JP7251775B2 - 信号伝送装置、信号伝送方法および信号伝送誤り抑制装置 - Google Patents

信号伝送装置、信号伝送方法および信号伝送誤り抑制装置 Download PDF

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Description

本発明は、信号を送受信する信号伝送装置、信号伝送方法および信号伝送誤り抑制装置に関し、特に、ノイズ耐性を有する信号伝送装置、信号伝送方法および信号伝送誤り抑制装置に関する。
通信システムにおいて、2つの配線の間の電位差が閾値を超える/超えないで、信号(「0」または「1」)を伝送する差動伝送方式の通信システムが知られている。近年のコンピュータ技術の発展に伴って、自動車や建設機械等の車両において、エンジンの制御やブレーキの制御等が電子化され、各制御装置の間の情報の伝送として、差動伝送方式の通信システムであるCAN:Controller Area Network(登録商標、車載ネットワーク)が規格化されている。
このような差動伝送方式に関する技術として、下記の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
特許文献1(特開2017-28398号公報)では、自動車の車載ネットワークにおいて、2つの通信線(2H,2L)を使用して差動伝送を行うとともに、高速通信におけるノイズ耐性の低下を抑制するために、高速トランシーバ(14)を低速トランシーバ(12)とは逆極性で伝送路(2)に接続して、高速通信時と低速通信時とで通信線(2H,2L)の電位を逆極性にする技術が記載されている。
特開2017-28398号公報(「0038」~「0046」、図3、図5)
(従来技術の問題点)
特許文献1に記載されたCANのような通信ネットワークでは、近接する電力変換回路のスイッチングなどがもたらす高調波ノイズの影響が懸念されている。
このようなノイズ対策としては、配線(通信線)を厳重にシールドすることが考えられるが、全ての配線を厳重にシールドするとコストが高くなる問題がある。
また、ノイズを検出してノイズを打ち消す信号を入力する回路を追加する構成、いわゆるノイズキャンセリングの技術を適用することも考えられる。しかしながら、CANのように位置的に分散して接続された複数のノード(各電子制御装置)の受信部の信号について、単一または少数の装置を付加することで一括してノイズキャンセルすることは困難である。一方、CANに接続されたノードごとにノイズキャンセリング回路を設けることも考えられるが、すべてのノードにノイズキャンセリング回路が必要となって、コストが高くなる問題もある。また、既存のものに導入しようとすれば、導入作業も非常に煩雑なものとなる問題もある。
本発明は、コストの増大を抑制しつつ、規格の変更を伴わずに、差動伝送時のノイズを抑制することを技術的課題とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の信号伝送装置は、
電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網と、
前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の信号伝送装置において、
前記論理値が0場合は、第1の配線の電位を高くし且つ第2の配線の電位を低くすると共に、前記論理値が1場合は、第1の配線の電位を低くし且つ第2の配線の電位を高くする前記電位強化部、
を備えたことを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項3に記載の発明の信号伝送方法は、
電位の高低が伝送可能な第1の配線および第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する際に、取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位の高低を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制すると共に、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了することを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の信号伝送誤り抑制装置は、
電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網に対して、前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
を備えたことを特徴とする。
請求項1,3,4に記載の発明によれば、コストの増大を抑制しつつ、規格の変更を伴わずに、差動伝送時のノイズを抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、論理値に応じて各配線の電位を強化して、ノイズにより誤った論理値を取得することが抑制される。
図1は実施例1の車載ネットワークの概略説明図である。 図2は実施例1の信号網の説明図である。 図3は実施例1の電位強化部の説明図であり、機能ブロック図である。 図4は実施例1における各配線の電位の変化の一例の説明図である。 図5は従来のCANにおける電位の変化の一例の説明図である。 図6はシミュレーション実験例の全体回路図である。 図7はバスエンフォーサを使用しない従来構成(比較例)の場合のシミュレーション実験の説明図である。 図8はバスエンフォーサを使用した場合のシミュレーション実験結果の説明図である。 図9は、シミュレーション実験において、バスエンフォーサを使用した場合のノイズ検出部の出力とそれによるドライバ出力の制御例の説明図である。 図10は、シミュレーション実験において、バスエンフォーサを使用した場合の信号値検出部の出力とそれによるドライバへの指示電圧の例の説明図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は実施例1の車載ネットワークの概略説明図である。
図1において、本発明の実施例1の信号伝送装置が搭載された車両1には、複数のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)2が設けられている。ECU2は、エンジン制御用のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)2aやブレーキ制御用のECU2b、オーディオ制御用のECU2c、ドア制御用のECU2d、衝突防止制御用のECU2e、メーター制御用のECU2f等を有する。各ECU2a~2fは、図示しない車両側の記憶媒体の一例としてのメモリを有し、メモリには、エンジンの燃料の制御等の各ECU2a~2fの機能を実現するための制御プログラムが記憶されている。
各ECU(ノード)2a~2fは、信号網の一例としての車載ネットワーク(Controller Area Network:CAN(登録商標))3を介して接続されている。実施例1のCAN3には、電位強化部の一例としてのバスエンフォーサ11が接続されている。CAN3には、蓄電池の一例としてのバッテリー5から図示しない変圧器で変圧されて給電される。
図2は実施例1の信号網の説明図である。
CAN3は、複数の配線を有しており、電源電圧(Vcc=5.0V)を供給する配線3aや、接地(GND)された配線3b、差動伝送のための第1の配線(CAN-High)3cおよび第2の配線(CAN-Low)3dを有する。実施例1では、一例として、CAN-High3cには、第1の高電位(4V)または第1の低電位(2.5V)が印加され、CAN-Low3dには、第2の高電位(2.5V)または第2の低電位(1.5V)が印加されるように設定されている。
CAN3では、論理値「0」を伝送する場合は、第1の配線(CAN-High)3cを第1の高電位(4V)、第2の配線(CAN-Low)3dを第2の低電位(1.5V)にして、2つの配線の電位差を予め定められた閾値(例えば、0.9V)よりも大きくする。一方、論理値「1」を伝送する場合は、第1の配線(CAN-High)3cを第1の低電位(2.5V)、第2の配線(CAN-Low)3dを第2の高電位(2.5V)にして、2つの配線の電位差を予め定められた閾値よりも小さくする。
(バスエンフォーサの説明)
図3は実施例1の電位強化部の説明図であり、機能ブロック図である。
図3において、実施例1のバスエンフォーサ(信号伝送誤り抑制装置の一例)11は、CAN3の第1の配線3cや第2の配線3dに印加された信号(電位)から低周波数成分のみを通過させる信号値検出部(LPF)12を有する。信号値検出部12を通過した信号は、制御回路13に入力される。
また、バスエンフォーサ11は、CAN3の第1の配線3cや第2の配線3dに印加された信号(電位)から高周波数成分のみを通過させる高調波ノイズ検出部(HPF+整流回路)14を有する。高調波ノイズ検出部14を通過した信号は、直流検波されて制御回路13に入力される。
図3において、バスエンフォーサ11の制御回路13は、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータや小規模な順序回路により構成されている。制御回路13は、外部との信号の入出力、および、入出力信号レベルの調節等を行うI/O、必要な処理を実行するためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROMや必要なデータを一時的に記憶するためのRAM、前記ROMやRAMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU、ならびにクロック発振器等を有する。制御回路13は、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
信号値検出部12では、信号に含まれる高周波数成分、いわゆるノイズが除去される。信号値検出部12を通過した信号に基づいて、制御回路13のバスドライバ指令値演算部13bでは、ただちに送受信すべき論理値を取得することができる。
高調波ノイズ検出部14の出力を受け取った制御回路13のノイズレベル特定部13aは、直流検波電圧の大きさに基づいてバス上のノイズレベルの大きさを定量的に判定する。バスドライバ指令値演算部13bは、バスで送受信すべき論理値と、ノイズレベル特定部13aで判定されたノイズレベルを表す値から、ノイズによる誤りを抑制するために必要な強化(エンフォース)電圧を計算し、バスドライバがそれを出力するように指令値を決定する。制御回路13のタイミング生成部13cは、エンフォーサの具体的な運用方針に基づいて、バス電位を強化するためのタイミングや頻度などを決定する。また、一般のECUと同様に、信号値検出部から得られる論理値の遷移を基にビットクロックとサンプリング時機を調整する。
図4は実施例1における各配線の電位の変化の一例の説明図である。
制御回路13のバスドライバ指令値演算部13bでは、第1の配線3cと第2の配線3dの電位差の大小を強化(エンフォース)するため、第1の配線3cと第2の配線3dの少なくとも一方に電圧を印加するようにバスドライバを制御する。実施例1では、両方の配線3c,3dに電圧を印加する。
図4において、実施例1のタイミング生成部(電位強化部)13cは、論理値が0の場合は、第1の配線3cの電位を第1の高電位V1aよりも高い電位(第1の強化高電位V1c)にし且つ第2の配線3dの電位を第2の低電位V2bよりも低い電位(第2の強化低電位V2d)にする。また、論理値が1の場合は、第1の配線3cの電位を第1の低電位V1bよりも低い電位(第1の強化低電位V1d)にし且つ第2の配線3dの電位を第2の高電位V2aよりも高い電位(第2の強化高電位V2c)にする。
実施例1では、一例として、高調波ノイズ検出部の直流検波電圧が最大3.5V程度であることに対応して、第1の強化高電位は、第1の高電位(4V)よりも高い7Vに設定され、第1の強化低電位は、第1の低電位(2.5V)よりも低い-1Vに設定されている。また、第2の強化高電位は、第2の高電位(2.5V)よりも高い7Vに設定され、第2の強化低電位は、第2の低電位(1.5V)よりも低い-1Vに設定されている。したがって、実施例1では、各強化電位は、強化前の電位に対して閾値(0.9V)を超える電圧が印加されるように設定されている。
また、実施例1の制御回路13は、高調波ノイズ検出部14よるノイズの発生検出を契機に、サンプリング時機に合わせた定期的なエンフォースを開始する。実施例1では、各ECU(ノード)2a~2fの取得部が論理値を取得するサンプリング時機(信号の取得時機)よりも所定時間ta前から電位のエンフォースを開始して、サンプリング時機よりも所定時間tb後に電位のエンフォースを終了する。すなわち、一度、高調波ノイズの存在が確認された後は、各ノードECU2a~2fで論理値を取得する時期には毎回、CAN3に印加される電圧がエンフォースされるように設定されている。
なお、実施例1の制御回路13は、エンフォースする期間以外は、エンフォースせず、通常のCAN3の電圧が印加、伝送される状態となる。
制御回路13は、バス・ドライバ15に制御信号を出力する。バス・ドライバ15は、制御回路13からの制御信号に応じて、各配線3c,3dの電位を制御する。
前記符号2~15を付した各部位により実施例1の信号伝送装置2~15が構成されている。
(実施例1の作用)
図5は従来のCANにおける電位の変化の一例の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の信号伝送装置2~15では、サンプリング時機に、各配線3c,3dの電位差(電圧差)から、信号(論理値、「0」または「1」)が取得される。このとき、従来の構成では、図5に示すように、ノイズが発生していない場合の時間区間01では、正常に論理値が取得可能である。また、ノイズが発生していても、CAN-HighとCAN-Lowで同相(コモンモード)ノイズが発生している場合の時間区間02では、電位はノイズで変化するが、電位差は保持されるため、正常な論理値が取得可能である。一方で、CAN-HighとCAN-Lowで逆相(ディファレンシャルモード)ノイズが発生した場合の時間区間03では、電位差が正常な状況とは異なる状況となり、誤った論理値が取得される場合がある。
これらに対して、実施例1の信号伝送装置2~15では、各配線3c,3dに対して、電位差の大小を強化するように、各配線3c,3dに電圧が印加される。具体的には、論理値が「1」の状況では、第1の強化低電位と第2の強化高電位が各配線3c,3dに印加され、第1の低電位と第2の高電位が印加される従来の構成に比べて、電位差がより小さくなる(電位差が小さくなるように強化される)。したがって、ノイズが発生しても、論理値が「1」の状態が保持されやすくなる。一方、論理値が「0」の状況では、実施例1では、第1の強化高電位と第2の強化低電位が各配線3c,3dに印加され、第1の高電位と第2の低電位が印加される従来の構成に比べて、電位差がより大きくなる(電位差が大きくなるように強化される)。したがって、ノイズが発生しても、論理値が「0」の状態が保持されやすくなる。
したがって、実施例1では、従来の構成に比べて、ノイズに対する耐性が向上している。
また、実施例1の信号伝送装置2~15では、各ノード(各ECU2a~2f)に新たな回路を付加するのではなく、CAN3にバスエンフォーサ11を接続する(いわば、ぶら下げる)形となっている。また、CAN3自体は、現状の規格のものを採用可能であり、バスエンフォーサ11をCAN3に付加するだけですむ。したがって、CAN3の規格を変更する必要もない。したがって、各ノードにノイズキャンセリング機能を設けたりする構成に比べて、コストの増大を抑制することができるとともに、規格の変更も伴わずに済む。
さらに、実施例1では、電位のエンフォースは、サンプリング時機に対応して実行されている。したがって、サンプリングを行わない期間も常時エンフォースすると、電力消費が増大するが、実施例1では、無駄な電力消費を削減できる。
(実験例)
図6はシミュレーション実験例の全体回路図である。
実施例1のバスエンフォーサ11の効果を確認するためのシミュレーション実験を行った。
図6において、実験は、CAN3に相当するCAN3′に対して、バスエンフォーサ11を実現する回路11′と、ECU2aに対応する送信部の回路2′aおよびECU2bに対応する受信部の回路2′bを接続し、CAN3′の途中に高調波ノイズ発生部の回路4を挿入して行った。CAN3の配線CAN-High3cとCAN-Low3dに対応するCAN-High3′cとCAN-Low3′dの電位および受信部の回路2′bで判定される論理値の推移などを観測した。そして、各配線に、バスエンフォーサ回路11′を接続する場合としない場合とで実験を行った。CANの転送速度は1Mbps、ビットクロック周期は1uSec、サンプリング時機はビットクロックの70%点、計測時間帯は0uSec~10uSecである。
実験結果を図7(A)~図7(C)、図8(A)~図8(C)、図9~図10に示す。
図7(A)はバスエンフォーサを使用しない従来構成(比較例)の場合の実験結果の説明図である。さらに、図7(B)と図7(C)は、サンプリング時機において高調波ノイズの挿入を含む期間3.0uSec~4.5uSecと8.0uSec~9.5uSecの結果を拡大したものである。図7(B)におけるサンプリング時機3.7uSecでの本来の論理値は「0」であるが、この近傍ではCAN-High3′cとCAN-Low 3′dの電位がノイズによって上下(振動)することに伴って、論理値が0と1との間で振動しており、 誤った値「1」が取り込まれることが判る。また、図7(C)におけるサンプリング時機8.7uSecでの本来の論理値は「1」であるが、ノイズによって誤った値「0」が取り込まれることが判る。よって、ノイズの悪影響で論理値が安定しないことが確認された。
これに対して、図8(A)はバスエンフォーサを使用した実施例1の場合の実験結果の説明図である。さらに、図8(B)と図8(C)は、サンプリング時機において高調波ノイズの挿入を含む期間3.0uSec~4.5uSecと8.0uSec~9.5uSecの結果を拡大したものである。図8(B)におけるサンプリング時機3.7uSecの前ではノイズの影響による論理値の振動が見られるが、直前の3.66uSec付近からバス電位が強化され、正しい論理値「0」が取り込まれることが判る。また、図8(C)におけるサンプリング時機8.7uSecの前でもノイズによる論理値の振動が見られるが、サンプリング直前にはバス電位が強化されて、正しい論理値「1」が取り込まれることが判る。図8(A)では、3.65uSec付近で発生したノイズの検出を契機に、それ以降のサンプリング時機で継続的にバス電位が強化されている。
この制御は、図9のグラフによって説明できる。高調波ノイズ検出部14′の出力として得られる直流検波電圧のレベルが、図9の下段のグラフのようになる。その値が、閾値の500mVを超えたことでノイズの存在が検出され、その後、周期的にエンフォースを発動するため、制御回路13′のフリップフロップHC74Dの出力がハイレベルに転じたことを、図9の上段のグラフが表している。さらに、実際にサンプリング時機ごとにエンフォースするように制御回路13′の出力のひとつであるANDゲートHC08Dの出力値がハイレベルに繰り返し転じていることが図9の中段のグラフで判る。なお、エンフォースすべき本来の論理値は、信号値検出部12′の出力として得られる電位から、制御回路13′のバスドライバ指令値演算部13′bで判定され、サンプリング時機ごとに適切な指令値がスイッチS1からバスドライバへ出力される。これは図10のグラフから理解できる。
以上から、高周波ノイズが挿入された期間でも論理値が安定しており、ノイズ耐性が向上していることが確認された。
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H04)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、高調波ノイズの検出を契機にサンプリング時機ごとに周期的に電位差を強化(エンフォース)する構成とすることを例示したが、これに限定されない。例えば、ノイズの発生を検知してから一定の回数のサンプリング時機だけエンフォースする構成としたり、逆にノイズの発生を検知することがなくても、予防保全的に常にサンプリング時機にエンフォースする構成とすることもできる。あるいは、CANに近接する電力変換機器などのスイッチング時機の情報が同機器の制御回路から得られ、ノイズが発生する可能性が高いことが予めわかっている場合には、その時にのみエンフォースする構成とすることも可能である。また、前記実施例では、ノイズの強度は毎回一定であることを想定しているが、高調波ノイズ検出部14から出力される直流検波電圧のレベルに応じて、エンフォースの強さを適応的に調整することが可能であり、これは消費電力の観点からも効果的である。
(H02)前記実施例において、CAN3に対して1つのバスエンフォーサ11を設置する構成を例示したが、これに限定されない。バス・ドライバの駆動能力の制約や、局所的な伝送遅延への対応のため、CAN3に対して複数のバスエンフォーサ11を設置することも可能である。
(H03)前記実施例において、例示した具体的な数値は、設計や仕様等に応じて適宜変更可能である。したがって、各電圧(電位)の値や閾値の値等は変更可能である。また、各強化電位V1c,V1d,V2c,V2dは、強化前の各電位V1a,V1b,V2a,V2bに対して閾値を超えるように値が設定する場合を例示したが、閾値に達しない値に設定することも可能である。
(H04)前記実施例において、車両1としての自動車を例示したが、これに限定されず、建設機械やトラクター等の農機具等、車載ネットワークを備えた任意の車両に適用可能である。また、車両に限定されず、差動伝送を採用した任意の通信機器にも適用可能である。
1…車両、
2~15…信号伝送装置、
2a~2f…取得部、
3…信号網、
3c…第1の配線、
3d…第2の配線、
13c…電位強化部。

Claims (4)

  1. 電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網と、
    前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
    取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
    を備えたことを特徴とする信号伝送装置。
  2. 前記論理値が0場合は、第1の配線の電位を高くし且つ第2の配線の電位を低くすると共に、前記論理値が1場合は、第1の配線の電位を低くし且つ第2の配線の電位を高くする前記電位強化部、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。
  3. 電位の高低が伝送可能な第1の配線および第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する際に、取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位の高低を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制すると共に、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了することを特徴とする信号伝送方法。
  4. 電位の高低が伝送可能な第1の配線と、前記第1の配線とは異なる電位の高低が伝送可能な第2の配線と、を有する信号網に対して、前記第1の配線および前記第2の配線の電位差に基づいて、前記第1の配線と前記第2の配線の電位差が予め定められた閾値よりも小さい場合を1とし且つ前記電位差が前記閾値よりも大きい場合を0とする論理値であって前記信号網を伝送される信号の論理値と、前記第1の配線および前記第2の配線を伝送される電位に含まれる高周波成分である高調波ノイズのレベルを取得する取得部と、
    取得した高調波ノイズのレベルから、伝送される信号である論理値の前記高調波ノイズによる誤りを抑制するために必要な電圧を計算して、電位差の大小を強化するように、前記第1の配線と前記第2の配線の少なくとも一方に電圧を印加して、ノイズの影響を抑制する電位強化部であって、前記必要な電圧が計算された後の前記論理値を取得するサンプリング時機について、前記サンプリング時機よりも所定時間前から前記電圧の印加を行い、且つ、前記サンプリング時機よりも所定時間後に前記電圧の印加を終了する前記電位強化部と、
    を備えたことを特徴とする信号伝送誤り抑制装置。
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