以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[画像形成システム]
図1は、本発明を適用した画像形成システムを正面側から見た全体構成を示している。同図の画像形成システムは、画像形成装置Aと、該画像形成装置により画像形成されたシートの後処理装置としてのシート処理装置Bとから構成される。画像形成装置Aで画像形成されたシートは、シート処理装置Bを通して搬送され、積層トレイに収納される。以下に、画像形成装置A及びシート処理装置Bについて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1と、画像読取ユニットA2と、原稿給送ユニットA3とを含む。画像形成ユニットA1は、公知の静電印刷機構によりシート上に画像を形成する型式のものであり、装置ハウジング1内に給紙部2、画像形成部3、排紙部4及び本体制御部(図示せず)を備える。装置ハウジング1の上部には、画像読取部5からなる画像読取ユニットA2と、その上に自動原稿送り部6からなる原稿給送ユニットA3とが一体に設けられている。更に画像形成装置Aは、画像読取ユニットA2の正面に、ユーザーが操作するための設定パネルDを装備している。
本実施形態の画像形成装置Aは、所謂胴内排紙型であり、図1中画像形成部3と排紙部4と画像読取部5との間に正面コ字状の排紙空間(胴内空間)Sが大きく画定され、その中にシート後処理装置Bが配設されている。尚、画像形成装置Aには、上記静電印刷機構以外に、インクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式等、他の種々の画像形成機構を採用可能である。
給紙部2は、それぞれ異なるシートサイズの4段の給紙カセット2a、2b、2c、2dが、装置ハウジング1に着脱自在に設けられている。画像形成するシートを収納した給紙部2は、前記本体制御部から指示されたサイズのシートを、対応する前記給紙カセットから給紙経路8に繰り出す。
画像形成部3は、中間転写ベルトを用いたタンデム方式を採用している。具体的には、4色の色成分(イエロー3Y、マゼンダ3M、シアン3C、ブラック3BK)を用いており、例えばイエロー3Yにおいては、像担持体としての感光ドラム3aと、この感光ドラム4aを帯電する帯電ローラーからなる帯電装置3bと、画像読取部5で読み取った画像信号を潜像とする露光装置3cとを有する。
更に、感光ドラム3aに形成された潜像をトナー像として形成する現像装置7aと、この現像装置7aで形成された感光ドラム3a上の像を中間転写ベルト9に1次転写する一次転写ローラー7bとを備える。これらの構成によって、前記潜像は色成分毎に中間転写ベルト9に1次転写される。転写後に感光ドラム3aに残った色成分は、感光クリーナ7cによって回収され、次の画像形成に備えられる。このイエロー3Yにかかる説明は、他の3色の色成分についても同様である。
中間転写ベルト9に転写されたトナー像は、二次転写ローラー10によって、給紙部2から給紙されるシートに転写され、その後、定着器12の加圧と加熱とにより溶解されてシートに定着される。このとき中間転写ベルト9に重ね合わされて残った色成分は、中間ベルトクリーナ11により除去され、次の転写に備えられる。
このように画像形成されたシートは、排紙部4の排紙経路13を通して、切替ゲート15により切り替えられて、上側の第1排紙口16又は下側の第2排紙口17に向けて搬送される。下側の第2排紙口17は、後述するようにシート処理装置Bの図中右端面に設けられる搬入口18に接続するように配置される。シートの両面に画像形成する場合、第1排紙口16(又は第2排紙口17)に向けて一旦搬送したシートを第1排出ローラー19によってスイッチバックさせ、その面を表裏反転させて循環経路19から再び画像形成部3に送り、シートの裏面側に画像形成する。
画像読取ユニットA2の画像読取部5は、原稿用紙を載置するプラテン21と、該プラテンに沿って移動する読取キャリッジ22と、例えばCCDデバイスからなる光学読取手段23とを備える。プラテン21上の原稿用紙は、読取キャリッジ22によりスキャニングして光学的に読み取られ、それにより生成された光学像が、光学読取手段23により画像データに光電変換される。原稿給送ユニットA3の自動原稿送り部6は、給紙トレイ25にセットされた原稿用紙を自動的にプラテン21に給送する。
このように画像形成装置Aは、原稿送り部6から送られる原稿を画像読取部5で読み取り、読み取った画像データに従って、給紙部2から送られたシートの片面又は両面に画像形成部3で画像形成する。画像形成されたシートは、シート処理装置Bでの後処理を行う場合、第2排出ローラー14によって第2排紙口17からシート処理装置Bに送り込まれる。
[シート処理装置]
シート処理装置Bは、図2に示すように、図中右側から左側へ連続して配置された、パンチユニット130からなる上流側処理ユニットと、折りユニット131と、綴じユニット132からなる下流側処理ユニットとを備える。綴じユニット132の図中左端には、前記下流側処理ユニットの一部を構成する積載ユニット133が一体に設けられている。シート処理装置B内部には、画像形成装置A側の搬入口18から積載ユニット133まで至る概ね水平な搬送経路134が設けられている。
別の実施形態では、前記上流側及び/又は下流側処理ユニットとして、パンチユニット130及び/又は綴じユニット132とは異なるシート処理機能を有する別の処理ユニットを配置することができる。例えば、前記上流側処理ユニットとして、画像形成装置Aの第2排紙口17から排出されるシートをシート処理装置Bに送るか、又は両面に画像形成を形成するために画像形成装置A内にスイッチバックするかを案内するシートガイドユニットや、シートにスタンプを付すスタンプユニット、シートに凹凸加工を付すエンボスユニットを単独で、又はパンチユニット130若しくは他のユニットとの組み合わせで配置することができる。また、前記上流側ユニット又は下流側処理ユニットの一方を省略することもできる。
[パンチユニット]
パンチユニット130には、搬送経路134の上流側部分を構成する第1搬送経路134aが、搬入口18から折りユニット131に向けて概ね水平に設けられている。第1搬送経路134aに沿った所定位置に、該第1搬送経路を搬送されるシートにパンチ孔を形成する穿孔装置138が配設されている。穿孔装置138の下方には、穿孔されたシートから落下するパンチ屑を収納する屑箱139が配置されている。
穿孔装置138は、従来公知の穿孔機構からなり、例えば駆動モーターにより偏心カムを回転させ、ロッド部材の先端に穿孔刃を有するパッチロッドを軸線方向に、前記穿孔刃をシート面に向けて上下往復動させることによって、第1搬送経路134aを搬送されるシートを、所定の穿孔処理位置で一時停止させた状態で穿孔する。穿孔装置138は、上記穿孔機構に限定されるものでなく、他の様々な公知のものを採用することができる。
[綴じユニット]
綴じユニット132には、図2に示すように、搬送経路134の下流側部分を構成する第3搬送経路134cが、ハウジング100内に折りユニット131側のシート搬入口107から積載ユニット133に向けて水平よりやや斜め上向きに設けられている。シート搬入口107は、後述するに折りユニット131のシート排出口と接続するように配置される。綴じユニット132は、第3搬送経路134cの下方にステープルユニットST1からなる綴じ装置と、綴じ処理トレイ104とを備える。ハウジング100の一方の側面(図1の左側面)には、綴じユニット132から排出されるシートを積載収納する積載トレイ126が一体に設けられている。
第3搬送経路134cの排紙口109は、積載トレイ126の紙載面を臨むように、該積載トレイの上方に配置されている。折りユニット131から送られたシートは、ステープルユニットST1による針綴じ処理を行う場合、第3搬送経路134cを搬送されて、その排紙口109から綴じ処理トレイ104の紙載面に排出される。綴じ処理トレイ104に集積された複数のシートは、ステープルユニットST1によってシート束に針綴じ処理された後、該綴じ処理トレイから積載ユニット133に向けて搬送され、その下流端から下方の積載トレイ126に排出される。他方、折りユニット131から送られたシートは、ステープルユニットST1による針綴じ処理を行わない場合、第3搬送経路134cの排紙口109からそのまま積載トレイ126に排出される。
[積載ユニット]
積載ユニット133は、綴じユニット132から排出されるシートを集積する積載トレイ126と、該積載トレイを昇降させるトレイ昇降機構136とを備える。トレイ昇降機構136は、昇降ラック141と、該昇降ラックに噛合する昇降ピニオン142とから構成することができる。
図1及び図2の実施形態では、シート処理装置B(綴じユニット132)の図中左側の下流側端面が排紙空間Sから下流側へ少しはみ出して、画像形成装置A(画像形成ユニットA1)の左側端面よりも外側に位置している。昇降ラック141は、シート処理装置B(綴じユニット132)の図中左側の下流側端面に沿って、綴じユニット132の綴じ処理トレイ104の下流端より少し下方の位置から概ね垂直下向きに延長する。図1の昇降ラック141は、シート処理装置Bの下流側端面を越えて、画像形成装置A(画像形成ユニットA1)の図中左側端面の途中(図示する実施形態では、中間高さ位置付近)まで延設されている。
昇降ラック141は、垂直方向に上端から下端まで連続する一体型のラック部材を使用し、その上部側でシート処理装置B側に、更に必要に応じて画像形成ユニットA1側に固定して取り付けることができる。別の実施形態では、シート処理装置B(綴じユニット132)の下部まで延長する標準ラック部材と、その下端に連結される延長ラック部材とで、一体に連続する昇降ラック141を構成することができる。前記延長ラック部材は、シート処理装置B側及び画像形成ユニットA1側の双方に固定することが好ましい。
積載トレイ126は、その基端部(上流側即ち綴じユニット132側)で昇降ピニオン142に一体に固定される。昇降ピニオン142は、例えば歯車機構やベルト機構等の公知の伝達機構を介して昇降モーター(図示せず)によって回転駆動され、昇降ラック141に沿って垂直に移動する。これにより、積載トレイ126を昇降ラック141に沿って昇降させ、所望の高さ位置に停止させて保持することができる。この積載トレイ126の昇降動作は、画像形成装置Aの前記本体制御部によって制御することができる。
図3は、別の実施形態による積載ユニット144を備えたシート処理装置Bを示している。同図の積載ユニット144は、昇降ラック145が、上述したようにシート処理装置B(綴じユニット132)の下部までの範囲で設けられる標準ラック部材のみで形成されている。その結果、シート処理装置B全体の高さ寸法を、他の処理ユニット130,131,132の高さ寸法に抑制することができ、装置全体の小型化が図られる。また、他の処理ユニット130,131,132の下端から下方に延在する部分が無いので、例えば前記上流側処理ユニット(パンチユニット130)を省略してシート処理装置B全体の搬送方向寸法を短くした場合、装置全体を排紙空間S内に収容できるので、画像形成装置Aの設置スペースを維持することができ、また、シート処理装置Bを単体で設置する場合にも有利である。
[折りユニットの全体構成]
折りユニット131は、図4に示すように、ハウジング31の内部に、前記上流側処理ユニット(パンチユニット130)側のシート搬入口32aから前記下流側ユニット(綴じユニット132)側のシート排出口32bまで至る第2搬送経路134bが形成されている。第2搬送経路134bは、上流側の第1搬送経路134aと下流側の第3搬送経路134cとに接続されて、シート処理装置Bの搬送経路134を形成している。
第2搬送経路134bには、シート搬送方向に沿って上流側にレジストローラー対33と、下流側に折りローラー対34と、前記両ローラー対の間に突き板35とが配設されている。折りユニット131は、シート搬入口32aをパンチユニット130のシート排出口に、シート排出口32bを綴じユニット132のシート搬入口107にそれぞれ接続させるように配置される。
更に、第2搬送経路134bのシート排出口32b付近には、任意により増し折り機構36を設けることができる。折りユニット131のような折り処理機構において、折り処理後の下流側で搬送されるシートを折り目位置で確実に折り合わせるために、シートを折り目位置で加圧する増し折り機構を設けることは、従来より当業者によく知られている。
[レジストローラー対]
レジストローラー対33は、図中第2搬送経路134bを挟んで配置された上側の駆動ローラー33aと下側の従動ローラー33bとからなる。従動ローラー33bは、例えば適当なばね手段(図示せず)によってローラー面が駆動ローラー33aのローラー面に圧接され、それにより従動ローラー33bは、駆動ローラー33aが後述するレジストモーターによって回転すると、それに追従して回転する。
パンチユニット130から折りユニット131に向けて送り出されたシートは、その先端を、回転停止しているレジストローラー対33の前記ローラー面の圧接部であるニップ部38に突き当てることによって先端位置を揃える。このように先端位置を整合させて斜行を矯正したシートは、所定のタイミングでレジストローラー対33を駆動することにより、第2搬送経路134bを折りローラー対34に向けて搬送される。
別の実施形態において、レジストローラー対33は、パンチユニット130から折りユニット131へシートを排出する排出ローラー(図示せず)で代替することができる。これにより、折りユニット131及びシート処理装置Bの部品点数を減らして製造コストを低減し、装置全体をシート搬送方向に小型化することができる。この場合、パンチユニット130前記排出ローラー対には、上述したように第2搬送経路134bに搬入されるシートの先端位置を揃える機能を持たせることが好ましい。
[折りローラー対]
折りローラー対34は、図中第2搬送経路134bを挟んで配置された上側の上折りローラー34aと下側の下折りローラー34bとからなる。両ローラー34a、34bは、後述するようにレジストローラー対33から送られるシートの先端及び折り目をニップして折り処理するために、例えば適当なばね手段(図示せず)によって互いにローラー面が圧接されると共に、そのように圧接した状態で、後述する共通の折りローラー駆動モーターによって同期してシート搬送方向に回転する。
折りローラー対34は、前記ローラー面の圧接部であるニップ部39を通る接線39aよりも上方に、レジストローラー対33のニップ部38が位置するように配置される。図4の実施形態では、接線39a及びレジストローラー対33のニップ部38を通る接線38aが双方概ね水平に、かつ接線38aが接線39aの上方を通るように、上下に或る高さずらして配向されている。
[第2搬送経路]
第2搬送経路134bは、図4に示すように、シート搬送方向に沿ってシート搬入口32aからレジストローラー対33に至るシート搬入路41と、該レジストローラー対から折りローラー対34に至る中央搬送路42と、該折りローラー対からシート搬出口32bに至るシート搬出路43とから構成される。
シート搬入路41は、搬入されるシートの先端をレジストローラー対33のニップ部38に案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬入ガイド41aと下搬入ガイド41bとを有する。上搬入ガイド41aは、上述したようにレジストローラー対33のニップ部38にシートの先端を突き当てさせて先端位置を揃える際に、上流側から送り込まれるシートが、シート搬入路41内でループ状に撓み得る空間を確保するために、レジストローラー対33付近から入口側に向けて上方へ大きく拡大している。
中央搬送路42は、図4に示すように、レジストローラー対33で先端揃えしたシートを折りローラー対34のニップ部39に案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬送ガイド45と下搬送ガイド46とを有する。シートは、上下搬送ガイド45,46によってその厚み方向の両側から、本実施形態では上下から規制された状態で、中央搬送路42を搬送される。
上述したように、レジストローラー対33のニップ部38を通る接線38aと折りローラー対34のニップ部39を通る接線39aとを水平にかつ上下高さをずらして配置したので、上搬送ガイド45は、接線38aに沿って下流側へ水平に延びる第1水平部分45aと、接線39aに沿って上流側へ水平に延びる第2水平部分45bと、両接線38a,39aを結ぶように上流側から下流側へ下向きに傾斜した傾斜部分45cとを有する。
図4に示すように、傾斜部分45cは、第2水平部分45bの上流端から図中右側斜め上方へ直線状に形成されている。傾斜部分45cと第2水平部分45bとは直線的に交差し、その接続部分には、比較的大きい鈍角の角部からなり、中央搬送路42の概ね下方に向けて凸の凸状部47が形成されている。同様に、傾斜部分45cと第1水平部分45aとの接続部分も、比較的大きい鈍角の角部に形成されている。
別の実施形態では、傾斜部分45cと第2水平部分45bとの接続部分を湾曲させることができる。この場合、凸状部47は、中央搬送路42の概ね下方に向けて凸の湾曲部で形成される。傾斜部分45cと第1水平部分45aとの接続部分も、同様に湾曲させることができる。また別の実施形態では、上搬送ガイド45の第2水平部分45b及び傾斜部分45cとは別個の部材で、凸状部47を形成することができる。
本実施形態では、図4に示すように、第1水平部分45a及び傾斜部分45cと第2水平部分45bの上流側部分とが、1つの連続する第1上搬送ガイド部材で形成され、第2水平部分45bの下流側部分は、別の1つの第2上搬送ガイド部材で形成されている。前記第1及び第2上搬送ガイド部材は、中央搬送路42におけるシートの搬送上支障を生じないように、実質的に連続して配設されている。また、前記第1上搬送ガイド部材は、複数の実質的に連続するガイド部材で形成することができ、前記第1上搬送ガイド部材と第2上搬送ガイド部材の境目も、図4に示す位置以外に様々に設定することができる。
下搬送ガイド46は、レジストローラー対33からシート搬送方向に沿って下流側へ所定の位置まで延びる第1下ガイド部分46aと、折りローラー対34からシート搬送方向に沿って上流側へ所定の位置まで延びる第2下ガイド部分46bとを有する。第1及び第2下ガイド部分46a,46bは、それらの間にシート搬送方向に沿って大きい隙間48を画定するように離隔してハウジング31側に固定されている。第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48は、後述するように折りローラー対34のニップ部39に向けて水平に進退可能な突き板35によって、選択的に開閉される。
下搬送ガイド46の隙間48の下方には、図4に示すように、比較的大きなループ形成空間50が設けられている。突き板35が退避(図4中、実線で表示)して隙間48が開かれていると、中央搬送路42内のシートは、隙間48からループ形成空間50に垂れ下がらせることができる。ループ形成空間50は、その上部側が、下搬送ガイド46と突き板35により開閉される隙間48とによって中央搬送路42から区画され、それ以外が、折りユニット131の外郭を形成するハウジング31によって外部から区画されることにより画定されている。突き板35が進出(図4中、想像線35′で表示)して隙間48が閉じられると、レジストローラー対33から送り出されたシートは、ループ形成空間50に垂れ下がることなく、中央搬送路42に沿って折りローラー対34に向けて搬送することができる。
第1下ガイド部分46aは、レジストローラー対33から下流側へ水平に、概ね上搬送ガイド45の第1水平部分45aに対向して延びる第1水平ガイド部51aと、そこから更に下流側へ、概ね前記上搬送ガイドの傾斜部分45cに途中まで対向して略平行に傾斜する第1傾斜ガイド部51bとを有する。第1傾斜ガイド部51bの下流端は、隙間48の開放時にシートの垂れ下がり開始位置を画定する。本実施形態では、図示するように、第1傾斜ガイド部51bの前記下流端が、折りローラー対34のニップ部39を通る接線39aよりも上方に位置するように設けられている。
第2下ガイド部分46bは、折りローラー対34から上流側へ水平に延びる第2水平ガイド部52aと、該第2水平ガイド部から上流側へ下向きに傾斜する第2傾斜ガイド部52bと、該第2傾斜ガイド部から概ね垂直下方に延びる垂直ガイド部52cとを有する。第2水平ガイド部52aは、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと協働して、シートを厚み方向に即ち上下方向に両側から規制しつつ、シートの先端を折りローラー対34のニップ部39に案内する。第2傾斜ガイド部52bは、ループ形成空間50に垂れ下がったシートを折りローラー対34のニップ部39へ案内するように、該ループ形成空間に向けて傾斜している。垂直ガイド部52cは、ループ形成空間50の寸法を確保しつつ、第2傾斜ガイド部52bと共に、ループ形成空間50に垂れ下がったシートを折りローラー対34側から隔離している。
突き板35が退避位置にあるとき、レジストローラー対33から中央搬送路42に送り出されたシートは、第1傾斜ガイド部51bの下流端を越えると、シート先端から下方へ開放された隙間48を通してループ形成空間50内に直線状に垂れ下がる。これに対し、シート先端が折りローラー対34にニップされかつ該折りローラー対が回転停止した状態で、隙間48が開放されると、中央搬送路42内のシートは、後述するように、隙間48を通してループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がる。
上搬送ガイド45の凸状部47が、シート搬送方向に沿って隙間48の略中央位置に配置されていると、好都合である。そのため、或る実施形態では、凸状部47は、レジストローラー対33のニップ部38と折りローラー対34のニップ部39とを結ぶ直線より下方、即ちループ形成空間50側に位置するように配設する。このように凸状部47を配置することによって、シートは、シート搬送方向に隙間48の中央付近を中心に、ループ形成空間50側に凸に湾曲する。従って、中央搬送路42内でシート先端を折りローラー対34にニップされたシートは、よりスムーズに安定してループ形成空間50に向けてループ形状に湾曲させることができる。
別の実施形態では、凸状部47は、下搬送ガイド46の上流側の第1下ガイド部分46aの下流端と、下流側の第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aの上流端とを結ぶ直線より下方に、即ちループ形成空間50側に位置するように配設する。ここで、第1下ガイド部分46aの前記下流端は、該第1下ガイド部分46aにおいて、中央搬送路42内のシートの下面を支持する最下流側の支持点である。第2水平ガイド部52aの前記上流端は、該第2水平ガイド部52aにおいて、中央搬送路42内のシートの下面を支持する最上流側の支持点である。
凸状部47は、このように配置することによって、シート搬送方向にその位置が隙間48の中央位置よりも上流側になり、凸状部47の下流側に占めるループ形成空間50の割合が上流側よりも大きくなる。従って、シート先端を折りローラー対34にニップされた中央搬送路42内のシートは、凸状部47によってよりスムーズにループ形成空間50に向けてループ形状に湾曲させることができる。
中央搬送路42は、言い換えれば、レジストローラー対33からシートを送り出す第1経路部と、中央搬送路42を下方のループ形成空間50に選択的に開放可能な第2経路部と、シートを折りローラー対34のニップ部39に案内する第3経路部とからなる。前記第1~第3経路部は、シートの上面側が、前記第1及び第2上搬送ガイド部材からなる上搬送ガイド45によってシート搬送方向に実質的に連続している。シートの下面側は、前記第1経路部が、固定された第1下ガイド部分46aで形成され、前記第3経路部が、固定された第2下ガイド部分46bで形成されているのに対し、前記第2経路部は、突き板35の移動により開閉される隙間48で構成されている。
前記第1経路部は、別の実施形態では、第1傾斜ガイド部51bを省略して、水平なガイド部分のみで形成することができる。図4において、上搬送ガイド45は、傾斜部分45cから第2水平部分45bに移行する位置が前記第2経路部の隙間48の範囲で設定されているが、これに限定されるものではない。第2下ガイド部分46bも、ループ形成空間50に垂れ下がったシートが折りローラー対34のニップ部39へ案内される限り、第2傾斜ガイド部52bを、図4に示すよりも小さくし又は無くすことができ、十分なループ形成空間50が確保される限り、垂直ガイド部52cを小さくし又は無くすことができる。
シート搬出路43は、折り処理されたシートをシート搬出口32bに案内するように、シート搬送方向に沿って上下に対向配置された上搬出ガイド43aと下搬出ガイド43bとを有する。シート搬出口32bの手前には、例えばシート搬送方向に直交するシート幅方向に下搬出ガイド43b上を移動して、折り処理されたシートの折り目を増し折りする複数の転動体を有する増し折り機構36が設けられている。
[突き板]
突き板35は、図4に示すように、中央搬送路42のシート幅方向に延在する平板部材から形成されている。突き板35は、折りローラー対34のニップ部39と略同じ高さ位置に水平に配置されている。更に突き板35は、図4中実線で示す第1下ガイド部分46aの下方の退避位置と、想像線35′及び35″で示すガイド位置及び突き位置との間を水平に移動可能に設けられている。
突き板35が前記退避位置にあるとき、図示するように、下搬送ガイド46の隙間48が完全に開いて、中央搬送路42は、前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。従って、中央搬送路42内のシートは、後述するように中央搬送路42からループ形成空間50内に垂れ下がることができる。
想像線35′の前記ガイド位置において、突き板35は、下搬送ガイド46の隙間48を完全に閉じると同時に、上搬送ガイド45と上下に対向して下搬送ガイド46の一部を形成する。これにより、中央搬送路42内のシートは、ループ形成空間50に垂れ下がることなく前記第2経路部を案内されて、前記第1経路部から第3経路部へ搬送される。
想像線35″の前記突き位置において、突き板35は、前記第3経路部で上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進入する。この突き位置は、突き板35が、その先端でシートの折り目を折りローラー対34のニップ部39に送り込むための位置である。
[シート折り装置の制御構成]
図5は、折りユニット131の制御構成を概念的に示している。折りユニット131は、CPUを含む制御基板からなる制御部120を備えている。制御部120には、同図に示すように、第2搬送経路134bに沿って設けられた第1~第3検出センサーS1~S3が接続されている。制御部120は、シート処理装置B全体の制御部(図示せず)の一部として、又は折りユニット131専用の制御部として構成することができる。
第1検出センサーS1は、シート搬入路41のレジストローラー対33の手前に配置され、上流側のパンチユニット130からシート搬入口32aを介して搬入されたシートの先端を検出する。第2検出センサーS2は、中央搬送路42の折りローラー対34の手前に配置され、レジストローラー対33から折りローラー対34に搬送されるシートの先端を検出する。第3検出センサーS3は、上述したように前記退避位置、ガイド位置及び突き位置間を移動する突き板35の位置を検出する。第1~第3検出センサーS1~S3の検出結果は、リアルタイムで制御部120に出力される。
更に制御部120は、図示するようにシート処理装置Bの制御部122を介して画像形成装置Aの本体制御部121に接続されている。本体制御部121は、画像形成装置Aの設定パネルDに設けられた入力部及び表示部(図示せず)に接続されている。例えばユーザーが設定パネルD上で設定するシートの種類や、折りユニット131で実行される折り処理モード等の情報は、本体制御部121からシート処理装置Bの制御部122を介して制御部120に送信される。
制御部120は、レジストローラー駆動モーターMT1、折りローラー駆動モーターMT2、及び突き板駆動モーターMT3に、増し折り機構36を備える場合には、更にその増し折り駆動モーターMT4に接続されている。第1~第3検出センサーS1~S3から入力する検出結果、及び画像形成装置Aの本体制御部121から受信する上記各種情報に基づいて、各駆動モーターMT1~MT3及び任意によりMT4の駆動を制御し、第2搬送経路134bにおけるシートの搬送、及び折りユニット131の折り処理動作を制御実行する。
また、制御部120は、折りユニット131において実行されているシートの搬送、折り処理等の情報をリアルタイムで、シート処理装置Bの制御部122を介して画像形成装置Aの本体制御部121に送信することができる。本体制御部121は、制御部120から受信した情報に、折りユニット131におけるシートの搬送不良や折り処理不良等の好ましくない又は注意若しくは警告すべき情報が含まれている場合、それをユーザーに、例えば設定パネルDの前記表示部を用いて報知することができる。
本実施形態の折りユニット131は、シートをシート搬送方向に沿って交互に内折り外折りして、所謂Z折りに三つ折りするのに適している。図6は、折りユニット131によりZ折りしたシートSHの一例をシート幅方向から示している。同図において、シートSHには、シート搬送方向の先端(下流端)201から上流側へ所定長さの位置に第1の折り目202が形成され、そこから下流側に折り返して所定長さの位置に第2の折り目203が形成されている。以下に、折りユニット131の折り処理動作を説明する。
[折りユニットの処理動作]
折りユニット131には、シートを三つ折り(Z折り)する折り処理を行う折り処理(Z折り)モードと、シートを折り処理しない折り無しモードとが、予め設定されている。ユーザーは、画像形成装置Aにおいてシートの画像形成を開始する前に、画像形成したシートを折り処理するか否かを決定し、折り処理する場合は、設定パネルDの前記入力部で折り処理モードを選択して入力する。折り処理モードの入力は、折り処理の対象となるシートのシート情報として、画像形成装置Aの本体制御部121に記憶される。
図7のフローチャートを用いて、折りユニット131における処理動作の全体を概略的に説明する。先ず、折りユニット131の制御部120は、第1検出センサーS1が、シート搬入路41に搬入されたシートの先端を検出してオンになる(ステップST1のY)と、これをトリガーとして、検出された前記シートのシート情報を画像形成装置Aの本体制御部121から、シート処理装置Bの制御部122を介して取得する(ステップST02)。
画像形成装置Aの本体制御部121から取得したシート情報が、折り処理モードの選択又は折り処理の実行指示を含む場合(ステップST03のY)、ステップST04~ST06に進んで折り処理を実行する。画像形成装置Aからの前記シート情報が、折り処理モードの選択若しくは折り処理の実行指示を含まない場合又は折り処理を実行しない指示を含む場合、ステップST07に進んで折り無し処理を実行する。
ステップST07の折り無し処理では、突き板35を前記ガイド位置(35′)に配置し、この状態でレジストローラー対33及び折りローラー対34を回転駆動させる。これにより、前記上流側処理ユニットからのシートは、折り処理されることなく第2搬送経路134bをそのまま通過して、前記下流側処理ユニットに搬出される。
ステップST04~ST06の折り処理は、全体として、レジストローラー対33によるレジスト処理(ステップST04)、折りローラー対34による折りループ処理(ステップST05)、及び突き板35と折りローラー対34による折り目形成処理(ステップST06)の3段階で行われる。前記レジスト処理では、折りユニット131に搬入されたシートの先端を整合して、シートスキュー(斜行)を矯正する。前記折りループ処理では、シートの先端側に、折り目を形成するためのループを形成する。前記折り目形成処理では、ループが形成されたシートに折りローラー対34で折り目を形成する。
各ステップST04~ST06での処理について、図8(a)~(f)を用いて、以下に具体的に説明する。図8(a)~(f)は、折りユニット131が画像形成装置Aからシートを搬入し、搬送して折り処理する過程を工程順に示している。
[レジスト処理]
図8(a)は、折りユニット131の前記レジスト処理において、シートの先端を位置揃えした状態を示している。前記レジスト処理は、例えば次の手順に従って実行する。
制御部120は、レジストローラー対33が回転停止した状態で、第1検出センサーS1が、シート搬入路41に搬入されたシートの先端を検出してオンになると、内蔵する折りループカウンター(図示せず)がカウントを開始する。前記折りループカウンターのカウント開始後、所定時間が経過すると、レジストローラー駆動モーターMT1を駆動してレジストローラー対33を回転させる。
前記折りループカウンターによるカウント開始後の前記所定時間は、シートの先端がレジストローラー対33のニップ部38に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な大きさのループ状の撓みを、シート搬入路41でシートに形成させるのに要する時間である。この時間は、例えば事前に試験結果等に基づいて決定し、制御部120に設定しておくことができる。
レジストローラー対33を回転させると、シートは、図8(b)に示すように、第2搬送経路134bに沿って折りローラー対34に搬送される。このとき、突き板35はガイド位置35′に配置されている。従って、シートの先端は、中央搬送路42を突き板35の上面に案内されて、折りローラー対34のニップ部39に向けて真直ぐ送られる。シート先端が中央搬送路42の凸状部47を通過したシートは、シート搬送方向に上搬送ガイド45の傾斜部分45cと第2水平部分45bとが接続する、即ち隙間48に対面する領域において、凸状部47によって下方に押し出されて、ループ形成空間50側に凸に湾曲する。
[折りループ処理]
前記折りループ処理は、例えば次の手順に従って実行する。制御部120は、前記レジスト処理でレジストローラー駆動モーターMT1を駆動させると同時に、折りローラー駆動モーターMT2を駆動して折りローラー対34を回転させる。図8(b)に示すように、折りローラー対34の直ぐ上流側で、搬送されるシートの先端を第2検出センサーS2が検出してオンになると、制御部120は、突き板35を前記ガイド位置から退避位置に移動させる退避処理を実行する。
この突き板35の退避処理は、例えば次の手順に従って実行する。制御部120は、突き板駆動モーターMT3を逆転方向に駆動して、突き板35をガイド位置35′からシート搬送方向上流側へ水平に、前記退避位置に向けて移動させる。本実施形態の突き板35には、そのシート搬送方向上流端に検出フラグ(図示せず)が設けられている。
第1下ガイド部分46aの下方に配置された第3検出センサーS3が、突き板35の前記検出フラグを検出してオンになると、突き板駆動モーターMT3を停止させる。これにより、突き板35が図8(c)に示す退避位置に配置されて、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が完全に開かれる。その結果、中央搬送路42は、同図に示すように、前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。
次に、制御部120は、第2検出センサーS2がシート先端を検出した時点から起算して、予め設定された第1の設定駆動量までレジストローラー駆動モーターMT1が駆動されると、折りローラー駆動モーターMT2を停止する。ここで、前記第1の設定駆動量は、シート先端が折りローラー対34のニップ部39にニップされる位置に到達するのに要するレジストローラー駆動モーターMT1の駆動量である。
これにより、シートは、図8(c)に示すように、先端が折りローラー対34のニップ部39にニップされた状態で保持される。この後も、レジストローラー駆動モーターMT1は継続して駆動され、レジストローラー対33は回転してシートを送り出し続ける。その結果、シートは、折りローラー対34より上流側の部分が隙間48からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、折りループFLは、レジストローラー対33によるシートの送出量に応じて大きくなる。先端が折りローラー対34にニップされたシートは、突き板35を退避させる以前から、上述したようにループ形成空間50側に凸に湾曲しているので、実質的にシートの剛性に拘わりなく、レジストローラー駆動モーターMT1の搬送負荷を過度に増大させることなく、ループ形成空間50内に向けてスムーズに安定してループ形状に湾曲する。
本実施形態では、シート先端が、第2検出センサーS2に検出された位置から折りローラー対34のニップ部39を10mm超えた位置に至るシートの送り量(搬送距離)を、それに相当するレジストローラー駆動モーターMT1の駆動量に換算して、前記第1の設定駆動量を設定している。ここで、レジストローラー駆動モーターMT1の駆動量には、該モーターの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)やレジストローラー対33によるシートの送出量即ち駆動ローラー33aの回転量(ローラーシャフト61の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
折りユニット131には、折り処理可能なシートについて、そのサイズ及び搬送時のシートの向き(縦方向、横方向)に応じて、例えばシート搬送方向にシート先端からの距離で表される折り位置が決められており、前記折りループカウンターには、前記折り位置毎に対応する所定のカウント値が予め設定されている。レジストローラー駆動モーターMT1が前記第1の設定駆動量まで駆動されて折りローラー駆動モーターMT2が停止した後、第1検出センサーS1によるシート先端の検出により開始した前記折りループカウンターのカウントが前記所定のカウント値にカウントアップすると、次の折り目形成処理に移行する。
[折り目形成処理]
前記折り目形成処理は、例えば次の手順に従って実行する。制御部120は、前記折りループ処理における前記折りループカウンターのカウントアップと同時に、突き板35の突き処理を開始する。このとき、ループ形成空間50には、レジストローラー対33の継続的なシートの送り出しによって、図8(d)に示すように、シートに所定の折り位置で折り目を形成するのに適した大きさの折りループFLが形成されている。
前記突き処理は、例えば次の手順に従って実行する。先ず、突き板駆動モーターMT3を正転駆動し、突き板35を折りローラー対34側へ水平に移動させる。このとき、突き板35は、その先端が、折りループFLのシート先端側から見て第2の折り目となる位置を押しながら、折りローラー対34のニップ部39に向けて進む。制御部120は、突き板35の移動中、その先端により突き押しされる折りループFLの位置が変わらないように、突き板35の移動速度がレジストローラー対33によるシートの搬送速度と同一であるように、突き板駆動モーターMT3を制御する。
突き板35に突き押されて中央搬送路42の前記第3経路部を下流側に進むシートは、突き板35を挟んで上側のシート部分が、上搬送ガイド45の第2水平部分45bにより上方から規制され、下側のシート部分が、第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aにより、折りローラー対34のニップ部39より上流側のシート先端側部分を該第2水平ガイド部との間に挟んで、下方から規制される。これにより、シートは、前記第3経路部を下流側へ進む間に、突き板35先端との間でシート搬送方向にすべりを生じることなく、突き板35が突き当てられた前記第2の折り目(図6の203)となる折り位置で屈曲される。
突き板駆動モーターMT3の駆動量が、予め設定された第2の設定駆動量になると、突き板駆動モーターMT3を停止させる。これにより、突き板35はその先端が、図8(e)に示すように、前記第3経路部で上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進入し、突き位置35″で停止する。これにより、シートの前記第2の折り目となる折り位置FP2は、上述したように屈曲した形態で、折りローラー対34のニップ部39の直前まで運ばれる。
このように、突き板35を上搬送ガイド45と第2下ガイド部分46bとの間に進入させることで、シートは、前記折り位置でシートが上下に重なる方向に強制的に曲げて仮折りされる。このように仮折りした後に、シートが前記折り位置で折りローラー対34にニップされて折られることによって、前記第2の折り目でシートの折り部分が開くことを抑え、見栄えの良い折りシートができる。
ここで、前記第2の設定駆動量は、突き板35を前記退避位置から突き位置35″に移動させるのに要する突き板駆動モーターMT3の駆動量である。突き板駆動モーターMT3の駆動量には、該モーターの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
前記第2の設定駆動量に達して突き板駆動モーターMT3が停止した後、レジストローラー駆動モーターMT1が、予め設定された第3の設定駆動量まで駆動されると、制御部120は、折りローラー駆動モーターMT2を駆動させる。ここで、前記第3の設定駆動量は、前記突き板駆動モーターMT3の停止後もシートを継続的に送り出して、シートの折り位置FP2が折りローラー対34のニップ部39に巻き込まれる位置に至るまで、レジストローラー対33を回転させるレジストローラー駆動モーターMT1の駆動量である。
折りローラー駆動モーターMT2の駆動により折りローラー対34が回転すると、図8(f)に示すように、シートの前記第2の折り目となる折り位置が、折りローラー対34のニップ部39に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラー34a,34b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートには、第2の折り目F2(図6の203)が所定の折り位置に形成される。上述したように、シートの折り位置FP2は、屈曲した形態でシート搬送方向にすべりや位置ずれを生じることなく搬送され、そのまま折りローラー対34のニップ部39に巻き込まれるので、第2の折り目F2の位置は、従来のばらつきを生じることなく、高精度に安定する。
ステップST32で折りローラー駆動モーターMT2が駆動すると、折りローラー対34のニップ部39へのシートの巻き込みを妨げないように、制御部120は、突き板35を突き位置35″から前記退避位置に戻す退避処理を実行する。この退避処理は、前記折りループ処理に関連して図8(b)、(c)を用いて説明したのと同様に行う。
即ち、図8(e)の状態において、制御部120は、突き板駆動モーターMT3を逆転駆動して、突き板35を突き位置35″からシート搬送方向上流側へ水平に前記退避位置に向けて移動させる。第1下ガイド部分46a下方の第3検出センサーS3が、突き板35の前記検出フラグを検出してオンになると、突き板駆動モーターMT3を停止させる。これにより、突き板35は、図8(f)に示すように退避位置に配置される。
このとき、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が完全に開かれて、中央搬送路42の前記第2経路部が下方のループ形成空間50に開放される。従って、折りループFLは、折りローラー対34のニップ部39へ、図8(e)の巻き込み開始時から連続的に、突き板35に妨げられることなくスムーズに巻き込ませることができる。
折りローラー対34は、突き板35の退避処理後も引き続き回転駆動される。従って、シートは、図8(f)に示すように、その先端及び折りローラー対34により形成された第2の折り目F2を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、該折りローラー対にニップされ、シート搬出路43を下流側へ搬送される。
このようにシートが搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなる。折りループFLは、中央搬送路42の前記第3経路部に進入し、上搬送ガイド45の第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2傾斜ガイド部52bとにより上下から絞られて、シート搬送方向に延びた薄いループ形状になる。更に折りループFLは、第2水平部分45bと第2下ガイド部分46bの第2水平ガイド部52aとの間に進み、第1の折り目となる後端(上流端)の折り位置FP1で上下から二つ折りに屈曲される。
シートの折り位置FP1は、このように屈曲された形態で、その上に重ねられたシートの上流側部分との間でシート搬送方向にすべりや位置ずれを生じることなく搬送され、折りローラー対34のニップ部39で加圧折曲される。従って、シートには、前記第1の折り目(図6の202)が、従来のようなばらつきを生じることなく、安定して高精度で所望の位置に形成される。
これにより、図6に示すように、内折りの第1の折り目202と外折りの第2の折り目203とを形成したZ折りシートSHが生成される。本実施形態では、上述したように、回転停止している折りローラー対34がシート先端部分をニップした状態で折りループFLを形成し、その後に折りローラー対34を回転させて第2及び第1の折り目を折曲形成するので、折りループFL形成時にニップされていたシート先端部分が、第2の折り目から先端側(下流側)へはみ出した形態にZ折りされる。
次に、シート搬入路41において第1検出センサーS1が、レジストローラー対33及び折りローラー対34により搬送されているシートの後端を検出してオフになると、制御部120は、突き板35を前記退避位置からガイド位置35′に移動させるガイド処理を実行する。このとき、折りループFLは既に折りローラー対34を通過しているように設定されている。従って、突き板35をガイド位置35′に移動させても、中央搬送路42におけるシートの搬送及び折りローラー対34による折り目形成処理に何ら支障を生じることはない。
前記ガイド処理は、例えば次の手順に従って実行する。突き板駆動モーターMT3を正転駆動し、突き板35を折りローラー対34側へ水平に移動させる。突き板駆動モーターMT3の駆動量が、予め設定された第4の設定駆動量になると、突き板駆動モーターMT3を停止させる。
ここで、前記第4の設定駆動量は、突き板35を前記退避位置からガイド位置35′に移動させるのに要する突き板駆動モーターMT3の駆動量である。これにより、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間の隙間48が突き板35で閉じられるので、シートの後端は、中央搬送路42を突き板35の上面に案内されて、折りローラー対34に向けて真直ぐ搬送される。突き板駆動モーターMT3の駆動量には、該モーターの回転量(回転軸の回転数、回転角度、回転時間等)を用いることができる。
次に、制御部120は、第2検出センサーS2が、中央搬送路42を通過するシートの後端(上流端)を検出してオフになると、その時点からの折りローラー駆動モーターMT2の駆動量をカウントし、予め設定された所定の停止駆動量になると、レジストローラー駆動モーターMT1及び折りローラー駆動モーターMT2を停止させる。
ここで、前記所定の停止駆動量は、シートの後端が折りローラー対34を通過するのに十分な折りローラー駆動モーターMT2の駆動量である。これにより、レジストローラー対33及び折りローラー対34は、シート搬出口32bから下流側の綴じユニット132へのシートの搬出に何ら支障を生じることなく回転を停止し、シートのZ折り処理を終了する。
上述した折り処理又は折り無し処理の過程で、折りユニット131内を搬送されるシートのジャムその他の問題が発生する虞がある。それらの問題を解消したり、折りユニット131内部のメンテナンスを実施するために、シート処理装置Bは、折りユニット131のシート搬送方向に直交するシート幅方向の少なくとも一方の側部に、折りユニット131内部にアクセス可能な開口部と、該開口部を自在に開閉するためのカバーとを備えることが好ましい。
本実施形態では、図2及び図3に想像線で示すように、折りユニット131の正面側の側部に開口部147と、該開口部を開閉するカバー148とが設けられている。カバー148は、ユーザーが装置内部をアクセスし易いように、正面手前に下開きするように取り付けられている。別の実施形態では、正面右側又は左側に横開きするように取り付けることもできる。更に別の実施形態では、開口部147及びカバー148を折りユニット131の反対側の側部即ち背面側に設けることができ、正面及び背面の両方に設けることもできる。
開口部147は、ループ形成空間50内部だけでなく、折りユニット131の内部全体を外部からアクセスできるように、折りユニット131正面の略全面に亘って形成されている。折りユニット131内でジャムしたシートを取り除くためには、開口部147は、少なくともループ形成空間50内部に外部からアクセス可能に設けられれば良い。他方、
折りユニット131内部のメンテナンスという観点では、レジストローラー対33,折りローラー対34,第1~第3検出センサーS1~S3もアクセス可能であることが好ましい。
更に折りユニット131は、図9に示すように、一方の前記折りローラー(本実施形態では、上折りローラー34a)の前記正面側の端部に、第2回転ハンドル152が上折りローラー34aの回転軸と一体に回転可能に固着されている。第2回転ハンドル152は、上折りローラー34aを下折りローラー34bと共に、少なくともシート搬送方向とは反対方向に回転させ得るように設けられている。従って、折りローラー対34にニップされているシートの部分は、突き板35が前記退避位置に位置する状態で第2回転ハンドル152を操作することによって上流側に送り戻し、その先端を折りローラー対34から抜き出してループ形成空間50内に落下させることができる。
同様に、一方の前記レジストローラー(本実施形態では、上レジストローラー33a)の前記正面側の端部に、図10に示すように、第1回転ハンドル151が上レジストローラー33aの回転軸と一体に回転可能に固着されている。第1回転ハンドル151は、上レジストローラー33aを下レジストローラー33bと共に、少なくともシート搬送方向に回転させ得るように設けられている。従って、レジストローラー対33にニップされているシートの部分は、突き板35が前記退避位置に位置する状態で第1回転ハンドル151を操作することによって下流側に送り出し、その後端をレジストローラー対33から抜き出してループ形成空間50内に落下させることができる。
図11は、折りユニット131内を折り無し処理で搬送されるシートに対して、第2搬送経路134bのレジストローラー対33と折りローラー対34との間でジャムが発生した状態を例示している。同図では、特にシートSHのシート搬送方向先端側が折りローラー対34の直ぐ上流側でジャムしている。制御部120は、シートのジャムを第1及び/又は第2検出センサーS1,S2によって検出し、ジャムの発生を画像形成装置Aの設定パネルDに表示させることができる。
図11の場合、第1及び第2検出センサーS1,S2の両方がシートを検出した状態となり、それにより制御部120は、シートSHがレジストローラー対33及び折りローラー対34の両方に残っていると判定することができる。第1検出センサーS1又は第2検出センサーS2がシートを検出した状態の場合、制御部120は、それに隣接するレジストローラー対33又は折りローラー対34にシートSHが残っていると判定する。
更に制御部120は、ジャムの発生を検出すると、突き板駆動モーターMT3を駆動して、図12に示すように、突き板35を図11のガイド位置から前記退避位置に移動させる。これにより、折りユニット131の第2搬送経路134bは、その下方がレジストローラー対33と折りローラー対34との間でループ形成空間50に開放され、ジャムしたシートを第2搬送経路134bから引き出すことが可能になる。
ユーザーは、図12の状態においてカバー148を開き、ループ形成空間50に外部からアクセス可能に開口部147を開放する。或る実施形態では、ユーザーが手動で第1及び/又は第2回転ハンドル151,152を操作し、ジャムしたシートを送り戻しかつ/又は送り出して第2搬送経路134bからループ形成空間50に送り出すことにより、取り出すことができる。
別の実施形態では、制御部120が、ジャムの発生を検出して突き板35を前記退避位置に移動させた後、第1及び第2検出センサーS1,S2の検出結果に基づいてレジストローラー駆動モーターMT1及び/又は折りローラー駆動モーターMT2を駆動し、同様にレジストローラー対33及び/又は折りローラー対34を回転させて、ジャムしたシートを第2搬送経路134bからループ形成空間50に送り出すことができる。この制御部120によるジャムの自動解消は、例えば図13のフローチャートに示す手順に従って実行される。
制御部120は、シート処理装置Bの搬送経路134で発生したシートのジャムを検出する(ステップSt101)と、第1検出センサーS1のオンオフによって該センサーでシートが検知されたか否かを判定する(ステップSt102)。第1検出センサーS1がオン(ステップSt102のYes)の場合、ステップSt103に進み、突き板駆動モーターMT3を駆動して突き板35を前記退避位置に移動させる。
ステップSt102で第1検出センサーS1がオフ(No)の場合、ステップSt104に進み、第2検出センサーS2のオンオフによって該センサーでシートが検知されたか否かを判定する。第2検出センサーS2のオン(St104のYes)の場合、同様にステップSt103に進み、突き板駆動モーターMT3を駆動して突き板35を前記退避位置に移動させる。
ステップSt103で突き板35を前記退避位置に移動させた後、制御部120は、レジストローラー駆動モーターMT1及び折りローラー駆動モーターMT2を所定の回転量駆動して、レジストローラー対33を正転させ、かつ折りローラー対34を逆転させる(ステップSt105)。この後、ユーザーは、カバー148を開いて開口部147を開放し、ジャムしたシートをループ形成空間50から取り出す。カバー148を開いたとき、ジャムしたシートがまだレジストローラー対33及び/又は折りローラー対34に挟まれた状態の場合、ユーザーが手動で第1及び/又は第2回転ハンドル151,152を操作し、ジャムしたシートをループ形成空間50から取り出せるようにする。
ステップSt104において第2検出センサーS2がオフ(No)の場合、制御部120は、シートのジャムがシート処理装置Bの折りユニット131以外の部位で発生したと判断し(ステップSt106)、折りユニット131ではそれ以上の処理を行うことなく、次のステップSt107に進む。
ステップSt105において、ジャムしたシートがユーザーより取り出されて、カバー148が元の状態に閉じられると、次のステップSt107において、制御部120は、折りユニット131におけるジャム処理が完了したと判断し、中断していたシートの折り無し処理動作を再開する。ステップSt106からステップSt107に進んだ場合も、ジャムの発生箇所でジャム処理が完了すると、同様に中断していた動作を再開する。
本実施形態では、ループ形成空間50内に追加シート積載面149を設けることができる。図14は、ループ形成空間50の底面に設けられた追加シート積載面149を例示している。追加シート積載面149は、前記上流側処理ユニット(パンチユニット130)から搬送されるシートに折りユニット131における折り処理も前記下流側処理ユニット(綴じユニット132)における綴じ処理も行わないシートを、積層トレイ126まで搬送せずに集積させるために使用される。
このとき、突き板35は前記退避位置に配置され、第2搬送経路134bの下方には、第1及び第2下ガイド部分46a,46b間に、ループ形成空間50に通じる大きい隙間48が形成されている。従って、レジストローラー対33から第2搬送経路134bに送り出されたシートは、隙間48からループ形成空間50に送られ、図示するように追加シート積載面149に集積される。隙間48の寸法を考慮すると、特にシート搬送方向の寸法が短いシートの場合に適している。追加シート積載面149に集積されたシートは、カバー148を開くことによって、開口部147を通して容易に取り出すことができる。
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。