返し実行する場合、最後に位置合わせを実行してから次の位置合わせを実行するまでの間における被検体Pの体動は小さい。ここで、上述した評価関数の最小化を図ることによってCT画像データI11と2次元X線画像データI21とを繰り返し位置合わせする場合、付加機能342は、被検体Pにおける各部位の移動量が小さいことから、評価関数において計算範囲を限定することができる。これにより、付加機能342は、計算コストを低減することができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、付加機能342は、物質弁別処理によって、CT画像データI11上の各位置に対して第1ラベルを付加する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、CT画像データI11の各位置に対して、第1ラベルを自動で付加することができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の位置のうち、「血管」の第2ラベルが付加された位置について、コントラストを強調する画像処理を実行する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21における血管の視認性を向上させることができる。
また、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、血管の視認性を向上させることにより、被検体Pに対する造影剤の使用量を低減することができる。例えば、インターベンション治療においては、被検体Pに対して造影剤が繰り返し注入される場合がある。一例を挙げると、血管内にステントを留置するステント留置術においては、バルーン拡張やステント留置後の確認のため、造影剤を繰り返し注入して、血管が造影された2次元X線画像データI21が繰り返し収集される。ここで、医用画像処理装置30が2次元X線画像データI21に対して画像処理を施すことにより、造影剤の使用量を低減しても、2次元X線画像データI21において血管を視認することが可能となる。即ち、医用画像処理装置30は、少量の造影剤(薄めた造影剤等)の使用を可能として、被検体Pの負担を軽減することができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の位置のうち、「骨」の第2ラベルが付加された位置の画素値を、2次元X線画像データI21における背景領域の画素値に置換する画像処理を実行する。また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の位置のうち、「デバイス」の第2ラベルが付加された位置の画素値を、2次元X線画像データI21における背景領域の画素値に置換する画像処理を実行する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、操作者が注目する部位(インターベンション治療における血管等)の視認性を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の位置のうち、「デバイス」の第2ラベルが付加された位置の高周波成分を強調する画像処理を実行する。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21におけるデバイスの視認性を向上させることができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、2次元X線画像データI21のうち複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルのうち優先度の高いラベルに対応した第2ラベルを付加する場合について説明した。即ち、第1の実施形態では、複数の第1ラベルが投影される場合においても、2次元X線画像データI21上の1つの位置に対しては、1つの第2ラベルを付加するものとして説明した。これに対し、第2の実施形態では、2次元X線画像データI21のうち複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルに対応した複数の第2ラベルを付加する場合について説明する。
第2の実施形態に係る医用画像処理システム1は、図1~図2に示した第1の実施形態に係る医用画像処理システム1と同様の構成を有し、付加機能342及び画像処理機能343による処理の一部が相違する。第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1~図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、CT画像データI11の一例として、CT画像データI113について説明する。また、2次元X線画像データI21の一例として、2次元X線画像データI213について説明する。まず、付加機能342は、CT画像データI113と2次元X線画像データI213とを位置合わせする。
次に、付加機能342は、CT画像データI113と2次元X線画像データI213とを位置合わせした状態において、CT画像データI113上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI213に投影することで、2次元X線画像データI213上の各位置に対して第2ラベルを付加する。ここで、付加機能342は、2次元X線画像データI213のうち複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルに対応した複数の第2ラベルを付加する。
一例を挙げると、付加機能342は、まず、CT画像データI113と2次元X線画像データI213とを位置合わせした状態において、CT画像データI113におけるピクセルP3と重なる位置を算出する。以下、CT画像データI113においてピクセルP3と重なる位置を、位置L2とする。次に、付加機能342は、CT画像データI113において、位置L3から2次元X線画像データI213に垂直な方向(垂直方向)の位置に付された第1ラベルを、ピクセルP3に投影する。例えば、付加機能342は、「血管」の第1ラベルと「軟組織」の第1ラベルとを、ピクセルP3に投影する。この場合、付加機能342は、ピクセルP3に対して、「血管」の第1ラベルと「軟組織」の第1ラベルとに対応した、「血管」の第2ラベルと「軟組織」の第2ラベルとを付加する。
次に、画像処理機能343は、2次元X線画像データI213のうち複数の第2ラベルが付加された位置に対して、複数の第2ラベルのうち優先度の高いラベルに応じた画像処理を施す。ここで、ラベルの優先度は、例えば、検査情報に基づいて、付加機能342が自動で決定することができる。
また、ラベルの優先度は、操作者が設定してもよい。一例を挙げると、まず、表示制御機能344は、「血管」、「骨」、「軟組織」、「デバイス」を示す情報を、ディスプレイ32に並べて表示させる。次に、操作者は、入力インターフェース31を介して、「血管」、「骨」、「軟組織」、「デバイス」を示す情報を検査で注目する度合いに応じて並べ替えることにより、ラベルの優先度を決定する。
ここで、例えば、操作者が、最も優先度の高いラベルとして「血管」を選択した場合、画像処理機能343は、2次元X線画像データI213のうち、「血管」を含む複数の第2ラベルが付加された位置に対して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、例えば、操作者が選択を「軟組織」に切り替えた場合、画像処理機能343は、2次元X線画像データI213のうち、「軟組織」を含む複数の第2ラベルが付加された位置に対して、「軟組織」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。
上述したように、付加機能342は、2次元X線画像データI21のうち複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルに対応した複数の第2ラベルを付加する。また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち複数の第2ラベルが付加された位置に対して、複数の第2ラベルのうち優先度の高い情報に応じた画像処理を施す。従って、第2の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21について、操作者が注目する組織やデバイスの視認性を向上させることができる。
次に、図6を用いて、付加機能342による処理の別の例を説明する。図6は、第2の実施形態に係る第2ラベルの付加について説明するための図である。以下、CT画像データI11の一例として、CT画像データI114について説明する。また、2次元X線画像データI21の一例として、図6に示す2次元X線画像データI214aについて説明する。
まず、制御機能341は、ネットワークNWを介して、CT画像データI114を取得する。次に、付加機能342は、CT画像データI114上の各位置に対して、その位置に対応する第1ラベルを付加する。例えば、付加機能342は、物質弁別処理によって、CT画像データI114上の各位置に対して第1ラベルを付加する。また、例えば、付加機能342は、操作者による入力操作を受け付けることによって、CT画像データI114上の各位置に対して第1ラベルを付加する。
具体的には、付加機能342は、CT画像データI114上の各位置に対して、その位置に対応する組織又はデバイスを示す第1ラベルを付加する。一例を挙げると、付加機能342は、CT画像データI114上の各ボクセルのうち、被検体Pの体内に留置されたデバイスに対応するボクセルに対して、「デバイス」の第1ラベルを付加する。
以下では一例として、被検体Pの血管内に留置された第1ステントの近傍に第2ステントを追加で留置するインターベンション治療が行われる場合について説明する。この場合、付加機能342は、CT画像データI114上の各ボクセルのうち、被検体Pの血管内に留置された第1ステントに対応するボクセルに対して、「デバイス」の第1ラベルを付加する。
また、付加機能342は、被検体Pの血管に対応するボクセルに対して、「血管」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、被検体Pの軟組織に対応するボクセルに対して、「軟組織」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、被検体Pの骨に対応するボクセルに対して、「骨」の第1ラベルを付加する。
更に、付加機能342は、CT画像データI114上の各位置のうち、デバイスがこれから挿入される位置に対して、「デバイス」の第1ラベルを付加する。例えば、付加機能342は、第2ステントがこれから留置される位置(以下、留置予定位置とする)に対して、「デバイス」の第1ラベルを付加する。また、付加機能342は、留置位置に到達するまでに第2ステントが通る血管(以下、「経路」とする)に対して、「デバイス」の第1ラベルを付加する。例えば、付加機能342は、第2ステントの留置予定位置及び経路に対して、「血管」の第1ラベルと「デバイス」の第1ラベルとを重ねて付加する。即ち、付加機能342は、CT画像データI11における1つの位置に、複数の第1ラベルを付加する。
次に、付加機能342は、CT画像データI114と2次元X線画像データI214aとを位置合わせした状態において、CT画像データI114上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI214aに投影することで、2次元X線画像データI214a上の各位置に対して第2ラベルを付加する。ここで、付加機能342は、2次元X線画像データI214aのうち、複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルに対応した複数の第2ラベルを付加する。
例えば、付加機能342は、図6に示すように、2次元X線画像データI214aのうち「血管」の第1ラベルと「デバイス」の第1ラベルとが投影されるピクセルに対して、「血管」の第2ラベルと「デバイス」の第2ラベルとを付加する。即ち、付加機能342は、図6に示すように、ピクセルP31、ピクセルP32、ピクセルP33、ピクセルP34、ピクセルP35、ピクセルP36及びピクセルP37に対して、「血管」の第2ラベルと「デバイス」の第2ラベルとを付加する。なお、以下では、ピクセルP31~P36が第2ステントの経路に対応し、ピクセルP37が第2ステントの留置予定位置に対応するものとして説明する。
また、第1ステントがピクセルP38に位置する場合、付加機能342は、図6に示すように、ピクセルP38に対して「デバイス」の第2ラベルを付加する。また、付加機能342は、ピクセルP39、ピクセルP40、ピクセルP41及びピクセルP42に対して、「血管」の第2ラベルを付加する。また、付加機能342は、図6に示す他のピクセルに対して、「軟組織」の第2ラベルを付加する。
インターベンション治療において、操作者は、まず、第2ステントを被検体Pの血管内に挿入する。第2ステントは、例えば、円筒形状のワイヤーフレームを有し、バルーン付きカテーテルのバルーン部分の外側に密着した状態で被検体Pの血管内に挿入される。
ここで、画像処理機能343による画像処理について、図7Aを用いて説明する。図7Aは、第2の実施形態に係る画像処理について説明するための図である。なお、図7Aは、2次元X線画像データI214aの各位置に対して施される画像処理を示す。また、図7Aは、バルーン付きカテーテルのバルーン部分の外側に密着した状態の第2ステントが、ピクセルP31に位置する場合を示す。
図7Aに示す場合において、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214aのうち複数の第2ラベルが付加された位置に対して、複数の第2ラベルのうち優先度の高いラベルに応じた画像処理を施す。即ち、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214aのうち「血管」の第2ラベルと「デバイス」の第2ラベルとが付加された位置に対し、優先度に応じて、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理及び「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理のいずれかを施す。
例えば、画像処理機能343は、第2ステントが位置するピクセルP31に対しては、「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。ここで、画像処理機能343は、第2ステントが位置するピクセルP31を、2次元X線画像データI214aに基づいて特定することができる。例えば、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214aにおいて、第2ステントの位置を示すステントマーカを検出することにより、第2ステントが位置するピクセルを特定する。なお、ステントマーカは、例えば、第2ステント又はバルーンに付されるX線不透過の金属である。また、画像処理機能343は、第2ステントが位置しないピクセル(ピクセルP32、ピクセルP33、ピクセルP34、ピクセルP35、ピクセルP36及びピクセルP37)に対しては、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。これにより、画像処理機能343は、第2ステント、及び、第2ステントの経路となる血管の双方の視認性を向上させることができる。
上述したように、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214aに基づいて、2次元X線画像データI214aのうち複数の第2ラベルが付加された位置に施す画像処理を決定する。即ち、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214aに基づいて優先度を決定し、2次元X線画像データI214aのうち複数の第2ラベルが付加された位置に対して、複数の第2ラベルのうち優先度の高いラベルに応じた画像処理を施す。
また、図7Aに示す場合、画像処理機能343は、第1ステントが位置するピクセルP38に対して、「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。これにより、画像処理機能343は、第1ステントの視認性を向上させることができる。また、画像処理機能343は、ピクセルP39、ピクセルP40、ピクセルP41及びピクセルP42に対して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。これにより、画像処理機能343は、血管の視認性を向上させることができる。また、画像処理機能343は、ピクセルP31~P42以外の他のピクセルに対して、「軟組織」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。これにより、画像処理機能343は、軟組織の視認性を向上させることができる。
ここで、2次元X線画像データI214aの撮像後、第2ステントは移動する場合がある。例えば、第2ステントは、2次元X線画像データI214aが撮像されてから、図7Bに示す2次元X線画像データI214bが撮像されるまでの間に、ピクセルP34の位置まで移動する場合がある。なお、図7Bは、第2の実施形態に係る画像処理について説明するための図である。図7Bは、2次元X線画像データI214bの各位置に対して施される画像処理を示す。
例えば、2次元X線画像データI214aが撮像されてから2次元X線画像データI214bが撮像されるまでの間に、撮像系の配置の変化及び被検体Pの体動のいずれもがなかった場合、付加機能342は、2次元X線画像データI214aの各位置に付加されていた第2ラベルを2次元X線画像データI214bに引き継がせる。また、2次元X線画像データI214aが撮像されてから2次元X線画像データI214bが撮像されるまでの間に撮像系の配置が変化した場合、付加機能342は、撮像系の配置に基づいて第1ラベルを2次元X線画像データI214bに投影することで、2次元X線画像データI214b上の各位置に対して第2ラベルを付加する。また、2次元X線画像データI214aが撮像されてから2次元X線画像データI214bが撮像されるまでの間に被検体Pの体動があった場合、付加機能342は、CT画像データI114と2次元X線画像データI214bとを位置合わせし、第1ラベルを2次元X線画像データI214bに投影することで、2次元X線画像データI214b上の各位置に対して第2ラベルを付加する。なお、以下では、図6と同様に、2次元X線画像データI214bの各ピクセルに第2ラベルが付加されたものとして説明する。
次に、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214bに基づいて、2次元X線画像データI214bにおいて第2ステントが位置するピクセルP34を特定する。次に、画像処理機能343は、図7Bに示すように、2次元X線画像データI214bにおいて複数の第2ラベルが付加されたピクセルのうち、第2ステントが位置するピクセルP34に対して、「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、画像処理機能343は、複数の第2ラベルが付加されたピクセルのうち、第2ステントが位置しないピクセル(ピクセルP31、ピクセルP32、ピクセルP33、ピクセルP35、ピクセルP36及びピクセルP37)に対して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。これにより、画像処理機能343は、第2ステントが移動した場合においても、第2ステント及び第2ステントの経路となる血管の双方の視認性を向上させることができる。
また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214bにおいて第1ステントが位置するピクセルP38に対して、「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、画像処理機能343は、ピクセルP39、ピクセルP40、ピクセルP41及びピクセルP42に対して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、画像処理機能343は、ピクセルP31~P42以外の他のピクセルに対して、「軟組織」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。
2次元X線画像データI214bの撮像後、第2ステントは更に移動して、留置予定位置に留置される。例えば、第2ステントは、2次元X線画像データI214bが撮像されてから、図7Cに示す2次元X線画像データI214cが撮像されるまでの間に、留置予定位置に対応するピクセルP37の位置に留置される。なお、図7Cは、第2の実施形態に係る画像処理について説明するための図である。図7Cは、2次元X線画像データI214cの各位置に対して施される画像処理を示す。
例えば、2次元X線画像データI214bが撮像されてから2次元X線画像データI214cが撮像されるまでの間に、撮像系の配置の変化及び被検体Pの体動のいずれもがなかった場合、付加機能342は、2次元X線画像データI214bの各位置に付加されていた第2ラベルを2次元X線画像データI214cに引き継がせる。また、2次元X線画像データI214bが撮像されてから2次元X線画像データI214cが撮像されるまでの間に撮像系の配置が変化した場合、付加機能342は、撮像系の配置に基づいて第1ラベルを2次元X線画像データI214cに投影することで、2次元X線画像データI214c上の各位置に対して第2ラベルを付加する。また、2次元X線画像データI214bが撮像されてから2次元X線画像データI214cが撮像されるまでの間に被検体Pの体動があった場合、付加機能342は、CT画像データI114と2次元X線画像データI214cとを位置合わせし、第1ラベルを2次元X線画像データI214cに投影することで、2次元X線画像データI214c上の各位置に対して第2ラベルを付加する。なお、以下では、図6と同様に、2次元X線画像データI214cの各ピクセルに第2ラベルが付加されたものとして説明する。
次に、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214cに基づいて、2次元X線画像データI214cにおいて第2ステントが位置するピクセルP37を特定する。次に、画像処理機能343は、図7Cに示すように、2次元X線画像データI214cにおいて複数の第2ラベルが付加されたピクセルのうち、第2ステントが位置するピクセルP37に対して、「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、画像処理機能343は、複数の第2ラベルが付加されたピクセルのうち、第2ステントが位置しないピクセル(ピクセルP31、ピクセルP32、ピクセルP33、ピクセルP34、ピクセルP35及びピクセルP36)に対して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。これにより、画像処理機能343は、留置予定位置に留置された第2ステントの視認性を向上させることができる。
また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214cにおいて第1ステントが位置するピクセルP38に対して、「デバイス」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、画像処理機能343は、ピクセルP39、ピクセルP40、ピクセルP41及びピクセルP42に対して、「血管」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。また、画像処理機能343は、ピクセルP31~P42以外の他のピクセルに対して、「軟組織」の第2ラベルに応じた画像処理を施す。
上述したように、付加機能342は、2次元X線画像データI21のうち複数の第1ラベルが投影される位置に対して、複数の第1ラベルに対応した複数の第2ラベルを付加する。また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21に基づいて、ラベルの優先度を決定する。また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21のうち複数の第2ラベルが付加された位置に対して、複数の第2ラベルのうち優先度の高い情報に応じた画像処理を施す。
従って、第2の実施形態に係る医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21について、操作者が注目する組織やデバイスの視認性を向上させることができる。また、医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI21が透視像であって、2次元X線画像データI21上でデバイスが移動する場合においても、デバイスの視認性を向上させることができる。例えば、被検体Pの血管内に留置された第1ステントの近傍に第2ステントを追加で留置するインターベンション治療が行われる場合において、医用画像処理装置30は、第1ステントと、操作者の操作により移動する第2ステントとの双方の視認性を向上させることができる。
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、制御機能341、付加機能342、画像処理機能343及び表示制御機能344を有する処理回路34について説明した。これに対し、第2の実施形態では、図8に示すように、処理回路34が更新処理機能345を更に有する場合について説明する。なお、図8は、第3の実施形態に係る処理回路34の一例を示す図である。
第3の実施形態に係る医用画像処理システム1は、図1~図2に示した第1の実施形態に係る医用画像処理システム1と同様の構成を有し、処理回路34が更新処理機能345を更に有する点で相違する。第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1~図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
以下では一例として、被検体Pの血管内に留置された第1ステントの近傍に第2ステントを追加で留置するインターベンション治療が行われる場合について説明する。例えば、制御機能341は、ネットワークNWを介して、CT画像データI114を取得する。次に、付加機能342は、CT画像データI114上の各位置に対して、その位置に対応する第1ラベルを付加する。
次に、付加機能342は、図6に示したように、CT画像データI114に基づいて、2次元X線画像データI214a上の各位置に対して第2ラベルを付加する。また、画像処理機能343は、図7Aに示したように、2次元X線画像データI214aの各位置に対して、その位置に付された第2ラベルに応じた画像処理を施す。同様に、付加機能342は、図7Bに示した2次元X線画像データI214b、及び、図7Cに示した2次元X線画像データI214c上の各位置に対して第2ラベルを順次付加し、第2ラベルに応じた画像処理を順次施す。
ここで、更新処理機能345は、2次元X線画像データI214cに基づいて、CT画像データI114上の各位置に付加された第1ラベルを更新する。例えば、更新処理機能345は、まず、2次元X線画像データI214cに基づいて、留置予定位置に第2ステントが留置されたと判定する。一例を挙げると、更新処理機能345は、留置予定位置に対応するピクセルP37においてステントマーカを検出した場合、ピクセルP37の位置に第2ステントが留置されたと判定する。次に、更新処理機能345は、CT画像データI114においてピクセルP37に対応する位置(以下、位置L3とする)を特定する。例えば、更新処理機能345は、CT画像データI114と2次元X線画像データI214cとの位置合わせの結果に基づいて、CT画像データI114においてピクセルP37に対応する位置L3を特定する。
そして、更新処理機能345は、位置L3に付加する第1ラベルを更新する。一例を挙げると、更新処理機能345は、位置L3に「血管」の第1ラベルと「デバイス」の第1ラベルとが付加されていた場合において、位置L3から「血管」の第1ラベルを削除する。別の例を挙げると、更新処理機能345は、位置L3に「血管」の第1ラベルが付加されていた場合において、位置L3に付加する第1ラベルを「デバイス」の第1ラベルに変更する。別の例を挙げると、更新処理機能345は、位置L3に「血管」の第1ラベルが付加されていた場合において、位置L3に「デバイス」の第1ラベルを追加で付加する。
2次元X線画像データI214cの収集後、被検体Pの2次元X線画像データI214dが更に収集された場合、付加機能342は、更新後の第1ラベルを2次元X線画像データI214dに投影することで、2次元X線画像データI214d上の各位置に対して第2ラベルを付加する。また、画像処理機能343は、2次元X線画像データI214dの各位置に対して、その位置に付された第2ラベルに応じた画像処理を施す。ここで、更新処理機能345は、2次元X線画像データI214dに基づいて、CT画像データI114上の各位置に付加された第1ラベルを更に更新してもよい。
上述したように、第3の実施形態によれば、更新処理機能345は、2次元X線画像データI21に基づいて、CT画像データI11上の各位置に付加された第1ラベルを更新する。従って、第3の実施形態に係る医用画像処理装置30は、CT画像データI11上の各位置に付加する第1ラベルの精度を向上させることができる。ひいては、医用画像処理装置30は、2次元X線画像データI214d上の各位置に付加する第2ラベルの精度を向上させて、第2ラベルに応じた画像処理の精度を向上させることができる。
なお、被検体Pの体内にデバイスが留置された場合に第1ラベルを更新する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、更新処理機能345は、CT画像データI11に付された第1ラベルと2次元X線画像データI21との不整合を修正するように、第1ラベルを更新する場合であってもよい。
(第4の実施形態)
さて、これまで第1~第3の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、3次元医用画像データの一例として、CT画像データI11について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、付加機能342は、被検体Pの3次元X線画像データI14に基づいて、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に対応する情報を付加してもよい。
例えば、まず、X線診断装置10における収集機能110bは、被検体Pに対する回転撮像を実行する。即ち、収集機能110bは、Cアーム105を回転させながら、X線管102から被検体Pに対して所定のフレームレートでX線を照射させ、複数の投影データを収集する。次に、収集機能110bは、収集した複数の投影データから、3次元X線画像データI14を再構成する。次に、制御機能341は、再構成された3次元X線画像データI14を、画像保管装置20に対して送信する。ここで、画像保管装置20は、受信した3次元X線画像データI14を記憶する。
次に、制御機能341は、画像保管装置20から3次元X線画像データI14を取得し、付加機能342は、3次元X線画像データI14を血管モデルI15と非血管モデルI16とに分離する。一例を挙げると、付加機能342は、3次元X線画像データI14のボクセルごとに、ボクセル値を閾値と比較することで、3次元X線画像データI14を血管モデルI15と非血管モデルI16とに分離する。
別の例を挙げると、収集機能110bは、血管内に造影剤が注入されていない状態の被検体Pに対する回転撮像を実行し、所定のフレームレートでマスク画像を収集する。また、収集機能110bは、血管内に造影剤が注入された状態の被検体Pに対する回転撮像を実行し、所定のフレームレートでコントラスト画像を収集する。次に、制御機能341は、ネットワークNWを介して、収集されたマスク画像及びコントラスト画像を取得する。
次に、付加機能342は、マスク画像とコントラスト画像とを差分した差分画像データを投影データとして、被検体Pの血管領域を示す血管モデルI15を再構成する。また、付加機能342は、コントラスト画像を投影データとして3次元X線画像データI14を再構成し、3次元X線画像データI14と血管モデルI15とを差分することで、被検体Pの血管以外の領域を示す非血管モデルI16を生成する。即ち、付加機能342は、再構成処理の段階において、3次元X線画像データI14を血管モデルI15と非血管モデルI16とに分離する。
別の例を挙げると、付加機能342は、コントラスト画像を投影データとして、被検体Pの3次元X線画像データI14を再構成する。また、付加機能342は、マスク画像を投影データとして、被検体Pの血管以外の領域を示す非血管モデルI16を生成する。次に、付加機能342は、3次元X線画像データI14と非血管モデルI16とを差分することで、被検体Pの血管領域を示す血管モデルI15を生成する。即ち、付加機能342は、再構成処理の段階において、3次元X線画像データI14を血管モデルI15と非血管モデルI16とに分離する。
次に、付加機能342は、3次元X線画像データI14上の各位置に対して第1ラベルを付加する。次に、付加機能342は、非血管モデルI16と2次元X線画像データI21とを位置合わせすることにより、3次元X線画像データI14と2次元X線画像データI21とを位置合わせする。次に、付加機能342は、3次元X線画像データI14と2次元X線画像データI21とを位置合わせした状態において、第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。そして、画像処理機能343は、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に付加された第2ラベルに応じた画像処理を施す。
また、上述した実施形態では、医用画像処理装置30における処理回路34が、2次元X線画像データI21に対する第2ラベルの付加及び画像処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置10における処理回路110が、第2ラベルの付加及び画像処理を実行する場合であってもよい。
例えば、処理回路110は、図9に示すように、制御機能110a、収集機能110b及び表示制御機能110cに加えて、付加機能110d、画像処理機能110e及び更新処理機能110fを更に有する。ここで、付加機能110dは、付加機能342に対応した機能である。また、画像処理機能110eは、画像処理機能343に対応した機能である。また、更新処理機能110fは、更新処理機能345に対応した機能である。なお、図9は、第4の実施形態に係る処理回路110の一例を示す図である。
例えば、図9に示す場合、収集機能110bは、被検体Pに対する回転撮像を実行することにより、3次元X線画像データI14を収集する。次に、付加機能110dは、3次元X線画像データI14上の各位置に対して第1ラベルを付加する。次に、制御機能110aは、第1ラベルが付加された3次元X線画像データI14を、画像保管装置20に対して送信する。
次に、収集機能110bは、被検体PをX線撮像して、2次元X線画像データI21を収集する。また、制御機能110aは、画像保管装置20から、3次元X線画像データI14を取得する。次に、付加機能110dは、3次元X線画像データI14上の各位置に付加された第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。次に、画像処理機能110eは、2次元X線画像データI21上の各位置に対して、その位置に付加された第2ラベルに応じた画像処理を施す。そして、表示制御機能110cは、画像処理後の2次元X線画像データI21をディスプレイ108に表示させる。
また、更新処理機能345は、2次元X線画像データI21に基づいて、デバイスが新たに留置されたと判定した場合、3次元X線画像データI14上に付加する第1ラベルを更新する。また、更新処理機能345は、3次元X線画像データI14に付された第1ラベルと2次元X線画像データI21との間に不整合がある場合、3次元X線画像データI14上に付加する第1ラベルを更新する。なお、第1ラベルの更新後に2次元X線画像データI21が新たに収集された場合、付加機能110dは、更新後の第1ラベルを2次元X線画像データI21に投影することで、2次元X線画像データI21上の各位置に対して第2ラベルを付加する。
第1~第4の実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、第1~第4の実施形態で説明した医用画像処理方法は、予め用意された医用画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、X線画像に対する画像処理の効果を高めることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。