以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[画像形成システム]
図1は、本発明を適用した画像形成システムの全体構成を示している。同図の画像形成システムは、画像形成装置Aと、シート後処理装置Bと、それらの間に連結されたシート折り装置Cとからなる。画像形成装置Aで画像形成されたシートは、シート折り装置Cを通して搬送され、シート後処理装置Bで排出トレイに収納される。以下に、画像形成装置A、シート後処理装置B、及びシート折り装置Cについて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、公知の静電印刷機構によりシート上に画像を形成する型式のものであり、装置ハウジング1内に給紙部2、画像形成部3、排紙部4及び制御部(図示せず)を備える。装置ハウジング1の上部には、スキャナーユニットからなる画像読取部5と、その上に自動原稿送り部6とが一体に設けられている。本実施形態の画像形成装置Aは、所謂胴内排紙型であり、図1中画像形成部3と排紙部4と画像読取部5との間に大きく画定される正面コ字状の排紙空間に、搬送中継ユニット7が配設されている。尚、画像形成装置Aには、上記静電印刷機構以外に、インクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式等、他の種々の画像形成機構を採用可能である。
給紙部2は、それぞれ異なるシートサイズの複数の給紙カセット2a、2bが、装置ハウジング1に着脱自在に設けられている。画像形成するシートを収納した給紙部2は、前記制御部から指示されたサイズのシートを、対応する前記給紙カセットから給紙経路8に繰り出す。給紙経路8にはレジストローラ9が設けられ、該レジストローラで先端を揃えたシートは、所定のタイミングで下流の画像形成部3に給送される。
画像形成部3は、静電ドラム10と、その周囲に配置された印刷ヘッド、現像器、転写チャージャー等を有する。前記印刷ヘッドは、例えばレーザ発光器で構成され、静電ドラム10上に静電潜像を形成する。この静電潜像に、前記現像器がトナーインクを付着させてトナー像を形成し、これを前記転写チャージャーでシートに転写する。トナー像を転写したシートは、定着器11に搬送されて加熱・加圧され、トナー像を定着させた後、排紙部4の排紙経路12に搬出される。
排紙経路12は、下流側が図1中上側の第1排紙経路13と下側の第2排紙経路14とに分岐している。第1排紙経路13及び第2排紙経路14は、それぞれ前記排紙空間に開口する上側の第1排紙口15と下側の第2排紙口16とに接続している。
排紙部4には、図示しないシート循環経路を設けることができる。前記シート循環経路は、例えば定着器11の下流側で排紙経路12を給紙経路8にレジストローラ9の上流側で接続する。画像形成部3から排紙経路12に送り出した画像形成済みシートを、排紙経路12の排紙ローラを逆転させて前記シート循環経路にスイッチバックさせ、その面を表裏反転させて再び画像形成部3に送ることにより、シートの両面に画像を形成することができる。
搬送中継ユニット7は、図1に示すように正面視略L字状をなし、前記排紙空間の右端で上方に延出する第1中継部17と、前記排紙空間を左右略全幅に亘って装置ハウジング1の左側面位置まで延在する第2中継部18とを有する。第2中継部18の上面は、前記排紙空間内で概ね平坦なシート排出トレイ19を形成する。
第1中継部17は、内部に第1中継パス20が設けられ、その第1シート入口21は、排紙部4の第1排紙口15に接続するように、第1シート出口22は、シート排出トレイ19の上方で前記排紙空間に開口するように配置される。第1中継パス20には、第1中継部17に内蔵するモータにより駆動される搬出ローラが、第1シート出口22付近に設けられている。排紙部4から第1排紙経路13を介して搬送された画像形成済みシートは、前記搬出ローラにより、第1中継パス20を通過して前記排紙空間内のシート排出トレイ19に搬出される。
第2中継部18は、内部に第2中継パス23が設けられ、その第2シート入口24は、排紙部4の第2排紙口16に接続するように配置される。第2中継パス23の第2シート出口25は、装置ハウジング1の左側面と略同一面上に開口し、後述するようにシート折り装置Cのシート搬入口に接続される。第2中継パス23には、第2中継部18に内蔵するモータにより駆動されてシートを搬送する複数の搬送ローラが設けられている。排紙部4から第2排紙経路14を介して搬送された画像形成済みシートは、前記搬送ローラにより第2中継パス23を通過してシート折り装置Cに送り込まれる。
画像読取部5は、原稿用紙を載置するプラテン26と、該プラテンに沿って移動する読取キャリッジ27と、例えばCCDデバイスからなる光学読取手段28とを備える。プラテン26上の原稿用紙は、読取キャリッジ27によりスキャニングして光学的に読み取られ、それにより生成された光学像が、光学読取手段28により画像データに光電変換される。自動原稿送り部6は、給紙トレイ29にセットされた原稿用紙を自動的にプラテン26に給送する。
上述した構成により、画像形成装置Aは、原稿送り部5から送られる原稿を画像読取部4で読み取り、読み取った画像データに従って、給紙部3から送られたシートに画像形成部2で画像形成する。画像形成したシートは、シート折り装置Cによる折り処理及びシート後処理装置Bによる後処理を行わない場合、排紙部4から第1排紙経路13を介して搬送され、第1中継パス20を通過して前記排紙空間内のシート排出トレイ19に搬出される。画像形成したシートに前記折り処理及び/又は後処理を行う場合、該シートは、排紙部4から第2排紙経路14を介して搬送され、第2中継パス23を通過してシート折り装置Cに送り込まれる。
[シート後処理装置]
シート後処理装置Bは、図1に示すように、ハウジング100内に、シート折り装置からのシートを搬送する第1搬送パス101と、該第1搬送パスから分岐した第2及び第3搬送パス102,103と、ステープルユニットST1等の後処理機器と、綴じ処理トレイ104とを備える。ハウジング100の一方の側面(図1の左側面)には、シート後処理装置Bから排出されるシートを積載収納する第1及び第2排紙トレイ105,106が上下に離隔して設けられている。シート後処理装置Bは、第1搬送パス101のシート搬入口107が、後述するシート折り装置Cのシート排出口と接続するように配置される。
第1排紙トレイ105は、ハウジング100の前記側面に開口する第2搬送パス102の排紙口108の下方に配置されている。シート折り装置Cから送られたシートは、シート後処理装置BにおいてステープルユニットST1による針綴じ処理及び/又は他の後処理を行わない場合、第1搬送パス101から第2搬送パス102に搬送され、そのまま排紙口108から第1排紙トレイ105に排出される。
第3搬送パス103の排紙口109は、綴じ処理トレイ104の紙載面を臨むように、該綴じ処理トレイの上方に配置されている。シート折り装置Cから送られたシートは、ステープルユニットST1による針綴じ処理を行う場合、第1搬送パス101から第3搬送パス103に搬送され、その排紙口109から綴じ処理トレイ104の紙載面に排出される。綴じ処理トレイ104に集積された複数のシートは、ステープルユニットST1によってシート束に針綴じ処理された後、該綴じ処理トレイから搬送され、その下流端から下方の第2排紙トレイ106に排出される。
[シート折り装置の全体構成]
シート折り装置Cは、図2に示すように、ハウジング31の内部に、画像形成装置A側のシート搬入口32aからシート後処理装置B側のシート排出口32bまで至る搬送経路32が形成されている。搬送経路32には、シート搬送方向に沿って上流側に、搬入口32aに搬入されたシートを搬送する搬送ローラ対であるレジストローラ対33、下流側に折りローラ対34、及び前記両ローラ対の間に突き部材である突き板35が配設されている。シート折り装置Cは、上述したように、画像形成装置Aに設置された搬送中継ユニット7の第2シート出口25にシート搬入口32aを、シート後処理装置Bのシート搬入口107にシート排出口32bをそれぞれ接続させるように配置される。
更に、搬送経路32のシート排出口32b付近には、任意により増し折り機構36を設けることができる。シート折り装置Cのような折り処理機構において、搬送されるシートを折り目位置で確実に折り合わせるために、折り処理後の下流側で、シートを折り目位置で加圧する増し折り機構を設けることは、従来から当業者によく知られている。
[レジストローラ対]
レジストローラ対33は、図中搬送経路32を挟んで配置された上側の駆動ローラ33aと下側の従動ローラ33bとからなる。両ローラ33a、33bは、例えば適当なばね手段(図示せず)によって互いにローラ面が圧接され、それにより従動ローラ33bは、駆動ローラ33aが後述するレジストモータによって回転すると、それに追従して逆向きに回転する。
画像形成装置Aの搬送中継ユニット7から第2シート出口25付近の排出ローラ対37によって送り出されたシートは、その先端を、回転停止しているレジストローラ対33の前記ローラ面の圧接部であるニップ部38に突き当てることによって先端位置を揃える。このように先端位置を整合させて斜行を矯正したシートは、所定のタイミングでレジストローラ対33を駆動することにより、搬送経路32を折りローラ対34に向けて搬送される。
別の実施形態において、レジストローラ対33は、画像形成装置Aからシート折り装置Cへシートを排出する排出ローラ(図2の排出ローラ対37に相当)で代替することができる。これにより、シート折り装置Cの部品点数を減らして製造コストを低減し、装置全体をシート搬送方向に小型化することができる。この場合、排出ローラ対37には、上述したように搬送経路32に搬入されるシートの先端位置を揃える機能を持たせることが好ましい。
[折りローラ対]
折りローラ対34は、図中搬送経路32を挟んで配置された上側の上折りローラ34aと下側の下折りローラ34bとからなる。両ローラ34a、34bは、後述するようにレジストローラ対33から送られるシートの先端及び折り目をニップして折り処理するために、例えば適当なばね手段(図示せず)によって互いにローラ面が圧接されると共に、そのように圧接した状態で、後述する共通の折りローラ駆動モータによって同期して互いに逆向きに回転する。
折りローラ対34は、前記ローラ面の圧接部であるニップ部39を通る接線39aよりも上方に、レジストローラ対33のニップ部38が位置するように配置される。図2の実施形態では、接線39a及びレジストローラ対33のニップ部38を通る接線38aが双方概ね水平に、かつ接線38aが接線39aの上方を通るように、上下に或る高さずらして配向されている。
[搬送経路]
搬送経路32は、図2に示すように、シート搬送方向に沿ってシート搬入口32aからレジストローラ対33に至るシート搬入路41と、レジストローラ対33から折りローラ対34に至る中央搬送路42と、該折りローラ対からシート搬出口32bに至るシート搬出路43とから構成される。
シート搬入路41は、搬入されるシートの先端をレジストローラ対33のニップ部38に案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬入ガイド41aと下搬入ガイド41bとを有する。上搬入ガイド41aは、上述したようにレジストローラ対33のニップ部38にシートの先端を突き当てさせて先端位置を揃える際に、上流側から排出ローラ対37に送り出されるシートが、シート搬入路41内でループ状に撓み得る空間を確保するために、レジストローラ対33付近から入口側に向けて上方へ大きく拡大している。
中央搬送路42は、図2に示すように、レジストローラ対33で先端揃えしたシートを折りローラ対34のニップ部39に案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬送ガイド45と下搬送ガイド46とを有する。シートは、上下搬送ガイド45,46によってその厚み方向の両側から、本実施形態では上下から規制された状態で、中央搬送路42を搬送される。
上述したように、レジストローラ対33のニップ部38を通る接線38aと折りローラ対34のニップ部39を通る接線39aとを水平にかつ上下高さをずらして配置したので、上搬送ガイド45は、接線38aに沿って下流側へ水平に延びる第1水平部分45aと、接線39aに沿って上流側へ水平に延びる第2水平部分45bと、両接線38a,39aを結ぶように上流側から下流側へ下向きに傾斜した傾斜部分45cとを有する。
図2に示すように、傾斜部分45cは、第2水平部分45bの上流端から図中右側斜め上方へ直線状に形成されている。傾斜部分45cと第2水平部分45bとは直線的に交差し、その接続部分には、比較的大きい鈍角の角部からなり、中央搬送路42の概ね下方に向けて凸の凸状部47が形成されている。同様に、傾斜部分45cと第1水平部分45aとの接続部分も、比較的大きい鈍角の角部に形成されている。
別の実施形態では、傾斜部分45cと第2水平部分45bとの接続部分を湾曲させることができる。この場合、凸状部47は、中央搬送路42の概ね下方に向けて凸の湾曲部で形成される。傾斜部分45cと第1水平部分45aとの接続部分も、同様に湾曲させることができる。また別の実施形態では、上搬送ガイド45の第2水平部分45b及び傾斜部分45cとは別個の部材で、凸状部47を形成することができる。
本実施形態では、同図に示すように、第1水平部分45a及び傾斜部分45cと第2水平部分45bの上流側部分とが、1つの連続する第1上搬送ガイド部材で形成され、第2水平部分45bの下流側部分は、別の1つの第2上搬送ガイド部材で形成されている。前記第1及び第2上搬送ガイド部材は、中央搬送路42におけるシートの搬送上支障を生じないように、実質的に連続して配設されている。また、前記第1上搬送ガイド部材は、複数の実質的に連続するガイド部材で形成することができ、前記第1上搬送ガイド部材と第2上搬送ガイド部材の境目も、図2に示す位置以外に様々に設定することができる。
下搬送ガイド46は、レジストローラ対33からシート搬送方向に沿って下流側へ所定の位置まで延びる第1下ガイド部分46aと、折りローラ対34からシート搬送方向に沿って上流側へ所定の位置まで延びる第2下ガイド部分46bとを有する。第1及び第2下ガイド部分46a,46bは、それらの間にシート搬送方向に沿って大きい隙間48を画定するように離隔してハウジング31側に固定されている。第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48は、後述するように折りローラ対34のニップ部39に向けて水平に進退可能な突き板35によって、選択的に開閉される。
下搬送ガイド46の隙間48の下方には、図2に示すように、比較的大きなループ形成空間50が設けられている。突き板35が退避(図2中、実線で表示)して隙間48が開かれていると、中央搬送路42内のシートは、隙間48からループ形成空間50に垂れ下がらせることができる。突き板35が進出(図2中、想像線35′で表示)して隙間48が閉じられると、レジストローラ対33から送り出されたシートは、ループ形成空間50に垂れ下がることなく、中央搬送路42に沿って折りローラ対34に向けて搬送することができる。
第1下ガイド部分46aは、レジストローラ対33から下流側へ水平に、概ね上搬送ガイド45の第1水平部分45aに対向して延びる第1水平ガイド部51aと、そこから更に下流側へ、概ね前記上搬送ガイドの傾斜部分45cに途中まで対向して略平行に傾斜する第1傾斜ガイド部51bとを有する。第1傾斜ガイド部51bの下流端は、隙間48の開放時にシートの垂れ下がり開始位置を画定する。本実施形態では、図示するように、第1傾斜ガイド部51bの前記下流端が、折りローラ対34のニップ部39を通る接線39aよりも上方に位置するように設けられている。
第2下ガイド部分46bは、折りローラ対34から上流側へ水平に延びる第2水平ガイド部52aと、該第2水平ガイド部から上流側へ下向きに傾斜する第2傾斜ガイド部52bと、該第2傾斜ガイド部から概ね垂直下方に延びる垂直ガイド部52cとを有する。第2水平ガイド部52aは、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと協働して、シートを厚み方向に即ち上下方向に両側から規制しつつ、シートの先端を折りローラ対34のニップ部39に案内する。第2傾斜ガイド部52bは、ループ形成空間50に垂れ下がったシートを折りローラ対34のニップ部39へ案内するように、該ループ形成空間に向けて傾斜している。垂直ガイド部52cは、ループ形成空間50の寸法を確保しつつ、第2傾斜ガイド部52bと共に、ループ形成空間50に垂れ下がったシートを折りローラ対34側から隔離している。
突き板35が退避位置にあるとき、レジストローラ対33から中央搬送路42に送り出されたシートは、第1傾斜ガイド部51bの下流端を越えると、シート先端から下方へ開放された隙間48を通してループ形成空間50内に直線状に垂れ下がる。これに対し、シート先端が折りローラ対34にニップされかつ該折りローラ対が回転停止した状態で、隙間48が開放されると、中央搬送路42内のシートは、後述するように、隙間48を通してループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がる。
シート搬出路43は、折り処理されたシートをシート搬出口32bに案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬出ガイド43aと下搬出ガイド43bとを有する。シート搬出口32bの手前には、例えばシート搬送方向に直交するシート幅方向に下搬出ガイド43b上を移動して、折り処理されたシートの折り目を増し折りする複数の転動体を有する増し折り機構36が設けられている。
[突き板]
突き板35は、図2及び図3に示すように、中央搬送路42のシート幅方向に延在する平板部材から形成されている。突き板35は、折りローラ対34のニップ部39と略同じ高さ位置に水平に配置されている。更に突き板35は、図2中実線で示す第1下ガイド部分46aの下方の退避位置と、想像線35′及び35″で示すガイド位置及び引渡位置との間を水平に移動可能に設けられている。
突き板35が前記退避位置にあるとき、図示するように、下搬送ガイド46の隙間48が完全に開いて、中央搬送路42は、前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。従って、中央搬送路42内のシートは、後述するように中央搬送路42からループ形成空間50内に垂れ下がることができる。
想像線35′の前記ガイド位置において、突き板35は、下搬送ガイド46の隙間48を完全に閉じると同時に、上搬送ガイド45と上下に対向して下搬送ガイド46の一部を形成する。これにより、中央搬送路42内のシートは、ループ形成空間50に垂れ下がることなく前記第2経路部を案内されて、前記第1経路部から第3経路部へ搬送される。
想像線35″の前記引渡位置において、突き板35は、前記第3経路部で上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進入する。この引渡位置は、突き板35が、その先端でシートの折り目を折りローラ対34のニップ部39に送り込むための位置である。
図3(a)(b)は、突き板35の構成をより詳細に示している。同図に示すように、本実施形態では、それぞれ上下折りローラ34a,34bからなる4対の折りローラ対34が、上下ローラシャフト55,56に取り付けられている。前記4対は、ローラシャフト55,56の軸方向に沿ってその中央位置に関して左右両側に2対ずつ、対称に配置されている。突き板35の先端には、前記4対の折りローラ対34の位置に対応して、該折りローラ対の形状に対応する形状・寸法の4つの切欠き部57が、シート幅方向に沿って凹設されている。
突き板35の前記退避位置、ガイド位置及び引渡位置間における移動は、後述する図5の駆動機構の突き板駆動モータMT3を駆動することによって行われる。突き板駆動モータMT3の駆動は、図6に示す制御部120によって、後述するように制御される。
[シート折り装置の駆動機構]
図3(a)、(b)は、シート折り装置Cのレジストローラ対33、折りローラ対34及び突き板35の各駆動機構58乃至60を示している。レジストローラ対33は、駆動ローラ33aが、シート幅方向に回転可能に架設されたローラシャフト61に一体に回動するように取り付けられている。折りローラ対34は、上下折りローラ34a,34bが、同様にシート幅方向に回転可能に架設されたローラシャフト55,56に、それぞれ一体に回動するように取り付けられている。
レジストローラ対33の駆動機構58は、レジストローラ対駆動モータMT1と、その回転軸に取り付けられた駆動プーリーP1と、駆動ローラ33aのローラシャフト61の一端に取り付けられた従動プーリーP2と、両プーリーP1,P2間に掛け回されたタイミングベルトTB1とを備える。レジストローラ対駆動モータMT1の駆動力は、その回転軸から、駆動プーリーP1、タイミングベルトTB1及び従動プーリーP2からなる伝達機構を介して、駆動ローラ33aに伝達される。
折りローラ11の駆動機構59は、折りローラ対駆動モータMT2と、その回転軸に取り付けられた駆動プーリーP3と、下折りローラ34bのローラシャフト56に取り付けられた従動プーリーP4と、両プーリーP3,P4間に掛け回されたタイミングベルトTB2とを備える。更に駆動機構59は、ローラシャフト56に同軸に一体回動可能に取り付けられたギヤZ1と、上折りローラ34aのローラシャフト55に同軸に一体回動可能に取り付けられ、ギヤ1と噛合するギヤZ2とを備える。
折りローラ対駆動モータMT2の駆動力は、その回転軸から、駆動プーリーP3、タイミングベルトTB2、及び従動プーリーP4からなる伝達機構を介して、下折りローラ34bに伝達される。更に折りローラ対駆動モータMT2の駆動力は、従動プーリーP4を取り付けたローラシャフト56から、互いに噛合するギヤZ1とギヤZ2を介して、上折りローラ34aに伝達される。これにより、上折りローラ34aと下折りローラ34bとは、互いに逆方向に同期して回転し、前記両折りローラ間にニップしたシートを、協働してシート搬送方向に搬送することができる。
突き板35の駆動機構60は、突き板駆動モータMT3と、その回転軸に取り付けられた駆動プーリーP5と、シート幅方向に架設された回転シャフト62と、その一端に取り付けられた従動プーリーP6と、両プーリーP5,P6間に掛け回されたタイミングベルトTB3と、回転シャフト62の前記一端側で従動プーリーP6より内寄りに設けられた第1ラックアンドピニオン機構63と、回転シャフト62の他端に設けられた第2ラックアンドピニオン機構64とを備える。
第1ラックアンドピニオン機構63は、回転シャフト62の前記一端側で従動プーリーP6より内寄りに、同軸に一体回動可能に取り付けられた第1ピニオン63aと、突き板35の一端に取り付けられて、第1ピニオン63aに噛合する第1ラック63bとを有する。第2ラックアンドピニオン機構64は、同様に回転シャフト62の前記他端に同軸に一体回動可能に取り付けられた第2ピニオン64aと、突き板35の前記他端に取り付けられて、第2ピニオン64aに噛合する第2ラック64bとを有する。第1及び第2ラック63b,64bは、第1及び第2ピニオン63a,64aの回転によって突き板35が水平方向に移動するように配設されている。
突き板駆動モータMT3の駆動力は、その回転軸から、駆動プーリーP5、タイミングベルトTB3及び従動プーリーP6からなる伝達機構を介して、第1及び第2ピニオン63a,63bに伝達される。これにより、第1及び第2ラック63b,64bは、互いに同一方向に同期して移動し、協働して突き板35を水平方向に移動させる。
[シート折り装置の制御構成]
上記構成による本実施形態のシート折り装置Cは、シートをシート搬送方向に沿って交互に内折り外折りして、所謂Z折りに三つ折りするのに適している。図4は、シート折り装置CによりZ折りしたシートSHの一例をシート幅方向から示している。同図において、シートSHには、シート搬送方向の先端(下流端)201から上流側へ所定長さの位置に第1の折り目202が形成され、そこから下流側に折り返して所定長さの位置に第2の折り目203が形成されている。
図5は、シート折り装置Cの制御構成を概念的に示している。制御部120は、CPU、稼働時のワークメモリ領域であるRAM、シート折り装置Cの折り処理動作を実行するプログラムを記憶したROMで構成される制御基板から成り、制御部120には、同図に示すように、搬送経路32に沿って設けられた第1から第3までの各検出センサーS1,S2,S3が接続されている。
第1検出センサーS1は、シート搬入路41のレジストローラ対33の手前に配置され、画像形成装置Aからシート搬入口32aを介して搬入されたシートの先端を検出する。第2検出センサーS2は、中央搬送路42の折りローラ対34の手前に配置され、レジストローラ対33から折りローラ対34に搬送されるシートの先端を検出する。第3検出センサーS3は、上述したように前記退避位置、ガイド位置及び引渡位置間を移動する突き板35の位置を検出する。これら第1乃至第3検出センサーS1,S2,S3は、それぞれの検知信号をリアルタイムで制御部120に出力する。
そして、制御部120は、レジストローラ対駆動モータMT1、折りローラ対駆動モータMT2、及び突き板駆動モータMT3に加えて、増し折り機構36を備える場合には、更にその増し折り駆動モータMT4に接続されている。第1乃至第3検出センサーS1,S2,S3からの検知信号、及び画像形成装置Aの制御部121から受信する上記各種情報に基づいて、各駆動モータMT1,MT2,MT3及び任意によりMT4の駆動を制御し、搬送経路32におけるシートの搬送、及びシート折り装置Cの折り処理動作を制御実行する。
更に制御部120は、シート後処理装置Bを介して画像形成装置Aの制御部121に接続されている。制御部121は、画像形成装置Aの設定パネルDに設けられた入力部及び表示部(図示せず)に接続されている。例えばユーザーが設定パネルD上で設定するシートの種類や、シート折り装置Cで実行される折り処理モード等の情報は、制御部121からシート後処理装置Bを介して制御部120に送信される。
また、制御部120は、シート折り装置Cにおいて実行されているシートの搬送、折り処理等の情報をリアルタイムで、シート後処理装置Bを介して画像形成装置Aの制御部121に送信することができる。制御部121は、制御部120から受信した情報に、シート折り装置Cにおけるシートの搬送不良や折り処理不良等の好ましくない又は注意若しくは警告すべき情報が含まれている場合、それをユーザーに、例えば設定パネルDの前記表示部を用いて報知することができる。
制御部120のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、各駆動モータMT1,MT2,MT3及び任意に加えるMT4の駆動を制御する。
[シート折り装置の処理動作]
以下に、シート折り装置Cの折り処理動作を説明する。シート折り装置Cには、シートを三つ折り(Z折り)する折り処理を行う折り処理(Z折り)モードと、シートを折り処理しない折り無しモードとが、予め設定されている。ユーザーは、画像形成装置Aにおいてシートの画像形成を開始する前に、画像形成したシートを折り処理するか否かを決定し、折り処理する場合は、設定パネルDの前記入力部で折り処理モードを選択して入力する。折り処理モードの入力は、折り処理の対象となるシートのシート情報として、画像形成装置Aの制御部121に記憶される。
図6のフローチャートを用いて、シート折り装置Cの処理動作の全体を概略的に説明する。先ず、シート折り装置Cの制御部120は、第1検出センサーS1が、シート搬入路41に搬入されたシートの先端を検出してオンになる(ステップST1のY)と、これをトリガーとして、検出された前記シートのシート情報を画像形成装置Aの制御部121から、シート後処理装置Bを介して取得する(ステップST02)。
画像形成装置Aの制御部121から取得したシート情報が、折り処理モードの選択又は折り処理の実行指示を含む場合(ステップST03のY)、ステップST04からの処理に進んで折り処理を実行する。画像形成装置Aからの前記シート情報が、折り処理モードの選択若しくは折り処理の実行指示を含まない場合又は折り処理を実行しない指示を含む場合、ステップST07に進んで折り無し処理を実行する。
ステップST07の折り無し処理では、突き板35を前記ガイド位置(35′)に配置し、この状態でレジストローラ対33及び折りローラ対34を回転駆動させる。これにより、画像形成装置Aからのシートは、折り処理されることなく搬送経路32をそのまま通過して、シート後処理装置Bに搬出される。
ステップST04からの折り処理は、全体として、レジストローラ対33によるレジスト処理(ステップST04)、折りローラ対34による折りループ処理(ステップST05)、及び突き板35と折りローラ対34による折り目形成処理(ステップST06)の3段階で行われる。前記レジスト処理では、シート折り装置Cに搬入されたシートの先端を整合して、シートスキュー(斜行)を矯正する。前記折りループ処理では、シートの先端側に、折り目を形成するためのループを形成する。前記折り目形成処理では、ループが形成されたシートに折りローラ対34で折り目を形成する。
ステップST04からST06までの各処理について、以下に具体的に説明する。図7の(a)から(f)までは、シート折り装置Cが画像形成装置Aからシートを搬入し、搬送して折り処理する過程を工程順に示している。
[レジスト処理]
図7(a)は、シート折り装置Cの前記レジスト処理において、シートの先端を位置揃えした状態を示している。制御部120は、前記レジスト処理を例えば図8のフローチャートに示す手順に従って実行する。
制御部120は、レジストローラ対33が回転停止した状態で、第1検出センサーS1が、シート搬入路41に搬入されたシートの先端を検出してオン(ステップST10のY)したときから所定時間が経過するまで待機する。この所定時間は、シートの先端をレジストローラ対33のニップ部38に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な時間である。この時間は、例えば事前に試験結果等に基づいて決定し、制御部120に設定しておくことができる。
そして、制御部120は、この所定時間が経過する(ステップST11のY)と、ソフトウェアによるタイマーカウンタであるレジループカウンタによるカウントを開始する(ステップST12)と共に、レジストローラ対駆動モータMT1を駆動してレジストローラ対33を回転させる(ステップST13)。
レジストローラ対33を回転させると、シートは、図7(b)に示すように、搬送経路32に沿って折りローラ対34に搬送される。このとき、突き板35はガイド位置35′に配置されている。従って、シートの先端は、中央搬送路42を突き板35の上面に案内されて、折りローラ対34のニップ部39に向けて真直ぐ送られる。シート先端が中央搬送路42の凸状部47を通過したシートは、シート搬送方向に上搬送ガイド45の傾斜部分45cと第2水平部分45bとが接続する、即ち隙間48に対面する領域において、凸状部47によって下方に押し出されて、ループ形成空間50側に凸に湾曲する。
[折りループ処理]
前記折りループ処理は、例えば図9のフローチャートに示す手順に従って実行される。制御部120は、ステップST13でレジストローラ対駆動モータMT1を駆動させたとき、同時に折りローラ対駆動モータMT2を駆動して折りローラ対34を回転させる(ステップST20)。図7(b)に示すように、折りローラ対34の直ぐ上流側で、搬送されるシートの先端を第2検出センサーS2が検出してオンになる(ステップST21のY)と、制御部120は、突き板35をガイド位置35´から退避位置に移動させる退避処理を実行する(ステップST22)。
この突き板35の退避処理は、例えば図10のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、突き板駆動モータMT3を逆転方向に駆動して(ステップST50)、突き板35をガイド位置35′からシート搬送方向上流側へ水平に、退避位置に向けて移動させる。本実施形態の突き板35には、そのシート搬送方向上流端に検出フラグ(図示せず)が設けられている。
第1下ガイド部分46aの下方に配置された第3検出センサーS3が、突き板35の前記検出フラグを検出してオンになる(ステップST51のY)と、突き板駆動モータMT3を停止させる(ステップST52)。これにより、突き板35が図7(c)に示す退避位置に配置されて、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が完全に開かれる。その結果、中央搬送路42は、同図に示すように、前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。
次に、制御部120は、ステップST21で第2検出センサーS2がシート先端を検出した時点から起算して、予め設定された第1の設定駆動量までレジストローラ対駆動モータMT1が駆動される(ステップST23のY)と、折りローラ対駆動モータMT2を停止する(ステップST24)。ここで、前記第1の設定駆動量は、シート先端が折りローラ対34のニップ部39にニップされる位置に到達するのに要するレジストローラ対駆動モータMT1の駆動量である。そして、レジストローラ対駆動モータMT1の駆動量には、該モータの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)やレジストローラ対33によるシートの送出量即ち駆動ローラ33aの回転量(ローラシャフト61の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
これにより、シートは、図7(c)に示すように、先端が折りローラ対34のニップ部39にニップされた状態で保持される。この後も、レジストローラ対駆動モータMT1は継続して駆動され、レジストローラ対33は回転してシートを送り出し続ける。その結果、シートは、折りローラ対34より上流側の部分が隙間48からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、ループFLは、レジストローラ対33によるシートの送出量に応じて大きくなる。先端が折りローラ対34にニップされたシートは、突き板35を退避させる以前から、上述したようにループ形成空間50側に凸に湾曲しているので、実質的にシートの剛性に拘わりなく、レジストローラ対駆動モータMT1の搬送負荷を過度に増大させることなく、ループ形成空間50内に向けてスムーズに安定してループ形状に湾曲する。
本実施形態では、シート先端が、第2検出センサーS2に検出された位置から折りローラ対34のニップ部39を10mm超えた位置に至るシートの送り量(搬送距離)を、それに相当するレジストローラ対駆動モータMT1の駆動量に換算して、前記第1の設定駆動量を設定している。
シート折り装置Cには、折り処理可能なシートについて、そのサイズ及び搬送時のシートの向き(縦方向、横方向)に応じて、例えばシート搬送方向にシート先端からの距離で表される折り箇所が決められており、前記レジループカウンタには、前記折り箇所毎に対応する所定のカウント値が予め設定されている。ステップST24における折りローラ対駆動モータMT2の停止後、ステップ11から開始した前記レジループカウンタのカウントが前記所定のカウント値にカウントアップする(ステップST25のY)と、次の折り目形成処理(ステップST06)に移行する。
[折り目形成処理]
ループ形成空間50に一定量のシートを撓ませると、制御部120は、前記折り目形成処理を行う。折り目形成処理は、例えば図11及び図12のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、ステップST28における前記レジループカウンタのカウントアップと同時に、突き板35の突き処理を開始する。このとき、ループ形成空間50には、レジストローラ対33の継続的なシートの送り出しによって、図7(d)に示すように、シートに所定の折り箇所で折り目を形成するのに適した大きさの折りループFLが形成されている。
先ず、制御部120は、突き板駆動モータMT3を正転駆動し(ステップST53)、突き板35を折りローラ対34側へ水平に移動させる。このとき、突き板35は、その先端が、折りループFLのシート先端側から見て第2の折り目となる位置を押しながら、折りローラ対34のニップ部39に向けて進む。制御部120は、突き板35の移動中、その先端により突き押しされる折りループFLの位置が変わらないように、突き板35の移動速度とレジストローラ対33によるシートの搬送速度とが同じ速度v1となるように、レジストローラ対駆動モータMT1及び突き板駆動モータMT3を制御する。突き板駆動モータMT3の駆動により、突き板35は引渡位置35″まで移動して、シートをニップ部39の直前まで運ぶ。
ここで特徴的なのは、制御部120は、突き板35が引渡位置35″に至るまでに突き板35の移動速度を高速から低速に2段階に切り換えることにある。すなわち、図13に示すように、制御部120は、突き板35の移動速度を当初v1にしているのを、突き板35の先端が、引渡位置35″の手前の所定位置に到達するt1時点で、突き板35の移動速度を低い速度v2に減速するよう突き板駆動モータMT3の駆動を制御する。この引渡位置35″の手前の所定位置は、図15(a)に示すように、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと協働してシートをニップ部39の方向へガイドする第2水平ガイド部52aの直前の何れかの位置に設定されるが、本例では、ガイド位置35´としている。このとき、制御部120は、突き板35の移動速度とレジストローラ対33によるシートの搬送速度とは一致させていることから、突き板35の移動速度を低速するのに合わせて、レジストローラ対33のシート搬送速度もv1からv2へと減速させる。
具体的には、制御部120は、突き板駆動モータMT3の駆動量が第2の設定駆動量であるか否で、突き板35がガイド位置35´まで移動したかを判別する(ステップST54)。第2の設定駆動量は、突き板35をv1の速度で第2水平ガイド部52aの直前の前記所定位置まで移動させる突き板駆動モータMT3の駆動量で、同モータの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)や突き板35の移動量を用いることができる。
そして、さらに特徴的なのは、制御部120は、突き板35が引渡位置35″に到達する直前のタイミングで折りローラ対34を先ず低速で駆動を開始するよう折りローラ対駆動モータMT2の駆動を制御する。
具体的には、突き板35の移動速度をv2に切り換えてからの突き板駆動モータMT3の駆動量が第3の設定駆動量に到達したとき(ステップST55のY)のt2時点で、図15(b)で示すように、折りローラ対34がこのときのレジストローラ対33のシートの搬送速度v2と同じ速度で回転するよう折りローラモータMT2を駆動する(ステップST56)。
続いて、制御部120は、さらに突き板駆動モータMT3の駆動量が第4の設定駆動量に到達したとき(ステップST57のY)のt3時点で、突き板35は引渡位置35″まで移動したとして、突き板駆動モータMT3の駆動を停止する(ステップST58)。
突き板35は、引渡位置35″まで移動したとき、その先端が、図7(e)と図15(b)に示すように、ニップ部39の直前の前記第3経路部で上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間まで進入している。これにより、シートの前記第2の折り目(図4の203)となる折り箇所FP2は、上述したように屈曲した形態で、折りローラ対34のニップ部39の直前まで運ばれる。
このように、突き板35がシートの第2の折り目203となる折り箇所を引渡位置35″の手前の所定位置、本例ではガイド位置35´まで運んだ時点t1から次に引渡位置35″へ運ぶまでの時点t2の間は、突き板35と折り目ローラ対34とが同時に駆動していることから、シートは突き板35に突き出されることなく折り目ローラ対34へ引き渡される。したがって、シートが図17で述べたパス空間P内に突き出されることがないため、シートの厚さに係らずニップ部39から突き出るタブTの寸法を一定にすることができる。しかも、このとき突き板35の移動速度と折り目ローラ対34のシート搬送速度が同じ低速度のv2とすることで、突き板35から折り目ローラ対34へのシートの引き渡しも確実となる。
ステップST58における突き板駆動モータMT3の停止後も、制御部120は、レジストローラ対33と折りローラ対34とは共に速度v2での回転を継続させている。よって、図7(f)に示すように、シートの前記第2の折り目となる折り箇所が、折りローラ対34のニップ部39に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラ34a,34b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートには、第2の折り目203が所定の折り箇所に形成される。
そして、第2の折り目の形成後、レジストローラ対駆動モータMT1が、予め設定された第5の設定駆動量に到達したとき(ステップST59のY)のt4時点で、制御部120は、レジストローラ対33及び折りローラ対34のシートのそれぞれの搬送速度が高速のv1となるように、レジストローラ対駆動モータMT1及び折りローラ対駆動モータMT2の駆動を制御する(ステップST60)。
ステップST58における突き板駆動モータMT3の停止後、レジストローラ対駆動モータMT1が、予め設定された第6の設定駆動量まで駆動される(ステップST61のY)と、制御部120は、折りローラ対駆動モータMT2を駆動させる(ステップST62)。ここで、前記第6の設定駆動量は、ステップST58での突き板駆動モータMT3停止後もシートを継続的に送り出して、シートの折り箇所FP2が折りローラ対34のニップ部39に巻き込まれる位置に至るまで、レジストローラ対33を回転させるレジストローラ対駆動モータMT1の駆動量である。
折りローラ対駆動モータMT2の駆動により折りローラ対34が回転すると、図7(f)に示すように、シートの前記第2の折り目となる折り箇所が、折りローラ対34のニップ部39に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラ34a,34b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートには、第2の折り目203が所定の折り箇所に形成される。上述したように、シートの折り箇所FP2は、屈曲した形態でシート搬送方向にすべりや位置ずれを生じることなく搬送され、そのまま折りローラ対34のニップ部39に巻き込まれるので、第2の折り目203の位置は、従来のバラツキを生じることなく、高精度に安定する。
ステップST62で折りローラ対駆動モータMT2が駆動すると、折りローラ対34のニップ部39へのシートの巻き込みを妨げないように、制御部120は、突き板35を引渡位置35″から前記退避位置に戻す退避処理を実行する(ステップST63)。この退避処理は、前記折りループ処理に関連して図10及び図7(b)、(c)を用いて説明したのと同様に行う。
即ち、図7(e)の状態において、制御部120は、突き板駆動モータMT3を逆転駆動して、突き板35を引渡位置35″からシート搬送方向上流側へ水平に前記退避位置に向けて移動させる。第1下ガイド部分46a下方の第3検出センサーS3が、突き板35の前記検出フラグを検出してオンになると、突き板駆動モータMT3を停止させる。これにより、突き板35は、図7(f)に示すように退避位置に配置される。
このとき、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が完全に開かれて、中央搬送路42の前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。従って、折りループFLは、折りローラ対34のニップ部39へ、図7(e)の巻き込み開始時から連続的に、突き板35に妨げられることなくスムーズに巻き込ませることができる。
折りローラ対34は、突き板35の退避処理後も引き続き回転駆動される。従って、シートは、図7(f)に示すように、その先端及び折りローラ対34により形成された前記第2の折り目を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、該折りローラ対にニップされ、シート搬出路43を下流側へ搬送される。
このようにシートが搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなる。折りループFLは、中央搬送路42の前記第3経路部に進入し、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2傾斜ガイド部52bとにより上下から絞られて、シート搬送方向に延びた薄いループ形状になる。更に折りループFLは、第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進み、第1の折り目となる後端(上流端)の折り箇所FP1で上下から二つ折りに折り曲げられる。
シートの折り箇所FP1は、このように屈曲された形態で、その上に重ねられたシートの上流側部分との間でシート搬送方向にすべりや位置ずれを生じることなく搬送され、折りローラ対34のニップ部39で加圧折曲される。従って、シートには、前記第1の折り目(図6の202)が、従来のようなばらつきを生じることなく、安定して高精度で所望の位置に形成される。
これにより、図4に示すように、内折りの第1の折り目202と外折りの第2の折り目203とを形成したZ折りシートSHが生成される。本実施形態では、上述したように、回転停止している折りローラ対34がシート先端部分をニップした状態で折りループFLを形成し、その後に折りローラ対34を回転させて第2及び第1の折り目を折曲形成するので、折りループFL形成時にニップされていたシート先端部分が、第2の折り目から先端側(下流側)へはみ出した形態にZ折りされる。
次に、シート搬入路41において第1検出センサーS1が、レジストローラ対33及び折りローラ対34により搬送されているシートの後端を検出してオフになる(ステップST64のY)と、制御部120は、突き板35を前記退避位置からガイド位置35′に移動させるガイド処理を実行する(ステップST65)。このとき、折りループFLは既に折りローラ対34を通過しているように設定されている。従って、突き板35をガイド位置35′に移動させても、中央搬送路42におけるシートの搬送及び折りローラ対34による折り目形成処理に何ら支障を生じることはない。
前記ガイド処理は、例えば図14のフローチャートに示す手順に従って実行する。突き板駆動モータMT3を正転駆動し(ステップST70)、突き板35を折りローラ対34側へ水平に移動させる。突き板駆動モータMT3の駆動量が、予め設定された第7の設定駆動量になる(ステップST71のY)と、突き板駆動モータMT3を停止させる(ステップST72)。
ここで、前記第7の設定駆動量は、突き板35を前記退避位置からガイド位置35′に移動させるのに要する突き板駆動モータMT3の駆動量である。これにより、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が突き板35で閉じられるので、シートの後端は、中央搬送路42を突き板35の上面に案内されて、折りローラ対34に向けて真直ぐ搬送される。突き板駆動モータMT3の駆動量には、該モータの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
次に、制御部120は、第2検出センサーS2が、中央搬送路42を通過するシートの後端(上流端)を検出してオフになる(ステップST66のY)と、その時点からの折りローラ対駆動モータMT2の駆動量をカウントし、予め設定された所定の停止駆動量になる(ステップST67のY)と、レジストローラ対駆動モータMT1及び折りローラ対駆動モータMT2を停止させる(ステップST68)。
ここで、前記所定の停止駆動量は、シートの後端が折りローラ対34を通過するのに十分な折りローラ対駆動モータMT2の駆動量である。これにより、レジストローラ対33及び折りローラ対34は、シート搬出口32bからシート後処理装置Bへのシートの搬出に何ら支障を生じることなく回転を停止し、シートのZ折り処理を終了する。
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。