JP7251724B2 - t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを用いた重合性樹脂組成物 - Google Patents
t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを用いた重合性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
(1)t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含有する重合性樹脂組成物であって、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のp-trans型異性体の含有量は70%以上を有することを特徴とする重合性樹脂組成物、
(2)t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のp-trans型異性体の含有量とp-cis型異性体の含有量の合計は90%以上を有することを特徴とする前記(1)に記載の重合性樹脂組成物、
(3)t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のp-trans型異性体とp-cis型異性体の含有量のモル比は2.3以上であることを特徴とする前記(1)又は前記(2)に記載の重合性樹脂組成物、
(4)前記(1)~(3)の何れか一項に記載の重合性樹脂組成物に、光重合開始剤及び/又は不飽和結合を有する化合物をさらに含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
(5)前記(4)に記載の組成物を活性エネルギー線照射により重合して得られる重合物、
(6)前記(1)~(3)の何れか一項に記載の重合性樹脂組成物に、熱重合開始剤及び/又は不飽和結合を有する化合物をさらに含有することを特徴とする重合性樹脂組成物、
(7)前記(6)に記載の組成物を熱により重合して得られる重合物、
(8)前記(1)~(7)の組成物または重合物を含有することを特徴とする濡れ性向上剤、
(9)前記(1)~(7)の組成物または重合物を含有することを特徴とする密着性向上剤、
(10)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする粘着剤組成物、
(11)前記(10)に記載の粘着剤組成物であって、かつ、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のm-trans型異性体の含有量は1.0%以下であることを特徴とする光学用粘着剤組成物、
(12)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とするコーティング組成物、
(13)前記(12)に記載のコーティング組成物であって、かつ、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のm-trans型異性体の含有量は1.0%以下であることを特徴とする光学部材用コーティング組成物、
(14)前記(12)に記載のコーティング組成物であって、かつ、p-trans型異性体とp-cis型異性体の含有量のモル比は3.0以上であることを特徴とする、ポリオレフィン基材用コーティング組成物、
(15)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とするインク組成物、
(16)前記(15)に記載のインク組成物であって、かつ、p-trans型異性体とp-cis型異性体の含有量のモル比は3.0以上であることを特徴とするインクジェット用インク組成物、
(17)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物、
(18)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする接着剤組成物、
(19)前記(18)に記載の接着剤組成物であって、かつ、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のm-trans型異性体の含有量は1.0%以下であることを特徴とする光学用接着剤組成物、
(20)前記(18)に記載の接着剤組成物であって、かつ、p-trans型異性体とp-cis型異性体の含有量のモル比は3.0以上であることを特徴とする電子材料用接着剤組成物、
(21)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする封止材組成物、
(22)前記(21)に記載の封止材組成物であって、かつ、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート中のm-trans型異性体の含有量は1.0%以下であることを特徴とする有機EL素子用封止材組成物、
(23)前記(11)、(13)、(16)、(19)と(22)に記載のいずれか一種以上組成物を用いて、光学用フィルム、シートの片面又は両面に塗布し、活性エネルギー線照射或いは熱による硬化又は積層硬化で得られた光学用成形品、
(24)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする加飾フィルム用樹脂組成物、
(25)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とするジェルネイル用樹脂組成物、
(26)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする車両用コーティング組成物、
(27)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする建築物用コーティング組成物、
(28)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする界面活性剤、
(29)前記(4)又は(6)に記載の組成物、及び/又は前記(5)又は(7)に記載の重合物を含有することを特徴とする分散剤、
を提供することである。
本発明の重合性樹脂組成物の構成成分であるt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートは、シクロヘキサン環にt-ブチル基と(メタ)アクリロイル基の2つの置換基が有するため、cis型、trans型の異性体が発生する。また、2つの置換基の位置が、o-位、m-位、p-位に結合することが可能であり、位置異性体も発生する。さらに、axialとequatorialの立体配座も発生する。これらの異性体においては、立体構造の違いにより、分子内エネルギーや分子間相互作用に差異が発生し、各種物性に影響を及ぼす。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの単官能モノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
TBCHA:t-ブチルシクロヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
PEA:フェノキシエチルアクリレート
STA:ステアリルアクリレート
NVC:N-ビニルカプロラクタム
M-102:テトラエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート(東亜合成株式会社製アロニックスM-102)
「DMAA」:N,N-ジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製、Kohshylmer(登録商標) DMAA(登録商標))
「DEAA」:N,N-ジエチルアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製、Kohshylmer(登録商標) DEAA(登録商標))
「HEAA」:N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製、Kohshylmer(登録商標) HEAA(登録商標))
「ACMO」:アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ(株)製、Kohshylmer(登録商標) HEAA(登録商標))
「NIPAM」:N-イソプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製、Kohshylmer(登録商標) NIPAM(登録商標))
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製、Kohshylmer(登録商標))
GA:グリシジルアクリレート
AAc:アクリル酸
UV-3000B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製)
UV-6640B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製)
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
Darocur1173:光重合開始剤(BASFジャパン(株)製)
Irgacure184:光重合開始剤(BASFジャパン(株)製)
IrgacureTPO:光重合開始剤(BASFジャパン(株)製)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル、熱重合開始剤
PE:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
PET:ポリエチレンテレフタレート(未処理品)
PC:ポリカーボネート
PMMA:ポリメチルメタクリレート
ABS:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂
COP:シクロオレフィンポリマー
TAC:トリアセチルセルロース
PVC:ポリ塩化ビニル
LCP:液晶ポリマー
PEEK:ポリエーテルエーテルケトン
SPCC:冷間圧延鋼板
SUS:304ステンレス鋼
TBCHAのp-trans型異性体含有量と色相、臭気、皮膚刺激性、濡れ性、密着性との関係を表1に示す。各種評価は以下の測定方法により行った。
(色相)
透過色専用測定器(日本電色工業(株)社製 TZ6000)により、TBCHAモノマー原液の状態で、APHAを測定した。APHAは、数値が高いほど色が濃いことを示す。
(臭気)
TBCHAモノマー原液を用いて、作業員5名により臭いを嗅いで官能的に評価し、平均値を取った。
(皮膚刺激性)
GLP適合設備にて、OECDガイドラインNo.404に準じて評価した。
(濡れ性の評価)
TBCHA 100重量部に光重合開始剤Darocur1173を5重量部加え、混合溶解させ、紫外線硬化可能な評価液を得た。得られた評価液を表1記載の各種基材にバーコーター(RDS12)で塗工し、塗工液のハジキ具合を目視にて観察した。
〇:ハジキ無し
×:ハジキあり
(密着性の評価)
紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)社製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプM04-L41、700mW/cm2、3000mJ/cm2)を使用し、上記の各種基材に塗工した評価液を完全に硬化させた。金属基材も特に脱脂等を行わずにそのまま塗工し、硬化させた。得られた硬化膜を碁盤目試験法により1mm角のます目を100個作成し、セロハンテープを貼り付け、一気に剥がした時に基材側に硬化膜が残ったマス目の数を数えて評価した。残ったマス目数が多いほど密着性が高いことを示す。
◎:残ったマス目数100
〇:残ったマス目数90以上100未満
△:残ったマス目数50以上90未満
×:残ったマス目数50未満
紫外線硬化性モノマーとしてACMOを用いて、p-trans型異性体含有量の異なるTBCHAと混合し、実施例A-1と同様に100重量部の混合液に対して開始剤を5重量部加え、各種基材に対する濡れ性、密着性の評価を行った。各評価の結果を表2に示す。
表3-1~表3-6に示す比例(重量部)で、TBCHA、単官能モノマー、オリゴマー、多官能モノマー、重合開始剤を混合して溶解させ、重合性樹脂組成物を調製した。
粘着剤組成物として重合性樹脂組成物X-1~5とX-6~7を用い、下記方法にて、紫外線硬化型粘着シートの作製及び評価を行った。評価結果を表4に示す。
(紫外線硬化型粘着シートの作製方法)
厚さ100μmのPETフィルム表面に、膜厚が25μmになるように粘着剤組成物を塗布し、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)社製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプM04-L41、700mW/cm2、2000mJ/cm2)を使用して硬化させた。その後、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用の紫外線硬化型粘着シートを作製した。
(透明性)
ヘイズメーター(日本電色工業(株)社製 NDH-2000)により紫外線硬化型粘着シートの透過率を測定し、透明性を下記通り4段階に分けて評価した。
◎:透過率90%以上
○:透過率85%以上、90%未満
△:透過率50%以上、85%未満
×:透過率50%未満
(粘着力)
温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、作製した紫外線硬化型粘着シートを用いて被着体として表4に記載の各種基材の表面に貼り付け、手動式ローラー(45mm幅、重量2Kg)で2往復圧着し、同雰囲気下で30分間放置し、粘着力評価用の積層体を得た。得られた積層体を用いて、引っ張り試験機(ORIENTEC社製 テンシロンRTA-100)により、剥離速度300mm/分にて180°剥離強度(N/25mm)を測定し、粘着力(剥離強度)を下記通り4段階に分けて評価した。なお、本評価においては、測定バラツキの影響を少なくするため、測定を各5回実施し、最大値と最小値を除外した3回分の測定値を平均した値を粘着力として用いた。
◎:30N/25mm以上
○:15N/25mm以上、30N/25mm未満
△:8N/25mm以上、15N/25mm未満
×:8N/25mm未満
(耐汚染性)
上記の粘着力測定の試験と同様に紫外線硬化型粘着シートを被着体に加圧着させ、80℃、24時間放置した後、手動で紫外線硬化型粘着シートを剥がして、被着体表面の汚染状態(粘着剤の残り状態)を目視によって観察した。
◎:汚染なし
○:ごく僅かに汚染がある
△:僅かに汚染がある
×:糊(粘着剤)残りがある
(耐湿熱黄変性)
温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間静置した紫外線硬化型粘着シートを用いて、透過スペクトルを透過色測定専用機(日本電色工業(株)製 TZ-6000)により測定し、初期b値とした。その後、紫外線硬化型粘着シートを85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿機に500時間を静置し、耐湿熱黄変性の加速試験を行った。試験後の粘着シートを同様に温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間静置し、透過色測定し、湿熱後b値とした。また、湿熱後b値と初期b値の差は変化値Δbとした(Δb=湿熱後b値-初期b値)。耐湿熱黄変性は下記通り4段階分けて評価した。
◎:初期b値、湿熱後b値は共に0.2以下、かつ、Δbは0.1以下である
○:初期b値、湿熱後b値は何れか一つまたは共に0.2を超えるが、共に0.5以下であり、かつ、Δbは0.2以下である
△:初期b値、湿熱後b値は何れか一つまたは共に0.5を超えるが、共に1.0以下であり、かつ、Δbは0.3以下である
×:初期b値、湿熱後b値は何れか一つまたは共に1.0を超え、或いは、Δbは0.3を超える
(耐光黄変性)
上記の耐湿熱黄変性評価と同様に、耐光黄変性の加速試験を行い、試験前後のb値とそれらの差であるΔbを測定、算出した。耐光黄変性の加速試験は紫外線フェードメーター(スガ試験機(株)社製 U48)を用いて、ブラックパネル温度を63℃に設定し、500W/m2の条件で168時間照射を行った。耐湿熱黄変性と同様に4段階に分けて評価した。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置内に、酢酸エチル200重量部と前記重合性樹脂組成物X-8を100重量部加え、さらにAIBN 0.2重量部を加えて撹拌しながら窒素ガスを導入して装置内の空気を窒素に置換した。その後、還流温度まで昇温し、窒素を通しながら7時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを添加して、固形分30%の重合体溶液(B-8)を得た。また、重合体溶液から30重量部を取り出し、溶液中の揮発成分を完全に除去することにより重合体を取得した。その後、テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、濃度0.5重量%の重合体溶液を調製し、一晩静置した。重合体のTHF溶液を0.45μmメンブレンフィルターでろ過し、ろ液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行い(島津製作所製Prominence GPCシステム、Shodex KF-806Lカラム、溶離液THF)、ポリスチレン換算値により、重合体の重量平均分子量(Mw)が29万であることを算出した。
重合性樹脂組成物X-9~13に変更した以外は、実施例B-8と同様に重合を行い、固形分30%の重合体溶液(実施例B-9~11と比較例B-12、13)を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)を測定し、結果を表5に纏めた。
得られたB-9~11とB-12、13の重合体溶液を用いて、下記方法によりアクリル系粘着シートの作製及び評価を行った。
(アクリル系粘着剤の作製方法)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmとなるよう重合体溶液B-8~13をそれぞれ塗布し、80℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用アクリル系粘着シートを得た。
上記と同様に、透明性、粘着力、耐汚染性、耐湿熱黄変性、耐光黄変性を評価し、結果を表5に纏めた。
重合性樹脂組成物X-14~18に変更した以外は、実施例B-8と同様に重合を行い、固形分30%の重合体溶液(実施例B-14~16と比較例B-17、18)を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)を測定し、結果を表6に纏めた。
得られた各重合物溶液100gを量り取って、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の50%酢酸エチルの溶液3gを添加し、均一に混合した後、乾燥後の厚みが25μmとなるようにPETフィルムに塗布し、80℃で2分間乾燥させて、さらに40℃の恒温槽で3日間エージングさせた後、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用ウレタン系粘着シートを得た。
上記と同様に、ウレタン系粘着シートを用いて、透明性、粘着力、耐汚染性、耐湿熱黄変性、耐光黄変性を評価し、結果を表6に纏めた。
重合性樹脂組成物X-19~23に変更した以外は、実施例B-8と同様に重合を行い、固形分30%の重合体溶液(実施例B-19~21と比較例B-22、23)を得た。得られた重合体溶液の重合体の重量平均分子量(Mw)を測定した。結果を表7に示す。得られた各重合体溶液100gを量り取って、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物の50%酢酸エチルの溶液3gを添加し、均一に混合した後、乾燥後の厚みが25μmとなるようにPETフィルムに塗布し、80℃で2分間乾燥させて、さらに80℃で30分間加熱して架橋させた後、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用エポキシ系粘着シートを得た。得られたエポキシ系粘着シートを用いて、透明性、粘着力、耐汚染性、耐湿熱黄変性、耐光黄変性を評価した。結果を表7に示す。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置内に、水を150重量部と重合性樹脂組成物X-22を100重量部、AIBN 0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0重量部を加えて撹拌しながら窒素ガスを導入して装置内の空気を窒素に置換した後、還流温度まで昇温し、窒素を通しながら8時間反応させた。反応終了後、水を添加して、固形分30%の水系エマルジョン重合体溶液(実施例B-22)を得た。
また、前記重合体溶液から30重量部を取り出し、溶液中の揮発成分を完全に除去することにより重合体を取得した。その後、テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、濃度0.5重量%の重合体溶液を調製し、一晩静置した。重合体のTHF溶液を0.45μmメンブレンフィルターでろ過し、ろ液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行い(島津製作所製Prominence GPCシステム、Shodex KF-806Lカラム、溶離液THF)、ポリスチレン換算値により、重合体の重量平均分子量(Mw)が20万であることを算出した。
重合性樹脂組成物X-25~28に変更した以外は、実施例B-24と同様に重合を行い、固形分30%の重合体溶液(実施例B-25、26と比較例B-27、28)を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)を測定し、結果を表8に纏めた。
得られた実施例B-24~26と比較例B-27、28の重合体溶液を用いて、下記方法によりエマルジョン型粘着シートの作製及び評価を行った。
(エマルジョン型粘着シートの作製方法)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに、乾燥後の厚みが25μmとなるように重合体溶液B-24~28をそれぞれ塗布し、90℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用エマルジョン型粘着シートを得た。
上記同様に、透明性、粘着力、耐汚染性、耐湿熱黄変性、耐光黄変性を評価し、結果を表8に纏めた。
重合性樹脂組成物X-29~33に変更した以外は、実施例B-24と同様にして重合を行い、固形分30%の重合体溶液(実施例B-29~31と比較例B-32、33)を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)を測定し、結果を表9に纏めた。
得られたB-29~33の重合体溶液を用いて下記方法により密着性の評価を行った。
(密着性の評価)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに、膜厚25μmになるように重合体溶液B-29~33をそれぞれ塗布し、90℃で2分間乾燥させて、塗膜を形成した。得られた塗膜を碁盤目試験法により1mm角のます目を100個作成し、セロハンテープを貼り付け、一気に剥がした時に基材側に硬化膜が残ったマス目の数を数えて評価した。
◎:残ったマス目数100
〇:残ったマス目数90以上100未満
△:残ったマス目数50以上90未満
×:残ったマス目数50未満
重合性樹脂組成物X-34~38を用い、表10に示す組成比に顔料と顔料分散剤を加えて攪拌し、インク組成物を調製した。また、調製したインク組成物を用いて、インクジェット印刷を行い、得られた印刷物の物性評価を行った。なお、クリアインク組成物においては顔料と顔料分散剤を配合せず、ブラックインク組成物は顔料ピグネントブラック7を6重量部、顔料分散剤アジスパーPB821を4重量部配合したものと配合してないものそれぞれ評価を行った。評価の結果を表10に纏めた。
(粘度)
インク組成物の粘度をJIS K5600-2-3に準じて、コーンプレート型粘度計(東機産業(株)社製 RE550型粘度計)により測定した。インクジェット式印刷用のインク組成物として、粘度は下記通り4段階分けて評価した。
◎:5~100mPa・s未満
○:100~500mPa・s未満
△:500~2000mPa・ s未満
×:2000mPa・ s以上
(顔料分散性)
調製したインク組成物を用いて、調製直後及び2ヶ月静置後の顔料の凝集や沈殿状態を目視により観察し、顔料分散性は下記通り4段階分けて評価した。
◎:調製直後も2ヶ月静置後も、顔料の凝集や沈殿は全く認められなかった。
〇:調製直後には全く認められなかったが、2ヶ月静置後、僅かに顔料の沈殿が認められた。
△:調製直後には僅か、2ヶ月静置後には顔料の凝集や沈殿が明瞭に認められた。
×:調製直後にも顔料の凝集や沈殿が明瞭に認められた。
(紫外線照射による印刷物の作製)
得られたインク組成物を厚さ100μmのPETフィルムにバーコーター(RDS12)にて塗布し(乾燥後膜厚10μm)、紫外線照射(アイグラフィックス(株)社製インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタハライドランプM04-L41)により硬化させ、印刷物を作製した。
(硬化性)
上記方法にて印刷物を作成する際、インク組成物が完全硬化(べたつかない状態)するまでの積算光量を測定し、硬化性を評価した。
◎:1000mJ/cm2で完全硬化
○:1000~2000mJ/cm2で完全硬化
△:2000~5000mJ/cm2で完全硬化
×:完全硬化までに5000mJ/cm2以上が必要
(表面乾燥性)
上記方法にて作製した印刷物を、室温23℃、相対湿度50%の環境に5分間静置し、印刷面に上質紙を重ね、荷重1kg/cm2の負荷を1分間かけ、紙へのインクの転写程度を評価した。
◎:インクが乾燥し、紙への転写が全くなかった
○:インクが乾燥し、紙への転写がわずかにあった
△:インクがほぼ乾燥し、紙への転写があった
×:インクが殆ど乾燥せず、紙への転写が多かった
(密着性の評価)
得られたインク組成物を各種基材に塗工し、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)社製インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプM04-L41、700mW/cm2、3000mJ/cm2)を使用し、完全に硬化させた。得られた硬化膜を碁盤目試験法により1mm角のます目を100個作成しセロハンテープを貼り付け、一気に剥がした時に基材側に硬化膜が残ったマス目の数を数えて評価した。
◎:残ったマス目数100
〇:残ったマス目数90以上100未満
△:残ったマス目数50以上90未満
×:残ったマス目数50未満
(インクジェット印刷と印刷適性評価)
上記で作製したインク組成物を市販インクジェットプリンター(富士フイルム(株)社製 LuxelJet U V350GTW)に充填し、コート紙を用いて、ベタ画像を印刷し、インクの印刷適正を以下の方法にて評価した。
(吐出安定性)
得られた印刷物の印刷状態を目視により評価した。
◎:ノズル抜けなく、良好に印刷されている
〇:わずかにノズル抜けあり
△:広い範囲にてノズル抜けがあり
×:不吐出がある
(鮮明度)
顔料を配合したインク組成物から得られた印刷物の画像鮮明度を目視で観察した。
◎:インクにじみが全く見られなく、画像が鮮明であった
○:インクにじみが殆どなく、画像が良好であった
△:インクにじみが若干見られた
×:インクにじみが著しくみられた
(耐熱黄変性)
得られたクリアインク組成物を用いて、サブストレート基板(#125-E20)に膜厚10μmとなるようにバーコーター(RDS12)で塗布し、上記と同様にメタルハライドランプで硬化させた。得られた塗膜の色相をSpcetrolino(GretagMacbeth社製)により測定し、60℃に保持した恒温槽に1週間放置した。その後、塗膜の色相を再度測定し、加熱前後の色相値変化(ΔE=加熱後色相-加熱前色相)により耐黄変性を評価した。
◎:0<=ΔE<=0.2
〇:0.2<ΔE<=0.5
△:0.5<ΔE<=1.0
×:1.0<ΔE
重合性樹脂組成物X-39~43を用い、下記方法にて、光造形物の試験片作製を行い、硬度、強度および伸度を測定した。評価結果を表11に示す。
(試験片の作製)
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製ポリエステルフィルムE7001) を密着させ、厚さ1mm、内部が60 mm×100mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に得られた重合性樹脂組成物(X-39~41、X-42、43)を充填した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS-4011G X、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04-L41、紫外線照度200mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2) し、樹脂組成物を硬化させた。その後、両側の剥離PETフィルムを取り除いて、実施例B-39~41及び比較例B-42、43の試験片を得た。
作製した実施例用の試験片(B-39~41)及び比較例用の試験片(B-42、43)を用いて、各6枚重ねにし、JISK6253「ゴムの硬さ試験方法」によりショアA硬度を測定した。また、ショアA硬度が90より大きい場合はショアD硬度を測定した。
(破断伸度)
作製した実施例用の試験片(B-39~41)及び比較例用の試験片(B-42、43)を用いて、JIS K6251に準拠した3号ダンベル型に打ち抜いて、ダンベル型試験片を作製した後、JIS K7161に従って、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-X)を用い、25℃の温度環境下にて、引張速度100mm/分、チャック間距離50mmの条件で破断伸度を測定した。
重合性樹脂組成物X-44~48を用い、下記方法にて爪装飾用コート剤の作製及び評価を行った。評価結果を表12に示す。
重合性樹脂組成物を爪上にフラットブラシを用いて均一に塗布し、ジェルネイル専用UV照射装置(36W)を用いて60秒照射することで、爪上に爪装飾を形成した。
上記方法にて得られた爪装飾の表面を指で触り、べたつき具合を評価した。
◎:べたつきが全くない。
○:若干のべたつきがあるが、表面に指の跡が残らない。
△:べとつきがあり、表面に指の跡が残る。
×:べとつきがひどく、表面に指が貼りつく。
(平滑性)
上記方法にて得られた爪装飾の表面を目視にて確認した。
◎:表面が平滑であり、塗布面全てにおいて凹凸がみられない。
○:全体的に平滑であるが、一部凹凸がみられる。
△:塗布後に一部、フラットブラシによる刷毛跡が残る。
×:塗布後にフラットブラシによる刷毛跡が残る。
(光沢性)
上記方法にて得られた爪装飾の表面を目視にて観察した。
◎:表面光沢がある。
○:光の反射は確認できるが、うっすらと曇りがみられる。
△:表面が全体的に若干曇る。
×:表面が曇る。
(密着性)
上記方法にて得られた爪装飾を他の爪で引っ掻いた後の外観変化を目視にて確認した。
◎:外観に変化なし。
○:爪装飾の一部に浮き上がりがあり、白化が確認された。
△:爪装飾の一部に剥離を確認した。
×:爪装飾の顕著な剥離を確認した。
(除去性)
上記方法にて得られた爪装飾を覆うようにして、アセトンを含んだコットンを載せた。次にアルミホイルで爪全体を覆い、サニメント手袋をした後10分間温水につけて放置した。その後、アルミホイルとコットンを取り除き、布を用いて軽く擦った。
◎:布を用いずとも、容易に爪装飾を剥離することができた。
○:布を用いて軽く擦ると、容易に爪装飾を剥離することができた。
△:布を用いて1分ほど擦り続けると、爪装飾を剥離することができた。
×:アセトンを膨潤しておらず、布で擦っても剥離できない。
重合性樹脂組成物X-49~53を用い、下記方法にてプレキュアタイプの加飾コート剤用樹脂物の評価を行った。
得られた積層体を用いて、膜の表面を指で触り、べたつき具合を評価した。
◎:べたつきが全くない。
〇:若干のべたつきがあるが、表面に指の跡が残らない。
△:べたつきがあり、表面に指の跡が残る。
×:べたつきがひどく、表面に指が貼りつく。
得られた積層体を長さ50mm、幅15mmにカットし、テンシロン万能試験機RTA-100(オリエンテック社製)にチャック間距離25mmにて固定し、温度150℃に設定したオーブン中にて250mm/minの速度にて、外観を目視観察しながら一方向に引張り、塗工層に割れ又は白化を生じたときの試験片の長さ(mm)を測定した。伸び率は下記方法により算出し、評価を行った。
伸び率(%)=(試験後試料片長さ/25)×100%
◎:伸び率が200%以上
〇:伸び率が150以上200%未満
△:伸び率が110%以上150%未満
×:伸び率が110%未満
試験片をJIS K 5600に準拠して、鉛筆を45°の角度で10mm程度引っ掻いた後、硬化膜表面に傷の付かない最も硬い鉛筆を鉛筆硬度とした。
◎:鉛筆硬度が2H以上
○:鉛筆硬度がHB~H
△:鉛筆硬度が3B~B
×:鉛筆硬度が4B以下
試験片を#0000のスチールウールを加重250gにて10往復し、硬化膜表面に目視にて観察した。
◎:膜の剥離や傷の発生は認められない。
○:膜の一部にわずかな細い傷が認められる。
△:膜全体に筋上の傷が認められる。
×:膜の剥離が生じる。
(5)耐折り曲げ性
試験片を塗膜面が外側になるように180°に折り曲げ、1kgの重しを載せて10分間放置し、硬化膜表面の割れの有無を目視にて観察した。
◎:まったく割れが見られなかった。
○:折り曲げ部が一部白化した。
△:折り曲げ部において一部割れが見られた。
×:折り曲げ部において割れが見られた。
(6)耐日焼け止め剤性
試験片の表面に日焼け止め剤であるUltraSheer DRY-TOUCH SUNSCREEN SPF100+(ニュートロジーナ社製)を直径1cm程度となるように塗布し、80℃にて6時間加熱し、放冷後、中性洗剤にて洗い流し、表面の状態を観察した。
◎:日焼け止め剤の跡がまったく見られなかった。
○:日焼け止め剤を塗布した部分に透明な後がわずかに見られる。
△:日焼け止め剤を塗布した部分に白く跡が残り、表面が膨れている。
×:日焼け止め剤を塗布した部分がべたつき、表面が剥がれている。
重合性樹脂組成物X-54~59を用い、紫外線硬化性接着剤を調製し、下記方法にて偏光板作製及び偏光板の物性評価を行った。結果を表14に示す。
(紫外線照射による偏光板の作製)
卓上型ロール式ラミネーター機(Royal Sovereign製 RSL-382S)を用いて、2枚の透明フィルムの間にポリビニルアルコール系偏光フィルムを挟み、透明フィルムと偏光フィルムの間に、実施例又は比較例の接着剤を、厚さ10μmになるように貼り合わせた。貼り合わせた透明フィルムの上面から紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)し、偏光フィルムの両側に透明フィルムを有する偏光板を作製した。なお、透明フィルムとして、アクリル系保護フィルム(カネカ社製のサンデュレンSD-014)を使用した。
得られた偏光板表面を目視によって観察し、下記基準で評価した。
◎:偏光板の表面に微小なスジも凹凸ムラも確認できない
○:偏光板の表面に部分的に微小なスジが確認できる
△:偏光板の表面に微小なスジや凹凸ムラが確認できる
×:偏光板の表面に明らかなスジや凹凸ムラが確認できる
(剥離強度)
温度23℃、相対湿度50%の条件下、20mm×150mmに裁断した偏光板(試験片)を、引っ張り試験機(島津製作所製 オートグラフAGXS-X 500N)に取り付けた試験板に両面接着テープを用いて貼り付けた。両面接着テープを貼付していない方の透明保護フィルムと偏光フィルムの一片を、20~30mm程度あらかじめ剥がしておき、上部つかみ具にチャックし、剥離速度300mm/minにて90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
◎:3.0(N/20mm)以上
○:1.5(N/20mm)以上、3.0(N/20mm)未満
△:1.0(N/20mm)以上、1.5(N/20mm)未満
×:1.0(N/20mm)未満
(耐水性)
得られた偏光板を20×80mmに切断し、60℃の温水に48時間浸漬した後、偏光子と保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムとの界面における剥離の有無を確認した。判定は下記の基準で行った。
◎:偏光子と保護フィルムとの界面で剥離なし(1mm未満)
○:偏光子と保護フィルムとの界面の一部に剥離あり(1mm以上、3mm未満)
△:偏光子と保護フィルムとの界面の一部に剥離あり(3mm以上、5mm未満)
×:偏光子と保護フィルムとの界面で剥離あり(5mm以上)
(耐久性)
得られた偏光板を150mm×150mmに裁断し、冷熱衝撃装置(エスペック社製TSA-101L-A)に入れ、-40℃~80℃のヒートショックを各30分間、100回行い、下記基準で評価した。
◎:クラックの発生なし
○:端部にのみ5mm以下の短いクラックの発生あり
△:端部以外の場所にクラックが短い線状に発生している。しかし、その線により偏光板が2つ以上の部分に分離してはいない
×:端部以外の場所にクラックの発生あり、その線により、偏光板が2つ以上の部分に分離している
(耐熱黄変性)
得られた偏光板を30mm×30mmに裁断し、透過色相のa値及びb値を測定し((株)島津製作所製の紫外可視分光光度計UV-2450にて、波長380~780nmの平行透過色相a値及び直交透過色相b値を測定し、透過色相のab値(ab=(a2+b2)1/2)を算出した。その後、偏光板を90℃の恒温槽に48時間保持し、耐熱黄変性試験を行った。試験後のab値を同様に算出し、Δab(Δab=試験後のab値-試験前のab値)の値が黄変の指標とした。Δab=0の場合は、黄変せず、Δabが大きくなるほど黄変が大きいことを意味する。
◎:0<=Δab<=2
○:2<Δab<=6
△:6<Δab<=10
×:10<Δab
重合性樹脂組成物X-60~65を用い、紫外線硬化性封止材を調製した。その後、得られた封止材を用い、下記方法にて、紫外線硬化による封止材樹脂硬化物の作製及び物性評価を行った。
(紫外線硬化型封止材樹脂硬化物の作製方法)
ガラス板(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)上にシリコン製のスペーサー(縦30mm×横15mm×厚さ3mm)をセットし、スペーサーの内部に銅箔(縦5mm×横50m×厚み80μm)を入れ、上記にて調製した紫外線硬化型封止材を注入した。十分に脱気した後、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)し、封止材樹脂硬化物を作製した。得られた硬化物の特性を下記方法で評価した。結果を表15に示す。
作製した硬化物を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間を静止した。それ後、前記と同様にヘイズメーターにより透過率を測定し、透明性を評価した。
(耐湿熱黄変性)
得られた初期の硬化物を用いて、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間を静止した。それ後、硬化物の透過スペクトルを透過色測定専用機(TZ-6000、日本電色工業(株)製)により測定し、初期b値とした。硬化膜を用いて、85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿機に500時間を静置し、耐湿熱黄変性の加速試験を行った。試験後の硬化膜を同様に温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間を静止し、透過色測定し、湿熱後b値とした。また、湿熱後b値と初期b値の差は変化値Δbとした(Δb=湿熱後b値-初期b値)。耐湿熱黄変性は下記通り4段階分けて評価した。
◎:初期b値、湿熱後b値は共に0.2以下、かつ、Δbは0.1以下である
○:初期b値、湿熱後b値は何れか一つまたは共に0.2を超えるが、共に0.5以下であり、かつ、Δbは0.2以下である
△:初期b値、湿熱後b値は何れか一つまたは共に0.5を超えるが、共に1.0以下であり、かつ、Δbは0.3以下である
×:初期b値、湿熱後b値は何れか一つまたは共に1.0を超え、或いは、Δbは0.3を超える。
(吸水率試験)
得られた硬化物から1gを切り取って、試験片として温度85℃×相対湿度95%の恒温恒湿機にセットし、48時間静置後、再び試験片の重量を測定し、吸水率を下記式により算出した。
吸水率(%)=(吸湿後重量―吸湿前重量)/吸湿前重量×100
◎:吸水率は1.0%未満
○:吸水率は1.0%以上、かつ2.0%未満
△:吸水率は2.0%以上、かつ3.0%未満
×:吸水率は3.0%以上
(アウトガス試験)
得られた硬化物から1gを切り取って、試験片として温度100℃に設定した恒温槽に静置し、乾燥窒素気流を24時間流して、その後再び試験片の重量を測定し、下記式によりアウトガスの発生率を算出した。
アウトガス発生率(%)=(恒温後の重量―恒温前の重量)/恒温前の重量×100
◎:発生率は0.1%未満
○:発生率は0.1%以上、かつ0.3%未満
△:発生率は0.3%以上、かつ1.0%未満
×:発生率は1.0%以上
(耐ヒートリサイクル性)
得られた硬化物を-40℃で30分間、次に100℃で30分間放置を1サイクルとして100回繰り返し、硬化物の状態を目視によって観察した。
◎:全く変化が見られない
〇:わずかに気泡の発生が見られるが、クラックの発生が見られない。透明である。
△:多少の気泡或いはクラックの発生が見られ、わずかな曇である。
×:気泡又はクラックが全面的に発生し、半透明状態である。
(耐腐食性)
耐湿熱黄変性試験後、銅箔の表面を目視で観察し、銅板から硬化膜をゆっくり剥がして、銅箔(厚み80μm)に貼りあわせた試験片(Cu耐腐食性評価用)を用いて、温度60℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿機に168時間を静置した。その後、硬化膜をアルミ基板又は銅箔から剥がして、目視でアルミ基板と銅箔の表面を観察し、硬化膜の耐腐食性を評価した。
◎:腐食なし
○:僅かに腐食
△:少し腐食
×:著しい腐食
Claims (8)
- t-ブチルシクロヘキシルアクリレートを5~90重量%、不飽和結合1個を有する単官能モノマー(t-ブチルシクロヘキシルアクリレートを除く)を1~90重量%、不飽和結合2個以上を有する多官能モノマーを0~60重量%含有する重合性樹脂組成物であって、t-ブチルシクロヘキシルアクリレート中のp-trans型異性体の含有量は70%以上を有することを特徴とする重合性樹脂組成物。
- t-ブチルシクロヘキシルアクリレート中のp-trans型異性体の含有量とp-cis型異性体の含有量の合計は90%以上を有することを特徴とする請求項1に記載の重合性樹脂組成物。
- t-ブチルシクロヘキシルアクリレート中のp-trans型異性体とp-cis型異性体の含有量のモル比は2.3以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の重合性樹脂組成物。
- 請求項1~3の何れか一項に記載の重合性樹脂組成物に、光重合開始剤をさらに含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に対して光重合開始剤の含有量が0.1~10重量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射により重合して得られる重合物。
- 請求項1~3の何れか一項に記載の重合性樹脂組成物に、熱重合開始剤をさらに含有し、重合性樹脂組成物に対して熱重合開始剤の含有量が0.001~10重量%であることを特徴とする重合性樹脂組成物。
- 請求項6に記載の重合性樹脂組成物を熱により重合して得られる重合物。
- 請求項1~3と6に記載の重合性樹脂組成物と請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物または請求項5と7に記載の重合物を含有することを特徴とする濡れ性向上剤。
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