JP7263033B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真記録方式を用いる複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置の定着装置は、電子写真プロセス等の画像形成手段により記録紙上に形成された未定着画像(トナー像)を記録紙上に定着させるものである。画像形成装置では、ハロゲンヒータを熱源とする熱ローラ式の定着装置やセラミックヒータを熱源とするフィルム加熱方式の定着装置が用いられている。このようなヒータを熱源とする定着装置を有する画像形成装置においては、発熱体の長さよりも短い幅の記録紙(以下、小サイズ紙という)を定着ニップ部に通す(以下、通紙するという)と、次のような現象が発生する場合がある。すなわち、発熱体が発熱している領域かつ記録紙が通紙していない領域(以下、非通紙領域という)において、記録紙が通紙している領域(以下、通紙領域という)に比べて温度が高くなってしまう現象(以下、非通紙部昇温という)が発生する場合がある。非通紙領域において温度が高くなりすぎると、ヒータを支持する部材等、周囲の部材に影響を及ぼす場合がある。そこで、長さの異なる複数の発熱体と、発熱する発熱体を排他的に切り替えることができる切り替えリレーとを備える定着装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この構成によって、通紙する記録紙の幅に合わせた長さの発熱体を選択的に用いることで非通紙部昇温を防止する。
特開2001-100558号公報
しかしながら、印刷を開始する際、切り替え手段で選択している発熱体の長さと通紙する記録紙の幅とが適切な対応関係となっていない場合は、記録紙の幅に合わせた長さの発熱体を選択するために切り替え手段によって発熱体を切り替える必要がある。このため、印刷指示から最初の1枚目が排出されるまでの時間(以下、ファーストプリントタイムという)が長くなるおそれがある。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)記録材を積載する少なくとも1つの給紙部と、前記給紙部から給紙された記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、基板と、第1の発熱体と、記録材の搬送方向である短手方向と直交する方向である長手方向における長さが前記第1の発熱体よりも短い第2の発熱体と、前記長手方向における長さが前記第2の発熱体よりも短い第3の発熱体と、前記長手方向における長さが前記第1の発熱体と同じ長さの第4の発熱体と、を有するヒータを備え、記録材上に形成された未定着のトナー像に定着処理を行う定着手段と、前記給紙部に積載された記録材の前記長手方向の長さを検知する検知手段と、前記ヒータへの電力供給経路を切り替える切替手段と、前記切替手段により切り替える前記電力供給経路を制御する制御手段と、を備え、前記第1の発熱体は、前記基板の短手方向の一端側に配置され、前記第4の発熱体は、前記基板の短手方向の他端側に配置され、前記第2の発熱体、及び前記第3の発熱体は、前記基板の短手方向において前記第1の発熱体と前記第4の発熱体との間に配置され、前記制御手段は、前記検知手段により記録材の前記長手方向の長さが第1の長さであると検知された場合、前記第1の発熱体、及び前記第4の発熱体に電力を供給する第1の電力供給経路とし、前記検知手段により記録材の前記長手方向の長さが前記第1の長さより短い第2の長さであると検知された場合、前記第2の発熱体に電力を供給する第2の電力供給経路とし、前記検知手段により記録材の前記長手方向の長さが前記第2の長さより短い第3の長さであると検知された場合、前記第3の発熱体に電力を供給する第3の電力供給経路とするように前記切替手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することができる。
実施例1~4のカラー画像形成装置の概略を示す断面図 実施例1~4の定着装置の長手方向の中央部付近の断面模式図、ヒータ及び電力制御部の模式図 実施例1、2、4の画像形成装置のブロック図 実施例1の印刷動作のシーケンスを示す図 実施例1の印刷処理を示すフローチャート 実施例2の印刷処理を示すフローチャート 実施例3の画像形成装置のブロック図 実施例3の印刷処理を示すフローチャート 実施例4の印刷処理を示すフローチャート 実施例5のヒータ及び電力制御部の模式図 実施例5の印刷処理を示すフローチャート
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施例においても、発熱体の長さよりも短い幅の記録紙を、小サイズ紙という。また、記録紙を定着ニップ部に通すことを、通紙するという。また、発熱体が発熱している領域で、記録紙が通紙していない領域を非通紙領域といい、記録紙が通紙している領域を通紙領域という。更に、非通紙領域が通紙領域に比べて温度が高くなってしまう現象を、非通紙部昇温という。
[画像形成装置]
図1は、実施例1のタンデム方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の構成図である。ここで、各符号の英文字aはイエロー(Y)、bはマゼンタ(M)、cはシアン(C)、dはブラック(Bk)の構成及びユニットを示す。なお、以下の説明において、特定のユニットを説明する場合を除いて英文字a,b,c,dを省略する。
以下でカラー画像形成装置の動作について説明する。カラー画像形成装置は、少なくとも1つの給紙部を備えており、実施例1では複数の給紙部である給紙部16m及び給紙部16nを備えている。給紙部16mと給紙部16nは、幅センサ160m、160nと、紙有無センサ102m、102nと、ピックアップローラ17m、17nを有している。検知手段である幅センサ160m、160nは、積載されている記録材である用紙Pの幅方向(搬送方向に略直交する方向)の長さ(以下、サイズともいう)を検知するセンサである。幅センサ160m、160nの検知結果に基づいて、後述するエンジンコントローラ92は、給紙部16m、16nに積載された用紙Pの幅方向のサイズが長さL2(図2(b)参照)より大きいか長さL2以下(幅以下)かを判断することができる。紙有無センサ102m、102nは、給紙部16m、16nに積載された用紙Pの有無を検知することができる。ピックアップローラ17m、17nは、給紙部16m、16nに積載された用紙Pを給送するためのローラである。
給紙部16m、16nに積載された用紙Pは、ピックアップローラ17m、17nによって給紙部16m又は給紙部16nのどちらか一方から繰り出された後、搬送ローラ対140、150によって搬送される。その後、用紙Pは、レジストセンサ111によって用紙Pの先端位置が検知されると搬送が一旦停止される。一方、露光装置11は、反射ミラーやレーザダイオード(発光素子)等を含み、回転駆動される感光体としての感光ドラム1に対し、順次、走査ビーム12を照射する。このとき、感光ドラム1は、帯電ローラ2によって予め帯電されている。各帯電ローラ2からは例えば-1200Vの電圧が出力されており、感光ドラム1表面は例えば-700Vで帯電されている。この帯電電位において走査ビーム12の照射によって静電潜像を形成すると、静電潜像が形成された箇所の電位は例えば-100Vとなる。現像ユニット8の現像ローラ4は例えば-350Vの電圧を出力し、感光ドラム1の静電潜像にトナーを供給し、感光ドラム1上にトナー像を形成する。1次転写ローラ10は、例えば+1000Vの正極性の電圧を出力し、感光ドラム1上のトナー像を、中間転写ベルト13(無端状ベルト)に転写する。ここで、感光ドラム1から中間転写ベルト13へ転写されなかったトナーは、クリーニングユニット3の回収ブレード33によって回収される。
なお、露光装置11及び感光ドラム1を含む、帯電ローラ2、現像ユニット8及び1次転写ローラ10等のトナー像を形成するために直接的に係る部材群のことを画像形成部(画像形成手段)という。また、感光ドラム1の周囲に近接して配置され、感光ドラム1に作用する各部材(帯電ローラ2、現像ローラ4及び1次転写ローラ10)のことを、プロセス手段であるプロセス部材という。プロセス部材には、複数種類の部材を相当させることができる。
中間転写ベルト13は、テンションローラ14、補助ローラ19、2次転写対向ローラ15によって周回駆動され、トナー像を2次転写ローラ25の位置(以下、2次転写位置という)へ搬送する。このとき、用紙Pは、2次転写ローラ25の2次転写位置において、搬送されたトナー像とタイミングが合うよう搬送が再開される。そして、2次転写ローラ25によって中間転写ベルト13から用紙P上(記録材上)にトナー像が転写される。ここで、中間転写ベルト13から用紙Pへ転写されなかったトナーは、クリーニングユニット27のクリーニングブレード277によって回収される。その後、フィルム51及び加圧ローラ53を有する定着装置50によって用紙Pのトナー像が加熱定着された後、用紙Pは装置外へ排出される。
[定着装置]
次に、実施例1における定着装置50の構成について図2を用いて説明する。ここで、長手方向とは、後述する用紙Pの搬送方向と略直交する加圧ローラ53の回転軸方向のことである。また、搬送方向に略直交する方向(長手方向)の用紙Pの長さを幅という。図2(a)は、定着装置50の断面模式図、図2(b)はヒータ54と電力制御部97の模式図である。
図2(a)左側から未定着のトナー像Tnを保持した用紙Pが、定着ニップ部Nにおいて図中左から右に向けて搬送されながら加熱されることにより、トナー像Tnが用紙Pに定着される。実施例1における定着装置50は、円筒状のフィルム51と、フィルム51を保持するニップ形成部材52と、フィルム51と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ53と、用紙Pを加熱するためのヒータ54と、により構成されている。
第1の回転体であるフィルム51は加熱回転体としての定着フィルムである。実施例1では、基層として、例えばポリイミドを用いている。基層の上に、シリコーンゴムからなる弾性層、PFAからなる離型層を用いている。フィルム51の回転によるニップ形成部材52及びヒータ54とフィルム51との間に生じる摩擦力を低減するために、フィルム51の内面には、グリスが塗布されている。
ニップ形成部材52はフィルム51を内側からガイドするとともに、フィルム51を介して加圧ローラ53との間で定着ニップ部Nを形成する役割を果たす。ニップ形成部材52は剛性・耐熱性・断熱性を有する部材であり、液晶ポリマー等により形成されている。フィルム51はこのニップ形成部材52に対して外嵌されている。第2の回転体である加圧ローラ53は加圧回転体としてのローラである。加圧ローラ53は、芯金53a、弾性層53b、離型層53cからなる。加圧ローラ53は、両端を回転可能に保持されており、定着モータ(不図示)によって回転駆動される。また、加圧ローラ53の回転により、フィルム51は従動回転する。加熱部材であるヒータ54は、ニップ形成部材52に保持され、フィルム51の内面と接している。基板54a、発熱体54b1、54b2、保護ガラス層54e、定着温度センサ59については後述する。
[ヒータと電力制御部]
(ヒータ)
ヒータ54について、図2(b)を用いて詳しく説明する。ヒータ54は、基板54a、複数の発熱体である発熱体54b1、54b2、導体54c、接点54d1~54d3、保護ガラス層54eからなる。基板54a上に、発熱体54b1、54b2、導体54c、接点54d1~54d3が形成され、その上に発熱体54b1、54b2とフィルム51との絶縁を確保するために保護ガラス層54eが形成されている。第1の発熱体である発熱体54b1と第2の発熱体である発熱体54b2とは、長手方向の長さ(以下、サイズともいう)が異なっている。具体的には、発熱体54b1の長手方向の長さがL1であり、発熱体54b2の長手方向の長さがL2であり、長さL1と長さL2は、L1>L2の関係になっている。発熱体54b1の長さL1は、この画像形成装置によって印刷する(又は、搬送する)ことが可能な用紙Pのうち最大の幅(以下、最大通紙幅という)を有する用紙Pを定着可能な長さになっている。以下、長さL1の用紙PをL1幅の用紙P、長さL2の用紙PをL2幅の用紙Pともいう。発熱体54b1は導体54cを介して接点54d1、54d3に電気的に接続されており、発熱体54b2は導体54cを介して接点54d2、54d3に電気的に接続されている。すなわち、接点54d3は、発熱体54b1、54b2に共通して接続されている接点である。
定着温度センサ59は、基板54aに対して保護ガラス層54eと反対の面に位置し、かつ発熱体54b1、54b2の長手方向における中心位置に設置され、基板54aと接している。定着温度センサ59は例えばサーミスタであり、ヒータ54の温度を検知し、検知結果をエンジンコントローラ92に出力する。エンジンコントローラ92は、定着温度センサ59の検知結果に基づいて、定着処理時の温度を制御する。
(電力制御部)
図2(b)には定着装置50の制御回路である電力制御部97も示している。定着装置50の電力制御部97は、発熱体54b1、54b2(ヒータ54)、交流電源55、双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56、切替手段である発熱体切り替え器57からなる。発熱体切り替え器57は、ヒータ54の発熱体54b1又は発熱体54b2のいずれか一方に対して電力供給可能となるように電力供給経路を切り替える。トライアック56は、交流電源55から発熱体54b1、54b2へ電力を供給する際に導通し、交流電源55から発熱体54b1、54b2への電力の供給を遮断する際に非導通となる。トライアック56は、電力のヒータ54への供給を接続又は遮断する接続手段として機能する。エンジンコントローラ92は定着温度センサ59の検知結果である温度情報に基づいて、発熱体54b1、54b2を目標温度(目標となる定着温度)に制御するために必要な電力を算出し、トライアック56を導通又は非導通に制御する。
また、発熱体切り替え器57は、実施例1では例えばC接点リレーである。具体的には、発熱体切り替え器57は、交流電源55に接続された接点57aと、接点54d1に接続された接点57b1と、接点54d2に接続された接点57b2と、を有する。発熱体切り替え器57は、エンジンコントローラ92の制御によって、接点57aと接点57b1とが接続された状態と、接点57aと接点57b2とが接続された状態と、のいずれか一方の状態となる。発熱体切り替え器57の切り替えによって、発熱体54b1、54b2のどちらに電力を供給するかを排他的に選択する。すなわち、発熱体切り替え器57は、ヒータ54を発熱体54b1及び発熱体54b2のいずれか一方に切り替える。発熱体切り替え器57はエンジンコントローラ92からの信号を受けて切り替えを行う。C接点リレーである発熱体切り替え器57の接点溶着を防止するため、発熱体切り替え器57の切り替えは、トライアック56が非導通となっている状態(発熱体54b1又は発熱体54b2への電力供給が遮断されている状態)で行われる。以下、発熱体54b1、54b2を発熱体54bと総称することもある。
ここで、発熱体54b1の端部と発熱体54b2の端部との間の領域について、図2(b)中、左側を領域AL、右側を領域ARと表記する。幅が長さL2以下の用紙Pを通紙する場合、発熱体切り替え器57が発熱体54b2を選択して発熱体54b2を発熱させるようにする。これにより、発熱体54b1を発熱させた場合に非通紙部領域となる領域AL、ARにおいて、発熱体54b2を発熱させた場合には領域AL、ARにおける非通紙部昇温を防止することができる。
[機能ブロック図]
図3は、制御手段であるエンジンコントローラ92に係る機能ブロックと、外部機器400、ビデオコントローラ91、ハードウェア403を示した図である。エンジンコントローラ92における、発熱体選択部421、発熱体制御部422、定着温度検知部423、幅検知手段である幅検知部424、サイズ記憶部425、紙有無検知部426のそれぞれは機能ブロックを示す。エンジンコントローラ92は、記憶部であるメモリ95を有する。また、幅センサ160、紙有無センサ102、トライアック56、発熱体切り替え器57、定着温度センサ59のそれぞれはハードウェア403を構成する。トライアック56、発熱体切り替え器57は電力制御部97でもある。以下、それぞれについて具体的に説明する。
ビデオコントローラ91は、ホストコンピュータ等の外部機器400から、印刷に必要な情報を受け取り、エンジンコントローラ92に送信する。ここで、印刷に必要な情報とは、例えば、印刷に使用する給紙部16の指定情報、印刷に使用する用紙Pのサイズ情報や紙種情報、印刷するカラーモード情報、印刷対象の画像データ情報等を含む。ビデオコントローラ91は、印刷に使用される用紙Pのサイズ情報として、A4やA5等の定型サイズ、フリーサイズ、ユニバーサルサイズ等を指定することができる。ここで、フリーサイズとは、「幅100mm、長さ200mm」のように定型サイズには含まれないサイズをいい、ユニバーサルサイズとは、サイズ情報を指定しないサイズをいう。
幅検知部424は、幅センサ160m、160nから取得した情報に基づいて用紙Pの幅方向のサイズが長さL2より大きいか長さL2以下かを検知する。紙有無検知部426は、紙有無センサ102m、102nから取得した情報に基づいて用紙Pの有無を検知する。
サイズ記憶部425は、給紙部16毎に用紙Pのサイズをメモリ95の所定の記憶領域に記憶することが可能で、実施例1では、給紙部16mと給紙部16nに積載された用紙Pのサイズをそれぞれ記憶することが可能である。また、サイズ記憶部425は、紙有無検知部426によって給紙部16に用紙Pが無いことを検知した場合は「用紙無し」との情報をメモリ95に記憶する。一方、サイズ記憶部425は、紙有無検知部426によって用紙Pが有ることを検知した場合は、幅検知部424によって検知した用紙Pの幅方向のサイズをメモリ95に記憶する。
定着温度検知部423は、定着温度センサ59から取得した情報に基づいて定着装置50(すなわち定着ニップ部N)の温度を算出する。発熱体制御部422は、定着温度検知部423が算出した温度に基づいて、発熱体54bへ電力を供給する場合はトライアック56をオンし、発熱体54bへ電力を供給しない場合はトライアック56をオフする。発熱体選択部421は、メモリ95に記憶した用紙Pのサイズ情報に基づいて選択する発熱体54bを決定する。発熱体選択部421は、複数の発熱体54bの中から1つの発熱体54bを選択する場合、幅センサ160によって検知した用紙Pの幅方向のサイズよりも長い発熱体54bの中から、長さが最も短い発熱体54bを決定する。発熱体制御部422は、発熱体54bに電力を供給していないときに、発熱体切り替え器57を操作することで、選択した発熱体54bに切り替える。
[実施例1の説明]
実施例1では、給紙部16m、16nに積載された用紙Pのサイズが変わった時点で選択する発熱体54bを切り替える方法について説明する。図4は、画像形成装置の印刷シーケンスの一例を示す図であり、図4(a)には比較例を示し、図4(b)には実施例1を示す。いずれも、(i)はビデオコントローラ91とエンジンコントローラ92との間の印刷指示等のコマンドを示し、(ii)は選択している発熱体54bを示し、(iii)は画像形成装置の動作(印刷動作等)を示す。なお、説明の便宜上、比較例においても実施例1と同様の構成を用いて説明する。
まず、図4(a)に示す比較例における印刷シーケンスについて説明する。タイミングt500において、ユーザが給紙部16nの用紙Pを長さL2より大きいサイズから長さL2以下のサイズの用紙Pに交換する。タイミングt500では発熱体54b1が選択されている。ユーザは給紙部16nの用紙Pを交換すると、外部機器400を介して画像形成装置に印刷指示を行う。タイミングt501でビデオコントローラ91は、外部機器400を介して指示された印刷指示に応じて、給紙部16nからの用紙Pの給紙を含む印刷指示をエンジンコントローラ92に送信する。エンジンコントローラ92は、選択している発熱体54bのサイズが印刷指示された用紙Pの幅方向のサイズと合うように、発熱体54bを発熱体54b1から発熱体54b2に切り替える。タイミングt502で発熱体の切り替え動作が完了したら、エンジンコントローラ92は印刷動作を開始する。
以上のように、比較例においては、印刷指示を受けたタイミングで、印刷する用紙Pの幅方向のサイズと選択している発熱体54bのサイズとが合っていないため、発熱体54bを切り替えている。このため、印刷動作を開始する前に、発熱体54bの切り替え動作が完了するまで(タイミングt501からタイミングt502まで)待たなければならない。その結果、比較例では、ファーストプリントタイムが低下してしまう。
次に、図4(b)に示す実施例1の印刷シーケンスについて説明する。タイミングt510において、ユーザが給紙部16nの用紙Pを長さL2より大きいサイズから長さL2以下のサイズの用紙Pに交換する。タイミングt510では比較例同様、発熱体54b1が選択されている。エンジンコントローラ92は、タイミングt510で、交換された用紙Pのサイズに合わせて選択する発熱体54bを発熱体54b1から発熱体54b2に切り替える。この点、比較例と異なる。タイミングt511でビデオコントローラ91は、外部機器400を介して指示された印刷指示に応じて、給紙部16nからの用紙Pの給紙を含む印刷指示をエンジンコントローラ92に送信する。実施例1では、タイミングt511において、選択している発熱体54b2のサイズと印刷指示された用紙Pの幅方向のサイズとが合っているため、エンジンコントローラ92は、ビデオコントローラ91からの印刷指示を受けると、すぐに印刷動作を開始する。
実施例1においては、エンジンコントローラ92が印刷指示を受けたタイミングにおいて、選択している発熱体54b2のサイズと印刷指示された用紙Pの幅方向のサイズとが合っている。このため、タイミングt511でエンジンコントローラ92は、発熱体54bの切り替え動作が完了した状態ですぐに印刷動作を開始することができ、ファーストプリントタイムの低下を防止することができる。
[フローチャートの説明]
実施例1における処理の流れについて、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の処理が開始されるとき、発熱体54bは発熱体選択部421によって発熱体54b1及び発熱体54b2のいずれか一方に選択されている状態にあり、以下、「現在選択している発熱体54b」と表現する。ステップ(以下、Sとする)600でエンジンコントローラ92は、給紙部16m、16nに積載されている用紙Pのサイズが変わったか否かを判断する。例えば、エンジンコントローラ92は、紙有無検知部426により用紙Pが、有り→無し→有りと変化し、幅センサ160による検知結果とメモリ95に記憶されている用紙Pのサイズとが異なる場合等に、用紙Pのサイズが変わったと判断する。
S600でエンジンコントローラ92は、用紙Pのサイズが変わったと判断した場合、処理をS601に進め、用紙Pのサイズが変わっていないと判断した場合、処理を終了する。S601でエンジンコントローラ92は、幅センサ160により検知した用紙Pのサイズ情報(幅の情報)が長さL2以下であるか否かを判断する。S601でエンジンコントローラ92は、用紙Pの幅が長さL2以下であると判断した場合、処理をS602に進める。S602でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定する。S601でエンジンコントローラ92は、用紙Pの幅が長さL2以下ではない、すなわち用紙Pの幅が長さL2より大きいと判断した場合、処理をS603に進める。S603でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定し、処理をS604に進める。
S604でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421によって現在選択している発熱体54bとS602又はS603の処理で決定した発熱体54bとが異なるか否かを判断する。S604でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54bと決定した発熱体54bとが同じであると判断した場合、特に処理を行うことなく処理を終了する。S604でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54bと決定した発熱体54bとが異なると判断した場合、処理をS605に進める。S605でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54bに電力を供給していないか否かを判断する。S605でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54bに電力を供給していないと判断した場合、処理をS606に進める。S606でエンジンコントローラ92は、発熱体切り替え器57を制御して、S602又はS603で決定した発熱体54bに切り替える。S605でエンジンコントローラ92は、発熱体54bに電力を供給していると判断した場合、処理をS605に戻し、発熱体54bへの電力供給が遮断された後に発熱体54bの切り替えが行われるようにするため、待機する。
以上説明したように、実施例1では、給紙部16m、16nに積載された用紙Pのサイズが変わった時点で選択する発熱体54bを切り替える。これにより、エンジンコントローラ92がビデオコントローラ91から印刷指令を受け取ったタイミングで、発熱体54bの切り替え動作を待つことなく印刷動作を開始することができ、ファーストプリントタイムの低下を防止することができる。
以上、実施例1によれば、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することができる。
実施例1では、エンジンコントローラ92が給紙部16m、16nに積載された用紙Pのサイズが変わった時点で選択する発熱体54bを切り替える方法について説明した。実施例2では実施例1の別案として、長さL2以下のサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数と、長さL2より大きいサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数とを比較する。そして、数がより多い方の給紙部16に入っている用紙Pに対応する発熱体54bを選択する(すなわち、多数決で選択する)方法について説明する。
[画像形成装置]
実施例2の画像形成装置は、給紙部16m、16nに加えて、更に給紙部(不図示)を有する。説明上、3つ目の給紙部16pと表記する。給紙部16pは給紙部16m、16nと同様に、幅センサ(不図示)(説明上、幅センサ160pと表記する)によって用紙Pの幅方向のサイズを検知することができる。また、紙有無センサ(不図示)(説明上、紙有無センサ102pと表記する)によって用紙Pの有無を検知することができる。なお、各給紙部16にどのようなサイズの用紙Pが積載されているかの情報は、実施例1と同様にサイズ記憶部425によってメモリ95に記憶されている。
[実施例2の説明]
発熱体選択部421は、長さL2より大きいサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数と、長さL2以下のサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数とを比較する。発熱体選択部421は、比較の結果、長さL2より大きいサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数の方が多い場合は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。一方、発熱体選択部421は、長さL2以下のサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数の方が多い場合は、選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定する。発熱体選択部421は、長さL2より大きいサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数と、長さL2以下のサイズの用紙Pが積載されている給紙部16の数とが等しい場合は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。
[フローチャートの説明]
実施例2の処理の流れについて、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6のS700、S705~S707の処理は、実施例1の図5で説明したS600、S604~S606の処理と同じであり、説明を省略する。S701でエンジンコントローラ92は、サイズ記憶部425によって、幅センサ160の検知結果に基づいて用紙Pのサイズ情報(幅の情報)を給紙部16毎にメモリ95に記憶する。
S702でエンジンコントローラ92は、サイズ記憶部425によって「用紙無し」ではなくサイズ情報(幅の情報)が記憶されている給紙部16のサイズ情報をメモリ95から読み出す。エンジンコントローラ92はメモリ95から読み出した各給紙部16に積載されている用紙Pのサイズ情報(幅の情報)に基づいて、発熱体選択部421によって選択する発熱体54bを決定する。すなわち、エンジンコントローラ92は、発熱体選択部421によって、長さL2以下の幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数が長さL2より大きい幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数よりも多いか否かを判断する。
S702でエンジンコントローラ92は、長さL2以下の幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数の方が、長さL2より大きい幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数よりも多いと判断した場合、処理をS703に進める。S703でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定する。S702でエンジンコントローラ92は、長さL2より大きい幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数の方が多い、又は数が等しい場合、処理をS704に進める。すなわち、エンジンコントローラ92は、長さL2以下の幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数が、長さL2よりも大きい幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数以下であると判断した場合、処理をS704に進める。S704でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定し、処理をS705に進める。
以上説明したように、サイズ記憶部425によってメモリ95に記憶している用紙Pの幅方向のサイズ情報に基づいて選択する発熱体54bを切り替える。特に、複数の給紙部16を有する構成で、各給紙部16に積載された用紙Pの幅の情報に応じて選択する発熱体54bを切り替える。これにより、エンジンコントローラ92がビデオコントローラ91から印刷指示を受け取った時点では発熱体54bの切り替え動作を待つことなく印刷動作を開始することができ、ファーストプリントタイムの低下を防止することができる。
以上、実施例2によれば、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することができる。
実施例2では、長さL2以下の幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数と、長さL2より大きい幅の用紙Pが積載されている給紙部16の数とを比較した。そして、数がより多い方の給紙部16に積載されている用紙Pに応じた発熱体54bを選択する(すなわち、多数決で選択する)方法について説明した。実施例3では、実施例2の別案として、積載されている用紙Pのサイズが給紙部16毎に異なる場合は、それまでの印刷履歴情報に基づいて選択する発熱体54を決定する方法について説明する。
[画像形成装置]
実施例3の画像形成装置は、実施例1の構成と同様に、給紙部16m、16nを有する構成とする。
[機能ブロック図]
図7は、エンジンコントローラ92に係る機能ブロックと、外部機器400、ビデオコントローラ91、ハードウェア403を示した図である。印刷履歴記憶部800は機能ブロックを示す。その他は実施例1の図3と同様であり、以下、実施例1、2と異なる個所について具体的に説明する。
印刷履歴記憶部800は、給紙部16毎に印刷した用紙Pの累積の枚数(以下、累積枚数という)をメモリ95に記憶することが可能で、実施例3においては、給紙部16m、16nで印刷した枚数をそれぞれ記憶することが可能である。発熱体選択部421は、サイズ記憶部425によってメモリ95に記憶した用紙Pのサイズ情報と印刷履歴記憶部800によってメモリ95に記憶した給紙部16毎の印刷累積枚数の情報とに基づいて選択する発熱体54bを決定する。発熱体選択部421は、発熱体制御部422が発熱体54bへ電力を供給していないときに発熱体切り替え器57を制御することで発熱体54bを切り替える。
[実施例3の説明]
発熱体選択部421は、給紙部16m、16nに積載されている用紙Pの幅が全て長さL2以下の場合は選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定し、全て長さL2より大きい場合は選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。発熱体選択部421は、給紙部16m、16nに積載されている用紙Pの幅について、長さL2以下の幅の用紙Pと長さL2より大きい幅の用紙Pとが混在している場合は、次のように決定する。すなわち、発熱体選択部421は、メモリ95に記憶している給紙部16m、16nの印刷累積枚数に応じて選択する発熱体54bを決定する。例えば、給紙部16mに長さL2以下の幅の用紙Pが積載されており、給紙部16nに長さL2より大きい幅の用紙Pが積載されている場合、発熱体選択部421は次のように発熱体54bを選択する。発熱体選択部421は、メモリ95に記憶している印刷累積枚数が給紙部16m(長さL2以下の幅の用紙P積載)の方が多い場合は選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定する。一方、発熱体選択部421は、メモリ95に記憶している印刷累積枚数が給紙部16n(長さL2より大きい幅の用紙P積載)の方が多い場合は選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。発熱体選択部421は、給紙部16m、16nの印刷累積枚数が等しい場合、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。また、発熱体選択部421は、給紙部16m、16nのどちらにも用紙Pが積載されていない場合は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。
[フローチャートの説明]
実施例3の処理の流れについて、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、S900、S909~S911の処理は、図5のS600、S604~S606の処理と同じであり、説明を省略する。S901でエンジンコントローラ92は、サイズ記憶部425によって用紙Pのサイズ情報(幅の情報)を給紙部16毎にメモリ95に記憶する。S902でエンジンコントローラ92は、すべての給紙部16に積載されている用紙Pの幅が長さL2以下であるか否かを判断する。S902以降の処理では、発熱体選択部421が、サイズ記憶部425によってメモリ95にサイズ情報が記憶されている(「用紙無し」と記憶していない)給紙部16において、次の決定を行う。すなわち、発熱体選択部421は、メモリ95に記憶しているサイズ情報(幅の情報)と印刷累積枚数の情報とに基づいて、選択する発熱体54bを決定する。
S902でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421によりサイズ記憶部425によってメモリ95にサイズ情報が記憶されている全ての給紙部16において、用紙Pの幅方向のサイズが長さL2以下であると判断した場合、処理をS903に進める。S903でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421により選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定する。S902でエンジンコントローラ92は、サイズ記憶部425によってメモリ95にサイズ情報が記憶されている全ての給紙部16において、用紙Pの幅が長さL2以下ではないと判断した場合、処理をS904に進める。
S904でエンジンコントローラ92は、メモリ95にサイズ情報が記憶されている全ての給紙部16において、用紙Pの幅が長さL2よりも大きいか否かを判断する。S904でエンジンコントローラ92は、メモリ95にサイズ情報が記憶されている全ての給紙部16において、用紙Pの幅が長さL2よりも大きいと判断した場合、処理をS905に進める。S905でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421により選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定し、処理をS909に進める。S904でエンジンコントローラ92は、メモリ95にサイズ情報が記憶されている全ての給紙部16において、用紙Pの幅が長さL2よりも大きくないと判断した場合、すなわち、用紙Pの幅が給紙部16毎に異なる場合、処理をS906に進める。
S906でエンジンコントローラ92は、メモリ95に記憶している各給紙部16の印刷累積枚数が最も多い給紙部16に積載されている用紙Pの幅が長さL2以下であるか否かを判断する。S906でエンジンコントローラ92は、印刷累積枚数が最も多い給紙部16に積載されている用紙Pの幅が長さL2以下であると判断した場合、処理をS907に進める。S907でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421により選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定し、処理をS909に進める。S906でエンジンコントローラ92は、印刷累積枚数が最も多い給紙部16に積載されている用紙Pの幅が長さL2より大きいと判断した場合、処理をS908に進める。S908でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421により選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定し、処理をS909に進める。
以上説明したように、実施例3では、メモリ95に記憶している用紙Pの幅方向のサイズ情報と印刷累積枚数とに基づいて選択する発熱体54bを切り替える。これにより、エンジンコントローラ92がビデオコントローラ91から印刷指示を受け取った時点では、発熱体54bの切り替え動作を待つことなく印刷動作を開始することができ、ファーストプリントタイムの低下を防止することができる。
印刷履歴情報は、実施例3で説明した給紙部16毎の印刷累積枚数の他に、次のような情報であってもよい。例えば、ある一定期間(例えば1週間)における給紙部16毎の印刷枚数や、直前のある一定枚数(例えば1000枚)の印刷における給紙部16毎の印刷枚数等、履歴を記憶する期間や枚数を限定してもよい。
以上、実施例3によれば、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することができる。
実施例4では、実施例2と実施例3の別案として、積載されている用紙Pの幅が給紙部16毎に異なる場合は、最も大きい幅の用紙Pに合わせて発熱体54bを決定する方法について説明する。実施例4における画像形成装置は、実施例1の構成と同様であり、異なる部分のみ説明する。
[実施例4の説明]
発熱体選択部421は、給紙部16m、16nに積載されている用紙Pの幅が全て長さL2以下の場合は選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定し、全て長さL2より大きい場合は選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。発熱体選択部421は、給紙部16m、16nに積載されている用紙Pの幅が、長さL2以下の幅の用紙Pと長さL2より大きい幅の用紙Pとが混在している場合は、最も大きい幅の用紙Pに合わせて選択する発熱体54bを決定する。例えば、発熱体選択部421は、給紙部16mに長さL2以下の幅の用紙Pが積載されており、給紙部16nに長さL2より大きい幅の用紙Pが積載されている場合は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。また、発熱体選択部421は、給紙部16m、16nのどちらにも用紙Pが積載されていない場合は、選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定する。
[フローチャートの説明]
実施例4の処理の流れについて、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、図9のS1000~S1005、S1009~S1011の処理は、実施例3の図8のS900~S905、S909~S911の処理を同様であり、説明を省略する。S1006でエンジンコントローラ92は、全ての給紙部16の中で積載されている用紙Pの幅が最も大きい用紙Pでも長さL2以下の幅であるか否かを判断する。S1006でエンジンコントローラ92は、全ての給紙部16の中で積載されている用紙Pの幅が最も大きい用紙Pでも長さL2以下の幅であると判断した場合、処理をS1007に進める。
S1007でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421により選択する発熱体54bを発熱体54b2に決定し、処理をS1009に進める。S1006でエンジンコントローラ92は、全ての給紙部16の中で積載されている用紙Pの幅が最も大きい幅の用紙Pについて、幅が長さL2より大きいと判断した場合、処理をS1008に進める。S1008でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421により選択する発熱体54bを発熱体54b1に決定し、処理をS1009に進める。
以上説明したように、実施例4においても、メモリ95に記憶している用紙Pの幅方向のサイズ情報に基づいて選択する発熱体54bを切り替える。これにより、エンジンコントローラ92がビデオコントローラ91から印刷指示を受け取った時点では、発熱体54bの切り替え動作を待つことなく印刷動作を開始することができ、ファーストプリントタイムの低下を防止することができる。
実施例4の図9のS1006の処理では、判断条件として、S1002及びS1004と同じ長さL2を用いたが、S1002及びS1004と異なる長さを用いてもよい。例えば、S1006で長さL1を用いたり、長さが異なる発熱体54bを3つ以上備える場合には、他の長さを用いたりしてもよい。また、実施例4では、積載されている用紙Pの幅が給紙部16毎に異なる場合は、最も大きい幅の用紙Pに合わせて発熱体54bを決定する方法について説明したものの、任意のサイズに合わせて発熱体54bを決定してもよい。例えば、発熱体54bを3つ以上有する構成においては、全ての給紙部16の中で積載されている用紙Pの幅が2番目の用紙Pに対応する発熱体54bに決定したり、最も小さい用紙Pに対応する発熱体54bに決定したりしてもよい。
以上、実施例4によれば、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することができる。
実施例1~4の画像形成装置は、長手方向の長さが異なる発熱体を2種有する構成について説明した。実施例4では、長手方向の長さが異なる発熱体を3種有する構成において、給紙部16m、16nに積載された用紙Pのサイズが変わった時点で選択する発熱体を切替える方法について説明する。実施例5における画像形成装置は、実施例1の構成と同様であり、異なる部分のみ説明する。
[ヒータ及び電力制御部の説明]
(ヒータ)
ヒータ54について、図10を用いて詳しく説明する。ヒータ54は、基板54a、複数の発熱体である発熱体54m1~54m3、接点54n1~54n4、保護ガラス層54eからなる。基板54a上に、発熱体54m1~54m3、接点54n1~54n4が形成され、その上に発熱体54m1~54m3とフィルム51との絶縁を確保するために保護ガラス層54eが形成されている。第1の発熱体である発熱体54m1と第2の発熱体である発熱体54m2と第3の発熱体である発熱体54m3は、長手方向の長さが異なっている。具体的には、発熱体54m1の長手方向の長さがL1であり、発熱体54m2の長手方向の長さがL2であり、発熱体54m3の長手方向の長さがL3である。長さL1と長さL2と長さL3は、L1>L2>L3の関係になっている。発熱体54m1の長さL1は、この画像形成装置によって印刷する(又は、搬送する)ことが可能な用紙Pのうち最大の幅(以下、最大通紙幅という)を有する用紙Pを定着可能な長さになっている。以下、長さL1の用紙PをL1幅の用紙P、長さL2の用紙PをL2幅の用紙P、長さL3の用紙PをL3幅の用紙Pともいう。発熱体54m1は接点54n1、54n4に電気的に接続されており、発熱体54m2は接点54n2、54n4に電気的に接続されており、発熱体54m3は接点54n2、54n3に電気的に接続されている。すなわち、接点54n2は、発熱体54m2、54m3に共通して接続されている接点であり、接点54n4は、発熱体54m1、発熱体54m2に共通して接続されている接点である。
定着温度センサ59は、基板54aに対して保護ガラス層54eと反対の面に位置し、かつ発熱体54m1~54m3の長手方向における中心位置に設置され、基板54aと接している。定着温度センサ59は例えばサーミスタであり、ヒータ54の温度を検知し、検知結果をエンジンコントローラ92に出力する。エンジンコントローラ92は、定着温度センサ59の検知結果に基づいて、定着処理時の温度を制御する。
(電力制御部)
図10には定着装置50の制御回路である電力制御部97も示している。定着装置50の電力制御部97は、発熱体54m1~54m3(ヒータ54)、交流電源55、双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56a、56b、切替手段である発熱体切り替え器57からなる。
発熱体切り替え器57は、接点54n2に接続された接点57a、トライアック56b及び接点54n3に接続された接点57b1、交流電源55及び接点54n4に接続された接点57b2を有する。発熱体切り替え器57は、接点57aと接点57b1とが接続された状態であるとき、発熱体54m2に電力が供給可能な状態となり、接点57aと接点57b2とが接続された状態であるとき、発熱体54m3に電力が供給可能な状態となっている。
トライアック56aは、一端を接点54n1と接続され、もう一端を交流電源55およびトライアック56bと接続され、トライアック56aが導通すると、発熱体54m1に電力が供給される。トライアック56bは、一端を交流電源55およびトライアック56aと接続され、もう一端を発熱体切り替え器57の接点57b1および接点54n3と接続されている。トライアック56bが導通すると、発熱体切り替え器57の状態に応じて、発熱体54m2か発熱体54m3のどちらか一方に電力が供給される。
[フローチャートの説明]
実施例5における処理の流れについて、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の処理が開始されるとき、発熱体54mは発熱体選択部421によって発熱体54m1~発熱体54m3のいずれか一つが選択されている状態にあり、以下、「現在選択している発熱体54m」と表現する。S1100でエンジンコントローラ92は、給紙部16m、16nに積載されている用紙Pのサイズが変わったか否かを判断する。例えば、エンジンコントローラ92は、紙有無検知部426により用紙Pが、有り→無し→有りと変化し、幅センサ160による検知結果とメモリ95に記憶されている用紙Pのサイズとが異なる場合等に、用紙Pのサイズが変わったと判断する。
S1100でエンジンコントローラ92は、用紙Pのサイズが変わったと判断した場合、処理をS1101に進め、用紙Pのサイズが変わっていないと判断した場合、処理を終了する。S1101でエンジンコントローラ92は、幅センサ160により検知した用紙Pのサイズ情報(幅の情報)が長さL3以下であるか否かを判断する。S1101でエンジンコントローラ92は、用紙Pの幅が長さL3以下であると判断した場合、処理をS1102に進める。S1102でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54mを発熱体54m3に決定する。S1101でエンジンコントローラ92は、用紙Pの幅が長さL3以下ではない、すなわち用紙Pの幅が長さL3より大きいと判断した場合、処理をS1103に進める。S1103でエンジンコントローラ92は、幅センサ160により検知した用紙Pのサイズ情報(幅の情報)が長さL2以下であるか否かを判断する。S1103でエンジンコントローラ92は、用紙Pの幅が長さL2以下であると判断した場合、処理をS1104に進める。S1104でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54mを発熱体54m2に決定する。S1103でエンジンコントローラ92は、用紙Pの幅が長さL2以下ではない、すなわち用紙Pの幅が長さL2より大きいと判断した場合、処理をS1105に進める。S1105でエンジンコントローラ92は、選択する発熱体54mを発熱体54m1に決定し、処理をS1106に進める。
S1106でエンジンコントローラ92は、発熱体選択部421によって現在選択している発熱体54mとS1102、S1104又はS1105の処理で決定した発熱体54mとが異なるか否かを判断する。S1106でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54mと決定した発熱体54mとが同じであると判断した場合、特に処理を行うことなく処理を終了する。S1106でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54mと決定した発熱体54mとが異なると判断した場合、処理をS1107に進める。S1107でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54mに電力を供給していないか否かを判断する。S1107でエンジンコントローラ92は、現在選択している発熱体54mに電力を供給していないと判断した場合、処理をS1108に進める。S1108でエンジンコントローラ92は、発熱体切り替え器57を制御して、S1102、S1104又はS1105で決定した発熱体54mに切り替える。S1107でエンジンコントローラ92は、発熱体54mに電力を供給していると判断した場合、処理をS1107に戻し、発熱体54mへの電力供給が遮断された後に発熱体54mの切り替えが行われるようにするため、待機する。
以上説明したように、実施例5では、長手方向の長さが異なる発熱体を3種有する構成において、給紙部16m、16nに積載された用紙Pのサイズが変わった時点で選択する発熱体54mを切り替える。これにより、エンジンコントローラ92がビデオコントローラ91から印刷指令を受け取ったタイミングで、発熱体54mの切り替え動作を待つことなく印刷動作を開始することができ、ファーストプリントタイムの低下を防止することができる。
以上、実施例5によれば、非通紙部昇温を防止しつつ、ファーストプリントタイムが長くなることを防止することができる。
16 給紙部
160 幅センサ
50 定着装置
54b、54b1、54b2 発熱体
57 発熱体切り替え器
92 エンジンコントローラ
P 用紙

Claims (14)

  1. 記録材を積載する少なくとも1つの給紙部と、
    前記給紙部から給紙された記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
    基板と、第1の発熱体と、記録材の搬送方向である短手方向と直交する方向である長手方向における長さが前記第1の発熱体よりも短い第2の発熱体と、前記長手方向における長さが前記第2の発熱体よりも短い第3の発熱体と、前記長手方向における長さが前記第1の発熱体と同じ長さの第4の発熱体と、を有するヒータを備え、記録材上に形成された未定着のトナー像に定着処理を行う定着手段と、
    前記給紙部に積載された記録材の前記長手方向の長さを検知する検知手段と、
    前記ヒータへの電力供給経路を切り替える切替手段と、
    前記切替手段により切り替える前記電力供給経路を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記第1の発熱体は、前記基板の短手方向の一端側に配置され、
    前記第4の発熱体は、前記基板の短手方向の他端側に配置され、
    前記第2の発熱体、及び前記第3の発熱体は、前記基板の短手方向において前記第1の発熱体と前記第4の発熱体との間に配置され、
    前記制御手段は、前記検知手段により記録材の前記長手方向の長さが第1の長さであると検知された場合、前記第1の発熱体、及び前記第4の発熱体に電力を供給する第1の電力供給経路とし、前記検知手段により記録材の前記長手方向の長さが前記第1の長さより短い第2の長さであると検知された場合、前記第2の発熱体に電力を供給する第2の電力供給経路とし、前記検知手段により記録材の前記長手方向の長さが前記第2の長さより短い第3の長さであると検知された場合、前記第3の発熱体に電力を供給する第3の電力供給経路とするように前記切替手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、印刷指示を受け取る前に前記切替手段により前記電力供給路を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記検知手段によって検知した交換された記録材の前記長手方向の長さに基づいて前記切替手段を制御して前記電力供給経路を制御することにより前記定着処理に用いる発熱体を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記検知手段によって検知した交換された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下である場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第2の発熱体を選択し、
    前記検知手段によって検知した交換された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さより大きい場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体を選択することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 記制御手段は、前記検知手段によって検知した交換された記録材の前記長手方向の長さが前記第3の発熱体の前記長手方向の長さ以下である場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第3の発熱体を選択することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 複数の前記給紙部に積載された記録材の情報を前記給紙部ごとに記憶する記憶部を備え、
    前記制御手段は、前記記憶部に記憶された前記記録材の情報に基づいて前記定着処理に用いる発熱体を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  7. 前記記憶部に記憶された前記記録材の情報は、記録材の前記長手方向の長さの情報であり、
    前記制御手段は、前記記憶部に記憶された前記給紙部ごとの前記記録材の前記長手方向の長さの情報を読み出し、
    前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下の前記長手方向の長さの記録材が積載されている給紙部の数が、前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きい前記長手方向の長さの記録材が積載されている給紙部の数よりも多い場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第2の発熱体を選択し、
    前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下の前記長手方向の長さの記録材が積載されている給紙部の数が、前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きい前記長手方向の長さの記録材が積載されている給紙部の数以下の場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体を選択することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記記憶部に記憶された前記記録材の情報は、前記給紙部ごとに印刷された記録材の累積の枚数の情報であり、
    前記制御手段は、前記記憶部に記憶された前記給紙部ごとの前記累積の枚数の情報を読み出し、
    前記制御手段は、
    全ての前記給紙部について積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下である場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第2の発熱体を選択し、
    全ての前記給紙部について積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さより大きい場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体を選択し、
    前記複数の給紙部ごとに、積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下のものと前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きいものとが混在している場合には、前記累積の枚数に基づいて前記定着処理に用いる発熱体を選択することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御手段は、
    前記複数の給紙部ごとに、積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下のものと前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きいものとが混在している場合には、
    前記複数の給紙部のうち前記累積の枚数が最も多い給紙部に積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下である場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第2の発熱体を選択し、
    前記複数の給紙部のうち前記累積の枚数が最も多い給紙部に積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きい場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体を選択することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記制御手段は、
    全ての前記給紙部について積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下である場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第2の発熱体を選択し、
    全ての前記給紙部について積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さより大きい場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体を選択し、
    前記複数の給紙部ごとに、積載された記録材の前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下のものと前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きいものとが混在している場合には、
    前記複数の給紙部に積載された記録材の前記長手方向の長さのうち最も大きい前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さ以下である場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第2の発熱体を選択し、
    前記複数の給紙部に積載された記録材の前記長手方向の長さのうち最も大きい前記長手方向の長さが前記第2の発熱体の前記長手方向の長さよりも大きい場合には、前記定着処理に用いる発熱体として前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体を選択することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  11. 前記制御手段は、前記第1の発熱体、前記第4の発熱体、及び前記第2の発熱体に電力が供給されていない状態において、前記切替手段により前記第1の発熱体及び前記第4の発熱体、又は前記第2の発熱体のいずれか一方に対して電力供給可能となるように電力供給経路を切り替えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記ヒータにより加熱される第1の回転体と、
    前記第1の回転体とともにニップ部を形成する第2の回転体と、
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 前記第1の回転体は、フィルムであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記ヒータは、前記フィルムの内部空間に配置されており、前記ヒータと前記第2の回転体により前記フィルムを挟持しており、
    記録材上の画像は、前記フィルムと前記第2の回転体との間に形成されたニップ部で前記フィルムを介して加熱されることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
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