JP7271145B2 - 透明部材、撮像装置、および透明部材の製造方法 - Google Patents

透明部材、撮像装置、および透明部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、防曇性能および光学性能に優れた透明部材、それを有する撮像装置、および透明部材の製造方法に関する。
ガラスやプラスチック等の透明な基板は、基板表面の温度が露点温度以下になると、微細な水滴が基板表面に付着することで透過光が散乱し、透明性が損なわれ、いわゆる「曇り」の状態となる。曇りを防ぐ手段としては、これまで様々な方法が提案されている。
例えば、基板にヒーター等を設置して加温することにより、基板表面を露点温度以上に維持して曇りを防ぐ方法がある。この技術は電源を必要とするが、半永久的に防曇性能を持続できるという利点がある。
一方、基板表面を濡れ易くし、水滴の発生を抑える方法も考えられている。特許文献1は、金属酸化物粒子を含有する凹凸膜で基板表面を被覆し、水の濡れ性を高めることで曇りを防ぐ方法を示している。
また、基板表面に吸湿性のある膜を設け、その膜に水分を吸収させることで水滴発生を防ぐ方法も提案されている。例えば、特許文献2は、吸水性ポリマーを無機バインダーで硬化させた吸湿性の膜で基板表面を被覆する方法を開示している。
さらに、基板上に、吸水性ポリマー層と、金属酸化物粒子を含有する層をこの順に積層した防曇膜が開示されている(特許文献3)。
特開平11-100234号公報 特開2001-40294号公報 特開2002-355916号公報
しかしながら、ヒーターを設けて基板表面の温度を露点以下にする方法は、ヒーターや電源の分の重量やスペースの増加が課題であった。
凹凸構造を設けて水の濡れ性を上げること、吸水性ポリマーを用いて吸湿能力を高めること、あるいはそれらを組み合わせることにより防曇性向上が期待できるが、いずれの場合も膜が吸湿し切るまでの時間だけ水滴の発生を抑えられるに過ぎなかった。さらに、防曇性を向上しようとして膜厚を増やしたり、単位体積当たりの吸湿量を極端に増やしたりすると、膨潤により透明性が低下したり、面の歪みを生じたりするため飛躍的な防曇性向上は望めなかった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、透明性に優れ、長時間にわたり防曇性が持続する透明部材、それを有する撮像装置、および透明部材の製造方法を提供するものである。
本発明の一つの観点によれば、基材上に、該基材側から有機層と無機多孔質層をこの順に、両層が接触するように積層してなる積層体を設けてなる透明部材であって、前記有機層が、有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から構成される有機分子鎖ネットワークおよび酸性基集合体を含み、かつ前記無機多孔質層が親水性を有することを特徴とする。
本発明の別の観点によれば、筐体と、前記筐体の内部に配置された光学系と、前記光学系を通して入射した映像を信号に変換するイメージセンサと、を備える撮像装置であって、前記光学系は、前記筐体の外側と内側との境界に設けられた透明部材を含んでおり、前記透明部材は、基材と、前記基材の前記筐体の内部側の面に、基材側から有機層、無機多孔質層の順に、両層が接触するように積層してなる積層体を有し、前記有機層が、有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から構成される有機分子鎖ネットワークおよび酸性基集合体を含み、かつ前記無機多孔質層が親水性を有することを特徴とする。
本発明のさらに別の観点によれば、基材上に積層体が設けられた透明部材の製造方法であって、基材上に、溶液の塗布および加熱硬化により有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から構成される有機分子鎖ネットワークおよび酸性基集合体を含む有機層を形成する工程;および前記有機層上に液体の塗布により酸化ケイ素を含む親水性の無機多孔質層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、透明性および防曇性に優れる透明部材を提供することができる。
本発明の透明部材の一実施形態を示す概略図である。 本発明の透明部材の別の実施形態を示す概略図である。 実施例1の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例1の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 実施例3の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例3の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 実施例6の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例6の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 実施例7の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例8の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例8の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 実施例11の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例11の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 実施例12の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例13の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 実施例13の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 実施例15の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 比較例1の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 比較例1の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 比較例2の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 比較例3の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 比較例4の透明部材の絶対反射率を示すグラフである。 比較例4の透明部材の加湿時間に対する圧縮防曇指数の変化を示すグラフである。 本発明に係る透明部材を光学系に用いた撮像装置の構成例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[透明部材]
図1は、本発明に係る透明部材の一実施形態を示す模式図である。本発明における「透明」とは、可視光に対して50%以上の透過率を有するものを指す。
本実施形態の透明部材1は、基材2と、該基材上に有機層4と多孔質層5がこの順に、両層が接触した状態で積層されてなる積層体3とから構成されている。
図1に示すように、有機層4は有機分子鎖ネットワーク6と酸性基集合体7を含んでいる。多孔質層5は親水性を有する酸化ケイ素からなり、酸化ケイ素体8と空孔9を含んでいる。空孔9同士は連通していることが好ましい。
本発明の透明部材1は、酸化ケイ素多孔質層5上に水膜を保持し続けることができるので、結露が発生するような環境に長時間暴露しても曇りが発生しない。そのため本発明の透明部材1は、窓ガラス、鏡、レンズ、透明フィルムなど広い用途に用いることができる。
また、多孔質層5上に水膜を保持し続けている間は透明部材1を透過する像に歪みが発生しないため、撮像光学系用レンズや投影光学系用レンズ、光学ミラー、光学フィルター、アイピース、屋外カメラ用平面カバー部材や監視カメラ用ドームカバー部材などの光学用途への使用に特に適している。
(多孔質層)
酸化ケイ素多孔質層5中に含まれる酸化ケイ素体8は親水性の酸化ケイ素から構成される。
酸化ケイ素多孔質層5は、外気が高湿度の時は外気から水分を取り込んで有機層4に送り込み、外気が低湿度の時は有機層4が吸い込んだ水分を外気に吐き出すことが可能となっている。従って、空孔9の平均孔径は、窒素ガス吸着法による細孔分布測定で得られる値において3nm以上30nm以下であることが好ましい。平均孔径が3nm未満になると、多孔質層5中に水分が滞留することで、多孔質層5から有機層4への、接触面を介しての空気や水分の移動が妨げられ、十分な防曇性能が得られない可能性がある。一方、平均孔径が30nmを超えると、孔径が100nm超の空孔の存在割合が増えるために、光の散乱の原因になり、透明性を損なうおそれがある。より好ましい孔径は5nm以上20nm以下である。
酸化ケイ素多孔質層5中の空孔9の体積割合を空隙率あるいは空孔率と呼ぶが、空孔率Pは酸化ケイ素多孔質層5の屈折率n、酸化ケイ素体8の屈折率1.46、空孔の屈折率1.00として下記式(1)から求めることができる。
P(体積%)=(1.46-n)/0.46 (1)
酸化ケイ素多孔質層5の空孔率Pは10体積%以上70体積%以下であることが好ましい。空孔率Pが10体積%未満であると多孔質層5から有機層4への空気や水分の移動が不十分で、十分な防曇性能が得られない可能性がある。また、空孔率が70体積%を超えると硬度が低下して十分な耐擦傷性が得られない可能性がある。より好ましい空孔率Pは20体積%以上60体積%以下である。
酸化ケイ素多孔質層5の表面に対する純水の接触角は3°以上30°以下であることが好ましい。純水の接触角が3°未満であると水分を取り込んだまま放出し難くなり、防曇性が持続しなくなる可能性がある。また、純水の接触角が30°を超えると、酸化ケイ素多孔質層5の表面で水滴が形成され易くなり、防曇性が低下する可能性がある。より好ましい純水接触角は5°以上20°以下である。
酸化ケイ素多孔質層5は、真空で堆積した層でも、ゾル-ゲル法などで酸化ケイ素前駆体をウェット成膜した層でも、酸化ケイ素粒子の分散液からウェット成膜した層でもよいが、有機物をなるべく含んでいないことが好ましい。具体的には、酸化ケイ素多孔質層5に含まれる有機物はC/Si元素比が3/100以下であることが好ましい。酸化ケイ素多孔質層5に疎水性の有機物がC/Si元素比で3/100超含まれる場合は、酸化ケイ素多孔質層5表面の疎水性が高まることで、外部から水分を取り込めず、有機層4に水分を送り込むことができなくなる可能性がある。一方、親水性または吸湿性の有機物がC/Si元素比で3/100超含まれる場合は、酸化ケイ素多孔質層5中に水分を抱え込んでしまい、有機層4に水分を送り込むことができなくなる可能性がある。
真空法で多孔質層を形成するには、真空蒸着の圧力を上昇させることにより、気相での蒸着粒子の衝突確率が増加し、粒子のエネルギーが減少して基板上での表面拡散が減少する、という現象を利用することができる(特開2012-185495号公報参照)。また、ウェット成膜した酸化ケイ素層から多孔質層を形成するには、有機物が数nm~数10nmのドメイン状に相分離した酸化ケイ素層を形成した後、有機物を熱および/または紫外線で分解除去する方法や、有機溶媒などで洗い流す方法を用いることができる。
多孔質層形成のための有機物としては、微細で均一な空孔を形成することができる点で、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、あるいはこれらのランダム共重合体やブロック共重合体が好ましく、ケイ酸エステルなどの酸化ケイ素前駆体を加水分解したゾル液に混合して用いることができる。
空孔9同士が連結し易く、平均空孔径や空孔率が一定にできる点で酸化ケイ素粒子の分散液からウェット成膜した層を用いることが好ましい。
図2は、本発明の透明部材の他の実施形態を示す模式図である。
図1に示す実施形態と同様に、本実施形態の透明部材1は、基材2と、基材2上に有機層4と多孔質層5がこの順に、両層が接触した状態で積層されてなる積層体3とから構成されている。
有機層4は有機分子鎖ネットワーク6と酸性基集合体7を含んでいる。多孔質層5は親水性を有する酸化ケイ素からなり、酸化ケイ素体8と空孔9を含んでいる。
本実施形態が図1に示す実施形態と異なる点は、酸化ケイ素多孔質層5が酸化ケイ素粒子10を含んでおり、該酸化ケイ素粒子同士が繋がって酸化ケイ素体8を形成している点である。なお、本実施形態においても、酸化ケイ素多孔質層5は、有機物をなるべく含んでいないことが好ましく、具体的には酸化ケイ素多孔質層5に含まれる有機物はC/Si元素比で3/100以下であることが好ましい。
酸化ケイ素多孔質層5に含まれる酸化ケイ素粒子10の量は80重量%以上であることが好ましい。
酸化ケイ素粒子10の形状は、球状、鎖状、円盤状、楕円状、棒状、針状、角型など様々な形状から適宜選択することができる。中でも、成膜性に優れ、十分な膜硬度を得ながら空孔率を上げられる点で、球状または鎖状の形状を有することがより好ましい。
本発明において、酸化ケイ素粒子10として用いることができる鎖状の粒子とは、複数個の粒子が鎖状もしくは数珠状に直線的に、または屈曲しながら連なった粒子の集合体である。鎖状の酸化ケイ素粒子を形作る一個一個の粒子の形状が明確に観察できる状態でも、融着などして形が崩れて膜となった状態でも、その鎖状もしくは数珠状に連なった構造が維持される。そのため、球状粒子などを用いた場合に比較して粒子間の空隙を広げることができ、空孔率の高い酸化ケイ素多孔質層5を形成することができる。
酸化ケイ素粒子10が球状、円盤状、楕円状の場合、その平均粒子径は5nm以上100nm以下であることが好ましい。平均粒子径が5nm未満の場合、成膜時の圧縮応力の残存により酸化ケイ素多孔質層5にクラックが発生する可能性が高まる。一方、平均粒子径が100nmを超える場合、粒子の大きさの増大に伴う光の散乱が発生し、透明性が低下するため好ましくない。より好ましい平均粒子径は10nm以上60nm以下である。
酸化ケイ素粒子10が鎖状、棒状、針状の場合、酸化ケイ素粒子10は短径と長径を有する形状の粒子であり、短径の平均は5nm以上40nm以下であることが好ましく、8nm以上30nm以下であることがより好ましい。酸化ケイ素粒子10の短径の平均が5nm未満の場合には、粒子の表面積が大きすぎて雰囲気中の水分や化学物質の取り込みによる信頼性低下の可能性が高まる。また、短径の平均が40nmを超える場合には、粒子の大きさに起因する散乱が発生するため好ましくない。一方、長径/短径の比が3以上12以下であることが好ましい。長径/短径の比が3未満であると、空孔率を増大させる効果を得ることが難しく、また、12を超えると平均空孔径が大きくなり過ぎて、光の散乱が発生し、透明性を損なうおそれがある。より好ましい長径/短径の比は4以上10以下である。
ここで、酸化ケイ素粒子の平均粒子径とは、平均フェレ径を言う。この平均フェレ径は、透過型電子顕微鏡像によって観察したものを画像処理することによって測定することができる。画像処理方法としては、Image-Pro Plus(商品名;(株)日本ローパーメディアサイバネティクス製)など市販の画像処理ソフトを用いて行うことができる。所定の画像領域において、必要であれば適宜、コントラスト調整を行い、粒子測定によって各粒子の平均フェレ径を測定し、平均値を算出して求めることができる。
酸化ケイ素粒子10には、鎖状の粒子以外に真円状、楕円状、円盤状、棒状、針状、角型などの形状の粒子を適宜混合して使用してもよい。酸化ケイ素粒子10全体に対して鎖状以外の形状の粒子を混合できる割合は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。鎖状以外の形状の粒子が40質量%を超えると、フッ素化合物の添加による屈折率の低減効果を得られない場合がある。
酸化ケイ素粒子10は親水性の酸化ケイ素粒子であり、オルトケイ酸(HSiO)を原料に、水熱合成で製造される湿式合成粒子であることが好ましい。粒子表面に有するシラノール基(Si-OH)が酸化ケイ素粒子の溶媒中での分散性を高め、酸化ケイ素多孔質層5の水による濡れ性を高めるためである。Si原子1個に対する-OH基の数から求められるシラノール基の含有量は、0.15以上0.4以下であることが好ましい。シラノール基の含有量が0.15未満では、酸化ケイ素多孔質層5表面の親水性が不足し、防曇性が発現されない可能性がある。一方、含有量が0.4を超えると過剰なシラノール基が水分を取り込んだまま放出し難くなり、防曇性が持続しなくなる可能性がある。より好ましいシラノール基の含有量は0.2以上0.35以下である。
酸化ケイ素粒子10は乾式合成粒子であっても、一旦、酸性またはアルカリ性水溶液で表面にシラノール基を多く形成した粒子であれば、親水性の酸化ケイ素粒子として使用することができる。
酸化ケイ素粒子10は、酸化ケイ素を主成分とする粒子であるが、Si元素の一部をAl、Ti、Zn、Zr、Bなどの他の元素で置き換えたり、Si元素に有機基を結合させたりすることができる。その場合、酸素と水素を除く元素の中でSi以外の元素が10原子%以下であることが好ましく、5原子%以下であることがより好ましい。Si以外の元素が10原子%を超えると酸化ケイ素バインダーと反応する粒子表面のシラノール基が減少するため耐擦傷性が低下したり、親水性が失われたりする可能性がある。
酸化ケイ素体8の耐擦傷性を高めるために、酸化ケイ素粒子10同士を結合させることができる。酸化ケイ素粒子10同士を結合させる方法としてはバインダーで粒子ごと固める方法や、活性を高めたシラノール基を介して酸化ケイ素粒子10同士を結着させる方法が挙げられる。さらに後者の方法には、酸化ケイ素粒子10の表面を強酸などで処理する方法や、酸化ケイ素粒子10の表面にシラノール基を付着させる方法が含まれる。
酸化ケイ素粒子10同士を結合させるために加えるバインダーは、酸化ケイ素化合物であることが好ましい。酸化ケイ素化合物の好適な例は、ケイ酸エステルを加水分解・縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーである。
バインダーとして酸化ケイ素化合物を加える場合、その量は、酸化ケイ素粒子10に対して1質量%以上30質量%以下が好ましい。酸化ケイ素化合物の量が1質量%未満であると耐擦傷性が十分でない場合があり、一方、30質量%を超えると空孔9の一部が埋まって防曇性能を損なう可能性がある。より好ましい酸化ケイ素化合物の量は4質量%以上20質量%以下である。
本発明の透明部材1に反射防止機能を持たせる場合は、反射率を下げて、透過率を向上させる観点から、酸化ケイ素多孔質層5の膜厚は70nm以上150nm以下であることが好ましい。膜厚が70nm未満であると膜の強度が不足する場合があり、150nmを超えると反射率を下げる効果が得られ難い。
(有機層)
有機層4は、有機分子鎖ネットワーク6と酸性基集合体7を含んでおり、有機分子鎖ネットワーク6は有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から構成されている。
かかる有機ポリマー鎖や有機架橋鎖は、その鎖中に少なくともCH-CH結合やCH=CH結合のいずれかを含んでおり、それに加えて酸素や窒素などのヘテロ原子、あるいはカルボニル炭素や芳香環を含んでいてもよく、C-Si結合を含んでいてもよい。ただし、Mを金属原子とした時にM-O-C結合や-O-M-のように不安定な結合やイオン結合で繋がっている分子鎖は、本発明における有機ポリマー鎖や有機架橋鎖には含まれない。
有機架橋鎖の炭素数は3以上30以下であることが好ましい。炭素数が3未満であると有機架橋鎖が短いため有機ポリマー鎖同士の間隔が狭くなり、有機架橋鎖の炭素数が30を超えると有機ポリマー鎖同士の間隔が広くなる。そのため、十分な量の水分を保持することができる酸性基集合体7を形成することが困難となる。有機架橋鎖のより好ましい炭素数は6以上20以下である。
有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から形成される有機分子鎖ネットワーク6は、金属塩などで架橋させたネットワークと比較して疎水性が高く柔軟性に優れている。そのため有機層4に水が接触すると、酸性基集合体7は水分と周辺の酸性基を取り込んで有機層4内部により強固に水素結合した酸性基集合体7を形成する。その際、親水性の酸性基集合体7を疎水性の有機分子鎖ネットワーク6が取り囲むような構造を形成するため、有機層4の表面の疎水性が飛躍的に高まるが、有機層4単独であると、表面に水滴が付着し易く短時間で曇ってしまう。ところが、有機層4上に多孔質層5を形成すると、吸湿した有機層4が有する水を寄せ付けない力と、多孔質層5が有する水を濡れ広げようとする力が同時に働くため、多孔質層5の内部と、その上に形成される水膜中で水の対流が起こる。通常、多孔質層中に取り込んだ水は固定化され対流しないため、吸湿し切った多孔質表面には水滴が付着し曇りが発生するが、本発明の透明部材1は、表面の水の対流によって水滴付着を防止し、長時間にわたって防曇性を発揮する。
酸性基集合体7を形成する酸性基は、有機ポリマー鎖に結合していることが好ましく、酸性基の例としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホン酸基などが挙げられる。酸性基集合体7が安定して形成される点で酸性基の酸解離定数pKaが5以下であることが好ましい。
有機層4が、上記酸性基を有する有機ポリマーと、上記酸性基と反応する有機基を2個以上有する架橋剤との硬化物であることが好ましく、この場合の有機層4中の有機分子鎖ネットワークは、有機ポリマーの酸性基と架橋剤の有機基が反応して生成する連結基によって形成される。酸性基との反応性や硬化後の安定性の観点から、上記有機基がカチオン硬化性の有機基であることがより好ましい。カチオン硬化性の有機基の例としては、エポキシ基、オキセタニル基、エピスルフィド基、メチロール基、アルキル化メチロール基、アセチル化メチロール基、ビニルエーテル基が挙げられる。
また、架橋剤の有機基との反応性が高く強固な連結基を形成する点でより好ましい酸性基としては、カルボキシル基、チオカルボキシル基を挙げることができる。
有機層4の膜厚は100nm以上5000nm以下であることが好ましい。膜厚が100nm未満であると本発明の透明部材1の防曇性が不足する場合があり、5000nmを超えると有機層4の膜厚均一性が損なわれ、平坦な透明部材を得ることが難しい場合がある。
(基材)
基材2としては、可視光に対して50%以上の透過率を有する、ガラス、樹脂などを用いることが可能である。また、その形状は限定されることはなく、平面、曲面、凹面、凸面、フィルム状であってもよい。
ガラスとしては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化ガドリニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウムなどを含有する無機ガラスを用いることができる。ガラス基材としては、研削研磨、モールド成形、フロート成形などで成形されたガラス基材を用いることができる。
樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
基材2の密着性、強度、平坦性などを向上したり、反射防止や防眩性などの機能を持たせたりするために、基材表面を洗浄したり、研磨したり、基材表面に接着層やハードコート層や屈折率調節層を設けたりすることができる。
(製造方法)
基材2上に積層体3が形成された透明部材1の製造方法は、基材2上または基材2上に形成した他の層上に、溶液の塗布および加熱硬化により有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から構成される有機分子鎖ネットワーク6および酸性基集合体7を含む有機層4を形成する工程、該有機層4上に液体の塗布により親水性の酸化ケイ素多孔質層5を形成する工程を含む。
有機層4を形成するために用いる溶液には、上記酸性基を有する有機ポリマーおよび上記酸性基と反応する有機基を2個以上有する架橋剤が含まれることが好ましい。
上記酸性基を有する有機ポリマーの例として、フェノール樹脂やポリ(4-ビニルフェノール)のようなフェノール性水酸基を有するポリマーやその共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ(4-ビニル安息香酸)、ポリビニルチオカルボン酸などのカルボキシル基やチオカルボキシル基を有するポリマーやその共重合体、ポリエタンスルホンアミドやポリビニルスルホンアミドなどのスルホンアミド基を有するポリマーやその共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸やポリ(アクリルアミドtert-ブチルスルホン酸)などのスルホン酸基を有するポリマーやその共重合体を挙げることができる。各種溶媒への溶解性や成膜性の観点から、ポリアクリル酸などのカルボキシル基やチオカルボキシル基を有するポリマーやその共重合体がより好ましい。
上記酸性基を有する有機ポリマーの分子量は1000以上500000以下が好ましい。分子量が1000未満であると高湿環境でポリマーの溶出が起こり易く、500000を超えると粘度が高くなり過ぎて成膜が困難になる。より好ましい有機ポリマーの分子量は3000以上300000以下である。
上記酸性基と反応する有機基を2個以上有する架橋剤の例としては、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5-[1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ウレイド]ヒダントイン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(メトキシメチル)-4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ビス(メトキシメチル)尿素、2,6-ジヒドロキシメチル-4-メチルフェノール、2,4-ジヒドロキシメチル-6-メチルフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、2,4,6-トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]-1,3,5-トリアジンのような酸性基と反応する有機基としてメチロール基またはアルキル化メチロール基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,7-オクタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、2,2’-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロオクタン-1,8-ジイル)ビス(オキシラン)、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エタン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリス(2,3-エポキシプロピル)、イソシアヌル酸トリス(4,5-エポキシペンチル)、4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス((3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル)アジペート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ε-カプロラクトン変性 3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのような酸性基と反応する有機基としてエポキシ基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、キシリレンビスオキセタン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシレートのような酸性基と反応する有機基としてオキセタニル基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,4-ビス[(エテニルオキシ)メチル]シクロヘキサン、1,1’-[オキシビス(2,1-エタンジイルオキシ)]ビスエテン、3,6,9,12-テトラオキサテトラデカ-1,13-ジエンのような酸性基と反応する有機基としてビニルエーテル基を有する化合物、エチルオキセタンメチルビニルエーテルのような酸性基と反応する複数種の有機基を有する化合物などが挙げられる。
また、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、[8-(グリシジルオキシ)-n-オクチル]トリメトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランのような酸性基と反応する有機基を1個有するシラン化合物のシランアルコキシド部位同士を反応させ、2個以上の有機基を有するシロキサンオリゴマー架橋剤として使用することもできる。
これらの架橋剤は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
有機ポリマーに対する架橋剤の添加量は2重量部以上40重量部以下であることが好ましい。架橋剤の添加量が2重量部未満では、高湿環境で有機層4から成分が溶出して透明性が損なわれたりする。一方、添加量が40重量部を超えると、有機層4の疎水性が高くなり過ぎて防曇性が発現しない場合がある。
有機層4を形成するために用いる溶液に用いることができる溶媒は、原料が均一に溶解し、かつ反応物が析出しない溶媒であれば特に制限されない。例えば、水;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、シクロペンタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルブタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、3-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノールなどの1価のアルコール類;エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類;メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのエーテルアルコール類;ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。溶媒は2種類以上を混ぜて使用することもできる。
特に、酸性基を有する有機ポリマーを良く溶かす点で、水、アルコール類、エーテルアルコール類が好ましい。
有機層4を形成するために用いる溶液の基材への濡れ性を改善したり、膜厚均一性を高めたり、有機層4の基材などへの密着性を改善したり、硬化の時間を短縮したりする目的で、酸性基を有する有機ポリマーと架橋剤以外の添加物を加えることができる。添加物の例としては、界面活性剤、レベリング剤、密着促進剤、酸触媒などが挙げられ、添加量は酸性基を有する有機ポリマーに対して2重量部以下であることが好ましい。
有機層4を形成するために用いる溶液の有機ポリマーと架橋剤を合計した濃度は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。濃度が1質量%未満であると膜厚が薄くなり過ぎることがあり、40質量%を超えると粘度が高くなり過ぎて成膜時に膜厚の均一性が損なわれることがある。
酸化ケイ素多孔質層5を形成する工程が、酸化ケイ素粒子10を分散した液体を用いる工程であることが好ましい。
酸化ケイ素多孔質層5の形成に用いる酸化ケイ素粒子10が分散した液体は、水熱合成法などの湿式法で作製した球状や鎖状の酸化ケイ素粒子の分散液を水や他の溶媒で希釈する方法、上記と同様の方法で作製した分散液の溶媒を蒸留や限外濾過で所望の溶媒に置換する方法、フュームドシリカのような乾式法で合成した酸化ケイ素粒子10を超音波やビーズミルなどで水や他の溶媒に分散する方法などにより調製される。
酸化ケイ素粒子10同士を結合させるために加えるバインダーは、酸化ケイ素化合物であることが好ましい。酸化ケイ素化合物の好適な例は、ケイ酸エステルを加水分解・縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーである。
酸化ケイ素オリゴマーを添加する方法としては、予め水や他の溶媒中で調製した酸化ケイ素オリゴマー溶液を酸化ケイ素粒子10の分散液に混ぜる方法や、酸化ケイ素オリゴマーの原料を酸化ケイ素粒子10の分散液に混ぜてから酸化ケイ素オリゴマーに転換する方法が挙げられる。酸化ケイ素オリゴマーは、溶媒中または分散液中でケイ酸メチル、ケイ酸エチルなどのケイ酸エステルに水や酸または塩基を加えて加水分解縮合することによって調製される。反応に用いることができる酸は、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸などであり、塩基はアンモニアや各種アミン類であり、溶媒への溶解性やケイ酸エステルの反応性を考慮して適宜選択される。バインダー溶液を調製する際には80℃以下の温度で加熱することも可能である。
バインダー溶液に含まれる酸化ケイ素縮合物(オリゴマー)の重量平均分子量としては、ポリスチレン換算で500以上3000以下が好ましい。重量平均分子量が500未満であると硬化後にクラックが入りやすく、また塗料としての安定性が低下する。また、重量平均分子量が3000を超えると粘度が上昇し、バインダー内部のボイドのサイズが不均一になり易くなるため大きなボイドが発生し易くなる。
酸化ケイ素粒子10の分散液の調製に用いることができる溶媒は、原料が均一に溶解し、かつ反応物が析出しない溶媒であれば特に制限されない。例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、シクロペンタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルブタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、3-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノールなどの1価のアルコール類;エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類;メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのエーテルアルコール類;ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。溶媒は2種類以上を混ぜて使用することもできる。
有機層4を形成する溶液または酸化ケイ素多孔質層5を形成するための液体を塗布する方法としては、スピンコート法、スプレー法、ブレードコート法、ロールコート法、スリットコート法、印刷法やディップコート法などが挙げられる。凹面などの立体的に複雑な形状を有する光学部材を製造する場合、膜厚の均一性の観点からスピンコート法やスプレー法を採用することが好ましい。
有機層4や酸化ケイ素多孔質層5を形成するために溶液または液体を塗布した後に、乾燥および/または硬化を行う。乾燥および硬化は、主として溶媒を除去したり、酸化ケイ素バインダー同士あるいは酸化ケイ素バインダーと酸化ケイ素粒子との反応を進めたりするための工程である。乾燥および硬化の温度は、20℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上150℃以下がより好ましい。乾燥および硬化の温度が20℃未満であると溶媒が残留して耐摩耗性が低下する。また、乾燥および硬化の温度が200℃を超えると、バインダーの硬化が急速に進み過ぎて、硬化したバインダーに割れが発生し易くなる。乾燥および硬化の時間は5分以上24時間以下が好ましく、15分以上5時間以下がより好ましい。乾燥および硬化の時間が5分未満であると部分的に溶媒が残留して部分的に曇りやすくなったり、24時間を超えると形成された膜にクラックが入りやすくなったりする。
(応用例)
本発明に係る透明部材が好適に用いられる例として、撮像装置の光学系に組み込んだ例について説明する。図24に撮像装置の構成例の概略を示す。
撮像装置30は、本発明に係る透明部材である透明な保護部材31と筐体37で囲まれた空間を有しており、該空間内に、レンズ32、イメージセンサ33、映像エンジン34、圧縮出力回路35が配置されており、さらに該空間に隣接した出力部36を備えている。撮像装置30は、保護部材31とレンズ32によって光学系が構成されている。
外部から入射する映像が、保護部材31およびレンズ32によってイメージセンサ33へと導かれ、イメージセンサ33によって映像アナログ信号(電気信号)に変換され、出力される。イメージセンサ33から出力された映像アナログ信号は、映像エンジン34によって映像デジタル信号に変換され、映像エンジン34から出力された映像デジタル信号は圧縮出力回路35においてデジタルファイルに圧縮される。映像エンジン34は、映像アナログ信号を映像デジタル信号に変換する過程で、輝度、コントラスト、色補正、ノイズ除去などの画質を調整する処理を行ってもよい。圧縮出力回路35から出力された信号は、出力部36から配線を介して外部機器へと出力される。
保護部材31は、基材側から有機層と無機多孔質層をこの順に、両層が接触するように積層してなる積層体を備えており、積層体が設けられた面が筐体37の内部を向くように設置されている。
このような構成によれば、保護部材31と筐体37とで囲まれた空間(筐体内部)内は、外部との間で空気の出入りが制限されている上に、外部環境の温度変化への追随が遅れる。例えば外部の温度が急に低下すると、筐体37の外側と内側との境界に位置する保護部材31が、筐体内部の露点温度よりも低くなってしまう場合がある。このような場合、保護部材31が防曇機能を有していないと、保護部材31の筐体37内部側に水滴が付着して曇りが生じる。しかし、本発明に係る保護部材31の場合、保護部材31の温度が筐体37内部の露点温度より低くなり、水滴となる水分量が所定量よりも少ない場合は、空間内の水分は有機層に吸着され、保護部材31の表面の曇りが抑制される。水滴となる水分量がさらに増えると、有機層に吸着しきれない水分は無機多孔質膜を滑るように広がり、無機多孔質膜の表面に水膜を形成する。そのため、光学レンズ32の表面には曇りの原因となる水滴が形成されず、曇りを抑制することができる。
撮像装置30は、画角調整するパンチルト、撮像条件等を制御するコントローラ、取得した映像データを保存しておく記憶装置、出力部36から出力されたデータを外部に転送する転送手段などとともに、撮像システムを構成することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。下記実施例では反射防止機能を備える透明部材の例について説明する。ただし本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(粒子分散液および有機ポリマー溶液の調製)
(1)酸化ケイ素粒子分散液1の調製
鎖状の酸化ケイ素粒子の2-プロパノール(IPA)分散液(日産化学工業株式会社製;IPA-ST-UP(商品名);平均粒径:12nm、固形分濃度:15質量%)500gに1-エトキシ-2-プロパノールを加えながらIPAを留去して、固形分濃度3.64質量%の鎖状酸化ケイ素粒子の1-エトキシ-2-プロパノール分散液2060.8gを調製した。
別の容器中で、ケイ酸エチル62.6gと1-エトキシ-2-プロパノール36.8gの溶液に、0.01mol/Lの希塩酸54gを徐々に加え、室温で90分間攪拌した後、40℃で1時間加熱し、固形分濃度11.8質量%の酸化ケイ素オリゴマー溶液を調製した。
上記鎖状酸化ケイ素粒子の1-エトキシ-2-プロパノール分散液に、バインダーとしての上記酸化ケイ素オリゴマー溶液95.5gを徐々に加えた後、室温で2時間攪拌して鎖状酸化ケイ素粒子分散液1(以下、単に、塗工液1とも言う)を調製した。
塗工液1を動的光散乱法による粒度分布測定(マルバーン社製、ゼータサイザーナノZS(商品名))にかけ、短径が11nm、長径が77nmの鎖状酸化ケイ素粒子が分散していることを確認した。
(2)酸化ケイ素粒子分散液2の調製
球状の酸化ケイ素粒子の1-メトキシ-2-プロパノール(以下、PGMEと言う)分散液(日産化学工業株式会社製、PGM-ST(商品名)、平均粒径:12nm、固形分濃度:30質量%)370gに1-エトキシ-2-プロパノールを加えて、固形分濃度5.5質量%の球状酸化ケイ素粒子の1-エトキシ-2-プロパノール分散液2018.2gを調製した。
別の容器中で、ケイ酸エチル62.6gと1-エトキシ-2-プロパノール36.8gの溶液に、0.01mol/Lの希塩酸54gを徐々に加え、室温で90分間攪拌した後、40℃で1時間加熱し、固形分濃度11.8質量%の酸化ケイ素オリゴマー溶液を調製した。
上記球状酸化ケイ素粒子の1-エトキシ-2-プロパノール分散液に、バインダーとしての上記酸化ケイ素オリゴマー溶液94.1gを徐々に加えた後、室温で2時間攪拌して球状酸化ケイ素粒子分散液2(以下、単に、塗工液2とも言う)を調製した。
該塗工液2を動的光散乱法による粒度分布測定(マルバーン社製;ゼータサイザーナノZS(商品名))にかけ、粒径が15nmの球状の酸化ケイ素粒子が分散していることを確認した。
(3)ポリアクリル酸溶液3の調製
カルボキシル基(pKa=4.0~4.6)を有する有機ポリマーとして、ポリアクリル酸(和光純薬工業株式会社製;平均分子量:25,000)240gをPGMEと純水の混合溶媒(質量比:PGME/純水=7/3)750gに溶解し、24質量%のポリアクリル酸溶液3を調製した。
(4)ポリアクリル酸溶液4~7の調製
上記ポリアクリル酸溶液3の50gに3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製;KBM-403(商品名))3.9gを加えた後、2時間攪拌してポリアクリル酸溶液4を調製した。ガスクロマトグラフィー測定により、攪拌中にメタノールの生成が見られ、添加した3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが加水分解・縮合してオリゴマー化されていることが確認された。
上記ポリアクリル酸溶液4をPGMEと純水の混合溶媒(質量比:PGME/純水=7/3)で2倍、3倍、6倍に希釈した濃度の異なる溶液を、それぞれポリアクリル酸溶液5、6、7とした。
(5)ポリアクリル酸溶液8の調製
上記ポリアクリル酸溶液3の50gに2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製;KBM-303(商品名))3.9gを加えた後2時間攪拌してポリアクリル酸溶液8を調製した。攪拌中にメタノールの生成が見られ、添加した2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが加水分解・縮合してオリゴマー化されていることが確認された。
(6)ポリアクリル酸溶液9、10の調製
上記ポリアクリル酸溶液3の50gに1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(東京化成工業株式会社製)1.8gと3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン0.24gを加えた後、2時間攪拌したポリアクリル酸溶液を、PGMEと純水の混合溶媒(質量比:PGME/純水=7/3)で2倍、6倍に希釈した濃度の異なる溶液をそれぞれポリアクリル酸溶液9、10とした。
(7)ポリアクリル酸溶液11の調製
上記ポリアクリル酸溶液3の50gに2,4,6-トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン(三和ケミカル株式会社製;ニカラックMX-706(商品名))2.4gと3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン0.24gを加えた後、2時間攪拌したポリアクリル酸溶液を、PGMEと純水の混合溶媒(質量比:PGME/純水=7/3)で2倍に希釈し、ポリアクリル酸溶液11とした。
(8)膜厚の測定
多入射角分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製;VASE(商品名))を用いて波長380nmから800nmまで測定し、解析から膜厚を求めた。
(9)屈折率の測定
多入射角分光エリプソメーターを用いて波長380nmから800nmまで測定した。屈折率は波長550nmでの屈折率とした。
(10)反射率の評価
分光反射率測定機(オリンパス株式会社製;USPM-RU(商品名))を用いて波長380nmから780nmの絶対反射率を測定し、波長450~650nmの反射率の平均値を求めた。反射率の平均値は以下の基準で評価した。
A:平均値0.5%以下のもの。
B:平均値0.5%超1.0%以下のもの。
C:平均値1.0%超のもの。
(11)純水接触角の測定
全自動接触角計(共和界面科学株式会社製;DMo-701(商品名))を用い、純水2μLの液滴を接触させた時の接触角を23℃、40%RHの環境で測定した。測定結果を表1に示す。
(12)防曇性評価
防曇性評価装置(共和界面科学株式会社製;AFA-2(商品名))を用いて、25℃に保持した透明基板を15℃まで冷却しながら25℃で70%RHの雰囲気に放置し、透過像を5秒毎に600秒まで記録した。透過像から圧縮防曇指数解析を行い、圧縮防曇指数の時間変化をプロットした。
得られたプロットから圧縮防曇指数が40以下になるまでの時間を読み取り、以下の基準で防曇性を評価した。
A:300秒以上のもの。
B:150秒以上300秒未満のもの。
C:150秒未満のもの。
(実施例1)
実施例1では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状のガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液4を適量滴下し、1200rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚3100nmの有機層(下層)を形成した。該有機層上に上記の酸化ケイ素粒子分散液1を適量滴下し、4000rpmで20秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱することで該有機層上に膜厚120nmの鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層(表層)を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.235、平均反射率は0.17%(図3)、純水の接触角は9°であった。また、屈折率から求めた空孔率は49%であった。さらに、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく(図4)、防曇性評価後の平均反射率も0.18%で殆ど変化がなかった。評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0007271145000001
(表1中の略語の説明)
KBM-403:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
KBM-303:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
TMG:1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル
MX-706:2,4,6-トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン
(実施例2)
実施例2では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液5を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚980nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.18%であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.18%で変化がなかった。
(実施例3)
実施例3では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液6を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚490nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.17%(図5)であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく(図6)、防曇性評価後の平均反射率も0.17%で変化がなかった。
(実施例4)
実施例4では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液7を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚250nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.17%であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.18%で殆ど変化がなかった。
(実施例5)
実施例5では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液8を適量滴下し、1200rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚3040nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.18%であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.19%で殆ど変化がなかった。
(実施例6)
実施例6では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液9を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚1050nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.19%(図7)であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく(図8)、防曇性評価後の平均反射率も0.19%で変化がなかった。
(実施例7)
実施例7では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液10を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚230nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.18%(図9)であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.18%で変化がなかった。
(実施例8)
実施例8では、直径(φ)60mm、厚さ4mmの円板状ポリカーボネート基材(nd=1.58)上に、上記のポリアクリル酸溶液9を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で120℃、40分間加熱硬化することで膜厚1070nmの有機層を形成した。該有機層上に上記の酸化ケイ素粒子分散液1を適量滴下し、4000rpmで20秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で120℃、40分間加熱することで該有機層上に膜厚123nmの鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.236、平均反射率は0.20%(図10)、純水の接触角は10°であった。また、屈折率から求めた空孔率は49%であった。さらに、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく(図11)、防曇性評価後の平均反射率も0.21%で殆ど変化がなかった。
(実施例9)
実施例9では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液11を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚1020nmの有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.19%であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.18%で殆ど変化がなかった。
(実施例10)
実施例10では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液5を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚980nmの有機層を形成した。該有機層上に上記の酸化ケイ素粒子分散液2を適量滴下し、4500rpmで20秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱することで該有機層上に膜厚105nmの球状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.313であり、平均反射率は0.52%、純水の接触角は7°であった。また、屈折率から求めた空孔率は32%であった。さらに、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.52%で変化がなかった。
(実施例11)
実施例11では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液7を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚220nmの有機層を形成した。その後は実施例10と同様の方法で該有機層上に球状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.51%(図12)であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく(図13)、防曇性評価後の平均反射率も0.51%で変化がなかった。
(実施例12)
実施例12では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液9を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚1040nmの有機層を形成した。その後は実施例10と同様の方法で有機層上に球状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.48%(図14)であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.49%で殆ど変化がなかった。
(実施例13)
実施例13では、直径(φ)60mm、厚さ4mmの円板状ポリカーボネート基材(nd=1.58)上に、上記のポリアクリル酸溶液9を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚1080nmの有機層を形成した。該有機層上に上記の酸化ケイ素粒子分散液2を適量滴下し、4500rpmで20秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で120℃、40分間加熱することで該有機層上に膜厚108nmの球状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.314、平均反射率は0.50%(図15)、純水の接触角は8°であった。また、屈折率から求めた空孔率は32%であった。さらに、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく(図16)、防曇性評価後の平均反射率も0.51%で殆ど変化がなかった。
(実施例14)
実施例14では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液11を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚1000nmの有機層を形成した。その後は実施例10と同様の方法で該有機層上に球状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.51%であり、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.51%で変化がなかった。
(実施例15)
実施例15では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状のガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液5を適量滴下し、1200rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚980nmの有機層を形成した。ケイ酸エチル5.2g、ブロックコポリマー(Pluronic P123(商品名)、BASF社製)0.7g、エタノール10g、0.01mol/Lの希塩酸2.7gを混合したゾル液を該有機層上に適量滴下し、2000rpmで20秒スピンコートした。熱風循環オーブン中で160℃、4時間加熱し、さらにUV洗浄装置(アイグラフィックス社製;OC-2506(商品名))で10分間処理してブロックコポリマーを除去することによって、該有機層上に膜厚110nmの酸化ケイ素多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.265、平均反射率は0.20%(図17)、純水の接触角は7°であった。また、屈折率から求めた空孔率は42%であった。さらに、防曇性評価では600秒経過しても曇ることはなく、防曇性評価後の平均反射率も0.22%で殆ど変化がなかった。
(比較例1)
比較例1では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記の酸化ケイ素粒子分散液1を適量滴下し、4000rpmで20秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱することで膜厚122nmの鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.234、平均反射率は0.16%(図18)、純水の接触角は9°であった。また、屈折率から求めた空孔率は49%であった。さらに、防曇性評価では75秒で曇り始め100秒で完全に曇った(図19)。また防曇性評価後の平均反射率は0.16%で変化がなかった。
(比較例2)
比較例2では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に上記の酸化ケイ素粒子分散液2を適量滴下し、4500rpmで20秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱することで膜厚107nmの球状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.312、平均反射率は0.52%(図20)、純水の接触角は7°であった。また、屈折率から求めた空孔率は32%であった。さらに、防曇性評価では65秒で曇り始め95秒で完全に曇った。また、防曇性評価後の平均反射率は0.52%で変化がなかった。
(比較例3)
比較例3では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、ケイ酸エチル5.2g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、エタノール10g、0.01mol/Lの希塩酸2.7gを混合したゾル液を適量滴下し、2000rpmで20秒スピンコートした。熱風循環オーブン中で160℃、4時間加熱し、さらにUV洗浄装置(アイグラフィックス社製;OC-2506(商品名))で10分間処理してブロックコポリマーを除去することによって、膜厚110nmの酸化ケイ素多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の屈折率は1.265、平均反射率は0.22%(図21)、純水の接触角は7°であった。また、屈折率から求めた空孔率は42%であった。さらに、防曇性評価では70秒で曇り始め100秒で完全に曇った。また防曇性評価後の平均反射率は0.24%で殆ど変化がなかった。
(比較例4)
比較例4では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液4を適量滴下し、1200rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚3080nmの有機層を形成したが、多孔質層は形成しなかった。
形成された有機層の平均反射率は4.40%(図22)、純水の接触角は43°であった。防曇性評価では205秒で曇り始め230秒で完全に曇った(図23)。防曇性評価後の平均反射率は4.70%で膨潤が原因と思われる変化が見られた。
(比較例5)
比較例5では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液5を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚500nmの有機層を形成したが、多孔質層は形成しなかった。
形成された有機層の平均反射率は4.15%、純水の接触角は41°であった。防曇性評価では90秒で曇り始め120秒で完全に曇った。防曇性評価後の平均反射率は4.30%で膨潤が原因と思われる変化が見られた。
(比較例6)
比較例6では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、上記のポリアクリル酸溶液9を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで膜厚1050nmの有機層を形成したが、多孔質層は形成しなかった。
形成された有機層の平均反射率は4.37%、純水の接触角は37°であった。防曇性評価では125秒で曇り始め150秒で完全に曇った。防曇性評価後の平均反射率は4.50%で膨潤が原因と思われる変化が見られた。
(比較例7)
比較例7では、直径(φ)70mm、厚さ3mmの円板状ガラス基材(nd=1.52)上に、ポリアクリル酸溶液3を、PGMEと純水の混合溶媒(質量比:PGME/純水=7/3)で2倍に希釈した液を適量滴下し、3000rpmで30秒スピンコートした後、熱風循環オーブン中で140℃、30分間加熱硬化することで、膜厚3150nmの、有機架橋鎖を有していない有機層を形成した。その後は実施例1と同様の方法で該有機層上に鎖状酸化ケイ素粒子多孔質層を形成した。
得られた多孔質層の平均反射率は0.28%であったが、反射光にムラが見られた。防曇性評価では230秒で曇り始め、260秒で圧縮防曇指数が0となり完全に曇った。防曇性評価後の平均反射率も1.20%で著しく悪化した。
(実施例および比較例の評価)
酸化ケイ素多孔質層のみが設けられた比較例1~3の透明部材の反射率は低く、防曇性評価後も反射率の変化は小さいが、防曇性評価における曇り始めまでの時間は100秒を大きく下回った。一方、酸性基を有するポリマーと架橋剤の硬化膜である有機層のみが設けられた比較例4~6では、その膜厚に応じて曇り始めるまでの時間を200秒程度まで伸ばすことができるが、吸湿の影響をうけて反射率が高くなってしまった。酸性基を有するが、有機架橋鎖を有していないポリマー膜上に酸化ケイ素多孔質層が形成された比較例7では、曇り始めるまでの時間を200秒超まで伸ばすことができたが、防曇試験時にポリマーが多孔質層内に拡散したためか反射率が著しく低下した。いずれの比較例も、防曇性評価では200秒を超えると圧縮防曇指数が0となり、完全に曇ってしまった。
それに対して実施例1~15では、膜厚などに依存せず、いずれの透明部材も防曇性評価において600秒経過しても曇り始めることはなかった。その上、反射率も低く、防曇性評価後も低い反射率が維持されることが示された。
結果として、本実施例の透明部材は、比較例の透明部材に対して防曇性、反射防止機能、耐久性に優れることが示された。
本発明の透明部材は、窓ガラス、鏡、レンズ、透明フィルムなど一般的な用途から、撮像系や投影系の光学レンズ、光学ミラー、光学フィルター、アイピース、屋外カメラや監視カメラ用の平面カバー部材やドームカバー部材など光学部品にそのまま利用することが可能である。
1 透明部材
2 基材
3 防曇性積層体
4 有機層
5 多孔質層
6 有機分子鎖ネットワーク
7 酸性基集合体
8 酸化ケイ素体
9 空孔
10 酸化ケイ素粒子

Claims (25)

  1. 基材上に、該基材側から有機層と無機多孔質層をこの順に、両層が接触するように積層してなる積層体を設けてなる透明部材であって、前記有機層が、酸性基を有する有機ポリマーと、メチロール基またはアルキル化メチロール基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、エポキシ基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、オキセタニル基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、ビニルエーテル基を有する化合物、および酸性基と反応する複数種の有機基を有する化合物の群から選択される少なくとも1種の架橋剤と、の硬化物であって、有機ポリマー鎖と有機架橋鎖とからなる有機分子ネットワークと、酸性基集合体と、を含む、ことを特徴とする透明部材。
  2. 前記有機層が、前記酸性基を有する有機ポリマーと、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5-[1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ウレイド]ヒダントイン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(メトキシメチル)-4、5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ビス(メトキシメチル)尿素、2,6-ジヒドロキシメチル-4-メチルフェノール、2,4-ジヒドロキシメチル-6-メチルフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、からなる群より選択されるいずれか1種の架橋剤と、の硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の透明部材。
  3. 前記無機多孔質層における元素比C/Siが3/100以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明部材。
  4. 前記無機多孔質層の平均孔径が、3nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の透明部材。
  5. 前記有機架橋鎖の炭素数が3以上30以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の透明部材。
  6. 前記酸性基がカルボキシル基またはチオカルボキシル基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の透明部材。
  7. 前記酸性基のpKaが5以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の透明部材。
  8. 前記有機基がカチオン硬化性の有機基であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の透明部材。
  9. 前記有機層の厚みが、100nm以上5000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の透明部材。
  10. 前記無機多孔質層が80重量%以上の酸化ケイ素粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の透明部材。
  11. 前記無機多孔質層の厚みが70nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の透明部材。
  12. 前記無機多孔質層の空孔率が、10体積%以上70体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の透明部材。
  13. 前記無機多孔質層の表面の純水接触角が3°以上30°以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の透明部材。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の透明部材を用いことを特徴とするカバー部材。
  15. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の透明部材を用いことを特徴とする光学系用レンズ。
  16. 筐体と、
    前記筐体の内部に配置された光学系と、
    前記光学系を通して入射した映像を信号に変換するイメージセンサと、
    を備える撮像装置であって、
    前記光学系は、前記筐体の外側と内側との境界に設けられた透明部材を含んでおり、
    前記透明部材は、基材と、前記基材の前記筐体の内部側の面に、基材側から有機層、無機多孔質層の順に、両層が接触するように積層してなる積層体を有し、
    前記有機層は、酸性基を有する有機ポリマーと、メチロール基またはアルキル化メチロール基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、エポキシ基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、オキセタニル基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、ビニルエーテル基を有する化合物、および酸性基と反応する複数種の有機基を有する化合物の群から選択される少なくとも1種の架橋剤と、の硬化物であって、有機ポリマー鎖と有機架橋鎖とからなる有機分子ネットワークと、酸性基集合体と、を含むことを特徴とする撮像装置。
  17. 前記有機層が、前記酸性基を有する有機ポリマーと、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5-[1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ウレイド]ヒダントイン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(メトキシメチル)-4、5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ビス(メトキシメチル)尿素、2,6-ジヒドロキシメチル-4-メチルフェノール、2,4-ジヒドロキシメチル-6-メチルフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、からなる群より選択されるいずれか1種の架橋剤と、の硬化物であることを特徴とする請求項16に記載の撮像装置。
  18. 前記無機多孔質層における元素比C/Siが3/100以下であることを特徴とする請求項16または17に記載の撮像装置。
  19. 前記無機多孔質層の平均孔径が、3nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載の撮像装置。
  20. 前記無機多孔質層の厚みが70nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項に記載の撮像装置。
  21. 基材上に積層体が設けられた透明部材の製造方法であって、
    基材上に、溶液の塗布および加熱硬化により有機ポリマー鎖と有機架橋鎖から構成される有機分子鎖ネットワークおよび酸性基集合体を含む有機層を形成する工程;および
    前記有機層上に液体の塗布により酸化ケイ素を含む親水性の無機多孔質層を形成する工程を含み、
    前記溶液が、酸性基を有する有機ポリマーと、メチロール基またはアルキル化メチロール基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、エポキシ基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、オキセタニル基を有する化合物またはこれらの二量体や三量体、ビニルエーテル基を有する化合物、および酸性基と反応する複数種の有機基を有する化合物の群から選択される少なくとも1種の架橋剤とを含むことを特徴とする透明部材の製造方法。
  22. 前記有機層が、前記酸性基を有する有機ポリマーと、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5-[1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ウレイド]ヒダントイン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(メトキシメチル)-4、5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ビス(メトキシメチル)尿素、2,6-ジヒドロキシメチル-4-メチルフェノール、2,4-ジヒドロキシメチル-6-メチルフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、からなる群より選択されるいずれか1種の架橋剤と、の硬化物であることを特徴とする請求項21に記載の透明部材の製造方法。
  23. 前記無機多孔質層における元素比C/Siが3/100以下であることを特徴とする請求項21または22に記載の透明部材の製造方法。
  24. 前記有機架橋鎖の炭素数が3以上30以下であることを特徴とする請求項21乃至23のいずれか一項に記載の透明部材の製造方法。
  25. 前記親水性の無機多孔質層を形成する工程において、酸化ケイ素粒子を分散した液体を用いることを特徴とする請求項21乃至24のいずれか一項に記載の透明部材の製造方法。
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