JP7251976B2 - 液晶ポリマーおよび該液晶ポリマーを含む樹脂組成物からなる樹脂成形品 - Google Patents
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Description
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、
芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)と、
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)と、
金属塩型のイオン性基および重合性基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV)と
を含み、下記の条件を満たすことを特徴とする、液晶ポリマーが提供される。
(条件)
前記液晶ポリマーを含む樹脂組成物を溶融成形加工した板状成形品は、L*a*b*表色系において、a*≦-1.0またはa*≧3.0を満たす。
本発明による液晶ポリマーは、少なくとも、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)、および芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含むものである。さらに、本発明による液晶ポリマーは、構成単位(I)~(III)以外の構成単位として、イオン性基および重合性基を有する構成単位(IV)を含む。また、本発明による液晶ポリマーは、これらの構成単位(I)~(IV)以外の構成単位(V)をさらに含んでもよい。
(条件)
前記液晶ポリマーを含む樹脂組成物を溶融成形加工した板状成形品は、L*a*b*表色系において、a*≦-1.0またはa*≧3.0を満たす。
ここで、L*a*b*は、ISO116664-4やJIS Z 8781-4で規定される色空間のパラメータで、L*は明るさを示し、0~100の範囲で数値が大きい程明るい。a*b*は色味を示し、それぞれ0の場合は無彩色、a*は正の値が大きい程赤みが強く、負の値で絶対値が大きくなるほど緑みが強くなる。またb*は正の値が大きい程黄み強く、負の値で絶対値が大きい場合は青みが強くなる。
a*≦-1.0である場合、液晶ポリマーは緑色に着色され、視認性を向上することができる。
a*≧3.0である場合、液晶ポリマーは赤色に着色され、視認性を向上することができる。
-1.0<a*<3.0である場合、液晶ポリマーはほとんど着色しておらず、一般的な液晶ポリマーの色彩である薄い黄色から白色に近い色彩である。
液晶ポリマーを構成する単位(I)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位であり、下記式(I)で表される芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位であることが好ましい。なお、構成単位(I)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
液晶ポリマーを構成する単位(II)は、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位であり、下記式(II)で表される芳香族ジオール化合物に由来する構成単位であることが好ましい。なお、構成単位(II)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
液晶ポリマーを構成する単位(III)は、ジカルボン酸に由来する構成単位であり、下記式(III)で表される芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位であることが好ましい。なお、構成単位(III)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
液晶ポリマーを構成する単位(IV)は、金属塩型のイオン性基およびエステル結合またはアミド結合を形成できる重合性反応基を2つ以上有する(以下、「重合性基を有する」と記載する)芳香族モノマー(以下、「イオン性芳香族モノマー」という)に由来する構成単位であり、上記構成単位(I)~(III)の構成単位を与えるモノマーと共重合可能なモノマーに由来するものである。なお、構成単位(IV)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
液晶ポリマーは、上記構成単位(I)~(IV)以外の他の構成単位をさらに含んでもよい。構成単位(V)は、上記構成単位(I)~(IV)を与えるモノマー以外の他のモノマーに由来するものであって、上記構成単位(I)~(IV)を与えるモノマーと重合可能な重合性を有するモノマーに由来するものであれば特に限定されない。重合性基については、上記構成単位(IV)で詳述した通りである。なお、構成単位(V)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
液晶ポリマーは、所望により構成単位(I)~(IV)を与えるモノマーおよび所望により構成単位(V)を与えるモノマーを、従来公知の方法で重合することにより製造することができる。一実施態様において、本発明に係る液晶ポリマーは、溶融重合によりプレポリマーを作製し、これをさらに固相重合する2段階重合によっても製造することができる。
本発明による液晶ポリマーの着色方法は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)と、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)とを含む液晶ポリマーを着色する方法である。本方法では、原料モノマーとして、金属塩型のイオン性基および重合性基を有する芳香族モノマーを添加して共重合させることで、液晶ポリマーを緑色や、赤色等に着色することができる。イオン性芳香族モノマーは、上記で説明した通りであり、上記式(IV)で表される。着色は特定のモノマー組成を持つ状態での反応で、反応ポリマーの液晶性が発現する重合反応の後半から起こる。モノマー組成を設計し、液晶ポリマーの分子間距離を制御することで液晶ポリマーの分子鎖間の距離を設計できる。特定の分子間距離の液晶ポリマー分子鎖間に金属塩型のイオン相互作用を持たせることで、系全体の吸収波長帯を効果的に変化させ、色彩を調整することができる。またイオン性芳香族モノマーの量を増やし、金属塩型のイオン相互作用を強くすればその色をより濃くできる。
本発明による樹脂組成物は、上記の液晶ポリマーを含むものであり、下記のフィラーをさらに含んでもよい。
フィラーは、充填材料を含むことが好ましい。上記充填材料は、繊維充填材および/または非繊維充填材を含むことが好ましい。上記の液晶ポリマーを含む樹脂組成物にフィラーを配合することで、耐熱性を備えながら、機械的性質に優れる樹脂成形品を得ることができる。
本発明による樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記の液晶ポリマー以外の樹脂を含んでいてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレートおよびポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドおよびポリエーテルイミド等のイミド樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂およびABS樹脂等のポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂ならびにポリカーボネート樹脂等が挙げられ、成形品は、これらを1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明による樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤、例えば、着色剤、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、硬化剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明による樹脂成形品は上記の液晶ポリマーを含む樹脂組成物からなるものである。本発明による樹脂成形品は、耐熱性に優れながら、加工性に優れるものである。
本発明においては、上記の液晶ポリマーや所望により他の成分を含む樹脂組成物を、従来公知の方法で成形して得ることができる。なお、樹脂組成物は、液晶ポリマーおよび他の成分や添加剤等をバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機等を用いて、溶融混練することにより得ることができる。
本発明による電気電子部品は、上記の樹脂成形品を備えてなる。電気電子部品としては、例えば、ETC、GPS、無線LANおよび携帯電話等の電子機器や通信機器に使用されるアンテナ、高速伝送用コネクタ、CPUソケット、回路基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、積層用回路基板、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、RFIDタグ、コンデンサー、インバーター部品、絶縁フィルム、ケーブルの被覆材、リチウムイオン電池等の二次電池の絶縁材、スピーカー振動板等が挙げられる。
<液晶ポリマーの製造>
(比較例1-1)
攪拌翼を有する重合容器に、原料モノマーとしてp-ヒドロキシ安息香酸(HBA)60モル%、4,4-ジヒドロキシビフェニル(BP)20モル%、テレフタル酸(TPA)13モル%、イソフタル酸(IPA)7モル%、を加え、触媒として酢酸カリウムと酢酸マグネシウムをモノマーモル総量に対して250ppmずつ入れ、重合容器の減圧-窒素注入を3回行って窒素置換を行った後、無水酢酸(水酸基に対して1.08モル当量)を更に添加し、150℃まで昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。
攪拌翼を有する重合容器に、原料モノマーとして、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA6.9モル%、および5-スルホニルイソフタル酸一ナトリウム(SSI)0.1モル%を仕込んだ後、150℃まで昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。続いて、さらに350℃まで昇温した後、10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部から液晶ポリマーを排出した。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA6.9モル%、およびSSI0.1モル%に変更し、触媒を添加せず、固相重合の最終温度を300℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA6.
8モル%、およびSSI0.2モル%に変更した以外は実施例1-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA6.5モル%、およびSSI0.5モル%に変更した以外は実施例1-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA6モル%、およびSSI1モル%に変更し、触媒を酢酸マグネシウムのみに変更し、固相重合の最終温度を295℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA6モル%、およびSSI1モル%に変更し、触媒を酢酸ナトリウムのみに変更し、固相重合の最終温度を295℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA13モル%、IPA4モル%、およびSSI3モル%に変更し、触媒量を3倍に変更し、固相重合の最終温度を295℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからカリウムおよびマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA73モル%および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)27モル%に変更し、触媒として酢酸カリウムおよび酢酸マグネシウムを加えた以外は実施例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA72.9モル%、HNA26.9%、BP0.1モル%およびSSI0.1モル%に変更し、固相重合の最終温度を250℃に変更した以外は実施例1-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA72モル%、HNA26%、BP1モル%およびSSI1モル%に変更し、固相重合の最終温度を250℃に変更した以外は実施例1-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA15モル%、およびIPA5モル%に変更し、固相重合の最終温度を295℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA50モル%、BP25モル%、TPA20モル%、およびIPA5モル%に変更し、固相重合の最終温度を290℃に変更した以外は実施例1-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA15モル%、IPA4.9モル%、およびSSI0.1モル%に変更した以外は実施例1-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA15モル%、IPA4.9モル%、およびSSI0.1モル%に変更し、触媒として酢酸マグネシウムのみを添加し、固相重合の最終温度を295℃に変更した以外は実施例3-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA50モル%、BP25モル%、TPA20モル%、IPA4.5モル%、およびSSI0.5モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA70モル%、BP15モル%、TPA10モル%、IPA4.5モル%、およびSSI0.5モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA7モル%、IPA7モル%、および1,4-シクロへキサンジカルボン酸(CHDA)6モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA7モル%、IPA7モル%、1,4-シクロへキサンジカルボン酸(CHDA)6モル%、およびSSI3モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、IPA4モル%、CHDA13モル%、およびSSI3モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP17モル%、TPA15モル%、IPA5モル%、およびアセトアミノフェン(AAP)3モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP17モル%、TPA15モル%、IPA4モル%、AAP3モル%、およびSSI1モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP17モル%、TPA15モル%、IPA2モル%、AAP3モル%、およびSSI3モル%に変更し、触媒を添加しなかった以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP17モル%、TPA9モル%、IPA2モル%、AAP3モル%、CHDA6モル%、およびSSI3モル%に変更し、触媒を添加しなかった以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP17モル%、TPA7モル%、IPA4モル%、AAP3モル%、CHDA6モル%、およびSSI3モル%に変更した以外は実施例3-2と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。触媒の導入によりSSIのカウンターイオンの一部がナトリウムからマグネシウムに交換されると考えられる。
モノマー仕込みを、HNA60モル%、BP20モル%、TPA15.5モル%、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(NADA)4.5モル%に変更し、固相重合の最終温度を300℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
モノマー仕込みを、HBA65モル%、BP17.5モル%、およびCHDA17.5モル%に変更し、固相重合の最終温度を295℃に変更した以外は比較例1-1と同様にして、液晶ポリマーを得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリマーが液晶性を示すことを確認した。
上記で得られた実施例および比較例の各液晶ポリマーについて、小型の射出成形機を用いて、融点~融点+30℃条件で加熱溶融し、30mm×30mm×0.4mm(厚み)の金型を用いて射出成形し、平板状試験片を作製した。
上記で得られた平板状試験片の中央部φ8mmの領域について、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、CM-600d)を用いて、L*a*b*表色系のL*a*b*の各値を測定した。測定は、各試験片について3回繰り返して行い、その平均値を測定値とした。また、得られた平板状試験片の色彩を目視で観察した。測定値および観察結果を表1および2に示した。
上記で得られた液晶ポリマーの着色が、残存したモノマーの影響ではなく、液晶ポリマー自体の発色であることを確認するために、下記の手順により試験を行った。
本試験では、原料モノマーであるSSIが溶解する溶媒で液晶ポリマーを洗浄し、色の変化を確認する。洗浄によって色が抜けていけば、SSI単体あるいはその誘導体が液晶ポリマーに共重合しない形態でフィラーのようにふるまって着色に貢献していることになり、洗浄によってSSI単体あるいはその誘導体が流れ出たことが示唆される。一方、SSIの良溶媒で洗浄しても液晶ポリマーの色が変化しなければ、SSIが液晶ポリエステルと共重合し、液晶ポリマー自体が発色していることが示唆される。
上記で得られた実施例1-8と実施例5-4の平板状試験片1枚を溶媒20mLに浸漬させ30分放置した。その後、板を溶媒から出し、空気中で乾燥させた。乾燥後の平板状試験片を分光測色計(コニカミノルタ社製)にて、上記の色彩評価1と同様にして、色彩を測定した。洗浄溶媒にはトルエン、N-メチル―2ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)の3種類をそれぞれ用いた。
<樹脂組成物の製造1>
(比較例7-1)
上記の比較例3-2で得られた液晶ポリマー65質量部、ミルドガラスファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製、EFH150-01)(MGF)20質量部、マイカ(株式会社ヤマグチマイカ社製、AB-25S)15質量部の割合で予め混合して混合物を得た。その混合物をエアーオーブン中で150℃にて2時間乾燥した。この乾燥した混合物を、360-370℃に加熱した2軸混練機(株式会社東洋精機製作所製、ラボプラストミルマイクロ2D15W)のホッパーに入れ、溶融混練し、ストランドカットしてペレタイズすることで樹脂組成物ペレットを得た。
上記の比較例3-2で得られた液晶ポリマー65質量部、タルク(日本タルク株式会社製MSKT)20質量部、硫酸バリウム(堺化学工業社製B-55)15質量部を混合した以外は、比較例7-1と同様にして、樹脂組成物ペレットを得た。
上記の実施例3-3で得られた液晶ポリマー65質量部、ミルドガラスファイバー(MGF)20質量部、マイカ15質量部を混合した以外は、比較例7-1と同様にして、樹脂組成物ペレットを得た。
上記の実施例3-3で得られた液晶ポリマー65質量部、タルク20質量部、硫酸バリウム15質量部を混合した以外は、比較例7-1と同様にして、樹脂組成物ペレットを得た。
上記で得られた実施例および比較例の各樹脂組成物について、樹脂成形品の製造1と同様にして、平板状試験片を作製した。
上記で得られた平板状試験片について、上記の色彩評価1と同様にして、L*a*b*表色系のL*a*b*の各値を測定した。また、得られた平板状試験片の色彩を目視で観察した。測定値および観察結果を表3に示した。着色した液晶ポリマーを用いることで、着色した樹脂成形品が得られることを確認した。
Claims (15)
- 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、
芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)と、
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)と、
金属塩型のイオン性基および重合性基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV)と
を含み、
前記芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)が、テレフタル酸に由来する構成単位およびイソフタル酸に由来する構成単位であり、
前記構成単位(IV)における前記金属塩のアニオン性基がスルホ基であり、前記金属塩の金属イオンが、アルカリ金属のイオン、アルカリ土類金属のイオンまたは遷移金属のイオンであり、
下記の条件を満たすことを特徴とする、液晶ポリマー(但し、エチレングリコール由来の構成単位を含むものを除く)。
(条件)
前記液晶ポリマーを含む樹脂組成物を溶融成形加工した板状成形品は、L*a*b*表色系において、a*≦-1.0またはa*≧3.0を満たす。 - 前記金属塩の金属イオンが、アルカリ金属のイオンまたはアルカリ土類金属のイオンである、請求項1に記載の液晶ポリマー。
- 前記金属塩の金属イオンが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、またはカルシウムイオンである、請求項1または2に記載の液晶ポリマー。
- 前記金属塩の金属イオンが、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶ポリマー。
- 前記金属塩の金属イオンが、ナトリウムイオンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶ポリマー。
- 前記液晶ポリマー全体の構成単位に対する前記構成単位(IV)の組成比が、0.01モル%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶ポリマー。
- 前記構成単位(IV)が、5-スルホニルイソフタル酸一ナトリウムに由来する構成単位である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶ポリマー。
- 前記液晶ポリマー全体の構成単位に対して、前記構成単位(I)の組成比が15モル%以上85モル%以下であり、前記構成単位(II)の組成比が7.5モル%以上42.5モル%以下であり、前記構成単位(III)の組成比が6.5モル%以上42.5モル%未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶ポリマー。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の液晶ポリマーを含む樹脂組成物からなる、樹脂成形品。
- 請求項9に記載の樹脂成形品を備えてなる、電気電子部品。
- 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)と、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)とを含む液晶ポリマー(但し、エチレングリコール由来の構成単位を含むものを除く)の着色方法であって、
原料モノマーとして、少なくともテレフタル酸、イソフタル酸、ならびに金属塩型のイオン性基および重合性基を有する芳香族モノマーを添加して共重合させることで、液晶ポリマーを着色することを特徴とする、方法であって、
前記芳香族モノマーの前記金属塩のアニオン性基がスルホ基であり、前記金属塩の金属イオンが、アルカリ金属のイオン、アルカリ土類金属のイオンまたは遷移金属のイオンである、方法。 - 前記金属塩の金属イオンが、アルカリ金属のイオンまたはアルカリ土類金属のイオンである、請求項11に記載の方法。
- 前記金属塩の金属イオンが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンまたはカルシウムイオンである、請求項11または12に記載の方法。
- 前記金属塩の金属イオンが、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記金属塩の金属イオンが、ナトリウムイオンである、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
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