[実施例1]
以下に図面を参照して、この発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り後の説明においても初めの説明と同様のものである。
(画像形成装置の説明)
図2を用いて、本実施例における電子写真画像形成装置(画像形成装置)100の全体構成について説明する。図2は画像形成装置100の概略断面図である。
画像形成装置100は装置本体100aを備える。装置本体100aには、第1のユニットとしてのドラムカートリッジ1と、第2のユニットとしての現像カートリッジ2が取り外し可能に装着されている。
ドラムカートリッジ1は、静電潜像を担持するための感光ドラム(像担持体)4、感光ドラムを帯電するための帯電ローラ(帯電部材)5、第1のメモリ3aを有する。現像カートリッジ2は、現像剤(以下、「トナーT」という)を用いて、静電潜像を現像するための現像スリーブ(現像剤担持体)7、第2のメモリ3bを有する。
画像形成装置100は、光学手段としての露光装置12を備える。露光装置12は、帯電ローラ5によって帯電された感光ドラム4の表面に、画像情報に基づいて光を照射する。これにより、感光ドラム4に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像スリーブ7に担持されたトナーTで現像され、感光ドラム4の表面にトナー像が形成される。画像形成装置100には、不図示のカセットが備えられる。トナー像の形成と同期して、記録材P(例えば、記録紙、OHPシート、布等)が不図示のカセットから一枚ずつ搬送される。
画像形成装置100は、転写ローラ11と、定着装置13を備える。転写ローラ11は、トナー像を被転写体に転写するための転写手段であり、転写電圧が印可されるように構成される。本実施例において、被転写体は上記の記録材Pであるが、被転写体としての中間転写体を介して、記録材Pにトナー像を転写する構成であってもよい。記録材Pは、搬送ガイドに沿って感光ドラム4と転写ローラ11とが対向する転写部に搬送される。転写ローラ11には、転写部に搬送された記録材Pに、転写電圧が印加された転写ローラ11により、感光ドラム4からトナー像が転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ガイドに沿って定着装置13へと搬送される。
定着装置13は、駆動ローラと、ヒータを内蔵する定着回転体を有する。定着装置13は、通過する記録材Pに熱及び圧力を印加して、トナー像を記録時Pに定着する。トナー像が定着された記録材Pは、不図示の排出ローラによって搬送され、排出部100bへと排出される。
(プロセスカートリッジの説明)
次に本実施例におけるカートリッジとしてのプロセスカートリッジの構成について図3を用いて説明する。図3は、プロセスカートリッジの断面図である。
プロセスカートリッジはドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2を有する。上述のように、ドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2は、装置本体100aに着脱可能である。ドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2は、互いに独立して装置本体100aにそれぞれ着脱可能である。つまり、ドラムカートリッジ1は、現像カートリッジ2から独立して装置本体100aに着脱可能である。また、現像カートリッジ2は、ドラムカートリッジ1から独立して装置本体100aに着脱可能である。なお、互いに分離可能なドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2を装置本体100aに装着する前に結合して、装置本体100aに装着する構成であってもよい。
言い換えれば、本実施例の画像形成装置100では、ドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2の組み合わせが複数種類となり得る。例えば、第1のドラムカートリッジ1と第1の現像カートリッジ2が組み合わされている場合に、第1のドラムカートリッジ1が第2のドラムカートリッジ1に交換される場合がある。同様に、第1の現像カートリッジ2が第2の現像カートリッジ2に交換される場合がある。また、第1のドラムカートリッジ1と第1の現像カートリッジ2が、第2のドラムカートリッジ1と第2の現像カートリッジ2に交換される場合がある。また、各カートリッジを交換した後に、再び元のカートリッジを装置本体100aに交換することも可能である。
ドラムカートリッジ1は感光ドラム4、帯電ローラ5、クリーニングブレード(清掃部材)6を支持するドラム枠体1aを有する。感光ドラム4、帯電ローラ5はドラム枠体に回転可能に支持される。
感光ドラム4は感光層を有し、直径は24mmである。感光ドラム4は、装置本体100aに備えられた駆動源により、周速370mm/secで回転駆動される。
帯電手段である帯電ローラ5は導電性の弾性ローラであり、芯金と、芯金を覆う導電性弾性層とを有する。帯電ローラ5の芯金の直径は6mm、導電性弾性層部の直径は12mmである。帯電ローラ5は、感光ドラム4に所定の押圧力で押し付けられている。
後述するように、画像形成装置100は、ドラムカートリッジ1の帯電ローラ5に電圧(帯電電圧)を印加する電圧印可部としての帯電電圧印可部(第1の電源、第1の電圧印可部)を備える。
帯電電圧が帯電ローラ5の芯金に印加され、感光ドラム4の表面電位と帯電ローラ5の電位の電位差が放電開始電圧以上となると、感光ドラム4と帯電ローラ5の間で放電が開始され、感光ドラム4の表面が一様に帯電される。これにより、感光ドラム4の表面に暗部電位(VD)を有する領域が形成される。本実施例においては、通常の帯電電圧は-1050V(基準帯電電圧)、このときの暗部電位VDは-500V(VD基準値)である。
帯電された感光ドラム4に対して、露光装置12が画像情報に基づいて光を照射する。光が照射された領域では、感光ドラム4のキャリア発生層からキャリアが発生し、感光ドラム4の表面の電荷が消失することによって、感光ドラム4の表面に明部電位(VL)を有する領域が形成される。なお、本実施例において、明部電位(VL)は-100Vとなるようにした。このようにして感光ドラム4上に、暗部電位(VD)を有する領域と明部電位(VL)を有する領域とによって形成された静電潜像が形成される。静電潜像がトナーTにより現像されることで、静電潜像がトナー像として可視像化される。
次に、転写ローラ11にトナー像と逆極性の電圧が印加され、感光ドラム4上のトナー像が記録材Pに転写される。記録材Pにトナー像が転写された後は、クリーニングブレード6によって感光ドラム4に残留したトナーTは除去され、感光ドラム4の表面は再び帯電ローラ5によって帯電される。
現像カートリッジ2は現像スリーブ7や規制ブレード9を備えた現像室と、トナーTを収容したトナー収容室とを有する。
本実施例において、トナーTは絶縁性の磁性一成分現像剤である。トナーTの体積平均粒径は約8.0μmである。トナーTの正規の帯電極性は負極性である。トナーTは、トナー収容室に400g収容される。トナー収容室内には攪拌部材10が配置されている。攪拌部材10はシートと軸を有する。シートの材質はポリエチレンテフタレートである。攪拌部材10は、トナー収容室を備える枠体によって、回転可能に支持されている。撹拌部材10が回転することで、トナー収容室内のトナーTが現像室へと搬送される。
現像室には回転自在に設置された現像スリーブ7が設けられている。現像スリーブ7は非磁性のアルミスリーブの表面に導電性粒子を含有する樹脂層がコートされた構造を有する。樹脂層の表面粗さはRa1.0である。現像スリーブ7の直径は16.0mmである。画像形成時において、現像スリーブ7は周速350mm/secで回転し、現像スリーブ7と感光ドラム4が対向する領域にトナーTが搬送される。
現像スリーブ7は中空形状を有し、現像スリーブ7の中には多極構造の磁界発生手段であるマグネットローラ8が、回転しない状態で内包されている。マグネットローラ8の直径は14mmである。マグネットローラ8は、磁力によりトナーTを現像スリーブ7の表面に引きつける機能を有する。
現像スリーブ7の上方に、トナー量規制部材として規制ブレード9が固定されている。規制ブレード9は現像スリーブ7を所定の圧力で弾性的に押圧している。これにより、現像スリーブ7に担持されたトナーTを規制して、現像スリーブ7にトナーTの薄層を形成する。それと同時に、現像ブレード9は、摩擦帯電によりトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード9にはゴム硬度JISAで40°のシリコーンゴムが用いられる。規制ブレード9の現像スリーブ7に当接した時の当接圧Pr(現像スリーブ7の長手方向(軸線方向)の単位長さ(1cm)あたりの当接加重(gf))は約25gf/cmである。
現像スリーブ7と感光ドラム4の間には不図示の隙間保持部材によって隙間が形成されている。本実施例において隙間の大きさは300μmである。現像スリーブ7には現像電源が接続され、現像電圧が現像スリーブ7に印可されている。これにより、感光ドラム4と現像スリーブ7との間に電界が形成される。本実施例においては、現像スリーブ7に直流電圧-350Vと、1200Vpp、周波数1500Hzの交流電圧が重ねられた現像電圧が印加される。交流電圧の波形は矩形波である。現像電圧が現像スリーブ7に印加されることによって、感光ドラム4と現像スリーブ7の隙間をトナーTが飛翔することが可能となる。負極性に帯電したトナーTが、感光ドラム4の明部電位(VL)を有する部分に電気的に付着して、静電潜像がトナー像として現像される。
また、ドラムカートリッジ1には第1のメモリ3aが、現像カートリッジ2には第2のメモリ3bがそれぞれ装着されており、画像形成動作の制御に係る各種情報が記憶されている。第1のメモリ3aと第2のメモリ3bは、いずれも不揮発性メモリである。
(ブロック図)
次に、図4を用いて、画像形成装置100の制御について説明する。図4は、画像形成装置100の制御ブロック図である。
画像形成装置100は、制御部101を備える。制御部101は、演算処理を行う中心的素子であるCPU(中央演算処理ユニット)、記憶手段であるROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)などのメモリ、周辺機器との情報の入出力を行う入出力インタフェース等を有している。
RAMには、各種センサの検知結果、CPUの演算結果などが格納される。ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。
制御部101は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する制御手段であり、画像形成装置100における各制御対象が入出力インタフェースを介して接続されている。
画像形成部102は、画像書き出し位置や画像パターンを形成する。モータ駆動部103は、ポリゴンスキャナ、感光ドラム4、現像スリーブ7等を回転駆動する為の動力源として各種モータを含む。モータ駆動部103は、制御部101からの制御信号に基づき動作する。高圧電源104は、感光ドラム4、帯電ローラ5、現像スリーブ7、転写ローラ11、定着装置13等に高電圧を印加する電源である。つまり、高圧電源104は、後述する帯電電圧印可部5aや、転写電圧印可部11aを含んでいる。露光制御部105は、感光ドラム4へ照射されるレーザ光の光量の信号をスキャナユニット106へ伝達する。画像形成装置100には、環境検知手段としての環境センサ107が備えられる。環境センサ107は、温度、湿度の少なくとも一方を含む環境を検知する。本実施例においては、環境センサ107は、温度、湿度の両方を検知する。すなわち、環境センサ107は、温度と湿度を計測するセンサを含み、温度と湿度に関連する検知結果を制御部101に送信する。電流検知部108は後述する感光ドラム4の表面電位に関連する検知結果を制御部101に送信する。
また、制御部101と、第1のメモリ3a及び第2のメモリ3bの間で、メモリ通信部109、110を介してデータ通信が行われ、制御部101は後述するフローチャートで示されるシーケンスを実行可能である。
(表面電位検知手段)
感光ドラム4の明部電位VLと現像スリーブ7の電位(現像電圧)Vdcとの電位差を、現像コントラストVcontと呼ぶ。感光ドラム4の暗部電位VDと現像電圧Vdcとの電位差を、現像バックコントラストVbackと呼ぶ。
明部電位VLは、暗部電位VDと相関がある。画像形成装置100における画像濃度は、現像コントラストVcontと相関がある。感光ドラム4の非露光部にトナーが付着し、画像上の空白部がトナーで汚れてしまう現象(いわゆるカブリ)は、現像バックコントラストVbackと相関がある。適正な画像を得るためには、現像コントラストVcontと現像バックコントラストVbackとを適正に制御する必要がある。つまり、暗部電位VDは現像コントラストVcontと現像バックコントラストVbackを制御する際の基準となる。
所望の暗部電位VDを得るための制御として、感光ドラム4の使用状況を考慮しつつ、感光ドラム4の表面電位と帯電電圧との関係を予測して、帯電電圧の大きさが決定される場合がある。これにより、現像コントラストVcontと現像バックコントラストVbackが制御される。しかしながら、気圧の影響による放電開始電圧のばらつきや、装置本体100aの高圧回路の部品公差の影響による高圧回路の出力のばらつきが生じる場合がある。これにより、実際の暗部電位VDが、狙いの暗部電位VDからずれてしまうことがある。
これに対して、画像形成装置100を実際に使用して、感光ドラム4の表面電位を検知するものがある。その一例として、転写ローラ11を介して感光ドラム4の表面電位を測定する方法がある。以下、感光ドラム4の表面電位を検知する、表面電位検知手段について、図5を用いて説明する。
図5は、本実施例に係る表面電位検知手段の回路図である。図5に示すように、画像形成装置100は、転写ローラ11に転写電圧を印可する転写電圧印可部11aと、ドラムカートリッジ1の帯電ローラ5に帯電電圧を印可する帯電電圧印可部5aを有する。転写電圧印可部11aと、帯電電圧印可部5aが印可する電圧の大きさは、いずれも可変である。画像形成装置100は、感光ドラム4と転写ローラ11の間に流れる電流を検知する転写電流検知部11bを有する。電流検知部11bには電流計が含まれる。転写電流検知部11bは、電流検知部108に含まれる。表面電位検知手段は、転写電圧の値と、転写ローラ11を介して感光ドラム4に流れる電流(以下、転写電流と記す)を検出、比較することにより感光ドラム4の表面電位を検知する。なお、以下に説明する表面電位検知方法は、感光ドラム1以外の部材の表面電位の検知にも使用できる。
感光ドラム4の暗部電位VDの算出(検知)方法について、図6を用いて説明する。図6は転写電圧と転写電流の関係を説明する図である。パッシェンの法則に従い、感光ドラム4の暗部電位VDに対して、転写ローラ11の転写電圧の差が所定の大きさになると、感光ドラム4と転写ローラ11の間で放電が開始される。放電が開始される転写電圧を、放電開始電圧と呼ぶ。暗部電位VDに対して正の放電開始電圧(第1電圧)をV1、負の放電開始電圧(第2電圧)をV2とする。
暗部電位VDを検知するときには、帯電電圧を一定とし、転写電圧が正の方向に変化される。転写電圧と暗部電位VDとの差が所定の大きさになったタイミングで、放電が開始される。このとき、電流検知部11bが検知する電流が、放電が発生していない状態と比べて、大きく変化し始める。これにより、制御部101は、転写ローラ11と感光ドラム4の間で放電が開始されたことを検知(判断)できる。このように、転写電圧が正の方向に変化され、放電が開始された時の転写電圧が、正の放電開始電圧(第1電圧)V1である。同様に、帯電電圧を一定として、転写電圧が負の方向に変化され、放電が開始された時の転写電圧が、負の放電開始電圧(第2電圧)V2である。上記のように、V1とV2が決定される。
ここで放電が開始される電圧の大きさは、暗部電位VD、感光ドラム4と転写ローラ11の距離、気圧、温度、湿度、感光ドラム4の膜厚(電荷輸送層の厚み)に依存する。
V1と暗部電位VDの電位差と、V2と暗部電位VDの電位差の絶対値は等しくなる。このため、転写電圧と転写電流の関係は、図6のように、暗部電位VDを中心に対称性を持つ。したがって、感光ドラム4の暗部電位VDと放電開始電圧V1、V2には、式(1)の関係がある。
VD=(V1+V2)/2・・・式(1)
以上のように、放電開始電圧V1、V2と感光ドラム4の表面電位の関係を用いて、感光ドラム4の暗部電位VDが算出(検知)される。
また、本実施例では転写電圧を印加した際に、流れる転写電流を検出することにより、感光ドラム4の暗部電位VDを算出した。しかし、暗部電位VDの算出は、特にそれに限られない。例えば一定電流を印加した場合の電圧を検知することで、暗部電位VDを算出する方法でも良い。
以上のように実際の暗部電位VDを検知することを、感光ドラム4の表面電位検知、もしくは単に表面電位検知と呼ぶ。
(帯電電圧の補正量算出)
画像形成装置100の設置場所の気圧や、高圧回路の部品公差により、放電開始電圧がばらついたり、帯電電圧の出力値が狙いからずれたりする場合がある。これにより、帯電電圧の大きさに対する感光ドラム4の暗部電位VDの大きさも狙いの値からずれる場合がある。画像の品質を向上させるためには、帯電電圧印可部5aが帯電ローラ5に印可する電圧の大きさは、暗部電位VDの狙いからのずれが小さくなるような大きさとされることが好ましい。
基準とする帯電電圧(基準帯電電圧)を印加した時の、感光ドラム4の表面電位を基準表面電位(VD基準値)とする。帯電電圧の補正量を算出するために、表面電位検知により検知された感光ドラム4の表面電位(VD検知結果)と、VD基準値の差分を算出する。これを帯電電圧補正量(電圧補正量)とする。
より具体的には、第1のメモリ3aには、基準帯電電圧と、VD基準値が記憶されている。上述のように、本実施例では、基準帯電電圧は-1050Vであり、VD基準値は-500Vである。
電圧補正量を決定する時、制御部101は、第1のメモリ3aに記憶された基準帯電電圧を参照し、帯電電圧印可部5aから帯電ローラ5に基準帯電電圧が印加される。そして表面電位検知手段により、放電開始電圧V1、V2が検知される。放電開始電圧V1、V2に基づいて、VD検知結果として、暗部電位VDが検知される。暗部電位VDが狙いからずれていなければ、VD検知結果は、VD基準値と等しくなる。暗部電位VDが狙いからずれていれば、ずれ量(VD検知結果とVD基準値の差分)を電圧補正量とする。電圧補正量を、基準帯電電圧から差し引くことで補正後電圧(補正後帯電電圧)が決定される(式(2))。
補正後電圧=基準帯電電圧-(VD検知結果-VD基準値)・・・式(2)
この補正後電圧を帯電ローラ5に印加することで、暗部電位VDを狙い値であるVD基準値にすることができ、安定した画像形成が可能となる。電圧補正量は、帯電電圧印可部5aがドラムカートリッジ1の帯電ローラ5に印可する帯電電圧の大きさに関連する第1の値、と呼ぶことができる。本実施例では、制御部101は、放電開始電圧V1、V2に基づいて、電圧補正量を決定する。より具体的には、感光ドラム4の表面電位(VD基準値)と放電開始電圧V1、V2の平均値との差が、表面電位検知の実行前よりも実行後で小さくなるように、電圧補正量が決定される。
制御部101は、電圧補正量を用いて、帯電電圧印可部5aが印可する帯電電圧の大きさを制御する。また、本実施例においては、制御部101は、上記の電圧補正量を、現像カートリッジ2に備えられた第2のメモリ3bに格納するように構成される。
(本実施例における帯電電圧決定フロー)
電圧補正量を用いることで、暗部電位VDを狙いの値に近づけることができる。しかし、電圧補正量を決定するために、感光ドラム4の表面電位検知を実行している時間は、画像形成装置100は記録材Pに対する画像形成動作を行うことができない時間(いわゆるダウンタイム)である。ダウンタイムは短くされることが好ましい。
感光ドラム4の暗部電位VDの値が狙いの値からずれてしまう要因として、放電開始電圧のずれ要因と、帯電電圧のずれ要因がある。放電開始電圧は感光ドラム4の膜厚、環境(温度、湿度)、気圧でずれが生じる。また、帯電電圧出力は高圧回路の部品公差でずれが生じる。
暗部電位VDのずれ要因である気圧要因と高圧回路の部品公差要因は、画像形成装置を使用し続けている間はほぼ不変のずれ量である。そのため、一度電圧補正量が決定された後は、その次に帯電電圧を決定するシーケンスが行われる時に、そのシーケンスの少なくとも一部を省略できる場合がある。例えば、交換したドラムカートリッジ1の感光ドラム4の膜厚と交換時の環境(温度、湿度)が、電圧補正量を決定した時の感光ドラム4の膜厚と環境と同じ場合は、帯電電圧を決定するシーケンスの少なくとも一部を省略できる。気圧要因と高圧回路の部品公差要因が、主な暗部電位VDのずれ要因である場合にも、帯電電圧を決定するシーケンスの少なくとも一部を省略できる。
電圧補正量は、実際にドラムカートリッジ1を画像形成装置100に装着して、画像形成装置100を使用するまで決定できない。しかし、一度決定した電圧補正量を現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに格納しておけば、ドラムカートリッジ1を交換した場合でも、第2のメモリ3bに記録してある電圧補正量を使用して、暗部電位VDを制御できる。
より具体的には、画像形成装置100に装着したドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2で感光ドラム4の表面電位検知を行い、電圧補正量を決定する。電圧補正量は、現像カートッジ2の第2のメモリ3bに記録される。そして、再び帯電電圧を決定するタイミングで、第2のメモリ3bの電圧補正量を参照して、感光ドラム4の表面電位検知を省略する構成とした。
図1は本実施例における帯電電圧の大きさを決定するシーケンス(電圧決定シーケンス)のフローチャートである。電圧決定シーケンスは制御部101によって実行される。電圧決定シーケンスには、電圧補正量を決定する決定シーケンス(補正量決定シーケンス)が含まれる。電圧決定シーケンスにおいて、制御部101は、第2のメモリ3bにアクセスする。電圧補正量が第2のメモリ3bに記憶されている場合には、補正量決定シーケンスの少なくとも一部を省略する。言い換えれば、電圧決定シーケンスの一部が省略される。以下、各構成の動作について詳しく説明する。
画像形成装置100の電源がONされた時、ドラムカートリッジ1や現像カートリッジ2が装置本体100aに装着された時、所定の印刷枚数に達した時などに、制御部101は電圧決定シーケンスを開始する(S101)。
制御部101は、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bを参照する(S102)。そして、第2のメモリ3b内に電圧補正量が格納されているかどうかを確認する(S103)。
第2のメモリ3b内に電圧補正量が格納されている場合は(S103:Y)、第2のメモリ3bから電圧補正量を読み出す(S104)。帯電電圧を電圧補正量により補正し、帯電電圧(補正後電圧)を決定する(S105)。そして電圧決定シーケンスが終了される(S109)。
一方、第2のメモリ3b内に電圧補正量が格納されていない場合(S103:N)、感光ドラム4の表面電位検知が実行される(S106)。得られた検知結果から電圧補正量が決定される(S107)。制御部101は、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに電圧補正量を記録(格納)する。電圧補正量により帯電電圧を補正し、帯電電圧を決定(補正後電圧)する(S105)。そして電圧決定シーケンスが終了される(S109)。
なお、電圧決定シーケンスが終わると同時に、画像形成動作が開始される場合もある。
上記の電圧決定シーケンスのうち、電圧補正量の決定に関連する部分を、補正量決定シーケンスと呼ぶことができる。
電圧補正量を現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに格納することで、現像カートリッジ2を別の画像形成装置に装着した場合においても、補正量決定シーケンスの少なくとも一部を省略して、帯電電圧の補正を行うことができる。
以上説明したように、電圧補正量を現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに格納することで、感光ドラム4を含むドラムカートリッジ1が交換された場合においても、補正量決定シーケンスの少なくとも一部を省略できる。本実施例の場合、補正量決定シーケンスの一部である、感光ドラム4の表面電位検知が省略される。つまり、新たに感光ドラム4の表面電位検知を実行しなくても、電圧補正量を用いて暗部電位VDを制御することができる。それにより、安定した画像形成が可能となると同時に、ダウンタイムを短くすることができる。
なお、補正量決定シーケンスを実行した際の装置本体100a、ドラムカートリッジ1、現像カートリッジ2のそれぞれの識別情報を第1のメモリ3aや第2のメモリ3bに格納してもよい。さらに、それぞれの識別情報が一致したときにだけ、補正量決定シーケンスを省略してもよい。
また、制御部101が、電圧補正量が第2のメモリ3bに格納されていても、補正量決定シーケンスを省略せずに電圧決定シーケンスを実行するモードを別途有していてもよい。
さらに、電圧補正量は、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方に格納されてもよい。つまり、制御部101は補正量決定シーケンスが省略されずに実行された場合に、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方に格納する。これにより、現像カートリッジ2が交換された場合においても、ドラムカートリッジ1の第1のメモリ3aから電圧補正量を読み出すことが可能であるため、新たに感光ドラム4の表面電位検知を実行する必要がなくなる。
[実施例2]
次に本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は感光ドラム4の膜厚の情報、画像形成装置100が設置されている場所の環境情報(温度、湿度)を用いて、感光ドラム4の表面電位の補正精度を更に高めるものである。
尚、実施例1と重複する画像形成装置100、ドラムカートリッジ1、現像カートリッジ2、感光ドラム4の表面電位検知の説明は省略する。
感光ドラム4の暗部電位VDのずれは、感光ドラム4の膜厚(電荷輸送層の厚み)、温度や湿度を含む環境の影響でも生じる場合がある。そのため本実施例では、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに、感光ドラム4の表面電位検知が実行された時の感光ドラム4の膜厚、環境に関連する情報が格納される。つまり、制御部101は補正量決定シーケンスが省略されずに実行された場合に、補正量決定シーケンスが実行された時の感光ドラム4の膜厚、環境に関連する情報を格納する。そして、補正量決定シーケンスが再び実行される時の感光ドラム4の膜厚、環境が、第2のメモリ3bに格納された膜厚、環境と異なる場合、制御部101は、電圧補正量を追加で補正する。
(感光ドラムの膜厚による電圧補正量の算出)
感光ドラムの膜厚による電圧補正量の算出について説明する。
感光ドラム4の膜厚に関する情報は第1のメモリ3aに記録されている。言い換えれば、第1のメモリ3aは、感光ドラム4の膜厚に関連する第1の膜厚情報を格納する。装置本体100aに装着されたドラムカートリッジ1の、第1のメモリ3aに格納された感光ドラム4の膜厚をTf1とする。Tf1は、例えば、感光ドラム4の回転数、回転時間に基づいて算出される。一方、感光ドラム4の表面電位検知が省略されずに補正量決定シーケンスが実行され、電圧補正量が決定された場合に、制御部101は、感光ドラム4の膜厚に関連する情報(第2の膜厚情報)を第2のメモリ3bに格納する。第2のメモリ3bに格納された感光ドラム4の膜厚をTf2とする。感光ドラム4の膜厚に基づく帯電電圧の補正量(厚み補正量)は、以下の式(3)で算出される。本実施例においては膜厚1μmあたり10Vの表面電位変化がある感光ドラム4を用いた。
厚み補正量=(Tf2-Tf1)×10・・・式(3)
補正量決定シーケンスが省略される場合には、厚み補正量を現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに格納されている電圧補正量に加えることで、電圧補正量が追加で補正される。
(環境による電圧補正量の算出)
環境による電圧補正量の算出について説明する。
本実施例において、H/H(高温高湿)環境とは、温度27℃以上かつ相対湿度86%以上の環境である。N/N(常温常湿)環境とは、温度15℃以上27度未満かつ相対湿度45%以上86%未満の環境である。L/L環境(低温低湿)とは、温度15℃未満かつ相対湿度45%未満の環境である。
感光ドラム4の表面電位検知が省略されずに補正量決定シーケンスが実行され、電圧補正量が決定された場合に、制御部101は環境センサ107により検知した環境(環境に関連する情報)を、第2のメモリ3bに格納する。補正量決定シーケンスが省略される場合には、第2のメモリ3bに記録した環境情報と、環境センサ107により検知した環境情報を比較する。そして、比較した環境差に応じて第2のメモリ3bに記録してある電圧補正量を追加で補正する。環境に関する補正量(環境補正量)を表1に示す。
例えば、感光ドラム4の表面電位検知実行時の環境がN/Nであった場合、電圧補正量と環境情報(この場合はN/N)とを一対にして現像カートッジ2の第2のメモリ3bに記録する。
電圧決定シーケンスにおいて、感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングで、環境センサ107により環境(温度、湿度)を検知する。環境センサ107が検知した環境情報と、第2のメモリ3bに記録してある環境情報とを比較して、同一の場合は補正を行わず、異なる場合は表1の補正量により電圧補正量をさらに補正する。
具体的には、感光ドラム4の表面電位検知が実行された時の環境がN/N環境だった場合、N/N環境が基準となる。そして、感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングで、環境がL/L環境である場合は-50Vの補正を追加で行う。感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングで、環境がH/H環境である場合は+20Vの補正を追加で行う。
同様に、感光ドラム4の表面電位検知が実行された時の環境がL/L環境であった場合は、L/L環境が基準となる。感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングで、環境がN/N環境だった場合は+50Vの補正を追加で行う。感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングで、環境がH/Hだった場合は+70Vの補正を追加で行う。
感光ドラム4の表面電位検知が実行された時の環境がH/Hであった場合は、H/H環境が基準となる。感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングで、環境がN/N環境だった場合には-20Vの補正を追加で行い、L/Lだった場合には-70Vの補正を追加で行う。
この環境変化による補正量を現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録してある電圧補正量に加えることで、電圧補正量を追加で補正する。
(本実施例における帯電電圧決定フロー)
図7は本実施例に係る帯電電圧の大きさを決定するシーケンスのフローチャートである。図7を用いて各構成の動作について詳しく説明する。
画像形成装置100の電源がONされた時、ドラムカートリッジ1や現像カートリッジ2が装置本体100aに装着された時、所定の印刷枚数に達した時などに、制御部101は電圧決定シーケンスを開始する(S201)。制御部101は、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bを参照する(S202)。制御部101は、第2のメモリ3b内に感光ドラム4の表面電位検知をした時の電圧補正量、感光ドラム4の膜厚情報、環境情報があるか否か確認する(S203)。
第2のメモリ3b内に感光ドラム4の表面電位検知をした時の電圧補正量、感光ドラム4の膜厚情報、環境情報がある場合(S203:Y)、電圧補正量を決定する補正量決定シーケンスの少なくとも一部が省略される。より具体的には、感光ドラム4の表面電位検知が省略される。そして、制御部101は、ドラムカートリッジ1の第1のメモリ3aを参照する(S204)。次に、第1のメモリ3aに記録されている感光ドラム4の膜厚情報(Tf1)と、第2のメモリ3bに記録されている感光ドラム4の膜厚情報(Tf2)が同じかどうかを判定する(S205)。
本実施例では、第1のメモリ3aに記録されている感光ドラム4の膜厚情報と、第2のメモリ3bに記録されている感光ドラム4の膜厚情報が同じ場合(S205:Y)、膜厚に基づく追加の補正は行われない。
次に、第1のメモリ3aに記録されている感光ドラム4の膜厚情報と、第2のメモリ3bに記録されている感光ドラム4の膜厚情報が異なる場合(S205:N)について説明する。この場合、第1のメモリ3aに記録されている感光ドラム4の膜厚情報と、第2のメモリ3bに記録されている感光ドラム4の膜厚情報の差分(以下、膜厚差分)が算出される(S206)。膜厚差分に基づいて、厚み補正量が算出され、第2のメモリ3bに記録されている電圧補正量が補正される。補正された電圧補正量は、第2のメモリ3bに格納される(S207)。
なお、制御部101を、膜厚差分がない場合でも、厚み補正量を算出するように構成してもよい。ただし、この場合、厚み補正量は実質ゼロとなる。制御部101がこのように構成される場合、第1のメモリ3aに記録されている感光ドラム4の膜厚情報と、第2のメモリ3bに記録されている感光ドラム4の膜厚情報が同じかどうかの判定を省略することもできる。
次に、制御部101は、環境センサ107が検知した温度、湿度を含む環境に関する環境情報を、環境センサ107から取得する(S208)。そして、制御部101は、環境センサ107から取得した環境情報と、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録されている環境情報が同じかどうかを判定する(S209)。
環境センサ107から取得した環境情報と、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録されている環境情報が同じ場合(S209:Y)、環境情報に基づく追加の補正は行わない。この場合、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録されている電圧補正量を読み出す(S212)。そして、制御部101は、帯電電圧を補正し、帯電ローラ5に印加する帯電電圧を決定する(S213)。
環境センサ107から取得した環境情報と、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録されている環境情報が異なる場合(S209:N)、両者の差分(環境差分)を算出する(S210)。制御部101は、環境差分に応じて電圧補正量を補正し、電圧補正量を第2のメモリ3bに格納する(S211)。この場合、追加で補正された電圧補正量を用いて帯電電圧を補正し、帯電ローラ5に印加する帯電電圧を決定する(S213)。
なお、制御部101を、環境差分がない場合でも、環境補正量を算出するように構成してもよい。ただし、この場合、環境補正量は実質ゼロとなる。制御部101がこのように構成される場合、環境センサ107から取得した環境情報と、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録されている環境情報が同じかどうかの判定を省略することもできる。
一方、第2のメモリ3b内に感光ドラム4の表面電位検知をした時の電圧補正量、感光ドラム4の膜厚情報、環境情報がない場合(S203:N)、感光ドラム4の表面電位検知が省略されずに、補正量決定シーケンスが実行される(S214)。制御部101は、得られた検知結果から帯電電圧の電圧補正量を算出する(S215)。制御部101は、環境センサ107により温度、湿度の環境情報を取得する(S216)。次いで、制御部101は、ドラムカートリッジ1の第1のメモリ3aを参照し(S217)、感光ドラム4の膜厚情報を取得する(S218)。制御部101は、S215で算出した電圧補正量、S216で取得した環境情報、S218で取得した膜厚情報を、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに記録する(S219)。制御部101は、電圧補正量を用いて帯電電圧を補正し、帯電ローラ5に印加する帯電電圧を決定する(S213)。
帯電ローラに印可される帯電電圧が決定された後、電圧決定シーケンスが終了される(S220)。
以上説明したように、現像カートリッジ2のメモリ3bに記録してある感光ドラム4の膜厚情報および環境情報と、感光ドラム4の表面電位検知を実行するかどうか判断するタイミングでの感光ドラム4の膜厚情報および環境情報と比較する。比較した情報が異なった場合に電圧補正量を追加で補正することで、感光ドラム4の暗部電位VDを狙いの値に近づけることができる。比較した情報が同じ場合は、補正を省略する。それにより安定した画像形成が可能となると同時に、ダウンタイムを短くすることが可能となる。
なお、上述の例では、制御部101が感光ドラム4の膜厚に基づく補正、環境に基づく補正の両方を実行するように構成した。しかし、制御部101が感光ドラム4の膜厚に基づく補正、環境に基づく補正のいずれか一方を実行するように構成してもよい。
[実施例3]
次に本発明の第3の実施例について説明する。尚、実施例1、実施例2と重複する画像形成装置、ドラムカートリッジ、現像カートリッジ、感光ドラム4の表面電位検知手段の説明は省略する。
本実施例においては、電圧補正量は、ドラムカートリッジ1の第1のメモリ3aと、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bの両方に記憶される。なお、電圧補正量は、実施例1または実施例2で述べた補正量決定シーケンスによって決定される。つまり、制御部101は補正量決定シーケンスが省略されずに実行された場合に、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方に格納する。これにより、現像カートリッジ2が交換された場合においても、ドラムカートリッジ1の第1のメモリ3aから電圧補正量を読み出すことが可能であるため、新たに感光ドラム4の表面電位検知を実行する必要がなくなる。
また、第1のメモリ3aと第2のメモリ3bの一方に電圧補正量が格納され、第1のメモリ3aと第2のメモリ3bの他方に電圧補正量が格納されていない場合は、電圧補正量が記録されていないメモリに、電圧補正量が複製される。つまり、制御部101は、第1のメモリ3aと第2のメモリ3bの一方に格納された電圧補正量を複製して、第1のメモリ3aと第2のメモリ3bの他方に格納する。これにより、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bから電圧補正量が失われることを抑制できる。したがって、ドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2のいずれかが交換された場合でも、補正量決定シーケンスの一部を省略できる。つまり、感光ドラム4の表面電位検知を行う必要がなくなる。
(本実施例における帯電電圧決定フロー)
図8は本実施例に係る帯電電圧の大きさを決定するシーケンスのフローチャートである。図8を用いて各構成の動作について詳しく説明する。
画像形成装置100の電源がONされた時、ドラムカートリッジ1や現像カートリッジ2が装置本体100aに装着された時、所定の印刷枚数に達した時などに、制御部101は電圧決定シーケンスを開始する(S301)。制御部101は、ドラムカートリッジ1の第1のメモリ3aと、現像カートリッジ2の第2のメモリ3bに格納された情報を参照する(S302)。制御部101は、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方に電圧補正量が格納されているかどうかを判定する(S303)。
第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方に電圧補正量が格納されている場合(S303:Y)、電圧補正量が読み出される(S305)。そして、帯電電圧が補正され、帯電ローラ5に印加する帯電電圧が決定される(S306)。
第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方には電圧補正量が格納されていない場合(S303:N)、制御部101は、第1のメモリ3aと第2のメモリ3bのどちらか一方に電圧補正量が格納されているか判定する(S307)。
第1のメモリ3aと第2のメモリ3bのどちらか一方に電圧補正量が格納されている場合(S307:Y)、制御部101は、電圧補正量が格納されたメモリから電圧補正量が格納されていないメモリへ電圧補正量を複製する(S304)。そして、メモリ内の電圧補正量を参照し(S305)、帯電電圧を補正し、帯電ローラ5に印加する帯電電圧を決定する(S306)。
第1のメモリ3aと第2のメモリ3bのどちらにも電圧補正量の記録が無い場合(S307:N)、制御部101は、感光ドラム4の表面電位検知を省略せず、補正量決定シーケンスを実行する(S308)。制御部101は、得られた検知結果から電圧補正量を算出する(S309)。制御部101は、第1のメモリ3aと第2のメモリ3bに電圧補正量を記録する(S310)。そして、制御部101は、メモリ内の電圧補正量を参照し(S305)、帯電電圧を補正し、帯電ローラ5に印加する帯電電圧を決定する(S306)。
S306で帯電ローラ5に印加する帯電電圧が決定された後、電圧決定シーケンスが終了される(S311)。
以上説明したように、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bの両方に帯電電圧を格納し、かつ片方のメモリに電圧補正量の記録が無い場合に、もう片方のメモリから電圧補正量を複製する。これにより、第1のメモリ3aと、第2のメモリ3bから電圧補正量が失われることを抑制できる。したがって、ドラムカートリッジ1と現像カートリッジ2のいずれかが交換された場合でも、新たに感光ドラム4の表面電位検知を行う必要がなくなる。そのため、安定した画像形成が可能となると同時にダウンタイムを短くすることができる。
(変形例)
上記各実施例において、帯電電圧印可部5aがドラムカートリッジ1の帯電ローラ5に印可する帯電電圧の大きさに関連する第1の値としての電圧補正量を、補正量決定シーケンスで決定した。しかし、帯電電圧の大きさに関連する第1の値として、補正後帯電電圧が第2のメモリ2bに格納されるものであってもよい。この場合、電圧決定シーケンスにおいて、制御部101は、第2のメモリ3bにアクセスし、電圧補正量が第2のメモリ3bに記憶されている場合には、補正後帯電電圧を決定する決定シーケンスの少なくとも一部を省略するように構成される。
上述の各実施例は必要に応じて適宜組み合わせることができる。