JP7269445B2 - Mt型ストラドルドビークル - Google Patents

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Description

本発明は、MT型鞍乗型車両に関する。
例えば、特許文献1には、手動式トランスミッションを備える鞍乗型車両(MT型鞍乗型車両)に搭載される内燃機関の制御装置が記載されている。特許文献1のMT型鞍乗型車両では、車両の発進時に運転者が油圧作動式のクラッチを操作することによって、エンジンから駆動輪に伝達される駆動力が調整される(特許文献1の段落0008参照)。また、特許文献1に示されたMT型鞍乗型車両は、エンジンのスロットル開度を変化させるモータを備えている。
特許文献1の制御装置は、スロットル開度を変化させるモータの駆動をアクセル開度に応じて制御し、油圧から求めたクラッチの接続度合いが所定レベル以上である場合には、スロットル開度を増大させる。これにより、特許文献1のMT型鞍乗型車両は、回転速度の低下を抑制して滑らかな発進を行なうことができる。
特開第2018-105241号公報
MT型鞍乗型車両には、小型の車両にも大型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンのクランク軸の回転速度の低下を抑制することが望まれていた。本発明の目的は、小型の車両にも大型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンのクランク軸の回転速度の低下が抑制されたMT型鞍乗型車両を提供することである。
本発明者は、エンジンのクランク軸の回転速度の低下を抑制することについて検討した。MT型鞍乗型車両のエンジンでは、小型軽量の要請に対応するため、クランク軸のイナーシャは小さい場合が多い。従って、MT型鞍乗型車両のエンジンのクランク軸の回転速度は、例えば駆動輪の負荷等の外力の影響により低下しやすく、外力の影響を受け短時間で低下する場合がある。従って、エンジンのスロットル開度を増大したとしても、クランク軸の回転速度の低下に対する応答性は低い。
そこで、本発明者は、エンジンの回転速度の低下に対応する方法を検討した。本発明者は、サイクル内に高負荷領域と低負荷領域とを有するエンジンにおける回転速度の変化に着目した。エンジンから生じるパワーは、基本的には燃焼行程における燃焼によって発生し、他の期間では発生しない。エンジンの1サイクルにおける回転速度は、燃焼による増加と、次の燃焼による増加の前の減少とからなる山型の特性を有する。回転速度における最大値から最小値までを3つの領域に等分割した場合、真ん中の領域よりも低い領域での回転速度の減少は、混合気の圧縮に伴い比較的急速である。真ん中の領域及びそれよりも高い領域での回転速度の減少は、比較的緩やかである。
燃焼の動作が継続するためには、サイクルにおける各圧縮上死点で少なくともクランク軸が回転していることが要求される。また、圧縮の開始時点における回転速度は、圧縮を遂行可能な速度であることが要求される。
燃焼で生じるパワーは、燃料の供給量に依存する。燃料の供給量は、燃焼時よりも前の燃料供給時よりも更に前に、回転速度等に基づいて決められる。例えば、供給量が決められた後のクラッチ接続操作によって、車両の駆動に使われるパワーに対し、燃焼で生じるパワーが不足する可能性がある。例えば、クラッチ接続操作が早すぎる場合、圧縮上死点の位置でクランク軸の回転が得られない場合がある。
本発明者は、回転速度の低下に対応する方法として、クランク軸と連動するように設けられた発電電動機を用いることに思い当たった。発電電動機によるクランク軸への駆動力の付与によれば、スロットル開度を増大する場合とは異なり、短時間での回転速度の減少に対応できる。発電電動機がクランク軸に与える駆動力は、例えば減速ギアを有する始動専用のモータの駆動力と比べて小さい。しかし、MT型鞍乗型車両のエンジンのクランク軸のイナーシャは小さいため、回転速度の低下を発電電動機の駆動力によって抑えやすい。
発電電動機がクランク軸に駆動力を付与する場合、駆動力を常時付与すると、電力の消費量が大きくなってしまう。そこで、間欠的な駆動力の付与が考えられる。
クランク軸の回転速度の低下を抑えるため、例えば、燃焼の前においてクランク軸の回転速度が最小となる期間で発電電動機によって駆動力を付与することが考えられる。しかし、駆動力を付与する時点の回転速度が低い場合、大きな駆動力を付与することが求められる。そのため、クランク軸を駆動する発電電動機に供給される電流は大きくなる。また、回転速度が最小となる期間で、発電電動機が駆動力を付与する場合、発電電動機による駆動力の付与と、燃焼とが重なってしまう場合がある。燃焼時の発電電動機による駆動力の付与は、ピストンの下降を加速し燃焼による圧力の増加を抑制するように作用するので燃焼効率が低下する。
発電電動機が、消費電流の増大を抑制しつつクランク軸を大きな駆動力で駆動するためには、例えば大型の磁石を搭載したり、大型のバッテリと接続したりすることが求められる。この場合、発電電動機及びバッテリは小型の車両に適用し難い。つまり、設計自由度は低下する。
発明者は、発電電動機によるクランク軸の駆動の方法をさらに検討した。燃焼によってクランク軸の回転速度が最大値に達した後、燃焼によるパワーは発生せず回転速度は減少する。圧縮行程を乗り越えて次の燃焼を実施するため、圧縮上死点又は圧縮の開始時点で要求される回転速度、又は速度の変化率を維持することが求められる。4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有するエンジンでは、高負荷領域で回転速度が比較的急速に低下しやすく、その前は回転速度が比較的緩やかに低下しやすい。発電電動機は、回転速度が急速に低下する前にクランク軸に駆動力を加えることで、次の燃焼を実施するため回転速度を調整しやすい。
より具体的には、MT型鞍乗型車両の制御装置が、クランク軸の回転速度を周期的に取得するとともに蓄電装置と発電電動機との間の電流を制御する。制御装置は、燃焼動作中における駆動開始期間で発電電動機にクランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する。駆動開始期間は、周期的に取得された回転速度がある燃焼に起因して最大値に到達する時よりも後で、且つ、回転速度が、その燃焼の次の燃焼の前に到達する最小値と最大値との間の回転速度の領域を3つの領域に等分割した場合における真ん中の速度領域よりも小さくなる時よりも前の期間である。この期間におけるクランク軸の回転速度は、燃焼の直前における回転速度の最小値よりも大きい。このため、発電電動機がクランク軸を駆動するために必要な電流を小さくできる。また、例えば、3つに等分割した場合における最小の速度領域で駆動を開始する場合と比べ、圧縮上死点又は圧縮の開始時点における回転速度が、燃焼動作を維持するための速度に到達しやすい。このようにして、発電電動機は、クランク軸の回転をアシストしエンジンの回転速度の低下を抑えることができる。従って、本構成のMT型鞍乗型車両は、発電電動機の大型化又はバッテリの大型化を抑制できる。よって、電動スロットル又は油圧作動式クラッチを有する大型の車両にも、あるいは小型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下が抑制される。
以上の目的を達成するために、本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、次の構成を備える。
(1)MT型鞍乗型車両であって、
クランク軸を有するとともに、4ストロークの間に、前記クランク軸を回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランク軸を回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有し、燃焼動作中に間欠的な燃焼により生じる動力を、回転する前記クランク軸を介して動力を出力するエンジンと、
前記エンジンから出力される動力を受け前記MT型鞍乗型車両を駆動する駆動輪と、
運転者の操作に応じて前記エンジンと前記駆動輪の間の変速比を変更するマニュアル式変速機と、
電力を蓄える蓄電装置と、
前記蓄電装置に電気的に接続され、前記クランク軸と連動するように設けられ、前記蓄電装置から電力が供給されることにより前記クランク軸に回転力を与え、又は前記クランク軸に駆動され発電することにより前記蓄電装置に電力を供給する発電電動機と、
前記クランク軸の回転速度を周期的に取得するとともに前記蓄電装置と前記発電電動機との間の電流を制御し、前記燃焼動作中における駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始し、前記駆動開始期間は、周期的に取得された回転速度がある燃焼に起因して最大値に到達する時よりも後で、且つ、前記回転速度が、前記燃焼の次の燃焼の前に到達する最小値と前記最大値との間の回転速度の領域を3つの領域に等分割した場合における真ん中の速度領域よりも小さくなる時よりも前の期間である、制御装置と、
を備える。
(1)のMT型鞍乗型車両は、エンジンと、駆動輪と、マニュアル式変速機と、蓄電装置と、発電電動機と、制御装置とを備える。
エンジンは、クランク軸を有する。エンジンは、4ストロークの間に、クランク軸を回転させる負荷が大きい高負荷領域と、クランク軸を回転させる負荷が高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する。エンジンは、燃焼動作中に間欠的な燃焼により生じる動力を、回転するクランク軸を介して出力する。
駆動輪は、エンジンから出力される動力を受けMT型鞍乗型車両を駆動する。
マニュアル式変速機は、運転者の操作に応じてエンジンと駆動輪の間の変速比を変更する。
蓄電装置は、電力を蓄える。
発電電動機は、蓄電装置に電気的に接続される。発電電動機は、クランク軸と連動するように設けられる。発電電動機は、蓄電装置から電力が供給されることによりクランク軸に回転力を与え、又はクランク軸に駆動され発電することにより蓄電装置に電力を供給する。
制御装置は、クランク軸の回転速度が最小値となる時よりも前に発電電動機によりクランク軸に駆動力を加える。より具体的には、制御装置が、クランク軸の回転速度を周期的に取得するとともに蓄電装置と発電電動機との間の電流を制御する。制御装置は、燃焼動作中における駆動開始期間で発電電動機にクランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する。駆動開始期間は、周期的に取得された回転速度がある燃焼に起因して最大値に到達する時よりも後で、且つ、回転速度が、その燃焼の次の燃焼の前に到達する最小値と最大値との間の回転速度の領域を3つの領域に等分割した場合における真ん中の速度領域よりも小さくなる時よりも前の期間である。
MT型鞍乗型車両のエンジンは、小型軽量が求められるため、クランク軸のイナーシャが小さい。従って、MT型鞍乗型車両のエンジンの回転速度は、駆動輪の負荷といった外力の影響を受けることにより低下しやすい。しかし、クランク軸のイナーシャは小さいため、クランク軸に与える駆動力が始動専用のモータよりも小さい発電電動機によるものであっても、クランク軸の回転速度の低下を抑制しやすい。従って、発電電動機は、MT型鞍乗型車両のエンジンのクランク軸の回転をアシストしやすい。
(1)のMT型鞍乗型車両では、駆動開始期間においてアシストが開始し、発電電動機によるクランク軸の駆動は間欠的である。また、(1)のMT型鞍乗型車両の駆動開始期間におけるクランク軸の回転速度は、燃焼の直前における最低の回転速度よりも大きい。このため、発電電動機がクランク軸を駆動するために必要な電流を小さくできる。また、エンジンは、4ストロークの間に、高負荷領域と低負荷領域とを有する。駆動開始期間は、このようなエンジンにおける回転速度の領域を3つの領域に等分割した場合における真ん中の速度領域である。このため、高負荷領域で回転速度が急速に低下しやすい領域よりも前にアシストが開始できる。(1)のMT型鞍乗型車両における駆動開始期間は、3つの領域に等分割した場合における最小の速度領域よりも前なので、より長い時間、クランク軸の回転をアシストできる。このため、発電電動機は、必要な電力を抑制しつつ、回転速度の低下を抑制するようにクランク軸の回転をアシストしやすい。従って、(1)のMT型鞍乗型車両は、発電電動機の大型化又はバッテリの大型化を抑制できる。よって、電動スロットル又は油圧作動式クラッチを有する大型の車両にも、あるいは小型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下が抑制される。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(2) (1)のMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、前記燃焼動作中における前記駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流のゼロからの増大を開始する。
(2)のMT型鞍乗型車両では、燃焼動作中における駆動開始期間において、発電電動機に供給する電流がゼロから増大する。即ち、駆動開始期間において、発電電動機による駆動が開始する。発電電動機に供給する電流がゼロから増大する前、電流はゼロである。これにより、例えば、電流が増大する前における発電電動機への電流の供給が抑えられるので、電力の消費が抑制される。そのため、(2)のMT型鞍乗型車両は、例えばバッテリ等の大型化が抑制される。従って、(2)のMT型鞍乗型車両は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(3) (1)又は(2)のMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、取得した回転速度が前記真ん中の速度領域に属する時を前記駆動開始期間とし、前記駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する。
(3)のMT型鞍乗型車両では、燃焼の後の回転速度が高く従って駆動効率が低い状態での発電電動機による駆動が抑制される。このため、(3)のMT型鞍乗型車両では、発電電動機の駆動効率が低い状態での電力の消費が抑制される。これにより例えばバッテリ等の大型化が抑制される。従って、(3)のMT型鞍乗型車両は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(4) (1)から(3)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記発電電動機は、前記エンジンを始動させる機能を有する。
(4)のMT型鞍乗型車両は、エンジンを始動させる機能を有する発電電動機を有する。エンジンを始動させる機能を有する発電電動機は、クランク軸に与える駆動力が始動専用のモータよりも小さい。しかし、クランク軸の回転速度が燃焼の直前における最低の回転速度よりも大きい本構成の駆動開始期間であれば、駆動力の小さな発電電動機であっても、クランク軸の回転をアシストしやすくエンジンの回転速度の低下を抑えることができる。従って、(4)のMT型鞍乗型車両は、始動専用のモータを排除して、車両をさらに小型化できる。これにより、(4)のMT型鞍乗型車両は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(5) (1)から(4)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記エンジンは、単気筒エンジン、2気筒エンジン、又は不等間隔燃焼型の多気筒エンジンである。
(5)のMT型鞍乗型車両のエンジンは、単気筒エンジン、2気筒エンジン、又は不等間隔燃焼型の多気筒エンジンである。これらのエンジンでは、クランク軸の回転速度が緩やかに減少する期間でクランク軸の回転のアシストを開始できる。従って、(5)のMT型鞍乗型車両は、発電電動機がクランク軸の回転をアシストすることにより、エンジンの回転速度の低下を抑えることができる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(6) (1)から(5)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、前記エンジンから出力される動力が前記駆動輪に伝達されている状態で、前記発電電動機を駆動して前記クランク軸に回転力を加える。
(6)のMT型鞍乗型車両では、制御装置は、エンジンから出力される動力が駆動輪に伝達されている状態で、発電電動機を駆動してクランク軸に回転力を加える。従って、(6)のMT型鞍乗型車両は、駆動輪の負荷がエンジンに掛かった場合の回転速度の低下を抑えることができる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(7) (1)のMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、前記駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始した後、電流の大きさを変化させる。
(7)のMT型鞍乗型車両では、制御装置は、駆動開始期間で発電電動機にクランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始後、電流の大きさを変化させる。従って、(7)のMT型鞍乗型車両は、例えばクランク軸の負荷変動量に合わせて発電電動機の駆動力を変更することが可能になる。このため、(7)のMT型鞍乗型車両は、発電電動機の駆動力を、クランク軸の負荷又はエンジンの状態に精密に対応するように調整できると共に、電力の消費を抑えることができる。従って、(7)のMT型鞍乗型車両は、電力の消費を抑えつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制することができる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(8) (7)のMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、前記エンジンの1サイクルの間に、前記クランク軸の回転速度を複数回取得し、
前記制御装置は、取得した第一回転速度と、前記第一回転速度よりも前に取得した第二回転速度との差に応じた駆動力を前記クランク軸に与える。
(8)のMT型鞍乗型車両では、制御装置は、取得した第一回転速度と、第一回転速度よりも前に取得した第二回転速度との差に応じた駆動力をクランク軸に与える。例えば、制御装置は、クランク軸の回転速度を取得する度に、取得した回転速度を第一回転速度として、その前に取得した回転速度を第二回転速度として、その差分に応じた駆動力を与える。制御装置は、クランク軸の回転速度を取得するごとに、第一回転速度と第二回転速度との差分を計算せず、例えば回転速度を2回又は3回取得するごとに、第一回転速度と第二回転速度との差分を一回計算してもよい。これにより、(8)のMT型鞍乗型車両は、クランク軸の回転速度の変化に応じて発電電動機の駆動力を変更できる。そのため、(8)のMT型鞍乗型車両は、クランク軸の回転速度の低下に発電電動機の駆動力を細かく対処させることができ、電力の消費を抑えることができる。従って、(8)のMT型鞍乗型車両は、電力の消費を抑えつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制することができる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(9) (7)又は(8)のMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、前記エンジンから出力される動力が前記駆動輪に伝達されている状態で、前記動力が前記駆動輪に伝達されている状態の回転速度と、前記動力が前記駆動輪に伝達されていないアイドリング状態における回転速度とに基づいて前記発電電動機に供給する電流を制御する。
(9)のMT型鞍乗型車両では、制御装置は、エンジンから出力される動力が駆動輪に伝達されている状態で、動力が駆動輪に伝達されている状態の回転速度と、アイドリング状態の回転速度とに基づいて発電電動機に供給する電流を制御する。(9)のMT型鞍乗型車両は、アイドリング状態におけるクランク軸の回転速度に基づいて発電電動機を駆動するため、発電電動機による駆動を、クランク軸の負荷の変動により精密に対応させることができる。従って、(9)のMT型鞍乗型車両は、エンジンの回転速度の低下をさらに抑制することができる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(10) (1)から(9)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記MT型鞍乗型車両は、
前記エンジンから前記駆動輪に動力を伝達する動力伝達経路と、
前記動力伝達経路上に設けられ、前記運転者の操作により、前記エンジンと前記マニュアル式変速機の間の動力伝達を断続するマニュアルクラッチと
を備える。
(10)のMT型鞍乗型車両では、エンジンから駆動輪に動力を伝達する動力伝達経路上に、運転者の操作により、エンジンとマニュアル式変速機の間の動力伝達を断続するマニュアルクラッチが設けられている。(10)のMT型鞍乗型車両では、マニュアルクラッチを接続する際に、クランク軸に負荷が加わる。(10)のMT型鞍乗型車両は、高い設計自由度を有しつつ、マニュアルクラッチ接続時におけるクランク軸の回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(11) (4)のMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、前記発電電動機に前記エンジンを始動させることに続けて、前記駆動開始期間から前記発電電動機に供給する電流の増大を開始する。
例えば、運転者が、MT型鞍乗型車両を発進させるために、エンジンの始動直後にクラッチの接続動作を行うことがある。エンジンの始動直後にクラッチが接続状態になることによりクランク軸に係る負荷が増大し、エンジンの回転速度が減少しやすい。
(11)のMT型鞍乗型車両によれば、発電電動機によるエンジンの始動に続いて、駆動開始期間から発電電動機に供給される電流の増大が開始する。エンジンの始動時には、発電電動機に電流が連続的に供給される。エンジンの始動は、エンジンの圧縮行程における圧縮と燃焼行程における燃焼が完了することで終了する。エンジンの始動に続いて、駆動開始期間から電流の増大が開始することにより、エンジン始動の直後に、クランク軸にかかる負荷が増大する場合、発電電動機がクランク軸をアシストすることができる。このため、MT型鞍乗型車両を滑らかに発進させることができる。(11)のMT型鞍乗型車両は、高い設計自由度を有しつつ、エンジン始動直後のクラッチ接続時におけるクランク軸の回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(12) (4)又は(11)のMT型鞍乗型車両であって、
前記発電電動機は、前記クランク軸を収容する前記エンジンのクランクケース内にエンジンオイルで潤滑されるよう設けられている。
(12)MT型鞍乗型車両の発電電動機は、クランク軸を収容するエンジンのクランクケース内にエンジンオイルで潤滑されるよう設けられている。従って、(12)のMT型鞍乗型車両は、発電電動機が収容される空間とクランクケースとの間に壁がなく、エンジンを小型化できる。
また、発電電動機は、エンジンを始動させる機能を有する場合、始動時において電流が供給されることにより発熱する。これにより、始動時に、発電電動機に接触しているエンジンオイルに熱が伝わり、エンジンオイルが暖められる。エンジンオイルに熱が加わると、エンジンオイルの粘度が低下する。このため、(12)のMT型鞍乗型車両は、始動時において、常温のエンジンオイルよりもクランク軸の回転に対する抵抗を小さくできる。
以上のことから、(12)のMT型鞍乗型車両は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(13) (4)、(11)及び(12)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記発電電動機は、スロットと周方向で交互に設けられた複数の歯部を備えるステータコア、及び前記歯部に巻回される複数相の巻線を有するステータと、前記ステータと空隙を空けて前記周方向に並び且つ前記スロットの数の2/3より多い磁極部を有するロータとを備える。
(13)のMT型鞍乗型車両によれば、巻線のインピーダンスは、例えばスロットの数の2/3以下の磁極部を有する構成と比べて大きい。このため、エンジンが始動した後、発電電動機が発電機として機能する回転速度の領域において、より大きなインピーダンスによって発電電流が抑制される。従って、発電時においてもスイッチング素子への供給電流が抑制される。このため、(13)のMT型鞍乗型車両では、制御装置の放熱のための構造をより簡潔にして小型化することができる。従って、(13)の構成によれば、MT型鞍乗型車両をより小型化することができる。以上のことから、(13)のMT型鞍乗型車両は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(14) (4)及び(11)から(13)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記発電電動機は、前記エンジンに対し位置が固定され巻線を有するステータと、前記ステータに対し空隙を介して設けられた永久磁石を有し前記クランク軸の回転と連動するように前記クランク軸に設けられたロータとを備え、
前記エンジンは、前記エンジンが駆動する時に前記ロータの位置の検出を表す信号を前記制御装置に出力する、前記ステータの前記巻線とは異なる検出巻線を有するロータ位置検出装置を更に備える。
(14)のMT型鞍乗型車両によれば、ロータ位置検出装置は検出巻線によってロータの位置の検出を表す信号を出力する。このため、ロータ位置検出装置は、例えばホール素子と比べて高い温度で動作できる。従って、発電電動機とエンジンを含むユニットにおける断熱のための構造を簡潔にして小型化することができる。従って、(14)のMT型鞍乗型車両は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
本発明の一つの観点によれば、MT型鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(15) (4)及び(11)から(14)の何れか1つのMT型鞍乗型車両であって、
前記制御装置は、少なくとも前記クランク軸の回転速度の瞬時値に基づいて、前記発電電動機に供給する電流を制御する。
(15)のMT型鞍乗型車両は、クランク軸の回転速度の低下に発電電動機の駆動力を細かく対応させることができる。電力の消費がより効果的に抑制され得る。消費電力の更なる抑制と、エンジンの回転速度の低下のより効果的な抑制との両立が実現可能となる。なお、瞬時値は、4ストロークエンジンの1ストローク以内の期間における回転速度であってもよい。瞬時値は、[クランク軸の検出位置から次の検出位置までの距離(クランク角度)]/(クランク軸の位置検出タイミングから次の位置検出タイミングまでに要した時間)で算出されてもよい。瞬時値は、後述する各実施形態で用いられるクランク軸の回転速度に代えて用いられてもよい。瞬時値は、好ましくは、後述の第5実施形態におけるクランク軸の回転速度に代えて用いられることが可能である。
上記の瞬時値は、以下のMT型鞍乗型車両に適用可能である。
(16) MT型鞍乗型車両であって、
クランク軸を有するとともに、4ストロークの間に、前記クランク軸を回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランク軸を回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有し、燃焼動作中に間欠的な燃焼により生じる動力を、回転する前記クランク軸を介して動力を出力するエンジンと、
前記エンジンから出力される動力を受け前記MT型鞍乗型車両を駆動する駆動輪と、
運転者の操作に応じて前記エンジンと前記駆動輪の間の変速比を変更するマニュアル式変速機と、
電力を蓄える蓄電装置と、
前記蓄電装置に電気的に接続され、前記クランク軸と連動するように設けられ、前記蓄電装置から電力が供給されることにより前記クランク軸に回転力を与え、又は前記クランク軸に駆動され発電することにより前記蓄電装置に電力を供給する発電電動機と、
前記クランク軸の回転速度を周期的に取得するとともに前記蓄電装置と前記発電電動機との間の電流を制御し、圧縮上死点から次の圧縮上死点までの期間内において、少なくとも前記クランク軸の回転速度の瞬時値に基づいて、前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を行う。
(16)のMT型鞍乗型車両は、消費電力の更なる抑制と、エンジンの回転速度の低下のより効果的な抑制との実現を図ることが可能となる。当該電流の増大は、圧縮上死点後に開始され、次の圧縮上死点前に終了する。単気筒エンジンが採用される場合、当該期間は、4ストローク(720クランク角度)に相当する。当該期間内には、上述したようなエンジンの回転速度の最大値及び最小値が生じる。上述の電流の増大は、最大値から最小値までの期間内において行われてもよい。この場合、当該電流の増大は、最大値が生じた後に開始され、最小値が生じる前に終了する。クランク軸の回転速度の瞬時値に基づく前記電流の増大としては、例えば、当該瞬時値と比較値との比較結果に応じた前記電流の増大が挙げられる。前記比較値は、前記瞬時値との比較のために取得、算出又は予め設定されることができる。
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「及び/又は」は一つの、又は複数の関連した列挙された構成物のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」及び/又はそれらの等価物は広く使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続及び結合の両方を包含する。更に、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されず、直接的又は間接的な電気的接続又は結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせを全て繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
本明細書では、新しいMT型鞍乗型車両について説明する。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細無しに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
MT型鞍乗型車両は、マニュアル式変速機を有する鞍乗型車両である。鞍乗型車両(straddled vehicle)とは、運転者がサドルに跨って着座する形式のビークルをいう。鞍乗型車両としては、例えば、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、自動三輪車、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。自動三輪車は、2つの前輪と1つの後輪とを備えていてもよく、1つの前輪と2つの後輪とを備えていてもよい。鞍乗型車両の駆動輪は、後輪であってもよく、前輪であってもよい。また、鞍乗型車両の駆動輪は、後輪及び前輪の双方であってもよい。また、鞍乗型車両は、リーン姿勢で旋回可能に構成されていることが好ましい。リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、カーブの中心に傾いた姿勢で旋回するように構成される。これにより、リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、旋回時にビークルに加わる遠心力に対抗する。リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両では、軽快性が求められるため、発進の操作に対する進行の応答性が重要視される。MT型鞍乗型車両では、例えば、エンジンから駆動輪までの動力伝達経路に、流体の力学的作用を利用したトルクコンバータが設けられていない。
エンジンは、高負荷領域と低負荷領域とを有するエンジンである。エンジンは、例えば、4ストロークエンジンである。4ストロークエンジンは、4ストロークの間に、高負荷領域と低負荷領域とを有する。高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、例えば、単気筒エンジンである。また、高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、例えば、2気筒エンジン、不等間隔燃焼型3気筒エンジン、又は、不等間隔燃焼型4気筒エンジンである。高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、1サイクル720度の間に180度以上の連続不燃焼区間を含む。高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、例えば、気筒数が3以上の等間隔燃焼型エンジンは含まない。4ストロークエンジンは、例えば、3つより少ない気筒を有するエンジンである。本開示の一実施形態において、4ストロークエンジンは、例えば、単気筒エンジン又は2気筒エンジンである。2気筒エンジンは、2つの気筒を有する不等間隔燃焼型エンジンであってもよい。2つの気筒を有する不等間隔燃焼型エンジンとして、例えばV型エンジンが挙げられる。
高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンでは、低い回転速度における回転の変動が、他のタイプのエンジンと比べ大きい。高負荷領域とは、エンジンの1燃焼サイクルのうち、負荷トルクが1燃焼サイクルにおける負荷トルクの平均値よりも高い領域をいう。低負荷領域とは、1燃焼サイクルにおける高負荷領域以外の領域をいう。クランク軸の回転角度を基準として見ると、エンジンでの低負荷領域は、例えば、高負荷領域より広い。圧縮行程は、高負荷領域と重なりを有する。
エンジンは、燃焼動作中に間欠的に燃焼を実施する。例えば、エンジンは、燃焼行程が到来するごとに燃焼を実施する。例えば、単気筒エンジンは、1サイクルに1回燃焼を実施する。例えば2気筒エンジンは、1サイクルに2回燃焼を実施する。燃焼と燃焼との間には、燃焼しない期間がある。例えば、複数の気筒を有するエンジンは、1サイクル内のいずれかの燃焼と燃焼との間に燃焼しない期間を有していればよい。
始動発電機は、例えば永久磁石式の始動発電機である。始動発電機は、例えば永久磁石を使用しない始動発電機であってもよい。永久磁石式の始動発電機は、例えば、ブラシレスモータである。ブラシレスモータは、整流子を有さないモータである。始動発電機はエンジンを始動する始動モータとして機能する。また、始動発電機は、エンジンによって駆動され発電するモータジェネレータである。始動発電機は、これに限られない。永久磁石式の始動発電機は、例えば、ブラシ付き直流モータでもよい。ブラシレスモータは、例えば、アウターロータ型でもよく、また、インナーロータ型でもよい。また、ブラシレスモータは、ラジアルギャップ型でなく、アキシャルギャップ型でもよい。また、始動発電機は、例えばロータに永久磁石を有さないタイプでもよい。
発電電動機は、例えば始動機能を有する。発電電動機は、例えば始動機能を有しなくてもよい。発電電動機は、例えばクランク軸と連動される。発電電動機は、例えば、クランク軸と常時接続されてもよい。具体的には、発電電動機は、例えば、クラッチを介さずに、クランク軸と直結される。但し、発電電動機は、ギア又はベルトを介してクランク軸と接続されていてもよい。
マニュアルクラッチは、マニュアルクラッチレバーに対する運転者による操作に応じて作動するように構成されている。マニュアルクラッチは、車両の発進時及び変速段の変更の両方の場面で、接続又は切断の状態が変化するように動作するマニュアルクラッチである。マニュアルクラッチとしては、湿式又は乾式の多板又は単板のマニュアルクラッチが挙げられる。一実施形態において、マニュアルクラッチは、例えば、湿式多板クラッチである。但し、遠心クラッチは、マニュアルクラッチに該当しない。
動力伝達経路は、エンジンのクランク軸から駆動輪までの、エンジンの動力を伝える経路における機械的な要素の総称である。動力伝達経路は、駆動軸、非駆動軸、駆動ギア、被駆動ギア、チェーンスプロケット、チェーン、及び、駆動ベルトの少なくとも何れかを含む。
マニュアル式変速機は、運転者の操作により、変速比を変更する。マニュアル式変速機は、シフトペダルの操作に応じて変速比を多段階に変更するように構成されている。マニュアル式変速機は、ニュートラル状態を含む複数のギア段を有する。つまり、マニュアル式変速機は、ニュートラル状態を含む多段階に変速比を変更することができる。マニュアル式変速機は、例えば、ニュートラル状態と非ニュートラル状態とを有する。非ニュートラル状態は、3段以上の段階を含んでいてもよい。ニュートラル状態は、入力軸から出力軸に動力が伝達されない状態である。マニュアル式変速機は、ニュートラル状態でない時は、入力軸から入力された回転動力を、シフトペダルの操作に応じた変速比に変更して、出力軸に伝達する。無段変速機は、マニュアル式変速機に該当しない。
制御装置は、エンジンの燃焼動作を制御する。また、制御装置は、発電電動機の駆動及び発電動作を制御する。制御装置は、例えば複数の装置が互いに離れた位置に構成されてもよく、また、一体に構成されていてもよい。制御装置は、プログラムを実行するプロセッサを有していてもよく、また、電子回路でもよい。
エンジン回転速度(図1における縦軸)における最大値(Rmax)と最小値(Rmin)との間の領域(W)は、3つの領域に等分される。3つの領域は、最大値に最も近い領域(H)(即ち(R1))、真ん中の速度領域(M)(即ち(R2))、及び最小値に最も近い領域(L)(即ち(R3))である。領域(H)は、領域(M)に続く、領域(M)よりも高速の速度領域に相当する。領域(L)は、領域(M)に続く、領域(M)より低速の速度領域に相当する。領域(W)、領域(H)、(M)及び(L)は、それぞれ、時間軸における期間(w)、(h)、(m)及び(l)に対応する。ここでいう時間軸は、後述する実施形態のようにクランク角度で表されてもよい。制御装置は、期間(h)又は(m)のいずれか一方の期間で、発電電動機にクランク軸の駆動を開始させる。制御装置は、例えば、期間(m)で、発電電動機にクランク軸の駆動を終了させる。制御装置は、特に限定されず、例えば、期間(l)で、発電電動機にクランク軸の駆動を終了させてもよい。即ち、制御装置は、例えば、期間(w)内における期間(h)又は(m)の何れか1つの期間で発電電動機にクランク軸の駆動を開始させ、その後に、同じ期間(w)内における期間(h)、(m)又は(l)の何れか1つの期間で発電電動機にクランク軸の駆動を終了させてもよい。同じ期間(w)における前記駆動の開始及び終了のタイミングの組合せとしては、特に限定されず、例えば、以下の組合せが挙げられる。以下のように、前記駆動は、例えば、1つの期間(w)で開始されて終了する。
・期間(h)での開始、及び期間(h)での終了の組合せ
・期間(h)での開始、及び期間(m)での終了の組合せ
・期間(h)での開始、及び期間(l)での終了の組合せ
・期間(m)での開始、及び期間(m)での終了の組合せ・期間(m)での開始、及び期間(l)での終了の組合せ
なお、点火タイミング(Zi)の直後において高いエンジン回転速度が得られるタイミング(Zh)は、その点火によりエンジン回転速度が上昇するタイミングであると解釈可能である。従って、タイミング(Zh)が、「最大値」が得られたタイミングである、と特定してもよい。また、時間軸又はクランク角度におけるタイミング(Zh)と点火タイミング(Zi)との間隔は、エンジンの仕様や運転条件により特定可能である。従って、経時的に変化するエンジン回転速度を参照せずに、タイミング(Zh)を特定してもよい。このように特定されたタイミング(Zh)におけるエンジン回転速度を、「最大値」として用いてもよい。駆動開始期間の始点は、タイミング(Zh)よりも後である。
また、点火タイミング(Zi)の直前において低いエンジン回転速度が得られるタイミング(Zl)は、その点火前の圧縮行程においてエンジン回転速度が低下するタイミングであると解釈可能である。従って、タイミング(Zl)が、「最小値」が得られたタイミングである、と特定してもよい。また、時間軸又はクランク角度におけるタイミング(Zl)と点火タイミング(Zi)との間隔は、エンジンの仕様や運転条件により特定可能である。従って、経時的に変化するエンジン回転速度を参照せずに、タイミング(Zl)を特定してもよい。このように特定されたタイミング(Zl)におけるエンジン回転速度を、「最小値」として用いてもよい。駆動開始期間の終点は、上述のように特定された「最大値」及び/又は「最小値」を用いて特定されてもよい。
制御装置は、燃焼動作中における駆動開始期間で発電電動機にクランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する。なお、必ずしも、当該電流の増大が常に前記駆動開始期間中に行われる必要はなく、当該電流の増大が前記駆動開始期間後に開始される場合が生じてもよい。例えば、大きな外力の影響で回転速度が制御の想定を超えて変動する場合に、駆動開始期間よりも後で電流の増大が開始する場合が生じ得る。駆動開始期間より後で電流の増大が開始する事象が時々生じる場合であっても、「燃焼動作中における駆動開始期間で発電電動機にクランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する」ことに該当する。例えば、駆動開始期間より後で電流の増大が開始する事象が時々生じる場合であっても、駆動開始期間で電流の増大を開始する事象の頻度がより多いとき、「燃焼動作中における駆動開始期間で発電電動機にクランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する」ことに該当する。
蓄電装置は、電力を蓄える装置である。蓄電装置は、例えばバッテリである。但し、蓄電装置は、特に限定されず、例えば、キャパシタ、又は、バッテリとキャパシタとの組合せであってもよい。
本発明によれば、小型の車両にも大型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンのクランク軸の回転速度の低下が抑制されたMT型鞍乗型車両を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るMT型鞍乗型車両の構成を示す図である。 本発明の第1実施形態の適用例に係るMT型鞍乗型車両のエンジン、発電電動機及びマニュアル式変速機を示す図である。 本発明の第1実施形態の適用例に係るMT型鞍乗型車両のエンジン及び制御装置の動作を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るMT型鞍乗型車両のエンジン及び制御装置の動作を示す図である。 本発明の第3実施形態に係るMT型鞍乗型車両のエンジンの始動時におけるクランク軸の回転速度の変化を示すグラフである。 本発明の第4実施形態に係るMT型鞍乗型車両のエンジン及び制御装置の動作を示す図である。 本発明の第5実施形態に係るMT型鞍乗型車両のエンジン及び制御装置の動作を示す図である。 本発明の第6実施形態に係るMT型鞍乗型車両のエンジン及び制御装置の動作を示す図である。
以下、本発明を、図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るMT型鞍乗型車両1の構成を示す図である。ここで、図1(a)は、MT型鞍乗型車両1の構成を簡略化して示す側面図である。図1(b)は、MT型鞍乗型車両1のエンジン10の1サイクルにおけるクランク軸の回転速度の変化を示すグラフである。図1(c)は、MT型鞍乗型車両1の制御装置41による発電電動機20の制御の様子を示すグラフである。
本明細書及び図面で、Fは、MT型鞍乗型車両1における前方を示す。Bは、MT型鞍乗型車両1における後方を示す。FBは、MT型鞍乗型車両1における前後方向を示す。Uは、MT型鞍乗型車両1における上方を示す。Dは、MT型鞍乗型車両1における下方を示す。UDは、MT型鞍乗型車両1における上下方向を示す。
図1のMT型鞍乗型車両1は、図1(a)に示すように、エンジン10と、駆動輪15と、マニュアル式変速機30と、蓄電装置25と、発電電動機20と、制御装置41とを備える。
エンジン10は、クランク軸11を有する。エンジン10は、図1(b)及び図1(c)に示すように、4ストロークの間に、クランク軸11を回転させる負荷が大きい高負荷領域X1と、クランク軸11を回転させる負荷が高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域X2とを有する。エンジン10は、燃焼動作中に間欠的な燃焼により生じる動力を、回転するクランク軸11を介して動力を出力する。
駆動輪15は、エンジン10から出力される動力を受けMT型鞍乗型車両1を駆動する。
マニュアル式変速機30は、MT型鞍乗型車両1の運転者の操作に応じてエンジン10と駆動輪15の間の変速比を変更する。
蓄電装置25は、電力を蓄える。
発電電動機20は、蓄電装置25に電気的に接続される。発電電動機20は、ドライバ21を介して蓄電装置25に接続される。発電電動機20は、クランク軸11と連動するように設けられる。発電電動機20は、蓄電装置25から電力が供給されることによりクランク軸11に回転力を与え、又はクランク軸11に駆動され発電することにより蓄電装置25に電力を供給する。
制御装置41は、図1(b)に示すように、クランク軸11の回転速度が最小値Rminとなる時T3よりも前に発電電動機20によりクランク軸11に駆動力を加える。より具体的には、制御装置41が、クランク軸11の回転速度Rを周期的に取得するとともに蓄電装置25と発電電動機20との間の電流Iを制御する。制御装置41は、エンジン10の燃焼動作中における駆動開始期間Xaで発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため、蓄電装置25から発電電動機20に供給する電流Iの増大を開始する。制御装置41は、例えば、ドライバ21を制御して、ドライバ21から発電電動機20に流れる電流Iのデューティ比をPminからPassistにする。ここで、駆動開始期間Xaは、周期的に取得された回転速度Rがある燃焼に起因して最大値Rmaxに到達する時T0よりも後で、且つ、回転速度Rが、その燃焼の次の燃焼の前に到達する最小値Rminと最大値Rmaxとの間の回転速度Rの領域を3つの領域に等分割した場合における真ん中の速度領域R2よりも小さくなる時T2よりも前の期間である。なお、本実施形態において、電流Iは、駆動開始期間Xaの何れかの時点において増大を開始すればよく、電流Iの増大の終了は、駆動開始期間Xa以外の時であってもよい。
MT型鞍乗型車両1のエンジン10は、小型軽量が求められるため、クランク軸11のイナーシャが小さい。従って、MT型鞍乗型車両1のエンジン10の回転速度は、駆動輪15の負荷といった外力の影響を受けることにより低下しやすい。しかし、MT型鞍乗型車両1のエンジン10のイナーシャは小さいため、例えば始動専用のモータと比べクランク軸11に与える駆動力が小さい発電電動機20であっても、駆動力がクランク軸11に与える影響も大きくなりやすい。従って、発電電動機20は、エンジン10のクランク軸11の回転をアシストしやすい。
発電電動機20によるMT型鞍乗型車両1のクランク軸11の回転のアシストの期間として、エンジン10のサイクルの全域に渡るアシスト、又は燃焼の前にクランク軸11の回転速度が最低となる領域でのアシストが考えられる。しかし、このようなアシストでは、電力の消費が大きくなる。また発電電動機20による駆動と、燃焼行程とが重なってしまい、燃焼効率が低下する。
MT型鞍乗型車両1では、駆動開始期間Xaにおいてアシストを開始するものであり、発電電動機20によるクランク軸11の駆動は間欠的である。また、MT型鞍乗型車両1の駆動開始期間Xaにおけるクランク軸11の回転速度は、燃焼の直前における最低の回転速度よりも大きい。このため、発電電動機20がクランク軸11を駆動するために必要な電流を小さくできる。また、エンジン10は、4ストロークの間に、クランク軸11を回転させる負荷が大きい高負荷領域と、クランク軸11を回転させる負荷が高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する。エンジン10では、クランク軸11の回転速度が高負荷領域で比較的急速に減少する期間(図1におけるT2~T3)の前に、回転速度が比較的緩やかに減少する期間(T0~T2)が生じる。MT型鞍乗型車両1では、真ん中の速度領域R2よりも小さくなる時T2よりも前の期間でアシストが開始する。回転速度が比較的急速に減少する期間よりも前にアシストが開始することで、アシストに用いる電流を抑制することができる。また、駆動開始期間Xaも長く、クランク軸11の回転をアシストする十分な期間を有することができる。従って、MT型鞍乗型車両1は、発電電動機20の大型化又はバッテリの大型化を抑制できる。よって、電動スロットル又は油圧作動式クラッチを有する大型の車両にも、あるいは小型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジン10の回転速度の低下が抑制される。
[適用例]
MT型鞍乗型車両1の適用例について説明する。図2は、MT型鞍乗型車両1の適用例に係るエンジン10、発電電動機20及びマニュアル式変速機30の構成を示す図である。図2(a)は、MT型鞍乗型車両1のエンジン10、発電電動機20、及びマニュアル式変速機30の左側面図である。図2(b)は、図2(a)のX-X′における断面図である。図2(c)は、発電電動機20の断面図である。
MT型鞍乗型車両1は、図2(b)に示すように、動力伝達経路12と、マニュアルクラッチ35とを備える。動力伝達経路12は、エンジン10からマニュアル式変速機30を介して駆動輪15(図1)に動力を伝達する。マニュアルクラッチ35は、動力伝達経路12上に設けられ、運転者の操作により、エンジン10とマニュアル式変速機30の間の動力伝達を断続する。
MT型鞍乗型車両1では、マニュアルクラッチ35が接続状態に移行する際に、クランク軸11に負荷が加わる。このため、マニュアルクラッチ35が接続状態に移行する際に、エンジン10の回転速度が低下しやすい。制御装置41は、エンジン10の燃焼動作中における駆動開始期間Xa(図1)で発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため、蓄電装置25から発電電動機20に供給する電流Iの増大を開始する。MT型鞍乗型車両1の駆動開始期間Xaにおけるクランク軸11の回転速度は、燃焼の直前における最低の回転速度よりも大きい。このため、発電電動機20は、クランク軸11の回転をアシストしやすくエンジン10の回転速度の低下を抑えることができる。
MT型鞍乗型車両1の発電電動機20は、エンジン10を始動させる機能を有する。即ち、発電電動機20は、停止状態のエンジン10を始動させる機能、始動後のエンジン10の回転速度の低下を抑制する機能、及び、発電する機能を併せ持つ。
エンジン10を始動させる機能を有する発電電動機20は、クランク軸11に与える駆動力が始動専用のモータよりも小さい。しかし、クランク軸11の回転速度が燃焼の直前における最低の回転速度よりも大きい駆動開始期間であれば、駆動力の小さな発電電動機20であっても、クランク軸11の回転をアシストしやすくエンジン10の回転速度の低下を抑えることができる。従って、MT型鞍乗型車両1は、始動専用のモータを排除して、車両をさらに小型化できる。
発電電動機20は、図2(a)に示すように、クランク軸11を収容するエンジン10のクランクケース17内にエンジンオイル18で潤滑されるよう設けられている。そのため、エンジン10は、発電電動機20が収容される空間とクランクケース17との間の壁を排することができる。従って、MT型鞍乗型車両1は、エンジン10を小型化できる。
また、発電電動機20は、エンジン10を始動させる機能を有する場合、始動時において電流が供給されることにより発熱する。これにより、エンジン10の始動時に、発電電動機20に接触しているエンジンオイル18に熱が伝わり、エンジンオイル18が暖められる。エンジンオイル18に熱が加わると、エンジンオイル18の粘度が低下する。このため、MT型鞍乗型車両1は、始動時において、クランク軸11の回転に対する抵抗を小さくできる。
発電電動機20は、図2(b)及び(c)に示すように、ステータ22と、ロータ23とを備える。ステータ22は、スロット221と周方向で交互に設けられた複数の歯部222を備えるステータコア223、及び歯部222に巻回される複数相の巻線224を有する。ステータ22は、エンジン10に対し位置が固定される。ロータ23は、ステータ22と空隙を空けて周方向に並び且つスロット221の数の2/3より多い磁極部232を有する。磁極部232は、永久磁石231により構成される。
MT型鞍乗型車両1によれば、巻線224のインピーダンスは、例えばスロット221の数の2/3より少ない磁極部232を有する構成と比べて大きい。このため、エンジン10が始動した後、発電電動機20が発電機として機能する回転速度の領域において、より大きなインピーダンスによって発電電流が抑制される。従って、発電時においてもドライバ21のスイッチング素子への供給電流が抑制される。このため、MT型鞍乗型車両1は、ドライバ21の放熱のための構造をより簡潔にして小型化することができる。
エンジン10は、図2(b)に示すように、エンジン10が駆動する時にロータ23の位置の検出を表す信号を制御装置41に出力するロータ位置検出装置24を備える。ロータ位置検出装置24は、ステータ22の巻線224とは異なる検出巻線を有する。
MT型鞍乗型車両1によれば、ロータ位置検出装置24は検出巻線によってロータ23の位置の検出を表す信号を出力する。このため、ロータ位置検出装置24は、例えばホール素子と比べて高い温度で動作できる。従って、発電電動機20とエンジン10を含むユニットにおける断熱のための構造を簡潔にして小型化することができる。
以上のことから、MT型鞍乗型車両1は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジン10の回転速度の低下を抑制できる。
本実施形態では、エンジン10を、例えば単気筒エンジン、2気筒エンジン又は不等間隔燃焼型多気筒エンジンの何れかにより構成することができる。図3は、MT型鞍乗型車両1の適用例に係るエンジン及び制御装置の動作を示す図である。図3(a)は、単気筒エンジンであるエンジン10-1の動作であり、図3(b)は、単気筒エンジンであるエンジン10-1に対応する制御装置41-1の動作である。図3(c)は2気筒エンジンあるエンジン10-2の動作であり、図3(d)は、2気筒エンジンであるエンジン10-2に対応する制御装置41-2の動作である。図3(e)は、不等間隔燃焼型の3気筒エンジンであるエンジン10-3の動作であり、図3(f)は、不等間隔燃焼型の3気筒エンジンであるエンジン10-3に対応する制御装置41-3の動作である。本実施形態では、エンジン10-1~10-3及び制御装置41-1~41-3が、図3(a)~(f)に示す動作を行なうように構成される。
単気筒エンジン10-1、2気筒エンジン10-2、又は不等間隔燃焼型の多気筒エンジン(例えば不等間隔燃焼型3気筒エンジン10-3)は、高負荷領域X1と低負荷領域X2とが含まれる。これらのエンジン(10-1~10-3)は、クランク軸11の回転速度が長く緩やかに減少する期間が生じる。そのため、駆動開始期間Xaも長く、発電電動機20がクランク軸11の回転をアシストする十分な期間が保持され、エンジン(10-1~10-3)の回転速度の低下を十分に抑えることができる。
なお、上述した適用例のそれぞれは、第1実施形態だけでなく、後述する第2から第5実施形態のいずれにも適用可能である。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係るMT型鞍乗型車両2のエンジン10及び制御装置42の動作を示す図である。ここで、図4(a)は、MT型鞍乗型車両2のエンジン10の1サイクルにおけるクランク軸11の回転速度の変化を示すグラフである。また、図4(b)及び(c)は、MT型鞍乗型車両2の制御装置42による発電電動機20の制御の例を示すグラフである。また、図4(d)は、MT型鞍乗型車両2の制御装置42による発電電動機20の制御の変形例を示すグラフである。図4(b)から(d)は、制御における3種類の例を示している。本実施形態では、エンジン10及び制御装置42が、図に示す動作を行なうように構成される。この他の構成は、第1実施形態と同一であり、図1に示すMT型鞍乗型車両1と同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、本実施形態の構成及び制御は、第1実施形態に組み合わせてもよい。
本実施形態のMT型鞍乗型車両2の制御装置42は、例えば図4(b)の例では、エンジン10の燃焼動作中における駆動開始期間Xaで発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流Iのゼロの状態から電流Iの増大を開始する。詳細には、制御装置42は、ドライバ21を制御して、ドライバ21から発電電動機20に流れる電流Iのデューティ比を0からPassistにする。
本実施形態のMT型鞍乗型車両2では、エンジン10の燃焼動作中における駆動開始期間Xaにおいて、発電電動機20に供給する電流Iがゼロから増大する。即ち、駆動開始期間Xaにおいて、発電電動機20による駆動が開始する。発電電動機20に供給する電流Iがゼロから増大する前、電流Iはゼロである。これにより、例えば、電流Iが増大する前における発電電動機20への電流の供給が抑えられる。従って、電力の消費が抑制される。そのため、MT型鞍乗型車両2では、例えば蓄電装置25等の大型化が抑制される。従って、MT型鞍乗型車両2は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にも適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジン10の回転速度の低下を抑制できる。
また、MT型鞍乗型車両2の制御装置42は、例えば図4(c)の例では、取得した回転速度が真ん中の速度領域R2に属する時を駆動開始期間Xaとし、駆動開始期間Xaで発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流Iの増大を開始する。
エンジン10の回転速度は燃焼の後、高くなる。エンジン10の回転速度即ち発電電動機20の回転速度が高いほど、発電電動機20で生じる誘導起電力が増大する。発電電動機20がクランク軸11を駆動する場合、誘導起電力は発電電動機20に供給される電流を妨げるように作用する。このため、エンジン10の回転速度が高いほど、駆動効率が低い。本実施形態のMT型鞍乗型車両2では、燃焼の後の回転速度が高く従って駆動効率が低い状態での発電電動機20による駆動が抑制される。このため、MT型鞍乗型車両2では、発電電動機20の駆動効率が低い状態での電力の消費が抑制される。これにより、例えば蓄電装置25等の大型化が抑制される。従って、MT型鞍乗型車両2は、大型の車両にも、あるいは小型の車両にもより適用可能な高い設計自由度を有しつつ、エンジンの回転速度の低下を抑制できる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係るMT型鞍乗型車両3のエンジン10の始動時におけるクランク軸11の回転速度の変化を示すグラフである。本実施形態では、制御装置43が、図5に示す動作を行なうように構成される。この他の構成は、第1実施形態と同一であり、図1に示すMT型鞍乗型車両1と同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、本実施形態の構成及び制御は、第1又は第2実施形態に組み合わせてもよい。
MT型鞍乗型車両3の発電電動機20は、エンジン10を始動させる機能を有する。また、MT型鞍乗型車両3の制御装置43は、発電電動機20にエンジン10を始動させることに続けて、駆動開始期間Xaから発電電動機20に供給する電流の増大を開始する。より詳細には、MT型鞍乗型車両3の制御装置43は、図5の実線に示すように、発電電動機20のエンジン始動期間Xbの終了後の最初の駆動開始期間Xaから、発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流の増大を開始する。エンジン始動期間Xbは、エンジン10の燃焼停止状態で発電電動機20によりクランク軸11の駆動が開始してから、エンジン10の燃焼行程における燃焼が完了するまでの期間である。
例えばアイドリングストップによるエンジン10の燃焼停止状態からMT型鞍乗型車両3を発進させる場合、運転者は、エンジン10を始動させ、その後、インギア状態であればマニュアルクラッチ35を接続する。これにより、MT型鞍乗型車両3は発進する。ここで、MT型鞍乗型車両3の発進時の操作の一例として、以下のような場合が考えられる。例えば、MT型鞍乗型車両3を発進させるために、運転者がエンジン10の始動直後に間を置かずマニュアルクラッチ35の接続操作を行うことがある。具体的には、MT型鞍乗型車両3の運転者の操作により発電電動機20がクランク軸11の駆動を開始した後、エンジン10の燃焼が始まる時点又はその直後でマニュアルクラッチ35が接続操作される。この時、マニュアルクラッチ35が接続状態になることによりクランク軸11に負荷がかかり、例えば図5の破線部に示すようにエンジン10の回転速度が減少してしまう場合がある。
発電電動機20が始動発電機である場合、エンジン10の始動のためにクランク軸11を駆動するとともに、始動後もクランク軸11の回転をアシストすることができる。本実施形態のMT型鞍乗型車両3の制御装置43は、図5に示すように、発電電動機20のエンジン始動期間Xbにおいて始動のためクランク軸11を駆動する。クランク軸11の駆動により、エンジン10の燃焼行程において燃焼が完了すると、エンジン始動期間Xbに続く駆動開始期間Xaで、発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流が、増大する。これにより、発電電動機20がクランク軸11の回転を始めた後に、クランク軸11に負荷がかかることによりクランク軸11の回転速度が減少した場合、図5の実線で示すように発電電動機20がクランク軸11をアシストできる。このため、エンジン10の始動直後に発進操作が行われた場合であっても、エンジン10がストールすることを抑制することができ、MT型鞍乗型車両3を滑らかに発進させることができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について説明する。図6は、本発明の第4実施形態に係るMT型鞍乗型車両4のエンジン10及び制御装置44の動作を示す図である。図6は、より詳細にはMT型鞍乗型車両4のエンジン10の1サイクルにおけるクランク軸11の回転速度の変化を示すグラフである。本実施形態では、エンジン10及び制御装置44が、図6に示す動作を行なうように構成される。この他の構成は、第1実施形態と同一であり、図1に示すMT型鞍乗型車両1と同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、本実施形態の構成及び制御は、第1又は第2実施形態に組み合わせてもよい。
本実施形態のMT型鞍乗型車両4の制御装置44では、エンジン10の燃焼動作中におけるアシスト可能領域Xcが設けられる。アシスト可能領域Xcは、図6の一点鎖線で区画された領域である。周期的に取得したクランク軸11の回転速度Rがアシスト可能領域Xc内に含まれる場合は、発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流Iの増大を開始する。より詳細には、制御装置44は、ドライバ21を制御して、ドライバ21から発電電動機20に流れる電流Iのデューティ比をPminからPassistにする。これに対し、周期的に取得したクランク軸11の回転速度Rがアシスト可能領域Xcよりも下回る場合は、発電電動機20によるクランク軸11への駆動力の付与を中止する。この時、エンジン10は停止する。
アシスト可能領域Xcは、各回転位置において、周期的に取得したクランク軸11の回転速度Rが発電電動機20によるクランク軸11のアシスト効果が見込める領域である。具体的には、アシスト可能領域Xcは、例えば図6のように設定される。アシスト可能領域Xcは、周期的に取得された回転速度Rに応じて決定される。アシスト可能領域Xcにおける回転速度Rの範囲は、例えば、図6に示すように、速度領域R1及びR2の範囲内において設定される。速度領域R1及びR2は、回転速度Rがある燃焼に起因して到達する最大値Rmax以下である。速度領域R1及びR2は、最小値Rminと最大値Rmaxとの間の回転速度Rの領域を3つの領域に等分割した場合における最上位の領域及び真ん中の速度領域である。
アシスト可能領域Xcは、図6に示す回転速度領域R3では設定されない。回転速度領域R3は、クランク軸11のアシスト効果が見込めない回転速度である。回転速度が低下している場合、回転速度領域R3で発電電動機20によるアシストを開始しても圧縮が完了し難く、また、発電電動機20の電力消費量が大きくなる。また、クランク軸11の回転速度がアシスト可能領域Xcを下回る場合、圧縮行程の点Pにおいて次の燃焼に移るための回転速度が得られない。
制御装置44は、ドライバ21から発電電動機20に流れる電流Iを例えば以下のように決定する。クランク軸11の回転速度Rがアシスト可能領域Xc内にある場合に、電流Iのデューティ比をPminからPassistにする。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態について説明する。図7は、本発明の第5実施形態に係るMT型鞍乗型車両5のエンジン10及び制御装置45の動作を示す図である。本実施形態では、MT型鞍乗型車両5のエンジン10及び制御装置45が、図7に示す動作を行なうように構成される。この他の構成は、第1実施形態と同一であり、図1に示すMT型鞍乗型車両1と同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、本実施形態は第1実施形態から第4実施形態の何れかと組み合わせてもよい。
本実施形態のMT型鞍乗型車両5の制御装置45は、駆動開始期間Xaで発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流の増大を開始した後、電流の大きさを変化させる。制御装置45は、電流の大きさを少なくとも複数レベルで変化させる。
例えば、MT型鞍乗型車両5の制御装置45は、エンジン10の1サイクルの間に、クランク軸11の回転速度を複数回取得する。制御装置45は、取得した第一回転速度と、第一回転速度よりも前に取得した第二回転速度との差に応じた駆動力をクランク軸11に与える。例えば、制御装置45は、クランク軸11の回転速度を取得する度に、取得した回転速度を第一回転速度として、その前に取得したクランク軸11の回転速度を第二回転速度とする。制御装置45は、クランク軸11の回転速度を取得する度に、第一回転速度と第二回転速度の差分に応じた駆動力を与える。なお、制御装置45は、クランク軸11の回転速度を取得するごとに、第一回転速度と第二回転速度との差分を計算せず、例えば回転速度を2回又は3回取得するごとに、第一回転速度と第二回転速度を決定し、差分を一回計算してもよい。
また、本実施形態のMT型鞍乗型車両5の制御装置45は、例えばアイドリング時のように、エンジン10から出力される動力が駆動輪15に伝達されていない状態では、発電電動機20を駆動してクランク軸11に回転力を加えない。これに対し、制御装置45は、エンジン10から出力される動力が駆動輪15に伝達されている状態で、発電電動機20を駆動してクランク軸11に回転力を加える。
また、例えば、制御装置45は、エンジン10から出力される動力が駆動輪15に伝達されている状態で、動力が駆動輪15に伝達されている状態の回転速度と、アイドリング状態の回転速度とに基づいて発電電動機20に供給する電流を制御する。
制御装置45の電流Iの制御について、図7(a)~(f)を使用して、一例を説明する。
先ず、制御装置45は、動力が駆動輪15に伝達されていないアイドリング状態で、動力が駆動輪15に伝達されていない状態のクランク軸11の回転速度Raを周期的に取得する(図7(a))。例えば、回転速度Raは、所定の角度ごとに割り振られたクランク番号(0~n)毎に取得される。制御装置45は、取得したあるクランク番号i(0≦i≦n)において取得した回転速度Raiと、次のクランク番号i+1において取得した回転速度Rai+1との差分Daiを求める(図7(b))。差分Daiは、クランク番号(0~n)毎に求められる。
次に、制御装置45は、エンジン10から出力される動力が駆動輪15に伝達されている状態で、動力が駆動輪15に伝達されている状態のクランク軸11の回転速度Rcを周期的に、例えばクランク番号(0~n)毎に取得する(図(c))。制御装置45は、取得したあるクランク番号iにおいて取得した回転速度Rciと、次のクランク番号i+1において取得した回転速度Rci+1との差分Dciを求める(図(d))。差分Dciは、クランク番号(0~n)毎に求められる。
次に、制御装置45は、同一のクランク番号iにおけるDaiとDciとの差分Diを求める(図7(e))。差分Diは、クランク番号(0~n)毎に求める。制御装置45は、求めた差分Diに対応する駆動力を発電電動機20が出力できるように、ドライバ21のデューティ比Pを、求めた差分Diに対応させて制御する(図7(f))。この時、デューティ比Pは、例えば図7(f)に記載のように、段階的(P1~P3)に設定される。
本実施形態のMT型鞍乗型車両5では、制御装置45は、電流の大きさを変化させ、取得した回転速度と、取得された回転速度との差に応じた駆動力をクランク軸11に与える。従って、MT型鞍乗型車両5は、クランク軸11の回転速度の変化に応じて発電電動機20の駆動力を変更できる。これにより、MT型鞍乗型車両5は、クランク軸11の回転速度の低下に発電電動機20の駆動力を細かく対処させることができ、電力の消費を抑えることができる。従って、電力の消費を抑えつつ、エンジン10の回転速度の低下を抑制することができる。
また、MT型鞍乗型車両5では、制御装置45は、エンジン10から出力される動力が駆動輪15に伝達されている状態で、動力が駆動輪15に伝達されている状態の回転速度と、アイドリング状態の回転速度とに基づいて発電電動機20に供給する電流を制御する。従って、MT型鞍乗型車両5は、駆動輪15の負荷がエンジン10に掛かった場合の回転速度の低下を抑えることができる。また、MT型鞍乗型車両5は、アイドリング状態におけるクランク軸11の回転速度に基づいて発電電動機20を駆動するため、発電電動機20による駆動を、クランク軸11の負荷の変動により精密に対応させることができる。従って、エンジン10の回転速度の低下をさらに抑制することができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態について説明する。図8は、本発明の第6実施形態に係るMT型鞍乗型車両6のエンジン10及び制御装置46の動作を示す図である。ここで、図8(a)は、MT型鞍乗型車両6のエンジン10の1サイクルにおけるクランク軸の回転速度の変化を示すグラフである。また、図8(b)は、MT型鞍乗型車両6の制御装置46による発電電動機20の制御の例を示すグラフである。また、図8(c)は、本実施形態の適用例に係るMT型鞍乗型車両7のエンジン10の1サイクルにおけるクランク軸の回転速度の変化を示すグラフである。図8(d)は、MT型鞍乗型車両7の制御装置47による発電電動機20の制御の例を示すグラフである。本実施形態では、MT型鞍乗型車両6のエンジン10及び制御装置46が、図8に示す動作を行なうように構成される。この他の構成は、第1実施形態と同一であり、図1に示すMT型鞍乗型車両1と同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、本実施形態は第1実施形態から第5実施形態の何れかと組み合わせてもよい。
本実施形態のMT型鞍乗型車両6の制御装置46は、図8(a)及び(b)に示すように、少なくともクランク軸11の回転速度Rの瞬時値Riに基づいて、発電電動機20に供給する電流を制御する。なお、瞬時値Riは1の燃焼サイクルにおいて周期的に周期的に取得することができる。
本実施形態のMT型鞍乗型車両6は、クランク軸11の回転速度Rの低下に発電電動機20の駆動力を細かく対応させることができる。電力の消費がより効果的に抑制され得る。そのため、MT型鞍乗型車両6は、消費電力の更なる抑制と、エンジンの回転速度の低下のより効果的な抑制との両立が実現可能となる。
[適用例]
本実施形態のMT型鞍乗型車両6において取得する瞬時値Riは、以下のMT型鞍乗型車両(MT型鞍乗型車両7)に適用できる。ここで、MT型鞍乗型車両7は、図8(c)及び(d)に示すように、クランク軸11の回転速度Rを周期的に取得するとともに蓄電装置25と発電電動機20との間の電流を制御し、圧縮上死点Y1から次の圧縮上死点Y2までの期間内において、少なくともクランク軸の回転速度の瞬時値に基づいて、発電電動機20にクランク軸11を駆動させるため供給する電流の増大を行う制御装置47を有する。
MT型鞍乗型車両7は、消費電力の更なる抑制と、エンジン10の回転速度Rの低下のより効果的な抑制との実現を図ることが可能となる。当該電流の増大は、圧縮上死点Y1後に開始され、次の圧縮上死点Y2前に終了する。当該期間Ya内には、クランク軸の回転速度Rの上述したような最大値Rmax及び最小値Rminが生じる。上述の電流の増大は、クランク軸の回転速度Rの最大値Rmaxが生じた時点から最小値Rminが生じた時点までの期間Yb内において行われてもよい。この場合、当該電流の増大は、クランク軸11の回転速度Rの最大値Rmaxが生じた後に開始され、最小値Rminが生じる前に終了する。クランク軸11の回転速度Rの瞬時値Riに基づく当該電流の増大としては、例えば、瞬時値Riと比較値との比較結果に応じた電流の増大が挙げられる。当該比較値は、瞬時値Riとの比較のために取得、算出又は予め設定されることができる。
1~7 MT型鞍乗型車両
10 エンジン
11 クランク軸
12 動力伝達経路
20 発電電動機
25 蓄電装置
30 マニュアル式変速機
35 マニュアルクラッチ
41~45 制御装置

Claims (15)

  1. MT型鞍乗型車両であって、
    クランク軸を有するとともに、4ストロークの間に、前記クランク軸を回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランク軸を回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有し、燃焼動作中に間欠的な燃焼により生じる動力を、回転する前記クランク軸を介して動力を出力するエンジンと、
    前記エンジンから出力される動力を受け前記MT型鞍乗型車両を駆動する駆動輪と、
    運転者の操作に応じて前記エンジンと前記駆動輪の間の変速比を変更するマニュアル式変速機と、
    電力を蓄える蓄電装置と、
    前記蓄電装置に電気的に接続され、前記クランク軸と連動するように設けられ、前記蓄電装置から電力が供給されることにより前記クランク軸に回転力を与え、又は前記クランク軸に駆動され発電することにより前記蓄電装置に電力を供給する発電電動機と、
    前記クランク軸の回転速度を周期的に取得するとともに前記蓄電装置と前記発電電動機との間の電流を制御し、前記燃焼動作中における駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始し、前記駆動開始期間は、周期的に取得された回転速度がある燃焼に起因して最大値に到達する時よりも後で、且つ、前記回転速度が、前記燃焼の次の燃焼の前に到達する最小値と前記最大値との間の回転速度の領域を3つの領域に等分割した場合における真ん中の速度領域よりも小さくなる時よりも前の期間である、制御装置と、
    を備える。
  2. 請求項1に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、前記燃焼動作中における前記駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流のゼロからの増大を開始する。
  3. 請求項1又は2に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、取得した回転速度が前記真ん中の速度領域に属する時を前記駆動開始期間とし、前記駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始する。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記発電電動機は、前記エンジンを始動させる機能を有する。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記エンジンは、単気筒エンジン、2気筒エンジン、又は不等間隔燃焼型の多気筒エンジンである。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、前記エンジンから出力される動力が前記駆動輪に伝達されている状態で、前記発電電動機を駆動して前記クランク軸に回転力を加える。
  7. 請求項6に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、前記駆動開始期間で前記発電電動機に前記クランク軸を駆動させるため供給する電流の増大を開始した後、電流の大きさを変化させる。
  8. 請求項7に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、前記エンジンの1サイクルの間に、前記クランク軸の回転速度を複数回取得し、
    前記制御装置は、取得した第一回転速度と、前記第一回転速度よりも前に取得した第二回転速度との差に応じた駆動力を前記クランク軸に与える。
  9. 請求項7又は8に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、前記エンジンから出力される動力が前記駆動輪に伝達されている状態で、前記動力が前記駆動輪に伝達されている状態の回転速度と、前記動力が前記駆動輪に伝達されていないアイドリング状態における回転速度とに基づいて前記発電電動機に供給する電流を制御する。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記MT型鞍乗型車両は、
    前記エンジンから前記駆動輪に動力を伝達する動力伝達経路と、
    前記動力伝達経路上に設けられ、前記運転者の操作により、前記エンジンと前記マニュアル式変速機の間の動力伝達を断続するマニュアルクラッチと
    を備える。
  11. 請求項4に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、前記発電電動機に前記エンジンを始動させることに続けて、前記駆動開始期間から前記発電電動機に供給する電流の増大を開始する。
  12. 請求項4又は11に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記発電電動機は、前記クランク軸を収容する前記エンジンのクランクケース内にエンジンオイルで潤滑されるよう設けられている。
  13. 請求項4、11及び12の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記発電電動機は、スロットと周方向で交互に設けられた複数の歯部を備えるステータコア、及び前記歯部に巻回される複数相の巻線を有するステータと、前記ステータと空隙を空けて前記周方向に並び且つ前記スロットの数の2/3より多い磁極部を有するロータとを備える。
  14. 請求項4及び11から13の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記発電電動機は、前記エンジンに対し位置が固定され巻線を有するステータと、前記ステータに対し空隙を介して設けられた永久磁石を有し前記クランク軸の回転と連動するように前記クランク軸に設けられたロータとを備え、
    前記エンジンは、前記エンジンが駆動する時に前記ロータの位置の検出を表す信号を前記制御装置に出力する、前記ステータの前記巻線とは異なる検出巻線を有するロータ位置検出装置を更に備える。
  15. 請求項4及び11から14の何れか1項に記載のMT型鞍乗型車両であって、
    前記制御装置は、少なくとも前記クランク軸の回転速度の瞬時値に基づいて、前記発電電動機に供給する電流を制御する。
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