JP7257278B2 - セメント用膨張組成物、及びセメント組成物 - Google Patents

セメント用膨張組成物、及びセメント組成物 Download PDF

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本発明は、セメント用膨張組成物、及びセメント組成物に関する。
これまでセメント用膨張組成物について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、生石灰の混合物を電気炉を用いて焼成することによって、遊離生石灰を含有する膨張材が記載されている(特許文献1の請求項1、段落0020等)。
特開2014-129210号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のセメント用膨張材において、膨張特性の点で改善の余地があることが判明した。
セメントには有効膨張期間というものがある。セメントの反応進行度合いに対して、膨張材の膨張タイミングが有効膨張期間内にあると、膨張率に優れたセメントコンクリートが得られる。
これまでの膨張材は、膨張反応が遅く、膨張タイミングが有効膨張期間よりも後になることがあった。
本発明者の検討の結果、CaO(生石灰)を使用することによって膨張材の膨張反応を速め、膨張タイミングを有効膨張期間に近づけられるため、膨張率を高められることが分かった。
しかしながら、CaOを含む結晶相中に、CaO以外の異相が多く存在すると、セメントコンクリートの膨張率が低下することが見出された。
このような知見に基づき結晶構造について鋭意研究したところ、CaOからなる母材が構成する結晶体の結晶粒間に、所定の異相が存在する結晶構造とすることによって、セメントコンクリートの膨張率を一層高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
CaOからなる母材と、母材が構成する結晶体の結晶粒間に存在する異相とを含み、
前記異相が、3CaO・Al(CA)、石膏、イーリマイト、4CaO・Al・Fe(CAF)からなる群から選ばれる一または二以上を含む、セメント用膨張組成物が提供される。
また本発明によれば、
上記のセメント用膨張組成物とセメントとを含む、セメント組成物が提供される。
本発明によれば、膨張特性に優れたセメント用膨張組成物、それを用いたセメント組成物が提供される。
実験例1-1のSEM画像である。 実験例1-2のSEM画像である。
本実施形態のセメント用膨張組成物を概説する。
本実施形態のセメント用膨張組成物は、CaOからなる母材と、母材が構成する結晶体の結晶粒間に存在する異相とを含む。かかる異相は、3CaO・Al(CAと略記)、石膏、イーリマイト、4CaO・Al・Fe(CAFと略記)からなる群から選ばれる一または二以上を含む。
このセメント用膨張組成物は、セメントコンクリートを形成するために用いる石灰系膨張材に使用される。ここで、セメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、又はコンクリートを総称するものである。
本発明者の知見によれば、膨張材中のCaOを含む結晶構造の状態の違いによって、セメントコンクリートの膨張率が変動することが分かった。さらなる検討の結果、CaOを含む結晶相中に異相が存在する場合よりも、母材が構成する結晶体の結晶粒間に所定の異相が存在する場合の方が、セメントコンクリートの膨張率を向上できることが見出された。
詳細なメカニズムは定かではないが、異相がCaOを含む結晶相中に存在する場合と比較して、異相がCaOを含む結晶体の結晶粒間に存在する方が、Ca0粒子成長が進み、CaOの膨張反応が有効膨張期間内で進行するため、セメントコンクリートの膨張率を高められると考えられる。
また、CaOのみを含む膨張材を使用すると、膨張反応が速くなり、膨張タイミングが有効膨張期間よりも前となるため、反対に膨張率が低下することが知見されている。
これに対して、異相を構成する成分を適切に選択することによって、CaOによる膨張反応を適度に抑制できるため、膨張タイミングを適切にコントロールすることが可能となる。
CaOの膨張メカニズムとして、第1にコロイダル状のCa(OH)の生成(CaO+HO→Ca(OH))、第2にCa(OH)の再結晶化がある。六角板状のCa(OH)の結晶が、空隙を作りながら成長することにより見掛けの体積が増加するとされている。
このような膨張反応が、セメントの有効膨張期間内にあると、セメントコンクリートに高い膨張率を付与できる。有効膨張期間において、セメントがセメントマトリックスを形成すると考えてよい。
本実施形態によれば、セメントマトリックス形成時に膨張反応が生じるように、適当に膨張タイミングがコントロールされるという膨張特性を有するセメント用膨張組成物を実現できる。
セメントコンクリートのひび割れ低減は、コンクリート構造物の信頼性、耐久性、美観等の観点から重要である。本実施形態によれば、コンクリート打設後の初期材齢(例えば、材齢2日~7日)にかけてコンクリートに大きな膨張を付与し、乾燥収縮ひずみを抑制し、長期強度発現性の低下を抑えることが可能なセメント用膨張組成物を提供する。
以下、本実施形態のセメント用膨張組成物を詳述する。
セメント用膨張組成物は、CaOを含む。CaOは、セメント用膨張組成物中、遊離石灰として含まれる。
CaOの含有量の下限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、たとえば、65質量部以上、好ましくは70質量部以上、より好ましくは75質量部以上である。これにより、セメント用膨張組成物中の膨張成分の含有量が多くなり、セメントコンクリートの膨張率を高めることができる。例えば、約60質量部のCa0を含む膨張材クリンカと比べて、その膨張率を一層高められる。
一方、CaOの含有量の上限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、たとえば、95質量部以下、好ましくは93質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。これにより、セメント用膨張組成物の膨張タイミングを適当に制御し、セメントコンクリートの膨張率を高めることが可能である。
セメント用膨張組成物は、3CaO・Al(CA)、石膏、イーリマイト(CaAl(SO)O12又は3CaO・3Al・CaSO)、4CaO・Al・Fe(CAF)からなる群から選ばれる異相を含む。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セメント用膨張組成物は、異相を構成する成分として、3CaO・Al(CA)を含んでもよい。これにより、CaOを含むメント用膨張組成物の膨張タイミングを適当に制御できる。
異相は、セメント用膨張組成物の破断面についてのSEM画像の少なくとも一つにおいて、CaOからなる母材が構成する結晶体の結晶粒間に存在するものである。
SEM画像中、異相は、結晶粒の界面に沿って所定長さに亘って延在してもよい。例えば、異相は筋状構造を有してもよい。このような異相は、CaOの2つ又は3つ以上の結晶粒の粒界に存在してもよいし、異相によって、その結晶粒の一部または全体が区画されていてもよい。
異相を構成する成分の合計含有量の下限は、当該セメント用膨張組成物の100質量部中、例えば、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。これにより、セメント用膨張組成物の膨張速度を緩めて、セメントコンクリートの膨張率を高めることができる。一方、異相を構成する成分の合計含有量の上限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、たとえば、30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。これにより、セメント用膨張組成物の膨張タイミングを適当に制御し、セメントコンクリートの膨張率を高めることが可能である。
なお、CAの含有量の範囲として、上記異相を構成する成分の合計含有量を用いてもよい。
各鉱物組成の含有量は、一般の分析方法で確認することができる。例えば、粉砕した試料を粉末X線回折法で生成鉱物組成を確認するとともにデータをリートベルト法にて解析し、鉱物組成を定量することができる。また、化学成分と粉末X線回折の同定結果に基づいて、鉱物組成量を計算によって求めることもできる。
CaOおよび異相を構成する成分の含有量の合計値の下限は、セメント組成物100質量部中、例えば、80質量部以上、好ましくは85質量部以上、より好ましくは90質量部以上である。一方、CaOおよび異相を構成する成分の含有量の合計値の上限は、セメント組成物100質量部中、例えば、99質量部以下でもよく、好ましくは95質量部以下でもよく、より好ましくは93質量部以下でもよい。
セメント用膨張組成物は、CaOおよびCAの他に、他の化合物を内部に含んでもよい。他の化合物として、例えば、Ca(OH)、及びCaCO、3CaO・SiO(CSと略記)や2CaO・SiO(CSと略記)で表されるカルシウムシリケート、4CaO・Al・Fe(CAFと略記)や6CaO・2Al・Fe(CFと略記)、6CaO・Al・Fe(CAFと略記)で表されるカルシウムアルミノフェライト、2CaO・Fe(CFと略記)等のカルシウムフェライトが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Ca(OH)の含有量の上限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、たとえば、15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。これにより、セメント組成物の100℃重量減少量の増加を抑制できる。一方、Ca(OH)の含有量の下限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、特に限定されないが、1質量部以上であってもよい。
CaCOの含有量の上限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、たとえば、3質量部以下、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。これにより、セメント組成物の膨張特性を向上できる。一方、CaCOの含有量の下限は、セメント用膨張組成物の100質量部中、特に限定されないが、0.1質量部以上であってもよい。
セメント用膨張組成物の空隙率の上限は、例えば、45vol%以下、好ましくは40vol%以下、より好ましくは35vol%以下である。これにより、セメントコンクリートの膨張率を高めることが可能である。一方、空隙率の下限は、例えば、5vol%以上でもよく、好ましくは10vol%以上でもよく、より好ましくは15vol%以上でもよい。これにより、粉末加工性を向上できる。
空隙率は、液中秤量法を用いて算出できる。この空隙率は、アルキメデス法によって測定される、閉気孔を含まない開気孔率を意味する。
次に本実施形態のセメント用膨張組成物の製造方法を説明する。
セメント用膨張組成物の製造方法は、石灰分とアルミ原料とを含む原料混合物をキルンにより焼成し、CaOおよび異相を構成する成分を含むセメント用膨張組成物を得る工程を有する。
石灰分として、石灰石、生石灰、消石灰、およびアセチレン発生屑からなる群から選ばれる一または二以上を含んでもよい。この中でも、石灰石を用いてもよい。
アルミ原料として、ボーキサイト、水酸化アルミニウム、およびアルミ残灰からなる群から選ばれる一または二以上を含んでもよい。アルミ残灰は水酸化アルミニウムを主体としてもよい。この中でも、ボーキサイトを用いてもよい。
これらの原料を、焼成後に所定の鉱物組成割合となるように調合し混合粉砕し、原料混合物を得る。
混合粉砕の方法は、特に限定されるものではなく、乾式粉砕法又は湿式粉砕法を適用することができ、湿式粉砕法の場合は、その後造粒するために脱水処理を施す必要がある。また、原料に生石灰を用いる場合は、乾式で行うことが望ましい。
また原料の仕込み割合を調整することで、セメント用膨張組成物中のCaO/CA比を制御できる。
焼成温度は、例えば、1,200℃~1,600℃でもよく、1,300℃~1,550℃でもよい。
焼成には、ロータリーキルンなどのキルンを使用できる。
また、セメント用膨張組成物を得る工程は、乾式混合により原料混合物の粉末物を得る工程と、粉末物を前記キルンにフィードする工程と、を含んでもよい。
また、セメント用膨張組成物を得る工程は、原料混合物を造粒して造粒物を得る工程と、造粒物をキルンにフィードする工程と、を含んでもよい。
このような半乾式法によりセメント用膨張組成物を製造することによって、CaOが構成する結晶体の結晶粒間に異相が存在する結晶構造を有するセメント用膨張組成物を実現できる。このセメント用膨張組成物は、セメントコンクリートの膨張率をより高めることが可能である。
本実施形態では、たとえばセメント用膨張組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、セメント用膨張組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記結晶構造を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば半乾式法、ロータリーキルンを使用すること、焼成温度を適切に調整すること等が、上記結晶構造を所望の状態とするための要素として挙げられる。
詳細なメカニズムは定かでないが、キルン中の造粒物が、粒子接触が維持されたままに頻度高く接触するため、粒子成長が進み、CaOの膨張反応が有効膨張期間内に進行しやすくなるため、と考えられる。
造粒方法は、所望の造粒物の粒径や粒度分布が得られれば特に限定されるものではなく、転動造粒、流動層造粒、及び撹拌造粒等の混合造粒や、圧縮造粒、押出造粒、及び解砕造粒等の強制造粒等が実施でき、市販で一般的な混練式造粒機、押出造粒機、円筒式造粒機、傾胴式転動撹拌造粒機、双軸式造粒機、ディスクペレッター(パンペレタイザー)、流動層造粒機、旋回流動層造粒機等を使用することができる。
セメント用膨張組成物を得る工程は、セメント用膨張組成物からなるクリンカを得る工程と、クリンカを粉砕して、粉砕物を得る工程と、含んでもよい。すなわち、粉末状のセメント用膨張組成物を、セメントコンクリート用の膨張材として使用できる。
また、セメント用膨張組成物は、粒子表面に水酸化カルシウム層が形成されてもよい。これにより、セメント組成物の保管安定性を高めることができる。
セメント用膨張組成物を得る工程中、本発明の効果に支障の無い範囲で水を添加することは可能である。
本実施形態のセメント組成物は、上記のセメント用膨張組成物とセメントとを含む。
セメント用膨張組成物の使用量は、使用する目的により異なるが、通常、セメント100質量部中、例えば、1~12質量部、好ましくは3~9質量部でもよい。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
セメントとしては、普通、早強、超早強、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに高炉スラグ等のポゾラン物質を混合した各種混合セメント、並びに、アルミナセメント等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメントとセメント用膨張組成物からなるセメント組成物に対して、水/セメント組成物比が、例えば、25~70%程度であり、30~60%でもよい。
混練方法は、一般に用いられる方法で、特に限定されるものではない。混合装置としては、既存のいかなる撹拌装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、オムニミキサー、V型ミキサー、ヘンシェルミキサー、及びナウターミキサー等が使用可能である。
混合は、それぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
セメント組成物の養生方法は特に限定されるものではなく、一般に行われる常温・常圧養生、蒸気養生、高温・高圧蒸気養生、及び加圧養生等のいずれの養生方法も適用可能である。
セメント組成物は、さらに、砂や砂利などの骨材や、凝結調整剤、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、セメント急硬材、防錆剤、防凍剤、水和熱抑制剤、高分子エマルジョン、ベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土鉱物、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及びハイドロカルマイト等のイオン交換体、硫酸アルミニウムや硫酸ナトリウムなどの硫酸塩、リン酸塩、並びに、ホウ酸等のうちの一種又は二種以上の混和材を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. CaOからなる母材と、母材が構成する結晶体の結晶粒間に存在する異相とを含み、
前記異相が、3CaO・Al (C A)、石膏、イーリマイト、4CaO・Al ・Fe (C AF)からなる群から選ばれる一または二以上を含む、セメント用膨張組成物。
2. 1.に記載のセメント用膨張組成物であって、
前記CaOの含有量が、当該セメント用膨張組成物の100質量部中、65質量部以上95質量部以下である、セメント用膨張組成物。
3. 1.又は2.に記載のセメント用膨張組成物であって、
前記異相を構成する成分の含有量が、当該セメント用膨張組成物の100質量部中、1質量部以上30質量部以下である、セメント用膨張組成物。
4. 1.~3.のいずれか一つに記載のセメント用膨張組成物であって、
当該セメント用膨張組成物の空隙率が、5vol%以上45vol%以下である、セメント用膨張組成物。
5. 1.~4.のいずれか一つに記載のセメント用膨張組成物であって、
粉末状のセメント用膨張組成物。
6. 1.~5.のいずれか一つに記載のセメント用膨張組成物とセメントとを含む、セメント組成物。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
<セメント用膨張組成物の作製>
(実験例1-1、1-2)
CaO原料(石灰石)、Al原料(ボーキサイト)を表1に示す鉱物割合、化学成分としての割合となるように配合し、混合粉砕して混合原料を得た。
下記の処理1により混合原料を造粒した造粒物、または下記の処理2により混合原料の粉体物を、ロータリーキルンに投入し、焼点温度1500℃で焼成してクリンカを合成した。
ボールミルを用いて、合成したクリンカをブレーン比表面積で3500cm/gとなるように粉砕して、セメント用膨張組成物(粉末状のクリンカ)を作製した。
処理1(実験例1-1):混合原料100部に水10部を加えながら転動型造粒機で造粒して、造粒物を得た。
処理2(実験例1-2):粉体状の混合原料をそのまま粉体物として使用した。
実験例1-1、1-2で得られたクリンカの破断面について、SEMを用いて観察した。実験例1-1のSEM画像を図1、実験例1-2のSEM画像を図2に示す。図中、矢印A(白色領域)がCaO、矢印B(黒色領域)が気孔、矢印C(灰色領域)がCAを示す。
得られたSEM画像と電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて元素面分析を行った結果、実験例1-1のセメント用膨張組成物において、CaOが構成する結晶体の結晶粒間にCAが存在することが確認され、実験例1-2のセメント用膨張組成物において、CaOが構成する結晶相中にCAが存在することが確認された。
Figure 0007257278000001
表1中、遊離石灰:CaO、CA:3CaO・Al、CC:CaCO、CH:Ca(OH)を表す。
表1中、膨張組成物中の鉱物組成の割合(部)は、蛍光X線を用いて定量した化学組成の結果と、粉末X線回折による同定結果とに基づいて算出した。
<空隙率>
得られたセメント用膨張組成物について、JIS R 1634に準拠し、液中秤量法を用いて空隙率を算出した。詳細な手順は以下の通り。
まず、実験例1-1、実験例1-2のクリンカについて、乾燥状態の重量(a)を測定した。
次いで、クリンカをエタノール溶媒中に入れ、真空脱気を行い、溶媒を開気孔中に含浸させた。脱気後、エタノール溶媒中で、クリンカの重量(b)を測定した。
次いで、クリンカ表面の過剰なエタノールを拭き取り、空中でクリンカの重量(c)を測定した。
その後、得られたクリンカの重量(a)~(c)を使用し、下記の式に基づいて、空隙率(%)を算出した。
空隙率(%)=(c-a)/(c-b)×100
以上の結果、実験例1-1は20vol%、実験例1-2は50vol%であった。
得られたセメント用膨張組成物について、下記の評価項目に基づいて評価を行った。
<長さ変化率、圧縮強度>
実施例・比較例のセメント用膨張組成物、セメント、水、砂を20℃の室内で混合して、セメントと膨張組成物からなるセメント組成物100質量部中の膨張組成物の配合量=7質量部、水/セメント組成物の配合比=1/1(質量比)、セメント組成物/砂の配合比=1/3(質量比)となるモルタルを調製した。
(使用材料)
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
水:水道水
砂:JIS標準砂
得られたモルタル(サンプル)を使用して、次のようにして長さ変化率、圧縮強度の測定を行った。
長さ変化率:JIS A 6202に準拠して測定した。
圧縮強度:JIS R 5201に準拠して、縦×横×厚み:4cm×4cm×16cmの試験体を作製し、材齢7日(7d)の圧縮強度(N/mm)を測定した。
なお、圧縮強度は22.5(N/mm)以上であれば実用上の問題がないと判断した。
実施例1のセメント用膨張組成物を用いると、セメント用膨張組成において、比較例1と比べて7日後の圧縮強度は同程度以上でありつつも、7日後の長さ変化率が大きくなることから、優れた膨張特性を発現することが示された。このようなセメント用膨張組成は、セメントの膨張材として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. CaOからなる母材と、母材が構成する結晶体の結晶粒間に存在する異相とを含セメント用膨張組成物であって、
    前記異相が、3CaO・Al(CA)、石膏、イーリマイト、4CaO・Al・Fe(CAF)からなる群から選ばれる一または二以上を含
    前記CaOの含有量が、当該セメント用膨張組成物の100質量部中、75質量部以上であり、
    Ca(OH) の含有量が、当該セメント用膨張組成物の100質量部中、1質量部以上15質量部以下である、セメント用膨張組成物。
  2. 請求項1に記載のセメント用膨張組成物であって、
    前記CaOの含有量が、当該セメント用膨張組成物の100質量部中95質量部以下である、セメント用膨張組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のセメント用膨張組成物であって、
    前記異相を構成する成分の含有量が、当該セメント用膨張組成物の100質量部中、1質量部以上30質量部以下である、セメント用膨張組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のセメント用膨張組成物であって、
    当該セメント用膨張組成物の空隙率が、5vol%以上45vol%以下である、セメント用膨張組成物。
    (空隙率の測定手順)
    当該セメント用膨張組成物について、JIS R 1634に準拠し、以下の手順に従って、液中秤量法を用いて空隙率を算出する。
    まず、当該セメント用膨張組成物について、乾燥状態の重量(a)を測定する。
    次いで、当該セメント用膨張組成物をエタノール溶媒中に入れ、真空脱気を行い、溶媒を開気孔中に含浸させる。脱気後、エタノール溶媒中で、当該セメント用膨張組成物の重量(b)を測定する。
    次いで、当該セメント用膨張組成物の表面の過剰なエタノールを拭き取り、空中で当該セメント用膨張組成物の重量(c)を測定する。
    その後、当該セメント用膨張組成物の重量(a)~(c)を使用し、下記の式に基づいて、空隙率(%)を算出する。
    空隙率(%)=(c-a)/(c-b)×100
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のセメント用膨張組成物であって、
    粉末状のセメント用膨張組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のセメント用膨張組成物とセメントとを含む、セメント組成物。
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