JP7265113B2 - 電子部品用ポリイミド基板 - Google Patents
電子部品用ポリイミド基板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7265113B2 JP7265113B2 JP2018092210A JP2018092210A JP7265113B2 JP 7265113 B2 JP7265113 B2 JP 7265113B2 JP 2018092210 A JP2018092210 A JP 2018092210A JP 2018092210 A JP2018092210 A JP 2018092210A JP 7265113 B2 JP7265113 B2 JP 7265113B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyimide
- substrate
- formula
- electronic parts
- polyimide substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
Description
ポリイミドはPET、PCに比べ、高い耐熱性を示す。耐熱性に加え、ポリイミドは優れた電気絶縁性を有していることが知られており、絶縁材に用いられている。ポリイミドの中でも、全芳香族ポリイミドは熱膨張係数が低く、それが金属配線に近いことから、絶縁材料として用いた際に、金属配線との間に熱膨張による歪が生じ難く、高精度の配線回路の絶縁が可能である。なお、機械強度とは、その材料が持つ変形や破壊に対する抵抗量であり、本明細書においては、同軸方向の歪と応力の比である弾性率を指す。
[発明1]
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む、電子部品用ポリイミド基板。
[発明2]
前記R2が、以下のいずれかの4価の有機基である、発明1の電子部品用ポリイミド基板。
前記R1が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明1または発明2の電子部品用ポリイミド基板。
前記ポリイミドが、さらに、式(5)で表される繰り返し単位を含むポリイミドである、発明1~3の電子部品用ポリイミド基板。
前記ポリイミドの重量平均分子量が、10000以上、500000以下である、発明1~4の電子部品用ポリイミド基板。
50℃以上、200℃以下における熱膨張係数が45ppm/℃以下である、発明1~5の電子部品用ポリイミド基板。
弾性率が3.0GPa以上、6.0GPa以下である、発明1~6の電子部品用ポリイミド基板。
基板の厚さ20~70μmにおける波長400nm以上、780nm以下での光透過率が60%以上である、発明1~7に記載の電子部品用ポリイミド基板。
本発明の電子部品用ポリイミド基板が含むHFIP基含有ポリイミド について説明する。
本発明の電子部品用ポリイミド基板は、以下の式(1)で表される繰り返し単位を有するHFIP基含有ポリイミド(1)を含む。
HFIP基含有ポリイミド(1)は、耐熱性、寸法安定性、および機械強度等の物性の調製のために、さらに式(5)で表される繰り返し単位を有してもよい。以後、一般式(5)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(5)と呼ぶことがある。
HFIP基含有ポリイミド(1)が繰り返し単位(1)に加え、さらに繰り返し単位(5)を有する場合において、繰り返し単位(1)と繰り返し単位(5)の存在比は、特に限定されるものではないが、繰り返し単位(1)と繰り返し単位(5)を有するHFIP基含有ポリイミド(1)を本発明の電子部品用ポリイミド基板として使用する際に必要とされる、耐熱性、寸法安定性、および機械強度等の物性を得るためには、繰り返し単位の個数比で表して繰り返し単位(5)の存在が、繰り返し単位(1)を1として、好ましくは、0.05以上あり、さらに好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。すなわち、繰り返し単位(1):繰り返し単位(5)=1:0.05~1:1である。繰り返し単位(5)の存在が0.05より小さいと、得られるHFIP基含有ポリイミド(1)の物性値を調製する効果がなく、繰り返し単位(5)の存在比が1より大きいと、弾性率が低下する。
HFIP基含有ポリイミド(1)の重量平均分子量(Mw)は、限定されるものではないが、好ましくは、10000以上、500000以下であり、特に好ましくは、30000以上、200000以下である。20000より少ないと、強靭なポリイミド基板を得ることが難しく、500000より多いと基材上に製膜し基板を得ることが難しい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いポリスチレン換算して得られる値である。
本発明の電子部品用基板に用いるHFIP基含有ポリイミド(1)の製造方法について以下に示す。
式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物として、以下のテトラカルボン酸二無水物を例示することができる。
HFIP基含有ポリイミド(1)の製造方法として、以下のポリイミドの製造方法(A)または(B)を挙げることができる。
<製造方法(A)>
式(6)で表されるフェニレンジアミンと式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物を有機溶剤中で縮重合してポリアミック酸を得て、次いで該ポリアミック酸を脱水閉環させてイミド化することでHFIP基含有ポリイミド(1)を得るポリイミドの製造方法。
<製造方法(B)>
式(6)で表されるHFIP基を有するフェニレンジアミンと式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の共存下、無溶剤で150℃以上に加熱溶融し反応させることで、HFIP基含有ポリイミド(1)を得るポリイミドの製造方法。
以下、ポリイミドの製造方法(A)について説明する。
使用する有機溶剤は、式(6)で表されるフェニレンジアミンと式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物からポリアミック酸を得る縮重合反応を阻害しなく、式(6)で表されるフェニレンジアミン、式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物および生成するポリアミック酸を溶解させるものであればよく、このような有機溶剤として、アミド系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤、ラクトン類溶剤、アルコール類溶剤またはグリコールエーテル類溶剤を挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはN-メチル-2-ピロリドンを例示することができる。
ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、またはp-クロロフェノールを例示することができる。
クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、または1,1,2,2-テトラクロロエタンを例示することができる。
γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、またはα-メチル-γ-ブチロラクトンを例示することができる。
n-ブチルアルコールを例示することができる。
2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、または2-ブトキシエタノールを例示することができる。
有機溶剤の量は、式(6)で表されるフェニレンジアミンと式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物をあわせた量に対する質量比で表して、フェニレンジアミン+テトラカルボン酸二無水物:有機溶剤=1:001~1:10である。
式(6)で表されるフェニレンジアミンと式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物からポリアミック酸を得る縮重合反応は、前記有機溶剤中で、反応温度-20℃以上、80℃以下で行うことができる。
HFIP基含有ポリイミド(1)は、得られたポリアミック酸をさらに脱水閉環させイミド化することで得られる。
本発明の電子部品用ポリイミド基板は、支持基板上にポリイミド溶液の状態での塗布することで、支持基板上に形成が可能である、また、支持基板上に形成した状態で、あるいは支持基板から剥がして電子部品用ポリイミド基板として使用できる。例えば、前項のポリイミドの製造方法で得られたHFIP基含有ポリイミド(1)の溶液を基材に塗布展開することで得ることができる。
塗布工程におけるHFIP基含有ポリイミド(1)の溶液の塗布方法は、特に制限されず、公知の塗布方法および印刷を用いることができる。HFIP基含有ポリイミド(1)溶液の粘度および求める膜厚に応じて、スピンコーター、バーコーター、ドクターブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、リップコーター、プレーコート、フローコート、ディップコート、ハケ塗り、スクリーン印刷、グラビア印刷を適宜選択し使用することができる。
前記塗布工程により塗布膜を得た後、さらに塗布膜から有機溶剤を除去・乾燥する有機溶剤除去工程と、有機溶剤除去工程後のポリイミド基板をさらに熱処理し、硬化させる加熱工程を経ることで、機械強度に優れたポリイミド基板が得られる。有機溶剤除去工程、加熱工程における加熱時間は、通常0.5時間以上、3時間以下であり、それぞれの工程を連続または別々に行うことができる。
有機溶剤除去工程で有機溶剤を除去し乾燥を行う際の温度は、本発明のHFIP基含有ポリイミド(1)溶液に使用される有機溶剤の種類にもよるが、30℃以上、400℃以下であり、好ましくは、50℃以上、250℃以下である。30℃より低い温度では乾燥が不十分となり、400℃より高い温度ではHFIP基含有ポリイミド(1)が熱分解する虞がある。
加熱工程の温度は、150℃以上、400℃以下であり、好ましくは200℃以上、300℃以下である。150℃より低い温度では、有機溶剤が残存し、400℃より高い温度ではHFIP基含有ポリイミド(1)が熱分解する虞がある。
使用用途および目的によっては、ポリイミド基板を得るには、加熱工程後に支持基材からポリイミド膜を剥離し、それをポリイミド基板とする剥離工程が必要となる。剥離工程は、前記加熱工程後、室温(20℃)から50℃程度まで冷却した後、実施することができる。この際、剥離を容易に行うためには、支持基材に剥離剤を塗布してもよい。その際の剥離剤は特に限定されるものではないが、シリコン系またはフッ素系の剥離剤を挙げることができる。
上記電子部品用ポリイミド基板の製造で得られた本発明の電子部品用ポリイミド基板は、表示分野においては、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイおよび電子ペーパー等に用いることができる。また、表示分野においては、カバーフィルムにおいても好適に用いることができる。プリント配線板の分野では、タッチパネル等の透明配線板用途として用いることができる。
本発明の電子部品用ポリイミド基板は、十分な透明性、耐熱性を有し、さらに寸法安定性および機械強度に優れる。
本発明の電子部品用ポリイミド基板の透明性は、膜厚20~70μmにおいて、波長400nm~780nmでの光透過率が、60%以上に達する(本明細書の図1参照)。電子部品用ポリイミド基板の透明性は高い方がよく、好ましくは60%以上であり、より好ましくは、70%以上である。
本発明の電子部品用ポリイミド基板の耐熱性は、ガラス転移温度(以下、Tgと呼ぶことがある)および5%重量減少温度(以下、Td5と呼ぶことがある)を指標とする。本明細書において、ガラス転移温度は、基板を熱機器分析(TMA)で昇温速度10℃/分の条件で測定した時の値である。Td5は、熱重量分析装置を用いて基板の熱重量測定を行い、初期の重量に対して5%重量損失があった際の温度である。
本発明の電子部品用ポリイミド基板の機械強度は、弾性率を指標とする。本明細書において、弾性率は、JIS K 7161に準じて、基板の引張試験を行うことで求めた値である。本発明の電子部品用ポリイミド基板は、弾性率は、3.0GPa以上、6.0GPa以下を達成する(本明細書の[表1]の実施例1~2参照)。弾性率は高い方が基板の剛性が高く好ましいが、弾性率が6.0GPaより大きいと、電子部品作製プロセスで、基板が反る懸念がある。
本発明の電子部品用ポリイミド基板の寸法安定性(以下、CTEと呼ぶことがある)は、50℃以上、200℃以下の温度範囲における熱膨張係数を指標とする。本明細書において、熱膨張係数は、熱機器分析(TMA)で昇温速度10℃/分の条件で基板を加温し測定した時の値である。
1.ポリイミド基板の作製
HFIP基含有ポリイミド(1)に属するポリイミド(A)~(D)の溶液(実施例1~4)、本発明の範疇に属さないポリイミド(R1)~(R3)の溶液(比較例1~3)を調製し、さらに調製した各々のポリイミド溶液を用い、ポリイミド基板(A)~(D)および(R1)~(R3)を作製した。
[ポリイミド(A)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP-pPDを20.0g(73mmol)、および6FDAを32.4g(73mmol)加え、さらに、有機溶剤としてジメチルアセトアミド(DMAc)を119g加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン12.1g(153mmol)、無水酢酸15.6g(153mmol)を順に加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAc加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、式(A)で表される繰り返し単位を含むポリイミド(A)のDMAc溶液を調製した。
ポリイミド(A)のDMAc溶液のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)による分子量の測定を行ったところ、Mw=174000、Mw/Mn=2.5であった。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
調製したポリイミド(A)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(A)からなるポリイミド基板(A)を厚さ、49μmで得た。尚、測定は、膜厚計(株式会社ニコン製、機種名:DIGIMICRO MH-15)を用いおこなった。
[ポリイミド(B)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP-mTBを19.9g(36.5mmol)、HFIP-pPDを10.0g(36.5mmol)および6FDAを32.4g(73mmol)加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン12.1g(153mmol)、無水酢酸15.6g(153mmol)を順に加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAc加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式(A)および(B)で表される繰り返し単を含むポリイミド(B)のDMAc溶液を調製した。
調製したポリイミド(B)のDMAc溶液をさらにDMAcで希釈し、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(B)からなるポリイミド基板(B)を厚さ、60μmで得た。尚、測定は、実施例と同じ膜厚計を用いた。
[ポリイミド(C)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP-pPDを20.0g(73mmol)、6FDAを16.2g(36.5mmol)、ODPAを11.3g(36.5mmol)加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン12.1g(153mmol)、無水酢酸15.6g(153mmol)を順に加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAc加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式(A)および(C)で表される繰り返し単を含むポリイミド(C)のDMAc溶液を調製した。
調製したポリイミド(C)のDMAc溶液をさらにDMAcで希釈し、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(C)からなるポリイミド基板(C)を厚さ、53μmで得た。尚、測定は、実施例と同じ膜厚計を用いた。
[ポリイミド(D)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP-pPDを20.0g(73mmol)、TFMBを7.8g(24mmol)、6FDAを28.1g(63mmol)、BPDAを10.0g(34mmol)加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン16.2g(204mmol)、無水酢酸20.9g(204mmol)を順に加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAc加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式(A)、(D)、(E)、(F)で表される繰り返し単を含むポリイミド(D)のDMAc溶液を調製した。
ポリイミド(D)のDMAc溶液のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)による分子量の測定を行ったところ、Mw=118000、Mw/Mn=2.1であった。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
調製したポリイミド(D)のDMAc溶液をさらにDMAcで希釈し、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(D)からなるポリイミド基板(D)を厚さ、60μmで得た。尚、測定は、実施例と同じ膜厚計を用いた。
[ポリイミド(R1)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すpPDを10.0g(93mmol)、および6FDAを41.2g(93mmol)加え、さらに、有機溶剤としてジメチルアセトアミド(DMAc)を85g加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン15.4g(194mmol)、無水酢酸19.4g(194mmol)を順に加え、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAcを加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式(R1)で表される繰り返し単位を含むポリイミド(R1)のDMAc溶液を調製した。
調製したポリイミド(R1)のDMAc溶液をさらにDMAcで希釈し、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(B)からなるポリイミド基板(B)を厚さ、30μmで得た。尚、測定は、実施例と同じ膜厚計を用いた。
[ポリイミド(R2)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP-MDAを58.3g(110mmol)、およびDSDAを39.1g(110mmol)加え、さらに、有機溶剤としてジメチルアセトアミド(DMAc)を220g加えた後、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン34.8g(440mmol)、無水酢酸44.9g(440mmol)を順に加え、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAcを加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式(R2)で表される繰り返し単位を含むポリイミド(R2)のDMAc溶液を調製した。
実施例1と同様の方法で分子量を測定した結果、ポリイミド(R2)のDMAc溶液のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)による分子量の測定を行ったところ、Mw=85100、Mw/Mn=2.0であった。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
調製したポリイミド(R2)のDMAc溶液をさらにDMAcで希釈し、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、200℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(R2)からなるポリイミド基板(R2)を厚さ、51μmで得た。尚、測定は、実施例と同じ膜厚計を用いた。
[ポリイミド(R3)の溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すTFMBを22.4g(70mmol)、およびODPAを21.7g(70mmol)加え、さらに、有機溶剤としてジメチルアセトアミド(DMAc)を68g加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン11.6g(147mmol)、無水酢酸15.7g(147mmol)を順に加え、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAcを加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式(R3)で表される繰り返し単位を含むポリイミド(R3)のDMAc溶液を調製した。
調製したポリイミド(R3)のDMAc溶液をさらにDMAcで希釈し、スピンコーターを用い、ガラス基材上に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥してDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(R3)からなるポリイミド基板(R3)を厚さ、60μmで得た。尚、測定は、実施例と同じ膜厚計を用いた。
実施例1~4で作製したポリイミド基板(A)~(D)、比較例1~3で作製したポリイミド基板(R1)~(R3)の以下の物性を測定した。
[透明性]
透明性は、株式会社島津製作所製、紫外可視近赤外分光光度計(UV-VIS-NIR SPECTROMETER 機種名 UV-3150)を用い、基板の波長300nmから800nmの光透過スペクトル、および波長400nmの光透過率(T400)、波長420nmの光透過率(T420)を測定した。
5%重量減少温度(Td5)ポリイミド基板の耐熱性の指標である。5%重量減少温度(Td5)は、示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、機種名STA7200)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
またはガラス転移温度(Tg)は、熱機械分析装置(株式会社リガク社製、機種名TMA8310)を用いた引張試験で測定した。
寸法安定性の指標である熱膨張係数(CTE)は、上記の熱機械分析装置を用い、昇温速度10℃/分の条件で基板を加温し、50℃以上、200℃以下における熱膨張係数を測定した。
機械強度の指標である弾性率は、万能試験機オートグラフ(株式会社島津製作所製、Autograph AG-IS)を用い、基板にJIS K 7161に準拠する引張試験を行い測定した。
上記実施例1~4および比較例1~3で作製した各ポリイミド基板を用い、上記物性の測定を行った。表1に測定結果を示す。表1おいて、電子部品用基板とする際に、特に良好な評価結果をA、良好な評価結果をB、十分でない評価結果はCとした。
図1の光透過率曲線に示す様に、実施例1~2で製した、ポリイミド基板(A)~(B)は、良好な透明性を示し、基板の厚さ20~70μmにおける、波長400nm以上780nm以下の光透過率が60%以上であった。
表1に示す様に、実施例1~4で作製したポリイミド基板(A)~(D)は、Tgが307~330℃、Td5が340~367℃であり、電子部品用の基板として使用するのに十分な値であった。ポリイミド基板(A)~(D)に比較して、比較例1~3で作製した、ポリイミド基板(R1)~(R3)はTgが低い値であった。
表1に示す様に、実施例1~4で作製したポリイミド基板(A)~(D)の弾性率は各々3.0~3.7GPaであり、電子部品用の基板として使用するのに十分な値であった。
表1に示す様に、実施例1~4で作製したポリイミド基板(A)~(D)のCTEは21~40ppm/℃であった。比較して、ポリイミド基板(R1)~(R3)は、CTEは高い値であった(44~55ppm/℃)。
Claims (7)
- 前記ポリイミドの重量平均分子量が、10000以上、500000以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子部品用ポリイミド基板。
- 50℃以上、200℃以下における熱膨張係数が21ppm/℃以上45ppm/℃以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子部品用ポリイミド基板。
- 弾性率が3.0GPa以上、6.0GPa以下である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電子部品用ポリイミド基板。
- 基板の厚さ20~70μmにおける、波長400nm以上780nm以下の光透過率が、60%以上87%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品用ポリイミド基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018092210A JP7265113B2 (ja) | 2018-05-11 | 2018-05-11 | 電子部品用ポリイミド基板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018092210A JP7265113B2 (ja) | 2018-05-11 | 2018-05-11 | 電子部品用ポリイミド基板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019196459A JP2019196459A (ja) | 2019-11-14 |
JP7265113B2 true JP7265113B2 (ja) | 2023-04-26 |
Family
ID=68537311
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018092210A Active JP7265113B2 (ja) | 2018-05-11 | 2018-05-11 | 電子部品用ポリイミド基板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7265113B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119504A (ja) | 2004-10-20 | 2007-05-17 | Central Glass Co Ltd | 含フッ素重合性単量体及びそれを用いた高分子化合物 |
WO2010053185A1 (ja) | 2008-11-10 | 2010-05-14 | 味の素株式会社 | プリント配線板用樹脂組成物 |
WO2010053186A1 (ja) | 2008-11-10 | 2010-05-14 | 味の素株式会社 | シロキサン含有ポリイミド樹脂 |
WO2012165455A1 (ja) | 2011-05-30 | 2012-12-06 | セントラル硝子株式会社 | 気体分離膜 |
WO2016190170A1 (ja) | 2015-05-27 | 2016-12-01 | 田岡化学工業株式会社 | 環状炭化水素骨格およびエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物、ポリアミック酸、及びポリイミド |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04328891A (ja) * | 1991-04-26 | 1992-11-17 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | フレキシブルプリント基板およびその製造方法 |
-
2018
- 2018-05-11 JP JP2018092210A patent/JP7265113B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119504A (ja) | 2004-10-20 | 2007-05-17 | Central Glass Co Ltd | 含フッ素重合性単量体及びそれを用いた高分子化合物 |
WO2010053185A1 (ja) | 2008-11-10 | 2010-05-14 | 味の素株式会社 | プリント配線板用樹脂組成物 |
WO2010053186A1 (ja) | 2008-11-10 | 2010-05-14 | 味の素株式会社 | シロキサン含有ポリイミド樹脂 |
WO2012165455A1 (ja) | 2011-05-30 | 2012-12-06 | セントラル硝子株式会社 | 気体分離膜 |
JP2013010096A (ja) | 2011-05-30 | 2013-01-17 | Central Glass Co Ltd | 気体分離膜 |
WO2016190170A1 (ja) | 2015-05-27 | 2016-12-01 | 田岡化学工業株式会社 | 環状炭化水素骨格およびエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物、ポリアミック酸、及びポリイミド |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019196459A (ja) | 2019-11-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102147082B1 (ko) | 폴리이미드 전구체, 수지 조성물, 수지 필름 및 그 제조 방법 | |
TWI695855B (zh) | 聚醯亞胺前驅體、樹脂組合物及樹脂膜之製造方法 | |
JP7343794B2 (ja) | ポリアミド酸およびポリイミド、光学フィルムおよび表示装置、ならびにそれらの製造方法 | |
TWI609897B (zh) | 聚醯亞胺樹脂及其製造方法與薄膜 | |
JP5650458B2 (ja) | 積層体の製造方法、及びフレキシブルデバイスの製造方法 | |
CN111971327B (zh) | 聚酰胺酸、聚酰胺酸溶液、聚酰亚胺、聚酰亚胺膜、层叠体、柔性装置及其制造方法 | |
KR20180018392A (ko) | 폴리이미드 전구체 및 폴리이미드, 투명 폴리이미드 필름의 제조방법 | |
KR20150056779A (ko) | 폴리이미드 및 그의 성형체 | |
JP2008297360A (ja) | 溶剤可溶性ポリイミド樹脂 | |
KR20150031434A (ko) | 폴리아미드산, 폴리이미드, 폴리아미드산 용액 및 폴리이미드의 이용 | |
CN110621721B (zh) | 聚酰胺酸、聚酰亚胺、聚酰亚胺膜、层叠体及挠性器件、以及聚酰亚胺膜的制造方法 | |
KR102422752B1 (ko) | 신규 테트라카르복시산 이무수물, 및 산이무수물로부터 얻어지는 폴리이미드 및 폴리이미드 공중합체 | |
JP2006206825A (ja) | 芳香族ポリイミド樹脂前駆体及び芳香族ポリイミド樹脂 | |
JP6461470B2 (ja) | ポリイミド前駆体組成物、ポリイミドの製造方法、ポリイミド、ポリイミドフィルム、及び基板 | |
JP6974956B2 (ja) | ポリイミド前駆体及びポリイミド | |
KR20140072046A (ko) | 고투명 폴리이미드 | |
JP2012224755A (ja) | 高透明なポリイミド前駆体及びそれを用いた樹脂組成物、ポリイミド成形体とその製造方法、プラスチック基板、保護膜とそれを有する電子部品、表示装置 | |
JP7265113B2 (ja) | 電子部品用ポリイミド基板 | |
KR20170063920A (ko) | 유기 일렉트로루미네선스용 기판 및 그것을 이용한 유기 일렉트로루미네선스 디스플레이 | |
TWI776968B (zh) | 聚醯亞胺樹脂及其製造方法、聚醯亞胺溶液、與聚醯亞胺膜及其製造方法 | |
JP6638744B2 (ja) | ポリイミド前駆体組成物、ポリイミドの製造方法、ポリイミド、ポリイミドフィルム、及び基板 | |
WO2016052311A1 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス用基板およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ | |
KR20170062528A (ko) | 유기 일렉트로루미네선스용 기판 및 그것을 이용한 유기 일렉트로루미네선스 디스플레이 | |
JP2020031186A (ja) | 電子部品用ポリイミド基板 | |
JP5315918B2 (ja) | ポリイミドフィルムの製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20190627 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210216 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211214 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20220208 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220407 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220823 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20221019 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221219 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230314 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230327 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7265113 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |