JP2022092658A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光ドラムの感光層の厚さ(膜厚)の検知精度を向上させられる構成を提供する。【解決手段】制御部は、電源により複数の異なる直流電圧を帯電ローラに印加し、それぞれ電流検知部により帯電ローラに流れる電流を検知することで電流と電圧との関係であるI-V特性を導く膜厚検知モードを実行可能である。そして、制御部は、膜厚検知モード実行時に環境センサにより検知した温度が第1の温度である場合と、第1の温度よりも高い第2の温度である場合とで、I-V特性の傾きが同じである場合に、第1の温度である場合の方が感光層の厚さを小さく算出する。【選択図】図6
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。
画像形成装置では、感光層を有する感光ドラムなどの感光体を帯電させ、その表面に静電潜像を形成し、更にその静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする。そして、このように形成されたトナー像を記録材に転写する。このような構成において、感光体の感光層は使用により削れるため、感光層の厚さ(膜厚)が所定の厚さ以下になった場合に、感光体を交換するようにしていた。
このような膜厚を検知する技術として、例えば、特許文献1には、帯電部材へ流れる直流成分の電流に基づいて検知する膜厚検知手段が開示されている。
ここで、帯電部材に流れる直流電流に基づいて膜厚を検知する方式では、直流電流の検知タイミングでの感光体及び帯電部材の温度又は近傍の雰囲気温度の変化に伴い、検知電流が変化してしまうことが、本発明者らの検討により明らかとなった。このため、温度変化を考慮せずに帯電部材に流れる直流電流により膜厚を検知した場合、膜厚の検知精度を十分に確保しにくい。
本発明は、感光体の感光層の厚さの検知精度を向上させられる構成を提供することを目的とする。
本発明の画像形成装置は、感光層を有する感光体と、前記感光体に接触して前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に直流電圧を印加可能な電源と、前記帯電部材に流れる電流を検知可能な電流検知手段と、温度を検知可能な温度検知手段と、前記電源により複数の異なる直流電圧を印加し、それぞれ前記電流検知手段により電流を検知することで電流と電圧との関係であるI-V特性を導くモードを実行可能な実行部と、前記モード実行時に前記温度検知手段により検知した温度が第1の温度である場合と、前記第1の温度よりも高い第2の温度である場合とで、前記I-V特性の傾きが同じである場合に、前記第1の温度である場合の方が前記感光層の厚さを小さく算出する算出部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、感光体の感光層の厚さの検知精度を向上させられる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置100は、転写式電子写真プロセスを利用したレーザビームプリンタである。画像形成装置100は、像担持体又は感光体としての感光ドラム2、帯電部材としての帯電ローラ1、露光装置3、現像装置4、転写部材としての転写ローラ5、クリーニング装置6、前露光装置12、定着装置7などを備える。
本実施形態の画像形成装置100は、転写式電子写真プロセスを利用したレーザビームプリンタである。画像形成装置100は、像担持体又は感光体としての感光ドラム2、帯電部材としての帯電ローラ1、露光装置3、現像装置4、転写部材としての転写ローラ5、クリーニング装置6、前露光装置12、定着装置7などを備える。
感光ドラム2は、矢示aの時計方向に、例えばプロセススピード(回転周速度)320mm/secで回転駆動される。本実施形態の感光ドラム2は、例えば、直径30mmのアルミニウム製のドラム2b(導電性ドラム基体)の外周にOPC(有機感光体)の層である感光層2aを塗工形成したものである。感光層2aは、電荷発生層の上に、例えば厚さd=20μmの電荷輸送層(Carrier Transfer Layer:以下、CT層と記す)を配置したものである。本実施形態ではこのCT層のバインダーとしてポリカーボネート樹脂を用いており、使用によってCT層は少しずつ削れが生じて厚みが減少していく。
帯電ローラ1は、電源8及び電流検知手段としての電流検知部27と共に帯電装置13を構成している。本実施形態の帯電ローラ1は、芯金1aと、その周囲に形成した導電性を有する弾性層としての導電性ゴム層1bと、更にその外周に形成した高抵抗層1cからなる。
帯電ローラ1は、芯金1aの両端部が軸受により不図示のフレームに回転自在に支持され、感光ドラム2と互いの回転軸線方向が略平行となるように配置されている。そして、帯電ローラ1の外周面を感光ドラム2の外周面に押圧するように接触させてあり、本実施形態の場合、帯電ローラ1は感光ドラム2の回転駆動に伴い従動回転する。
電源8は、帯電ローラ1に対して帯電バイアスを印加する電源である。帯電ローラ1は、電源8により芯金1aを介して所定の帯電バイアスが印加されることで、回転している感光ドラム2の表面を帯電させる。具体的には、感光層2aの外周面を所定の極性・電位に接触帯電処理する。
帯電ローラ1の外周の高抵抗層1cは、感光層2aにピンホール等の低耐圧欠陥部が存在もしくは発生した場合にこの部分に帯電電流が集中して帯電ローラ表面の電位が降下して横筋状の帯電不良を生じるのを防ぐ役目を有する。
電流検知部27は、電流計であり、電源8から帯電ローラ1に流れる電流を検知可能である。電源8は、制御部25により制御され、制御部25の指令により帯電ローラ1に所定の電圧を印加可能である。また、電流検知部27により検知された電流値(出力値)は、制御部25に送られる。制御部25に関する構成等については後述する。
露光装置3は、原稿読取装置やパーソナルコンピュータなどの外部端末から入力された画像情報に基づいてレーザ光Lを照射するレーザビームスキャナである。即ち、露光装置3は、回転する感光ドラム2の帯電処理面に、レーザ光L(目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に応じて強度変調されたレーザ光)による走査露光を行う。この結果、感光ドラム2の表面の露光部分が除電されて感光ドラム2の表面に画像情報の静電潜像が形成される。
現像装置4は、トナー及びキャリアを含む現像剤を収容し、トナーにより感光ドラム2の表面に形成された静電潜像を現像し、トナー像として可視化する。これにより、感光ドラム2の表面にはトナー像が形成される。
このように感光ドラム2の表面に形成されたトナー像は、転写ローラ5の位置にて、不図示の給送機構から感光ドラム2と転写ローラ5との圧接ニップ部(転写部)に所定のタイミングで給送された用紙などの記録材9の表面に転写される。本実施形態では、転写ローラ5に対して転写バイアス印加電源10により3kVの転写バイアスを印加することで、感光ドラム2から記録材9にトナー像を転写している。なお、記録材としては、用紙、プラスチックシートなどのシートが挙げられる。
転写部を通った記録材9は、感光ドラム2の表面から分離されて定着装置7へ送られる。そして、定着装置7において加圧・加熱されることにより、トナー像が記録材9に定着され、画像形成物として出力される。
記録材9に対するトナー像の転写後の感光ドラム2の表面は、クリーニング装置6のクリーニングブレード(本実施形態では、ウレタンゴム製のカウンタブレード)により転写残りトナーや紙粉等の付着汚染物のかき落し除去を受けて清掃される。そして、次の画像形成に備える。
本実施形態の画像形成装置100は、感光ドラム2、帯電ローラ1、クリーニング装置6の3つのプロセス機器を画像形成装置100の装置本体に対して一括して着脱交換自在のドラムカートリッジ11とした、カートリッジ着脱方式としている。なお、現像装置4も一体に着脱可能なプレセスカートリッジとしても良い。
[感光層の厚さ(膜厚)検知]
図2は、帯電ローラ1に対する印加電圧を直流電圧(DC電圧)のみにして、被帯電体面(例えば感光ドラム2の表面)の帯電を行う帯電方式(以下、DC帯電と記す)において、印加電圧と被帯電体面の表面電位との関係を示したものである。接触帯電は、帯電ローラ1から被帯電体への放電によって行なわれるため、帯電ローラ1に或るしきい値電圧以上のDC電圧を印加することによって被帯電体の帯電が開始される。
図2は、帯電ローラ1に対する印加電圧を直流電圧(DC電圧)のみにして、被帯電体面(例えば感光ドラム2の表面)の帯電を行う帯電方式(以下、DC帯電と記す)において、印加電圧と被帯電体面の表面電位との関係を示したものである。接触帯電は、帯電ローラ1から被帯電体への放電によって行なわれるため、帯電ローラ1に或るしきい値電圧以上のDC電圧を印加することによって被帯電体の帯電が開始される。
具体例を示すと、被帯電体として、厚さ20μmの感光層2aを有する感光ドラム2の表面に対して帯電ローラ1を加圧当接させた場合には、図2に示すように約560V以上のDC電圧を帯電ローラ1に印加すれば感光ドラム2の表面電位が上昇し始める。そして、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光ドラム2の表面電位が増加していく。上記の感光ドラム2の表面電位が上昇し始める約560Vの印加DC電圧値が、感光ドラム2についての帯電開始電圧Vthである。
つまり、帯電ローラ1にDC電圧を印加した場合、感光ドラム2の帯電は印加電圧が帯電開始電圧Vth以上で帯電を開始し、それ以降は印加電圧の増加分ΔVと同じ割合で線形に感光ドラム2の表面電位は上昇する(ΔVd)。ここで仮に、印加電圧VがVth以下の領域をA領域、Vth以上をB領域と呼ぶことにする。このうちA領域は印加電圧が少なく空気層に分割される電圧が、パッシェンの法則に基づく絶縁破壊電圧を超える事ができないために帯電が行われていない事から本制御には無関係の領域である。
一方、B領域に関しては、実際に帯電ローラ1から感光ドラム2への放電が行われており、印加電圧Vと感光ドラム2の表面電位Vdとは、感光ドラム2の膜厚や環境に関わらず、傾き1で線形に増加するためΔV=ΔVdである。これに対し、図3で表されるように、印加電圧Vと帯電電流Iの関係を表すグラフは、A領域で帯電しない事に関しては同じであるが、B領域では感光ドラム2の感光層2aの厚さ、即ち、膜厚Dによって傾きが変化する。これは、膜厚Dによって、同じVdにまで帯電するために必要な帯電電流Iが異なる事を示している。
そこで、本実施形態においては、感光ドラム2の一次帯電部材としての帯電ローラ1を感光層2aの膜厚検知用の電極部材として兼用するようにしている。本実施形態では、実行部としての制御部25が、電源8により複数の異なる直流電圧を印加し、それぞれ電流検知手段としての電流検知部27により電流を検知することで電流と電圧との関係であるI-V特性を導くモード(膜厚検知モード)を実行可能である。そして、算出部でもある制御部25が、I-V特性から膜厚を算出する。
具体的には、B領域において帯電ローラ1への印加電圧Vとその時に流れる帯電電流Iを4点で測定し、この関係からI-V特性(横軸をDC電流I、縦軸を印加電圧Vとする)の直線の傾きを算出し、感光層2aの厚さを検知するものとする。なお、本実施形態では初期膜厚20μmの感光層2aを用いるため、初期のVthは560Vであり、感光層2aが削れるに従ってVthは減少するため印加電圧560V以上であればB領域であるとみなすことができる。
なお、IとVdを測定する事によっても同様に膜厚を検知する事が可能である。但し、Vdの測定には、画像形成装置の装置本体に感光ドラムの表面電位を測定するための測定器を別に設けたり、別の電源等のハードが必要になる。
以上の制御を行う際の条件であるが、測定時に感光ドラム2の電位はある決まった値でないと帯電電位と帯電電流の関係が明らかにならないため、前露光装置12により感光ドラム2の表面電位を除電した状態で測定を行う。また、それぞれの電圧を印加する時間は、ノイズの影響等を除去するために感光ドラム2の1回転分ずつとし、この間に測定される電流を平均している。また、本制御による感光層2aの膜厚測定は、画像形成終了後の後回転時に行っており、画像形成に悪影響を与えないようなシーケンスになっている。
本制御を行うためには、予めI-V特性の傾きと感光層2aの膜厚Dの関係を測定する必要がある。そこで、感光層2aの膜厚Dがそれぞれ18μm、20μm、22μm、24μmである感光ドラム2を用いて測定を行った。図4は、その内の代表例として、感光層2aの膜厚Dが18μm、20μm、22μmの場合のI-V特性を示した。また、上記の4つの膜厚に対するI-V特性の傾きを基にして、膜厚DとI-V特性の傾きの関係をグラフにしたものを図5に示した。
さらに、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、膜厚DとI-V特性の傾きの関係から膜厚を検知する方式では、検知タイミングでの感光層2a及び帯電ローラ1の温度またはその近傍の雰囲気温度が、I-V特性の傾きに大きく寄与することが分かった。また、湿度情報は用いず、環境センサ30(後述する図8)からの検知温度との相関性に基づいて膜厚を検知することで検知精度が著しく向上することを見出した。
そこで、本実施形態では、膜厚検知モード実行時に温度検知手段としての環境センサ30により温度を検知可能としている。そして、制御部25は、検知した温度が第1の温度である場合と、第1の温度よりも高い第2の温度である場合とで、I-V特性の傾きが同じである場合に、第1の温度である場合の方が感光層2aの厚さ(膜厚)を小さく算出する。
図6は、厚さ20μmの感光層2aに対して、感光層2a及び帯電ローラ1近傍の雰囲気温度をそれぞれ2.5℃、15℃、23℃、30℃とした時の膜厚DとI-V特性の傾きの関係をグラフにしたものである。
図6から膜厚Dの変化量が等しくても、雰囲気温度が高い時ほどI-V特性の傾きの変化量が小さいことがわかる。したがって、図6から、I-V特性の傾きが同じである場合、温度が低い方が膜厚Dを小さいことが分かる。例えば、第1の温度を2.5℃、第2の温度を30℃とした場合、I-V特性の傾きが9のときの膜厚は、2.5℃である場合の方が小さくなっている。
さらに、このI-V特性の傾きの変化量に対する膜厚Dの変化量(傾き)と切片は、雰囲気温度Tと高い相関性があり、膜厚Dは次の式1により算出可能であることを見出した。
D=(a×T+b)×A_iv+(c×T+d) ・・・(式1)
D:膜厚
A_iv:本体膜厚検知時のI-V特性の傾き
T:膜厚検知モード開始時の機内温度(℃)
a,b,c,d:I-V特性傾きと膜厚D特性と温度Tとの相関から算出された定数
D=(a×T+b)×A_iv+(c×T+d) ・・・(式1)
D:膜厚
A_iv:本体膜厚検知時のI-V特性の傾き
T:膜厚検知モード開始時の機内温度(℃)
a,b,c,d:I-V特性傾きと膜厚D特性と温度Tとの相関から算出された定数
即ち、式1のうち、「a×T+b」は、図6のグラフの傾きであり、「c×T+d」は切片である。これらの定数a、b、c、dは、例えば工場からの出荷時に設定されるものであり、装置によって予め決まった値である。本実施形態の画像形成装置100では、定数a、b、c、dはそれぞれa=0.017、b=2.128、c=-0.064、d=1.5574である。
上述のように、本実施形態では、制御部25は、帯電ローラ1に印加する印加電圧と、これによって流れる帯電電流とによりI-V特性の傾きを算出する。そして、検知タイミングでの感光ドラム2及び帯電ローラ1の温度またはその近傍の雰囲気温度とから感光ドラム2の膜厚Dを算出している。
より具体的には、制御部25は、先ず、前露光装置12により、感光ドラム2の表面電位を所定の電位(ここでは80V)まで低下させる。これは、感光ドラム2の表面電位が、所定電位から変動すると帯電電圧と帯電電流との関係が明らかにならないからである。感光ドラム2の表面電位を80Vにした後、図7に示すように、帯電開始電圧(放電開始電圧)Vth(ここでは560V)以上の4つの直流電圧DC1、DC2、DC3、DC4を帯電ローラ1に印加する。そして、それぞれに流れる電流Idc1、Idc2、Idc3、Idc4を測定する。図7のように得られたI-V特性から、傾きA_ivは次の式2によって表される
・・・(式2)
上述の式2において、制御部25は、I-V特性から傾きA_ivを算出する。即ち、制御部25は、帯電ローラ1に印加する電圧と、これによって流れる電流を測定して感光ドラム2の膜厚Dを算出するのに必要なI-V特性の傾きA_ivを算出している。したがって、画像形成装置100に、感光ドラム2の表面電位を測定するための測定器等を設ける必要がなく、部品点数の削減及び装置の小型化が図れる。
また、制御部25は、この傾きA_ivと、本体内の環境センサ30から検知される感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度から、上述の式1により感光ドラム2の膜厚Dを算出する。
より詳細には、図8に示すように、制御部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)26、ROM(Read Only Memory)23、RAM(Random Access Memory)24を有している。CPU26は、画像形成装置の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。ROM23は、各部を制御するプログラムを記憶する。RAM24は、データを一時的に記憶する。更に、制御部25は、外部と信号を入出力する入出力回路(I/F)22を備えている。
CPU26は、入出力回路22を介して、記録材をカセットから給送する給送部、記録材に画像形成を行う画像形成部、記録材を搬送する搬送部、記録材を機外に排出する排出部、装置を操作するための操作部31に接続されている。そして、各部と信号をやり取りすると共に動作を制御する。また、CPU26は、入出力回路22を介して、画像形成装置100の装置本体内に設置された環境センサ30、帯電ローラ1の電源8、電流検知部27に接続されている。
操作部31は、例えば、装置本体の前面に配置され、液晶パネルなどの表示部32を有し、表示部32には、各種情報を表示可能である。例えば、報知手段でもある表示部32は、上述のように制御部25により算出した感光層2aの厚さ(膜厚)が所定の厚さ以下となった場合に、感光ドラム2の交換に関する情報を報知する。例えば、膜厚Dが所定の厚さとして18μm以下となったら、ドラムカートリッジ11を交換する旨の表示を行う。なお、報知手段は、LEDなどの発光部でも良く、この場合、感光ドラム2の交換に対応するように発光部を点灯させる。
次に、上述した膜厚検知モードにより感光層2aの膜厚Dを算出する手順について、図9のフローチャート及び図10のタイムチャートに沿って説明する。概略を説明すると、まず、感光ドラム2と帯電ローラ1に対し電圧を印加した時の電源8から帯電ローラ1に流れる電流値を測定することでI-V特性の傾きA_ivを算出する。さらにその測定タイミングで環境センサ30から検知された感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度から感光ドラム2の膜厚Dを算出する。
図9及び図10に沿って説明する。まず、膜厚検知モードを実行する際には、感光ドラム2の駆動を開始する(図9のS1、図10のt1)。なお、後回転時など感光ドラム2が既に回転している場合には、回転を継続させる。次に、前露光装置(除電部)12により、感光ドラム2の除電を開始する(図9のS2、図10のt1)。そして、環境センサ30により感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度Tを検知する(図9のS3、図10のt1)。
感光ドラム2の回転速度が安定した状態で、電源(電圧印加部)8により帯電ローラ1を介して第1の帯電電圧DC1(例えば、760V)を印加する(図9のS4、図10のt2~t4)。第1の帯電電圧DC1を印加してから、電圧が安定した状態で電流検知部27により帯電電流Idc1を測定する(図9のS5、図10のt3~t4)。ここでの測定結果は、例えば、19.5uAであったとする。
なお、第1の帯電電流Idc1、後述する第2、第3及び第4の帯電電流Idc2,Idc3,Idc4の計測は、感光ドラム2や帯電ローラ1の周方向の電流変動分があるため、少なくとも感光ドラム2の1周分以上の計測が好ましい。但し、これには限られないのは言うまでもない。
次に、電源8により帯電ローラ1を介して第2の帯電電圧DC2(例えば、910V)を印加する(図9のS6、図10のt4~t6)。第2の帯電電圧DC2を印加してから、電圧が安定した状態で電流検知部27により帯電電流Idc2を測定する(図9のS7、図10のt5~t6)。ここでの測定結果は、例えば、34.3uAであったとする。
次に、電源8により帯電ローラ1を介して第3の帯電電圧DC3(例えば、1110V)を印加する(図9のS8、図10のt6~t8)。第3の帯電電圧DC3を印加してから、電圧が安定した状態で電流検知部27により帯電電流Idc3を測定する(図9のS9、図10のt7~t8)。ここでの測定結果は、例えば、54.0uAであったとする。
更に、電源8により帯電ローラ1を介して第4の帯電電圧DC4(例えば、1310V)を印加する(図9のS10、図10のt8~t10)。第4の帯電電圧DC4を印加してから、電圧が安定した状態で電流検知部27により帯電電流Idc4を測定する(図9のS11、図10のt8~t10)。ここでの測定結果は、例えば、73.7uAであったとする。
4回の電流測定後、感光ドラム2の表面を前露光装置12により除電してから除電を停止し(図9のS12、図10のt11)、駆動部(例えばモータ)による感光ドラム2の駆動を停止する(図9のS13、図10のt11)。そして、制御部25は、各帯電電圧DC1~DC4とその時の各帯電電流Idc1~Idc4とから、上述の式2において、I-V特性の傾きA_ivを算出する(図9のS14)。
次に、制御部25は、上述の式1で示される予めの実験により求められROM23に記憶された定数a、b、c、dを読み出す。そして、I-V特性の傾きA_ivと、制御発動時の感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度Tとから、式1を用いて感光層2aの膜厚Dを算出する(図9のS15)。上述したように、本実施形態では、定数a、b、c、dはそれぞれa=0.017、b=2.128、c=-0.064、d=1.5574である。
本実施例では、図6の膜厚DとI-V特性の傾きA_ivと制御発動時の感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度Tとの関係を、制御部25のROM23に記憶させておく。そして、得られたI-V特性の傾きA_ivと検知温度Tとから感光層2aの膜厚Dが計算できるような構成になっている。
例えば、I-V特性の傾きA_ivが、検知温度Tが23℃の環境で良好な画像が得られる膜厚Dの下限である18μmに相当する7.14V/μAを下回った場合に、表示部32に寿命到達を視認できる表示を点灯させる。この寿命表示によりオペレータは感光ドラム2が寿命に達したことを認識して、本実施形態の場合はドラムカートリッジ11の新旧交換を行なうものである。
このように本実施形態では、環境センサ30により検知した温度を用いることで、感光層2aの厚さの検知精度を向上させられる。この結果、感光ドラム2の寿命を精度よく検知でき、例えば、感光層2aが使用限界に達しているにも拘らず使用されることによる帯電不良や画像不良の発生を防止することができる。
実際に温度、湿度がそれぞれ23℃、50%の環境において試験を行い、20万枚のシートに画像形成した時点で本制御を行った。この場合、I-V特性の傾きA_ivが7.14V/μAとなり、予め設定された値を下回ったため、表示部32に寿命到達の表示がされた。この時点で、感光層2aの膜厚Dを測定したところ約17.7μmであり、本制御が妥当である事が証明された。
このように、本実施形態では、帯電ローラ1に印加する電圧Vと、このときに流れる帯電電流Iを測定する事によりI-V特性の傾きA_ivを測定し、併せて制御発動時の感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度Tを測定している。そして、上述の式1を用いて感光層2aの膜厚Dを検知するようにしている。この結果、感光層2aの膜厚(寿命)検知を、新たに特別な装置構成等を用いることなく、簡単な装置・回路構成で精度良く行うことができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、所定のタイミングで膜厚検知モードを実行し、その時に算出された膜厚Dが所定の厚さ以下となった場合に、感光ドラム2の寿命であると判断した。これに対して本実施形態では、感光ドラム2の寿命を、交換から間もないタイミングで検知された膜厚Dを基準として、その後、所定のタイミング毎に実施される膜厚検知モードによる膜厚Dの検知結果との変動量から判断する。各部の構成は第1の実施形態と同様であるため、同じ構成については同じ符号を付して、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、所定のタイミングで膜厚検知モードを実行し、その時に算出された膜厚Dが所定の厚さ以下となった場合に、感光ドラム2の寿命であると判断した。これに対して本実施形態では、感光ドラム2の寿命を、交換から間もないタイミングで検知された膜厚Dを基準として、その後、所定のタイミング毎に実施される膜厚検知モードによる膜厚Dの検知結果との変動量から判断する。各部の構成は第1の実施形態と同様であるため、同じ構成については同じ符号を付して、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図6の膜厚DとI-V特性の傾きA_ivと制御発動時の感光ドラム2及び帯電ローラ1の近傍の雰囲気温度Tとの関係を制御部25のROM23に記憶させておく。そして、ドラムカートリッジ11が交換されてから間もないタイミングで得られたI-V特性の傾きA_ivと検知温度Tとから感光ドラム2の初期の膜厚D_intが計算できるような構成になっている。そして、表示部32は、制御部25により算出した感光層2aの厚さと、初期の感光層2aの厚さとの差分が所定の値を上回った場合に、第1の実施形態と同様に、感光ドラム2の交換に関する情報を報知する。
例えば、検知温度Tが15℃の環境で初期の感光層2aの膜厚D_intを測定した時、I-V特性の傾きA_ivは8.16V/μAであり、式1から算出される感光層2aの初期の膜厚D_intは20μmであった。その後、23℃、50%の環境において試験を行い、20万枚のシートに画像形成を行った時点で本制御を行ったところ、傾きA_ivが7.14V/μAとなり、式1から算出される感光層2aの使用後膜厚D_endは18μmと算出された。
この時、感光層2aの膜厚Dの初期からの変動量ΔDは次の式3によって表される。
ΔD=D_end-D_int ・・・(式3)
ΔD:初期からの膜厚変動量
D_end:使用後の膜厚
D_int:初期の膜厚
ΔD=D_end-D_int ・・・(式3)
ΔD:初期からの膜厚変動量
D_end:使用後の膜厚
D_int:初期の膜厚
本実施形態では、膜厚Dの初期からの変動量(差分)が、良好な画像が得られる変動量である2μm(所定の値)を上回った場合に、表示部32に寿命到達を視認できる表示を点灯させる構成になっている。この寿命表示によりオペレータは感光ドラム2が寿命に達したことを認識して、本例の場合はドラムカートリッジ11の新旧交換を行なう。
また、使用限界の膜厚変動量(所定の値)ΔDlimitに対し、現在の膜厚変動量ΔDの比率LF(%)は次の式4によって表される。
LF(%)=ΔD/ΔDlimit×100 ・・・(式4)
LF(%):現在の膜厚変動量ΔDの比率
ΔD:初期からの膜厚変動量
ΔDlimit:使用限界の膜厚変動量
LF(%)=ΔD/ΔDlimit×100 ・・・(式4)
LF(%):現在の膜厚変動量ΔDの比率
ΔD:初期からの膜厚変動量
ΔDlimit:使用限界の膜厚変動量
本実施例では、上記の使用限界の膜厚変動量ΔDlimitを2μmとしたため、23℃、50%の環境において20万枚の耐久試験を行った時点でΔDが2μmとなり、LF(%)は100%に達した。
このように本実施形態では、ドラムカートリッジ11の寿命を、交換から間もないタイミングで検知された初期の膜厚Dを基準として、その後、所定のタイミング毎に実施される膜厚検知モードによる膜厚Dの検知結果との変動量から判断している。これにより、第1の実施形態と同様に、感光層2aの膜厚(寿命)検知を、新たに特別な装置構成等を用いることなく、簡単な装置・回路構成で精度良く行うことができる。
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。例えば、膜厚検知時に帯電ローラ1に印加する電圧は直流電圧としているが、画像形成時を含む膜厚検知時以外のタイミングにおいては、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを用いるものであっても良い。即ち、電源8は、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を帯電ローラ1に印加可能である。そして、膜厚検知モード実行時には帯電ローラ1に直流電圧のみを印加し、画像形成時には帯電ローラ1に前記重畳電圧を印加する。
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。例えば、膜厚検知時に帯電ローラ1に印加する電圧は直流電圧としているが、画像形成時を含む膜厚検知時以外のタイミングにおいては、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを用いるものであっても良い。即ち、電源8は、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を帯電ローラ1に印加可能である。そして、膜厚検知モード実行時には帯電ローラ1に直流電圧のみを印加し、画像形成時には帯電ローラ1に前記重畳電圧を印加する。
また、感光体は、感光ドラム以外に、例えば、感光層を有する無端状のベルト、即ち感光ベルトであっても良い。また、上述の実施形態では、感光ドラム上のトナー像を記録材に直接転写する直接転写方式について説明した。但し、本発明は、感光ドラム上のトナー像を中間転写ベルトなどの中間転写体に一次転写し、中間転写体から記録材に二次転写する中間転写方式にも適用可能である。また、感光ドラム、帯電ローラなどを含み感光ドラム上にトナー像を形成する画像形成部が複数ある構成においても、各画像形成部の感光ドラムの膜厚検知を上述のように行うようにしても良い。更に、本発明は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などにも適用可能である。
1・・・帯電ローラ(帯電部材)
1a・・芯金
1b・・導電性ゴム層(弾性層)
2・・・感光ドラム(感光体)
2a・・感光層
8・・・電源
25・・・制御部(実行部、算出部)
27・・・電流検知部(電流検知手段)
30・・・環境センサ(温度検知手段)
32・・・表示部(報知手段)
100・・・画像形成装置
1a・・芯金
1b・・導電性ゴム層(弾性層)
2・・・感光ドラム(感光体)
2a・・感光層
8・・・電源
25・・・制御部(実行部、算出部)
27・・・電流検知部(電流検知手段)
30・・・環境センサ(温度検知手段)
32・・・表示部(報知手段)
100・・・画像形成装置
Claims (7)
- 感光層を有する感光体と、
前記感光体に接触して前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に直流電圧を印加可能な電源と、
前記帯電部材に流れる電流を検知可能な電流検知手段と、
温度を検知可能な温度検知手段と、
前記電源により複数の異なる直流電圧を印加し、それぞれ前記電流検知手段により電流を検知することで電流と電圧との関係であるI-V特性を導くモードを実行可能な実行部と、
前記モード実行時に前記温度検知手段により検知した温度が第1の温度である場合と、前記第1の温度よりも高い第2の温度である場合とで、前記I-V特性の傾きが同じである場合に、前記第1の温度である場合の方が前記感光層の厚さを小さく算出する算出部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記算出部により算出した前記感光層の厚さが所定の厚さ以下となった場合に、前記感光体の交換に関する情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記算出部により算出した前記感光層の厚さと、初期の感光層の厚さとの差分が所定の値を上回った場合に、前記感光体の交換に関する情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材は、芯金と、前記芯金の周囲に導電性を有する弾性層を設けた帯電ローラであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記モード実行時に印加する複数の直流電圧は、帯電開始電圧以上であることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記電源は、前記モード実行時及び画像形成時にも前記帯電部材に直流電圧を印加することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記電源は、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を前記帯電部材に印加可能で、前記モード実行時には前記帯電部材に直流電圧のみを印加し、画像形成時には前記帯電部材に前記重畳電圧を印加することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020205495A JP2022092658A (ja) | 2020-12-11 | 2020-12-11 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020205495A JP2022092658A (ja) | 2020-12-11 | 2020-12-11 | 画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=82069377
Family Applications (1)
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JP2020205495A Pending JP2022092658A (ja) | 2020-12-11 | 2020-12-11 | 画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022092658A (ja) |
-
2020
- 2020-12-11 JP JP2020205495A patent/JP2022092658A/ja active Pending
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