JP7258733B2 - 制電粘着テープ - Google Patents

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Description

本発明は、半導体製造設備で使用される制電粘着テープに関する。
半導体製造工程においては、静電気の発生、帯電、放電等の対策が重要である(特許文献1、2参照)。
例えば、静電気放電(Electrostatic Discharge(ESD))は、ウェーハに微細な回路パターンを形成する露光工程で使用されるレチクルに損傷を与え、欠陥回路パターンを露光するおそれがある。また、静電吸着(Electrostatic Attraction)により帯電したウェーハやレチクル、ウェーハカセット、治工具等は、周囲の浮遊微粒子を引寄せて表面に吸着させるため、汚染の原因となったり、欠陥率を増大させたりすることがある。さらに、ESDに伴う電磁波ノイズの発生により、半導体製造装置に使用される高速処理マイクロプロセッサー・ユニット(MPU)に電磁干渉(Electro Magnetic Interference(EMI))が生じ、半導体製造装置の異常停止や誤作動を招く場合がある。
これらの静電気現象による損傷や欠陥は、半導体製品への直接的な損失を生じさせるだけではなく、半導体製造設備の所有経費(Cost of Ownership(COO))を著しく増大させることになる。
そこで、壁材等の表面に帯電防止シートを貼着して、静電気の発生を防止する方法が提案されている(特許文献3参照)。
帯電防止シートとしては、プロピレン系共重合体と帯電防止剤とを含む表層と、高密度ポリエチレンを含む中間層とを有するポリオレフィン系積層フィルムが提案されている(特許文献4参照)。
特開2006-84506号公報 特開平6-151548号公報 特開平6-167062号公報 特開2012-171283号公報
しかしながら、従来の帯電防止シートは導電性を有するので静電気の発生を防止できるものの、必ずしも導電性が充分ではなく、さらなる改善が求められている。
例えば、半導体の製造プロセスでは、合成石英を材料とするリソグラフィー用マスクの洗浄や半導体ウェーハを乾燥させる際にイソプロピルアルコール(IPA)が使用されることがあるが、このイソプロピルアルコールは引火点が低く、発火しやすい。そのため、イソプロピルアルコールを使用する場合、帯電防止シートの導電性を向上させ、帯電防止を図る必要がある。
また、半導体製造工場の各所や半導体製造装置では、イオン成分を実質含まない非導電性の超純水や純水が使用されることがあるが、例えば超純水や純水を使用して精密洗浄等するような場合、静電気が発生しやすくなる。さらに、例えばポリテトラフルオロエチレン製の配管中を超純水や純水が流通すると、これら超純水や純水が誘導帯電あるいは流動帯電を生じさせ、配管上に帯電分布が生じることとなる。そのため、超純水や純水を使用する場合にも、帯電防止シートの導電性を向上させ、帯電防止を図る必要がある。
また、従来の帯電防止シートは、導電性に加えて、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性等を充分に満足するものではない。
例えば半導体のクリーンルームにおいては、希フッ酸や硫酸、アンモニア等の薬品、リソグラフィーで利用されるフォトレジストや水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の現像液、化学機械研磨(CMP)用のスラリー中に含まれる様々な酸やアルカリ等が使用される。これらの物質の飛散物や蒸発物が含まれる雰囲気中で、耐溶剤性や耐薬品性が不充分な帯電防止シートを使用すると、錆が発生したり、反応生成物が発生・付着したりするため、クリーンルームに衛生管理上の問題が生じることとなる。
本発明は、導電性、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性に優れる制電粘着テープを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] ポリエーテルエーテルケトンを含む樹脂層と、前記樹脂層に積層した制電粘着層とを備えた、半導体製造設備用の制電粘着テープであって、
前記制電粘着層は、下記成分(A)及び下記成分(B)を含み、下記成分(A)100質量部に対する下記成分(B)の含有量が1~20質量部である、制電粘着テープ。
成分(A):下記単量体(a1)と、下記単量体(a2)と、下記単量体(a3)とを含む単量体混合物の共重合体であり、前記単量体混合物の総質量に対して、下記単量体(a1)の含有量が80~99.98質量%であり、下記単量体(a2)の含有量が0.01~3質量%であり、下記単量体(a3)の含有量が0.01~3質量%である。
単量体(a1):アルキル基の炭素数が4~8であるアクリル酸アルキル。
単量体(a2):アクリル酸ヒドロキシアルキル。
単量体(a3):アクリル酸。
成分(B):導電性カーボンブラック。
[2] 前記導電性カーボンブラックの比表面積が600~1000m/gである、[1]の制電粘着テープ。
[3] 前記ポリエーテルエーテルケトンの結晶化度が15%以上である、[1]又は[2]の制電粘着テープ。
本発明の制電粘着テープは、導電性、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性に優れる。
本発明の制電粘着テープの一実施形態を模式的に示す断面図である。 (a)は制電粘着テープがパイプに貼着した状態の一例を模式的に示す断面図であり、(b)はパイプ内を高温の洗浄液で洗浄したときに樹脂層が熱収縮した状態の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の制電粘着テープを対象物に巻き付けた状態の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の制電粘着テープを対象物に巻き付けた状態の他の例を模式的に示す正面図である。
[制電粘着テープ]
図1は、本発明の制電粘着テープの一実施形態を模式的に示す断面図である。
この例の制電粘着テープ10は、樹脂層11と、樹脂層11に積層した制電粘着層12とを備える。
なお、以下の説明で用いる各図面は、説明の便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際のものとは異なる場合がある。
また、後述する図2、図3及び図4において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
<樹脂層>
樹脂層11は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。この例の樹脂層11は、単層構造である。
樹脂層11は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。
ポリエーテルエーテルケトンは、下記一般式(1)で表される構造単位を有する熱可塑性樹脂である。
Figure 0007258733000001
式(1)中、nは10~5000の数が好ましく、20~1000の数がより好ましい。nが上記下限値以上であれば、制電粘着テープ10の機械的物性が高まる。nが上記上限値以下であれば、ポリエーテルエーテルケトンを容易に製造できる。
ポリエーテルエーテルケトンは、本発明の効果を損なわない範囲において、エーテルサルホン等の他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいは変性体でもよい。
ポリエーテルエーテルケトンは、前記一般式(1)で表される構造単位の割合が、ポリエーテルエーテルケトン100モル%に対して50~100モル%であることが好ましく、より好ましくは70~100モル%であり、さらに好ましくは80~100モル%であり、特に好ましくは100モル%である。前記一般式(1)で表される構造単位の割合が上記下限値以上であれば、制電粘着テープ10の耐熱性と機械的物性がより向上する。
ポリエーテルエーテルケトンの結晶化度は、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
制電粘着テープ10は、詳しくは後述するが、例えばパイプ等の対象物に貼着される。図2(a)はパイプ20に制電粘着テープ10が貼着した状態を模式的に示す断面図である。パイプ20の内部を洗浄する際には、高温(例えば170℃)の酸性又はアルカリ性の洗浄液を用いるため、制電粘着テープ10を構成する樹脂層11や制電粘着層12も高温に曝される。ポリエーテルエーテルケトンの結晶化度が上記下限値以上であれば、高温での樹脂層11の寸法変化が起こりにくい。樹脂層11の寸法変化が起こると樹脂層11が熱収縮し、パイプ20とのズレが生じ、例えば図2(b)に示すように制電粘着層12が露出することがある。
ポリエーテルエーテルケトンの結晶化度は、示差走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で測定した熱分析結果に基づき、下記式(i)より算出される。
結晶化度(%)={(ΔHm-ΔHc)/ΔHx}×100 ・・・(i)
(式(i)中、「ΔHc」は再結晶化ピークの熱量(J/g)であり、「ΔHm」は結晶融解ピークの熱量(J/g)であり、「ΔHx」は100%結晶化したポリエーテルエーテルケトンの融解エネルギーの理論値(すなわち、130J/g)である。)
樹脂層11中のポリエーテルエーテルケトンの含有量は、樹脂層11の総質量に対して90~100質量%が好ましく、より好ましくは95~100質量%である。ポリエーテルエーテルケトンの含有量が上記下限値以上であれば、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性がより向上する。
樹脂層11が多層構造の場合は、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性の低下を防ぐために、全ての層にポリエーテルエーテルケトンが含まれていることが好ましい。
樹脂層11は、必要に応じて、ポリエーテルエーテルケトン以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂)や添加剤等を含んでいてもよい。
他の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、脂肪族ポリアミド等が挙げられる。
他の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂層11の耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性や、成形性を維持する観点からすると、少ないほど好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
ここで、「実質的に含まない」とは、樹脂層11に他の熱可塑性樹脂を積極的に配合しないことを意味する。
添加剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、酸化チタン、マイカ、合成マイカ、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
添加剤の含有量は、樹脂層11の総質量に対して10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
樹脂層11の表面には、各種の表面処理により、カルボキシ基やヒドロキシ基等の親水基が形成されていてもよい。
樹脂層11は、薄い樹脂フィルムでも良いし、厚い樹脂シートでも良い。
樹脂層11の厚さは、1~300μmが好ましく、より好ましくは5~250μmであり、さらに好ましくは5~200μmである。樹脂層11の厚さが上記範囲内であれば、可撓性や柔軟性が向上する。
ここで、「樹脂層11の厚さ」とは、樹脂層11の平均厚さのことであり、樹脂層11の平均厚さは、マイクロメータを用い、樹脂層11の任意の10箇所以上について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
このような樹脂層11は、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性に優れる他、耐錆性、耐摩耗性、摺動性等にも優れる。また、超音波シールが容易であり、レーザにより溶着や印字が可能となる。さらに、難燃性にも優れ、吸水率が低く、純度が高いので、燃焼してもガスが発生しにくい。
<制電粘着層>
制電粘着層12は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。この例の制電粘着層12は、単層構造である。
制電粘着層12は、下記成分(A)及び下記成分(B)を含む。
成分(A)は、下記単量体(a1)と、下記単量体(a2)と、下記単量体(a3)とを含む単量体混合物の共重合体である。単量体混合物は、必要に応じて下記単量体(a4)を含んでいてもよい。すなわち、成分(A)は、単量体(a1)単位と、単量体(a2)単位と、単量体(a3)単位とを含み、必要に応じて単量体(a4)単位をさらに含む共重合体である。
単量体(a1):アルキル基の炭素数が4~8であるアクリル酸アルキル。
単量体(a2):アクリル酸ヒドロキシアルキル。
単量体(a3):アクリル酸。
単量体(a4):単量体(a1)、単量体(a2)及び単量体(a3)と共重合可能な他の単量体。
単量体(a1)は、アルキル基の炭素数が4~8であるアクリル酸アルキルである。
単量体(a1)としては、例えばアクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
単量体(a1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a2)は、アクリル酸ヒドロキシアルキルである。
単量体(a2)としては、例えばアクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、アクリル酸8-ヒドロキシオクチル等が挙げられる。
単量体(a2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a3)は、アクリル酸である。
単量体(a4)は、単量体(a1)、単量体(a2)及び単量体(a3)と共重合可能な他の単量体である。
単量体(a4)としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどの単量体(a1)以外のアクリル酸アルキル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸アルキル;メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸8-ヒドロキシオクチルなどのメタクリル酸ヒドロキシアルキル;メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グラタコン酸などの単量体(a3)以外のカルボキシ基含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミノ基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体等が挙げられる。
単量体(a4)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a1)の含有量は、単量体混合物の総質量に対して80~99.98質量%であり、好ましくは90~99.9質量%であり、さらに好ましくは95~99.8質量%である。
単量体(a2)の含有量は、単量体混合物の総質量に対して0.01~3質量%であり、好ましくは0.05~2質量%であり、さらに好ましくは0.1~1質量%である。単量体(a2)の含有量が上記下限値以上であれば、成分(A)と成分(B)との相溶性が高まる。よって、詳しくは後述するが、成分(A)及び成分(B)を含む導電性粘着剤塗工液の塗工性が向上する。
単量体(a3)の含有量は、単量体混合物の総質量に対して0.01~3質量%であり、好ましくは0.05~2質量%であり、さらに好ましくは0.1~1質量%である。単量体(a3)の含有量が上記上限値以下であれば、成分(A)と成分(B)との相溶性が高まる。よって、詳しくは後述するが、成分(A)及び成分(B)を含む導電性粘着剤塗工液の塗工性が向上する。
単量体(a4)の含有量は、単量体混合物の総質量に対して10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、実質的に含まないことが特に好ましい。
ここで、「実質的に含まない」とは、単量体混合物に単量体(a4)を積極的に配合しないことを意味する。
成分(A)である共重合体は、架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート化合物、1分子中にエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物等が挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(A)である共重合体のガラス転移点は、-40~-60℃が好ましい。共重合体のガラス転移点が上記下限値以上であれば、容易に製造することができる。共重合体のガラス転移点が上記上限値以下であれば、粘着力がより向上する。
共重合体のガラス転移点は、成分(A)である共重合体を構成する各単量体のホモポリマーのガラス転移点を用い、Foxの式により求められる理論値である。
成分(A)である共重合体の質量平均分子量は、40万~120万が好ましい。
共重合体の質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
制電粘着層12中の成分(A)の含有量は、制電粘着層12の総質量に対して80~99質量%が好ましく、より好ましくは83~95質量%であり、さらに好ましくは85~90質量%である。成分(A)の含有量が上記下限値以上であれば、充分な粘着力が得られる。成分(A)の含有量が上記上限値以下であれば、成分(B)の含有量を充分に確保できるので、充分な導電性が得られる。
成分(B)は、導電性カーボンブラックである。
ここで、「導電性カーボンブラック」とは、導電性を付与できる1.0×10-1Ω・cm以下の体積抵抗率を有するカーボンブラックのことである。体積抵抗率は、一定の電流を流した場合の物質の抵抗値を単位体積(1cm)で示した値である。
成分(B)としては、上記カーボンブラックであれば特に限定されないが、例えばケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャネルブラック(チャンネルブラックとも称する。)、ランプブラック、熱分解法によるサーマルブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
導電性カーボンブラックの比表面積は、600~1000m/gであることが好ましい。
導電性カーボンブラックの比表面積は、BET比表面積のことであり、ASTM D 3037に準拠した方法で測定される値である。
制電粘着層12中の成分(B)の含有量は、制電粘着層12中の成分(A)100質量部に対して1~20質量部であり、好ましくは5~15質量部である。成分(B)の含有量が上記下限値以上であれば、充分な導電性が得られる。成分(B)の含有量が上記上限値以下であれば、制電粘着層12の粘着力を良好に維持できる。
制電粘着層12は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、成分(A)及び成分(B)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、粘着力調整剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。また、ポリビニルピロリドン等のポリマー系界面活性剤を用いてもよい。これらの中でも、保存安定性の面からノニオン系界面活性剤が好ましい。
消泡剤としては、例えばシリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、例えばエポキシ基、ビニル基、又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
粘着付与剤としては、例えば石油樹脂、ロジン、テルペン系樹脂等が挙げられる。
粘着力調整剤としては、例えばタルク、ガラスビーズ、シリカ粒子、炭酸カルシウムなどの無機粒子(但し、成分(B)を除く。);成分(A)以外のアクリル樹脂粒子、ポリスチレン粒子、ポリウレタン粒子などの有機粒子等が挙げられる。
制電粘着層12中の任意成分の含有量は、制電粘着層12中の成分(A)100質量部に対して15質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下であり、実質的に含まないことが特に好ましい。
ここで、「実質的に含まない」とは、制電粘着層12に任意成分を積極的に配合しないことを意味する。
制電粘着層12の厚さは、導電性と粘着性の両立を図る観点では、1~50μmが好ましく、より好ましくは5~40μmであり、さらに好ましくは5~30μmである。
ここで、「制電粘着層12の厚さ」とは、制電粘着層12の平均厚さのことであり、制電粘着層12の平均厚さは、マイクロメータを用い、制電粘着層12の任意の10箇所以上について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
<製造方法>
制電粘着テープ10は、例えば以下のようにして製造できる。
樹脂層11としてポリエーテルエーテルケトンフィルム(PEEKフィルム)を用意し、必要に応じてこのPEEKフィルムの表面を表面処理した後、PEEKフィルムの表面に制電粘着層12を形成する粘着剤塗工液を塗工し、乾燥させることで、樹脂層11と、樹脂層11に積層した制電粘着層12とを備えた制電粘着テープ10を得る。
PEEKフィルムは、例えばポリエーテルエーテルケトンを含む成形材料を溶融押出成形機で溶融混練し、この溶融押出成形機の先端のTダイスから薄膜の樹脂フィルムに押出成形し、この押し出した樹脂フィルムを冷却ロールと圧着ロールとに挟持させて冷却した後、巻取機の巻取管に巻き取ることで製造することができる。
PEEKフィルムの表面処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等が挙げられる。PEEKフィルムを表面処理すれば、PEEKフィルムの表面に親水基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基等)を形成させることができ、この親水基により制電粘着層12の密着性が向上する。表面処理の中では、PEEKフィルムの表面に簡便に親水基を導入できることから、コロナ放電処理が好ましい。
導電性粘着剤塗工液は、成分(A)及び成分(B)と、必要に応じて任意成分とを分散媒に添加することにより調製できる。
分散媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合液があげられる。PEEKフィルムに対し、導電性粘着剤塗工液の濡れ性を向上させる観点から、分散媒は有機溶剤を含むことが好ましい。
有機溶剤としては、例えば成分(A)及び成分(B)の両方を分散させるアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤が好ましく、特にメチルエチルケトンが最適である。
導電性粘着剤塗工液の塗工方法としては、例えばコンマコーター、ロールコーター、ナイフコーター等の各種コーターを用いた印刷や、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。これらの中でもコンマコーターを用いた印刷、グラビア印刷が好ましい。
導電性粘着剤塗工液をPEEKフィルムに塗工した後の乾燥温度は、導電性粘着剤塗工液に含まれる分散媒の沸点以上が好ましい。
このようにして得らえた制電粘着テープ10は、必要に応じて、扱いやすい幅にスリット加工されたり、所定の形状やサイズに断裁加工されたりする。
<使用方法>
制電粘着テープ10は、制電粘着層12の粘着力低下を確実に防ぐ観点から、10~150℃の温度環境下で使用されることが好ましく、より好ましくは20~100℃の温度環境下であり、さらに好ましくは60~80℃の温度環境下であり、特に好ましくは65~75℃以下の温度環境下である。
制電粘着テープ10は、半導体製造設備で使用される粘着テープであり、具体的には半導体製造設備の所定の箇所に貼着されて使用される。
制電粘着テープ10の貼着の対象物(被着体)、すなわち半導体製造設備としては、例えば薬液の使用量を制御したり、安定した流量を確保したりするための流体用容器、クリーンルームの壁や仕切り、クリーンルームのカーテン、ウェーハラック、各種半導体製造装置やそのカバー(パネル)、超純水装置、薬液供給装置、気体濾過機器、液体濾過機器、イソプロピルアルコール(IPA)洗浄装置、IPA乾燥装置やそのカバー(パネル)、原料ガスタンク、薬液貯蔵タンク、これらの配管システム等が挙げられる。
制電粘着テープ10が貼着される貼着領域は、平坦面でもよいし、曲面でもよい。
また、貼着領域の少なくとも一部の材質は、絶縁性の樹脂であることが好ましい。人体は帯電しやすいため、半導体製造設備に接触すると放電により静電気が生じやすい。また、半導体製造設備に薬液が流れて接触すると、半導体製造設備と薬液とが擦れて静電気が生じ、静電気トラブルの生じるおそれがある。貼着領域の少なくとも一部の材質が絶縁性の樹脂であれば、人体や薬液が半導体製造設備に接触しても静電気が生じにくくなる傾向にある。
以下に、制電粘着テープ10の具体的な使用方法の一例を説明する。
(第一の態様)
図3は、制電粘着テープ10を対象物に巻き付けた状態の一例を模式的に示す斜視図である。
この例の対象物は、パイプ20である。
パイプ20としては、例えば非導電性の超純水や純水、イソプロピルアルコール等の薬液を流通させる洗浄装置のパイプ(配管)等が挙げられる。
パイプ20は、例えば四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン系樹脂等により成形され、必要に応じて可撓性が付与される。パイプ20にIPAを流通させる場合、パイプ20は耐薬品性等に優れる四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体により成形されるのが一般的である。
パイプ20の外周面20aには、周方向に、パイプ20の外周面20aと制電粘着テープ10の制電粘着層12とが接するように、幅広の制電粘着テープ10が巻着されている。制電粘着テープ10の巻き終わり部、すなわち制電粘着テープ10の長手方向の一方の端部は外側に折り返されて制電粘着層12が露出している。この露出した制電粘着層12の領域を「接続領域13」という。
接続領域13にはグラウンド線14が接続されている。
なお、制電粘着テープ10の巻き終わり部を外側に折り返すことなく、制電粘着テープ10の制電粘着層12にグラウンド線14を接続してグラウンドしてもよい。
制電粘着テープ10が巻着されたパイプ20には、超純水、純水、薬液を流入させたり、流出させたりするが、この際、パイプ20と薬液等との摩擦で電荷が生じても、電荷は、パイプ20から制電粘着テープ10の制電粘着層12とグラウンド線14とを経由して大地に瞬間的に流れ、失われる。
本実施形態によれば、制電粘着テープ10を樹脂層11と制電粘着層12との積層構造とするので、優れた導電性によりパイプ20の静電気トラブルを回避することができる。具体的には、絶縁性のパイプ20に制電粘着テープ10で帯電防止機能を付与するので、パイプ20に人体や物体が接触しても、これらの間に電流が一時的に流れ、スパークすることを防止できる。加えて、パイプ20の耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性等を大幅に向上できる。
また、例えばIPA等の引火点の低い薬液を使用したり、有機溶剤の蒸気が半導体製造設備内に存在したりしていると、発火の原因となる。
しかし、上記構成によれば、スパークを防止することにより、引火点の低い薬液を使用したり、有機溶剤の蒸気が半導体製造設備内に存在したりしていても、発火を防止できる。
さらに、パイプ20の耐溶剤性や耐薬品性の著しい向上も期待でき、しかも、制電粘着テープ10をガラス繊維等で補強する必要もない。また、制電粘着テープ10の制電粘着層12の粘着力を調整して弱粘着性とすれば、制電粘着テープ10を着脱自在の再剥離可能として粘着作業の便宜を大いに図ることができる。
また、制電粘着テープ10を例えば10~150℃の温度環境で使用すれば、制電粘着層12の粘着力が低下し、制電粘着テープ10が脱落するのを有効に防止することが可能となる。さらに、パイプ20の材料を金属に変更する必要がないので、コンタミネーションによる薬液の清浄度が低下しにくい。
(第二の態様)
図4は、制電粘着テープ10を対象物に巻き付けた状態の他の例を模式的に示す正面図である。
この例の対象物は、2つのパイプ20と、これらを接合する継手30である。
パイプ20は、第一の態様で説明したパイプと同様のものが挙げられる。
継手30は、例えば四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン系樹脂等によりエルボ4、ソケット、ニップル、エルボ、レジューサ、ブシュ、クロス、ユニオン、プラグ、フランジ等に成形され、必要に応じて可撓性が付与される。継手30にIPAを流通させる場合、継手30は耐薬品性等に優れる四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体により成形されるのが一般的である。
図4に示す継手30はエルボである。
パイプ20の外周面20aと継手30の外周面30aには、周方向に、パイプ20の外周面20a及び継手30の外周面30aと、制電粘着テープ10の制電粘着層12とが接するように、帯状の制電粘着テープ10が間隔をあけながら連続してスパイラル状に巻着されている。制電粘着テープ10の巻き終わり部、すなわち制電粘着テープ10の長手方向の一方の端部は外側に折り返されて制電粘着層12が露出し、接続領域13を形成している。
接続領域13にはグラウンド線14が接続されている。
なお、制電粘着テープ10の巻き終わり部を外側に折り返すことなく、制電粘着テープ10の制電粘着層12にグラウンド線14を接続してグラウンドしてもよい。
また、パイプ20の外周面20aと継手30の外周面30aに、間隔をあけずにスパイラル状に制電粘着テープ10を巻着して、パイプ20の外周面20aと継手30の外周面30aの全面を制電粘着テープ10で被覆してもよい。
本実施形態においても第一の態様と同様の作用効果が期待できる。しかも、パイプ20と継手30という形状の異なる対象物に、1本の制電粘着テープ10を巻き付ければよいので、容易な施工が可能である。また、制電粘着テープ10を平巻きに貼着するのではなく、斜めのスパイラル巻きに貼着するので、制電粘着テープ10全体の強度も向上する。
(他の形態)
上記の実施形態では、制電粘着テープ10を貼着する対象物として洗浄装置の一部であるパイプ20や継手30を示したが、クリーンルームの屋内用のパイプや継手でもよいし、屋外用のパイプや継手でもよい。
また、クリーンルームの壁の樹脂パネル表面に制電粘着テープ10を貼着し、この制電粘着テープ10の周縁部の制電粘着層12をグラウンドして電荷を除去したり、樹脂層11により錆び等の発生を防止したりすることができる。また、IPA用の塵除去用フィルターに制電粘着テープ10を貼着し、この制電粘着テープ10の周縁部の制電粘着層12をグラウンドして帯電防止を図ることもできる。
また、洗浄プロセスやCMPプロセスで使用する薬液槽においては、処理された酸やアルカリ等からなる薬液が排水ラインに排水される際、薬液が飛散したり、薬液が蒸発して空気中に拡散したりしやすい。薬液槽の薬液の接触する壁面や蒸気が触れる面に、制電粘着テープ10を隙間なく貼着すれば、この制電粘着テープ10により、薬液槽の材料劣化や錆びの発生を防止することが可能となる。
また、半導体製造設備に制電粘着テープ10を貼着する場合、半導体製造設備の形状や使用環境に応じ、制電粘着テープ10で全面被覆したり、間隔をあけてスパイラル状に巻着したりしてもよい。また、制電粘着テープ10を貼着する場合、制電粘着テープ10を多角形に加工して貼着したり、制電粘着テープ10を面状、線状、螺旋状等に貼着したりしてもよい。
また、複数の制電粘着テープ10を使用して接続する場合には、複数の制電粘着テープ10の制電粘着層12を対象物に接触させることが可能である。
<作用効果>
以上で説明した制電粘着テープ10は、ポリエーテルエーテルケトンを含む樹脂層を備えるので、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性に優れる。また、制電粘着テープ10は、特定量の成分(A)及び成分(B)を含む制電粘着層12を備えるので、導電性にも優れる。よって、制電粘着テープ10を半導体製造設備に使用すれば、半導体製造設備の静電気トラブルを回避することができる。例えば、制電粘着テープ10は静電気放電に伴う電磁波ノイズの発生を抑制することができるので、半導体製造設備に使用されているマイクロプロセッサーに電磁干渉が生じ、半導体製造設備が異常停止したり、誤作動が生じたりすることを防止できる。また、薬液、超純水、純水等の流体の流通に伴い、半導体製造設備上に帯電分布が生じるのを抑制することができるので、半導体製造設備に人体や物体が接触しても、これらの間に電流が流れ、スパークするおそれを低減することが可能となる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[測定・評価方法]
<結晶化度の測定>
ポリエーテルエーテルケトンの結晶化度は、示差走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で測定した熱分析結果に基づき、下記式(i)より算出した。
結晶化度(%)={(ΔHm-ΔHc)/ΔHx}×100 ・・・(i)
(式(i)中、「ΔHc」は再結晶化ピークの熱量(J/g)であり、「ΔHm」は結晶融解ピークの熱量(J/g)であり、「ΔHx」は100%結晶化したポリエーテルエーテルケトンの融解エネルギーの理論値(すなわち、130J/g)である。)
<比表面積の測定>
導電性カーボンブラックの比表面積は、ASTM D 3037に準拠した方法で測定した。
<相溶性の評価>
成分(A)100質量部を含有するポリマー溶液333.3質量部と、成分(B)13質量部とを、分散媒としてメチルエチルケトン205質量部に添加し、20℃で24時間静置した。静置後の液の状態を目視にて観察し、成分(A)と成分(B)の相溶性について、以下の評価基準にて評価した。
I :液の分離が見られない。
II:液の分離が見られる。
<塗工性の評価>
成分(A)100質量部を含有するポリマー溶液333.3質量部と、成分(B)13質量部とを、分散媒としてメチルエチルケトン205質量部に添加し、導電性粘着剤塗工液を調製した。
樹脂層としてPEEKフィルム(α)(信越ポリマー株式会社製、商品名「Shin-Etsu Sepla Film」、厚さ50μm、結晶化度27.0%)に、乾燥後の厚さが20μmとなるように導電性粘着剤塗工液をグラビア印刷で塗工したときの塗工性について、以下の評価基準にて評価した。
I :塗工面にブツ等の発生なく、塗工面が平滑である。
II:塗工面にブツが発生し、塗布ヌケも見られる。
<導電性の評価>
抵抗率計(株式会社三菱ケミカルアナリテック製、商品名「ロレスタGP MCP-T600」)にESPプローブを装着し、制電粘着テープの制電粘着層側の表面の表面抵抗値を測定した。
<伸縮率の測定>
JIS K 7133に準じて、PEEKフィルムを170℃の恒温槽に30分放置して加熱処理し、その後、室温(25℃)まで冷却し、PEEKフィルムの縦と横の長さを測定し、下記式(ii)より伸縮率を求めた。
伸縮率={(L-L)/L}×100 ・・・(ii)
(式(ii)中、「L」は加熱前のPEEKフィルムの縦又は横の長さ(mm)であり、「L」は加熱後のPEEKフィルムの縦又は横の長さ(mm)である。)
[実施例1]
<共重合体(A1)の製造>
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸エチル76.0質量部を仕込み、系内(前記反応装置の、反応を行なう容器内)を窒素ガス置換し、酢酸エチルの沸点まで昇温した。単量体(a1)としてアクリル酸n-ブチル99.8質量部、単量体(a2)としてアクリル酸2-ヒドロキシエチル0.1質量部、及び単量体(a3)としてアクリル酸0.1質量部からなる単量体混合物100質量部と、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.33質量部とを混合したものを、温度77~88℃の還流下で2時間かけて前記系内に滴下し、そのまま前記温度で加熱及び攪拌を継続して重合反応を行った。その後、前記系内に全量添加してから2.0時間後に、酢酸エチル16.6質量部に2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.06質量部を添加した混合溶液を、追加重合開始剤として系内に添加した。前記単量体混合物の全量添加から2時間後まで還流下で重合反応を継続した。重合反応終了後、トルエン140.5質量部を添加して、ガラス転移点-55℃、質量平均分子量85万の共重合体(A1)を含有する、固形分30質量%のポリマー溶液を得た。例えば、該ポリマー溶液333.3質量部中には、共重合体(A1)が100質量部含まれる。
<制電粘着テープの製造>
成分(A)として共重合体(A1)100質量部を含有するポリマー溶液333.3質量部と、成分(B)としてケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ケッチェンブラックEC300J」、体積抵抗率1.6×10-2Ω・cm、比表面積780m/g)13質量部とを、分散媒としてメチルエチルケトン205質量部に添加し、導電性粘着剤塗工液を調製した。
樹脂層としてPEEKフィルム(α)(信越ポリマー株式会社製、商品名「Shin-Etsu Sepla Film」、厚さ50μm、結晶化度27.0%)の表面に、インラインでコロナ処理を実施して、表面の濡れ指数を0.05N/mとした。コロナ処理した表面に、乾燥後の厚さが20μmとなるように導電性粘着剤塗工液を、コンマコーターを用いて速度10m/minで塗工し、80℃に設定した乾燥炉内で塗膜を乾燥した後、シリコーン系のポリエチレンテレフタレート(PET)セパレータ(厚さ125μm)を塗工面に貼り付けて巻取り、樹脂層上に制電粘着層が積層した制電粘着テープを得た。
成分(A)及び成分(B)の相溶性、導電性粘着剤塗工液の塗工性、及び制電粘着テープの導電性を評価した。結果を表1に示す。なお、導電性を評価する際は、セパレータを剥がして制電粘着層を露出させた状態で表面抵抗値を測定した。
[比較例1]
単量体(a1)、単量体(a2)及び単量体(a3)の配合量を表1に示すように変更した以外は、共重合体(A1)と同様にして溶液重合を行い、ガラス転移点-50℃、質量平均分子量80万の共重合体(A2)を含有する、固形分30質量%のポリマー溶液を得た。
共重合体(A1)を含有するポリマー溶液の代わりに共重合体(A2)を含有するポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性粘着剤塗工液を調製し、PEEKフィルムに塗工したが、共重合体(A2)と成分(B)の相溶性が悪く、導電性粘着剤塗工液の塗工性も不充分であったため、導電性は評価しなかった。相溶性及び塗工性の結果を表1に示す。
Figure 0007258733000002
表1から明らかなように、実施例1で得られた制電粘着テープは、導電性に優れていた。また、実施例1で得られた制電粘着テープはPEEKフィルムを備えているので、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性にも優れる。
一方、比較例1の場合、上述したように共重合体(A2)と成分(B)の相溶性が悪く、導電性粘着剤塗工液の塗工性も不充分であった。
[参考例A]
PEEKフィルム(α)(信越ポリマー株式会社製、商品名「Shin-Etsu Sepla Film」、厚さ50μm、結晶化度27.0%)の伸縮率を測定した。結果を表1に示す。
[参考例B]
PEEKフィルム(β)(信越ポリマー株式会社製、商品名「Shin-Etsu Sepla Film」、厚さ50μm、結晶化度5.6%)の伸縮率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007258733000003
表2から明らかなように、結晶化度が27.0%であるPEEKフィルム(α)は、結晶化度が5.6%であるPEEKフィルム(β)よりも伸縮率が小さく、熱収縮しにくくかった。
本発明の制電粘着テープは、導電性、耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性等を必要とする分野、具体的には半導体製造設備用として有用である。
10 制電粘着テープ、
11 樹脂層、
12 制電粘着層、
13 接続領域、
14 グラウンド線、
20 パイプ、
20a 外周面、
30 継手、
30a 外周面。

Claims (3)

  1. ポリエーテルエーテルケトンを含む樹脂層と、前記樹脂層に積層した制電粘着層とを備えた、半導体製造設備用の制電粘着テープであって、
    前記制電粘着層は、下記成分(A)及び下記成分(B)を含み、下記成分(A)100質量部に対する下記成分(B)の含有量が1~20質量部である、制電粘着テープ。
    成分(A):下記単量体(a1)と、下記単量体(a2)と、下記単量体(a3)とを含む単量体混合物の共重合体であり、前記単量体混合物の総質量に対して、下記単量体(a1)の含有量が80~99.98質量%であり、下記単量体(a2)の含有量が0.01~3質量%であり、下記単量体(a3)の含有量が0.01~3質量%である。
    単量体(a1):アルキル基の炭素数が4~8であるアクリル酸アルキル。
    単量体(a2):アクリル酸ヒドロキシアルキル。
    単量体(a3):アクリル酸。
    成分(B):導電性カーボンブラック。
  2. 前記導電性カーボンブラックの比表面積が600~1000m/gである、請求項1に記載の制電粘着テープ。
  3. 前記ポリエーテルエーテルケトンの結晶化度が15%以上である、請求項1又は2に記載の制電粘着テープ。
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