JP7265417B2 - 柱梁接合方法 - Google Patents
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Description
ちなみに、この特許文献1記載の柱梁接合方法では、鉄筋コンクリート柱の外周面に埋設された比較的長尺なアンカーボルトにより、引張力だけでなく、せん断力も、ブラケットから鉄筋コンクリート柱に伝達するので、比較的長尺なアンカーボルトの本数が多くなり、コスト面で不利になる。また、柱内部の納まり(柱断面)も複雑になり、PCa柱部材の製作時にアンカーボルトと柱鉄筋との干渉を避けるのに手間がかかるという不都合もある。
前記鉄筋コンクリート柱が、前記ブラケットの鉄筋コンクリート柱側を埋め込む状態で前記ブラケットが予め外周面に一体的に備えられたプレキャストコンクリート製のブラケット付き柱部材として構成され、
前記ブラケットの鉄筋コンクリート柱側には、前記鉄筋コンクリート柱の外周面に埋め込まれて前記鉄筋コンクリート柱にせん断力を伝達するせん断力伝達部材と、前記鉄筋コンクリート柱の外周面に前記せん断力伝達部材よりも深く埋め込まれて前記鉄筋コンクリート柱に引張力を伝達する引張力伝達部材とが備えられ、
前記引張力伝達部材が、前記ブラケットの上方側部位に配置され、
前記ブラケットには、上フランジと、前記上フランジの鉄筋コンクリート柱側と鉄骨梁側との間の中間部から下方に延びるウェブとが備えられ、
前記ブラケットの前記上フランジは、それの鉄筋コンクリート柱側が前記鉄筋コンクリート柱の外周面に埋め込み自在な埋設板部として構成され、それの鉄骨梁側が前記鉄骨梁を載置自在な載置板部として構成され、
前記ブラケットの前記ウェブの鉄筋コンクリート柱側の表面には、前記せん断力伝達部材としての第1棒状部材が、当該ウェブの前記表面から立ち上がる姿勢で溶接固定され、
前記ブラケットの前記上フランジの前記埋設板部の上面又は下面には、前記引張力伝達部材としての第2棒状部材が、当該埋設板部の上面又は下面に沿わせた姿勢で溶接固定される点にある。
前記接合手段が、前記鉄骨梁の前記下フランジと前記ブラケットの前記載置板部とを締め付けて固定自在なボルト及びナットにて構成され、
前記鉄骨梁の前記下フランジ及び前記ブラケットの前記載置板部には、前記ボルトの軸部を挿通自在な挿通孔が備えられ、
前記鉄骨梁の前記下フランジの前記挿通孔と、前記ブラケットの前記載置板部の前記挿通孔との少なくとも一方が、前記鉄骨梁の長さ方向に長い長孔として構成される点にある。
このとき、接合手段としてのボルトの軸部が挿通される鉄骨梁の下フランジの挿通孔とブラケットの載置板部のボルト用の挿通孔との少なくとも一方が、鉄骨梁の長さ方向に長い長孔として構成されるので、その長孔に沿って、鉄骨梁の下フランジとブラケットの載置板部との鉄骨梁の長さ方向での相対位置を調整することができる。
よって、鉄筋コンクリート柱として、ブラケットが予め外周面に一体的に備えられたプレキャストコンクリート製のブラケット付き柱部材を使用しながらも、鉄骨梁の端部を適切な位置に簡単に配置することができる。また、当該長孔は、建物の使用開始後において柱梁仕口部の変形を吸収する融通としても機能させることができる。
この柱梁接合方法は、図1及び図2に示すように、鉄骨梁3の端部3Aと鉄筋コンクリート柱1とをピン接合にて接合する方法であり、鉄筋コンクリート柱1が建て込まれ、その鉄筋コンクリート柱1の外周面に備えられる鉄骨製のブラケット2に鉄骨梁3の端部3Aが載置され、その鉄骨梁3の端部3Aの下フランジ32とブラケット2とが接合手段4(図2参照)にて接合される。この接合状態では、鉄骨梁3の端部3Aの端面と鉄筋コンクリート柱1の外周面との間に隙間S1が形成される。鉄骨梁3の上には、鉄筋コンクリート製のスラブ5(図2参照)が構築される。
鉄筋コンクリート柱1は、図3に示すように、鉄骨梁3の長さ方向Xを長辺方向とする長方形断面のスリムな四角柱状に構成されている。
そのため、建方工事において鉄筋コンクリート柱1の外周面にブラケット2を固定する作業を無くすことができ、建方工事の作業性を更に向上させて更なる省人化と短工期化を図ることができる。
引張力伝達部材22は、ブラケット2の鉄筋コンクリート柱1側における上方側部位に配置される複数本のアンカーボルト22A(第2棒状部材の一例)にて構成される。アンカーボルト22Aは、引張力が最も作用するブラケット2の上方側部位から鉄筋コンクリート柱1に引張力を適切に伝達する。
そして、この埋設板部24Aの上面には、引張力伝達部材22としての複数本のアンカーボルト22Aが、当該埋設板部24Aの上面に沿わせた姿勢で溶接固定される。アンカーボルト22Aは、その端部から軸方向に沿って所定長さ範囲に亘って外周面を埋設板部24Aの上面と溶接する等により、引き抜き力に耐え得るように適切に溶接固定される。本実施形態では、一対のアンカーボルト22Aが、左右方向(鉄骨梁3の幅方向Y)で間隔を空けて平行に並ぶ状態で備えられる。
鉄骨梁3の端部3Aの下フランジ32の左右の二箇所、及び、ブラケット2の載置板部24Bの左右の二箇所には、ボルト41の軸部を上下方向に沿って挿通自在な挿通孔31a,24aが貫通形成されている。
ちなみに、上記とは逆に、一方の挿通孔31aが真円孔として構成され、他方の挿通孔24aが上述の長孔として構成されていたり、両方の挿通孔31a,24aが上述の長孔として構成されていてもよい。要するに、両挿通孔31a,24aのうちの少なくとも一方が鉄骨梁3の長さ方向Xに長い上述の長孔として構成されていればよい。
その後、鉄骨梁3の長さ方向Xに長い長孔として構成された鉄骨梁3の端部3Aの挿通孔31aに沿って、鉄骨梁3の端部3Aの下フランジ32とブラケット2の載置板部24Bとの相対位置を調整しつつ、鉄骨梁3の端部3Aの下フランジ32とブラケット2の載置板部24Bとを接合手段4としてのボルト41及びナット42にて締め付ける。
このようにして、鉄骨梁3の端部3Aと鉄筋コンクリート柱1とを適切な姿勢で簡単に接合することができ、建方工事の更なる省人化と短工期化を図ることができる。
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
2 ブラケット
21 せん断力伝達部材
21A スタッドボルト(第1棒状部材)
22 引張力伝達部材
22A アンカーボルト(第2棒状部材)
24 上フランジ
24A 埋設板部
24B 載置板部
24a 挿通孔
25 ウェブ
3 鉄骨梁
3A 端部
3B 中間部
31 上フランジ
31a 挿通孔
32 下フランジ
33 下フランジ
34 ウェブ
4 接合手段
41 ボルト
42 ナット
M ブラケット付き柱部材
Claims (3)
- 鉄筋コンクリート柱が建て込まれ、前記鉄筋コンクリート柱の外周面に備えられるブラケットに鉄骨梁の端部が載置され、前記鉄骨梁の端部の下フランジと前記ブラケットとが接合手段にて接合される柱梁接合方法であって、
前記鉄筋コンクリート柱が、前記ブラケットの鉄筋コンクリート柱側を埋め込む状態で前記ブラケットが予め外周面に一体的に備えられたプレキャストコンクリート製のブラケット付き柱部材として構成され、
前記ブラケットの鉄筋コンクリート柱側には、前記鉄筋コンクリート柱の外周面に埋め込まれて前記鉄筋コンクリート柱にせん断力を伝達するせん断力伝達部材と、前記鉄筋コンクリート柱の外周面に前記せん断力伝達部材よりも深く埋め込まれて前記鉄筋コンクリート柱に引張力を伝達する引張力伝達部材とが備えられ、
前記引張力伝達部材が、前記ブラケットの上方側部位に配置され、
前記ブラケットには、上フランジと、前記上フランジの鉄筋コンクリート柱側と鉄骨梁側との間の中間部から下方に延びるウェブとが備えられ、
前記ブラケットの前記上フランジは、それの鉄筋コンクリート柱側が前記鉄筋コンクリート柱の外周面に埋め込み自在な埋設板部として構成され、それの鉄骨梁側が前記鉄骨梁を載置自在な載置板部として構成され、
前記ブラケットの前記ウェブの鉄筋コンクリート柱側の表面には、前記せん断力伝達部材としての第1棒状部材が、当該ウェブの前記表面から立ち上がる姿勢で溶接固定され、
前記ブラケットの前記上フランジの前記埋設板部の上面又は下面には、前記引張力伝達部材としての第2棒状部材が、当該埋設板部の上面又は下面に沿わせた姿勢で溶接固定される柱梁接合方法。 - 前記ブラケットには、前記鉄骨梁を載置自在な載置板部が備えられ、
前記接合手段が、前記鉄骨梁の前記下フランジと前記ブラケットの前記載置板部とを締め付けて固定自在なボルト及びナットにて構成され、
前記鉄骨梁の前記下フランジ及び前記ブラケットの前記載置板部には、前記ボルトの軸部を挿通自在な挿通孔が備えられ、
前記鉄骨梁の前記下フランジの前記挿通孔と、前記ブラケットの前記載置板部の前記挿通孔との少なくとも一方が、前記鉄骨梁の長さ方向に長い長孔として構成される請求項1記載の柱梁接合方法。 - 前記鉄骨梁は、前記ブラケットに接合される端部の梁せいが、前記ブラケットに接合されない中間部の梁せいよりも小に構成される請求項1又は2記載の柱梁接合方法。
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