JP7258447B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無段変速機を制御する制御装置に関する。
自動車などの車両に搭載される変速機として、動力を無段階に変速する無段変速機構を備え、インプット軸とアウトプット軸との間で動力を2つの経路で分割して伝達可能な動力分割式の無段変速機が提案されている。
動力分割式の無段変速機の一例では、無段変速機構は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成、つまりプライマリプーリおよびセカンダリプーリに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有している。無段変速機構のプライマリ軸には、インプット軸に入力されるエンジンの動力が伝達される。無段変速機構のセカンダリ軸は、遊星歯車機構のサンギヤに接続されている。
また、動力分割式の無段変速機には、平行軸式歯車機構が備えられている。平行軸式歯車機構は、インプット軸の動力が伝達/遮断されるスプリットドライブギヤと、スプリットドライブギヤとギヤ列を構成し、遊星歯車機構のキャリヤと一体回転するスプリットドリブンギヤとを備えている。遊星歯車機構のリングギヤには、アウトプット軸が接続されている。アウトプット軸の回転は、デファレンシャルギヤに伝達され、デファレンシャルギヤから左右の駆動輪に伝達される。
前進走行時における動力伝達モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードが設けられている。
ベルトモードでは、インプット軸とスプリットドライブギヤとの間での動力の伝達/遮断を切り替える第1クラッチが解放されて、スプリットドライブギヤが自由回転状態にされ、遊星歯車機構のキャリヤが自由回転状態にされる。また、遊星歯車機構のサンギヤとリングギヤとを結合/分離する第2クラッチが係合されて、サンギヤとリングギヤとが結合される。そのため、無段変速機構から出力される動力により、サンギヤおよびリングギヤが一体的に回転し、アウトプット軸がリングギヤと一体的に回転する。したがって、ベルトモードでは、無段変速機構の変速比であるベルト変速比(プーリ比)が大きいほど、その変速比に比例して、動力分割式無段変速機全体での変速比であるトータル変速比(インプット軸の回転数/アウトプット軸の回転数)が大きくなる。
スプリットモードでは、第2クラッチが解放されて、遊星歯車機構のサンギヤとリングギヤとの結合が解除される。また、第1クラッチが係合されて、インプット軸からスプリットドライブギヤに動力が伝達される。インプット軸からスプリットドライブギヤに伝達される動力は、スプリットドライブギヤからスプリットドリブンギヤを介することにより一定の変速比(スプリット点)で変速されて、遊星歯車機構のキャリヤに入力される。サンギヤは、ベルト変速比に応じた回転数で回転する。そのため、スプリットモードでは、ベルト変速比が大きいほどトータル変速比が小さくなり、スプリット点以下のトータル変速比を実現することができる。
特開2016-142302号公報
動力分割式の無段変速機における変速制御では、たとえば、変速線図に従って、アクセル開度(アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合)および車速に応じた目標回転数が設定され、無段変速機に入力される回転数を目標回転数に一致させる変速比が目標変速比に設定される。そして、トータル変速比が目標変速比に一致するように、ベルト変速比が変更される。
ベルトモードとスプリットモードとの切り替えは、目標変速比とスプリット点の変速比(スプリットギヤ比)との比較により判定される。すなわち、ベルトモードにおいて、目標変速比がスプリットギヤ比以下(Hi側)であれば、ベルトモードからスプリットモードへの切り替えが判定される。また、スプリットモードにおいて、目標変速比がスプリットギヤ比以上(Lo側)であれば、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定される。
図8は、スプリットモードからベルトモードへの切替時における切替制御の実行状態、解放側制御圧および係合側制御圧の時間変化を示す図である。
スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定されると、解放側の第1クラッチを解放するための解放制御(切替制御)が開始される(時刻T11)。解放制御では、第1クラッチに供給される油圧の目標値である解放側制御圧が係合圧から0まで漸減される(期間T11-T15)。
また、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定されると、解放制御の開始と同時に、係合側の第2クラッチを係合させるための係合制御(切替制御)が開始される(時刻T11)。係合制御では、第2クラッチに供給される油圧の目標値である係合側制御圧が0から係合圧に近い充填圧に上げられ、所定の期間(期間T11-T12)、係合側制御圧が充填圧に保持される。係合側制御圧が充填圧に保持される期間に、第2クラッチの油室およびその油室に接続された油路に油が充填される。所定の期間が経過すると、係合側制御圧は、充填圧から初期圧まで下げられ(時刻T12)、第2クラッチのピストンが油圧により押されて、ピストンの無効ストロークが解消されるまで(ピストンがクラッチプレートに当接するまで)、初期圧に保持される(期間T12-T13)。ピストンの無効ストロークが解消されると、係合側制御圧は、初期圧から係合圧まで漸増される(期間T13-T14)。
係合側制御圧が初期圧から係合圧まで漸増される間に、第2クラッチが係合されて、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが完了する。そのため、アクセルペダルが踏み込まれて、目標変速比がスプリットギヤ比以上の値に設定されることにより、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定されてから、その切り替えが完了するまでに時間がかかる。
本発明の目的は、第2モード(スプリットモード)から第1モード(ベルトモード)への切り替えの応答性を改善できる、制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る制御装置は、インプット軸とアウトプット軸との間の第1動力伝達経路上に介在されて、油圧により係合/解放される第1係合要素と、インプット軸とアウトプット軸との間の第2動力伝達経路に介在されて、油圧により係合/解放される第2係合要素とを備え、第2動力伝達経路上にベルト変速機構を有し、第1係合要素の解放および第2係合要素の係合により、ベルト変速機構によるベルト変速比が大きいほどインプット軸とアウトプット軸との間でのトータル変速比が大きくなる第1モードとなり、第1係合要素の係合および第2係合要素の解放により、ベルト変速比が大きいほどトータル変速比が小さくなる第2モードとなり、ベルト変速比が一定の切替値であるときに、第1モードと第2モードとが切り替わってもトータル変速比が変化しないように構成された無段変速機を制御する制御装置であって、トータル変速比の目標である目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、トータル変速比が目標変速比設定手段により設定される目標変速比に一致するように、ベルト変速比を変更するベルト変速比変更手段と、第1モードにおいて、目標変速比設定手段により設定される目標変速比が切替値以下であれば、第1モードから第2への切り替えを判定し、第2モードにおいて、目標変速比設定手段により設定される目標変速比が切替値以上であれば、第2モードから第1モードへの切り替えを判定する切替判定手段と、第2モードにおいて、切替判定手段により第2モードから第1モードへの切り替えが判定される前に、ベルト変速比が切替値よりも大きい待機閾値以上から待機閾値未満に変化したことに応じて、第2係合要素に油圧を供給して、第2係合要素が伝達トルク容量を持ち始める油圧以下の待機圧が第2係合要素に作用した状態とし、当該状態で第2係合要素を待機させる係合待機手段とを含む。
この構成によれば、無段変速機では、インプット軸とアウトプット軸との間の第1動力伝達経路上に第1係合要素が介在され、インプット軸とアウトプット軸との間の第2動力伝達経路上に第2係合要素が介在されている。第1係合要素の解放および第2係合要素の係合によって、無段変速機が第1モードとなり、この第1モードでは、ベルト変速機構によるベルト変速比が大きいほど、インプット軸とアウトプット軸との間でのトータル変速比が大きくなる。一方、第1係合要素の係合および第2係合要素の解放によって、無段変速機が第2モードとなり、この第2モードでは、ベルト変速比が大きいほど、トータル変速比が小さくなる。ベルト変速比が一定の切替値であるときには、第1モードと第2モードとが切り替わってもトータル変速比が変化しない。
変速制御では、トータル変速比の目標である目標変速比が設定されて、トータル変速比が目標変速比に一致するように、ベルト変速比が変更される。第1モードにおいて、切替値以下の目標変速比が設定された場合、第1モードから第2モードへの切り替えが判定される。第2モードにおいて、切替値以上の目標変速比が設定された場合、第2モードから第1モードへの切り替えが判定される。
第2モードでは、第2モードから第1モードへの切り替えが判定される前に、ベルト変速比が切替値よりも大きい待機閾値以上から待機閾値未満に変化したことに応じて、第2係合要素に油圧が供給されて、第2係合要素は、伝達トルク容量を持ち始める油圧以下の待機圧が作用した状態とされる。
当該状態で第2係合要素を待機させておけば、第2モードから第1モードへの切り替えが判定されたことに応じて、第2係合要素に供給される油圧を上げることにより、第2係合要素を速やかに係合させて、第2モードから第1モードへの切り替えを完了させることができる。したがって、第2モードから第1モードへの切り替えが判定されてから、その切り替えが完了するまでに要する時間を従来よりも短縮することができる。その結果、アクセルペダルの踏み込み(アクセル操作の操作量の増大)に対する第2モードから第1モードへの切り替えの応答性を改善することができ、ひいては、車両の加速の応答性を改善することができる。
第2係合要素は、プレートとディスクとが対向して設けられ、油室に供給される油圧によって、ピストンがリターンスプリングの弾性力に抗して移動し、ピストンがプレートをディスクに押し付けることにより係合する摩擦係合要素であってもよい。この場合、待機圧は、ピストンがプレートに当接する位置まで移動した状態でのリターンスプリングの弾性力以下の力をピストンに付与する油圧に設定されてもよい。
これにより、待機圧を第2係合要素が伝達トルク容量を持ち始める油圧以下の油圧に設定することができる。
本発明によれば、第2モードから第1モードへの切り替えの応答性を改善することができる。
本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載される車両の駆動系の構成を示すスケルトン図である。 車両の前進時および後進時におけるクラッチおよびブレーキの状態を示す図である。 遊星歯車機構のサンギヤ、キャリヤおよびリングギヤの回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。 ベルト変速機構によるベルト変速比と変速機の全体でのトータル変速比との関係を示す図である。 車両の制御系の構成を示すブロック図である。 クラッチの構成を示す断面図である。 スプリットモードからベルトモードへの切替時における切替制御の実行状態、解放側制御圧および係合側制御圧の時間変化を示す図である。 従来の切替制御における実行状態、解放側制御圧および係合側制御圧の時間変化を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の駆動系>
図1は、車両1の駆動系の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。
エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。エンジン2の動力は、トルクコンバータ3および無段変速機4を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達され、デファレンシャルギヤ5から左右のドライブシャフト6L,6Rを介してそれぞれ左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
エンジン2は、E/G出力軸11を備えている。E/G出力軸11は、エンジン2が発生する動力により回転される。
トルクコンバータ3は、フロントカバー21、ポンプインペラ22、タービンランナ23およびロックアップ機構24を備えている。フロントカバー21には、E/G出力軸11が接続され、フロントカバー21は、E/G出力軸11と一体に回転する。ポンプインペラ22は、フロントカバー21に対するエンジン2側と反対側に配置されている。ポンプインペラ22は、フロントカバー21と一体回転可能に設けられている。タービンランナ23は、フロントカバー21とポンプインペラ22との間に配置されて、フロントカバー21と共通の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。
ロックアップ機構24は、ロックアップピストン25を備えている。ロックアップピストン25は、フロントカバー21とタービンランナ23との間に設けられている。ロックアップ機構24は、ロックアップピストン25とフロントカバー21との間の解放油室26の油圧とロックアップピストン25とポンプインペラ22との間の係合油室27の油圧との差圧により、ロックアップオン(係合)/オフ(解放)される。すなわち、解放油室26の油圧が係合油室27の油圧よりも高い状態では、その差圧により、ロックアップピストン25がフロントカバー21から離間し、ロックアップオフとなる。係合油室27の油圧が解放油室26の油圧よりも高い状態では、その差圧により、ロックアップピストン25がフロントカバー21に押し付けられて、ロックアップオンとなる。
ロックアップオフの状態では、E/G出力軸11が回転されると、ポンプインペラ22が回転する。ポンプインペラ22が回転すると、ポンプインペラ22からタービンランナ23に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ23で受けられて、タービンランナ23が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ23には、E/G出力軸11のトルクよりも大きなトルクが発生する。
ロックアップオンの状態では、E/G出力軸11が回転されると、E/G出力軸11、ポンプインペラ22およびタービンランナ23が一体となって回転する。
無段変速機4は、インプット軸31およびアウトプット軸32を備え、インプット軸31に入力される動力を2つの経路に分岐してアウトプット軸32に伝達可能に構成された、いわゆる動力分割式(トルクスプリット式)変速機である。2つの動力伝達経路を構成するため、無段変速機4は、ベルト変速機構33、前減速ギヤ機構34、遊星歯車機構35およびスプリット変速機構36を備えている。
インプット軸31は、トルクコンバータ3のタービンランナ23に連結され、タービンランナ23と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
アウトプット軸32は、インプット軸31と平行に設けられている。アウトプット軸32には、出力ギヤ37が相対回転不能に支持されている。出力ギヤ37は、デファレンシャルギヤ5(デファレンシャルギヤ5のリングギヤ)と噛合している。
ベルト変速機構33は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。具体的には、ベルト変速機構33は、プライマリ軸41と、プライマリ軸41と平行に設けられたセカンダリ軸42と、プライマリ軸41に相対回転不能に支持されたプライマリプーリ43と、セカンダリ軸42に相対回転不能に支持されたセカンダリプーリ44と、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とに巻き掛けられたベルト45とを備えている。
プライマリプーリ43は、プライマリ軸41に固定された固定シーブ51と、固定シーブ51にベルト45を挟んで対向配置され、プライマリ軸41にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ52とを備えている。可動シーブ52に対して固定シーブ51と反対側には、プライマリ軸41に固定されたシリンダ53が設けられ、可動シーブ52とシリンダ53との間に、油圧室54が形成されている。
セカンダリプーリ44は、セカンダリ軸42に固定された固定シーブ55と、固定シーブ55にベルト45を挟んで対向配置され、セカンダリ軸42にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ56とを備えている。可動シーブ56に対して固定シーブ55と反対側には、セカンダリ軸42に固定されたシリンダ57が設けられ、可動シーブ56とシリンダ57との間に、油圧室58が形成されている。回転軸線方向において、固定シーブ55と可動シーブ56との位置関係は、プライマリプーリ43の固定シーブ51と可動シーブ52との位置関係と逆転している。
ベルト変速機構33では、プライマリプーリ43の油圧室54およびセカンダリプーリ44の油圧室58に供給される油圧がそれぞれ制御されて、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プーリ比)が連続的に無段階で変更される。
具体的には、ベルト変速比が小さくされるときには、プライマリプーリ43の油圧室54に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ43の可動シーブ52が固定シーブ51側に移動し、固定シーブ51と可動シーブ52との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ43に対するベルト45の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ44の固定シーブ55と可動シーブ56との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とのプーリ比が小さくなる。
ベルト変速比が大きくされるときには、プライマリプーリ43の油圧室54に供給される油圧が下げられる。これにより、セカンダリプーリ44の推力(セカンダリ推力)に対するプライマリプーリ43の推力(プライマリ推力)の比である推力比が小さくなり、セカンダリプーリ44の固定シーブ55と可動シーブ56との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ51と可動シーブ52との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とのプーリ比が大きくなる。
一方、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44の推力は、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44とベルト45との間で滑り(ベルト滑り)が生じない大きさを必要とする。そのため、ベルト滑りを生じない必要十分な挟圧が得られるよう、プライマリプーリ43の油圧室54およびセカンダリプーリ44の油圧室58に供給される油圧が制御される。
前減速ギヤ機構34は、インプット軸31に入力される動力を逆転かつ減速させてプライマリ軸41に伝達する構成である。具体的には、前減速ギヤ機構34は、インプット軸31に相対回転不能に支持されるインプット軸ギヤ61と、インプット軸ギヤ61よりも大径で歯数が多く、プライマリ軸41にスプライン嵌合により相対回転不能に支持されて、インプット軸ギヤ61と噛合するプライマリ軸ギヤ62とを含む。
遊星歯車機構35は、サンギヤ71、キャリヤ72およびリングギヤ73を備えている。サンギヤ71は、セカンダリ軸42にスプライン嵌合により相対回転不能に支持されている。キャリヤ72は、アウトプット軸32に相対回転可能に外嵌されている。キャリヤ72は、複数個のピニオンギヤ74を回転可能に支持している。複数個のピニオンギヤ74は、円周上に配置され、サンギヤ71と噛合している。リングギヤ73は、複数個のピニオンギヤ74を一括して取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ74にセカンダリ軸42の回転径方向の外側から噛合している。また、リングギヤ73には、アウトプット軸32が接続され、リングギヤ73は、アウトプット軸32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
スプリット変速機構36は、スプリットドライブギヤ81と、スプリットドライブギヤ81と噛合するスプリットドリブンギヤ82とを含む平行軸式歯車機構である。
スプリットドライブギヤ81は、インプット軸31に相対回転可能に外嵌されている。
スプリットドリブンギヤ82は、遊星歯車機構35のキャリヤ72と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。スプリットドリブンギヤ82は、スプリットドライブギヤ81よりも小径に形成され、スプリットドライブギヤ81よりも少ない歯数を有している。
また、アウトプット軸32には、パーキングギヤ83が相対回転不能に支持されている。パーキングギヤ83の周囲には、パーキングポール(図示せず)が設けられている。パーキングポールがパーキングギヤ83の歯溝に係合することにより、パーキングギヤ83の回転が規制(パーキングロック)され、パーキングポールがパーキングギヤ83の歯溝から離脱することにより、パーキングギヤ83の回転が許容(パーキングロック解除)される。
また、無段変速機4は、クラッチC1,C2およびブレーキB1を備えている。
クラッチC1は、油圧により、インプット軸31とスプリットドライブギヤ81とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態と、その直結を解除する解放状態とに切り替えられる。
クラッチC2は、油圧により、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態と、その直結を解除する解放状態とに切り替えられる。
ブレーキB1は、油圧により、遊星歯車機構35のキャリヤ72を制動する係合状態と、キャリヤ72の回転を許容する解放状態とに切り替えられる。
<動力伝達モード>
図2は、車両1の前進時および後進時におけるクラッチC1,C2およびブレーキB1の状態を示す図である。図3は、遊星歯車機構35のサンギヤ71、キャリヤ72およびリングギヤ73の回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。図4は、ベルト変速機構33によるベルト変速比と無段変速機4の全体でのトータル変速比との関係を示す図である。
図2において、「○」は、クラッチC1,C2およびブレーキB1が係合状態であることを示している。「×」は、クラッチC1,C2およびブレーキB1が解放状態であることを示している。
車両1の車室内には、運転者が操作可能な位置に、シフトレバー(セレクトレバー)が配設されている。シフトレバーの可動範囲には、たとえば、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジションおよびD(ドライブ)ポジションの各レンジ位置がこの順に一列に並べて設けられている。
シフトレバーがPポジションに位置する状態では、クラッチC1,C2およびブレーキB1のすべてが解放され、パーキングギヤ83が固定されることにより、無段変速機4の変速レンジの1つであるPレンジ(駐車レンジ)が構成される。また、シフトレバーがNポジションに位置する状態では、クラッチC1,C2およびブレーキB1のすべてが解放されて、パーキングロックギヤが固定されないことにより、無段変速機4の変速レンジの1つであるNレンジ(中立レンジ)が構成される。クラッチC1およびブレーキB1の両方が解放された状態では、エンジン2の動力がセカンダリ軸42まで伝達されて、セカンダリ軸42が回転するが、遊星歯車機構35のサンギヤ71およびピニオンギヤ74が空転し、エンジン2の動力は駆動輪7L,7Rに伝達されない。
シフトレバーがDポジションに位置する状態では、無段変速機4の変速レンジの1つであるDレンジ(前進レンジ)が構成される。このDレンジでの動力伝達モードには、ベルトモード(第1モードの一例)およびスプリットモード(第2モードの一例)が含まれる。ベルトモードとスプリットモードとは、クラッチC1が係合している状態とクラッチC2が係合している状態との切り替え(クラッチC1,C2の掛け替え)により切り替えられる。
ベルトモードでは、図2に示されるように、クラッチC1およびブレーキB1が解放され、クラッチC2が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ81がインプット軸31から切り離され、遊星歯車機構35のキャリヤ72がフリー(自由回転状態)になり、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが直結される。
インプット軸31に入力される動力は、前減速ギヤ機構34により逆転かつ減速されて、ベルト変速機構33のプライマリ軸41に伝達され、プライマリ軸41およびプライマリプーリ43を回転させる。プライマリプーリ43の回転は、ベルト45を介して、セカンダリプーリ44に伝達され、セカンダリプーリ44およびセカンダリ軸42を回転させる。遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが直結されているので、セカンダリ軸42と一体となって、サンギヤ71、リングギヤ73およびアウトプット軸32が回転する。したがって、ベルトモードでは、図3および図4に示されるように、無段変速機4全体でのトータル変速比がベルト変速機構33のベルト変速比に前減速比(インプット軸31の回転数/プライマリ軸41の回転数)を乗じた値と一致する。
スプリットモードでは、図2に示されるように、クラッチC1が係合され、クラッチC2およびブレーキB1が解放される。これにより、インプット軸31とスプリットドライブギヤ81とが結合されて、インプット軸31の回転がスプリットドライブギヤ81およびスプリットドリブンギヤ82を介して遊星歯車機構35のキャリヤ72に伝達可能になり、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが切り離される。
インプット軸31に入力される動力は、スプリットドライブギヤ81からスプリットドリブンギヤ82を介して遊星歯車機構35のキャリヤ72に増速されて伝達される。キャリヤ72に伝達される動力は、キャリヤ72からサンギヤ71およびリングギヤ73に分割して伝達される。サンギヤ71の動力は、セカンダリ軸42、セカンダリプーリ44、ベルト45、プライマリプーリ43およびプライマリ軸41を介してプライマリ軸ギヤ62に伝達され、プライマリ軸ギヤ62からインプット軸ギヤ61に伝達される。そのため、ベルトモードでは、インプット軸ギヤ61が駆動ギヤとなり、プライマリ軸ギヤ62が被動ギヤとなるのに対し、スプリットモードでは、プライマリ軸ギヤ62が駆動ギヤとなり、インプット軸ギヤ61が被動ギヤとなる。
スプリットドライブギヤ81とスプリットドリブンギヤ82とのギヤ比は一定で不変(固定)であるので、スプリットモードでは、インプット軸31に入力される動力が一定であれば、遊星歯車機構35のキャリヤ72の回転が一定速度に保持される。そのため、ベルト変速比が上げられると、遊星歯車機構35のサンギヤ71の回転数が下がるので、図3に破線で示されるように、遊星歯車機構35のリングギヤ73(アウトプット軸32)の回転数が上がる。その結果、スプリットモードでは、図4に示されるように、ベルト変速機構33のベルト変速比が大きいほど、無段変速機4のトータル変速比が小さくなり、ベルト変速比に対するトータル変速比の感度(ベルト変速比の変化量に対するトータル変速比の変化量の割合)がベルトモードと比べて低い。
ベルトモードおよびスプリットモードにおけるアウトプット軸32の回転は、出力ギヤ37を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト6L,6Rおよび駆動輪7L,7Rが前進方向に回転する。
シフトレバーがRポジションに位置する状態では、無段変速機4の変速レンジの1つであるRレンジ(後進レンジ)が構成される。Rレンジでは、図2に示されるように、クラッチC1,C2が解放され、ブレーキB1が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ81がインプット軸31から切り離され、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが切り離され、遊星歯車機構35のキャリヤ72が制動される。
インプット軸31に入力される動力は、前減速ギヤ機構34により逆転かつ減速されて、ベルト変速機構33のプライマリ軸41に伝達され、プライマリ軸41からプライマリプーリ43、ベルト45およびセカンダリプーリ44を介してセカンダリ軸42に伝達され、セカンダリ軸42と一体に、遊星歯車機構35のサンギヤ71を回転させる。遊星歯車機構35のキャリヤ72が制動されているので、サンギヤ71が回転すると、遊星歯車機構35のリングギヤ73がサンギヤ71と逆方向に回転する。このリングギヤ73の回転方向は、前進時(ベルトモードおよびスプリットモード)におけるリングギヤ73の回転方向と逆方向となる。そして、リングギヤ73と一体に、アウトプット軸32が回転する。アウトプット軸32の回転は、出力ギヤ37を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト6L,6Rおよび駆動輪7L,7Rが後進方向に回転する。
車両1の前進時には、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73との直結により、サンギヤ71の回転速度とリングギヤ73の回転速度とが一致するのに対し、車両1の後進時には、遊星歯車機構35の構成上、リングギヤ73の回転速度がサンギヤ71の回転速度よりも必ず低くなる。そのため、Rレンジでは、変速比が最大プーリ比よりも大きくなり、DレンジおよびRレンジで最大プーリ比が構成されている場合、車両1の後進時に、前進時と比較して、変速比が大きくなり、アウトプット軸32から出力される動力が大きくなる。
<車両の制御系>
図5は、車両1の制御系の構成を示すブロック図である。
車両1には、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。図5には、複数のECUのうちの1つのECU91が示されている。
トルクコンバータ3および無段変速機4を含むユニットには、各部に油圧を供給するための油圧回路92が備えられている。ECU91は、無段変速機4の変速制御などのため、油圧回路92に含まれる各種のバルブなどを制御する。
ECU91には、制御に必要な各種センサが接続されている。センサの一例として、ECU91には、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号を検出信号として出力するエンジン回転センサ93と、アクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力するアクセルセンサ94と、車両1の走行に伴って回転する回転体の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する車速センサ95とが接続されている。
また、ECU91には、各種センサから入力される検出信号から取得する情報以外に制御に必要な情報が他のECUから入力される。他のECUからECU91に入力される情報は、その情報を取得するためのセンサがECU91に接続されて、ECU91において、そのセンサの検出信号から当該情報が取得されてもよい。
<変速制御>
無段変速機4のトータル変速比は、ECU91によるベルト変速比の変更ならびにクラッチC1,C2およびブレーキB1の係合/解放により制御される。この変速制御では、まず、変速線図に基づいて、アクセル開度および車速に応じた目標回転数が設定される。変速線図は、アクセル開度および車速と目標回転数との関係を定めたマップであり、ECU91のROMに格納されている。アクセル開度は、アクセルセンサ94の検出信号から算出される。車速は、車速センサ95の検出信号から算出される。目標回転数が設定されると、インプット軸31に入力される回転数、つまりタービン回転数を目標回転数に一致させるトータル変速比の目標となる目標変速比が求められ、その目標変速比に応じたベルト変速比の目標が設定される。
その後、ベルト変速比の目標に基づいて、プライマリプーリ43の可動シーブ52に供給される油圧であるプライマリ圧およびセカンダリプーリ44の可動シーブ56に供給される油圧であるセカンダリ圧の指令値が設定され、各指令値に基づいて、ベルト変速比の目標と実ベルト変速比との偏差が零に近づくように、プライマリ圧およびセカンダリ圧が制御される。実ベルト変速比は、プライマリ回転数をセカンダリ回転数で除することにより求められる。
トータル変速比がスプリットドライブギヤ81とスプリットドリブンギヤ82とのギヤ比であるスプリットギヤ比に等しいスプリット点を跨いで変更される場合、そのトータル変速比の変更には、ベルトモードとスプリットモードとの切り替え(以下、単に「モード切替」という。)が伴う。モード切替は、クラッチC1,C2の係合の切り替えにより達成される。すなわち、クラッチC1,C2に供給される油圧の制御により、解放状態のクラッチC1(係合側)が係合され、係合状態のクラッチC2(解放側)が解放されることにより、ベルトモードからスプリットモードに切り替えられる。逆に、係合状態のクラッチC1(解放側)が解放され、解放状態のクラッチC2(係合側)が係合されることにより、スプリットモードからベルトモードに切り替えられる。
<クラッチの構成>
図6は、クラッチC2の構成を示す断面図である。
クラッチC2は、クラッチドラム101、クラッチハブ102およびクラッチピストン103を備えている。
クラッチドラム101は、内周端がアウトプット軸32に固定され、アウトプット軸32から軸径方向に延び、外周端部がアウトプット軸32の回転軸線方向(以下、単に「回転軸線方向」という。)の一方側、つまりセカンダリプーリ44側(図1参照)に屈曲して延びている。
クラッチハブ102は、遊星歯車機構35のサンギヤ71に相対回転不能に支持されている。クラッチハブ102は、サンギヤ71から軸径方向に延び、外周端部がセカンダリプーリ44側に屈曲して延びている。クラッチハブ102の外周端部は、クラッチドラム101の外周端部に対して軸径方向の内側から間隔を空けて対向している。
クラッチピストン103は、クラッチドラム101とクラッチハブ102との間に、回転軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン103は、クラッチドラム101に液密的に当接しており、クラッチドラム101とクラッチピストン103との間には、クラッチピストン103に作用する油圧が供給される油室104が形成されている。また、クラッチピストン103に対して油室104と反対側には、リターンスプリング105が設けられており、クラッチピストン103は、リターンスプリング105により、セカンダリプーリ44側と反対側、つまりエンジン2側に弾性的に付勢されている。
クラッチドラム101の外周端部とクラッチハブ102とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム101に保持される略円環状のクラッチプレート106とクラッチハブ102に保持される略円環状のクラッチディスク107とが回転軸線方向の一方側と反対側、つまりエンジン2側(図1参照)からその順で交互に並んでいる。回転軸線方向の一方側の最端のクラッチプレート66に対する一方側には、略円環状のクッショニングスプリング108が配置されている。クッショニングスプリング108は、クラッチドラム101にその外周端部が保持されている。
油室104に油圧が供給されると、その油圧により、クラッチピストン103がリターンスプリング105の弾性力に抗して前側に移動する。クラッチピストン103の移動が進むと、クラッチピストン103がクッショニングスプリング108に当接する。油圧が上昇すると、クラッチピストン103がクッショニングスプリング108を押圧して、クッショニングスプリング108が弾性変形し始める。その後、クラッチピストン103は、油圧の上昇に伴って、リターンスプリング105およびクッショニングスプリング108の各弾性力の合力に抗して前側に移動する。クッショニングスプリング108の弾性変形が終了すると、クラッチピストン103がクッショニングスプリング108を介してクラッチプレート106を押圧し、クラッチプレート106とクラッチディスク107とが圧接することにより、クラッチC2が伝達トルク容量を持ち始める。その後、油圧の上昇により、クラッチプレート106とクラッチディスク107との圧接力が高まるにつれて、クラッチC2の伝達トルク容量が上昇する。クッショニングスプリング108がクラッチピストン103に押し切られると(クッショニングスプリング108の弾性変形が停止すると)、クラッチピストン103の移動が停止する。クラッチプレート106とクラッチディスク107とが滑りを生じずに圧接することにより、クラッチC2が完全に係合した状態となる。
<スプリットモードからベルトモードへの切り替え>
図7は、スプリットモードからベルトモードへの切替時における切替制御の実行状態、解放側制御圧および係合側制御圧の時間変化を示す図である。
ECU91では、ベルトモードにおいて、目標変速比がスプリット点でのベルト変速比である切替値(図4参照)、つまり切替値以下の値に設定された場合、ベルトモードからスプリットモードへの切り替えが判定される。また、ECU91では、スプリットモードにおいて、目標変速比が切替値以上の値に設定された場合、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定される。
スプリットモードでは、ECU91により、目標変速比に応じたベルト変速比(目標)が待機閾値以上から待機閾値未満に変化したか否かが判定される。待機閾値は、切替値よりも大きい値に設定されている。したがって、スプリットモードにおいて、ベルト変速比が切替値に向けて低下している状況では、ECU91により、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定される前に、ベルト変速比が待機閾値以上から待機閾値未満に変化したことが検知される。
ベルト変速比が待機閾値以上から待機閾値未満に変化した場合、ECU91による切替制御が開始される(時刻T1)。切替制御の開始により、クラッチC2に供給される油圧の目標値である係合側制御圧が0から係合圧に近い充填圧に上げられる。そして、所定の期間(期間T1-T2)、係合側制御圧が充填圧に保持される。係合側制御圧が充填圧に保持される期間に、クラッチC2の油室104およびその油室104に油圧を供給する油路に油が充填される。所定の期間が経過すると、係合側制御圧は、充填圧から待機圧に下げられて(時刻T2)、待機圧に保持される。係合側制御圧が待機圧に保持されることにより、クラッチC2のクラッチピストン103が油圧により押されて移動する。待機圧は、クラッチピストン103がクッショニングスプリング108に当接する位置まで移動した状態でリターンスプリング105が有する弾性力以下の力をクラッチピストン103に付与する油圧に設定されている。そのため、油圧に押されて移動するクラッチピストン103は、クッショニングスプリング108に当接すると、リターンスプリング105をそれ以上に圧縮させずに停止する。これにより、クラッチピストン103の無効ストロークが解消され、かつ、クラッチC2が伝達トルク容量を持たない状態となる。
なお、この実施形態において、クッショニングスプリング108は、本発明の「プレート」の概念に含まれる。
係合側制御圧が待機圧に保持されている状態から、目標変速比に応じたベルト変速比が待機閾値以上に戻ると、ECU91により、クラッチC2の油室104から油圧が抜かれて、切替制御が終了される。
係合側制御圧が待機圧に保持されている状態において、目標変速比が切替値以上の値に設定されて、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定された場合には(時刻T3)、係合側制御圧が待機圧から係合圧まで漸増される(期間T3-T4)。これにより、クラッチC2の油室104に供給される油圧が漸増し、それに伴って、クラッチC2の伝達トルク容量が上昇する。そして、クラッチプレート106とクラッチディスク107とが滑りを生じずに圧接した状態になると、クラッチC2が完全に係合した状態となる。
一方、クラッチC1に供給される油圧の目標値である解放側制御圧が係合圧から0まで漸減される(期間T3-T5)。その漸減の途中、トルクコンバータ3のタービンランナ23の回転が吹き上がるのを抑制するため、解放側制御圧が一定に保持される期間が設けられている。
クラッチC2が係合され、クラッチC1が解放されることにより、ベルトモードが構成され、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが完了する(時刻T5)。
<作用効果>
以上のように、変速制御では、トータル変速比の目標である目標変速比が設定されて、トータル変速比が目標変速比に一致するように、ベルト変速比が変更される。ベルトモードにおいて、切替値以下の目標変速比が設定された場合、ベルトモードからスプリットモードへの切り替えが判定される。スプリットモードにおいて、切替値以上の目標変速比が設定された場合、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定される。
スプリットモードでは、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定される前に、目標変速比に応じたベルト変速比(目標)が切替値よりも大きい待機閾値以上から待機閾値未満に変化したことに応じて、クラッチC2に油圧が供給されて、クラッチC2は、伝達トルク容量を持ち始める油圧以下の待機圧が作用した状態とされる。
当該状態でクラッチC2が待機しているので、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定された場合、その判定に応じて、クラッチC2に供給される油圧を上げることにより、クラッチC2を速やかに係合させて、スプリットモードからベルトモードへの切り替えを完了させることができる。したがって、スプリットモードからベルトモードへの切り替えが判定されてから、その切り替えが完了するまでに要する時間(切替変速総時間)を従来よりも短縮することができる。その結果、アクセルペダルの踏み込みに対するスプリットモードからベルトモードへの切り替えの応答性を改善することができ、ひいては、車両1の加速の応答性を改善することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、目標変速比に応じたベルト変速比が待機閾値以上から待機閾値未満に変化したことに応じて、クラッチC2に油圧が供給されるとしたが、ベルト変速比の実値である実ベルト変速比が待機閾値以上から待機閾値未満に変化したことに応じて、クラッチC2に油圧が供給される構成とされてもよい。実ベルト変速比は、プライマリ回転数をセカンダリ回転数で除することにより求めることができる。
また、前述の実施形態では、スプリット変速機構36を経由する第1動力伝達経路とベルト変速機構33を経由する第2動力伝達経路とに分岐して動力を伝達する構成を取り上げたが、スプリット変速機構36は、スプリットドライブギヤ81およびスプリットドリブンギヤ82を含む平行軸式歯車機構に限らず、ベルト機構などのギヤ機構以外の機構であってもよい。ベルト機構が採用される場合、そのベルト機構は、変速比が固定のものであってもよいし、変速比が可変のものであってもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4:無段変速機
31:インプット軸
32:アウトプット軸
33:ベルト変速機構
91:ECU(制御装置、目標変速比設定手段、ベルト変速変速手段、切替判定手段、係合待機手段)
103:クラッチピストン
104:油室
105:リターンスプリング
106:クラッチプレート(プレート)
107:クラッチディスク(ディスク)
108:クッショニングスプリング(プレート)
C1:クラッチ(第1係合要素)
C2:クラッチ(第2係合要素)

Claims (2)

  1. インプット軸とアウトプット軸との間の第1動力伝達経路上に介在されて、油圧により係合/解放される第1係合要素と、前記インプット軸と前記アウトプット軸との間の第2動力伝達経路に介在されて、油圧により係合/解放される第2係合要素とを備え、前記第2動力伝達経路上にベルト変速機構を有し、前記第1係合要素の解放および前記第2係合要素の係合により、前記ベルト変速機構によるベルト変速比が大きいほど前記インプット軸と前記アウトプット軸との間でのトータル変速比が大きくなる第1モードとなり、前記第1係合要素の係合および前記第2係合要素の解放により、前記ベルト変速比が大きいほど前記トータル変速比が小さくなる第2モードとなり、前記ベルト変速比が一定の切替値であるときに、前記第1モードと前記第2モードとが切り替わっても前記トータル変速比が変化しないように構成された無段変速機を制御する制御装置であって、
    前記トータル変速比の目標である目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、
    前記トータル変速比が前記目標変速比設定手段により設定される前記目標変速比に一致するように、前記ベルト変速比を変更するベルト変速比変更手段と、
    前記第1モードにおいて、前記目標変速比設定手段により設定される前記目標変速比が前記切替値以下であれば、前記第1モードから前記第2モードへの切り替えを判定し、前記第2モードにおいて、前記目標変速比設定手段により設定される前記目標変速比が前記切替値以上であれば、前記第2モードから前記第1モードへの切り替えを判定する切替判定手段と、
    前記第2モードにおいて、前記目標変速比設定手段により設定される前記目標変速比が前記切替値未満であって、前記切替判定手段により前記第2モードから前記第1モードへの切り替えが判定される前に、前記ベルト変速比が前記切替値よりも大きい待機閾値以上から前記待機閾値未満に変化したことに応じて、前記第2モードから前記第1モードへの切替制御を開始し、前記第2係合要素に油圧を供給して、前記第2係合要素が伝達トルク容量を持ち始める油圧以下の待機圧が前記第2係合要素に作用した状態とし、前記ベルト変速比が前記待機閾値未満である間、当該状態で前記第2係合要素を待機させ、その待機している状態において、前記目標変速比設定手段により設定される前記目標変速比が前記切替値以上の値に設定されて、前記切替判定手段により前記第2モードから前記第1モードへの切り替えが判定されると、前記第2係合要素に供給される油圧を前記待機圧から前記第2係合要素が係合する係合圧まで漸増させる係合制御手段と、を含む、制御装置。
  2. 前記第2係合要素は、プレートとディスクとが対向して設けられ、油室に供給される油圧によって、ピストンがリターンスプリングの弾性力に抗して移動し、前記ピストンが前記プレートを前記ディスクに押し付けることにより係合する摩擦係合要素であり、
    前記待機圧は、前記ピストンが前記プレートに当接する位置まで移動した状態での前記リターンスプリングの弾性力以下の力を前記ピストンに付与する油圧に設定されている、請求項1に記載の制御装置。
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