JP7251775B2 - 信号伝送装置、信号伝送方法および信号伝送誤り抑制装置 - Google Patents
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Description
このような差動伝送方式に関する技術として、下記の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
特許文献1に記載されたCANのような通信ネットワークでは、近接する電力変換回路のスイッチングなどがもたらす高調波ノイズの影響が懸念されている。
このようなノイズ対策としては、配線(通信線)を厳重にシールドすることが考えられるが、全ての配線を厳重にシールドするとコストが高くなる問題がある。
電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網と、
前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
を備えたことを特徴とする。
前記論理値が0場合は、第1の配線の電位を高くし且つ第2の配線の電位を低くすると共に、前記論理値が1場合は、第1の配線の電位を低くし且つ第2の配線の電位を高くする前記電位強化部、
を備えたことを特徴とする。
電位の高低が伝送可能な第1の配線および第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する際に、取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位の高低を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制すると共に、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了することを特徴とする。
電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網に対して、前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
を備えたことを特徴とする。
図1において、本発明の実施例1の信号伝送装置が搭載された車両1には、複数のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)2が設けられている。ECU2は、エンジン制御用のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)2aやブレーキ制御用のECU2b、オーディオ制御用のECU2c、ドア制御用のECU2d、衝突防止制御用のECU2e、メーター制御用のECU2f等を有する。各ECU2a~2fは、図示しない車両側の記憶媒体の一例としてのメモリを有し、メモリには、エンジンの燃料の制御等の各ECU2a~2fの機能を実現するための制御プログラムが記憶されている。
CAN3は、複数の配線を有しており、電源電圧(Vcc=5.0V)を供給する配線3aや、接地(GND)された配線3b、差動伝送のための第1の配線(CAN-High)3cおよび第2の配線(CAN-Low)3dを有する。実施例1では、一例として、CAN-High3cには、第1の高電位(4V)または第1の低電位(2.5V)が印加され、CAN-Low3dには、第2の高電位(2.5V)または第2の低電位(1.5V)が印加されるように設定されている。
図3は実施例1の電位強化部の説明図であり、機能ブロック図である。
図3において、実施例1のバスエンフォーサ(信号伝送誤り抑制装置の一例)11は、CAN3の第1の配線3cや第2の配線3dに印加された信号(電位)から低周波数成分のみを通過させる信号値検出部(LPF)12を有する。信号値検出部12を通過した信号は、制御回路13に入力される。
また、バスエンフォーサ11は、CAN3の第1の配線3cや第2の配線3dに印加された信号(電位)から高周波数成分のみを通過させる高調波ノイズ検出部(HPF+整流回路)14を有する。高調波ノイズ検出部14を通過した信号は、直流検波されて制御回路13に入力される。
高調波ノイズ検出部14の出力を受け取った制御回路13のノイズレベル特定部13aは、直流検波電圧の大きさに基づいてバス上のノイズレベルの大きさを定量的に判定する。バスドライバ指令値演算部13bは、バスで送受信すべき論理値と、ノイズレベル特定部13aで判定されたノイズレベルを表す値から、ノイズによる誤りを抑制するために必要な強化(エンフォース)電圧を計算し、バスドライバがそれを出力するように指令値を決定する。制御回路13のタイミング生成部13cは、エンフォーサの具体的な運用方針に基づいて、バス電位を強化するためのタイミングや頻度などを決定する。また、一般のECUと同様に、信号値検出部から得られる論理値の遷移を基にビットクロックとサンプリング時機を調整する。
制御回路13のバスドライバ指令値演算部13bでは、第1の配線3cと第2の配線3dの電位差の大小を強化(エンフォース)するため、第1の配線3cと第2の配線3dの少なくとも一方に電圧を印加するようにバスドライバを制御する。実施例1では、両方の配線3c,3dに電圧を印加する。
図4において、実施例1のタイミング生成部(電位強化部)13cは、論理値が0の場合は、第1の配線3cの電位を第1の高電位V1aよりも高い電位(第1の強化高電位V1c)にし且つ第2の配線3dの電位を第2の低電位V2bよりも低い電位(第2の強化低電位V2d)にする。また、論理値が1の場合は、第1の配線3cの電位を第1の低電位V1bよりも低い電位(第1の強化低電位V1d)にし且つ第2の配線3dの電位を第2の高電位V2aよりも高い電位(第2の強化高電位V2c)にする。
なお、実施例1の制御回路13は、エンフォースする期間以外は、エンフォースせず、通常のCAN3の電圧が印加、伝送される状態となる。
前記符号2~15を付した各部位により実施例1の信号伝送装置2~15が構成されている。
図5は従来のCANにおける電位の変化の一例の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の信号伝送装置2~15では、サンプリング時機に、各配線3c,3dの電位差(電圧差)から、信号(論理値、「0」または「1」)が取得される。このとき、従来の構成では、図5に示すように、ノイズが発生していない場合の時間区間01では、正常に論理値が取得可能である。また、ノイズが発生していても、CAN-HighとCAN-Lowで同相(コモンモード)ノイズが発生している場合の時間区間02では、電位はノイズで変化するが、電位差は保持されるため、正常な論理値が取得可能である。一方で、CAN-HighとCAN-Lowで逆相(ディファレンシャルモード)ノイズが発生した場合の時間区間03では、電位差が正常な状況とは異なる状況となり、誤った論理値が取得される場合がある。
したがって、実施例1では、従来の構成に比べて、ノイズに対する耐性が向上している。
図6はシミュレーション実験例の全体回路図である。
実施例1のバスエンフォーサ11の効果を確認するためのシミュレーション実験を行った。
図6において、実験は、CAN3に相当するCAN3′に対して、バスエンフォーサ11を実現する回路11′と、ECU2aに対応する送信部の回路2′aおよびECU2bに対応する受信部の回路2′bを接続し、CAN3′の途中に高調波ノイズ発生部の回路4を挿入して行った。CAN3の配線CAN-High3cとCAN-Low3dに対応するCAN-High3′cとCAN-Low3′dの電位および受信部の回路2′bで判定される論理値の推移などを観測した。そして、各配線に、バスエンフォーサ回路11′を接続する場合としない場合とで実験を行った。CANの転送速度は1Mbps、ビットクロック周期は1uSec、サンプリング時機はビットクロックの70%点、計測時間帯は0uSec~10uSecである。
実験結果を図7(A)~図7(C)、図8(A)~図8(C)、図9~図10に示す。
以上から、高周波ノイズが挿入された期間でも論理値が安定しており、ノイズ耐性が向上していることが確認された。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H04)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、高調波ノイズの検出を契機にサンプリング時機ごとに周期的に電位差を強化(エンフォース)する構成とすることを例示したが、これに限定されない。例えば、ノイズの発生を検知してから一定の回数のサンプリング時機だけエンフォースする構成としたり、逆にノイズの発生を検知することがなくても、予防保全的に常にサンプリング時機にエンフォースする構成とすることもできる。あるいは、CANに近接する電力変換機器などのスイッチング時機の情報が同機器の制御回路から得られ、ノイズが発生する可能性が高いことが予めわかっている場合には、その時にのみエンフォースする構成とすることも可能である。また、前記実施例では、ノイズの強度は毎回一定であることを想定しているが、高調波ノイズ検出部14から出力される直流検波電圧のレベルに応じて、エンフォースの強さを適応的に調整することが可能であり、これは消費電力の観点からも効果的である。
2~15…信号伝送装置、
2a~2f…取得部、
3…信号網、
3c…第1の配線、
3d…第2の配線、
13c…電位強化部。
Claims (4)
- 電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網と、
前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
を備えたことを特徴とする信号伝送装置。 - 前記論理値が0場合は、第1の配線の電位を高くし且つ第2の配線の電位を低くすると共に、前記論理値が1場合は、第1の配線の電位を低くし且つ第2の配線の電位を高くする前記電位強化部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。 - 電位の高低が伝送可能な第1の配線および第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する際に、取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位の高低を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制すると共に、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了することを特徴とする信号伝送方法。
- 電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網に対して、前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
を備えたことを特徴とする信号伝送誤り抑制装置。
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