JP7258760B2 - 角速度センサ - Google Patents

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Description

この発明は、角速度センサに関し、特に、環状の振動部を有する角速度センサに関する。
従来、環状の振動部を有する角速度センサが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、シリコンリングからなる円環状の共振器と、共振器を支持する複数の支持梁とを備えた角速度センサが開示されている。この角速度センサは、電気駆動装置によって共振器を振動させる。振動に伴って、共振器の環状構造が変形することにより、共振器には温度勾配が発生し、共振器を流れる熱流(熱の移動)に起因する熱損失が発生する。上記特許文献1では、共振器に複数のスロットを設けており、発生した熱流がスロットを迂回することにより、熱が流れる経路長が大きくなり、熱流に起因する損失の小ささを示すQ値を大きくする(熱移動に起因する熱損失を小さくする)ことが開示されている。
上記特許文献1には明示的に記載されていないが、共振器に設けられるスロットは、シリコンリングである共振器に形成された貫通孔であると考えられる。
特表2013-539858号公報
しかしながら、上記特許文献1では、以下のような課題が生じる。第1に、たとえば円環状のスロット(貫通孔)を共振器に形成することができず、共振器の剛性確保の観点からも、スロットの長さや本数に構造上の制約がある。第2に、隣接するスロットの間の領域では熱の流れ(熱の移動)が生じることから、スロットの長さや本数の制限も考慮すると、単純にスロットを設けるだけでは、Q値の増大効果(熱移動に起因する熱損失の低減効果)にも限界がある。そのため、スロットを設けない場合と比較してQ値を増大させつつ、構造上の制約は軽減させて、総合的な性能向上を実現することが望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することが可能な角速度センサを提供することである。
上記目的を達成するために、第1の明による角速度センサは、環状の振動部と、振動部と固定部とを接続し振動部を支持する支持部とを備え、振動部は、第1材料からなる環状の母材部と、第1材料よりも熱伝導が低い第2材料からなり、振動部の略全周に亘って、母材部における環状の第1領域と第1領域よりも内側で環状の第2領域との間に挟まれる環状の第1低熱伝導部とを含み、第1低熱伝導部は、振動部の半径方向に複数設けられているとともに、それぞれ周方向の一部に切れ目が設けられ、切れ目に配置された第1材料を介して第1低熱伝導部の内周側の母材部と外周側の母材部とが電気的に接続されており、複数の第1低熱伝導部の切れ目は、周方向において、振動部を駆動する際の一次振動モードにおける、互いに異なる節の位置に形成されている。なお、本明細書において、第1低熱伝導部は、全体として振動部の略全周に亘って環状に形成されているが、振動部の全周に亘って連続している必要はなく、振動部の周方向に沿って間隔を隔てて並んだ複数の第1低熱伝導部が、全体として振動部の略全周に亘って設けられる構成も含む広い概念である。また、第1低熱伝導部が第1領域と第2領域との間に挟まれるとは、第1低熱伝導部が第1領域と第2領域とに接している場合のみならず、第1領域と第2領域との間に間隔を隔てて配置されている場合も含む広い概念である。
第1の発明による角速度センサでは、振動部において、母材部よりも熱伝導が低い第2材料からなる第1低熱伝導部によって振動部の内側から外側、もしくは振動部の外側から内側への熱の移動に起因する熱損失を抑制することができる。そして、第1低熱伝導部が環状に設けられるので、振動部の略全周にわたって熱の移動を効果的に抑制できる。また、第2材料からなる第1低熱伝導部には、貫通孔(スロット)を形成する場合のような長さや本数の制限がないため、構造上の制約によってQ値の増大効果が制限されることがない。その結果、効果的にQ値を増大させることができる。また、母材部に第2材料からなる第1低熱伝導部が設けられるので、環状の第1低熱伝導部の数を増やしても振動部の剛性を確保することができる。これらの結果、Q値を増大させつつ(熱移動に起因する熱損失を低減させつつ)、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。なお、本発明による角速度センサでは、構造上の制約の範囲内で貫通孔(スロット)を形成してもよく、その場合には、貫通孔によるQ値の増大効果と環状の第1低熱伝導部による効果との相乗効果により、更なる性能向上が期待できる。また、複数の第1低熱伝導部が同心状に設けられる。振動部の温度勾配は、振動に伴って振動部の外周側と内周側とで圧縮応力と引張応力とが交互に発生するため半径方向で温度差が最も大きく、半径方向の熱移動に起因した熱損失の影響が大きい。そのため、振動部の振動に伴って半径方向の温度勾配が生じた場合でも、半径方向に並ぶ複数の第1低熱伝導部によって熱移動を抑制できるので、より効果的にQ値を増大させることができる。ここで、第1低熱伝導部の第2材料が絶縁体や高い電気抵抗を有する場合、母材部の第1領域と第2領域とが電気的に分離され、互いに独立した電位になる(いわゆるフロート電位になる)場合があり得る。そのような場合に、第1低熱伝導部の一部に切れ目を設けることにより、第1領域と第2領域とを同電位にすることができるので、第1低熱伝導部を設ける場合でも、第1領域と第2領域との電位が異なることに起因する電気的なノイズが発生することを回避できる。また、第1低熱伝導部の切れ目は、第1領域と第2領域とを電気的に接続する一方、振動に伴い発生した熱の通り道となり得る。そこで、各々の切れ目の形成位置を周方向に互いに異ならせることにより、熱の移動経路の経路長を長くすることができるので、第1低熱伝導部に切れ目を設ける場合でもQ値の増大を図ることができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、第1低熱伝導部は、振動部の厚み方向の略全体に亘るように形成されている。この結果、振動に伴う熱移動が半径方向に生じた場合でも、厚み方向の略全体に形成された第1低熱伝導部によって、熱の移動を効果的に抑制することができる。そのため、より効果的にQ値を増大させることができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、第1低熱伝導部は、母材部を厚み方向に貫通している
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、振動部と支持部との連結部に設けられた第2材料からなる第2低熱伝導部をさらに備える。ここで、振動部の外周側と内周側とで温度勾配が生じた場合、振動部の外周側と内周側との間での熱移動だけでなく、振動部と支持部との連結部への熱移動も発生し、角速度センサのQ値を低下させる要因となり得る。そこで、第2低熱伝導部を設けることによって、連結部を介して振動部から支持部へ移動する熱移動が生じるのを抑制し、Q値の増大を図ることができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、第1低熱伝導部の表面は、母材部の表面と略同一面上に形成されており、振動部は、第1低熱伝導部上を跨いで横切るように設けられた配線部を含む。なお、「略同一面上」とは、母材部と第1低熱伝導部とに跨がる配線部を形成可能な範囲で厚み方向の位置が一致していることを意味し、配線部を形成可能な範囲内で表面の位置がずれていることを許容する概念である。ここで、振動部に貫通孔(スロット)を設ける場合、貫通孔(スロット)上に、共振器の駆動用および振動検出用の配線部を形成することができなくなり、配線部の形成上の制限が生じる。これに対して、振動部に第1低熱伝導部を設ける構成では、空間(貫通孔)が形成されずにすむので、第1低熱伝導部の上に配線部を配置することができる。そのため、第1低熱伝導部によって配線部の形状が制約されることなく、自由に配線部の形状を最適化することができる。その結果、たとえば、電気的に低損失で、より低ノイズである配線形状となるように、振動部上に配線部を形成することが可能となる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、第1材料は、シリコンであり、第2材料は、シリコン酸化物である。このように構成すれば、たとえばシリコンの熱酸化処理などを採用して、容易にシリコン酸化物からなる第1低熱伝導部を形成することが可能となる。また、たとえば二酸化ケイ素の熱伝導率は、シリコンの約1/100であるため、効果的に熱移動を抑制することができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、振動部の外周面および内周面の少なくとも一方に、第2材料からなる端面層を含む。このように構成すれば、振動部の外周側と内周側とで温度勾配が生じた場合に最も温度差が大きくなる外周面および内周面の少なくとも一方に、第1材料よりも熱伝導の低い第2材料の端面層が設けられる。そのため、最も温度差が大きくなる箇所(外周面、内周面)に熱伝導の低い第2材料の端面層が配置されることから、外周面および内周面が第1材料の母材部により構成される場合と比較して、端面層によって半径方向の熱移動を効果的に抑制することができる。また、端面層により、振動部の外形形状(外周面または内周面の少なくとも一方)が決まる。端面層および第1低熱伝導部が同じ第2材料により形成されるので、角速度センサの作製時に、共通のマスクを用いたパターニングなどにより振動部の外形および第1低熱伝導部の位置を決定することができる。その結果、振動部の外形と第1低熱伝導部とを別々のパターニング処理により形成する場合と比較して、振動部の外形および第1低熱伝導部の相対位置精度を向上させることができる。これにより、角速度センサの振動特性を向上させ、性能向上を図ることができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、支持部は、第1材料からなる支持部母材部と、第2材料からなり、支持部の幅方向の両側から支持部母材部に挟まれる第3低熱伝導部とを含む。このように構成すれば、振動部の振動に伴って支持部が振動することに起因して、支持部の幅方向の一方側と他方側との間で温度勾配が発生した場合に、一方側から他方側あるいは他方側から一方側への熱移動を、第3低熱伝導部によって抑制することができる。その結果、振動部だけでなく、支持部における熱移動に起因する熱損失を抑制することができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、振動部に形成された非貫通の溝または貫通孔からなる第4低熱伝導部をさらに備える。このように構成すれば、第4低熱伝導部を構成する溝または貫通孔によって、熱の移動を抑制することができる。このため、第1低熱伝導部に加えてさらに第4低熱伝導部を設ける事によって、より効果的なQ値の増大を図ることができる。
この場合、好ましくは、第4低熱伝導部と、第1低熱伝導部とは、振動部の半径方向に並んで設けられている。このように構成すれば、振動部の振動に伴って半径方向の温度勾配が生じた場合でも、半径方向に並ぶ第4低熱伝導部と第1低熱伝導部とによって、半径方向への熱の移動を効果的に抑制することができる。
上記第4低熱伝導部を備える構成において、好ましくは、第4低熱伝導部と、第1低熱伝導部とは、振動部の周方向に並んで設けられている。このように構成すれば、第4低熱伝導部の形成箇所では、非貫通の溝または貫通孔によって熱の移動を効果的に抑制できる。そして、周方向において第4低熱伝導部が形成されない部分では、第1低熱伝導部によって熱の移動を抑制する事ができる。これにより、第1低熱伝導部および第4低熱伝導部を、それぞれ振動部の周方向の全周に亘って連続した環状形状に形成しない場合でも熱の移動を抑制することができるので、Q値を増大させながら、効果的に構造上の制約を軽減させることができる。
この場合、好ましくは、第4低熱伝導部は、振動部の略全周に亘って並ぶように複数設けられ、第1低熱伝導部は、周方向において、それぞれの第4低熱伝導部の間に設けられている。このように構成すれば、複数の第4低熱伝導部を振動部の略全周に亘って並べることによって、振動部の全周にわたって熱の移動を効果的に抑制できる。そして、それぞれの第4低熱伝導部の間に第1低熱伝導部を設ける事によって、第4低熱伝導部の間を通過する熱の移動を抑制することができる。その結果、より一層効果的にQ値を増大させることができる。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、第1低熱伝導部上には、第2材料からなり、第1低熱伝導部と一体的に形成された絶縁膜が設けられている。
上記第1の発明による角速度センサにおいて、好ましくは、第1低熱伝導部上には、第2材料からなり、第1低熱伝導部と一体的に形成された、配線部を設けるための絶縁膜が設けられている。
第2の発明による角速度センサは、環状の振動部と、振動部と固定部とを接続し振動部を支持する支持部とを備え、振動部は、第1材料からなる環状の母材部と、第1材料よりも熱伝導が低い第2材料からなり、振動部の略全周に亘って、母材部における環状の第1領域と第1領域よりも内側で環状の第2領域との間に挟まれる環状の環状低熱伝導部と、振動部に形成された非貫通の溝からなる溝状低熱伝導部と、を含み、溝状低熱伝導部は、振動部の厚み方向に凹状に形成された溝からなり、溝状低熱伝導部と、環状低熱伝導部とは、厚み方向に並んで設けられている。
このように構成すれば、上記第1の発明と同様に、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。そして、第2の発明では、平面的に見て同一位置に、溝状低熱伝導部と環状低熱伝導部とを設ける事ができる。この場合、溝状低熱伝導部を貫通孔により構成する場合と異なり、溝状低熱伝導部を環状に形成しても、振動部が分離することなく溝状低熱伝導部の内周側と外周側とが一体的に接続した構造を確保できる。また、振動部の断面において、溝状低熱伝導部の形成箇所では溝によって熱の移動を抑制することができ、溝状低熱伝導部が形成されない部分に、環状低熱伝導部を設けて熱の移動を抑制する事ができる。その結果、より効果的にQ値を増大させることができる。
本発明によれば、上記のように、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
本発明の第1実施形態による角速度センサの全体構成を示した平面図である。 第1実施形態による角速度センサを示した模式的な断面図である。 振動部を駆動する原理を説明するための模式的な拡大断面図である。 振動部の一次振動モードおよび二次振動モードを説明するための模式図である。 (A)は、振動部の一部を示した拡大平面図である。(B)は、(A)の900-900線に沿った断面図である。 (A)は、角速度センサの作製工程(1)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 (A)は、角速度センサの作製工程(2)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 (A)は、角速度センサの作製工程(3)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 (A)は、角速度センサの作製工程(4)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 (A)は、角速度センサの作製工程(5)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 (A)は、角速度センサの作製工程(6)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 (A)は、振動部の外周側に圧縮応力が生じる場合の温度勾配を示す模式図である。(B)は、振動部の内周側に圧縮応力が生じる場合の温度勾配を示す模式図である。 (A)は、第1変形例による振動部を示した拡大平面図である。(B)は、(A)の901-901線に沿った断面図である。 (A)は、第2変形例による振動部を示した拡大平面図である。(B)は、(A)の902-902線に沿った断面図である。 第3変形例による振動部を示した拡大平面図である。 (A)は、第1変形例による振動部を示した断面図である。(B)は、第4変形例による振動部を示した断面図である。(C)は、第5変形例による振動部を示した断面図である。 第2実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。 図17の903-903線に沿った断面における、振動部の振動に伴う温度変化のイメージを説明するための図である。 (A)は、第3実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。(B)は、(A)の904-904線に沿った断面図である。 (A)は、第3実施形態による角速度センサの作製工程(1)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)に対応する模式的な平面図である。 第3実施形態による角速度センサの作製工程(2)を示した模式的な断面図である。 第3実施形態による角速度センサの作製工程(3)を示した模式的な断面図である。 (A)は、第3実施形態による角速度センサの作製工程(4)を示した模式的な断面図である。(B)は、(A)における端面層を拡大して示した断面図である。 第3実施形態による角速度センサの作製工程(5)を示した模式的な断面図である。 (A)は、第4実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。(B)は、(A)の905-905線に沿った断面図である。(C)は、(A)の906-906線に沿った断面図である。 第1低熱伝導部の切れ目の位置について第1の例を示した模式図である。 第1低熱伝導部の切れ目の位置について第2の例を示した模式図である。 (A)は、第5実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。(B)は、(A)の907-907線に沿った断面図である。 図28(A)の908-908線に沿った断面図である。 第5実施形態による角速度センサにおける導電層の配置の変形例を示した模式的な断面図である。 第6実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。 図31に示した第4低熱伝導部の断面形状の例(A)~(D)を示した図である。 図31の角速度センサの第1の変形例を示した拡大平面図(A)および拡大断面図(B)である。 図31の角速度センサの第2の変形例を示した拡大平面図(A)、第4低熱伝導部の断面図(B)、および隣り合う第4低熱伝導部の間の部分の断面図(C)である。 第7実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。 図35における第1低熱伝導部の長さの変形例(A)および(B)を示した図である。 第8実施形態による角速度センサの第4低熱伝導部を示した拡大断面図である。 第8実施形態による角速度センサの振動部を示した拡大平面図である。 図19に示した第3実施形態の第1変形例を示す連結部近傍の拡大平面図である。 図19に示した第3実施形態の第2変形例を示す連結部近傍の拡大平面図である。 図19に示した第3実施形態の第3変形例による振動部を示した拡大平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図11を参照して、第1実施形態による角速度センサ100の構成について説明する。第1実施形態では、角速度センサ100は、センサに対する角度の変化(角速度)を検出可能なジャイロスコープ(ジャイロセンサ)である。第1実施形態の角速度センサ100は、MEMS技術により慣性センサ素子として構成された電子部品(MEMS角速度センサ)である。なお、本願明細書では、MEMSとは、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems)を意味するものとして記載している。
(角速度センサの全体構成)
図1に示すように、角速度センサ100は、環状の振動部10と、振動部10と固定部30とを接続し振動部10を支持する支持部20とを備える。角速度センサ100は、振動部10を加振して、角速度の作用に応じて生じる振動モードの変化により角速度を検出する振動式角速度センサである。また、角速度センサ100は、環状(リング状)の振動部10の半径方向に生じる振動モードを利用して角速度を検出するリング型振動式角速度センサである。また、図1に示す角速度センサ100は、駆動力として電磁力を用いる電磁駆動方式を採用した角速度センサである。
角速度センサ100は、基板1に対するフォトリソグラフィおよびエッチングなどの半導体製造技術を用いて形成されている。すなわち、平板状の基板1に対して、振動部10、支持部20および固定部30が作り込まれている。基板1の中央部に、環状の振動部10が配置されている。矩形状の固定部30が、振動部10の外周を取り囲むように設けられている。固定部30と振動部10との間が、梁状の支持部20によって接続されている。
図1の例では、支持部20は、2本1組で設けられ、振動部10の周方向に45度間隔で8箇所に(合計16本)設けられている。各支持部20は、半径方向内側の端部で振動部10と連結されており、半径方向外側の端部で固定部30と連結されている。固定部30は、パッケージ2(図2参照)に固定される部分であり、振動部10に対して固定端となる。
支持部20の形状および数は、必ずしも限定されない。たとえば45度間隔で8箇所に1本ずつ設けてもよい。図1の支持部20は、振動部10および固定部30から、それぞれ半径方向に延びる第1の部分と、周方向に延びて第1の部分同士を接続する第2の部分とを含んでいる。支持部20は、たとえば第1の部分のみにより構成されてもよい。
基板1の表面上には、配線部40が設けられている。詳細な図示を省略するが、配線部40は、固定部30に設けられた端子部31に接続され、支持部20を通って振動部10の表面上まで延びるように形成されている。配線部40は、振動部10の表面上で所定の配線パターンに形成される。図1では、図中上側半分のみを図示しているが、たとえば配線部40は、支持部20を通って、振動部10の周方向に45度間隔で8箇所設けられる。複数の配線部40により、振動部10の駆動用回路と、角速度の検出用回路とが、振動部10の表面上に構成される。
図2に示すように、環状の振動部10の内周側には、円柱状のマグネット3と、上下のポール(磁極)4aおよび4bとが設けられている。マグネット3は、振動部10に囲まれるように振動部10の中心位置に配置され、磁極が上下方向(基板1の厚み方向)に向く。ポール4aおよび4bは、それぞれ、マグネット3の上側の磁極と、下側の磁極とに接続されたヨークである。上側のポール4aは、振動部10の直上まで半径方向外側に延びた後、振動部10の上面と対向するように下向きに延びている。下側のポール4bは、振動部10の直下まで半径方向外側に延びている。
図3に示すように、ポール4aおよび4bの一方から他方(図3では、ポール4aからポール4b)に向けて磁界が発生し、磁力線は振動部10を透過する。駆動用の配線部40に電流を供給すると、ローレンツ力Fが振動部10に対して半径方向に作用する。駆動用の配線部40には、たとえば図1における上端位置を0度として、周方向にcos2θの振動モードとなるように、所定の周波数の交流電流が供給される。この場合、図4のように、ローレンツ力Fによって振動部10が縦長の楕円形状と横長の楕円形状とを交互に繰り返すように変形する一次振動モード(0度から90度毎に振幅の腹が生じるモード)の振動が、振動部10の面内(半径方向)に生じる。振動部10に角速度が加わると、一次振動モードに対してコリオリ力が働き、新たに45度傾いた二次振動モード(45度から90度毎に振動の腹が生じるモード)の振動が、振動部10の面内(半径方向)に生じる。検出用の配線部40では、二次振動モードの振動に伴ってマグネット3による磁界を横切ることにより、誘導起電力が発生する。発生した誘導起電力が検出用の配線部40から検出されることにより、角速度が検出される。角速度センサ100は、このようにして角速度を検出するように構成されている。
(振動部)
図1および図5に示すように、振動部10は、第1材料からなる環状(図1参照)の母材部11と、第1材料よりも熱伝導が低い第2材料からなる環状の第1低熱伝導部12とを含む。図5(A)は、振動部10の表面(上面)の拡大図であり、図5(B)は、振動部10の半径方向(900-900線)に沿った断面を示す模式図である。
母材部11は、振動部10を構成する主要部分である。母材部11を構成する第1材料が、支持部20を構成する材料と共通である。第1材料は、たとえばシリコンである。この場合、シリコンからなる基板1の一部として、母材部11が構成される。つまり、固定部30、支持部20および振動部10のうちの母材部11が、同一のシリコン基板に対して一体的に形成されている。第1材料は、シリコン以外の他の材料であってもよい。たとえば、第1材料は、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、ガリウムナイトライド、ガリウムヒ素などでもよい。固定部30、支持部20および振動部10が共通の第1材料で形成される場合、異なる材料を用いる場合と比較して作製工程が容易化される。
母材部11は、振動部10の外形形状を構成するように、所定の幅(半径方向の幅)W1を有する。つまり、母材部11は、振動部10の外周面10aおよび内周面10bを構成している。
第1低熱伝導部12は、振動部10の周方向に沿って延びている。図5の例では、第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って、母材部11における環状の第1領域R1と第1領域R1よりも内側で環状の第2領域R2との間に挟まれるように設けられている。言い換えると、第1低熱伝導部12は、環状の第1領域R1と環状の第2領域R2との間に配置されている。図5の例では、平面視において、母材部11が、第1低熱伝導部12によって、外側の第1領域R1と内側の第2領域R2とに区画されている。第1低熱伝導部12は、振動部10の外周面10aおよび内周面10bの間に配置されている。第1低熱伝導部12は、第1領域R1の母材部11および第2領域R2の母材部11とそれぞれ接触状態で設けられている。言い換えると、第1低熱伝導部12は、母材部11を第1領域R1と第2領域R2とに区画するように母材部11に埋め込まれている。
なお、第1領域R1、第2領域R2は、第1低熱伝導部12に対してそれぞれ外側、内側に配置される母材部11の領域を示す概念である。そのため、後述するが、図1および図5のように2つの第1低熱伝導部12を設けている場合、2つの第1低熱伝導部12の間に配置された領域は、外側の第1低熱伝導部12に対する第2領域R2であると同時に、内側の第1低熱伝導部12に対する第1領域R1である。母材部11の第1領域R1および第2領域R2と、第1低熱伝導部12とは、それぞれ同心円状(図1参照)に配置されており、各々の中心が振動部10の中心において一致する。
第1低熱伝導部12を構成する第2材料は、第1材料よりも熱伝導率が小さい材料であれば、特に限定されない。第2材料は、導電性を有していてもよいし、絶縁体であってもよい。たとえば、第2材料は、シリコン酸化物である。第1材料がシリコンであり、第2材料がシリコン酸化物である場合、第2材料からなる第1低熱伝導部12を、熱酸化法により形成することができる。つまり、第2材料は、シリコン熱酸化膜であり得る。第2材料は、シリコン窒化物、アルミナなどでもよい。
なお、第1材料としてのシリコンの熱伝導率λ1は、約148[W/(m・K)]であり、第2材料としてのシリコン酸化物であるSiO2の熱伝導率λ2は、約1.38[W/(m・K)]である。したがって、λ1>λ2である。
第1低熱伝導部12は、第2材料からなる中実構造を有する。第1低熱伝導部12は、振動部10の半径方向に複数設けられている。図5(A)では、2つの第1低熱伝導部12が振動部10に同心円状(図1参照)に設けられている。2つの第1低熱伝導部12は、外周面10aおよび内周面10bの間で、母材部11を3等分するように設けられている。第1低熱伝導部12は、母材部11を等分割しなくてもよい。母材部11を等分割することによって、振動部10における第1低熱伝導部12と母材部11との対称性を確保できる。
第1低熱伝導部12は、半径方向の幅W2を有する。図5(A)では、第1低熱伝導部12の幅W2は、第1領域R1または第2領域R2の幅W3よりも小さい。なお、第1低熱伝導部12の幅W2は、第1領域R1または第2領域R2の幅W3よりも大きくてもよい。振動部10の全体に占める、第1低熱伝導部12の体積割合が母材部11の体積割合よりも大きくてもよい。
図5(B)に示すように、第1低熱伝導部12は、振動部10の厚み方向の略全体に亘るように形成されている。第1低熱伝導部12は、母材部11を厚み方向に貫通している。つまり、第1低熱伝導部12の厚みt2は、母材部11の厚みt1と略等しい。
また、図1に示したように、第1低熱伝導部12は、振動部10において周方向の全周に亘って連続した環形状を有する。つまり、第1低熱伝導部12には切れ目がない。このため、第1低熱伝導部12は、振動部10を厚み方向に貫通し、振動部10の周方向に全周に亘って連続することにより、母材部11を分割している。したがって、母材部11は、2つの第1低熱伝導部12によって、同心円状の3つの部分に分割されている。母材部11の3つの部分と、2つの第1低熱伝導部12とは、半径方向の端面(内周面、外周面)同士で互いに接続されている。
母材部11を厚み方向に貫通する第1低熱伝導部12は、上面および下面において母材部11の表面に露出している。なお、母材部11の上面および下面は、略平坦面となっている。つまり、第1低熱伝導部12の上面および下面は、それぞれ母材部11の上面および下面と略同一平面上に設けられている。このため、図5(A)において二点鎖線で示すように、配線部40が、第1低熱伝導部12および母材部11の各上面上に設けることが可能である。すなわち、振動部10は、第1低熱伝導部12上を跨いで横切るように設けられた配線部40を含む。配線部40は、半径方向に延びる部分41で、第1低熱伝導部12上を横切るように形成されている。図5(B)に示すように、配線部40は、絶縁膜45を介して、振動部10の上面上に設けられる。なお、第1低熱伝導部12が、母材部11の表面より厚み方向に突出していてもよいし、母材部11の表面より厚み方向に窪んでいてもよい。
[角速度センサの作製方法]
図6~図11を参照して、第1実施形態による角速度センサ100の作製方法を説明する。特に、第1低熱伝導部12の形成方法について説明する。以下では、第1材料がシリコンであり、第2材料がシリコン酸化物である例を説明する。
まず、図6に示すように、第1材料からなる平板状の基板1に対して、第1低熱伝導部12に対応する環状のスリット(溝部)61を形成する。ここで、処理前の基板1は、未加工の状態で貫通孔を有さない平板形状を有し、完成品である図5(B)における母材部11の厚みt1よりも大きい厚みt3を有する。
スリット61は、たとえば、基板1の表面上にレジスト膜62を形成し、フォトリソグラフィにより形成されたスリットパターンに対してエッチング処理を施すことにより、形成される。スリット61は、第1低熱伝導部12の数(2つ)だけ設けられる。スリット61の幅は、第1低熱伝導部12の幅W2に略一致し、スリット61の深さは、第1低熱伝導部12の厚みt2よりも大きい値とされる。
次に、図7に示すように、基板1に形成したスリット61に、第2材料を充填し、第2材料層63を形成する。第2材料層63は、たとえば、シリコン熱酸化によりスリット61および基板1の表面に形成される。その場合、第2材料層63は、シリコン熱酸化膜(SiO2膜)である。熱処理過程で、スリット61を含む基板1のシリコン表面が酸化されることにより第2材料層63が形成され、処理に伴って体積が増大するように第2材料層63が成長する。その結果、環状のスリット61内が第2材料(シリコン酸化物(SiO2))により充填される。スリット61への第2材料の充填は、たとえばCVD法やスパッタ法などによってもよい。
次に、基板1が図7に示す所定の厚みt1となるように、基板1の下面側を除去(バックグラインド)する。すなわち、図7の破線で示した範囲E1を除く基板1の下面側部分E2を、機械加工(グラインディング)により除去する。機械加工は、スリット61の下端を含む範囲で行う。その結果、図8に示すように、厚みt1の基板1に環状の第1低熱伝導部12が形成される。
次に、図9に示すように、基板1の表面に絶縁膜45が形成される。ここでは、基板1の表面に形成された第2材料層63を、絶縁膜45として用いる。第2材料層63は、エッチング処理によって、振動部10、支持部20、固定部30の表面を覆うように、配線経路を構成する所定パターンを除いて除去される。その結果、残った第2材料層63により、配線経路に対応した絶縁膜45が構成される。
次に、公知の配線パターンの形成処理によって、図10に示すように、絶縁膜45上に配線部40が形成される。図示は省略するが、絶縁膜45上に配線部40を構成する金属層が形成され、形成された金属層に対するパターニング処理によって、図1に示した配線パターンの配線部40が、絶縁膜45上に形成される。
次に、基板1に貫通孔を形成することにより、振動部10、支持部20および固定部30が形成される。まず、基板1の表面上の全面にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィにより、振動部10、支持部20および固定部30の外形パターンがレジスト膜に形成される。第1低熱伝導部12は、振動部10に対応するレジスト膜に覆われる。そして、形成された外形パターンに対して貫通エッチング処理が施される。
この結果、図11に示すように、基板1に外形パターンの貫通孔が形成されることにより、基板1に、振動部10、支持部20および固定部30が一体形成される。つまり、貫通孔によって、振動部10の外周面10aおよび内周面10bや、支持部20の外周面、固定部30の内周面が形成される。
その後は、制御回路をパッケージ2に取り付ける工程やワイヤ5(図2参照)をボンディングする工程等が行われ、角速度センサ100が作製される。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態の角速度センサ100では、振動部10において、母材部11よりも熱伝導が低い第2材料からなる環状の第1低熱伝導部12によって、振動部10の内側から外側、もしくは振動部10の外側から内側への熱の移動に起因する熱損失を、振動部10の略全周にわたって抑制できる。また、第2材料からなる第1低熱伝導部12には、長さや本数の制限がないため、構造上の制約によってQ値の増大効果が制限されることがない。その結果、効果的にQ値を増大させることができる。また、振動部10において第1低熱伝導部12の表面上にも電極配線(配線部40)を設けることができ、環状の第1低熱伝導部12の数を増やしても振動部10の剛性を確保することができる。これらの結果、Q値を増大させつつ(熱移動に起因する熱損失を低減させつつ)、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
ここで、Q値について説明する。図12に示すように、リング型角速度センサ100の振動部10では、一次振動モードでの駆動時に振動部10に曲げ変形が繰り返し生じる。この際、振動部10の外周側と内周側とには、周方向の圧縮応力と引張応力とが繰り返し作用することになる。この結果、図12(A)のように外周面10aに圧縮応力、内周面10bに引張応力が作用する場合と、図12(B)のように、外周面10aに引張応力、内周面10bに圧縮応力が作用する場合とが、振動部10の振動に伴って交互に発生する。圧縮応力を受ける部分は、温度が僅かに上昇し、引張応力を受ける部分は、温度が僅かに低下する。そのため、振動時に生じる温度勾配に起因して、図12(A)のような外周面10a側から内周面10b側への熱の移動(熱流)と、図12(B)のような内周面10b側から外周面10a側への熱の移動(熱流)が交互に発生する。振動部10の振動中の熱移動は、振動部10における熱損失となり、エネルギー効率を低下させる。この熱損失は、熱弾性ダンピングのQ値によって評価することができる。
Q値は、下式(1)~(4)によって求められる。
Figure 0007258760000001
ここで、ωは、振動部の駆動振動数であり、τは、振動部の振動に関する時定数である。aは、振動部の温度伝導率であり、bは、熱が流れる経路長であり、Eはヤング率であり、λは、振動部の熱伝導率であり、cは、振動部の比熱であり、ρは、振動部の密度であり、αは、振動部の線膨張係数であり、Tは、絶対温度である。
上式(1)のQ値は、値が大きいほど熱移動に伴う熱損失が小さくなることを意味する。第1実施形態の角速度センサ100では、第2材料からなる第1低熱伝導部12を設けているので、振動部10の熱伝導率λが、母材部11の熱伝導率λ1と、第1低熱伝導部12の熱伝導率λ2(<λ1)との両方に基づく値(合成値)となる。そのため、熱伝導率λ2に応じてQ値が増大する。角速度センサ100の場合、(i)第1低熱伝導部12上に配線部40を形成可能、(ii)第1低熱伝導部12の数を自由に増やすことができ、第1低熱伝導部12の数を増やしても剛性が確保できる、(iii)第1低熱伝導部12を連続した環状に形成でき、熱が第1低熱伝導部12を迂回して移動する経路を形成しない構造が採用できる。これらの結果、角速度センサ100では、上記のように、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することが可能である。
ここで、第1低熱伝導部12を設けない比較例(シリコンの母材部のみからなる振動部)と、2つの第1低熱伝導部12を設けた第1実施形態の角速度センサ100とで、略共通の条件を設定してQ値の理論値を算出した。第1実施形態の角速度センサ100では、比較例の角速度センサに対して、Q値が約10倍となり、第1低熱伝導部12を設けない場合よりもQ値が増大することが確認された。
また、第1実施形態の角速度センサ100では、第1低熱伝導部12を、振動部10の半径方向に複数設けたので、振動部10の振動に伴って半径方向の温度勾配が生じた場合でも、半径方向に並ぶ複数の第1低熱伝導部12によって熱移動を抑制できる。その結果、熱損失の影響が大きい半径方向の熱移動を効果的に抑制できるので、より効果的にQ値を増大させることができる。
角速度センサ100では、振動に伴う熱移動が半径方向に生じた場合でも、厚み方向の略全体に形成された第1低熱伝導部12によって、熱移動を効果的に抑制することができる。そのため、より効果的にQ値を増大させることができる。
角速度センサ100では、第1低熱伝導部12が、振動部10を厚み方向に貫通し、振動部10の周方向に全周に亘って連続するので、振動に伴う熱移動が半径方向に生じた場合でも、第1領域R1と第2領域R2との間での熱移動を効果的に抑制することができる。そのため、より効果的にQ値を増大させることができる。
角速度センサ100では、振動部10が、第1低熱伝導部12上を跨いで横切るように設けられた配線部40を含むので、振動部10に第1低熱伝導部12を設ける場合でも、第1低熱伝導部12によって配線部40の形状が制約されることなく、自由に配線部40の形状を最適化することができる。その結果、たとえば、電気的に低損失で、より高精度な配線形状となるように、振動部10上に配線部40を形成することが可能となる。
角速度センサ100では、第1材料をシリコンとし、第2材料をシリコン酸化物としたので、たとえばシリコンの熱酸化処理などを採用して、容易にシリコン酸化物からなる第1低熱伝導部12を形成することが可能となる。また、たとえば二酸化ケイ素は、シリコンの約1/100の熱伝導率であるため、効果的に熱移動を抑制することができる。
[第1実施形態の変形例]
(第1変形例)
第1低熱伝導部12は、図5に示した例に限られない。図13(A)に示す第1変形例では、振動部10は、半径方向に同心円状に並ぶ4つの第1低熱伝導部12を備える。図13(B)に示すように、各々の第1低熱伝導部12は、母材部11を厚み方向に貫通する。図示しないが、各々の第1低熱伝導部12は、振動部10の周方向に全周に亘って連続する。
(第2変形例)
図14(A)に示す第2変形例では、振動部10は、半径方向に同心円状に並ぶ8つの第1低熱伝導部12を備える。図14(B)に示すように、各々の第1低熱伝導部12は、母材部11を厚み方向に貫通する。図示しないが、各々の第1低熱伝導部12は、振動部10の周方向に全周に亘って連続する。
なお、第1変形例および第2変形例の角速度センサについても、Q値の理論値を算出した。4つの第1低熱伝導部12を備える第1変形例では、2つの第1低熱伝導部12を備える上記第1実施形態の構成に対してQ値が約2.3倍となり、8つの第1低熱伝導部12を備える第2変形例では、上記第1実施形態の構成に対してQ値が約6.8倍となった。このように、第1低熱伝導部12の数を増やすことにより、Q値が増大することが確認された。
(第3変形例)
図15に示す第3変形例では、振動部10は、1つの第1低熱伝導部12を備える。第3変形例では、上記第1変形例や第2変形例と比較して第1低熱伝導部12の幅W2が大きい例を示している。図示しないが、第1低熱伝導部12は、母材部11を厚み方向に貫通し、振動部10の周方向に全周に亘って連続する。
(第4変形例、第5変形例)
第1低熱伝導部12は、図16(A)に示すように、母材部11を厚み方向に貫通する例に限られず、母材部11を貫通しなくてもよい。図16(B)に示す第4変形例では、4つの第1低熱伝導部12が、母材部11を厚み方向に貫通していない。4つの第1低熱伝導部12のうち、2つが振動部10の一方表面(上面)側に設けられ、他の2つが振動部10の他方表面(下面)側に設けられている。第4変形例では、上面側の第1低熱伝導部12aと、下面側の第1低熱伝導部12bとによって、第1低熱伝導部12が振動部10の厚み方向の略全体に亘るように形成されている。
図16(C)に示す第5変形例では、4つの第1低熱伝導部12の各々が、いずれも振動部10の一方表面に設けられており、母材部11を厚み方向に貫通していない。熱の移動を抑制する観点からは、第1低熱伝導部12の厚み方向の長さL1は、振動部10(母材部11)の厚みt1の半分(t1/2)以上であることが好ましい。
[第2実施形態]
図17を参照して、第2実施形態による角速度センサ200の構成について説明する。第2実施形態では、第1低熱伝導部12に加えて、振動部10と支持部20との連結部CPに、第2低熱伝導部110を設ける例について説明する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、角速度センサ200は、振動部10において、第2材料からなり、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に挟まれる第1低熱伝導部12を備える。図示しないが、第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って環状に設けられる。
また、第2実施形態の角速度センサ200は、振動部10と支持部20との連結部CPに設けられた第2材料からなる第2低熱伝導部110を備える。なお、図示しないが、支持部20が複数設けられる場合において、第2低熱伝導部110は、複数の支持部20の各々と、振動部10との連結部CPにそれぞれ設けられる。
第2低熱伝導部110は、振動部10と支持部20との連結部CPにおいて、振動部10と支持部20とを分割する位置に設けられている。つまり、第2低熱伝導部110は、半径方向の内側で振動部10と隣接し、半径方向の外側で支持部20と隣接する。第2低熱伝導部110は、たとえば、母材部11を厚み方向に貫通し、振動部10と支持部20とを区画している。
なお、第2低熱伝導部110は、振動部10と支持部20との連結部CPにおける、振動部10側または支持部20側に設けられていてもよい。たとえば図17の二点鎖線で示した第2低熱伝導部110aは、振動部10と支持部20との連結部CPにおける、振動部10側の位置に設ける場合を示している。第2低熱伝導部110aは、連結部CPにおける振動部10側の位置で、支持部20側の部分と、振動部10側の部分とを区画するように設けられる。
図17の二点鎖線で示した第2低熱伝導部110bは、振動部10と支持部20との連結部CPにおける、支持部20側の位置に設ける場合を示している。第2低熱伝導部110bは、連結部CPにおける支持部20側の位置で、支持部20側の部分と、振動部10側の部分とを区画するように設けられる。
図18は、図17の903-903線に沿った範囲で、半径方向の位置を横軸に取り、温度を縦軸にとった図である。上記の通り、振動部10では、振動に伴って内周面10b側と外周面10a側とで圧縮応力と引張応力とが交互に発生することにより、半径方向の温度分布が生じる。つまり、振動に伴って実線の温度分布と二点鎖線の温度分布とが交互に発生する。一方、支持部20は、振動部10よりも自由度が高く、振動部10の変形に伴って変形しながら動き得るため、振動部10よりも応力が十分に小さくなる。そのため、支持部20では、振動部10と比較して、振動に伴う温度変化がほとんど生じない。
このため、連結部CPでは、振動部10との間の温度差に応じて支持部20にも熱の流入、または流出が発生し得る。第2低熱伝導部110は、振動部10の温度変化に応じて発生する支持部20と振動部10との間の熱移動を抑制する。熱移動を抑制する観点から、第2低熱伝導部110は、図17のように連結部CPにおいて振動部10側と支持部20側とを区画するように設けることが好ましい。
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態の角速度センサ200では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
また、第2実施形態の角速度センサ200では、第2低熱伝導部110を設けることによって、連結部CPを介して振動部10から支持部20へ移動する熱移動が生じるのを抑制し、Q値の増大を図ることができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
図19を参照して、第3実施形態による角速度センサ300の構成について説明する。第3実施形態では、第1低熱伝導部12に加えて、振動部10の縁部に第2材料からなる端面層210を設ける例について説明する。なお、第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図19(A)に示すように、角速度センサ300は、振動部10において、第2材料からなり、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に挟まれる第1低熱伝導部12を備える。図示しないが、第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って環状に設けられる。
また、第3実施形態の角速度センサ300は、振動部10の外周面10aおよび内周面10bに、第2材料からなる端面層210を含む。なお、第3実施形態において、端面層210は、外周面10aおよび内周面10bの少なくとも一方に設けられていればよい。外周面10aおよび内周面10bの一方のみに端面層210を設ける構成については、図示を省略する。
端面層210は、振動部10の外周面10a(外周端面)および内周面10b(内周端面)を構成している。内周側の端面層210および外周側の端面層210は、いずれも、振動部10の全周に渡って連続した環状形状を有する。そのため、端面層210は、平面視における振動部10の外形形状を画定する。端面層210の幅(半径方向の厚み)W10は、特に限定されない。たとえば、端面層210の幅W10は、第1低熱伝導部12の幅W2と略等しい。
端面層210は、図19(B)のように、振動部10の外周面10aおよび内周面10bにおいて、厚み方向の一端から他端に亘って設けられている。つまり、振動部10の母材部11は、半径方向の外周側および内周側が端面層210により覆われている。
なお、図19の例では、振動部10の第1低熱伝導部12および端面層210に加えて、さらに支持部20に、第3低熱伝導部250が設けられている。つまり、支持部20は、第1材料からなる支持部母材部240と、第2材料からなり、支持部20の幅方向の両側から支持部母材部240に挟まれる第3低熱伝導部250とを含む。なお、支持部20の長手方向は、基板1において振動部10と固定部30とを接続する経路に沿った方向であり、支持部20の幅方向が、長手方向に直交する短手方向である。
図19では、第3低熱伝導部250は、支持部20の幅方向の略中央に1つ設けられている。第3低熱伝導部250は、支持部20の長手方向に沿って延びるように設けられている。これにより、第3低熱伝導部250は、支持部20の一方の外側面を構成する支持部母材部240と、支持部20の他方の外側面を構成する支持部母材部240との間に挟まれている。第3低熱伝導部250は、支持部母材部240を厚み方向に貫通する。第3低熱伝導部250は、支持部母材部240を厚み方向に貫通しなくてもよい。第3低熱伝導部250は、支持部20に沿って、支持部20と固定部30との連結部近傍(図示せず)から、支持部20と振動部10との連結部近傍まで延びている。図19では、第3低熱伝導部250の幅は、両側の支持部母材部240の幅と略等しいが、支持部母材部240の幅よりも大きいかまたは小さくてもよい。第3低熱伝導部250は、支持部20に複数設けられていてもよい。
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[角速度センサの作製方法]
図20~図24を参照して、第3実施形態による角速度センサ300の作製方法を説明する。特に、端面層210の形成方法について説明する。図20~図24に示す断面図では、便宜的に、支持部20および固定部30の断面を省略し、振動部10の部分の断面のみを図示している。
まず、図20(A)に示すように、第1材料からなる平板状の基板1に対して、第1低熱伝導部12および端面層210に対応するスリットを形成する。すなわち、第1低熱伝導部12に対応する環状のスリット61に加えて、端面層210に対応するスリット221が形成される。図20(B)では、スリット221は、振動部10の内周面10bおよび外周面10a、支持部20の外周面(外形)、および固定部30の内周面(支持部との間の空間部分の縁部)に対応する形状に形成される。スリット61およびスリット221の幅や深さは、上記第1実施形態と同様としてよい。なお、第3低熱伝導部250に対応するスリット(図示せず)も形成されるが、第3低熱伝導部250の形成は基本的に第1低熱伝導部12と同様であるので、説明を省略する。
スリット61およびスリット221は、基板1の表面上へのレジスト膜62の形成、フォトリソグラフィによるスリットパターン形成、エッチング処理によるスリット形成、により形成される。スリット61およびスリット221の各々は、同一の工程で形成できるので、スリット61およびスリット221を形成するためのスリットパターンは、同一のマスクに設けることができる。このため、第3実施形態の場合、振動部10、支持部20および固定部30の外形形状(輪郭線)と、第1低熱伝導部12との相対位置が、同一のマスクにおいて正確に対応する。
図21に示すように、第1実施形態と同様に、基板1に形成したスリット61およびスリット221に、第2材料を充填し、第2材料層63を形成する。第2材料層63は、シリコン酸化膜(SiO2膜)である。第2材料層63の形成は、たとえばシリコン熱酸化であるが、CVD法やスパッタ法などによってもよい。
次に、第1実施形態と同様に、図21に示す範囲E1を除く基板1の下面側部分E2を、機械加工(グラインディング)により除去する。その結果、図22に示すように、基板1に第1低熱伝導部12および端面層210が形成される。
次に、上記第1実施形態と同様の絶縁膜45および配線部40(図23参照)の形成処理が行われ、基板1上に、所定の配線パターンとなるように絶縁膜45および配線部40が形成される。
次に、基板1に、振動部10、支持部20および固定部30が形成される。すなわち、図23(A)に示すように、基板1の表面上にレジスト膜64を形成し、フォトリソグラフィにより振動部10、支持部20および固定部30の外形パターンがレジスト膜64に形成される。形成された外形パターンに対して貫通エッチング処理が施される。
エッチング処理では、シリコン酸化膜(SiO2)は除去せずに、シリコンを選択的に除去することができる。そのため、第3実施形態では、振動部10の外形形状に対応する端面層210をレジストとして利用して、図22(B)のようにエッチング処理によって端面層210の側面が露出するまでシリコンを除去するだけで、振動部10の外形形状を正確に形成することができる。レジスト膜64は、端面層210の上面上に形成されていればよく、振動部10の輪郭に完全に一致させなくてもよくなる。したがって、レジスト膜64に振動部10の外形パターンを形成するためのマスク位置の許容誤差範囲を、端面層210の幅W10の分だけ大きく確保できる。
エッチング処理の結果、振動部10、支持部20および固定部30の外形形状に対応する端面層210が露出して、図24に示すように、基板1に、振動部10、支持部20および固定部30が一体形成される。その後のパッケージング等は、上記第1実施形態と同様なので説明を省略する。
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態の角速度センサ300では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
また、第3実施形態の角速度センサ300では、振動部10の外周側と内周側とで温度勾配が生じた場合に、最も温度差が大きくなる外周面10aおよび内周面10bの少なくとも一方に第2材料の端面層210が設けられる。そのため、最も温度差が大きくなる箇所(外周面10aおよび内周面10b)に熱伝導の低い第2材料の端面層210が配置されることから、外周面10aおよび内周面10bが第1材料の母材部11により構成される場合と比較して、第2材料の端面層210によって半径方向の熱移動を効果的に抑制することができる。また、振動部10の外形および第1低熱伝導部12の相対位置精度を向上させることができるので、角速度センサ300の振動特性を向上させ、性能向上を図ることができる。
第3実施形態では、外周面10aおよび内周面10bの両方に端面層210を設けているので、振動部10における外周面10a、第1低熱伝導部12、内周面10bの各位置精度を効果的に向上させることができる。なお、外周面10aおよび内周面10bの一方のみに端面層210を設ける場合でも、振動部10の外周面10aまたは内周面10bのいずれかを構成する端面層210と、第1低熱伝導部12との相対位置精度を向上できるので、振動部10の全体における第1低熱伝導部12の位置精度を向上できる。
また、第3実施形態では、支持部20に、第2材料からなり、支持部20の幅方向の両側から支持部母材部240に挟まれる第3低熱伝導部250を設けた。このため、振動部10の振動に伴って支持部20が振動することに起因して、支持部20の幅方向の一方側と他方側との間で温度勾配が発生した場合に、一方側から他方側あるいは他方側から一方側への熱移動を、第3低熱伝導部250によって抑制することができる。その結果、振動部10だけでなく、支持部20における熱移動に起因する熱損失を抑制することができる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態]
図25を参照して、第4実施形態による角速度センサ400の構成について説明する。第4実施形態では、連続した環状の第1低熱伝導部12を設けた上記第1実施形態とは異なり、第1低熱伝導部12に切れ目310を設ける例について説明する。なお、第4実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図25(A)に示すように、角速度センサ400は、振動部10において、第2材料からなり、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に挟まれる第1低熱伝導部12を備える。図示しないが、第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って環状に設けられる。
また、第4実施形態の角速度センサ400では、第1低熱伝導部12は、周方向の一部に切れ目310が設けられている。そして、切れ目310に配置された第1材料を介して、第1低熱伝導部12の内周側の母材部11と外周側の母材部11とが電気的に接続されている。言い換えると、切れ目310において、環状の第1低熱伝導部12を半径方向に貫通する第1材料の導通部が設けられている。第1低熱伝導部12の外周側の第1領域R1と、その第1低熱伝導部12の内周側の第2領域R2とが、切れ目310を介してつながっている。
切れ目310は、各々の第1低熱伝導部12に設けられる。そのため、図25(B)に示すように、母材部11が4つの第1低熱伝導部12によって5つの領域15に分割されているが、5つの領域15が互いに切れ目310を介して電気的に接続され、同電位となる。
各々の切れ目310は、長さL2(図25(A)参照)を有する。切れ目310は、第1低熱伝導部12(第2材料の部分)と比較して熱伝導が高く、振動部10の振動に伴って発生した熱が移動しやすい通路となる。そのため、電気的接続を確保しつつ、熱移動の低減を図る観点から、切れ目310の長さL2は、第1低熱伝導部12の周長に対して十分に小さいことが好ましく、母材部11の各領域15を電気的に接続可能な範囲で極力小さいことが好ましい。切れ目310は、たとえば1つの第1低熱伝導部12について1つ設けられる。切れ目310を複数設けてもよいが、切れ目310の数は少ない方が好ましい。
図25(B)に示すように、切れ目310以外の位置において、第1低熱伝導部12は、母材部11を厚み方向に貫通し、母材部11を内周側と外周側とに分割している。図25(C)に示すように、切れ目310では、第1低熱伝導部12が設けられておらず、厚みt1の母材部11が連続している。切れ目310では、内周側の母材部11と外周側の母材部11とが接続されていれば、第1低熱伝導部12が部分的に設けられていてもよい。
(切れ目の形成位置)
次に、環状の第1低熱伝導部12の周方向における切れ目310の形成位置について説明する。切れ目310は、環状の第1低熱伝導部12において、周方向の任意の位置(回転位置)に配置することができる。たとえば図25(A)の例では、4つの第1低熱伝導部12の各々の切れ目310の周方向の位置が、互いに一致する例を示している。したがって、4つの切れ目310が半径方向に直線状に並んでいる。
上記の通り、切れ目310では、第2材料の第1低熱伝導部12が途切れているため、振動部10の振動に伴って発生した熱が移動しやすい通路となる。そのため、第1低熱伝導部12が振動部10の半径方向に複数設けられている場合(切れ目310が複数設けられる場合)、切れ目310は、熱の移動経路を長くするため、直線状に並ばないことが好ましい。
そこで、図26および図27の例では、複数の第1低熱伝導部12の各々の切れ目310の形成位置が、周方向に互いに異なっている。図26および図27は、第1低熱伝導部12および切れ目310の配置を示した模式図であり、振動部10の内周面10bおよび外周面10aを二点鎖線で示している。図26の例では、図中、真上位置を0度とした場合に、0度、90度、180度、270度の各位置に、4つの第1低熱伝導部12の切れ目310がそれぞれ配置されている。最内周の切れ目310と、内側から2番目の切れ目310とは、振動部10の中心に対して互いに反対側の位置(0度、180度)に設けられている。最外周の切れ目310と、外側から2番目の切れ目310とは、振動部10の中心に対して互いに反対側の位置(90度、270度)に設けられている。
この結果、第1低熱伝導部12に切れ目310を設ける構成においても、振動部10の振動に伴って発生した熱が切れ目310を通過する場合の移動経路を長くしている。
さらに、切れ目310の位置は、振動部10における振動に伴う温度変化を考慮して、相対的に温度変化の小さい位置にすることが好ましい。すなわち、図4に示したように、振動部10をcos2θの一次振動モードで駆動すると、0度、90度、180度、270度の各位置が、一次振動の腹となり、振幅が最大となる。この場合、45度、135度、225度、315度の各位置が、一次振動の節となり、振幅が最小となる。振動に伴う温度変化は、変形による圧縮応力と引張応力とにより生じるため、振幅が小さい(変形量が小さく応力変化が小さい)ほど、温度変化も小さくなる。
そこで、図27に示す例では、複数の第1低熱伝導部12の各々の切れ目310が、周方向において、振動部10を駆動する際の一次振動モードにおける節の位置(45度、135度、225度、315度)に形成されている。つまり、周方向において、振動部10を駆動する際の振幅が最小となる位置に、切れ目310が設けられている。この結果、振動に伴って切れ目310の位置で発生する温度勾配の温度差が小さくなり、熱の移動量自体が低減されるので、切れ目310を設ける場合でも、切れ目310を通過する熱の移動によるQ値への影響が極力低減される。
第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態の効果]
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第4実施形態の角速度センサ400では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
第4実施形態では、第1低熱伝導部12の周方向の一部に設けた切れ目310を介して、第1低熱伝導部12の内周側の母材部11と外周側の母材部11とが電気的に接続されるので、第1領域R1と第2領域R2とを同電位にすることができる。その結果、第1低熱伝導部12を設ける場合でも、第1領域R1と第2領域R2とが電気的に分離されて(いわゆるフロート電位になって)第1領域R1と第2領域R2との電位が異なることに起因する電気的なノイズが発生することを回避できる。
また、図26および図27に示した構成では、複数の第1低熱伝導部12の各々の切れ目310の形成位置を、周方向に互いに異ならせることにより、熱の移動経路の経路長を長くすることができるので、第1低熱伝導部12に切れ目310を設ける場合でもQ値の増大を図ることができる。
第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第5実施形態]
図28~図30を参照して、第5実施形態による角速度センサ500の構成について説明する。第5実施形態では、第1低熱伝導部12に切れ目310を設けた上記第4実施形態とは異なり、導電層410を介して第1低熱伝導部12の内側と外側との母材部11の電気的接続を確保する例について説明する。なお、第5実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図28(A)に示すように、角速度センサ500は、振動部10において、第2材料からなり、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に挟まれる第1低熱伝導部12を備える。図示しないが、第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って環状に設けられる。第1低熱伝導部12は、母材部11を分割するように振動部10の全周に亘って連続して設けられている。そのため、振動部10において、内周側の母材部11と外周側の母材部11とは第1低熱伝導部12を介して電気的に分離されている。
第5実施形態の角速度センサ500では、振動部10は、第1低熱伝導部12および母材部11に対して振動部10の表面側に、分割されたそれぞれの母材部11を導通させる導電層410が設けられている。導電層410は、たとえば、分割されたそれぞれの母材部11に跨がるように、振動部10の半径方向の略全幅に亘って設けられる。導電層410は、たとえば、振動部10の周方向の所定位置に、配線部40と共通のパターニング処理によって形成される。つまり、配線部40と導電層410とが共通の金属層に対するパターニングでまとめて形成できる。
具体的には、図28(B)に示すように、母材部11および第1低熱伝導部12を含む振動部10の上面上に絶縁膜45が設けられ、絶縁膜45の表面上に導電層410が設けられている。つまり、導電層410は、図29に示す配線部40と共通の絶縁膜45の表面上に、形成されている。ただし、導電層410は、配線部40とは離隔した位置に設けられ、配線部40とは電気的に分離されている。図28(A)では、導電層410は、2つの支持部20からそれぞれ半径方向に延びる2本の配線部40の間の位置に、半径方向に延びるように形成されている。
導電層410の形成位置において、絶縁膜45には、エッチング等によって、絶縁膜45を厚み方向に貫通する貫通孔421が設けられている。貫通孔421は、第1低熱伝導部12によって電気的に分離されたそれぞれの母材部11の領域15の上面に到達している。つまり、図28(B)の例では、4つの第1低熱伝導部12によって母材部11が5つの領域15に分離され、絶縁膜45の貫通孔421が、5つの領域15の各々の上面に到達するように半径方向に並んでいる。貫通孔421の平面形状は特に限定されず、矩形や円形でもよいし、母材部11のそれぞれの領域15に沿って周方向に延びるかまたは環状に形成されていてもよい。
導電層410は、配線部40と同じ金属などの導体からなり、絶縁膜45の上面に成膜されていると共に、絶縁膜45のそれぞれの貫通孔421内に充填されている。つまり、絶縁膜45の貫通孔421が形成された後、導電層410が成膜されることにより、貫通孔421内を充填するように導電層410が絶縁膜45の表面上に形成される。これにより、導電層410は、貫通孔421を介して、母材部11の5つの領域15の各々を、電気的に接続している。
第5実施形態の角速度センサ500では、切れ目310(図25参照)を設ける構成と異なり、環状に連続した第1低熱伝導部12を設けつつ、母材部11において第1低熱伝導部12によって電気的に分離されたそれぞれの領域15間の電気的な接続が確保される。熱の移動経路となる切れ目310が設けられないため、Q値を増大させやすい。
導電層410と配線部40とは、振動部10の同じ層に設けなくてもよい。図30の例では、導電層410と配線部40とは、振動部10の互いに異なる表面(上面または下面)に設けられている。つまり、図30では、配線部40が、振動部10の上面である一方表面に、絶縁膜45を介して設けられている。導電層410が、振動部10の下面である他方表面に設けられ、母材部11の各々の領域15同士を電気的に接続している。図30の場合、導電層410と配線部40とは、絶縁膜45により電気的に分離されているので、導電層410を振動部10(母材部11)の他方表面上に直接形成してよい。また、図30の場合、導電層410をたとえば振動部10の他方表面の略全面に形成してよい。
第5実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第5実施形態の効果]
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第5実施形態の角速度センサ500では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
また、第5実施形態の角速度センサ500では、振動部10の表面側または裏面側に、第1低熱伝導部12によって分割されたそれぞれの母材部11を導通させる導電層410を設けているので、母材部11の第1領域R1と第2領域R2とが第1低熱伝導部12によって電気的に分離される場合でも、第1領域R1と第2領域R2とを同電位にすることができる。その結果、第1低熱伝導部12を設ける場合でも、第1領域R1と第2領域R2との電位が異なることに起因する電気的なノイズが発生することを回避できる。
第5実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第6実施形態]
図31~図34を参照して、第6実施形態による角速度センサ600の構成について説明する。第6実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、さらに第4低熱伝導部510を設ける例について説明する。なお、第6実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図31に示すように、角速度センサ600は、振動部10において、第2材料からなり、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に挟まれる第1低熱伝導部12を備える。第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って環状に設けられる。第1低熱伝導部12は、母材部11を分割するように振動部10の全周に亘って連続して設けられている。
第6実施形態の角速度センサ600では、振動部10は、振動部10に形成された非貫通の溝または貫通孔からなる第4低熱伝導部510をさらに備える。第4低熱伝導部510は、溝または貫通孔により振動部10に形成される空隙部分によって、母材部11よりも低い熱伝導率を有する。第4低熱伝導部510を通過する熱は、空隙部分に存在する空気などのガスが熱伝導媒体となる。たとえば空気(室温付近)の熱伝導率は、約0.0241[W/(m・K)]である。そのため、第4低熱伝導部510の熱伝導率は、たとえば第1材料としてシリコンからなる母材部11の熱伝導率よりも低く、第2材料としてシリコン酸化物からなる第1低熱伝導部12の熱伝導率よりも低い。
第4低熱伝導部510は、図32(A)~(C)に示すように、振動部10の厚み方向に凹状に形成された非貫通の溝により構成されうる。また、第4低熱伝導部510は、図32(D)に示すように、振動部10を厚み方向に貫通する貫通孔により構成されうる。図32(A)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の一方表面(上面)において凹状断面となるように設けられている。図32(B)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の他方表面(下面)において凹状断面となるように設けられている。図32(C)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の一方表面(上面)および他方表面(下面)の両方において凹状断面となるように設けられている。図32(D)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の一方表面(上面)から他方表面(下面)まで厚み方向に貫通し、一方表面(上面)および他方表面(下面)にそれぞれ開口している。
図31において、全体の図示は省略するが、第4低熱伝導部510は、振動部10の略全周に亘って並ぶように複数設けられている。図31の例では、第4低熱伝導部510は、周方向の長さL24を有し、周方向の間隔L23を隔てて振動部10の略全周に等間隔で配列されている。周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520は、第1材料からなる母材部11の一部である。
図31の例では、第4低熱伝導部510は、振動部10の半径方向に複数(2つ)設けられている。すなわち、振動部10の略全周に亘る周状の第4低熱伝導部510が、半径方向にずれた位置で同心状に、2列設けられている。半径方向外側の第4低熱伝導部510の列と、半径方向内側の第4低熱伝導部510の列とでは、部分520の位置が、周方向にずれている。部分520は、第4低熱伝導部510を迂回した熱の移動経路となる。そのため、周方向における部分520の位置がずれていることによって、熱の移動経路が長くなり、その分、Q値の増大が図れる。
また、第6実施形態では、第4低熱伝導部510と、第1低熱伝導部12とは、振動部10の半径方向に並んで設けられている。図31では、第1低熱伝導部12は、振動部10の半径方向の外側、中央、内側の3箇所にそれぞれ設けられている。同心状の2列の第4低熱伝導部510と、環状の3つの第1低熱伝導部12とが、半径方向に交互に配置されている。第4低熱伝導部510の幅W24は、第1低熱伝導部12の幅W21と同じでもよいし、第4低熱伝導部510の幅W24と第1低熱伝導部12の幅W21とのいずれか一方が他方よりも大きくてもよい。
なお、図31の例では、半径方向において、第4低熱伝導部510と、第1低熱伝導部12との間には、母材部11が介在するように設けられている。そのため、第4低熱伝導部510は、振動部10のうち母材部11に形成された溝または貫通孔によって構成されている。言い換えると、図32(A)~(D)に示したように、第4低熱伝導部510を構成する溝または貫通孔の内表面511は、母材部11の表面により構成されている。
図33に示すように、第4低熱伝導部510と、第1低熱伝導部12とは、母材部11が介在することなく隣接してもよい。図33(A)は、振動部10の一部を模式的に示した平面図であり、便宜的に振動部10を直線状に図示している。図33(B)は、振動部10の半径方向および厚み方向に沿った断面図である。図33の例では、第4低熱伝導部510が半径方向の外側と内側とにそれぞれ設けられており、第1低熱伝導部12が第4低熱伝導部510の間に配置されている。第1低熱伝導部12は、半径方向外側の外周面12cにおいて、外側の第4低熱伝導部510内に露出し、第4低熱伝導部510の内表面511を構成している。第1低熱伝導部12は、半径方向内側の内周面12dにおいて、内側の第4低熱伝導部510内に露出し、第4低熱伝導部510の内表面511を構成している。
図34の例では、環状の第1低熱伝導部12が、第4低熱伝導部510内を貫通するように設けられている。この結果、振動部10は、第1低熱伝導部12に対して半径方向外側の第4低熱伝導部510aと、第1低熱伝導部12に対して半径方向内側の第4低熱伝導部510bとを含んでいる。
また、図34(A)の例では、第1低熱伝導部12が、周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520にも、設けられている。このため、第4低熱伝導部510の形成箇所における断面を示した図34(B)では、それぞれ貫通孔からなる第4低熱伝導部510aおよび510bの間を通過するように、第1低熱伝導部12が形成されている。周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520における断面を示した図34(C)では、母材部11を半径方向の内側と外側とに分割するように、第1低熱伝導部12が形成されている。
なお、図33の例と図34の例とは、第1低熱伝導部12の半径方向の幅と第4低熱伝導部510の半径方向の幅とが異なるだけで、第1低熱伝導部12によって第4低熱伝導部510が内側と外側とに分断されている点で、構造上は同等と見なすこともできる。図33および図34の例では、第4低熱伝導部510の形成箇所では、第1低熱伝導部12は、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に第4低熱伝導部510を介して挟まれるように配置されている。隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520では、第1低熱伝導部12は、母材部11における第1領域R1と第2領域R2との間に、第1領域R1と第2領域R2とに直接接触した状態で挟まれるように配置されている。
第6実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第6実施形態の効果]
第6実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第6実施形態の角速度センサ600では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
また、第6実施形態の角速度センサ600では、第4低熱伝導部510を構成する非貫通の溝または貫通孔によって、熱の移動を抑制することができる。このため、第1低熱伝導部12に加えてさらに第4低熱伝導部510を設ける事によって、より効果的なQ値の増大を図ることができる。
また、第6実施形態の角速度センサ600では、振動部10の振動に伴って半径方向の温度勾配が生じた場合でも、半径方向に並ぶ第4低熱伝導部510と第1低熱伝導部12とによって、半径方向への熱の移動を効果的に抑制することができる。
第6実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第7実施形態]
図35および図36を参照して、第7実施形態による角速度センサ700の構成について説明する。第7実施形態では、第4低熱伝導部510と第1低熱伝導部12とが周方向に並ぶ例について説明する。なお、第7実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図35に示すように、第7実施形態の角速度センサ700において、第4低熱伝導部510は、振動部10を厚み方向に貫通する貫通孔からなり、第4低熱伝導部510と、第1低熱伝導部12とは、振動部10の周方向に並んで設けられている。第4低熱伝導部510は、非貫通の溝でもよい。
全体の図示は省略するが、第4低熱伝導部510は、振動部10の略全周に亘って並ぶように複数設けられている。図35の例では、第4低熱伝導部510は、周方向の長さL34を有し、周方向の間隔L33を隔てて振動部10の略全周に等間隔で配列されている。そして、第7実施形態では、第1低熱伝導部12は、周方向において、それぞれの第4低熱伝導部510の間に設けられている。すなわち、隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520に、第2材料からなる第1低熱伝導部12が配置されている。
全体の図示は省略するが、第1低熱伝導部12は、振動部10の略全周に亘って並ぶように複数設けられている。より詳細には、貫通孔(第4低熱伝導部510)を除く振動部10の略全周に亘って、第1低熱伝導部12が設けられている。つまり、図35の例では、第1低熱伝導部12と第4低熱伝導部510とが周方向に交互に並ぶように設けられており、周方向に並ぶ第1低熱伝導部12と第4低熱伝導部510との列が、振動部10の略全周に亘って形成されている。なお、図35の例では、周方向に延びる第1低熱伝導部12と第4低熱伝導部510との列が、同心状に、半径方向において複数(2列)設けられている。各々の列において、複数の第1低熱伝導部12は、第4低熱伝導部510の周方向の長さL34に相当する間隔を隔てて並んで設けられ、全体として振動部10の略全周に亘って形成されている。なお、内側の列と外側の列との関係では、第1低熱伝導部12と第4低熱伝導部510とが半径方向に並んでいる。
第1低熱伝導部12は、周方向の長さL31を有する。図35の例では、第1低熱伝導部12の長さL31は、周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520の長さL33と等しい。つまり、第1低熱伝導部12は、周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の端面同士を接続するように設けられている。このため、周方向に並んだ第4低熱伝導部510と第1低熱伝導部12との列が、母材部11を半径方向内側と外側とに分割するように設けられている。部分520は、第4低熱伝導部510を迂回した熱の移動経路となるため、熱の通り道である部分520に、第1低熱伝導部12が配置されることによって、半径方向への熱の移動が効果的に抑制される。
図35の例では、第4低熱伝導部510の半径方向の幅W34が、第1低熱伝導部12の半径方向の幅W31よりも大きい。第4低熱伝導部510の幅W34は、第1低熱伝導部12の幅W31と等しくてもよいし、第4低熱伝導部510の幅W34は、第1低熱伝導部12の幅W31よりも小さくてもよい。
また、図35の例では、第4低熱伝導部510の周方向の長さL34が、第1低熱伝導部12の周方向の長さL31よりも大きい。第4低熱伝導部510の長さL34は、第1低熱伝導部12の長さL31と等しくてもよいし、第4低熱伝導部510の長さL34は、第1低熱伝導部12の長さL31よりも小さくてもよい。
また、図36(A)に示すように、第1低熱伝導部12の長さL31が、周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520の長さL33よりも大きくてもよい。つまり、周方向において、第1低熱伝導部12の端部が、第4低熱伝導部510内に突出してもよい。製造プロセスにもよるが、図35および図36に示すような振動部10の構造は、母材部11に第1低熱伝導部12を形成した後、第4低熱伝導部510の形成箇所をパターニングおよびエッチングすることにより、形成しうる。このとき、図36(A)のように第1低熱伝導部12の長さL31を長さL33よりも大きくすると、第4低熱伝導部510の形成箇所をパターニングする際の許容誤差を大きく確保できるので、角速度センサ700の製造を容易化しうる。
また、図36(B)に示すように、第1低熱伝導部12の長さL31が、周方向に隣り合う第4低熱伝導部510の間の部分520の長さL33よりも小さくてもよい。つまり、周方向において、第1低熱伝導部12と第4低熱伝導部510との間に、母材部11が介在してもよい。
第7実施形態のその他の構成は、上記第6実施形態と同様である。
[第7実施形態の効果]
第7実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第7実施形態の角速度センサ700では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
また、第7実施形態の角速度センサ700では、第4低熱伝導部510の形成箇所では、貫通孔によって熱の移動を効果的に抑制できる。そして、周方向において第4低熱伝導部510が形成されない部分(部分520)では、第1低熱伝導部12によって熱の移動を抑制する事ができる。これにより、第1低熱伝導部12および第4低熱伝導部510を、それぞれ振動部10の周方向の全周に亘って連続した環状形状に形成しない場合でも熱の移動を抑制することができるので、Q値を増大させながら、効果的に構造上の制約を軽減させることができる。
特に、第4低熱伝導部510を貫通孔により形成した場合、構造上の制約により、第4低熱伝導部510を連続した環状に形成することはできない。そこで、第7実施形態では、第4低熱伝導部510と第1低熱伝導部12とが、振動部10の周方向に並んで設けられるので、第4低熱伝導部510が形成されない部分(部分520)に、第1低熱伝導部12を設けて熱の移動を抑制する事ができる。これにより、構造上の制約をクリアしつつ、より効果的にQ値を増大させることができる。
また、第7実施形態の角速度センサ700では、複数の第4低熱伝導部510を振動部10の略全周に亘って並べることによって、振動部10の全周にわたって熱の移動を効果的に抑制できる。そして、それぞれの第4低熱伝導部510の間に第1低熱伝導部12を設ける事によって、第4低熱伝導部510の間を通過する熱の移動を抑制することができる。その結果、より一層効果的にQ値を増大させることができる。
第7実施形態のその他の効果は、上記第6実施形態と同様である。
[第8実施形態]
図37および図38を参照して、第8実施形態による角速度センサ800の構成について説明する。第8実施形態では、上記第6および第7実施形態とは異なり、第4低熱伝導部510と第1低熱伝導部12とが振動部の厚み方向に並ぶ例について説明する。なお、第8実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、第8実施形態における第4低熱伝導部510と第1低熱伝導部12とは、それぞれ特許請求の範囲の「溝状低熱伝導部」と「環状低熱伝導部」との一例である。
図37は、振動部10の半径方向および厚み方向に沿った断面を、周方向から見た模式図(A)~(F)を示している。第8実施形態の角速度センサ800において、第4低熱伝導部510は、振動部10の厚み方向に凹状に形成された溝からなり、第4低熱伝導部510と、第1低熱伝導部12とは、厚み方向に並んで設けられている。
図37(A)~(C)に示すように、第4低熱伝導部510は、振動部10の厚み方向に凹状に形成された非貫通の溝により構成されている。図37(A)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の一方表面(上面)において凹状断面となるように設けられている。図37(B)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の他方表面(下面)において凹状断面となるように設けられている。図37(A)および(B)では、振動部10のうち、第4低熱伝導部510が形成されていない側の表面は平坦面となっている。図37(C)では、第4低熱伝導部510は、振動部10の一方表面(上面)および他方表面(下面)の両方において凹状断面となるように設けられている。断面において、第4低熱伝導部510は、断面において矩形形状を有する。第4低熱伝導部510の断面形状は、矩形に限らず、三角形状、U字形状、円弧形状など任意である。
振動部10は、厚み方向において、第4低熱伝導部510と隣接する接続部710を有する。接続部710は、第4低熱伝導部510に対して半径方向内側の母材部11と、外側の母材部11とを接続する部分である。接続部710は、図37(A)および(B)の例では、第4低熱伝導部510と、第4低熱伝導部510とは反対側の表面との間の部分である。接続部710は、図37(C)の例では、振動部10の両表面に設けられたそれぞれの第4低熱伝導部510の間の部分である。
第8実施形態では、第1低熱伝導部12が、第4低熱伝導部510と半径方向および周方向の同じ位置に配置されており、振動部10の厚み方向において、少なくとも第4低熱伝導部510の非形成領域に設けられている。つまり、第1低熱伝導部12は、少なくとも接続部710に設けられている。これにより、第4低熱伝導部510と、第1低熱伝導部12とは、厚み方向に並んで設けられている。
第1低熱伝導部12は、図37(A)~(C)の例では、厚み方向における接続部710の全長に亘って設けられている。第1低熱伝導部12は、厚み方向の端部が、第4低熱伝導部510の内底面に露出するように設けられている。
図37では、第1低熱伝導部12の半径方向の幅W41が、第4低熱伝導部510の内底面の半径方向の幅W44よりも小さい。第1低熱伝導部12の幅W41は、第4低熱伝導部510の内底面の幅W44と等しくてもよい。つまり、接続部710の全体が、第1低熱伝導部12によって構成されていてもよい。
図37に示した断面において、接続部710は、第4低熱伝導部510を迂回した熱の移動経路となる。そのため、熱の通り道である接続部710に、第1低熱伝導部12が配置されることによって、半径方向への熱の移動が効果的に抑制される。
図37(A)~(C)の例を比較すると、図37(A)および(B)では、振動部10の一方表面または他方表面を平坦面にすることができるので、配線部40(図5参照)の形成を容易に行える。図37(C)では、振動部10の厚み方向において、第4低熱伝導部510を上下対称に設ける事ができるので、振動部10の対称性を確保しやすく、意図しない振動成分が生じることを抑制できる。また、図37(C)では、発熱による振動部10の形状変化についても対称性を確保しやすく、発熱に起因して振動部10に歪みが生じることを抑制できる。
図37(D)~(F)の例では、第1低熱伝導部12が、接続部710に形成されているのみならず、第4低熱伝導部510の内部に突出するように設けられている。図37(D)~(F)では、第4低熱伝導部510が振動部10の一方表面(上面)および他方表面(下面)の両方に形成されており、第1低熱伝導部12が、いずれか一方または両方の第4低熱伝導部510内に突出するように、厚み方向に延びている。
図37(D)では、第1低熱伝導部12が、両方の第4低熱伝導部510内に突出している。第1低熱伝導部12は、振動部10の一方表面(上面)から他方表面(下面)に亘って延びている。つまり、第1低熱伝導部12の厚みが、振動部10(母材部11)の厚みと等しい。図37(E)および(F)では、それぞれ、第1低熱伝導部12が、片方の第4低熱伝導部510内に突出している。
ここで、図37(A)~(C)に示すような振動部10の構造は、母材部11に第1低熱伝導部12を形成した後、エッチングにより第4低熱伝導部510を形成し、第4低熱伝導部510内に残る第1低熱伝導部12を、エッチングにより除去することにより形成されうる。このため、図37(D)~(F)のように第1低熱伝導部12が第4低熱伝導部510内に突出する構成では、第4低熱伝導部510内に残る第1低熱伝導部12を、エッチングにより除去する工程の一部または全部を省略できるので、角速度センサ700の製造を容易化しうる。
また、第4低熱伝導部510は、非貫通の溝からなる空隙部分であるため、第4低熱伝導部510を設けない場合(空隙部分を形成しない場合)と比べると、振動部10の剛性を低下させる傾向がある。図37(D)~(F)のように第1低熱伝導部12を形成すると、第1低熱伝導部12が補強となり振動部10の剛性を確保しやすくなる。
第8実施形態では、第4低熱伝導部510が貫通孔ではなく、非貫通の溝部により構成されるので、第4低熱伝導部510は、振動部10の周方向に、全周にわたって連続した環状に形成されうる。全体の図示は省略するが、図38では、第4低熱伝導部510が振動部10の全周にわたって連続した環状に形成される例を示している。図38では、便宜的に、母材部11および第1低熱伝導部12の部分にハッチングを付している。振動部10の表面において、非貫通の溝部からなる第4低熱伝導部510が環状に形成され、第4低熱伝導部510の内底面の部分に露出するように、第1低熱伝導部12が形成(図37(A)など参照)されている。
第8実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第8実施形態の効果]
第8実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第8実施形態の角速度センサ800では、上記第1実施形態と同様に、環状の第1低熱伝導部12によって、Q値を増大させつつ、構造上の制約を軽減させて、総合的な性能向上を実現することができる。
また、第8実施形態の角速度センサ800では、第4低熱伝導部510を貫通孔により構成する場合と異なり、第4低熱伝導部510を環状に形成しても、振動部10が分離することなく第4低熱伝導部510の内周側と外周側とが一体的に接続した構造を確保できる。また、振動部10の断面において、第4低熱伝導部510の形成箇所では溝によって熱の移動を抑制することができ、第4低熱伝導部510が形成されない部分に、第1低熱伝導部12を設けて熱の移動を抑制する事ができる。その結果、より効果的にQ値を増大させることができる。
第8実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1~第8実施形態では、電磁駆動型の角速度センサの例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、静電駆動型の角速度センサに適用してもよいし、圧電駆動型の角速度センサに適用してもよい。
また、上記第1~第8実施形態のそれぞれにおいて示した角速度センサの各部の構成は、任意に組み合わせ可能である。本発明は、上記第1~第8実施形態のうち、いずれかの実施形態の構成を、他のいずれか1つまたは複数の実施形態の構成と組み合わせた構成を含む。
また、上記第2実施形態では、第2材料からなる第2低熱伝導部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。第2材料からなる第2低熱伝導部に代えて、第1材料および第2材料の両方と異なる第3材料からなる低熱伝導部を設けてもよい。第3材料は、第1材料よりも熱伝導が低い材料であればよい。
また、上記第3実施形態では、第2材料からなる端面層を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。第2材料からなる端面層に代えて、第1材料および第2材料の両方と異なる第4材料からなる端面層を設けてもよい。第4材料は、第1材料よりも熱伝導が低い材料であればよい。同様に、第2材料からなる第3低熱伝導部に代えて、第1材料および第2材料の両方と異なる第5材料からなる第3低熱伝導部を設けてもよい。第5材料は、第1材料よりも熱伝導が低い材料であればよい。
また、上記第1および第3実施形態において示した角速度センサの作製方法は、あくまでも一例であり、上記した方法には限定されない。本発明の角速度センサは、どのような手法で作製してもよい。角速度センサのサイズにもよるが、角速度センサの作製方法は、半導体製造プロセスを利用したものに限られず、機械加工によって作製されてもよい。言い換えると、角速度センサは、MEMSセンサに限られず、より大型の角速度センサであってもよい。
また、上記第3実施形態(図19参照)では、振動部10のみに端面層210を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。図39に示す第1変形例のように、振動部10の端面層210に加えて、支持部20にも端面層251を設けてもよい。図39では、支持部20の両側の外周面(側端面)を構成する端面層251が設けられている。端面層251は、端面層210と同様の構造および形成方法を採用できる。支持部20にも端面層251を設けることによって、支持部20と振動部10との相対位置精度を向上させることができる。また、貫通エッチングの際のレジストの許容誤差範囲も、端面層251の幅の分だけ大きく確保できる。
また、支持部20について、図19の第3低熱伝導部250と、図39の端面層251とを組み合わせてもよい。すなわち、図40の第2変形例のように、支持部20に、支持部20の両側の外周面を構成する端面層251と、第1材料の支持部母材部240に挟まれる第3低熱伝導部250との両方を設けてもよい。
なお、図39および図40の例では、振動部10の端面層210と、支持部20の端面層251とを、互いに分離した別々の構造として設けているが、互いに連続するように一体形成してもよい。つまり、図41に示す第3変形例のように、振動部10および支持部20の両方の外形形状を構成するように、振動部10と支持部20とに連続した端面層210を設けてもよい。この場合、端面層210は、振動部10の外周面10a、支持部20の外周面だけでなく、固定部30の内周面(図示省略)にも形成してよい。つまり、貫通エッチングで基板1に振動部10、支持部20および固定部30を区画する貫通孔を形成する際、貫通孔のエッジ(端面)となる輪郭全体に沿って端面層210を形成してよい。この場合、振動部10、支持部20および固定部30の全体の位置精度を向上させることが可能である。
10 振動部
10a 外周面
10b 内周面
11 母材部
12、12a、12b 第1低熱伝導部
20 支持部
30 固定部
40 配線部
100、200、300、400、500、600、700、800 角速度センサ
110、110a、110b 第2低熱伝導部
210 端面層
240 支持部母材部
250 第3低熱伝導部
310 切れ目
410 導電層
510、510a、510b 第4低熱伝導部
CP 連結部
R1 第1領域
R2 第2領域

Claims (15)

  1. 環状の振動部と、
    前記振動部と固定部とを接続し前記振動部を支持する支持部とを備え、
    前記振動部は、
    第1材料からなる環状の母材部と、
    前記第1材料よりも熱伝導が低い第2材料からなり、前記振動部の略全周に亘って、前記母材部における環状の第1領域と前記第1領域よりも内側で環状の第2領域との間に挟まれる環状の第1低熱伝導部とを含み、
    前記第1低熱伝導部は、前記振動部の半径方向に複数設けられているとともに、それぞれ周方向の一部に切れ目が設けられ、
    前記切れ目に配置された前記第1材料を介して前記第1低熱伝導部の内周側の前記母材部と外周側の前記母材部とが電気的に接続されており、
    前記複数の第1低熱伝導部の前記切れ目は、周方向において、前記振動部を駆動する際の一次振動モードにおける、互いに異なる節の位置に形成されている、角速度センサ。
  2. 前記第1低熱伝導部は、前記振動部の厚み方向の略全体に亘るように形成されている、請求項1に記載の角速度センサ。
  3. 前記第1低熱伝導部は、前記母材部を厚み方向に貫通している、請求項1または2に記載の角速度センサ。
  4. 前記振動部と前記支持部との連結部に設けられた前記第2材料からなる第2低熱伝導部をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  5. 前記第1低熱伝導部の表面は、前記母材部の表面と略同一面上に形成されており、
    前記振動部は、前記第1低熱伝導部上を跨いで横切るように設けられた配線部を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  6. 前記第1材料は、シリコンであり、前記第2材料は、シリコン酸化物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  7. 前記振動部の外周面および内周面の少なくとも一方に、前記第2材料からなる端面層を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  8. 前記支持部は、前記第1材料からなる支持部母材部と、前記第2材料からなり、前記支持部の幅方向の両側から前記支持部母材部に挟まれる第3低熱伝導部とを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  9. 前記振動部に形成された非貫通の溝または貫通孔からなる第4低熱伝導部をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  10. 前記第4低熱伝導部と、前記第1低熱伝導部とは、前記振動部の半径方向に並んで設けられている、請求項9に記載の角速度センサ。
  11. 前記第4低熱伝導部と、前記第1低熱伝導部とは、前記振動部の周方向に並んで設けられている、請求項9に記載の角速度センサ。
  12. 前記第4低熱伝導部は、前記振動部の略全周に亘って並ぶように複数設けられ、
    前記第1低熱伝導部は、前記周方向において、それぞれの前記第4低熱伝導部の間に設けられている、請求項11に記載の角速度センサ。
  13. 前記第1低熱伝導部上には、前記第2材料からなり、前記第1低熱伝導部と一体的に形成された絶縁膜が設けられている、請求項1~12のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  14. 前記第1低熱伝導部上には、前記第2材料からなり、前記第1低熱伝導部と一体的に形成された、配線部を設けるための絶縁膜が設けられている、請求項1~13のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  15. 環状の振動部と、
    前記振動部と固定部とを接続し前記振動部を支持する支持部とを備え、
    前記振動部は、
    第1材料からなる環状の母材部と、
    前記第1材料よりも熱伝導が低い第2材料からなり、前記振動部の略全周に亘って、前記母材部における環状の第1領域と前記第1領域よりも内側で環状の第2領域との間に挟まれる環状の環状低熱伝導部と、
    前記振動部に形成された非貫通の溝からなる溝状低熱伝導部と、を含み、
    前記溝状低熱伝導部は、前記振動部の厚み方向に凹状に形成された溝からなり、
    前記溝状低熱伝導部と、前記環状低熱伝導部とは、厚み方向に並んで設けられている、角速度センサ。
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