JP7255430B2 - 複合部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合部材および複合部材の製造方法に関する。
温熱間および耐食工具および部材では、従来の工具鋼を越える長寿命材料を適用するニーズがある。このニーズに対し、過酷環境下で耐久性に優れる複合部材を作製できる技術として、例えば特許文献1には、TiCとNiなどを含むオーバレイ層を基材の表面に形成する技術が開示されている。
一方、基材上に異種材料を形成した複合部材を作製する技術として、付加製造法(Additive Manufacturing、AM法)があり、例えば特許文献2に記載されている。
特表2017-521548号公報 特開2017-115194号公報
上述した特許文献1のように、基材に皮膜状のオーバレイ層を設けた複合部材では、基材とオーバーレイ層との密着が不十分となる可能性があり、複合部材の作製時や使用時に、き裂や剥離が発生する恐れがある。
特許文献2は、付加製造用粉末材料の流動性の問題を解決するものであるが、各種付加製造法により造形した付加製造体における、セラミックス粒子の組織形態や構造物として許容できない割れなどの欠陥低減にまで効果が及ぶものではない。
また、TiC/NiやWC/Coに代表されるセラミックス/金属複合材料の付加製造用粉末材料と、これによる付加製造体が知られている。しかし、これらを例えば金型やスクリュー工具のような複雑形状で多層に積層し構造物とした場合、基材と造形体との間で、溶融凝固と連続的な熱処理が加わることで応力が発生し、基材と造形体との間で割れや剥離が生じること、さらにセラミックスが粗大化し強度や靭性などの機械特性が低下することが課題となっていた。
本発明は、上記事情に鑑み、高温環境や腐食環境などの過酷環境下での耐久性に優れ、割れや剥離の発生を抑制することができる複合部材および複合部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、溶融凝固組織を有する造形体が、遷移金属を主成分とする金属基材の表面に形成された複合部材であって、前記造形体は、TiC、TiNおよびTi(C、N)のうちの少なくとも1種のセラミクス相を15~75質量%と、金属相を25~85質量%含み、前記金属相は、Ni単体またはNiを主成分とする合金よりなり、前記造形体に接する前記金属基材の表層部に、Tiを深さ方向に傾斜して含む混合層が、厚さ250μm以上形成されていることを特徴とする複合部材である。
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様は、遷移金属を主成分とする金属基材を準備する基材準備工程と、TiC、TiNおよびTi(C、N)のうちの少なくとも1種のセラミクス相を15~75質量%含むとともに、Ni単体またはNiを主成分とする合金よりなる金属相を25~85質量%含んだ溶融凝固組織を有する造形体を付加製造法によって造形する付加製造工程を有し、前記付加製造工程によって、前記造形体に接する前記金属基材の表層部に、Tiを深さ方向に傾斜して含む混合層を、厚さ250μm以上形成することを特徴とする複合部材の製造方法である。
本発明によれば、高温環境や腐食環境などの過酷環境下での耐久性に優れ、割れや剥離の発生を抑制することができる複合部材およびその製造方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態の複合部材を模式的に示す断面図 本発明の第2の実施の形態の複合部材を模式的に示す断面図 図1Aの構成を有する複合部材の断面観察写真 図1Aの複合部材の深さ方向のTi濃度を示すグラフ 比較例1の複合部材の断面観察写真
以下、図面を参照して本発明の複合部材および複合部材の製造方法の実施の形態を説明する。
[複合部材]
図1Aは本発明の第1の実施の形態の複合部材を模式的に示す断面図である。図1Aに示すように、本発明の複合部材は、金属基材2と、金属基材2の表面に設けられた造形体1と、金属基材2と造形体1との間に設けられた混合層3とを有する。
金属基材2は、遷移金属を主成分とする合金からなる。中でも鉄(Fe)、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)を主成分とする合金が好ましい。造形体1は、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)および炭窒化チタン(Ti(C,N))のうちの少なくとも1種のセラミックスと、Niを主成分とする合金とを含む層からなる。造形体1は、後述する通り、積層造形法(付加製造法)によって形成され、上記成分を含む溶融凝固組織を有するセラミックスと金属(Ni基合金)とからなる層である。造形体1と金属基材2がこのような組成を有することによって、セラミックス粒子が粗大化することを防止し、造形体1と金属基材2の特性低下を防ぐことができる。より具体的には、Ti系セラミックス(TiC、TiN、Ti(C,N))自体は融点が高く、粗大化しにくい。さらに、Ti系セラミックスは金属基材(Fe、Ni、Co)2と反応して有害相を形成することが無い。
また、造形体1と金属基材2との間に、造形体1の成分と金属基材2の成分を含む混合層3を有している。この混合層3は、厚さが250μm以上であり、中間金属間化合物相の分率が30%未満である部分を含んでいる。造形体1は高温強度、耐摩耗性および耐食性に優れている。したがって、このような造形体1が金属基材2の上に設けられた複合部材は、高温強度に優れ、摺動等の使用環境下で発生する割れや剥離の発生を抑制することができる。
金属基材2がNiを主成分とする合金(Ni基合金)からなる場合、金属基材2の好ましい組成の一例は、Crが8質量%以上かつ22質量%以下、Coが28.5質量%以下、Moが14.5質量%以下、Wが12質量%以下、Nbが5質量%以下、Alが6.1質量%以下、Tiが4.7質量%以下、Feが18.5質量%以下、Zrが0.1質量%以下、Taが4質量%以下、Vが1.0質量%以下、Hfが1.3質量%以下、Mnが0.05質量%以上0.7質量%以下、Siが0.5質量%以下、Laが0.02質量%以下、Mgが0.02質量%以下、Cが0.02質量%以上0.2質量%以下、Bが0.05質量%以下、残部がNiと不可避不純物である。
金属基材2がFeを主成分とする合金(Fe基合金)からなる場合、金属基材2の好ましい組成の一例は、Crが0.05質量%以上かつ30質量%以下、Coが28.5質量%以下、Moが5.0質量%以下、Wが5質量%以下、Nbが5質量%以下、Alが1.0質量%以下、Tiが1.0質量%以下、Zrが0.1質量%以下、Taが1.0質量%以下、Vが1.0質量%以下、Mnが0.01質量%以上5.0質量%以下、Siが0.05以上5.0質量%以下、Cが0.02質量%以上2.0質量%以下、Bが0.05質量%以下、残部がFeと不可避不純物である。
金属基材2がCoを主成分とする合金(Co基合金)からなる場合、Coを50質量%以上含み、その他にCr、Ni、W、Mo、V、Fe、Mn、Si、C等から選択される元素を含むことが好ましい。好ましい組成の一例は、具体的には、Crが30質量%以下、Niが22質量%以下、Wが15質量%以下、Moが4.25質量%以下、Vが1.7質量%以下、Feが30質量%以下、Mnが2.0質量%以下、Siが1.0質量%以下、Cが1.1質量%以下、残部がCoと不可避不純物である。
金属基材2の硬度が低いほど、金属基材2により造形体1の拘束力が弱まり、付加製造時の応力が緩和され、剥離の発生を抑制することができる。しかし、複合部材を、たとえば工具として使用する場合には、ある程度の硬度が必要になる。したがって、金属基材2のビッカース硬さは、200HV以上500HV未満であることが好ましい。金属基材2が上述した硬度を有していれば、複合部材を工具として使用することができる。
セラミックスと金属からなる造形体1は、主に、Ni単体もしくはNi合金の金属相を結合相とし、15質量%以上75質量%以下(15~75質量%)のTiC、TiNおよびTi(C,N)のうちの少なくとも1種の硬質なセラミックス粒子が分散した積層造形体である。造形体1において、Niの量が多いほど靭性が向上する。そのため、Niの量が多いほど、造形体1の造形時の割れや剥離の発生を抑制できる。その反面、Niの量の増加に伴って、強度および硬度が低下する。
以上のことから、造形体1の結合相であるNiは25質量%以上85質量%(25~85質量%)以下であることが好ましい。より好ましくは35質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上75質量%以下である。これにより、複合部材の造形体1の割れや剥離が防止され、たとえば工具としての使用に適した靱性、強度および硬度を備えることができる。なお、造形体1のビッカース硬さは、たとえば400HV以上1200HV以下であることが好ましい。
造形体1においてTiC、TiNおよびTi(C,N)の含有量は、上記成分以外に、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)などの微量添加元素と、これら添加元素と炭素、窒素からなるセラミックスを含むことができる。これら添加元素とセラミックスは、造形体1の硬さを向上させることができる。またCrとMoは耐食性および耐酸化性を向上させることができる。添加元素と炭素とからなるセラミックスとして、例えば、WC粒子を含むことが好ましい。
TiC、TiNまたはTi(C,N)粒子は、微細であるほど強度および靭性が向上する。そのため、造形体1に含まれるTiC、TiNまたはTi(C,N)粒子の平均粒径は、50μm以下であることが好ましい。ここで、造形体1に含まれるTiC、TiNまたはTi(C,N)粒子の平均粒径は、セラミックスと金属の造形体を切断した被験面における光学顕微鏡やSEM観察などの写真から各粒子の円相当径の平均値から求めることができる。
混合層3は、造形体1と金属基材2との間の基材表層部に形成され、造形体1の成分と金属基材2の成分を含む領域である。混合層3は、複合部材の積層造形時に、造形体1と金属基材2との接合界面およびその近傍に生成される。
図2は図1Aの構成を有する複合部材の断面観察写真(光学顕微鏡写真)であり、図3は図1Aの複合部材の深さ方向のTiのX線カウント数を示すEPMAによる測定結果を示すグラフである。図3において、横軸は、測定開始点からの距離である測定位置[μm]であり、縦軸は、TiのX線カウント数から算出したTi濃度である。造形体1と混合層3との境界および混合層3と金属基材2との実質的な境界は、たとえば、下記するようにTiのX線カウント数の変動幅によって規定することができる。
混合層3の存在は、図2に示すように、外観写真の濃淡により判別することが可能である。即ち、基材部分は白っぽいが、混合層は黒っぽさが混じっている。しかし、造形体1と混合層3との境界、および金属基材2と混合層3との境界は、顕微鏡による観察では明確に判別できない場合がある。この場合、それぞれの境界は、たとえば、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)によって分析することができる。
より具体的には、図2に示すように、造形体1と金属基材2の複合部材を、造形体1および金属基材2が同一断面で観察できるように切断する。なお、図2の例に示すように、造形体1と金属基材2は、容易に判別することができる 。次に、造形体1から金属基材2へ向けて20μmのステップで、スポットサイズの設定値を0μmとして、EPMAによる線分析を行い、TiのX線カウント数を測定する。尚、カウント数が高いと濃度も高くなり、カウント数を基に濃度を算出できる。
具体的には、たとえば、混合層3では、固溶体に近いため互いに隣接する分析点の間のカウント数の変動幅が±10%程度であるのに対し、造形体1では、セラミックスと金属の複合材であるため互いに隣接する分析点の間のカウント数の変動幅が±20%以上である。また、金属基材2では、造形体1や混合層3と比較して、カウント数およびカウント数の変動幅が非常に小さくなっている。したがって、EPMAにより、複合部材の切断面におけるTiのX線カウント数を測定することで造形体1と混合層3との境界、および混合層3と金属基材2との実質的な境界を画定することができる。
図3に示すように、混合層3は、造形体1のTi濃度と金属基材2のTi濃度の間のTi濃度を示し、金属基材2の表面を基準とし、ここから混合層3の最大深さまでの厚さが250μm以上としている。これにより、造形体1と金属基材2の組合せにより脆化相の生成が少なく、かつ造形体1と金属基材2の密着強度が十分に維持可能である。また、厚さが250μm以上であることで、造形体1と金属基材2の複合部材の製造時の熱応力に耐え得る靱性を備えた混合層3となっている。
図1Bは、本発明の第2の実施の形態の複合部材を模式的に示す断面図である。図1Bに示す複合部材は、造形体1の表面に、さらにコーティング層4を有している。コーティング層4は、例えば、複合部材に耐摩耗性を向上する目的で設けられる。コーティング層4は、特に限定されないが、たとえば、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)および窒化クロム(CrN)などを用いることができる。
コーティング層4の形成は、たとえば、造形体1の表面を窒化させたり、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法によって成膜することができる。
上述したコーティング層を形成した複合部材は、従来よりも高い高温強度、耐摩耗性および耐食性を有し、割れや剥離の発生を抑制することができる。
[複合部材の製造方法]
本発明の複合部材の製造方法は、上述したように、金属基材2の表面に造形体1を付加製造法(Additive Manufacturing:AM法)によって造形するものである。AM法の方式としては、特に限定されないが、たとえば、レーザメタルデポジション(LMD法)などの指向性エネルギー堆積方式、粉末床溶融結合方式およびプラズマ粉体肉盛などを用いることができる。指向性エネルギー堆積方式の付加製造では、造形体1の原料となるセラミックスと金属の材料粉末を、レーザ、電子ビーム、プラズマ、アークのいずれかの熱源を用いて溶融させ、溶融した材料粉末を金属基材2の上に付着させて溶融し凝固させて、造形体となる層を形成する。これを繰り返し行い積層してなる造形体1とする。このとき、造形体1の原料の供給粉末は、供給源と熱源により形成する溶融部を含む供給経路のどの段階で混合されてもよい。
AM法によって、金属基材2の表面に造形体1を付加製造によって造形することで、造形体1と金属基材2との界面およびその近傍の溶融凝固により、造形体1の成分と金属基材2の成分とが混ざり合う。これにより、造形体1と金属基材2との間に造形体1の成分と金属基材2の成分とを含む混合層3が生成され、造形体1と金属基材2との間に混合層3を有する複合部材が得られる。
混合層の厚さは、例えば指向性エネルギー堆積方式のレーザ積層造形であれば,レーザ出力、粉末供給量、走査速度により制御することができる。混合層の厚さは、粉末と基材への単位長さ当たりのエネルギ一投入量によって変化するため、例えば走査速度を早くした場合、粉末と基材に対する単位長さ当たりの投入エネルギ量が減少するため基材への溶け込みが浅くなり、これにより混合層の厚みは小さくなる。このような関係を利用することで、混合層の厚みを制御することができる。
上記製造方法において、付加造形前および付加造形中に予熱工程を加えても良い。予熱工程では、金属基材2を200℃以上の温度に予熱する工程である。予熱工程は、たとえば、高周波誘導加熱、ガスバーナー、赤外線電気ヒーター、加熱炉、電子ビームまたはレーザの照射などを用いて行うことができる。なお、予熱工程において、金属基材2を200℃以上の温度に予熱することが好ましい。また、予熱工程の温度の上限は、自重による変形を防止する観点から、1300℃以下である。
予熱工程において、金属基材2を200℃以上の温度に予熱することで、付加造形工程において、造形体1と金属基材2との間の割れや剥離の発生を抑制する効果を向上することができる。具体的には、予熱工程において金属基材2を一定の温度以上に予熱することで、造形体1の付加製造時に溶融凝固させた材料の冷却速度を低下させ、造形体1の硬化や低温割れ、水素の拡散などを抑制する効果を向上できる。
この予熱工程では、金属基材2を予熱することで、付加製造時の造形体1の温度勾配が緩やかになり、熱応力による変形の抑制と残留応力の緩和が可能になる。また、予熱工程において金属基材2を200℃以上の温度に予熱することで、付加造形時の微小な亀裂の発生を抑制する効果を向上できる。
また、付加製造後に、複合部材を500℃以上、1300℃以下の温度で熱処理する工程を有していてもよい。これにより、複合部材製作工程において、造形体1に存在する中間金属間化合物相を低減もしくは消失させることができる。中間金属間化合物相は脆性であるため、これらが存在すると造形体1および混合層3の靱性が低下する。また、上記熱処理工程は、付加製造時に発生した残留応力を低減もしくは除去する効果がある。残留応力は、後工程や使用時の割れや剥離の原因となる可能性があるため、熱処理工程によって取り除かれることが好ましい。
熱処理工程において、造形体1と混合層3に存在する中間金属間化合物相を低減もしくは消失させることで、造形体1の靱性が向上する。熱処理工程における熱処理温度は、熱処理の目的に応じて選択することができる。残留効力を低減する場合、500℃以上が好ましい。また、造形体1に存在するη相や遊離炭素をより効果的に拡散および消失させて、造形体1の靱性をより向上させる観点から、1200℃以上1300℃以下の温度で熱処理することが好ましい。
なお、本実施形態の複合部材の製造方法は、熱処理工程の前後の少なくとも一方に、複合部材の切削加工を行う切削工程を有してもよい。これにより、複合部材の形状精度をより向上させることができる。
また、上記切削加工において、金属基材を除去することができ、本実施形態の複合部材の製造方法は、所望の部品を製造するための工程として組み込むことができる。例えば、金属基材上に一または複数の造形体を積層造形し、複合部材とした後、必要に応じて造形体を分離し、部品として使用する。金属基材側には混合層を残すことができ、局所的な成分調整・部品の一部への物性付与が可能となる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、複合部材を構成する金属基材として、以下の表1に示すNo.1~No.4の4種の異なる組成の合金を用意した。金属基材の形状や寸法に関しては特に指定はなく、厚さ250μm以上の混合層を得られるものであれば特に指定されるものではない。表1に示す組成の単位は質量%であり、「Bal.」は「残部」を示している。すなわち、No.1は、炭素鋼であり、No.2はオーステナイト系ステンレス鋼であり、No.3はNi基合金であり、No.4はCo基合金である。
Figure 0007255430000001
[実施例1~9および比較例1~8]
表1に示す基材を用い、後述する表3(実施例)および表4(比較例)に示す構成を有する複合部材を作製した。具体的には、金属基材上の表面に表2に示すAM法によって造形体を造形した。造形体のセラミックス成分の材料と含有量、および金属成分の材料と含有量は表3、表4に示すものである。
付加造形は、指向性エネルギー堆積方式のレーザメタルデポジション法により行った。原料粉体の平均粒径は、TiC:1~2μm、TiN:1~2μm、Ti(C,N):1~2μm、Ni:1~2μmである。
セラミックスと金属の造形体の造形は、1層あたり8パスで、高さが10mmになるように材料を付着させて、おおむね20層程度にわたって積層させた。後述する表2に、実施例1~8および比較例2~8の付加造形の条件を示す。表2に示す付加造形の条件は、金属基材と造形体との間に割れが生じにくく、さらに、混合層の厚さが250μm以上となるように粉末への入熱量を設定した。尚、実施例9は速度を370mm/minとし、比較例1は速度を390mm/minとし、その他の条件は表2と同じとした。
Figure 0007255430000002
[実施例1~9および比較例1~8の評価結果]
作製した実施例1~9および比較例1~8の複合材について、浸透探傷試験および断面観察を行って、割れおよび剥離の有無を目視で確認した。また、混合層の厚さ測定、および混合層のTi濃度についてEPMAによるライン分析を行った。
図4は比較例1の複合部材の断面観察写真である。図4において、混合層3に生じた割れのうち、造形体1と混合層3との境界または混合層3と金属基材2との境界に沿う方向の横割れを剥離S、それ以外を割れCとした。
割れCおよび剥離Sのどちらも生じなかったものを「無」と評価し、どちらか一方または両方生じたものを「有」と評価した。また、断面観察から、セラミックス粒子の粗大化(セラミックス粒子の平均粒径が50μm以上)が確認されたものを「有」と評価し、確認されなかったものを「無」と評価した。評価結果を後述する表3および表4に併記する。
Figure 0007255430000003
Figure 0007255430000004
実施例1~9の混合層には、造形体から金属基材に向かって減少するTiの濃度勾配が確認された。そして、表3に示すように、実施例1~9は、全て割れおよび剥離と、セラミックスの粗大化が無かった。一方、表4に示すように、比較例1~8は、全て割れおよび剥離が発生し、比較例1以外は全てセラミックスの粗大化が確認された。セラミックス相の粗大化により、機械強度の低下や靭性の低下が生じていると考えられる。
以上、本発明によれば、高温環境や腐食環境などの過酷環境下での耐久性に優れ、割れや剥離の発生を抑制することができる複合部材およびその製造方法を提供できることが実証された。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加や削除または置換をすることが可能である。
1…造形体、2…金属基材、3…混合層、4…コーティング層、5…混合層の厚さ。

Claims (10)

  1. Fe基合金からなる金属基材を準備する基材準備工程と、
    TiC、TiNおよびTi(C、N)のうちの少なくとも1種のセラミクス相を15~75質量%含むとともに、Ni単体またはNiを主成分とする合金よりなる金属相を25~85質量%含む溶融凝固組織を有する造形体を指向性エネルギー堆積法によって造形する付加製造工程を有し、
    前記付加製造工程によって、前記造形体と前記金属基材との界面およびその近傍の溶融凝固により、前記造形体の成分と前記金属基材の成分とが混ざり合って、前記造形体に接する前記金属基材の表層部に、Tiを深さ方向に傾斜して含む混合層を、厚さ250μm以上形成することを特徴とする複合部材の製造方法。
  2. 前記混合層におけるTi濃度は、前記造形体から前記金属基材に向かって減少していることを特徴とする請求項1に記載の複合部材の製造方法。
  3. 前記金属基材が、Cr、Ni、W、Mo、V、Mn、SiおよびCのうちの少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複合部材の製造方法。
  4. 前記金属基材のビッカース硬さが200HV以上500HV未満であり、前記造形体のビッカース硬さが400HV以上1200HV以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
  5. 前記造形体の中の前記セラミックス相の粒子の平均粒径が50μm未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
  6. 前記付加製造工程の前に、前記金属基材を200℃以上1300℃以下に予熱する予熱工程を更に含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
  7. 前記付加製造工程の前に、前記金属基材を予熱する予熱工程を行わないことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
  8. 前記付加製造工程の後に、前記複合部材を500℃以上1300℃以下の温度で熱処理する熱処理工程を更に含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
  9. 前記複合部材の前記造形体と前記混合層の全体もしくは一部を分離する分離工程を更に含むことを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
  10. 前記造形体の表面に、TiC、TiN、TiCN、Al、TiAlNまたはCrNからなるコーティング層を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の複合部材の製造方法。
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