以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[画像形成システム]
図1は、本発明を適用した画像形成システムの全体構成を示している。同図の画像形成システムは、画像形成装置Aと、シート後処理装置Bと、それらの間に連結されたシート折り装置Cとからなる。画像形成装置Aで画像形成されたシートは、シート折り装置Cを通して搬送され、シート後処理装置Bで排出トレイに収納される。以下に、画像形成装置A、シート後処理装置B、及びシート折り装置Cについて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、公知の静電印刷機構によりシート上に画像を形成する型式のものであり、装置ハウジング1内に給紙部2、画像形成部3、排紙部4及び制御部(図示せず)を備える。装置ハウジング1の上部には、スキャナーユニットからなる画像読取部5と、その上に自動原稿送り部6とが一体に設けられている。本実施形態の画像形成装置Aは、所謂胴内排紙型であり、図1中画像形成部3と排紙部4と画像読取部5との間に大きく画定される正面コ字状の排紙空間に、搬送中継ユニット7が配設されている。尚、画像形成装置Aには、上記静電印刷機構以外に、インクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式等、他の種々の画像形成機構を採用可能である。
給紙部2は、それぞれ異なるシートサイズの複数の給紙カセット2a、2bが、装置ハウジング1に着脱自在に設けられている。画像形成するシートを収納した給紙部2は、前記制御部から指示されたサイズのシートを、対応する前記給紙カセットから給紙経路8に繰り出す。給紙経路8にはレジストローラー9が設けられ、該レジストローラーで先端を揃えたシートは、所定のタイミングで下流の画像形成部3に給送される。
画像形成部3は、静電ドラム10と、その周囲に配置された印刷ヘッド、現像器、転写チャージャー等を有する。前記印刷ヘッドは、例えばレーザ発光器で構成され、静電ドラム10上に静電潜像を形成する。この静電潜像に、前記現像器がトナーインクを付着させてトナー像を形成し、これを前記転写チャージャーでシートに転写する。トナー像を転写したシートは、定着器11に搬送されて加熱・加圧され、トナー像を定着させた後、排紙部4の排紙経路12に搬出される。
排紙経路12は、下流側が図1中上側の第1排紙経路13と下側の第2排紙経路14とに分岐している。第1排紙経路13及び第2排紙経路14は、それぞれ前記排紙空間に開口する上側の第1排紙口15と下側の第2排紙口16とに接続している。
排紙部4には、図示しないシート循環経路を設けることができる。前記シート循環経路は、例えば定着器11の下流側で排紙経路12を給紙経路8にレジストローラー9の上流側で接続する。画像形成部3から排紙経路12に送り出した画像形成済みシートを、排紙経路12の排紙ローラーを逆転させて前記シート循環経路にスイッチバックさせ、その面を表裏反転させて再び画像形成部3に送ることにより、シートの両面に画像を形成することができる。
搬送中継ユニット7は、図1に示すように正面視略L字状をなし、前記排紙空間の右端で上方に延出する第1中継部17と、前記排紙空間を左右略全幅に亘って装置ハウジング1の左側面位置まで延在する第2中継部18とを有する。第2中継部18の上面は、前記排紙空間内で概ね平坦なシート排出トレイ19を形成する。
第1中継部17は、内部に第1中継パス20が設けられ、その第1シート入口21は、排紙部4の第1排紙口15に接続するように、第1シート出口22は、シート排出トレイ19の上方で前記排紙空間に開口するように配置される。第1中継パス20には、第1中継部17に内蔵するモーターにより駆動される搬出ローラーが、第1シート出口22付近に設けられている。排紙部4から第1排紙経路13を介して搬送された画像形成済みシートは、前記搬出ローラーにより、第1中継パス20を通過して前記排紙空間内のシート排出トレイ19に搬出される。
第2中継部18は、内部に第2中継パス23が設けられ、その第2シート入口24は、排紙部4の第2排紙口16に接続するように配置される。第2中継パス23の第2シート出口25は、装置ハウジング1の左側面と略同一面上に開口し、後述するようにシート折り装置Cのシート搬入口に接続される。第2中継パス23には、第2中継部18に内蔵するモーターにより駆動されてシートを搬送する複数の搬送ローラーが設けられている。排紙部4から第2排紙経路14を介して搬送された画像形成済みシートは、前記搬送ローラーにより第2中継パス23を通過してシート折り装置Cに送り込まれる。
画像読取部5は、原稿用紙を載置するプラテン26と、該プラテンに沿って移動する読取キャリッジ27と、例えばCCDデバイスからなる光学読取手段28とを備える。プラテン26上の原稿用紙は、読取キャリッジ27によりスキャニングして光学的に読み取られ、それにより生成された光学像が、光学読取手段28により画像データに光電変換される。自動原稿送り部6は、給紙トレイ29にセットされた原稿用紙を自動的にプラテン26に給送する。
上述した構成により、画像形成装置Aは、原稿送り部5から送られる原稿を画像読取部4で読み取り、読み取った画像データに従って、給紙部3から送られたシートに画像形成部2で画像形成する。画像形成したシートは、シート折り装置Cによる折り処理及びシート後処理装置Bによる後処理を行わない場合、排紙部4から第1排紙経路13を介して搬送され、第1中継パス20を通過して前記排紙空間内のシート排出トレイ19に搬出される。画像形成したシートに前記折り処理及び/又は後処理を行う場合、該シートは、排紙部4から第2排紙経路14を介して搬送され、第2中継パス23を通過してシート折り装置Cに送り込まれる。
[シート後処理装置]
シート後処理装置Bは、図1に示すように、ハウジング100内に、シート折り装置からのシートを搬送する第1搬送パス101と、該第1搬送パスから分岐した第2及び第3搬送パス102,103と、ステープルユニットST1等の後処理機器と、綴じ処理トレイ104とを備える。ハウジング100の一方の側面(図1の左側面)には、シート後処理装置Bから排出されるシートを積載収納する第1及び第2排紙トレイ105,106が上下に離隔して設けられている。シート後処理装置Bは、第1搬送パス101のシート搬入口107が、後述するシート折り装置Cのシート排出口と接続するように配置される。
第1排紙トレイ105は、ハウジング100の前記側面に開口する第2搬送パス102の排紙口108の下方に配置されている。シート折り装置Cから送られたシートは、シート後処理装置BにおいてステープルユニットST1による針綴じ処理及び/又は他の後処理を行わない場合、第1搬送パス101から第2搬送パス102に搬送され、そのまま排紙口108から第1排紙トレイ105に排出される。
第3搬送パス103の排紙口109は、綴じ処理トレイ104の紙載面を臨むように、該綴じ処理トレイの上方に配置されている。シート折り装置Cから送られたシートは、ステープルユニットST1による針綴じ処理を行う場合、第1搬送パス101から第3搬送パス103に搬送され、その排紙口109から綴じ処理トレイ104の紙載面に排出される。綴じ処理トレイ104に集積された複数のシートは、ステープルユニットST1によってシート束に針綴じ処理された後、該綴じ処理トレイから搬送され、その下流端から下方の第2排紙トレイ106に排出される。
[シート折り装置の全体構成]
シート折り装置Cは、図2に示すように、ハウジング31の内部に、画像形成装置A側のシート搬入口32aからシート後処理装置B側のシート排出口32bまで至る搬送経路32が形成されている。搬送経路32には、シート搬送方向に沿って上流側にレジストローラー対33、下流側に折りローラー対34、及び前記両ローラー対の間に突き板35が配設されている。シート折り装置Cは、上述したように、画像形成装置Aに設置された搬送中継ユニット7の第2シート出口25にシート搬入口32aを、シート後処理装置Bのシート搬入口107にシート排出口32bをそれぞれ接続させるように配置される。
更に、搬送経路32のシート排出口32b付近には、任意により増し折り機構36を設けることができる。シート折り装置Cのような折り処理機構において、搬送されるシートを折り目位置で確実に折り合わせるために、折り処理後の下流側で、シートを折り目位置で加圧する増し折り機構を設けることは、従来より当業者によく知られている。
[レジストローラー対]
レジストローラー対33は、図中搬送経路32を挟んで配置された上側の駆動ローラー33aと下側の従動ローラー33bとからなる。従動ローラー33bは、例えば適当なばね手段(図示せず)によってローラー面が駆動ローラー33aのローラー面に圧接され、それにより従動ローラー33bは、駆動ローラー33aが後述するレジストモーターによって回転すると、それに追従して回転する。
画像形成装置Aの搬送中継ユニット7から第2シート出口25付近の排出ローラー対37によって送り出されたシートは、その先端を、回転停止しているレジストローラー対33の前記ローラー面の圧接部であるニップ部38に突き当てることによって先端位置を揃える。このように先端位置を整合させて斜行を矯正したシートは、所定のタイミングでレジストローラー対33を駆動することにより、搬送経路32を折りローラー対34に向けて搬送される。
別の実施形態において、レジストローラー対33は、画像形成装置Aからシート折り装置Cへシートを排出する排出ローラー(図2の排出ローラー対37に相当)で代替することができる。これにより、シート折り装置Cの部品点数を減らして製造コストを低減し、装置全体をシート搬送方向に小型化することができる。この場合、排出ローラー対37には、上述したように搬送経路32に搬入されるシートの先端位置を揃える機能を持たせることが好ましい。
[折りローラー対]
折りローラー対34は、図中搬送経路32を挟んで配置された上側の上折りローラー34aと下側の下折りローラー34bとからなる。両ローラー34a、34bは、後述するようにレジストローラー対33から送られるシートの先端及び折り目をニップして折り処理するために、例えば適当なばね手段(図示せず)によって互いにローラー面が圧接されると共に、そのように圧接した状態で、後述する共通の折りローラー駆動モーターによって同期してシート搬送方向に回転する。
折りローラー対34は、前記ローラー面の圧接部であるニップ部39を通る接線39aよりも上方に、レジストローラー対33のニップ部38が位置するように配置される。図2の実施形態では、接線39a及びレジストローラー対33のニップ部38を通る接線38aが双方概ね水平に、かつ接線38aが接線39aの上方を通るように、上下に或る高さずらして配向されている。
[搬送経路]
搬送経路32は、図2に示すように、シート搬送方向に沿ってシート搬入口32aからレジストローラー対33に至るシート搬入路41と、該レジストローラー対から折りローラー対34に至る中央搬送路42と、該折りローラー対からシート搬出口32bに至るシート搬出路43とから構成される。
シート搬入路41は、搬入されるシートの先端をレジストローラー対33のニップ部38に案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬入ガイド41aと下搬入ガイド41bとを有する。上搬入ガイド41aは、上述したようにレジストローラー対33のニップ部38にシートの先端を突き当てさせて先端位置を揃える際に、上流側から排出ローラー対37に送り出されるシートが、シート搬入路41内でループ状に撓み得る空間を確保するために、レジストローラー対33付近から入口側に向けて上方へ大きく拡大している。
中央搬送路42は、図2に示すように、レジストローラー対33で先端揃えしたシートを折りローラー対34のニップ部39に案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬送ガイド45と下搬送ガイド46とを有する。シートは、上下搬送ガイド45,46によってその厚み方向の両側から、本実施形態では上下から規制された状態で、中央搬送路42を搬送される。
上述したように、レジストローラー対33のニップ部38を通る接線38aと折りローラー対34のニップ部39を通る接線39aとを水平にかつ上下高さをずらして配置したので、上搬送ガイド45は、接線38aに沿って下流側へ水平に延びる第1水平部分45aと、接線39aに沿って上流側へ水平に延びる第2水平部分45bと、両接線38a,39aを結ぶように上流側から下流側へ下向きに傾斜した傾斜部分45cとを有する。
図2に示すように、傾斜部分45cは、第2水平部分45bの上流端から図中右側斜め上方へ直線状に形成されている。傾斜部分45cと第2水平部分45bとは直線的に交差し、その接続部分には、比較的大きい鈍角の角部からなり、中央搬送路42の概ね下方に向けて凸の凸状部47が形成されている。同様に、傾斜部分45cと第1水平部分45aとの接続部分も、比較的大きい鈍角の角部に形成されている。
別の実施形態では、傾斜部分45cと第2水平部分45bとの接続部分を湾曲させることができる。この場合、凸状部47は、中央搬送路42の概ね下方に向けて凸の湾曲部で形成される。傾斜部分45cと第1水平部分45aとの接続部分も、同様に湾曲させることができる。また別の実施形態では、上搬送ガイド45の第2水平部分45b及び傾斜部分45cとは別個の部材で、凸状部47を形成することができる。
本実施形態では、同図に示すように、第1水平部分45a及び傾斜部分45cと第2水平部分45bの上流側部分とが、1つの連続する第1上搬送ガイド部材で形成され、第2水平部分45bの下流側部分は、別の1つの第2上搬送ガイド部材で形成されている。前記第1及び第2上搬送ガイド部材は、中央搬送路42におけるシートの搬送上支障を生じないように、実質的に連続して配設されている。また、前記第1上搬送ガイド部材は、複数の実質的に連続するガイド部材で形成することができ、前記第1上搬送ガイド部材と第2上搬送ガイド部材の境目も、図2に示す位置以外に様々に設定することができる。
下搬送ガイド46は、レジストローラー対33からシート搬送方向に沿って下流側へ所定の位置まで延びる第1下ガイド部分46aと、折りローラー対34からシート搬送方向に沿って上流側へ所定の位置まで延びる第2下ガイド部分46bとを有する。第1及び第2下ガイド部分46a,46bは、それらの間にシート搬送方向に沿って大きい隙間48を画定するように離隔してハウジング31側に固定されている。第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48は、後述するように折りローラー対34のニップ部39に向けて水平に進退可能な突き板35によって、選択的に開閉される。
下搬送ガイド46の隙間48の下方には、図2に示すように、比較的大きなループ形成空間50が設けられている。突き板35が退避(図2中、実線で表示)して隙間48が開かれていると、中央搬送路42内のシートは、隙間48からループ形成空間50に垂れ下がらせることができる。突き板35が進出(図2中、想像線35′で表示)して隙間48が閉じられると、レジストローラー対33から送り出されたシートは、ループ形成空間50に垂れ下がることなく、中央搬送路42に沿って折りローラー対34に向けて搬送することができる。
第1下ガイド部分46aは、レジストローラー対33から下流側へ水平に、概ね上搬送ガイド45の第1水平部分45aに対向して延びる第1水平ガイド部51aと、そこから更に下流側へ、概ね前記上搬送ガイドの傾斜部分45cに途中まで対向して略平行に傾斜する第1傾斜ガイド部51bとを有する。第1傾斜ガイド部51bの下流端は、隙間48の開放時にシートの垂れ下がり開始位置を画定する。本実施形態では、図示するように、第1傾斜ガイド部51bの前記下流端が、折りローラー対34のニップ部39を通る接線39aよりも上方に位置するように設けられている。
第2下ガイド部分46bは、折りローラー対34から上流側へ水平に延びる第2水平ガイド部52aと、該第2水平ガイド部から上流側へ下向きに傾斜する第2傾斜ガイド部52bと、該第2傾斜ガイド部から概ね垂直下方に延びる垂直ガイド部52cとを有する。第2水平ガイド部52aは、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと協働して、シートを厚み方向に即ち上下方向に両側から規制しつつ、シートの先端を折りローラー対34のニップ部39に案内する。第2傾斜ガイド部52bは、ループ形成空間50に垂れ下がったシートを折りローラー対34のニップ部39へ案内するように、該ループ形成空間に向けて傾斜している。垂直ガイド部52cは、ループ形成空間50の寸法を確保しつつ、第2傾斜ガイド部52bと共に、ループ形成空間50に垂れ下がったシートを折りローラー対34側から隔離している。
突き板35が退避位置にあるとき、レジストローラー対33から中央搬送路42に送り出されたシートは、第1傾斜ガイド部51bの下流端を越えると、シート先端から下方へ開放された隙間48を通してループ形成空間50内に直線状に垂れ下がる。これに対し、シート先端が折りローラー対34にニップされかつ該折りローラー対が回転停止した状態で、隙間48が開放されると、中央搬送路42内のシートは、後述するように、隙間48を通してループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がる。
中央搬送路42は、言い換えれば、レジストローラー対33からシートを送り出す第1経路部と、中央搬送路42を下方のループ形成空間50に選択的に開放可能な第2経路部と、シートを折りローラー対34のニップ部39に案内する第3経路部とからなる。前記第1~第3経路部は、シートの上面側が、前記第1及び第2上搬送ガイド部材からなる上搬送ガイド45によってシート搬送方向に実質的に連続している。シートの下面側は、前記第1経路部が、固定された第1下ガイド部分46aで形成され、前記第3経路部が、固定された第2下ガイド部分46bで形成されているのに対し、前記第2経路部は、突き板35の移動により開閉される隙間48で構成されている。
前記第1経路部は、別の実施形態では、第1傾斜ガイド部51bを省略して、水平なガイド部分のみで形成することができる。図2において、上搬送ガイド45は、傾斜部分45cから第2水平部分45bに移行する位置が前記第2経路部の隙間48の範囲で設定されているが、これに限定されるものではない。第2下ガイド部分46bも、ループ形成空間50に垂れ下がったシートが折りローラー対34のニップ部39へ案内される限り、第2傾斜ガイド部52bを、図2に示すよりも小さくし又は無くすことができ、十分なループ形成空間50が確保される限り、垂直ガイド部52cを小さくし又は無くすことができる。
シート搬出路43は、折り処理されたシートをシート搬出口32bに案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬出ガイド43aと下搬出ガイド43bとを有する。シート搬出口32bの手前には、例えばシート搬送方向に直交するシート幅方向に下搬出ガイド43b上を移動して、折り処理されたシートの折り目を増し折りする複数の転動体を有する増し折り機構36が設けられている。
[突き板]
突き板35は、図2及び図3に示すように、中央搬送路42のシート幅方向に延在する平板部材から形成されている。突き板35は、折りローラー対34のニップ部39と略同じ高さ位置に水平に配置されている。更に突き板35は、図2中実線で示す第1下ガイド部分46aの下方の退避位置と、想像線35′及び35″で示すガイド位置及び突き位置との間を水平に移動可能に設けられている。
突き板35が前記退避位置にあるとき、図示するように、下搬送ガイド46の隙間48が完全に開いて、中央搬送路42は、前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。従って、中央搬送路42内のシートは、後述するように中央搬送路42からループ形成空間50内に垂れ下がることができる。
想像線35′の前記ガイド位置において、突き板35は、下搬送ガイド46の隙間48を完全に閉じると同時に、上搬送ガイド45と上下に対向して下搬送ガイド46の一部を形成する。これにより、中央搬送路42内のシートは、ループ形成空間50に垂れ下がることなく前記第2経路部を案内されて、前記第1経路部から第3経路部へ搬送される。
想像線35″の前記突き位置において、突き板35は、前記第3経路部で上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進入する。この突き位置は、突き板35が、その先端でシートの折り目を折りローラー対34のニップ部39に送り込むための位置である。
図4は、前記退避位置にある突き板35の好適な配置の一例を拡大して具体的に示している。同図に示すように、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと、これに対向する下搬送ガイド46の第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間には、高さHの上下隙間が画定されている。これにより、中央搬送路42の前記第3経路部は、折りローラー対34から上流側に水平かつ直線状に延びる直線部66を有する。
直線部66の高さHは、該直線部内に位置する突き板35の上下両側で、上搬送ガイド45の第2水平部分45b及び下搬送ガイド46の第2水平ガイド部52aとの間に、それぞれ数枚程度のシートを重なった状態でスムーズに通過させ得るように設定する。本実施形態では、二つに折り重なった状態のシートを通過させ得るように、画像形成装置Aで使用され得るシートの2枚分の厚さを考慮して、例えば2mmに設定する。これにより、突き板35は、後述する折り処理の工程で、先端でシートを突き押ししながら、前記第3経路部内を前記突き位置までスムーズに移動することができる。
突き板35は、前記突き位置において、その先端が前記第3経路部の直線部66の前記隙間内で折りローラー対34のニップ部39に近接するように配置するのが好ましい。そのため、図4の突き板35は、前記退避位置において、直線部66を上流側に延長した延長線66aの高さH範囲内に水平に配置されている。この退避位置から、突き板35は、先端を折りローラー対34のニップ部39に向けて水平かつ直線状に移動する。
より詳細に言えば、図4において、本実施形態の突き板35は、ニップ部39から上流側に延びる接線39a上又は該接線より僅かに下の位置に配置されている。これにより、突き板35の先端を、前記突き位置でニップ部39により近接させることができ、好都合である。
突き板35の前記退避位置は、直線部66の延長線66aの高さH範囲内に限られない。折りローラー対34に向けて移動する突き板35が、前記第3経路部を上搬送ガイド45に沿って水平に移動し、前記突き位置において、先端をニップ部39に近接させることができれば、図4とは異なる位置に前記退避位置を設けることができる。
図3(a)(b)は、突き板35の構成をより詳細に示している。同図に示すように、本実施形態では、それぞれ上下折りローラー34a,34bからなる4対の折りローラー対34が、上下ローラーシャフト55,56に取り付けられている。前記4対は、ローラーシャフト55,56の軸方向に沿ってその中央位置に関して左右両側に2対ずつ、対称に配置されている。突き板35の先端には、前記4対の折りローラー対34の位置に対応して、該折りローラー対の形状に対応する形状・寸法の4つの切欠き部57が、シート幅方向に沿って凹設されている。
突き板35の前記退避位置、ガイド位置及び突き位置間における移動は、後述する図5の駆動機構の突き板駆動モーターMT3を駆動することによって行われる。突き板駆動モーターMT3の駆動は、図5に示す制御部120によって、後述するように制御される。
[シート折り装置の駆動機構]
図3(a)、(b)は、シート折り装置Cのレジストローラー対33、折りローラー対34及び突き板35の各駆動機構58~60を示している。レジストローラー対33は、駆動ローラー33aが、シート幅方向に回転可能に架設されたローラーシャフト61に一体に回動するように取り付けられている。折りローラー対34は、上下折りローラー34a,34bが、同様にシート幅方向に回転可能に架設されたローラーシャフト55,56に、それぞれ一体に回動するように取り付けられている。
レジストローラー対33の駆動機構58は、レジストローラー駆動モーターMT1と、その回転軸に取り付けられた駆動プーリーP1と、駆動ローラー33aのローラーシャフト61の一端に取り付けられた従動プーリーP2と、両プーリーP1,P2間に掛け回されたタイミングベルトTB1とを備える。レジストローラー駆動モーターMT1の駆動力は、その回転軸から、駆動プーリーP1、タイミングベルトTB1及び従動プーリーP2からなる伝達機構を介して、駆動ローラー33aに伝達される。
折りローラー11の駆動機構59は、折りローラー駆動モーターMT2と、その回転軸に取り付けられた駆動プーリーP3と、下折りローラー34bのローラーシャフト56に取り付けられた従動プーリーP4と、両プーリーP3,P4間に掛け回されたタイミングベルトTB2とを備える。更に駆動機構59は、ローラーシャフト56に同軸に一体回動可能に取り付けられたギヤZ1と、上折りローラー34aのローラーシャフト55に同軸に一体回動可能に取り付けられ、ギヤ1と噛合するギヤZ2とを備える。
折りローラー駆動モーターMT2の駆動力は、その回転軸から、駆動プーリーP3、タイミングベルトTB2、及び従動プーリーP4からなる伝達機構を介して、下折りローラー34bに伝達される。更に折りローラー駆動モーターMT2の駆動力は、従動プーリーP4を取り付けたローラーシャフト56から、互いに噛合するギヤZ1とギヤZ2を介して、上折りローラー34aに伝達される。これにより、上折りローラー34aと下折りローラー34bとは、互いに逆方向に同期して回転し、前記両折りローラー間にニップしたシートを、協働してシート搬送方向に搬送することができる。
突き板35の駆動機構60は、突き板駆動モーターMT3と、その回転軸に取り付けられた駆動プーリーP5と、シート幅方向に架設された回転シャフト62と、その一端に取り付けられた従動プーリーP6と、両プーリーP5,P6間に掛け回されたタイミングベルトTB3と、回転シャフト62の前記一端側で従動プーリーP6より内寄りに設けられた第1ラックアンドピニオン機構63と、回転シャフト62の他端に設けられた第2ラックアンドピニオン機構64とを備える。
第1ラックアンドピニオン機構63は、回転シャフト62の前記一端側で従動プーリーP6より内寄りに、同軸に一体回動可能に取り付けられた第1ピニオン63aと、突き板35の一端に取り付けられて、第1ピニオン63aに噛合する第1ラック63bとを有する。第2ラックアンドピニオン機構64は、同様に回転シャフト62の前記他端に同軸に一体回動可能に取り付けられた第2ピニオン64aと、突き板35の前記他端に取り付けられて、第2ピニオン64aに噛合する第2ラック64bとを有する。第1及び第2ラック63b,64bは、第1及び第2ピニオン63a,64aの回転によって突き板35が水平方向に移動するように配設されている。
突き板駆動モーターMT3の駆動力は、その回転軸から、駆動プーリーP5、タイミングベルトTB3及び従動プーリーP6からなる伝達機構を介して、第1及び第2ピニオン63a,63bに伝達される。これにより、第1及び第2ラック63b,64bは、互いに同一方向に同期して移動し、協働して突き板35を水平方向に移動させる。
[シート折り装置の制御構成]
図5は、シート折り装置Cの制御構成を概念的に示している。シート折り装置Cは、CPUを含む制御基板からなる制御部120を備えている。制御部120には、同図に示すように、搬送経路32に沿って設けられた第1~第3検出センサーS1~S3が接続されている。
第1検出センサーS1は、シート搬入路41のレジストローラー対33の手前に配置され、画像形成装置Aからシート搬入口32aを介して搬入されたシートの先端を検出する。第2検出センサーS2は、中央搬送路42の折りローラー対34の手前に配置され、レジストローラー対33から折りローラー対34に搬送されるシートの先端を検出する。第3検出センサーS3は、上述したように前記退避位置、ガイド位置及び突き位置間を移動する突き板35の位置を検出する。第1~第3検出センサーS1~S3の検出結果は、リアルタイムで制御部120に出力される。
更に制御部120は、シート後処理装置Bを介して画像形成装置Aの制御部121に接続されている。制御部121は、画像形成装置Aの設定パネルDに設けられた入力部及び表示部(図示せず)に接続されている。例えばユーザーが設定パネルD上で設定するシートの種類や、シート折り装置Cで実行される折り処理モード等の情報は、制御部121からシート後処理装置Bを介して制御部120に送信される。
画像形成装置Aの制御部121から送信される情報を取得して記憶するために、制御部120は、折り処理情報取得部124を備えている。折り処理情報取得部124には、折り処理されるシートに関する情報、特にシートの厚さに関する情報を取得記憶するシート厚さ情報取得部125と、シートのサイズに関する情報を取得記憶するサイズ情報取得部126とが設けられている。
制御部120は、レジストローラー駆動モーターMT1、折りローラー駆動モーターMT2、及び突き板駆動モーターMT3に、増し折り機構36を備える場合には、更にその増し折り駆動モーターMT4に接続されている。第1~第3検出センサーS1~S3から入力する検出結果、及び画像形成装置Aの制御部121から受信する上記各種情報に基づいて、各駆動モーターMT1~MT3及び任意によりMT4の駆動を制御し、搬送経路32におけるシートの搬送、及びシート折り装置Cの折り処理動作を制御実行する。
また、制御部120は、シート折り装置Cにおいて実行されているシートの搬送、折り処理等の情報をリアルタイムで、シート後処理装置Bを介して画像形成装置Aの制御部121に送信することができる。制御部121は、制御部120から受信した情報に、シート折り装置Cにおけるシートの搬送不良や折り処理不良等の好ましくない又は注意若しくは警告すべき情報が含まれている場合、それをユーザーに、例えば設定パネルDの前記表示部を用いて報知することができる。
制御部120によって上述したように及び後述するように実行される様々な制御の制御プログラム、及びそのために必要なデータを記憶するために、制御部120は、ROM127を備えている。更に制御部120は、後述する折りループカウンター128を内蔵する。
本実施形態のシート折り装置Cは、シートをシート搬送方向に沿って交互に内折り外折りして、所謂Z折りに三つ折りするのに適している。図6(a)は、折り処理される前のシートSHの平面図、図6(b)は、シート折り装置CによりZ折りしたシートSHの一例をシート幅方向から示している。図6(b)において、シートSHには、シート搬送方向の先端(下流端)201から上流側へ所定長さの位置に第1の折り目202が形成され、そこから下流側に折り返して所定長さの位置に第2の折り目203が形成されている。
図6(a)及び(b)において、それぞれのシートSHは、シート搬送方向の先端位置を一致させるように表した。同図から分かるように、本実施形態によれば、図6(b)のシートSHは、シート搬送方向のサイズが、元のシートサイズの1/2になるようにZ折りされている。以下に、シート折り装置Cの折り処理動作を説明する。
[シート折り装置の処理動作]
シート折り装置Cには、シートを三つ折り(Z折り)する折り処理を行う折り処理(Z折り)モードと、シートを折り処理しない折り無しモードとが、予め設定されている。ユーザーは、画像形成装置Aにおいてシートの画像形成を開始する前に、画像形成したシートを折り処理するか否かを決定し、折り処理する場合は、設定パネルDの前記入力部で折り処理モードを選択して入力する。折り処理モードの入力は、折り処理の対象となるシートのシート情報の1つとして、画像形成装置Aの制御部121に記憶される。
図7のフローチャートを用いて、シート折り装置Cにおける処理動作の全体を概略的に説明する。先ず、シート折り装置Cの制御部120は、第1検出センサーS1が、シート搬入路41に搬入されたシートの先端を検出してオンになる(ステップST01のY)と、これをトリガーとして、検出された前記シートのシート情報を画像形成装置Aの制御部121から、シート後処理装置Bを介して取得する(ステップST02)。このシート情報には、シートのサイズ、材質、厚さ(坪量を含む)、搬送時のシートの向き(縦方向又は横方向)等のシート自体の特性に関する情報と、これから行われる折り処理に関する情報、及びシート折り装置Cの通過後にシート後処理装置Bで行われる綴じ処理等の後処理に関する情報が含まれる。
本実施形態では、折り処理しようとするシートの坪量に関する情報を、画像形成装置Aの制御部121から送られるシート情報から取得している。別の実施形態では、シート折り装置C自体が、画像形成装置Aから搬入されるシートの坪量を取得することができる。例えば、所定周波数の音波をシートの表面に向けて発し、該シートを通過した音波の強度からその坪量を算出する検知技術が従来より知られている。かかる検知機構をシート折り装置Cが備えることによって、使用を予定していない種類のシートであっても即座に対応することができる。
画像形成装置Aの制御部121から取得したシート情報が、折り処理モードの選択又は折り処理の実行指示を含む場合(ステップST03のY)、ステップST04~ST07に進んで折り処理を実行する。画像形成装置Aからの前記シート情報が、折り処理モードの選択若しくは折り処理の実行指示を含まない場合又は折り処理を実行しない指示を含む場合、ステップST08に進んで折り無し処理を実行する。
ステップST08の折り無し処理では、突き板35を前記ガイド位置(35′)に配置し、この状態でレジストローラー対33及び折りローラー対34を回転駆動させる。これにより、画像形成装置Aからのシートは、折り処理されることなく搬送経路32をそのまま通過して、シート後処理装置Bに搬出される。
ステップST04~ST07の折り処理は、全体として、制御部120における折りループカウンター設定処理(ステップST04)、レジストローラー対33によるレジスト処理(ステップST05)、折りローラー対34による折りループ処理(ステップST06)、及び突き板35と折りローラー対34による折り目形成処理(ステップST07)の4段階で行われる。前記折りループカウンター設定処理では、折りループカウンター値を設定する。前記レジスト処理では、シート折り装置Cに搬入されたシートの先端を整合して、シートスキュー(斜行)を矯正する。前記折りループ処理では、シートの先端側に、折り目を形成するためのループを形成する。前記折り目形成処理では、ループが形成されたシートに折りローラー対34で折り目を形成する。
各ステップST04~ST07での処理について、図8~図21を用いて、以下に具体的に説明する。図8(a)~(f)は、シート折り装置Cが画像形成装置Aからシートを搬入し、搬送して折り処理する過程を工程順に示している。前記折りループカウンター設定処理は、遅くともシートが画像形成装置Aからシート折り装置Cに搬入されて、前記レジスト処理が開始される前に実行することが好ましい。
[折りループカウンター設定処理]
前記折りループカウンター設定処理は、例えば図9のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、シート情報取得部124が画像形成装置Aの制御部121から受信したシート情報から、サイズ情報取得部126がシートのサイズに関する情報を取得する。取得したシートサイズに基づいて、制御部120は、基準折りループカウンター値Pxを決定する(ステップST02-1)。
基準折りループカウンター値Pxは、後述するように、シートに突き当てられるために突き板35を起動するタイミングを決定し、例えば制御部120が、予め設定された所定の計算式に従ってシートサイズから算出することができる。また、画像形成装置Aで使用が予定されている複数のシートサイズについて、それぞれ基準折りループカウンター値Pxを予め設定してROM127に記憶させておき、サイズ情報取得部126が取得したシートサイズに対応する基準折りループカウンター値Pxを、制御部120に選択させることができる。
次に、画像形成装置Aから受信した前記シート情報から、厚さ情報取得部125がシートの厚さに関する情報を取得する。取得したシートの厚さに基づいて、制御部120は、折り処理しようとしているシートが薄紙か否かを判定する(ステップST02-2)。
薄紙と判定した場合(ステップST02-2のY)、制御部120は、予め定められたずれ量ΔPを基準折りループカウンター値Pxに加算した値を、折りループカウンター値Pとして折りループカウンター128に設定する(ステップST02-3)。他方、厚紙と判定した場合(ステップST02-2のN)、基準折りループカウンター値Pxを折りループカウンター値Pとして折りループカウンター128に設定する(ステップST02-4)。
基準折りループカウンター値Pxが、厚紙に適用される突き板35の標準的な起動タイミングであるのに対し、それに加算されるずれ量ΔPは、標準的な起動タイミングに対して突き板35を起動させるタイミングの遅れ量である。折りループカウンター値のずれ量ΔPは、後述するように、薄紙の厚さレベル、即ち厚紙または標準的なシートの厚さに対するシートの薄さレベルに応じて、予め設定することができる。
本実施形態では、一般に市販されているコピー用紙で普通紙とされているシート及びそれより厚さの大きいものを厚紙とし、普通紙より厚さの小さいシートを薄紙として、前記折りループカウンター設定処理を行う。別の実施形態では、普通紙より厚さの大きいものを厚紙に、普通紙以下の厚さのシートを薄紙に設定することもできる。また、普通紙と、それより厚さの大きい厚紙と、それより厚さの小さい薄紙の3段階に分けて設定してもよい。
実際には、ユーザーが画像形成装置Aの設定パネルDで選択するシートの種類に基づいて、制御部120にシートの厚さを認識させることができる。画像形成装置Aで使用が予定されているシートの種類及びシートの厚さは予め分かっているから、シートの種類毎に厚紙か薄紙かだけを事前に設定しておけばよい。
[レジスト処理]
図8(a)は、シート折り装置Cの前記レジスト処理において、シートの先端を位置揃えした状態を示している。前記レジスト処理は、例えば図10のフローチャートに示す手順に従って実行する。
制御部120は、レジストローラー対33が回転停止した状態で、第1検出センサS1が、シート搬入路41に搬入されたシートの先端を検出してオンになる(ステップST10のY)と、その時点からの経過時間を計測する。この経過時間が予め設定された所定時間を経過する(ステップST11のY)と、レジストローラー駆動モーターMT1を駆動して(ステップST12)、レジストローラー対33を回転させる。
ステップST11の前記所定時間は、シートの先端がレジストローラー対33のニップ部38に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な大きさのループ状の撓みを、シート搬入路41でシートに形成させるのに要する時間である。この時間は、例えば事前に試験結果等に基づいて決定し、制御部120に設定しておくことができる。
レジストローラー対33を回転させると、シートは、図8(b)に示すように、中央搬送路42に沿って折りローラー対34に搬送される。ステップST12におけるレジストローラー駆動モーターMT1の起動をトリガーとして、制御部120の折りループカウンター128がカウントを開始する(ステップST13)。本実施形態では、レジストローラー駆動モーターMT1にパルスモーターを採用しており、折りループカウンター128は、レジストローラー駆動モーターMT1の駆動パルス数をカウントする。
シートSHがレジストローラー対33から送り出されるとき、突き板35はガイド位置35′に配置されている。従って、シートの先端は、中央搬送路42を突き板35の上面に案内されて、折りローラー対34のニップ部39に向けて真直ぐ送られる。シート先端が中央搬送路42の凸状部47を通過したシートは、シート搬送方向に上搬送ガイド45の傾斜部分45cと第2水平部分45bとが接続する、即ち隙間48に対面する領域において、凸状部47によって下方に押し出されて、ループ形成空間50側に凸に湾曲する。
[折りループ処理]
前記折りループ処理は、例えば図11のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、ステップST13でレジストローラー駆動モーターMT1を駆動させると同時に、折りローラー駆動モーターMT2を駆動して折りローラー対34を回転させる(ステップST20)。図8(b)に示すように、折りローラー対34の直ぐ上流側で、搬送されるシートの先端を第2検出センサーS2が検出してオンになる(ステップST21のY)と、制御部120は、突き板35を前記ガイド位置から退避位置に移動させる退避処理を実行する(ステップST22)。
この突き板35の退避処理は、例えば図12のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、突き板駆動モーターMT3を逆転方向に駆動して(ステップST50)、突き板35をガイド位置35′からシート搬送方向上流側へ水平に、前記退避位置に向けて移動させる。本実施形態の突き板35には、そのシート搬送方向上流端に検出フラグ(図示せず)が設けられている。
第1下ガイド部分46aの下方に配置された第3検出センサーS3が、突き板35の前記検出フラグを検出してオンになる(ステップST51のY)と、突き板駆動モーターMT3を停止させる(ステップST52)。これにより、突き板35が図8(c)に示す退避位置に配置されて、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が完全に開かれる。その結果、中央搬送路42は、同図に示すように、前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。
次に、制御部120は、ステップST21で第2検出センサーS2がシート先端を検出した時点から起算して、予め設定された第1の設定駆動量までレジストローラー駆動モーターMT1が駆動される(ステップST23のY)と、折りローラー駆動モーターMT2を停止する(ステップST24)。ここで、前記第1の設定駆動量は、シート先端が折りローラー対34のニップ部39にニップされる位置に到達するのに要するレジストローラー駆動モーターMT1の駆動量である。
これにより、シートは、図8(c)に示すように、先端が折りローラー対34のニップ部39にニップされた状態で保持される。この後も、レジストローラー駆動モーターMT1は継続して駆動され、レジストローラー対33は回転してシートを送り出し続ける。その結果、シートは、折りローラー対34より上流側の部分が隙間48からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、ループFLは、レジストローラー対33によるシートの送出量に応じて大きくなる。
本実施形態では、シート先端が、第2検出センサーS2に検出された位置から折りローラー対34のニップ部39を10mm超えた位置に至るシートの送り量(搬送距離)を、それに相当するレジストローラー駆動モーターMT1の駆動量に換算して、前記第1の設定駆動量を設定している。ここで、レジストローラー駆動モーターMT1の駆動量には、該モーターの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)やレジストローラー対33によるシートの送出量即ち駆動ローラー33aの回転量(ローラーシャフト61の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
本実施形態において、シートの折り位置は、そのサイズ及び搬送時のシートの向き(縦方向、横方向)に応じて、例えばシート搬送方向にシート先端からの距離で表される折り位置が予め設定されている。前記折りループカウンターには、シートのサイズ毎にその折り位置に対応して、搬送中のシートにループを形成させるために所定のカウント値が予め決められている。ステップST24における折りローラー駆動モーターMT2の停止後、ステップ13でカウントを開始した前記折りループカウンターは、前記所定のカウント値にカウントアップする(ステップST25のY)と、次の折り目形成処理(ステップST06)を実行する。尚、前記折りループカウンターは、前記所定のカウント値から「0」まで減算する、カウントダウンするように作動させることもできる。
[折り目形成処理]
前記折り目形成処理は、例えば図13のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、ステップST25において前記折りループカウンターがカウントアップし、ループ形成空間50に所望の折りループFLが形成されると同時に、突き板35の突き処理を開始する。このとき、折りループFLは、レジストローラー対33の継続的なシートの送り出しによって、図8(d)に示すように、シートに所定の折り位置で折り目を形成するのに適した大きさに形成されている。
前記突き処理は、例えば図14のフローチャートに示す手順に従って実行する。制御部120は、引き続きレジストローラー駆動モーターMT1が駆動されて、シートSHが中央搬送路42に送り出されている状態で、突き板駆動モーターMT3を正転駆動し(ステップST53)、突き板35を折りローラー対34側へ水平に移動させる。前記退避位置から下流側へ移動し始めた突き板35の先端は、折りループFLが垂れ下がり始める下搬送ガイド46の第1下ガイド部分46aの下流端に近い位置で、折りループFLに突き当たる。
更に突き板35は、その先端で前記シートの所定位置を突き押しながら、折りローラー対34のニップ部39に向けて移動する。図15は、突き板35が中央搬送路42の前記第2経路部を下流側へ移動する過程を詳細に示している。同図に示すように、突き板35は、図4に関連して上述した前記退避位置からニップ部39の接線39aに沿って水平に直線状に移動する。シートSHの突き板35先端から上流側の部分は、突き板35が上搬送ガイド45の第2水平部分45bの下方を通過する間、該第2水平部分と突き板35上面との狭い隙間を搬送される。
制御部120は、レジストローラー駆動モーターMT1を制御してレジストローラー対33のシート搬送速度を制御すると同時に、突き板駆動モーターMT3を制御して突き板35の移動速度を制御する。本実施形態において、突き板35の移動速度Vbは、前記退避位置からの移動開始直後及び前記突き位置での停止直前を除いて、実質的にレジストローラー対33によって送り出されるシート搬送速度Vsと等速に、即ちVb=Vsに制御される。
これにより、シートSHは、突き板35先端から上流側の部分が、実質的に突き板35と同期してその上面に支持された状態で、水平かつ直線状に前記突き位置までスムーズに移動する。従って、シートSHが突き板35に突き押されて移動する間、該突き板の突き当て位置が、シートの前記所定位置から搬送方向上流側又は下流側にずれる虞が解消される。その結果、突き板35の移動速度がレジストローラー対33によるシートの搬送速度と異なる場合(シートの搬送が停止している場合を含む)に起こり得る、次のような問題が未然に防止される。
例えば、突き板35の移動速度がレジストローラー対33によるシートの搬送速度より速いと、シートは、突き板35に突き押されて中央搬送路42を移動する間、突き板35先端とレジストローラー対33との間で突っ張り、そのために突き板35の突き当て位置がシートの前記所定位置から上流側にずれたり、レジストローラー対33のニップ部38でシートがすべる虞がある。逆に、突き板35の移動速度がレジストローラー対33によるシートの搬送速度より遅いと、シートは、突き板35先端とレジストローラー対33との間で弛み、そのために上搬送ガイド45の第2水平部分45bと突き板35間の前記隙間内で湾曲したり、突き板35の突き当て位置がシートの前記所定位置から下流側にずれる虞がある。本実施形態によれば、かかる問題が解消される。
突き板35の移動速度が、突き板駆動モーターMT3の駆動開始からシート搬送速度Vsに到達するまでの遷移時間hbを予め設定することが好ましい。この遷移時間hbを考慮して、或る実施形態では、前記退避位置にある突き板35の先端を、該突き板が移動するニップ部39の接線39a上で、シート搬送方向に下搬送ガイド46の第1下ガイド部分46aの下流端から上流側に或る距離L離隔して配置する。
この距離Lは、突き板35が折りローラー対34に向けて移動を開始してから、その移動速度がVb=Vsになるまでの移動距離より長く設定する。これにより、突き板15の先端は、シート搬送速度Vsと同じ移動速度Vbで折りループFLの所定位置に突き当てられ、その移動速度を前記突き位置で停止する直前まで維持したまま、突き当て位置が折りループFLの前記所定位置からずれることなく移動する。
突き板35に突き押されて中央搬送路42を下流側に進むシートは、図17に示すように前記第3経路部に進入すると、突き板35を挟んで上側のシート部分が、上搬送ガイド45の第2水平部分45bにより上方から規制され、下側のシート部分が、下搬送ガイド46の第2下ガイド部分46bにより下方から規制される。図17は、突き板35の先端が上搬送ガイド45の第2水平部分45bと、第2下ガイド部分46bの第2傾斜ガイド部52bとの間を移動する過程を詳細に示している。このとき、シートSHは、その突き板35先端から下流側の部分が第2傾斜ガイド部52bに沿って上流側に傾斜した形態に絞られる。
更に突き板35の先端は、図8(e)に示すように、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進み、それらの狭い隙間で、シートSHは上下から規制される。その結果、シートは、前記第3経路部を進む間、突き板35が突き当てられた前記所定の位置で屈曲した形態に、仮折りされる。この仮折りした屈曲位置が、後の折りローラー対34により加圧折曲されて、図6(b)に示す折りシートの第2の折り目203となる。
突き板駆動モーターMT3の駆動量が、予め設定された第2の設定駆動量になる(ステップST54のY)と、突き板駆動モーターMT3を停止させる(ステップST55)。これにより、突き板35は、図8(e)に示すように、その先端を前記第3経路部で上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進入させた突き位置35″で停止する。これにより、シートの前記第2の折り目となる折り位置FP2は、上述した仮折りによって屈曲した形態で、折りローラー対34のニップ部39の直前まで運ばれる。
このように、突き板35を上搬送ガイド45と第2下ガイド部分46bとの間に進入させることで、シートは、前記折り位置でシートが上下に重なる方向に強制的に曲げて仮折りされる。このように仮折りした後に、シートが前記折り位置で折りローラー対34にニップされて折られることによって、前記第2の折り目でシートの折り部分が開くことを抑え、見栄えの良い折りシートができる。
ここで、前記第2の設定駆動量は、突き板35を前記退避位置から突き位置35″に移動させるのに要する突き板駆動モーターMT3の駆動量である。突き板駆動モーターMT3の駆動量には、該モーターの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
ステップST55における突き板駆動モーターMT3の停止後、レジストローラー駆動モーターMT1が、予め設定された第3の設定駆動量まで駆動される(ステップST31のY)と、制御部120は、折りローラー駆動モーターMT2を駆動させる(ステップST32)。ここで、前記第3の設定駆動量は、ステップST58での突き板駆動モーターMT3停止後もシートを継続的に送り出して、図18に示すように、シートの折り位置FP2が折りローラー対34のニップ部39に巻き込まれる位置に至るまで、レジストローラー対33を回転させるレジストローラー駆動モーターMT1の駆動量である。
折りローラー駆動モーターMT2の駆動により折りローラー対34が回転すると、シートの前記第2の折り目となる折り位置FP2が、図8(f)に示すように、折りローラー対34のニップ部39に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラー34a,34b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートには、第2の折り目F2(203)が所定の折り位置に形成される。シートの折り位置FP2は、上述したように仮折りされた形態でシート搬送方向に搬送され、そのまま折りローラー対34のニップ部39に巻き込まれるので、第2の折り目F2の位置は、従来のばらつきを生じることなく、高精度に安定する。
ところが、薄紙のように柔らかく、腰が弱い(坪量が小さく、剛性が低い)シートは、中央搬送路42の上下搬送ガイド45,46間を搬送されるとき、普通紙や厚紙のように腰が十分な又は強い(坪量が大きく、剛性が高い)シートに比べて下方へ弛み易い傾向がある。この弛みは主として、レジストローラー対33から送り出されたシートが、下搬送ガイド46の第1下ガイド部分46a下流端から隙間48を通してループ形成空間50に垂れ下がるとき(第1の弛み)と、突き板35に突き押しされたシートの先端が、中央搬送路42の前記第3経路部を移動しているとき(第2の弛み)に顕著に表れる。
前記第1の弛みとして、腰の弱いシートは、下搬送ガイド46の第1下ガイド部分46aに沿って送り出された後、その下流端から下方へ急に湾曲する。これに対し、普通紙や厚紙は、第1下ガイド部分46a下流端から下方へ比較的緩やかに湾曲する。そのため、腰の弱いシートは、図4における接線39aと、普通紙や厚紙の場合よりも搬送方向上流側の位置で交差する。しかも、シートSHは突き板35と同じ速度で移動しているから、突き板35を前記退避位置から同じタイミングで起動したとき、それが腰の弱いシートに突き当たる位置は、普通紙や厚紙の場合よりも搬送方向下流側にずれる。その結果、腰の弱いシートは、普通紙や厚紙よりも搬送方向下流側の位置が、突き板35に突き押しされて前記突き位置まで移動することになる。
前記第2の弛みについて、図19(a),(b)を用いて説明する。図19(a)は、普通紙又は厚紙であるシートSH1を突き押しする突き板35の先端が、図19(b)は、薄紙であるシートSH2を突き押しする突き板35の先端が、それぞれ中央搬送路42の前記第3経路部の直線部66に進入した仮折り直後の状態をそれぞれ示している。
前記第3経路部の第2傾斜ガイド部52bの範囲を移動する際、シートSH1(普通紙又は厚紙)は、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと突き板35上面との隙間68で、仮折りされた突き板35先端近傍の部分が、比較的緩やかに撓み、それより上流側の部分は、突き板35上面への弛みも無く、上搬送ガイド45の壁面に沿って比較的直線状に延長している。シートSH1の突き板35先端より下流側の部分は、第2下ガイド部分46bの第2傾斜ガイド部52bとの間で下方へ比較的緩やかに撓んでいる。
これに対し、シートSH2(薄紙)は、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと突き板35上面との狭い隙間68で、仮折りされた突き板35先端近傍の部分が、突き板35上面側にシートSH1よりも大きく撓み、それより上流側の部分が突き板35上に弛んでいる。シートSH2の突き板35先端より下流側の部分は、第2下ガイド部分46bの第2傾斜ガイド部52bとの間で下方へ、シートSH1に比して大きく撓んでいる。
突き板35の先端が前記第3経路部の第2傾斜ガイド部52bの領域から直線部66に移行するとき、両シートSH1,SH2は、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間で上下から絞られる。そして、突き板35が前記突き位置で停止した後も、両シートSH1,SH2がレジストローラー対33により同じ速度で下流側に送り出されるから、前記両シートの仮折りで湾曲した部分SHt1,SHt2は、図19(a),(b)に破線で示すように、突き板35先端から離れて折りローラー対34のニップ部39側に少し、折りローラー対34のローラー面に接する位置まで延出する。
このとき、図19(a)に示すシートSH1の仮折り湾曲部分SHt1は、そのシート剛性によって、それまでと同様に緩やかな撓み具合を維持している。これに対し、剛性の低いシートSH2の仮折り湾曲部分SHt2は、直線部66に進入する際に撓み具合が少し増して、図19(b)に示すようにシートSH1よりも大きく撓んでいる。そのため、レジストローラー対33によるシート送出し量が同じであるにも拘わらず、シートSH2の仮折り湾曲部分SHt2は、その下流側先端の位置がシートSH1の仮折り湾曲部分SHt1よりも下流側に先行する。従って、仮折り湾曲部分SHt2が上側の折りローラー34bのローラー面に最初に直接接する位置Pc2は、仮折り湾曲部分SHt1が前記上側の折りローラーのローラー面に最初に直接接する位置Pc1よりも、少しニップ部39に近くなる。
その結果、折りローラー対34にニップされるシートSH2(薄紙)の位置は、シートSH1(普通紙又は厚紙)よりも搬送方向下流側にずれることになる。この前記第2の弛みによるニップ位置のずれと、前記第1の弛みによる突き板35突き当て位置のずれとによって、折りローラー対34により形成される折り目の位置が、シートSH2(薄紙)はシートSH1(普通紙又は厚紙)よりも搬送方向下流側にずれるという問題が発生する。
このようにシートの腰の強弱(シートの剛性、シートの坪量)によって折り目の位置にずれが生じる問題を解消するために、本実施形態によれば、図8(d)の退避位置から前記突き位置に向けた突き板35の移動を開始させるタイミングを制御調整する。具体的には、折り処理されるシートの腰の強弱に応じて、制御部120によって、レジストローラー対33を駆動するレジストローラー駆動モーターMT1、及び突き板35を移動させる突き板駆動モーターMT3の制御を調整する。
実際上、隙間88の上下高さは、図19(b)に示すように比較的小さい。そのため、前記第2の弛みに起因するシートの折り目形成位置のずれ量は、シートのサイズ、厚さ(坪量)等の特性が同じであれば、折り目形成位置のずれを解消するという本発明の目的の範囲で、そのばらつきは無視し得る程度に小さいと考えることができる。前記第1の弛みに起因するシートの折り目形成位置のずれ量も、レジストローラー対33から送り出されるシートは、第1下ガイド部分46aの下流端から実質的に自由に垂下し得るから、同様にばらつきは小さいと考えてよい。
従って、普通紙及び厚紙に対する薄紙の折り目形成位置のずれ量は、事前のテストで、使用が予想される異なるシート特性毎に実際のずれ量を複数回測定し、その平均値をとることによって、上述した本発明の目的を達成する上で十分に対応可能な値が得られる。このようにして得られた薄紙の折り目形成位置のずれ量は、制御部120のROM127に記憶させておき、前記折りループカウンター設定処理のステップST02-3において、折りループカウンター値のずれ量ΔPを設定するために使用することができる。
図20は、制御部120に制御されてレジストローラー駆動モーターMT1及び突き板駆動モーターMT3に印加される駆動電圧のタイミングチャートである。同図の横軸に表される時間は、前記折りループカウンターに関連して上述したレジストローラー駆動モーターMT1の駆動パルスのカウント数を時間に変換したものであり、従って該モーターMT1の駆動速度によって変化する。
同図において、時刻t0にレジストローラー駆動モーターMT1が起動され(図10のステップST12)、その駆動パルスのカウントが折りループカウンター128によって開始される(同ステップST13)。シートが普通紙又は厚紙(SH1)の場合、時刻t1に突き板駆動モーターMT3が起動されて、突き板35が移動を開始する。時刻t1は、折りループカウンター128が、時刻t0を起点として基準折りループカウンター値Px(図9のステップST02-4)をカウントアップした時である。
ここで、基準折りループカウンター値Pxは、レジストローラー対33によってレジスト処理後に搬送方向下流側へ送り出されたシートの送り量である。これは、図6(a)に示すように、折りローラー対34のニップ部39にニップされた状態で保持されるシートSH(図8(c))のシート搬送方向先端(下流端)から該ニップ部までのシート搬送方向長さΔLを、該シートのシート搬送方向長さLの1/2長さL’に加えた距離に相当する。
図6(b)に示すように、この折りループカウンター値Pxの位置は、Z折りしたシートSHの第2の折り目203に対応し、その先端201から距離ΔL後方(上流側)に配置される。折りループカウンター値Pxの位置とシート先端201から距離ΔL後方の位置との中間位置が、Z折りしたシートSHの第1の折り目202に対応する。従って、Z折りしたシートSHの後端(上流端)204は、先端201から元のシートのシート搬送方向長さLの1/2長さL’の位置に対応する。本実施形態によれば、このようにZ折りしたシートSHを元のシートの1/2サイズ(例えばA3サイズの場合にA4サイズ)に一致させることができる。
シートが薄紙(SH2)の場合、時刻t2に突き板駆動モーターMT3が起動されて、突き板35が移動を開始する。時刻t2は、折りループカウンター128が、時刻t0を起点として、予め定められたずれ量ΔPを基準折りループカウンター値Pxに加算した値(図9のステップST02-3)をカウントアップした時である。
この折りループカウンター値のずれ量ΔPは、上述したように、事前のテストで測定した異なるシート特性毎の折り目形成位置のずれ量(シート搬送方向長さ即ちシートの搬送距離)を、レジストローラー駆動モーターMT1の駆動パルスのカウント数に変換したものである。本実施形態によれば、このような普通紙又は厚紙に対して薄紙の場合だけでなく、シート特性の相異によって予想される折り目形成位置のずれを考慮し、そのずれ量を予め準備して、突き板35の移動開始のタイミングを遅らせることによって、折りシートに形成される折り目の位置ずれを解消し又は低減させることができる。
ステップST32で折りローラー駆動モーターMT2が駆動すると、折りローラー対34のニップ部39へのシートの巻き込みを妨げないように、制御部120は、突き板35を突き位置35″から前記退避位置に戻す退避処理を実行する(ステップST33)。この退避処理は、前記折りループ処理に関連して図12及び図8(b)、(c)を用いて説明したのと同様に行う。
即ち、図8(e)の状態において、制御部120は、突き板駆動モーターMT3を逆転駆動して、突き板35を突き位置35″からシート搬送方向上流側へ水平に前記退避位置に向けて移動させる。第1下ガイド部分46a下方の第3検出センサーS3が、突き板35の前記検出フラグを検出してオンになると、突き板駆動モーターMT3を停止させる。これにより、突き板35は、図8(f)に示すように退避位置に配置される。
このとき、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が完全に開かれて、中央搬送路42の前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。従って、折りループFLは、折りローラー対34のニップ部39へ、図8(e)の巻き込み開始時から連続的に、突き板35に妨げられることなくスムーズに巻き込ませることができる。
折りローラー対34は、突き板35の退避処理後も引き続き回転駆動される。従って、シートは、図8(f)に示すように、その先端及び折りローラー対34により形成された第2の折り目F2を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、該折りローラー対にニップされ、シート搬出路43を下流側へ搬送される。
このようにシートが搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなる。折りループFLは、中央搬送路42の前記第3経路部に進入し、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2傾斜ガイド部52bとにより上下から絞られて、シート搬送方向に延びた薄いループ形状になる。更に折りループFLは、第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進み、第1の折り目となる後端(上流端)の折り位置FP1で上下から二つ折りに屈曲される。
シートの折り位置FP1は、このように屈曲された形態で、その上に重ねられたシートの上流側部分との間でシート搬送方向にすべりや位置ずれを生じることなく搬送され、折りローラー対34のニップ部39で加圧折曲される。従って、シートには、前記第1の折り目(図6(b)の202)が、従来のようなばらつきを生じることなく、安定して高精度で所望の位置に形成される。
これにより、図6(b)に示すように、内折りの第1の折り目202と外折りの第2の折り目203とを形成したZ折りシートSHが生成される。本実施形態では、上述したように、回転停止している折りローラー対34がシート先端部分をニップした状態で折りループFLを形成し、その後に折りローラー対34を回転させて第2及び第1の折り目を折曲形成するので、折りループFL形成時にニップされていたシート先端部分が、第2の折り目から先端側(下流側)へはみ出した形態にZ折りされる。
次に、シート搬入路41において第1検出センサーS1が、レジストローラー対33及び折りローラー対34により搬送されているシートの後端を検出してオフになる(ステップST34のY)と、制御部120は、突き板35を前記退避位置からガイド位置35′に移動させるガイド処理を実行する(ステップST35)。このとき、折りループFLは既に折りローラー対34を通過しているように設定されている。従って、突き板35をガイド位置35′に移動させても、中央搬送路42におけるシートの搬送及び折りローラー対34による折り目形成処理に何ら支障を生じることはない。
前記ガイド処理は、例えば図21のフローチャートに示す手順に従って実行する。突き板駆動モーターMT3を正転駆動し(ステップST56)、突き板35を折りローラー対34側へ水平に移動させる。突き板駆動モーターMT3の駆動量が、予め設定された第4の設定駆動量になる(ステップST57のY)と、突き板駆動モーターMT3を停止させる(ステップST58)。
ここで、前記第4の設定駆動量は、突き板35を前記退避位置からガイド位置35′に移動させるのに要する突き板駆動モーターMT3の駆動量である。これにより、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が突き板35で閉じられるので、シートの後端は、中央搬送路42を突き板35の上面に案内されて、折りローラー対34に向けて真直ぐ搬送される。突き板駆動モーターMT3の駆動量には、該モーターの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
次に、制御部120は、第2検出センサーS2が、中央搬送路42を通過するシートの後端(上流端)を検出してオフになる(ステップST36のY)と、その時点からの折りローラー駆動モーターMT2の駆動量をカウントし、予め設定された所定の停止駆動量になる(ステップST37のY)と、レジストローラー駆動モーターMT1及び折りローラー駆動モーターMT2を停止させる(ステップST38)。
ここで、前記所定の停止駆動量は、シートの後端が折りローラー対34を通過するのに十分な折りローラー駆動モーターMT2の駆動量である。これにより、レジストローラー対33及び折りローラー対34は、シート搬出口32bからシート後処理装置Bへのシートの搬出に何ら支障を生じることなく回転を停止し、シートのZ折り処理を終了する。
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。