JP2018127825A - 柱と梁の接合方法 - Google Patents

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Yoshisato Sato
由悟 佐藤
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Tadayoshi Okada
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Abstract

【課題】外ダイアフラムについて施工期間の短縮化を図ることができ、地震時における応力伝達性能にも優れた柱と梁の接合方法を提供する。
【解決手段】柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法において、柱に予め溶接固定された固定ダイアフラム72に、H形鋼梁3の下フランジ33を取り付け、H形鋼梁3の上フランジ31に設けられる外ダイアフラム1を複数に分割した分割ダイアフラム2の梁プレート22の端部に設けられている柱プレート23を鋼管柱5に当接させ、分割ダイアフラム2間の接合面を鋼管柱5のコーナー部近傍に配置させ、各分割ダイアフラム2間を、柱プレート23から鋼管柱5の柱面へ接触圧が作用するようにボルト25及びナット26を介して互いに締め付け固定することを特徴とする。
【選択図】図11

Description

本発明は、柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法に関するものである。
従来より、建築構造物を構成する鋼管柱には、随所に補強および変形防止のためにダイアフラム工法が適用される場合が多い。このようなダイアフラム工法の一つである通しダイアフラム工法は、鋼管柱をH形鋼梁の上下フランジ位置で切断した上で、ダイアフラムを挿入して鋼管柱に溶接することでこれを組み立てる。H形鋼梁は、鋼管柱に接合する部分について梁ブラケットとして予め切り出しておき、その上下フランジを通しダイアフラムに溶接接合するとともに、そのウェブを鋼管柱のスキンプレートに溶接接合することにより取り付ける。ダイアフラムに取り付けられた梁ブラケットとH形鋼梁とは、高力ボルト摩擦接合により互いに接合される。
このような通しダイアフラム工法では、鋼管柱の切断工程に加え、ダイアフラムを鋼管柱に溶接接合する工程が加わる。特にこの溶接接合の工程では、鋼管全周に亘り完全溶け込みの溶接が必要となる。このため、これら切断、溶接の各工程に加え、溶接部の検査が必要となり、製作に伴う作業労力の負担が増大してしまうという問題点があった。これに加えて、溶接部における品質を確保するためには、熟練の溶接技術者が必要となる。また、溶接部の非破壊検査において不合格となった場合には、再度手直しが必要となり、製作コストが過大となり、ひいては製作工期も長期化してしまうという問題点があった。また溶接や切断工程が入ることで、各種機器を使用する機会も多くなり、ひいては製作に伴うエネルギーの消費量の増大も招き、環境へ悪影響を与えてしまうことにもなっていた。
また、従来のダイアフラム工法として、ハイブレード工法(登録商標)も実用化されている。このハイブレード工法(登録商標)では、上フランジ用と下フランジ用の2組の鋳鋼製一体型外ダイアフラム(ハイブレード)を鋼管柱に挿入する。そして、H形鋼梁の上下フランジを、各外ダイアフラムに溶接接合で固定する。H形鋼梁は、鋼管柱に接合するための梁ブラケットが切り出される。梁ブラケットの上下フランジは、ハイブレードに溶接接合され、梁ブラケットのウェブは、柱スキンプレートに取り付けられたリブプレートに溶接接合される。梁ブラケットとH形鋼梁とは互いに高力ボルト摩擦接合により接合される。このようなハイブレードでは、応力伝達性に優れた形状等が各種検討されている。
しかしながら、このハイブレード工法では、ハイブレードを鋼管柱へ挿入する作業は多くの工程を要し、作業そのものも困難性を有するものが多い。このため、ハイブレードを鋼管柱へ挿入するための特別な挿入装置も必要となる場合があった。また、このハイブレード工法では、ハイブレードをH形鋼梁の上下フランジに溶接接合する必要があり、上述したように製作労力、製作コストの増大を招き、施工期間が長期化してしまうという問題点もあった。
更に従来の柱梁接合工法としては、高力ボルト引張接合工法も実用化されている。かかる工法では、鋼管柱とH形鋼梁とをスプリットティ、又はH形鋼梁の端面に溶接接合されたエンドプレートを介して高力ボルト引張接合により連結する。ちなみにスプリットティを利用する場合には、そのフランジと鋼管柱のスキンプレートとを高力ボルト引張接合し、スプリットティのウェブとH形鋼梁のフランジとを高力ボルト摩擦接合する。H形鋼梁のウェブは、必要に応じて鋼管柱に取り付けられたリブプレートと高力ボルト摩擦接合する。
しかしながら、このスプリットティ或いはエンドプレートと、鋼管柱との高力ボルト接合では、鋼管柱が閉鎖断面であることから、高力ボルトの挿入と締め付け施工に多くの作業労力を要することとなっていた。
また外ダイアフラムを複数の分割ダイアフラムで構成する技術も開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この特許文献1の開示技術においても分割ダイアフラムは、鋼管柱に対して溶接により接合させる構成を採用していることから、上述したように製作労力、製作コストの増大を招き、施工期間が長期化してしまうという問題点も生じる。
また特許文献2には、同様に外ダイアフラムとして、分割ダイアフラムの如き柱梁接合金物を組み合わせて構成する例が開示されている。この特許文献2の開示技術によれば、柱梁接合金物を鋼管柱に対して溶接することなく、ボルトにより接合する方法を採用している。また柱梁接合金物の内部には、例えばモルタル樹脂等の充填物を充填することにより、その充填物の付着力及びボルトのせん断耐力によって応力伝達を行うものである。この特許文献2の開示技術では、鋼管柱への取り付け時に溶接作業が不要となることで、製作労力の増大等を防止できる利点がある。
特開2001−262699号公報 特開平7−324380号公報
しかしながら、上述した特許文献2の開示技術では、あくまでモルタル樹脂等の充填物を充填する工程が入ることから、その分製作労力が増大し、またその充填物の材料コストを要してしまう等の問題点があった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法において、外ダイアフラムについて施工期間の短縮化を図ることができ、地震時における応力伝達性能にも優れた柱と梁の接合方法を提供することにある。
第1発明に係る柱と梁の接合方法は、柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法において、柱に予め溶接固定された固定ダイアフラムに、H形鋼梁の下フランジを取り付け、上記H形鋼梁の上フランジに設けられる上記外ダイアフラムを複数に分割した分割ダイアフラムの梁プレートの端部に設けられている柱プレートを上記柱に当接させ、上記分割ダイアフラム間の接合面を上記柱のコーナー部近傍に配置させ、上記各分割ダイアフラム間を、上記柱プレートから上記柱の柱面へ接触圧が作用するように接合部材を介して互いに締め付け固定することを特徴とする。
第2発明に係る柱と梁の接合方法は、第1発明において、上記固定ダイアフラムに、上記H形鋼梁の上記下フランジを取り付け、上記梁プレートを上記H形鋼梁の上フランジに取り付けるとともに、上記柱プレートを上記柱に当接させることを特徴とする。
第3発明に係る柱と梁の接合方法は、第1発明において、上記固定ダイアフラムに、上記梁プレートが予め上記上フランジに取り付けられた上記H形鋼梁の上記下フランジを取り付けることを特徴とする。
第4発明に係る柱と梁の接合方法は、柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法において、柱に予め溶接固定された固定ダイアフラムに、H形鋼梁の上フランジを取り付け、上記H形鋼梁の下フランジに設けられる上記外ダイアフラムを複数に分割した分割ダイアフラムの上記梁プレートの端部に設けられている柱プレートを上記柱に当接させ、上記分割ダイアフラム間の接合面を上記柱のコーナー部近傍に配置させ、上記各分割ダイアフラム間を、上記柱プレートから上記柱の柱面へ接触圧が作用するように接合部材を介して互いに締め付け固定することを特徴とする。
第5発明に係る柱と梁の接合方法は、第4発明において、上記固定ダイアフラムに、上記H形鋼梁の上記上フランジを取り付け、上記梁プレートを上記H形鋼梁の下フランジに取り付けるとともに、上記柱プレートを上記柱に当接させることを特徴とする。
第6発明に係る柱と梁の接合方法は、第4発明において、上記固定ダイアフラムに、上記梁プレートが予め上記下フランジに取り付けられた上記H形鋼梁の上記上フランジを取り付けることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、外ダイアフラムは、柱プレートと鋼管柱との間で互いに接触圧が作用していることにより、互いの接触面間で強い摩擦力を発揮させることができる。外ダイアフラムは、その重力により下方に落下しようとする力が作用するが、柱プレートと鋼管柱間の互いの接触面に強い接触圧が作用していることから、当該接触面間において重力に対する摩擦力を発揮させることが可能となる。その結果、外ダイアフラムは、重力等に基づいて落下するのを防止することが可能となる。特に、外ダイアフラムについて溶接を使用することなく鋼管柱に固定することができることから、固定ダイアフラムのみを鋼管柱に溶接するだけでよく、製作に伴う作業労力を軽減させることができる。また溶接部の品質維持に必要な人件費や検査装置等の各種機器のコストを低減でき、製作工期も短縮化できる。このため、消費エネルギーを低減させた施工を行うことができ、環境にやさしい接合方法とすることが可能となる。また、モルタル樹脂等の充填物を充填する工程も省略することもでき、製作労力、製作コストを低減することも可能となる。
また、本発明によれば、従来のダイアフラム工法のように、上フランジからの引張力と、下フランジからの引張力とが鋼管柱に作用するのではなく、鋼管柱に下フランジからの引張力のみが作用する。そして、接合構造は、上フランジ側において、鋼管柱と柱プレートとを単に当接させるのみに構成にすることで、引張力がこの梁プレート及び柱プレートを介して直接鋼管柱に作用させないようにし、一方でその分の引張力は他へと伝播することとなり、最終的に対面する分割ダイアフラムにおいて圧縮力へと変換可能とされている。このため、鋼管柱に作用する引張力の負担分を軽減させることが可能となり、その結果、鋼管柱に対して引張力が負荷されることによる塑性化を防止することが可能となる。
また、本発明によれば、柱プレートに対して引張力が作用することで、柱プレートから鋼管柱に対して元々負荷されていた接触圧が弱められることから、地震動により外ダイアフラムが上方や下方へずれようとするものの、固定ダイアフラムが鋼管柱に溶接部で溶接されるため、固定ダイアフラムが上方や下方へのずれを防止するずれ止めとして機能することとなる。即ち、鋼管柱に対して元々負荷されていた接触圧が弱められた場合であっても、外ダイアフラムが上方や下方にずれるのを防止することが可能となり、特に、H形鋼梁が脱落を防止することが可能となる。
更に本発明によれば、固定ダイアフラムが溶接固定された鋼管柱を現場に搬入して施工を行うため、現場施工の効率化を図ることも可能となる。さらに、予め工場等で鋼管柱に溶接固定された固定ダイアフラムにH形鋼梁を取り付けることで、H形鋼梁の取り付け高さを現場で調整する作業を省略することが可能となる。
また、本発明によれば、固定ダイアフラムに下フランジを取り付ける場合、固定ダイアフラムを予め鋼管柱に溶接しておくことで、H形鋼梁を固定ダイアフラムに載置した状態で、ボルト及びナットを介してこれらを取り付けることができるため、施工性を向上させることが可能となる。本発明によれば、現場で溶接作業を一切行うことなく施工を行うことが可能となり、その結果、短時間で施工を行うことが可能となる。そして、H形鋼梁の上方側から分割ダイアフラムを鋼管柱に取り付けることとなり、作業員がH形鋼梁の下方側で作業を行う必要がないため、安全に施工を行うことが可能となる。
本発明によれば、固定ダイアフラムに上フランジを取り付ける場合、鋼管柱の上フランジ側の周囲に分割ダイアフラムが設けられることなく、平板状の鋼板で構成される固定ダイアフラムが設けられるため、上フランジの上方側に床スラブに用いられるコンクリートを打設するとき、鋼管柱近傍での型枠設置作業を容易に行うことが可能となり、床スラブの収まりが容易となる。その結果、短時間で施工を行うことが可能となる。さらに、通常、柱とH形鋼梁とを接合する場合には、上フランジ側でその取り付け高さを決めることで、床スラブの高さを設計通りの高さに合わせることになる。本発明によれば、予め所定の高さに固定された固定ダイアフラムに上フランジを取り付けるため、上フランジの取り付け高さが設計通りに収まりやすくなり、その結果、床スラブの高さを設計通りの高さに合わせることが容易となる。
第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の斜視図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側面図である。 (a)は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の底面図であり、(b)は、その側面図である。 (a)は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の変形例の底面図であり、(b)は、その側面図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の平断面図である。 一の分割ダイアフラムの平面図である。 一の分割ダイアフラムの斜視図である。 分割ダイアフラムを組み合わせて一の外ダイアフラムを構成する例を示す図である。 本発明を適用した接合構造において、地震力が作用した場合にH形鋼梁に対して作用する曲げモーメントMを示す図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、固定ダイアフラムにH形鋼梁を取り付ける図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、鋼管柱に分割ダイアフラムを取り付ける図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、上フランジに予め分割ダイアフラムが取り付けられるH形鋼梁を固定ダイアフラムに取り付ける図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の斜視図であって、鋼管柱と柱プレートとの間に介装用フィラーが介装される例を示す図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、鋼管柱と柱プレートとの間に介装用フィラーが介装される例を示す図である。 鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、固定ダイアフラムに下フランジを取り付ける図である。 鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、分割ダイアフラムと鋼管柱との間に介装用フィラーを介装させる図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の一部を分解した斜視図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、固定ダイアフラムに下フランジを取り付ける図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、分割ダイアフラムを鋼管柱に取り付ける図である。 第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の一部を分解した斜視図である。 第2実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の斜視図である。 第2実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側面図である。 第2実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、固定ダイアフラムにH形鋼梁を取り付ける図である。 第2実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、鋼管柱に分割ダイアフラムを取り付ける図である。 第2実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造の側断面図であって、下フランジに予め分割ダイアフラムが取り付けられるH形鋼梁を固定ダイアフラムに取り付ける図である。
以下、本発明を適用した鋼管柱と梁の接合構造について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10の斜視図であり、図2は、その側面図を示している。
本発明を適用した鋼管柱と梁の接合構造10では、外ダイアフラム1により、鋼管柱5における柱面へH形鋼梁3を直交させて配置するものである。但し、これに限定されるものではなく、鋼管柱5における柱面に対して上下方向又は左右方向に向けてH形鋼梁3を傾斜させて配置するようにしてもよい。
鋼管柱5は、断面矩形状で所定の板厚からなる鋼管を、建築構造物用の柱体として適用したものである。この鋼管柱5は、大地震による大きな揺れにおいても建築構造物自体の自重を支えつつ、その倒壊や崩落を防ぐ役割を担う。なお、以下の実施の形態では、この鋼管柱5として断面正方形、断面長方形等のような矩形断面である場合を例にとり説明する。鋼管柱5におけるコーナー部5aは、円弧状とされていてもよいし、ほぼ直角でもよい。
鋼管柱5は、ガス切断等により下側の鋼管柱5−1と、上側の鋼管柱5−2とに切断され、下側の鋼管柱5−1と、上側の鋼管柱5−2との間に固定ダイアフラム72が介在される。
なお、図1において、鋼管柱5は、下側の鋼管柱5−1と、上側の鋼管柱5−2とが同一径に形成される形態を図示しているが、下側の鋼管柱5−1と、上側の鋼管柱5−2とが異なる径を有するものであってもよい。このとき、下側の鋼管柱5−1の径が、上側の鋼管柱5−2の径よりも大きくてもよいし、下側の鋼管柱5−1の径が、上側の鋼管柱5−2の径よりも小さくてもよい。
H形鋼梁3は、鋼管柱5とともに、建築構造物の骨組を形造るものであって、ウェブ32の上端に設けられた上フランジ31と、ウェブ32の下端に設けられた下フランジ33とを有するH形鋼からなる。H形鋼梁3は、鋼管柱5の柱面に対して直交するようにして外ダイアフラム1を介して取り付けられる。図1の例では、あくまで鋼管柱5に対して4本のH形鋼梁を互いに90°間隔で配設する場合について示しているがこれに限定されるものでは無い。なお、このH形鋼梁3は、後述するように大地震等の大応力作用時においても鋼管柱5よりも先に降伏させることで塑性化させ、ひいては鋼管柱5の塑性化を防止し、又は低減させることで、建築構造物の倒壊を防ぐように作用する。また、H形鋼梁3は、上フランジ31の上方側にコンクリート等が打設されることで図示しない床スラブが設けられることとなる。
図3(a)は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10の底面図を示し、図3(b)は、その側断面図を示す。固定ダイアフラム72は、外形が十字状に形成された1枚の鋼板が用いられる、いわゆる通しダイアフラムである。固定ダイアフラム72は、下側の鋼管柱5−1と上側の鋼管柱5−2との間に介在され、鋼管柱5の内部に貫通された状態となっている。固定ダイアフラム72は、図3(b)に示すように、下面に下側の鋼管柱5−1の柱面の全周に亘って溶接された溶接部72aが形成されるとともに、上面に上側の鋼管柱5−2の柱面の全周に亘って溶接された溶接部72aが形成される。固定ダイアフラム72は、下フランジ33にボルト41及びナット42を介して取り付けられる。
図4(a)は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10の変形例の底面図を示し、図4(b)は、その側断面図を示す。固定ダイアフラム72は、4枚の鋼板が組み合わせられ、鋼管柱5を囲むようにして配置されてもよい。固定ダイアフラム72は、切断されていない1本の鋼管柱5を囲むように配置される。この固定ダイアフラム72は、内側に鋼管柱5の柱面に沿って溶接された溶接部72aが形成される。固定ダイアフラム72は、下フランジ33にボルト41及びナット42を介して取り付けられ、隣接する下フランジ33同士を連結するものとなる。
図5は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10の平断面図を示す。外ダイアフラム1は、上フランジ31の上方側から取り付けられ、複数の分割ダイアフラム2を組み合わせることにより構成される。即ち平面視において、この外ダイアフラム1は、分割ダイアフラム2により鋼管柱5の周囲を囲むようにして配置される。この外ダイアフラム1は、鋼、ステンレス鋼、鋳鋼、球状黒鉛鋳鉄等を使用する場合を前提としているが、これに限定されるものではなく、鋼以外にアルミニウム合金等、他のいかなる金属を使用するようにしてもよい。
また、分割ダイアフラムは、厳密な溶接品質管理がなされた工場溶接組立製品とすることが可能である。
分割ダイアフラム2は、互いに組み合わせることで一つの外ダイアフラム1としての機能を奏するものである。本実施の形態において、この分割ダイアフラム2は、外ダイアフラム1を均等に4分割した構成とされているが、これに限定されるものではなく、複数であればいかなる数で分割されるものであってもよい。また互いに均等に分割された形状に限定されるものではなく、複数であれば不均等に分割された形状を組み合わせることで一つの外ダイアフラム1を構成するものであってもよい。
図6は、一の分割ダイアフラム2の平面図であり、図7はその斜視図である。分割ダイアフラム2は、H形鋼梁3における上フランジ31に添接される梁プレート22と、鋼管柱に当接される柱プレート23とを有している。
梁プレート22は、H形鋼梁3における上フランジ31とボルト接合をするためのボルト孔127が予め穿設されている。この梁プレート22は、H形鋼梁3の長手方向をCとしたときに、ボルト孔127は、長手方向Cや幅方向に沿って複数個に亘り設けられている。
梁プレート22は、直線状の前端部22aと、この前端部22aから円弧状に拡径された側端部22bとを有している。この側端部22bには、上方及び/又は下方に向けて凸状に形成された図示しないリブが形成されていてもよい。梁プレート22における前端部22aのW方向の幅は、H形鋼梁3の上フランジ31又は下フランジ33のW方向の幅と略同一とされていてもよい。いずれの場合においても、一枚の梁プレート22は、H形鋼梁3における一の上フランジ31のみと接合可能なサイズとされている。換言すれば、一の上フランジ31に対して互いに隣接する2以上の分割ダイアフラム2における梁プレートが接合されることは無い。なお、梁プレート22における側端部22bは、前端部22aから円弧状に拡径されている場合に限定されるものではなく、他のいかなる拡径形状とされていてもよい。
また梁プレート22における上フランジ31との添接面は、必要に応じて高摩擦係数化処理が施される。この高摩擦係数化処理では、ブラスト処理、無機ジンクリッチ塗装処理等の塗装処理、金属溶射処理、ローレット或いは切削等による凹凸加工処理等が適宜選択される。或いは、梁プレート22と上フランジ31との間に高摩擦係数化処理された薄板金属板を挿入するようにしてもよい。
このような梁プレート22は、平面視で互いに90°の間隔で配置される各H形鋼梁3毎に取り付けられるものである。
柱プレート23は、梁プレート22におけるC方向端部に設けられている。柱プレート23のW方向の幅は、梁プレート22の前端部22aにおけるW方向の幅よりも広く構成されている。換言すれば、梁プレート22は、前端部22aから徐々に拡径されて柱プレート23に到達することとなる。柱プレート23のプレート面は、梁プレート22のプレート面に対して互いに垂直となる方向に延設されている。柱プレート23のW方向の幅は、鋼管柱5における各柱面の幅とほぼ同一、又は鋼管柱5における各柱面の幅より広く構成されている。また、この柱プレート23は、図7に示すように梁プレート22の端部から上方に延設された上部柱プレート部23aと、梁プレート22の端部から下方に延設された下部柱プレート部23bとを有するものとされていてもよい。柱プレート23は、鋼管柱5の表面に添わせて当接させて固定可能とされている。柱プレート23は、上部柱プレート部23aと、下部柱プレート部23bとの何れか一方のみで構成されていてもよい。
また柱プレート23は、鋼管柱5への当接面において、必要に応じて高摩擦係数化処理が施されていてもよい。この高摩擦係数化処理は、ブラスト処理、無機ジンクリッチ塗装処理等の塗装処理、金属溶射処理、ローレット或いは切削等による凹凸加工処理等が適宜選択される。
柱プレート23の両端部には、引張接合部21が設けられている。鋼板を使用して分割ダイアフラム2を形成する場合は、この柱プレート23と引張接合部21は互いに一体化されている鋼板を折り曲げ加工することにより形成されていてもよいし、互いに別個の鋼板を溶接等を介してに接合するようにしてもよい。この引張接合部21は、平面視で柱プレート23の延長方向(W方向)から平面視で略45°方向に折り曲げた方向へ延長されている。この引張接合部21には、前端部22aから徐々に拡径されてきた梁プレート22が下側から連続することとなる。この引張接合部21は、梁プレート22から上方に延設された上部引張接合部21aと、梁プレート22から下方に延設された下部引張接合部21bとを有するものとされていてもよい。これら引張接合部21は、貫通したボルト孔126が設けられている。このボルト孔126は、引張接合部21を上部引張接合部21a及び下部引張接合部21bとにより構成する場合において、それぞれの上部引張接合部21a及び下部引張接合部21b毎に設けられていてもよい。
なお、引張接合部21は、柱プレート23とその板厚が異なるものであってもよいし、また上方向、下方向への延長長さが異なるものであってもよい。
ちなみに、この柱プレート23の面は、梁プレート22の面に対してほぼ垂直とされている。このとき柱プレート23と梁プレート22との接合部分における隅部が略垂直となっている場合には、当該隅部に応力が集中してしまう。この隅部における応力集中を避ける観点から、当該隅部にRを設けるようにしてもよい。
上述の如き構成からなる分割ダイアフラム2を組み合わせて一の外ダイアフラム1を構成する場合、例えば図8に示すように、鋼管柱5の周囲に4枚の分割ダイアフラム2を配置させる。このとき、鋼管柱5の柱面に、分割ダイアフラム2の柱プレート23を当接させる。上述したように、柱プレート23のW方向の幅は、鋼管柱5における各柱面の幅とほぼ同一とされているため、ちょうど鋼管柱5の各柱面には、一の分割ダイアフラム2における柱プレート23のみが当接される状態となる。その結果、鋼管柱5の一の柱面に2以上の分割ダイアフラム2の柱プレート23が当接されることはなくなる。
また隣接する分割ダイアフラム2間の接合面としての引張接合部21が、鋼管柱5のコーナー部5a近傍に位置するよう構成されている。
引張接合部21は、上述したように柱プレート23のW方向の両端に形成されている。柱プレート23のW方向の幅は、鋼管柱5における各柱面の幅とほぼ同一とされているため、柱プレート23のW方向の両端に位置する引張接合部21は、鋼管柱5のコーナー部5a近傍に位置することとなる。
また各引張接合部21は、平面視で柱プレート23の延長方向(W方向)から平面視で略45°方向に折り曲げた方向へ延長されているため、隣接する分割ダイアフラム2間の引張接合部21は、互いにほぼ平行となる。
この当接段階においては、互いに隣接する分割ダイアフラム2における引張接合部21間は、互いに間隔が形成される状態にある。本発明においては、少なくとも間隔e(e1、e2、e3、e4)がe≧0を満たすように設計される。
隣接する分割ダイアフラム2間の接合は、互いに平行に位置する引張接合部21に形成されたボルト孔126にボルト25を挿通させ、ボルト25のネジ部分をナット26により締め付け固定する。このボルト25、ナット26による締め付けを行うことにより、隣接する分割ダイアフラム2は、引張接合部21を介して徐々に近接していくこととなる。そして、ボルト25、ナット26間で完全に締め付けが終わる段階で、隣接する分割ダイアフラム2における互いの引張接合部21が接触又は近接することとなり、上述したeが縮減することとなる。このとき、eが縮減するものであれば、eは0であることは勿論であるが、e>0とされていることで、分割ダイアフラム2が互いに非接触とされていてもよい。
外ダイアフラム1とH形鋼梁3とを取り付ける際には、分割ダイアフラム2における梁プレート22に穿設されたボルト孔127にボルト41を挿通させる。このとき、この梁プレート22と添設すべき上フランジ31において図示しないボルト孔が予め形成されており、これらとボルト孔127とを合わせ込んでボルト41を挿通させる。また、上フランジ31から突出されたボルト41のねじ部分にナット42を螺着させ締め付ける。これにより、梁プレート22と、H形鋼梁3における上フランジ31とは互いに強固に取り付け固定される。また、分割ダイアフラム2とH形鋼梁3とをこのようなボルト接合で行う場合以外に、梁プレート22の端部と、H形鋼梁3における上フランジ31の端部とを突き合わせて溶接することで固定するようにしてもよい。また、梁プレート22と上フランジ31とを互いに重ね合わせて隅肉溶接により固着させるようにしてもよいし、他のいかなる接合手段により代替させるようにしてもよい。
このように柱と梁の接合構造10は、分割ダイアフラム2間の接合を、すべてボルトを始めとした、いわゆる機械的な接合部材のみに基づいて行う。ちなみに、このボルト25、41による接合の代替としては、他のいかなる接合部材を用いるようにしてもよい。
このようにして分割ダイアフラム2間の間隔eを減らすようにし、最終的にeが略0となるように接合を行うことにより、分割ダイアフラム2を構成する外ダイアフラム1から鋼管柱5に向けた押し込み力が作用することとなる。この押し込み力は、分割ダイアフラム2における柱プレート23から鋼管柱5における柱面へと伝達されることとなる。その結果、この柱プレート23と鋼管柱5との間で互いに接触圧が作用していることにより、互いの接触面間で強い摩擦力を発揮させることができる。外ダイアフラム1は、その重力により下方に落下しようとする力が作用するが、柱プレート23と鋼管柱5間の互いの接触面に強い接触圧が作用していることから、当該接触面間において重力に対する摩擦力を発揮させることが可能となる。その結果、外ダイアフラム1は、重力等に基づいて落下するのを防止することが可能となる。特に、上フランジ31に取り付けられる外ダイアフラム1について溶接を使用することなく鋼管柱5に固定することができることから、下フランジ33に取り付けられる固定ダイアフラム72のみを鋼管柱5に溶接するだけでよく、製作に伴う作業労力を軽減させることができる。また溶接部の品質維持に必要な人件費や検査装置等の各種機器のコストを低減でき、製作工期も短縮化できる。このため、消費エネルギーを低減させた施工を行うことができ、環境にやさしい接合方法とすることが可能となる。
また、本実施例によれば、従来の通しダイアフラム工法のようにH形鋼梁の上フランジ側と下フランジ側との2か所で鋼管柱を切断することなく、下フランジ33側の1箇所のみ鋼管柱を切断するだけでよいため、切断作業を軽減することが可能となる。その結果、切断作業の軽減に基づく施工コストの低減を図ることができ、施工工期も短縮することが可能となる。また、溶接を削減した構成としているため、接合構造10の安定した品質を確保することが容易となる。
上述の如き構成からなる柱と梁の接合構造10において、地震力が作用した場合、図9に示すようにH形鋼梁3に対して曲げモーメントMが作用する。このような曲げモーメントMがH形鋼梁3に作用した場合には、これがフランジ31、33の軸力に変換され、この軸力がフランジ31、33中を伝搬していく。フランジ31、33中を伝搬する軸力は、曲げモーメントの向きに応じて、接合構造10において引張力Tと圧縮力Pとが作用することとなる。
上述のような曲げモーメントMが作用して、上フランジ31に引張力が作用している場合には、下フランジ33には圧縮力が作用することになる。また上フランジ31に圧縮力が作用している場合には、下フランジ33には引張力が作用することとなる。
接合構造10において軸力に基づく引張力Tが下フランジ33に作用する場合には、下フランジ33からの引張力Tが固定ダイアフラム72に伝達される。固定ダイアフラム72が溶接部72aで鋼管柱5に溶接されていることから、固定ダイアフラム72が引張力Tの方向に引っ張られることで、鋼管柱5も当該方向に引っ張られる。
一方、接合構造10において軸力に基づく引張力Tが上フランジ31に作用する場合には、H形鋼梁3における上フランジ31を介して分割ダイアフラム2における梁プレート22に伝達される。上フランジ31からの引張力Tは、梁プレート22が引張力Tの方向に引っ張られる結果、これに連結されている柱プレート23も当該方向に引っ張られる。その結果、柱プレート23から鋼管柱5に対して元々負荷されていた接触圧Fが弱められることとなる。
また、分割ダイアフラム2における梁プレート22に伝達された引張力Tは、柱プレート23及び引張接合部21を介して隣接する他の分割ダイアフラム2へ伝達される。そして、当初の引張力Tが伝達されてきた梁プレート22に設けられている柱プレート23と鋼管柱5を介して対面する他の柱プレート23を有する分割ダイアフラム2までこれを伝達させる。即ち、分割ダイアフラム2における梁プレート22に伝達された引張力Tは、鋼管柱5を迂回するように伝達される。
このとき、梁プレート22は、前端部22aから徐々に拡径されてRが設けられて柱プレート23に到達する形状とされている。特に平面視で確認しても、鋼管柱5の周囲に展開される梁プレート22の幅が広くなり、鋼管柱5を迂回する引張力Tの伝達経路をより広くすることが可能となり、スムーズな応力伝達が可能となる。その結果、鋼管柱5を迂回する引張力Tが伝達する経路が局所的に狭くなったり急激に折れ曲がることもなくなることから、応力集中を小さく抑えられる。その結果、接合構造10自体の構造的な安定性を確保することが可能となる。
当初の引張力Tが伝達されてきた梁プレート22に設けられている柱プレート23と鋼管柱5を介して対面する柱プレート23は、この伝達されてきた応力に基づいて圧縮力Ccが鋼管柱5に向けて作用することとなる。この圧縮力Ccは、梁プレート22から伝達されてきた引張力Tと同一方向であり、受けた柱プレート23から鋼管柱5に向けて作用することとなる。即ち、引張力Tは、対面する柱プレート23から鋼管柱5へ作用する圧縮力Ccへと変換されることとなる。対面する柱プレート23から鋼管柱5に対しては、上述した接合部材による締め付けに基づく接触圧が元々作用しているが、これに加えて更に圧縮力Ccが加わることとなる。
このように接合構造10は、従来のダイアフラム工法のように、上フランジからの引張力と、下フランジからの引張力とが鋼管柱に作用するのではなく、鋼管柱5に下フランジ33からの引張力Tのみが作用する。そして、接合構造10は、上フランジ31側において、鋼管柱5と柱プレート23とを単に当接させるのみに構成にすることで、引張力Tがこの梁プレート22及び柱プレート23を介して直接鋼管柱5に作用させないようにし、一方でその分の引張力Tは他へと伝播することとなり、最終的に対面する分割ダイアフラム2において圧縮力Ccへと変換可能とされている。このため、鋼管柱5に作用する引張力Tの負担分を軽減させることが可能となり、その結果、鋼管柱5に対して引張力が負荷されることによる塑性化を防止することが可能となる。
また鋼管柱5の塑性変形を防止する一方で、引張力が負荷されるH形鋼梁3を先に塑性化させることで、建築構造物の倒壊を防止することが可能となる。このため、鋼管柱5の塑性変形を防止するために、鋼管柱5の板厚を厚くする必要も無くなり、鋼材の材料コストの低減にもつながる。
本実施例では、図9に示すように柱プレート23に対して引張力Tが作用することで、柱プレート23から鋼管柱5に対して元々負荷されていた接触圧Fが弱められることから、地震動により外ダイアフラム1が上方や下方へずれようとするものの、固定ダイアフラム72が鋼管柱5に溶接部72aで溶接されるため、固定ダイアフラム72が上方や下方へのずれを防止するずれ止めとして機能することとなる。即ち、鋼管柱5に対して元々負荷されていた接触圧Fが弱められた場合であっても、外ダイアフラム1が上方や下方にずれるのを防止することが可能となり、特に、H形鋼梁3が脱落を防止することが可能となる。
また、接合構造10において軸力に基づく圧縮力Pが下フランジ33に作用する場合には、下フランジ33からの圧縮力Pが固定ダイアフラム72に伝達される。固定ダイアフラム72が溶接部72aで鋼管柱5に溶接されていることから、固定ダイアフラム72が図中の圧縮力Pのベクトル方向に押圧される結果、これに溶接固定されている鋼管柱5が当該方向に押圧される。
一方、接合構造10において軸力に基づく圧縮力Pが上フランジ31作用する場合には、先ずH形鋼梁3における上フランジ31を介して分割ダイアフラム2における梁プレート22に伝達される。上フランジ31からの圧縮力Pは、梁プレート22が図中の圧縮力Pのベクトル方向に押圧される結果、これに連結されている柱プレート23も当該方向に押圧される。柱プレート23から鋼管柱5に対しては、上述した接合部材による締め付けに基づく接触圧Fが元々作用しているが、これに加えて更に圧縮力Pが加わることとなる。
このように接合構造10は、下フランジ33側及び上フランジ31側に圧縮力Pが作用した場合において、鋼管柱5に対して引張力として伝達するのではなく、圧縮力としてこれを伝達することが可能となる。このため、H形鋼梁3が地震力に基づいて何れの方向の曲げモーメントMが負荷された軸力に基づく圧縮力Pが作用した場合において、鋼管柱5に対してこれを圧縮力として伝達することができる。
本実施例においては鋼管柱5に対して圧縮力を作用させる場合、圧縮力が負荷される鋼管柱5は、特に接合部において大きな面外変形することなく略弾性変形域内に留まるものとなる。
更に本実施例によれば、引張接合部21について、平面視で柱プレート23の延長方向(W方向)から平面視で略45°方向に折り曲げた方向へ延長されている。このため、H形鋼梁3における上フランジ31の端部を鋼管柱5に近接させた場合においても、上フランジ31は引張接合部21に対して離間しており、互いに干渉することが無くなる。同様に、互いに当接させた引張接合部21間を締結するボルト25及びナット26等の接合部材も鋼管柱5に近接させた上フランジ31に対して離間しており、互いに干渉することが無くなる。
このため、本実施例によれば、H形鋼梁3を鋼管柱5の柱面に対してより近接させることが可能となる。このH形鋼梁3を鋼管柱5の柱面に対してより近くまで近接させることにより、図9に示すH形鋼梁3の曲げモーメントに基づいて外ダイアフラム1に作用する荷重を低減することができる。その結果、外ダイアフラム1を構成する各プレートの板厚を薄肉化することができるため設計の自由度が増大し、ひいては外ダイアフラム1の部材としての製作コストを低く抑えることが可能となる。
これに加えて、H形鋼梁3を鋼管柱5の柱面に対してより近接させることにより、図5に示すような鋼管柱5から最も離間しているボルト41a(いわゆる第1ボルト)を、より鋼管柱5に近接させる設計をすることも可能となり、ひいては梁プレート22の設計の自由度を向上させることが可能となる。
更に本発明によれば、ボルト25、ナット26間において、いわゆる高力ボルト引張接合を行うようにしてもよい。これにより、上述した引張力Tが負荷された結果、このボルト25、ナット26に引張力が負荷された場合においても、これらを吸収することができ、分割ダイアフラム2が変位してしまうのを防止することが可能となる。
このように本発明によれば、溶接接合の箇所を削減してボルト接合により組み立てを行うことが可能となることで、高力ボルト接合を組み合わせ、各所に発生する力を吸収させることができ、ひいては地震等に対する接合構造10全体の耐力を向上させることが可能となる。
また、第1実施形態に係る接合構造10は、角形鋼管からなる鋼管柱5に対して外ダイアフラム1を取り付ける場合を例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、鉄筋コンクリート造の柱に対しても同様に適用可能であることは勿論である。かかる場合においても、分割ダイアフラム2における柱プレート23を柱に対して同様に当接させ、その柱プレート23から柱に対して接触圧を負荷することで同様の機能を奏することとなる。
さらに本発明は、鋼管柱5の代替として、コンクリート充填鋼管造(CFT)にも適用可能である。
次に、第1実施形態に係る柱と梁の接合方法について説明する。
先ず、図10に示すように、1本の鋼管柱5を下側の鋼管柱5−1と上側の鋼管柱5−2とにガス切断等で切断し、下側の鋼管柱5−1と上側の鋼管柱5−2との間に介在させた固定ダイアフラム72を工場等で溶接固定する。そして、固定ダイアフラム72が溶接固定された鋼管柱5を現場に搬入し、鋼管柱5を間隔を空けてそれぞれ立設する。鋼管柱5を立設したとき、それぞれの鋼管柱5に溶接固定された固定ダイアフラム72の取り付け高さが略同一とされている。
次に、固定ダイアフラム72にH形鋼梁3における下フランジ33を載置し、これらを取り付ける。このとき、固定ダイアフラム72のボルト孔172と下フランジ33のボルト孔133とを位置合わせした上で、ボルト41を挿通し、ナット42を締結することにより、固定ダイアフラム72に下フランジ33を取り付ける。固定ダイアフラム72に下フランジ33を取り付けたとき、鋼管柱5の柱面と、H形鋼梁3との間には、隙間Sが形成される。
次に、図11に示すように、分割ダイアフラム2における梁プレート22をH形鋼梁3の上フランジ31に取り付けるとともに、柱プレート23を鋼管柱5に当接させる。このとき、柱プレート23の下方側を隙間Sに滑り込ませ、梁プレート22を上フランジ31に載置する。その後、梁プレート22のボルト孔127と上フランジ31のボルト孔133とを位置合わせした上で、ボルト41を挿通し、ナット42を締結することにより、梁プレート22を上フランジ31に取り付ける。そして、分割ダイアフラム2間のそれぞれの引張接合部21を鋼管柱5のコーナー部近傍に配置させ、分割ダイアフラム2間を、柱プレート23から鋼管柱5の柱面へ接触圧が作用するようにボルト25及びナット26を介して互いに締め付け固定して、鋼管柱5とH形鋼梁3の接合が完了する。
このような柱と梁の接合方法によれば、固定ダイアフラム72が溶接固定された鋼管柱5を現場に搬入して施工を行うため、現場施工の効率化を図ることも可能となる。このような柱と梁の接合方法によれば、予め工場等で鋼管柱5に溶接固定された固定ダイアフラム72にH形鋼梁3を取り付けることで、H形鋼梁3の取り付け高さを現場で調整する作業を省略することが可能となる。また、このような柱と梁の接合方法によれば、固定ダイアフラム72を予め鋼管柱5に溶接しておくことで、H形鋼梁3を固定ダイアフラム72に載置した状態で、ボルト41及びナット42を介してこれらを取り付けることができるため、施工性を向上させることが可能となる。このような柱と梁の接合方法によれば、現場で溶接作業を一切行うことなく施工を行うことが可能となり、その結果、短時間で施工を行うことが可能となる。さらに、このような柱と梁の接合方法によれば、下フランジ33側を鋼管柱5に取り付けた後に、上フランジ31側を鋼管柱5に取り付けることとなる。即ち、H形鋼梁3の上方側から分割ダイアフラム2を鋼管柱5に取り付けることとなり、作業員がH形鋼梁3の下方側で作業を行う必要がないため、安全に施工を行うことが可能となる。
なお、上述した柱と梁の接合方法では、固定ダイアフラム72に下フランジ33を取り付けた後に、上フランジ31に分割ダイアフラム2における梁プレート22を取り付ける例を説明したが、図12に示すように、H形鋼梁3の上フランジ31に予め分割ダイアフラム2における梁プレート22を取り付けておき、このH形鋼梁3の下フランジ33を、固定ダイアフラム72に取り付けてもよい。その後、この柱と梁の接合方法では、鋼管柱5に分割ダイアフラム2を取り付ける。この柱と梁の接合方法によれば、予めH形鋼梁3に分割ダイアフラム2が取り付けられているため、鋼管柱5に固定された状態のH形鋼梁3に分割ダイアフラム2を取り付ける作業を行う必要がなく、作業の効率化を図ることができるとともに、分割ダイアフラム2がH形鋼梁3から落下する虞もなくなり、より安全に作業を行うことが可能となる。
図13は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10´の斜視図であって、鋼管柱5と柱プレートとの間に介装用フィラー81が介装される例を示す図である。
この接合構造10´では、柱プレート23と、鋼管柱5との間に介装用フィラー81を介装させる。その結果、柱プレート23は鋼管柱5と直接的に当接するのではなく、あくまでこの柱プレート23が鋼管柱5と対面する状態となる。そして、この柱プレート23は、この介装される介装用フィラー81を介して鋼管柱5に連続することとなる。
この接合構造10´では、断面略矩形状の鋼管柱5を構成する4面について、柱プレート23との間に介装用フィラー81を介装させる例である。各介装用フィラー81は、互いに板厚が異なるものであってもよい。但し、接合構造10´において、鋼管柱5を構成する4面全てについて柱プレート23との間に介装用フィラー81を介装させる場合に限定されるものではなく、断面略矩形状の鋼管柱5を構成する4面の何れか1以上において柱プレート23との間に介装用フィラー81を介装させるものであればよい。即ち、鋼管柱5と柱プレート23との間に介装用フィラー81が介装されているものと、鋼管柱5に対して柱プレート23が直接的に当接されているものが混在してもよい。鋼管柱5と柱プレート23との間でいかなる面間にて介装用フィラー81を介装させ、いかなる面間にてこれらを互いに当接させるかは、事前に鋼管柱5と柱プレート23との間で隙間が空いている箇所を判別し、その判別結果に基づいてその都度決定するようにしてもよい。
図14は、この第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10´の側断面図を示している。図14(a)は、介装用フィラー81を板厚が均一化された平板で構成する例を示している。図14(b)は、介装用フィラー81を上下方向に向けて板厚が徐々に薄くなるように形成した例を示している。即ち、この介装用フィラー81において斜めに傾斜した第1傾斜面81aを形成した例である。この介装用フィラー81において鋼管柱5に接触する面ではなく、むしろ柱プレート23が接触する面がテーパー状とされた第1傾斜面81aとされていることが望ましい。このような上から下に向けて板厚が徐々に薄くなるテーパー面を形成させた介装用フィラー81を鋼管柱5と柱プレート23との隙間に介装させることにより、これを楔状に打ち込んで固定することができる。このため、介装用フィラー81が鋼管柱5と柱プレート23との間をすり抜けて落下してしまうのを防止することができる。しかも、介装用フィラー81の落下を防止できることで、鋼管柱5と柱プレート23との間に必ず介装用フィラー81が介装されている状態を作り出すことができ、鋼管柱5と柱プレート23との間に隙間が形成されたままになるのを防止でき、後述する効果を確実に奏する構成とすることが可能となる。
図14(c)は、介装用フィラー81の上端において、係止片82を設けた例である。この係止片82は、介装用フィラー81の面内方向に対して外側に向けて突出された突出片として構成されていてもよい。この係止片82を柱プレート23の上端に係止させることで、介装用フィラー81が鋼管柱5と柱プレート23との間をすり抜けて落下してしまうのを防止することができる。しかも、介装用フィラー81の落下を防止できることで、鋼管柱5と柱プレート23との間に必ず介装用フィラー81が介装されている状態を作り出すことができ、鋼管柱5と柱プレート23との間に隙間が形成されたままになるのを防止できる。
次に、上述した形態に係る接合方法について説明する。
図15は、鋼管柱と梁の接合構造10´の側断面図であって、固定ダイアフラム71に下フランジ33を取り付ける図である。図16は、鋼管柱と梁の接合構造10´の側断面図であって、分割ダイアフラム2と鋼管柱5との間に介装用フィラー81を介装させる図である。
先ず、固定ダイアフラム72に、H形鋼梁3における下フランジ33を取り付ける。このとき、H形鋼梁3における上フランジ31に予め分割ダイアフラム2における梁プレート22を取り付けておいてもよいし、固定ダイアフラム72と、下フランジ33との取り付けの後に、梁プレート22と上フランジ31とを取り付けてもよい。また、鋼管柱5の柱面と、上フランジ31に取り付けられた分割ダイアフラム2の柱プレート23との間には、隙間S´が形成される。
次に、図16に示すように、柱プレート23と鋼管柱5との隙間S´に介装用フィラー81を介装する。そして、隣接する分割ダイアフラム2間のそれぞれの引張接合部21を鋼管柱5のコーナー部近傍に配置することにより、鋼管柱5の各柱面には、柱プレート23が介装用フィラー81を介して対面するようにし、各分割ダイアフラム2間を、柱プレート23から鋼管柱5の柱面へ接触圧が介装用フィラー81を介して作用するようにボルト25及びナット26とを介して互いに締め付け固定して、鋼管柱5とH形鋼梁3との接合が完了する。
このような柱と梁の接合方法によれば、柱プレート23と鋼管柱5との隙間S´に介装用フィラー81を介装することで、隙間S´が埋められることとなり、分割ダイアフラム2の製作時の寸法誤差が生じた場合においても、外ダイアフラム1が鋼管柱5に対して落下することなく、所期の作用効果を奏するものとなる。また、固定ダイアフラム72に下フランジ33を取り付ける前に、上フランジ31に予め分割ダイアフラム2がボルト孔131に挿通されたボルト41により取り付けられていた場合には、鋼管柱5とH形鋼梁3との接合の際に分割ダイアフラム2が落下するのを防止することが可能となる。また、特に、上フランジ31に予め分割ダイアフラム2が取り付けられていた場合であっても、鋼管柱5と柱プレート23との隙間S´が形成されることで、この隙間S´がいわば施工上のクリアランスとして機能するものとなり、H形鋼梁3に取り付けられた分割ダイアフラム2が2本の鋼管柱5に接触することなく、確実に2本の鋼管柱5間にH形鋼梁3を設置することが可能となる。
図17は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10´の一部を分解した斜視図である。
この接合構造10´では、梁プレート22に、円形のボルト孔127aと、H形鋼梁3の長手方向に向けて伸びる長孔とされるボルト孔127bとを有する。この長孔とされるボルト孔127bには、H形鋼梁3におけるボルト孔133が位置合わせされ、これら位置合わせされたボルト孔127bとボルト孔133とにボルト41が挿通され、ナット42が締結されている。これにより、分割ダイアフラム2は、H形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能にH形鋼梁3における上フランジ31に取り付けられるものとなる。
この接合構造10´では、梁プレート22のボルト孔127bに挿通されたボルト41が鋼管柱5の柱面から遠い側に挿通され、上フランジ31に取り付けられている。このとき、上フランジ31のボルト孔133と梁プレート22のボルト孔127aとは、位置がずれておりボルト41を挿通できないものとされ、また柱プレート23と鋼管柱5の柱面との間には隙間が設けられている。そして、H形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能に取り付けられた分割ダイアフラム2の梁プレート22をH形鋼梁3の長手方向に向けてスライドさせ、鋼管柱5の柱面に、柱プレート23を当接させる。隣接する分割ダイアフラム2間の接合は、上述した分割ダイアフラム間の接合と同様、互いに平行に位置する引張接合部21にボルト25を挿通し、ナット26により締め付け固定する。ボルト41が挿通されていない梁プレート22のボルト孔127aは、鋼管柱5の柱面に向けてスライドさせることによって、上フランジ33のボルト孔131に位置合わせされることとなり、これら位置合わせされたボルト孔131と梁プレート22のボルト孔127aとに、ボルト41を挿通し、ナット42を締結する。
この接合構造10´によれば、分割ダイアフラム2がH形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能にH形鋼梁3における上フランジ31に取り付けられることによって、柱プレート23と鋼管柱5の柱面との間に隙間を設けることが可能となり、その結果、H形鋼梁3が固定ダイアフラム72に固定された状態で分割ダイアフラム2を鋼管柱5に固定することが可能となる。
次に、上述した形態に係る柱と梁の接合方法について説明する。
図18は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10´の側断面図であって、固定ダイアフラム72に下フランジ33を取り付ける図である。図19は、第1実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10´の側断面図であって、分割ダイアフラム2を鋼管柱5に取り付ける図である。
先ず、固定ダイアフラム72に、H形鋼梁3における下フランジ33を取り付ける。このとき、H形鋼梁3における上フランジ31に予め分割ダイアフラム2における梁プレート22を取り付けておいてもよいし、固定ダイアフラム72と、下フランジ33との取り付けの後に、梁プレート22と上フランジ31とを取り付けてもよい。いずれにせよ、梁プレート22のボルト孔127bと、上フランジ31のボルト孔131とにボルト41を挿通し、ナット42を締結することで、上フランジ31に梁プレート22を取り付ける。これにより、H形鋼梁3の上フランジ31に梁プレート22が仮止めされた状態となり、分割ダイアフラム2は、H形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能にH形鋼梁3における上フランジ31に取り付けられていることとなる。このとき、鋼管柱5の柱面と、上フランジ31に仮止めした状態で取り付けられた分割ダイアフラム2の柱プレート23との間には、隙間S´が形成される。
次に、図19に示すように、H形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能に取り付けられた分割ダイアフラム2の梁プレート22をH形鋼梁3の長手方向に向けてスライドさせ、鋼管柱5の柱面に、柱プレート23を当接させる。柱プレート23を鋼管柱5の柱面に当節させる際には、梁プレート22と上フランジ31とを仮止めしていたボルト41を若干緩め、ラチェットレンチ等の取手部分をてこにして、分割ダイアフラム2における梁プレート22をスライドさせる。そして、隣接する分割ダイアフラム2間のそれぞれの引張接合部21を鋼管柱5のコーナー部近傍に配置することにより、鋼管柱5の各柱面には、柱プレート23のみが当接するようにし、各分割ダイアフラム2間を、柱プレート23から鋼管柱5の柱面へ接触圧が作用するようにボルト25及びナット26とを介して互いに締め付け固定する。このとき、梁プレート22をスライドさせることにより、梁プレート22のボルト孔127aが上フランジ31のボルト孔131に位置合わせされることとなり、これらにボルト41を挿通し、ナット42を締結して、鋼管柱5とH形鋼梁3との接合が完了する。
このような柱と梁の接合方法によれば、上フランジ31と分割ダイアフラム2との仮止めに用いたボルト41、即ち、長孔とされるボルト孔127bに挿通されたボルト41を外す手間が生じることなく、所定の位置に外ダイアフラム1を設置することが可能となり、その結果、短時間で施工を行うことが可能となる。また、上フランジ31と分割ダイアフラム2とがボルト孔127bに挿通されたボルト41によりいわば仮止めされて取り付けられているため、施工の際に分割ダイアフラム2が落下するのを防止することが可能となる。また、特に、上フランジ31に予め分割ダイアフラム2が取り付けられていた場合であっても、鋼管柱5と柱プレート23との隙間S´が形成されることで、この隙間S´がいわば施工上のクリアランスとして機能するものとなり、H形鋼梁3に取り付けられた分割ダイアフラム2が2本の鋼管柱5に接触することなく、確実に2本の鋼管柱5間にH形鋼梁3を設置することが可能となる。
なお、H形鋼梁3の長手方向に向けて延びる長孔が、分割ダイアフラム2における梁プレート22に形成されるのではなく、H形鋼梁3における上フランジ31に形成されてもよい。つまり、図20に示すように、上フランジ31は、円形のボルト孔131aと、H形鋼梁3の長手方向に向けて伸びる長孔とされるボルト孔131bとを有するものであってもよい。このとき、分割ダイアフラム2の梁プレート22におけるボルト孔127は、円形とされる。図示の形態における柱と梁の接合構造10´では、上フランジ31におけるボルト孔131bと、梁プレート22のボルト孔127とにボルト41を挿通し、ナット42を締結する。これにより、H形鋼梁3の上フランジ31に予め梁プレート22が仮止めされた状態となり、分割ダイアフラム2は、H形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能にH形鋼梁3における上フランジ31に取り付けられていることとなる。そして、H形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能に取り付けられた分割ダイアフラム2の梁プレート22をH形鋼梁3の長手方向に向けてスライドさせ、鋼管柱5の柱面に、柱プレート23を当接する。かかる形態においても、上述した効果を奏するのは明らかである。
第2実施形態
以下、第2実施形態に係る柱と梁の接合構造10について説明をする。この第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図21は、第2実施形態に係る鋼管柱と梁の接合構造10の斜視図であり、図22は、その側面図を示している。
第2実施形態に係る接合構造10は、上フランジ31に固定ダイアフラム72が取り付けられ、下フランジ33に分割ダイアフラム2が取り付けられる。
固定ダイアフラム72は、図21に示すように、十字状に形成される1枚の鋼板が用いられ、鋼管柱5に溶接固定される、いわゆる通しダイアフラムである。なお、固定ダイアフラム72は、図示は省略するが、4枚に分割される鋼板が用いられ、各固定ダイアフラム72が隣接する上フランジ31同士を連結するものであってもよい。
第2実施形態に係る接合構造10は、柱プレート23と鋼管柱5との間で互いに接触圧が作用していることにより、互いの接触面間で強い摩擦力を発揮させることができる。外ダイアフラム1は、その重力により下方に落下しようとする力が作用するが、柱プレート23と鋼管柱5間の互いの接触面に強い接触圧が作用していることから、当該接触面間において重力に対する摩擦力を発揮させることが可能となる。その結果、外ダイアフラム1は、重力等に基づいて落下するのを防止することが可能となる。特に、下フランジ33に取り付けられる外ダイアフラム1について溶接を使用することなく鋼管柱5に固定することができることから、上フランジ31に取り付けられる固定ダイアフラム72のみを鋼管柱5に溶接するだけでよく、製作に伴う作業労力を軽減させることができる。また溶接部の品質維持に必要な人件費や検査装置等の各種機器のコストを低減でき、製作工期も短縮化できる。このため、消費エネルギーを低減させた施工を行うことができ、環境にやさしい接合方法とすることが可能となる。
また、本実施例によれば、従来の通しダイアフラム工法のようにH形鋼梁の上フランジ側と下フランジ側との2か所で鋼管柱を切断することなく、上フランジ31側の1箇所のみ鋼管柱を切断するだけでよいため、切断作業を軽減することが可能となる。その結果、切断作業の軽減に基づく施工コストの低減を図ることができ、施工工期も短縮することが可能となる。また、溶接を削減した構成としているため、接合構造10の安定した品質を確保することが容易となる。
第2実施形態に係る接合構造10は、地震動が作用したとき、従来のダイアフラム工法のように、上フランジからの引張力と、下フランジからの引張力とが鋼管柱に作用するのではなく、鋼管柱5に上フランジ31からの引張力Tのみが作用する。そして、接合構造10は、下フランジ33側において、鋼管柱5と柱プレート23とを単に当接させるのみに構成にすることで、引張力Tがこの梁プレート22及び柱プレート23を介して直接鋼管柱5に作用させないようにし、一方でその分の引張力Tは他へと伝播することとなり、最終的に対面する分割ダイアフラム2において圧縮力Ccへと変換可能とされている。このため、鋼管柱5に作用する引張力Tの負担分を軽減させることが可能となり、その結果、鋼管柱5に対して引張力が負荷されることによる塑性化を防止することが可能となる。
また鋼管柱5の塑性変形を防止する一方で、引張力が負荷されるH形鋼梁3を先に塑性化させることで、建築構造物の倒壊を防止することが可能となる。このため、鋼管柱5の塑性変形を防止するために、鋼管柱5の板厚を厚くする必要も無くなり、鋼材の材料コストの低減にもつながる。
本実施例では、柱プレート23に対して引張力Tが作用することで、柱プレート23から鋼管柱5に対して元々負荷されていた接触圧Fが弱められることから、地震動により外ダイアフラム1が上方や下方へずれようとするものの、固定ダイアフラム72が鋼管柱5に溶接部72aで溶接されるため、固定ダイアフラム72が上方や下方へのずれを防止するずれ止めとして機能することとなる。即ち、鋼管柱5に対して元々負荷されていた接触圧Fが弱められた場合であっても、外ダイアフラム1が上方や下方にずれるのを防止することが可能となり、特に、H形鋼梁3が脱落を防止することが可能となる。
次に、第2実施形態に係る柱と梁の接合方法について説明する。
先ず、図23に示すように、1本の鋼管柱5を下側の鋼管柱5−1と上側の鋼管柱5−2とにガス切断等で切断し、下側の鋼管柱5−1と上側の鋼管柱5−2との間に介在させた固定ダイアフラム72を工場等で溶接固定する。そして、固定ダイアフラム72が溶接固定された鋼管柱5を現場に搬入し、鋼管柱5を間隔を空けてそれぞれ立設する。鋼管柱5を立設したとき、それぞれの鋼管柱5に溶接固定された固定ダイアフラム72の取り付け高さが略同一とされている。
次に、固定ダイアフラム72にH形鋼梁3における上フランジ31を取り付ける。このとき、固定ダイアフラム72のボルト孔172と上フランジ31のボルト孔131とを位置合わせした上で、ボルト41を挿通し、ナット42を締結することにより、固定ダイアフラム72に上フランジ31を取り付ける。固定ダイアフラム72に上フランジ31を取り付けたとき、鋼管柱5の柱面と、H形鋼梁3との間には、隙間Sが形成される。
次に、図24に示すように、分割ダイアフラム2における梁プレート22をH形鋼梁3の下フランジ33に取り付けるとともに、柱プレート23を鋼管柱5に当接させる。このとき、柱プレート23の上方側を隙間Sに滑り込ませ、梁プレート22を下フランジ33に当接する。その後、梁プレート22のボルト孔127と上フランジ31のボルト孔133とを位置合わせした上で、ボルト41を挿通し、ナット42を締結することにより、梁プレート22を下フランジ33に取り付ける。そして、分割ダイアフラム2間のそれぞれの引張接合部21を鋼管柱5のコーナー部近傍に配置させ、分割ダイアフラム2間を、柱プレート23から鋼管柱5の柱面へ接触圧が作用するようにボルト25及びナット26を介して互いに締め付け固定して、鋼管柱5とH形鋼梁3の接合が完了する。
このような柱と梁の接合方法によれば、固定ダイアフラム72が溶接固定された鋼管柱5を現場に搬入して施工を行うため、現場施工の効率化を図ることも可能となる。このような柱と梁の接合方法によれば、予め工場等で鋼管柱5に溶接固定された固定ダイアフラム72にH形鋼梁3を取り付けることで、H形鋼梁3の取り付け高さを現場で調整する作業を省略することが可能となる。また、このような柱と梁の接合方法によれば、第1実施形態とは異なって、鋼管柱5の上フランジ31側の周囲に分割ダイアフラム2が設けられることなく、平板状の鋼板で構成される固定ダイアフラム72が設けられるため、上フランジ31の上方側に床スラブに用いられるコンクリートを打設するとき、鋼管柱5近傍での型枠設置作業を容易に行うことが可能となり、床スラブの収まりが容易となる。その結果、短時間で施工を行うことが可能となる。
通常、柱とH形鋼梁とを接合する場合には、上フランジ側でその取り付け高さを決めることで、床スラブの高さを設計通りの高さに合わせることになる。このような柱と梁の接合方法によれば、第1実施形態とは異なって、予め所定の高さに固定された固定ダイアフラム72に上フランジ31を取り付けるため、上フランジ31の取り付け高さが設計通りに収まりやすくなり、その結果、床スラブの高さを設計通りの高さに合わせることが容易となる。
なお、上述した柱と梁の接合方法では、固定ダイアフラム72に上フランジ31を取り付けた後に、下フランジ33に分割ダイアフラム2における梁プレート22を取り付ける例を説明したが、図25に示すように、H形鋼梁3の下フランジ33に予め分割ダイアフラム2における梁プレート22を取り付けておき、このH形鋼梁3の上フランジ31を、固定ダイアフラム72に取り付けてもよい。その後、この柱と梁の接合方法では、鋼管柱5に分割ダイアフラム2を取り付ける。この柱と梁の接合方法によれば、予めH形鋼梁3に分割ダイアフラム2が取り付けられているため、鋼管柱5に固定された状態のH形鋼梁3に分割ダイアフラム2を取り付ける作業を行う必要がなく、作業の効率化を図ることができるとともに、分割ダイアフラム2がH形鋼梁3から落下する虞もなくなり、より安全に作業を行うことが可能となる。
また、第2実施形態に係る柱と梁の接合方法では、鋼管柱5と、柱プレート23との間に、介装用フィラー81を介装させてもよい。即ち、図13〜図16で示したような介装用フィラー81を適用し、柱プレート23と鋼管柱5との隙間S´に介装用フィラー81を介装することで、隙間S´が埋められることとなり、上述した作用効果を奏するものとなる。
また、第2実施形態に係る柱と梁の接合方法では、梁プレート22がH形鋼梁3の長手方向に向けてスライド可能に下フランジ33に取り付けるものであってもよい。即ち、図17〜図20で示したようなH形鋼梁3の長手方向にスライド可能に取り付けられた梁プレート22を適用し、梁プレート22をスライドさせて柱プレート23を鋼管柱5に当接させることで、上述した作用効果を奏することとなる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 外ダイアフラム
2 分割ダイアフラム
3 H形鋼梁
5 鋼管柱
10、10´ 接合構造
21 引張接合部
22 梁プレート
23 柱プレート
25、41 ボルト
26、42 ナット
31 上フランジ
32 ウェブ
33 下フランジ
72 固定ダイアフラム
81 介装用フィラー
126 ボルト孔
127 ボルト孔
131 ボルト孔
133 ボルト孔
172 ボルト孔

Claims (6)

  1. 柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法において、
    柱に予め溶接固定された固定ダイアフラムに、H形鋼梁の下フランジを取り付け、
    上記H形鋼梁の上フランジに設けられる上記外ダイアフラムを複数に分割した分割ダイアフラムの梁プレートの端部に設けられている柱プレートを上記柱に当接させ、
    上記分割ダイアフラム間の接合面を上記柱のコーナー部近傍に配置させ、
    上記各分割ダイアフラム間を、上記柱プレートから上記柱の柱面へ接触圧が作用するように接合部材を介して互いに締め付け固定すること
    を特徴とする柱と梁の接合方法。
  2. 上記固定ダイアフラムに、上記H形鋼梁の上記下フランジを取り付け、
    上記梁プレートを上記H形鋼梁の上フランジに取り付けるとともに、上記柱プレートを上記柱に当接させること
    を特徴とする請求項1記載の柱と梁の接合方法。
  3. 上記固定ダイアフラムに、上記梁プレートが予め上記上フランジに取り付けられた上記H形鋼梁の上記下フランジを取り付けること
    を特徴とする請求項1記載の柱と梁の接合方法。
  4. 柱にH形鋼梁を外ダイアフラムにより接合する柱と梁の接合方法において、
    柱に予め溶接固定された固定ダイアフラムに、H形鋼梁の上フランジを取り付け、
    上記H形鋼梁の下フランジに設けられる上記外ダイアフラムを複数に分割した分割ダイアフラムの上記梁プレートの端部に設けられている柱プレートを上記柱に当接させ、
    上記分割ダイアフラム間の接合面を上記柱のコーナー部近傍に配置させ、
    上記各分割ダイアフラム間を、上記柱プレートから上記柱の柱面へ接触圧が作用するように接合部材を介して互いに締め付け固定すること
    を特徴とする柱と梁の接合方法。
  5. 上記固定ダイアフラムに、上記H形鋼梁の上記上フランジを取り付け、
    上記梁プレートを上記H形鋼梁の下フランジに取り付けるとともに、上記柱プレートを上記柱に当接させること
    を特徴とする請求項4記載の柱と梁の接合方法。
  6. 上記固定ダイアフラムに、上記梁プレートが予め上記下フランジに取り付けられた上記H形鋼梁の上記上フランジを取り付けること
    を特徴とする請求項4記載の柱と梁の接合方法。
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