JP7252099B2 - 浚渫用アタッチメント及び浚渫システム - Google Patents
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Description
この堆砂の除去方法として、陸上掘削と浚渫が挙げられる。陸上掘削では、堆砂の掘削に際して貯水池の貯水位を低下させる必要があることから、ダムの運用制限を要する。また、貯水池の上流域に掘削範囲が限定されるといった課題を内包する。
一方、水上から浚渫する方法には、グラブ浚渫やポンプ浚渫等がある。湖底に堆積した堆砂の中には、巨礫や流木、沈木、塵芥といった異物が一般に混じっており、ポンプ浚渫においては、ポンプや配管がこの異物により閉塞し、閉塞の都度ポンプや配管から異物を取り除くメンテナンスを余儀なくされることから、堆砂除去効率が著しく低下する恐れがある。そこで、ポンプを用いた浚渫に際しては前工程として堆砂と異物を分別するのが好ましいものの、水中における堆砂と異物の分別は実質的に不可能である。
ところで、ポンプや配管が閉塞する原因としては、上記する異物の他にも、吸引された泥水が高い土砂濃度を有することが挙げられる。このような土砂濃度の高い泥水の吸引を防止するべく、オペレーティングによりポンプによる吸引泥水量を調節する方法や、浚渫用アタッチメントの先端回転部に鍔を設けて当該浚渫用アタッチメントの堆砂への貫入量を制限する方法が挙げられる。しかしながら、オペレーティングによる方法では、堆砂の吸引が断続的となり、浚渫用アタッチメントの堆砂への貫入量を制限する方法では、ポンプ能力を制限することになり、いずれの方法によっても浚渫効率が低下する恐れがある。さらに、大深度の浚渫に際して浚渫用アタッチメントを適用する場合に、オペレーティングによる方法では浚渫効率の低下は一層顕著になり得る。
従って、堆砂中に存在し得る異物によるポンプや配管の閉塞を解消できることに加えて、高い土砂濃度の泥水によるポンプや配管の閉塞を解消することのできる浚渫用アタッチメントや浚渫システムの開発が望まれる。
水中作業機に取り付けられる、浚渫用アタッチメントであって、
ポンプと、
前記ポンプに連通する吸引管及び輸送管と、
前記吸引管の吸引口を包囲して複数の開口と切削ビットを備えているスクリーンと、
前記スクリーンを回転させるアクチュエータと、を有し、
前記吸引管の途中位置には給水口が設けられており、
前記ポンプの作動により、前記スクリーンの有する前記開口を介して前記吸引管に浚渫土砂が取り込まれ、かつ前記給水口を介して前記吸引管に清水が取り込まれ、該清水と前記浚渫土砂がともに前記吸引管を介して前記ポンプに吸引され、前記輸送管を介して輸送されることを特徴とする。
また、吸引管の吸引口を包囲するようにして、複数の開口を備えているスクリーンが配設されていることにより、巨礫や流木、沈木、塵芥といった異物がスクリーン内に取り込まれ難くなり、吸引管やポンプがこれら異物によって閉塞することも解消される。
さらに、切削ビットを備えているスクリーンがアクチュエータにて回転することから、ポンプによる吸引力にてスクリーンの開口に異物が近接した場合に、切削ビットによって異物を弾いたり砕くことができるため、異物による吸引管等の閉塞防止効果は一層高くなる。
また、「土砂濃度」とは、例えば、土砂の土粒子部分の体積と、土砂混じり水(泥水)の体積とから求められる体積土砂濃度のことである。ポンプや吸引管を閉塞する土砂濃度は、実施工に先んじて、実際に適用されるポンプや吸引管を用いた試験施工を行い、ポンプや吸引管を閉塞し得る土砂濃度を予め特定しておき、この土砂濃度未満に調整できる給水口の寸法を特定しておくのが望ましい。例えば、この試験施工により、吸引管等を閉塞する土砂濃度が20%程度と特定されている場合に、目標土砂濃度を15%や10%程度に設定し、この目標土砂濃度を満たすように給水口の寸法(口径)を設定することができる。また、その他、吸引管の管径、スクリーンの開口(スクリーン開口)等も、浚渫土砂の吸引効率や異物等の非閉塞性等を勘案して設定するのが好ましい。
また、給水口には、適宜の長さの給水管が取り付けられてもよい。また、吸引管には、直管や、直管とベント管のユニット管などが適用でき、吸引管における給水口の開設位置も、堆砂吸引時に撒き上がった堆砂が給水口に入り込まない位置(吸引口から離れた位置)に設定されるのが望ましい。さらに、給水口を介して吸引管に提供される清水としては、湖水の他、地上から供給される水道水や雨水、浄水等が含まれる。
前記給水口を介して前記吸引管に供給された清水が、前記外管と前記内管の間の外側流路を流れ、前記内管の吸引口を回り込んで該内管の内部の内側流路に導入され、該内側流路に取り込まれる浚渫土砂とともに前記ポンプにより吸引されることを特徴とする。
操作室を有する台船と、
前記台船にて保持されて、湖底まで延設するシャフトと、
前記シャフトに対して旋回自在でかつ昇降自在に取り付けられている前記水中作業機と、
前記水中作業機の備えるアームの先端に取り付けられている前記浚渫用アタッチメントと、を有し、
前記操作室の操作盤により、前記水中作業機の旋回及び昇降と、前記浚渫用アタッチメントの各種動作が実行制御されることを特徴とする。
このシステムでは、水中作業機をシャフト周りに旋回させながらアームの伸長範囲までを浚渫することができ、台船を順次移動させながら同様に浚渫を行うことにより、広域な貯水池等であっても可及的に短工期にて堆砂の浚渫を行うことが可能になる。
はじめに、図1乃至図3を参照して、実施形態に係る浚渫システムの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る浚渫システムの一例を示す全体構成図である。また、図2は、シャフトに昇降自在でかつ旋回自在に取り付けられ、実施形態に係る浚渫用アタッチメントがアームに取り付けられている水中作業機を拡大して示す側面図である。
次に、図4乃至図7を参照して、実施形態に係る浚渫用アタッチメントの一例について説明する。ここで、図4は、実施形態に係る浚渫用アタッチメントの一例の側面図であって、内部を視認できるように一部を破断して示した図である。また、図5は、図4のV方向矢視図であって、実施形態に係る浚渫用アタッチメントの一例の正面図である。さらに、図6は、吸引管の一例の縦断面図であって、堆砂を吸引するとともに清水が供給されている状態をともに示す図であり、図7は、図6のVII-VII矢視図である。
次に、図8を参照して、吸引管の変形例について説明する。ここで、図8は、吸引管の変形例の縦断面図であって、堆砂を吸引するとともに清水が供給されている状態をともに示す図である。
次に、図9を参照して、吸引管からの全吸引量、吸引口からの堆砂吸引量、及び給水口からの清水供給量に関する本発明者等による一考察について述べる。ここで、図9(a)は、吸引管による理想吸引量曲線を示す図であり、図9(b)は、吸引管による非理想吸引量曲線を示す図である。
30:ポンプ
35:輸送管
40:吸引管(二重管)
40A:吸引管(単管)
41:外管
41a:吸引口
42:内管
42a:吸引口
43:給水口
44:外側流路
45:内側流路
46:遮蔽部材
50:アクチュエータ(モータ)
60:スクリーン
61:環状横材
62:縦材
63:傾斜板材
64:切削ビット
65:開口
100:浚渫用アタッチメント
200:シャフト
300:水中作業機
310:昇降機構
320:旋回機構(作業機本体)
330:ブーム
340:アーム
400:台船
600:操作室
610:操作盤
700:仮置きピット
800:浚渫システム
DL:ダム湖
SE:堆砂
Claims (5)
- 水中作業機に取り付けられる、浚渫用アタッチメントであって、
ポンプと、
前記ポンプに連通する吸引管及び輸送管と、
前記吸引管の吸引口を包囲して複数の開口と切削ビットを備えているスクリーンと、
前記スクリーンを回転させるアクチュエータと、を有し、
前記吸引管の途中位置には、該吸引管に吸引された浚渫土砂の土砂濃度の低減を目的として、該吸引管に清水を給水するための給水口が設けられており、
前記ポンプの作動により、前記スクリーンの有する前記開口を介して前記吸引管に前記浚渫土砂が取り込まれ、かつ前記給水口を介して前記吸引管に前記清水が取り込まれ、該清水によって土砂濃度が低減された浚渫土砂が前記吸引管を介して前記ポンプに吸引され、前記輸送管を介して輸送されることを特徴とする、浚渫用アタッチメント。 - 前記吸引管が外管と内管を備えた二重管であり、
前記給水口を介して前記吸引管に供給された前記清水が、前記外管と前記内管の間の外側流路を流れ、前記内管の吸引口を回り込んで該内管の内部の内側流路に導入され、該内側流路に取り込まれる前記浚渫土砂とともに前記ポンプにより吸引されるようになっており、
前記外管の内径と、前記内管の内径と、前記給水口の内径がいずれも、前記ポンプによる吸引力との関係において、前記土砂濃度を目標土砂濃度まで低減するような内径として、実施工に先んじた試験施工により設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の浚渫用アタッチメント。 - 前記内管の有する吸引口が、前記外管の有する吸引口よりも吸引方向下流側に位置しており、
前記外側流路における前記給水口よりも吸引方向下流側の位置において、該外側流路における前記清水の流通を遮蔽する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の浚渫用アタッチメント。 - 前記スクリーンは、
鉛直方向に間隔を置いて配設されている、複数の環状横材と、
前記複数の環状横材の周方向に間隔を置いて配設されている、複数のU状の縦材と、
前記スクリーンの回転方向に下端が傾斜している傾斜板材とを備え、
前記傾斜板材は、その広幅面が前記スクリーンの外周に面するように配設されていて、該広幅面において該傾斜板材の長手方向に間隔を置いて複数の前記切削ビットが取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の浚渫用アタッチメント。 - 操作室を有する台船と、
前記台船にて保持されて、湖底まで延設するシャフトと、
前記シャフトに対して旋回自在でかつ昇降自在に取り付けられている前記水中作業機と、
前記水中作業機の備えるアームの先端に取り付けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の浚渫用アタッチメントと、を有し、
前記操作室の操作盤により、前記水中作業機の旋回及び昇降と、前記浚渫用アタッチメントの各種動作が実行制御されることを特徴とする、浚渫システム。
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