以下、本発明に係る車両走行管理システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載された車両走行管理装置を例示して説明する。
≪第1実施形態≫
図1は、本発明に係る車両走行管理装置101を含む車両走行管理システム100の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態における車両走行管理システム100は、車両走行管理装置101と、サーバ201とを含む。車両走行管理装置101とサーバ201は電気通信回線網を構成するネットワークを介して接続されていて、サーバ201には、複数の車両走行管理装置101が接続されることとしてもよい。なお、車両走行管理装置101は車両に備えられている。
本実施形態のシステムは、サーバ201が、車両走行管理装置101を備える車両に対して、車両が走行する乗降地までの走行ルートを設定し、当該走行ルートに基づき、車両走行管理装置101が車両の走行制御を行うシステムである。例えば、車両の配車を希望するユーザーが乗車地点または降車地点として入力する乗降地の情報に基づいて、サーバ201が当該乗降地までの走行ルートを設定することとしてもよいし、既定の走行ルートに従って運行する路線バスのように、車両管理者が事前にサーバ201で乗降地と乗降地までの走行ルートを設定しておくこととしてもよい。なお、本実施形態では、車両が、一人のユーザの依頼に応じて、車両の現在位置から乗車地まで移動し、乗車地からユーザの目的地である降車地まで移動するものとしている。しかし、これに限らず、複数のユーザを相乗りで乗車させて、それぞれの乗降地を経由地として走行する走行ルートを設定することとしてもよい。また、本実施形態では、サーバ201が走行ルートを設定することとしているが、車両走行管理装置101が乗降地に基づいて走行ルートの設定を行うこととしてもよい。
特に限定されるものではないが、本実施形態のシステムが適用される車両走行シーンとしては、例えば、車両を利用するユーザーが乗降を行う乗降地へ車両を停車させる場面が挙げられる。本実施形態では、乗降地の道路構造は、例えば、歩道または路側帯及び車道を有する道路が挙げられ、車両は、歩道または路側帯側の車道端に寄せて停車し、当該車両にユーザーが乗降する。ただし、法律で停車することが禁止されている場所や、防護柵や植え込み等があってユーザーの乗降が困難な場所での車両の停車は行わない。また、ユーザーは車両の歩道または路側帯側のドアから乗降することとし、車両の歩道体又は路側帯側とは反対側のドアを開閉することはしない。
次に、車両走行管理装置101について説明する。なお、本実施形態では、車両走行管理装置101は車両に搭載されていて、当該車両は、ナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御(速度制御と操舵制御)を自動制御する機能を備える自動車である。
車両走行管理装置101は、図1に示すように、少なくとも周囲環境情報取得装置102、自車位置検出装置103、地図データベース104、車載送受信装置105、走行制御装置106、制御演算装置110を備える。
周囲環境情報取得装置102は、自車両が自動走行を行うために必要な周囲環境情報を取得するセンサで構成されるものである。例えば、CCDカメラ、CMOSカメラまたはHDカメラで構成され、自車両の前方及び周囲の状況を撮像して、画像データとして出力する。また、高精度に周囲の物体の情報を取得するセンサとして、例えば、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)を用いることができる。さらに、周囲環境情報取得装置102は、レーザレンジファインダ等のセンサを備え、車道の幅や、道路上の障害物の側面から車道端までの距離等に関する情報を取得する。なお、周囲環境情報取得装置102は、これらの方法に限らず、各種センサを組み合わせて構成することとしてもよい。周囲環境情報取得装置102が取得する情報の対象としては、例えば、歩行者、自転車、バイク、自動車、路上障害物(中央分離帯、交通信号機、防護柵、縁石、草木等)などが挙げられる。対象の状態は特に限定されず、移動している場合も静止している場合も検出することができる。周囲環境情報を取得した後、周囲環境情報取得装置102は、取得したデータを制御演算装置110に出力する。
自車位置検出装置103は、自車両の現在位置を検出するものであり、例えばGPS機器を用いることができる。本実施形態では、例えば、自車位置検出装置103が取得した自車両の現在位置から、乗降地近傍に近づいていることが判定される。自車位置検出装置103が検出した自車両の現在位置に関する情報は、制御演算装置110に出力される。
地図データベース104は、道路情報を含む地図情報であって、例えば、交差点や分岐点がノードとして、ノードとノードの間の道路区間がリンクとして道路情報を保存している。また、道路の道路構造や停車可能エリアに関する道路情報を含む地図データベースである。なお、停車可能エリアは、法律で停車することが禁止されているエリアや防護柵や植え込みがあって乗降が困難なエリア以外の、車両が停車できるエリアを示している。本実施形態では、地図データベース104は、乗降地までの走行ルートの設定を行う際に使用されたり、乗降地において停車可能スペースを判定する際に使用される。
車載送受信装置105は、ネットワークを介して、サーバ201のサーバ送受信部204との間で情報の送受信を行う。車載送受信装置105は、サーバ201に車両位置情報を送信し、サーバ201から、乗降地情報、走行ルートに関する情報やユーザー情報を受信する。
走行制御装置106は、制御指令値算出部112から出力された、車両の走行を制御するための各種の目標制御量に従って、自車両の加減速や操舵を含む走行制御を実行する。走行制御装置106は、走行駆動源である電動モータおよび/または内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、および車輪を制動する制動装置などの駆動機構を備える。また、走行制御部160には、ヘッドライト、方向指示器、ハザードランプ、ワイパー等、自車両の走行に必要なその他の機器が含まれていてもよい。
制御演算装置110は、少なくとも走行計画決定部111、制御指令値算出部112、停車判定部113、車両幅寄せ量設定部114、停車位置設定部115を備える。
制御演算装置110は、自車両の各部を制御するものであり、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されるコンピュータである。例えば、制御演算装置110は、周囲環境情報取得装置102で得られた各種の周囲環境情報や自車位置検出装置103で得られた自車両の位置情報を用いて、交通法規に従いながら、周囲状況に合わせて、設定された走行ルートに沿って自車両を走行させる制御を行う。
また、制御演算装置110は、車両の状況に応じて設定されたふたつのシーケンスを実行して制御を行う。ひとつは、乗降地までの走行ルートに従って走行する通常走行シーケンスであり、通常走行シーケンスでは、走行計画決定部111に走行ルートに基づく走行軌跡や走行車速に関する走行計画を決定させ、当該走行計画にしたがって、制御指令値算出部112に車両制御のための各種の目標制御量を算出させる。そして、乗降地近傍に接近すると、ふたつめのシーケンスである停車制御シーケンスに移行し、停車制御を行うための処理を実行する。停車制御シーケンスでは、まず、停車判定部113に停車可能スペースの位置を判定させて、次に、車両幅寄せ量設定部114に、停車可能スペースに停車する際の車両幅寄せ量を設定させる。そして、制御演算装置110は、停車位置設定部115に、停車可能スペースの位置及び車両幅寄せ量に基づき、停車位置を設定させて、停車位置に基づいて停車制御を行うための走行軌跡の生成を実行させる。また、制御演算装置110は、制御指令値算出部112に、停車制御を行うための走行軌跡に基づいて走行を制御するための各種の目標制御量を算出させる。
走行計画決定部111は、通常走行シーケンス時に、サーバ201が設定した走行ルートに沿って走行するべく、自車位置検出装置103が取得する自車両の位置情報、周囲環境情報取得装置102が取得する周囲環境情報及び地図データベース104の地図情報等に基づいて、走行軌跡や走行車速に関する走行計画を決定する。
制御指令値算出部112は、通常走行シーケンス時には、走行計画決定部111で生成された走行計画に基づき、自車両を制御するための各種の目標制御量を算出する。また、停車制御シーケンス時には、停車位置設定部115で設定された停車位置に基づき、自車両を制御するための目標制御量を算出する。制御指令値算出部112は、目標制御量を算出した後、当該目標制御量に関する情報を走行制御装置106に出力する。
停車判定部113は、自車位置検出装置103が取得する車両の現在位置から、自車両が乗降地近傍に接近していることを判定すると、地図データベース104の地図情報から、停車可能エリアに関する情報を取得する。そして、周囲環境情報取得装置102が取得した周囲環境情報から、駐停車車両等の障害物を検出し、停車可能エリアに、自車両が障害物等に接触することなく停車することができる停車可能スペースがあるか否かを判定する。なお、停車については、道路の進行方向と車体が同じ向きになるように停車することを想定し、停車可能スペースは、車両が歩道又は車道側の車道端に寄せて停車するために必要な距離が確保できるスペースを示す。
車両幅寄せ量設定部114は、車両幅寄せ量を設定する。車両幅寄せ量は、自車両が歩道又は路側帯側の車道端に寄せて停車をする時の、歩道又は路側帯側の車道端から自車両の歩道又は路側帯側の側面までの距離を示す。車両幅寄せ量の設定は、周囲環境情報取得装置102が取得した、停車可能スペース前後の障害物の間の距離等の情報に基づいて行われる。本実施形態では、停車判定部113が停車可能スペースがあると判定した場合には、車両幅寄せ量設定部114は、まず、当該停車可能スペースに停車する時の最小車両幅寄せ量を設定する。一般的に、停車時と発車時に切り返しを行うためのスペースを広くとることができれば、その分、車両の横移動量を大きくすることができるため、車両幅寄せ量を小さくする、つまり、車両をより車道端側に寄せることができる。逆に、スペースが狭いと、車両の横移動量を大きくすることができないため、車両幅寄せ量を小さくする、つまり、車両を車道端側に寄せることが難しくなる。そして、最小車両幅寄せ量は、停車可能スペースに対して車両が幅寄せ可能な車両幅寄せ量のうち、最も小さい車両幅寄せ量である。つまり、最小車両幅寄せ量は、自車両を可能な限り車道端側に寄せた時の車両幅寄せ量を意味する。
車両幅寄せ量設定部114は、最小車両幅寄せ量を設定した後、停車可能スペースの後方スペースに移動体が進入する可能性の評価を行い、その結果に応じて、車両幅寄せ量を設定する。当該評価の結果は、最小車両幅寄せ量に対して、車両幅寄せ量をどれくらい大きく設定できるかの判定に利用される。例えば、後方スペースに移動体が進入する可能性が低いと判定される場合には、車両幅寄せ量を、最小車両幅寄せ量よりも大きく設定する。これは、車両の後方から移動体がすり抜けを行う可能性が低い場合には、車両幅寄せ量を大きくすることで、移動体のすり抜けリスクを抑えつつ、ユーザーの乗降のしやすさを向上できるからである。また、車両幅寄せ量設定部114は、ユーザー情報に応じて、車両幅寄せ量を設定することとしてもよい。例えば、ユーザーが老人や子連れであれば、車両幅寄せ量を大きく設定する。
停車位置設定部115は、停車判定部113で判定された停車可能スペースと車両幅寄せ量設定部114で設定された車両幅寄せ量に基づいて、周囲の障害物に接触することなく停車可能スペースに停車するための停車位置を設定し、当該停車位置までの目標停車経路を設定する。停車位置設定部115は、目標停車経路を設定した後、当該目標停車経路に関する情報を制御指令値算出部112に出力する。
次に、サーバ201について説明する。サーバ201は、乗降地設定部202、走行ルート設定部203、サーバ送受信部204を備える。サーバ201は、車両走行管理装置101が備えられている車両の外部に設けられており、例えば、配車車両の管理を行う管制センター等に配置されている。
乗降地設定部202は、配車車両の乗降地の設定を行う。例えば、乗降地の設定は、車両の利用を希望するユーザーが携帯端末等から送信した乗降地に関する情報に基づいて実行される。あるいは、車両管理者が事前に設定した乗降地に関する情報に基づいて実行されることとしてもよい。また、配車車両が、設定された乗降地まで走行した時に、当該乗降地に停車できない場合には、乗降地設定部202は、所定のルールにしたがって自動で他の乗降地に再設定することとしてもよい。例えば、乗降地設定部202は、当初設定された乗降地から所定の距離以内の範囲に位置する停車地点を特定して、当該停車地点を乗降地に再設定する。乗降地設定部202で設定された乗降地の情報は、走行ルート設定部203に出力される。
走行ルート設定部203は、乗降地設定部202から出力された乗降地に基づき、乗降地までの走行ルートを設定する。例えば、配車車両の現在位置から乗降地までのいくつかの走行ルートの走行時間を推定し、最も短い時間で乗降地に到着できる走行ルートを特定する。特定された走行ルートの情報は、サーバ送受信部204を介して、車載送受信装置105に送信される。なお、走行ルート設定部203は、配車車両に備わっているものとしてもよい。
サーバ送受信部204は、ネットワークを介して、車両の車載送受信装置105との間で情報の送受信を行う。サーバ送受信部204は、車載送受信装置105に、乗降地情報、走行ルートに関する情報やユーザー情報を送信し、車載送受信装置105から、車両位置情報を受信する。
以下、図2を用いて、上記構成による車両走行管理システムにより、車両が乗降地に接近してから乗降地への停止を実行するまでのフローチャートの一例を説明する。なお、図2のフローチャートは、車両走行管理装置101が備えられている自律走行車両が、乗降地までの所定の走行ルートにしたがって通常の走行を実行している場面からスタートする。
ステップS201では、制御演算装置110は、乗降地までの所定の走行経路に従って自律走行している自車両が乗降地に接近しているか否かを判定する。例えば、自車位置検出装置103が取得する車両の位置情報と、地図データベース104の地図情報に基づいて、乗降地から所定距離以内に自車両が位置していると認識できる場合には、自車両が乗降地に接近していると判定する。乗降地に接近していると判定される場合には、ステップS202に進み、停車制御シーケンスに移行する。なお、自車両が、停車の幅寄せを実行する歩道又は路側帯側の車線を走行していない場合には、車線変更を行い、歩道又は路側帯側の車線を走行する。乗降地に接近していると判定されない場合には、ステップS201に戻り、以下、乗降地に接近していると判定されるまで、フローを繰り返す。
ステップS202では、停車判定部113は、乗降地において停車可能スペースを探索する。まず、停車判定部113は、地図データベース104から、乗降地において法律で停車を禁止されているエリアや防護柵や植え込み等があってユーザーの乗降が困難なエリアに関する情報を取得し、当該エリア以外のエリアを停車候補エリアとして設定する。そして、周囲環境情報取得部120は、周囲環境情報として、乗降地のおける駐停車車両等の障害物の位置を検出し、停車可能スペースを探索する。停車可能スペースとは、周囲の障害物に接触することなく自車両が停車及び発車を実行するために必要な距離が確保できるスペースである。なお、停車は、道路の進行方向と同じ向きとなるように停車することを想定している。また、停車及び発車を実行するために必要な距離は、自車両の車体サイズに基づいて、あらかじめ所定値として設定されている。
ステップS203では、停車判定部113は、ステップS202において取得した情報に基づき、停車候補エリアに停車可能スペースがあるか否かを判定する。停車可能スペースがあると判定される場合には、ステップS205に進み、停車可能スペースがあると判定されない場合には、ステップS204に進む。
ステップS204では、乗降地に停車可能スペースがなく、当該乗降地への停車は不可能であるため、制御演算装置110は、停車制御シーケンスを中止し、停車制御シーケンス中止信号をサーバ201のサーバ送受信部204に送信する。停車制御シーケンス中止信号を受けたサーバ201では、乗降地設定部202が乗降地の再設定を行い、再設定された乗降地に基づいて、走行ルート設定部203が走行ルートを再設定する。そして、再設定された走行ルートに関する情報が、サーバ送受信部204を介して、車載送受信装置105に送信され、走行計画決定部111に出力される。走行計画決定部111は、走行ルートにしたがって、周囲環境情報取得装置102が取得する周囲環境情報に基づき、走行軌跡や走行車速に関する走行計画を決定し、制御指令値算出部112は、決定された走行計画に基づき、各種の目標制御量を算出し、当該目標制御量に関する情報を走行制御装置106に出力する。走行制御装置106が自車両の走行を再開すると、フローは、ステップS201に戻り、以下、フローを繰り返す。
ステップS205では、制御演算装置110は、ステップS202で周囲環境情報取得装置102が検出した周囲環境情報に基づき、停車可能スペース後方に障害物があるか否かの判定を行う。停車可能スペース後方に障害物がある場合には、ステップS206に進み、障害物がない場合には、ステップS209に進む。
ステップS206では、車両幅寄せ量設定部114は、ステップS203で判定した停車可能スペースに対して、停車を行う際の最小車両幅寄せ量を設定する。一般的に、停車時と発車時に切り返しを行うためのスペースを広くとることができれば、その分、車両の横移動量を大きくすることができるため、車両幅寄せ量を小さくする、つまり、車両をより車道端側に寄せることができる。逆に、スペースが狭いと、車両の横移動量を大きくすることができないため、車両幅寄せ量を大きくする必要がある。そこで、ステップS206では、車両幅寄せ量設定部114は、停車可能スペースに対して、自車両を周囲の障害物に接触させずに、車両幅寄せ量を最も小さくする(車道端と自車両の側面の距離を最も短くする)ように停車させた場合には、車両をどのくらい車道端側に幅寄せすることができるかを設定する。設定された値が、最小車両幅寄せ量に相当する。具体的には、車両幅寄せ量設定部114は、停車可能スペースの長さや自車両の転舵角、車速から、自車両が停車時・発射時に周囲の障害物に接触しないように走行するための幾何学的な走行軌跡を求め、当該走行軌跡の情報に基づき、自車両が停車した時の車両幅寄せ量が最小となるような値を最小車両幅寄せ量として設定する。
図3は、自車両が乗降地に停車する時の走行シーンを示しているものである。図3では、自車両が乗降地に接近した時に、周囲環境情報取得装置102が、乗降地における停車可能スペースを探索し、車両幅寄せ量の設定に必要な情報を取得しているところである。図3の斜線部分が停車可能スペースになる。なお、図3では、日本国内の道路状況を一例として示しているが、これに限らず、他の国の道路状況に基づき、適切な制御を行うこととしてもよい。例えば、右側通行の国であれば、車道端の右側に車両を寄せることとなる。以下、最小車両幅寄せ量の設定方法を、図3を用いて具体的に説明する。
まず、自車両の周囲環境情報取得装置102は、停車可能スペースの後方に位置する車両の左後端を車道端ポイントP0として検出し、停車可能スペース後方に位置する障害物の右前端ポイントP1、停車可能スペース前方に位置する障害物の右後端ポイントP2を検出する。停車可能スペースに停車する時の自車両の走行軌跡は、P1とP2に接触しないような走行軌跡を描くことになる。次に、P1とP2との間の距離L1を算出するとともに、車道端ポイントP0’からP1までの距離W1、車道端ポイントP0’’からP2までの距離W2をそれぞれ算出する。なお、P0’は、P1から車道端への垂線と車道端の交点に位置し、P0とP1の位置と地図データベース140の情報から推定する。P2に対するP0’’の位置も同様に推定する。また、本実施形態では、停車可能スペースの前後に障害物が存在する場面を前提とし、例えば、図3で示すように、停車可能スペースの後方に車両が複数台並んで停車している場合には、停車可能スペース後方に並んで停車している車両の中でも最も後方に位置する車両の左後端をPOとし、停車可能スペース後方に並んで停車している車両の中でも最も前方に位置する車両の右前端をP1とする。以上により、停車可能スペースの各距離が算出される。
次に、停車位置設定部115は、停車可能スペースの各距離や車両の操舵角、車速等から、自車両が停車する時の幾何学的な走行軌跡を算出する。そして、車両幅寄せ量設定部114は、当該走行軌跡情報に基づき、自車両をP1とP2に接触させずに、歩道又は路側帯側の車道端から自車両の歩道又は路側帯側の側面までの距離を最も短くするように停車させた時の車両幅寄せ量を最小車両幅寄せ量として設定する。さらに、車両幅寄せ量設定部114は、設定された最小車両幅寄せ量と、当該道路において法律で定められた車両幅寄せ量とを比較し、値が大きいほうの車両幅寄せ量を最小車両幅寄せ量wd0として設定する。法律で定められた車両幅寄せ量とは、例えば、路側帯の幅が75cm未満の道路の場合には、路側帯の中に停車することができないため、路側帯の幅を示す白線に沿って車両を停車させることになる。したがって、法律で定められた車両幅寄せ量は路側帯の幅の値と同値となる。この場合には、例えば、路側帯の幅が70cmであれば、上記で設定された最小車両幅寄せ量が60cmであっても、最小車両幅寄せ量wd0は70cmと設定される。また、路側帯の幅が75cm以上の道路の場合には、最低でも道路端から75cmの幅をあける必要があることから、法律で定められた車両幅寄せ量は75cmとする。この場合には、例えば、上記で設定された最小車両幅寄せ量が70cmであったとしても、最小車両幅寄せ量wd0は75cmと設定される。
ステップS207では、車両幅寄せ量設定部114は、停車可能スペースの後方に位置する後方スペースに移動体が進入する可能性を示す進入可能性値を算出する。後方スぺースは、停車可能スペースの後方に位置する、停車可能スペースから後方の障害物までの間にあるスペースである。一般的に、二輪車等の移動体は後方から車両の側方をすり抜けるため、車両が停車する停車可能スペースの後方に位置するスペースに移動体が進入しなければ、後方からすり抜けを行う可能性は低いと考えられる。そして、後方から移動体がすり抜けをする可能性が低ければ、車両幅寄せ量を大きくして、ユーザーの乗降時しやすさを高めることができる。そこで、車両幅寄せ量設定部114は、まず、車両幅寄せ量を設定するための進入可能性値を算出する。なお、以下、進入可能性値の具体的な評価方法について説明する。
移動体が後方スペースに進入する可能性を評価する進入可能性値を算出するために、次式(1)に示す評価式hを用いる。
上記式の右辺の各項は、各評価パラメータ(x
1~x
5)に関する評価関数(f
1(x
1)~f
5(x
5))であり、評価式hは、各評価関数に重みづけをして足し合わせた関数である。w
1~w
5をそれぞれの評価関数の重みづけとする。各評価関数は、後方スペースに移動体が進入する可能性が低くなるほど、関数の値が大きくなるものである。なお、評価式hは、5つの評価関数全てを足し合わせたものに限るものではなく、少なくともひとつの評価関数に基づくものとし、6つ以上の評価関数により表されることとしてもよい。以下、図4を用いて、各評価パラメータ及び各評価関数について説明する。図4は、停車可能スペースに車両が停車する際の状況を示すものである。斜線部分が停車可能スペースを示していて、格子模様部分が後方スペースを示している。
まず、評価パラメータx1及び評価関数f1(x1)について説明する。図4に示されるように、x1は、歩道又は路側帯と車道との間に位置する立体物の高さを示している。立体物としては、例えば、縁石や防護柵、植え込み等が挙げられ、立体物の高さは、周囲環境情報取得装置102が取得する周囲環境情報や地図データベース104の地図情報から取得される。一般に、歩道又は路側帯と車道との間に位置する立体物の高さが高ければ、移動体が歩道又は路側帯側から後方スペースに進入する可能性は低くなると考えられる。したがって、評価関数f1(x1)は、x1の値が大きいほど値が大きくなるものと設定され、立体物の高さに基づいて移動体が後方スペースに進入する可能性を評価するための関数である。
また、x1の値は高さだけではなく、立体物の有無や立体物の設置状況に応じてx1を設定することとしてもよい。例えば、停車可能スペースに防護柵がある箇所と防護柵がない箇所が存在し、移動体が防護柵と防護柵の間から進入できるような設置状況であれば、停車可能スペース全体に防護柵がある場合よりも、x1を低く評価することとしてもよい。
次に、評価パラメータx2及び評価関数f2(x2)について説明する。図4で示されるように、x2は、停車可能スペースの後方に位置する障害物の歩道又は路側帯側の側面から歩道又は路側帯側の車道端までの距離を示す障害物幅寄せ量として算出されるものである。障害物幅寄せ量は、周囲環境情報取得装置102により取得される。一般に、障害物幅寄せ量が小さいほど、移動体が車道端と障害物の間を通る可能性は低くなると考えられる。したがって、評価関数f2(x2)は、x2の値が小さいほど値が大きくなるものと設定され、車道端と障害物の間の距離に基づいて移動体が後方スペースに進入する可能性を評価するための関数である。
次に、評価関数f3(x3)について説明する。図4で示されるように、x3は、停車可能スペースの後方に位置する障害物から停車可能スペースまでの距離が後方スペース距離として算出されるものである。後方スペース距離は、周囲環境情報取得装置102により取得される。一般に、障害物と停車可能スペースとの間の距離が狭いほど、移動体が後方スペースに進入する可能性は低くなると考えられる。したがって、評価関数f3(x3)は、x3の値が小さいほど値が大きくなるものと設定され、後方スペースの距離に基づいて移動体が後方スペースに進入する可能性を評価するための関数である。
次に、f4(x4)について説明する。図4で示されるように、x4は、障害物の歩道又は路側帯側とは反対側の側面から歩道又は路側帯側の車道端までの距離が障害物幅として算出されるものである。障害物幅は、周囲環境情報取得装置102により取得される。一般に、駐停車車両等の障害物が停車可能スペース後方に存在する場合、当該障害物がトラック等の車幅が広い車両であると、移動体が当該障害物の歩道又は路側帯側とは反対側の側方から後方スペースに進入するためには、横移動量を大きくする必要がある。そのため、移動体は、後方スペースに進入せず、そのまま自車両の歩道又は路側帯側とは反対側の側方を通過し、後方スペースに進入する可能性は低くなると考えられる。したがって、評価関数f4(x4)は、x4の値が大きいほど値が大きくなるものと設定され、障害物幅に基づいて移動体が後方スペースに進入する可能性を評価するための関数である。
最後に、f5(x5)について説明する。図4で示されるように、x5は、乗降地における車道の幅を示している。車道の幅は、周囲環境情報取得装置102により取得される。一般に、乗降地における車道の幅が広ければ、移動体は、障害物の歩道又は路側帯側とは反対側の側方を通過した後、停車可能スペースの後方スペースに入り込むよりも、そのまま自車両の歩道又は路側帯側とは反対側の側方を通過すると考えられるため、後方スペースに進入する可能性は低くなると考えられる。したがって、評価関数f5(x5)は、x5の値が大きいほど値が大きくなるものと設定され、車道の幅に基づいて移動体が後方スペースに進入する可能性を評価するための関数である。
また、x5の値は、車道の幅だけではなく、例えば、車線数等のその他の道路構造に応じて設定することとしてもよい。車線数が多い場合にも、わざわざ停車可能スペースの後方スペースに入り込むよりは、停車している自車両の歩道又は路側帯側とは反対側の側方を通過すると考えられる。また、バスベイ型停留所のような、車道に凸状に付帯している停車専用のスペースに自車両が停車する場合にも、移動体は、停車している自車両の歩道又は路側帯側とは反対側の側方を通過する可能性が高い。このような道路構造に基づいた進入可能性値を算出するために、x5が、乗降地の道路構造が複数の車線やバスベイ型停留所のような停車専用スペースを含む場合には、含まない場合よりも、大きくなるように設定することとしてもよい。
以上のように、ステップS207では、周囲環境情報取得装置102は、周囲環境情報として、各評価パラメータを検出し、車両幅寄せ量設定部114は、当該評価パラメータに基づき、評価関数の値を求め、その結果から、評価式hにより、進入可能性値を算出する。
ステップS208では、車両幅寄せ量設定部114は、ステップS207で求めた進入可能性値の値に基づいて、自車両を停車させる時の車両幅寄せ量を設定する。例えば、本実施形態では、進入可能性値をあらかじめ段階的に区分分けし、当該区分ごとに設定した車両幅寄せ量に基づいて、ステップS207で算出された進入可能性値から車両幅寄せ量wd1を設定する。例えば、移動体が後方スペースに進入する可能性が低いほど、移動体による後方からのすり抜けの可能性が低くなるので、進入可能性値が所定の値よりも低い場合には、進入可能性値が当該所定の値よりも高い場合よりも、車両幅寄せ量wd1は大きく設定される。逆に、進入可能性値が所定の値よりも高い場合には、所定の値よりも低い場合よりも、車両幅寄せ量wd1は小さく設定される。なお、車両幅寄せ量wd1は、ステップS206で設定された最小車両幅寄せ量wd0以上の値となるように設定される(wd1≧wd0)。これにより、移動体による後方からのすり抜けの可能性が低ければ、車両の幅寄せの間隔を広くとって、ユーザーの乗降のしやすさを向上させることができる。また、ステップS208で設定される、停車可能スペース後方に障害物がある場合における車両幅寄せ量wd1は、ステップS210で設定される、障害物がない場合における車両幅寄せ量wd1よりも、大きく設定される。
ステップS209では、車両幅寄せ量設定部114は、停車可能スペース後方に障害物がない場合における最小車両幅寄せ量wd0を設定する。車両幅寄せ量設定部114は、停車可能スペース前方に障害物がある場合には、発車時に前方の障害物に接触しないような走行軌跡を求め、最小車両幅寄せ量wd0を設定する。また、停車可能スペースの前方にも後方にも障害物がない場合には、法律で定められた車両幅寄せ量を最小幅寄せ量wd0としてもよい。
ステップS210では、車両幅寄せ量設定部114は、ステップS209で設定した最小車両幅寄せ量wd0と同じ値を車両幅寄せ量wd1として設定する。停車可能スペース後方に障害物がない場合には、移動体が障害物によって進入を妨げられるということが起こりえないので、車両幅寄せ量を大きくしてユーザの乗降のしやすさを向上させるよりも、移動体によるすり抜けリスクを抑える必要があるからである。
ステップS211では、停車位置設定部115は、ステップS208またはステップS210で求められた車両幅寄せ量wd1に基づき、停車時に自車両の車両幅寄せ量が車両幅寄せ量wd1となるように停車位置を設定する。そして、当該停車位置に幅寄せを行う走行軌跡を求め、当該走行軌跡となる停車経路を生成する。生成された停車経路に関する情報が、制御指令値算出部112に出力されると、制御指令値算出部112は、当該停車経路に従い、車両を制御するための各種の目標制御量を算出し、算出した各種の目標制御量を走行制御装置106に出力する。
ステップS212では、ステップS211で制御指令値算出部112から出力された各目標制御量に基づき、走行制御装置106が車両の走行制御を行い、ステップS211で生成された停車経路に従って、車両を停車させる。車両の停車が完了すると、停車制御シーケンスを終了し、フローを終了する。なお、自車両が停車のための走行を行い、停車可能スペースに接近した際に、周囲環境情報取得装置102が障害物を検出した場合には、当該スペースに停車はできないと判定し、停車制御シーケンスを中止した後、通常走行シーケンスに移行して、停車可能な目的への走行を再開する。
以上のように、本実施形態に係る車両走行管理システム100は、車両の周囲環境情報を取得し、周囲環境情報に基づき、乗降地に車両が停車できる停車可能スペースがあるかどうかを判定し、停車可能スペースがあると判定されると、車両が停車可能スペースに停車する時の、歩道又は路側帯側の車道端から車両の歩道又は路側帯側の側面までの距離を示す車両幅寄せ量を設定し、車両幅寄せ量に基づいて車両を停車させるための走行経路を生成し、走行経路にしたがって車両の走行を制御する。そして、周囲環境情報に基づき、停車可能スペースの後方に障害物がある場合には、障害物がない場合よりも、車両幅寄せ量を大きく設定する。これにより、ユーザーが車両に乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを抑えつつ、ユーザーの乗降しやすさを向上させることができる。
また、本実施形態では、停車可能スペースの後方に障害物がある場合に、周囲環境情報に基づき、停車可能スペースと障害物の間にある後方スペースに移動体が進入する可能性を評価する進入可能性値を算出し、進入可能性値が低いほど、車両幅寄せ量を大きく設定する。これにより、ユーザーが車両に乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを抑えつつ、ユーザーの乗降しやすさを向上させることができる。
また、本実施形態では、歩道又は路側帯と車道との間に位置する立体物の立体物情報を取得し、立体物情報に基づき、移動体が歩道又は路側帯から後方スペースに進入する難易度を示す進入難易度を算出し、進入難易度が高いほど、進入可能性値を低く算出する。これにより、移動体が歩道又は路側帯から後方スペースに進入する難易度に基づいて、ユーザーが乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを評価することができる。
さらに、本実施形態では、周囲環境情報に基づき、歩道又は路側帯側の車道端から障害物の歩道又は路側帯側の側面までの距離を示す障害物幅寄せ量を算出し、障害物幅寄せ量が狭いほど、進入可能性値を低く算出する。これにより、障害物の車両幅寄せ量に基づいて、ユーザーが車両に乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを評価することができる。
さらに、本実施形態では、周囲環境情報に基づき、停車可能スペースから障害物までの距離を示す後方スペース距離を算出し、後方スペース距離が短いほど、進入可能性値を低く算出する。これにより、停車可能スペースの後方のスペースの距離に基づいて、ユーザーが車両に乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを評価することができる。
さらに、本実施形態では、周囲環境情報に基づき、歩道又は路側帯側の車道端から障害物の反対側側面までの距離を示す障害物幅を算出し、反対側側面は、障害物の歩道又は路側帯側の側面とは反対側の側面を示し、障害物幅が広いほど、進入可能性値を低く算出する。これにより、障害物幅に基づいて、ユーザーが車両に乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを評価することができる。
さらに、本実施形態では、周囲環境情報取得部が取得した乗降地の道路構造に関する情報に基づき、移動体が障害物の反対側側方から後方スペースへ進入する可能性を示す反対側進入可能性値を算出し、反対側側方は、障害物の歩道又は路側帯側の側方とは反対側の側方を示し、反対側進入可能性値が低いほど、進入可能性値を低く算出する。これにより、障害物の歩道又は路側帯側とは反対側の側方から後方スペースに移動体が進入する可能性に基づいて、ユーザーが車両に乗降する際の、移動体によるすり抜けリスクを評価することができる。
≪第2実施形態≫
続いて、第2実施形態に係る車両走行管理システムについて説明する。第2実施形態に係る車両走行管理装置101及びサーバ201は、第1実施形態に係る車両走行管理装置101及びサーバ201と同様の構成を有し、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態と同様に動作するため、第1実施形態の記載を援用する。
図5は、第2実施形態に係る車両走行管理装置101を含む車両走行管理システム100の一例を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態における車両走行管理システム100は、第1実施形態におけるシステムを構成していた、車両走行管理装置101とサーバ201に加えて、ユーザー端末301を構成に含むものである。車両走行管理装置101とサーバ201はネットワークを介して接続され、ユーザー端末301とサーバ201もネットワークを介して接続されている。サーバ201には、複数の車両走行管理装置101又は複数のユーザー端末301が接続されていてもよい。また、本実施形態では、車両走行管理装置101とユーザー端末301の間の情報の送受信は、サーバ201を介して行われることとしているが、車両走行管理装置101とユーザー端末301との間で、直接、情報の送受信を行うことができる構成としてもよい。
本実施形態のシステムは、ユーザーからの配車依頼に応じて、車両の配車を行うシステムであって、サーバ201が、ユーザーからの配車依頼情報に基づき、配車車両を決定し、配車車両の乗降地及び乗降地までの走行ルートを設定し、車両走行管理装置101が、当該走行ルートに基づき車両の走行制御を行うシステムである。ユーザーからの配車依頼情報には、ユーザー情報、ユーザーの位置情報、最終到着地情報を含み、ユーザー情報には、ユーザーの年齢や属性、同乗人の年齢や属性を含む。また、最終到着地情報は、ユーザーが降車後に向かう場所であり、当該情報に基づき、サーバ201は、降車地を設定する。サーバ201は、配車車両が決定し、乗降地までの走行ルートも決定した場合には、ユーザー端末301にも、待ち合わせ場所や配車車両に関する情報を送信する。なお、サーバ201は、車両の外部に設けられており、例えば、配車車両の管理を行う管制センター等に配置されている。また、ユーザー端末301としては、スマートフォン、携帯電話機、可搬コンピュータなど、ユーザーがサーバ201と情報のやりとりをするために操作する端末を用いることができる。車両に乗車した後であれば、車両に備えられている車両端末であってもよい。
なお、特に限定されるものではないが、本実施形態のシステムが適用される場面としては、ユーザーが配車依頼情報をユーザー端末301から入力し、配車依頼情報に基づき、乗降地においてユーザーの乗降位置へ車両を停車させる場面が挙げられる。
ユーザー端末301の構成について説明する。ユーザー端末301は、少なくともユーザー端末入力部302とユーザー端末出力部303とユーザー端末送受信部304とを備える。ユーザー端末301には、例えば、車両を利用する乗員が操作するスマートフォン、携帯電話機、可搬コンピュータ等を用いることができる。
ユーザー端末入力部302は、ユーザーによる、配車依頼情報や最終到着地に関する情報、ユーザー情報の入力を受けつけて、当該情報をユーザー端末送受信部304に出力する。
ユーザー端末出力部303は、ユーザーに配車車両の位置情報や配車車両情報を表示する。
ユーザー端末送受信部304は、ネットワークを介して、サーバ201との間で情報の送受信を行う。ユーザー端末送受信部304は、サーバ送受信部204に、ユーザー情報やユーザーの位置情報、最終到着地情報を送信し、サーバ送受信部204から、配車車両情報や待ち合わせ地点の情報や乗降地情報を受信する。
次に、図6を用いて、ユーザーが配車を依頼してから、乗降地に車両を停車させるまでのフローチャートを説明する。なお、ステップS604(配車車両が走行を開始)以降のフローは、第1実施形態におけるステップS201~ステップS210と同様の処理を行うため、説明を省略する。ステップS208またはステップS210で、車両幅寄せ量wd1を設定した後、図6のフローのステップS605に進む。
ステップS601では、ユーザーが、ユーザー端末301のユーザー端末入力部302に配車依頼情報を入力する。配車依頼情報には、ユーザー情報、ユーザー位置情報、ユーザーが希望する最終到着地情報を含む。例えば、ユーザーが、ユーザー端末301で利用可能なアプリケーションを起動し、当該アプリケーションで、配車依頼のボタンを選択し、最終到着地やユーザー情報等の入力を行う。ユーザー情報としては、例えば、ユーザーの年齢、乗車人数(子連れか否かの確認を含む)、荷物の有無(大きな荷物があるか否か確認を含む)が挙げられる。なお、年齢等のユーザー情報の入力は、事前にアプリケーションのユーザー登録を行う際に、年齢を登録させてもよいし、生年月日を入力させて、年齢を推定することとしてもよい。配車依頼情報は、ユーザー端末入力部302からユーザー端末送受信部304に出力され、ユーザー端末送受信部304を介して、サーバ送受信部204に送信される。
ステップS602では、サーバ201のサーバ送受信部204が、ユーザー端末301のユーザー端末送受信部304から送信された配車依頼情報を受信する。
ステップS603では、乗降地設定部202は、サーバ送受信部204が受信した配車依頼情報のうち、ユーザー位置情報から、ユーザーが乗車する乗車地を設定し、ユーザーが希望する最終到着地情報から、ユーザーが降車する降車地を設定する。そして、設定されたそれぞれの乗降地に基づき、走行ルート設定部203は、乗降地までの走行ルートをそれぞれ生成する。生成された走行ルートに関する情報は、サーバ送受信部204から、車載送受信装置105及びユーザー端末送受信部304に送信される。
ステップS604では、ステップS603で車載送受信装置105が受信した走行ルートが制御演算装置110に出力され、制御演算装置110は、当該走行ルートに基づき、走行計画決定部111に走行軌跡や走行車速に関する走行計画の決定を実行させる。走行計画決定部111が走行計画を決定した後、制御指令値算出部112は、走行計画決定部111が決定した走行計画に基づき、各種の目標制御量を算出して、目標制御量の情報を走行制御装置106に出力する。そして、走行制御装置106は、目標制御量に基づき、自車両の走行を開始する。自車両が走行を開始すると、ステップS201に進む。
ステップS201以降のフローの処理を行い、ステップS208またはステップS210で車両幅寄せ量wd1を設定すると、ステップS605に進む。
ステップS605では、車両幅寄せ量設定部114は、ステップS208またはステップS210で設定した車両幅寄せ量wd1とステップS602で取得したユーザー情報やユーザー位置情報、乗降地情報に基づき、車両幅寄せ量wd2を設定する。車両幅寄せ量wd2は、wd2≧wd1となるような値であり、乗降地情報やユーザー情報に基づき、ユーザーに関する特定の条件を満たす場合には、wd1に所定の幅寄せ量付加分が加算されて、wd1よりも大きい値が設定される。これは、ユーザーの乗降しやすさを向上させるために、特にユーザーの乗降が困難と思われる状況やユーザー属性である場合には、車両幅寄せ量を大きくとることを目的としたものである。例えば、ユーザーが老人である場合には、老人ではない場合よりも、車両幅寄せ量wd2は大きく設定される。なお、条件を満たさない場合には、所定の幅寄せ量付加分の加算をせず、車両幅寄せ量wd2はwd1と同値となる。なお、所定の幅寄せ量付加分の値は、ユーザーに関する特定の条件ごとに定められている。
ユーザーに関する特定の条件としては、例えば、車両の停車がユーザーの降車を目的としたものか乗車を目的としたものかを条件とする。例えば、ユーザーの降車を目的とした停車の時は、ユーザーの乗車を目的とした停車の時よりも車両幅寄せ量が大きくなるように、車両幅寄せ量wd1に所定の幅寄せ量付加分を加算して、車両幅寄せ量wd2を設定する。一般的に、降車時は、乗車時よりも不安定な動作となるため、幅寄せ量は大きく設定する必要があるためである。車両の停車が降車を目的とするものか、乗車を目的とするものかの判定は、乗降地情報に基づいて行われる。
あるいは、車両幅寄せ量設定部114は、乗降地情報から、ユーザーが乗降する場所が病院である場合には、病院以外の乗降地である場合よりも、車両幅寄せ量が大きくなるように、車両幅寄せ量wd1に所定の幅寄せ量を加算して、車両幅寄せ量wd2を設定する。これは、一般的に、病院を利用するユーザーは、怪我をしていたり、体調が悪かったりするため、乗降時の利便性を高めることが必要になるからである。
また、ユーザー属性に関する特定の条件としては、ユーザーが老人か否か、あるいは子連れか否かを条件とする。例えば、車両幅寄せ量設定部114は、ユーザー情報から、ユーザーが老人、あるいは子連れであると判定される場合には、ユーザーが老人や子連れでない場合よりも車両幅寄せ量が大きくなるように、車両幅寄せ量wd1に所定の幅寄せ量付加分を加算して、車両幅寄せ量wd2を設定する。
ステップS606では、停車位置設定部115は、ステップS605で求められた車両幅寄せ量wd2に基づき、停車時に当該自車両の車両幅寄せ量が車両幅寄せ量wd2となるように停車位置を設定し、当該停車位置に幅寄せを行う走行軌跡を生成する。そして、生成された走行軌跡に関する情報が、制御指令値算出部112に出力されると、制御指令値算出部112は、当該走行軌跡に基づいて車両を制御するための各種の目標制御量を算出し、算出した各種の目標制御量を走行制御部160に出力する。
ステップS607では、ステップS606で制御指令値算出部112から出力された目標制御量に基づき、走行制御部160が、自車両の走行制御を行い、ステップS606で生成された走行軌跡に従って、車両を停車させる。自車両の停車が完了すると、フローを終了する。
以上のように、本実施形態では、車両を利用するユーザーが降車をする場合には、ユーザーが乗車をする場合よりも、車両幅寄せ量を大きく設定する。これにより、動作が不安定になりやすいユーザの降車時において、ユーザーの降車しやすさを高めることができる。
また、本実施形態では、車両を利用するユーザーに関するユーザー情報を取得し、ユーザー情報に基づき、ユーザーの乗降難易度を算出し、乗降難易度が高いほど車両幅寄せ量を大きく設定する。これにより、ユーザーの属性に応じて、車両の乗降が困難な場合があっても、乗降時のユーザーの利便性を高めることができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。