JP7250560B2 - 紫外線発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線発光装置に関する。
紫外領域の光を放出することができる紫外線発光素子は、水銀ランプに代わる低消費電力で長寿命の紫外光源として注目を集め、検査測定、紫外線硬化、殺菌、など様々な応用がなされている。この紫外線発光素子を有する紫外線発光装置には,高出力かつ長期にわたる高い信頼性が強く望まれている。
従来、発光ダイオード素子等の半導体素子の保護、封止、及び接着用の材料としては、シリコーン樹脂を用いることが知られている(特許文献1)。
特開2001-196644号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたシリコーン樹脂に対して紫外線を照射すると、構造変化に伴うクラックや剥離が発生する。その結果、紫外線発光素子と、それを保護する保護部材や、基体との接着力が低下し、紫外線発光装置の信頼性が低下するという課題がある。
そこで、本発明は、紫外線照射時の耐クラック性に優れ、高い信頼性を有する紫外線発光装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、特定の構造を有する環状シラノール及び該環状シラノールの脱水縮合物を含む樹脂組成物が紫外線照射時の耐クラック性に優れることを発見し、その樹脂組成物を紫外線発光装置の一部として用いることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
基体と、前記基体上に配置された紫外線発光素子と、を含む紫外線発光装置であって
前記紫外線発光装置の一部が、下記式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含む樹脂組成物から形成されている紫外線発光装置。
Figure 0007250560000001
(式(1)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、nは2~10の整数である。)
[2]
前記樹脂組成物が、前記基体と前記紫外線発光素子との間に存在する、上記[1]記載の紫外線発光装置。
[3]
前記樹脂組成物が前記紫外線発光素子の側面又は上面の少なくとも一部を覆っている、上記[1]又は[2]のいずれかに記載の紫外線発光装置。
[4]
前記紫外線発光装置は保護素子をさらに含み、前記樹脂組成物が前記基体と前記保護素子との間に存在する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の紫外線発光装置。
[5]
前記基体はキャビティ構造を有し、基体の上部には保護部材が存在し、前記基体の壁部の上面と前記保護部材との間に前記樹脂組成物が存在する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の紫外線発光装置。
[6]
前記式(1)で表される環状シラノール(A1)が、下記式(10)で表される環状シラノール(A10)である、
上記[1]~[5]のいずれかに記載の紫外線発光装置。
Figure 0007250560000002
(式(10)中、Rは、前記式(1)中のRと同義である。)
[7]
前記環状シラノール(A10)が、下記式(2)~(5)で表される環状シラノール(B1)~(B4)であり、前記環状シラノール(B1)~(B4)の総量に対する前記環状シラノール(B2)の割合(モル%)をbとしたとき、0<b≦20を満たす、
上記[6]に記載の紫外線発光装置。
Figure 0007250560000003
Figure 0007250560000004
Figure 0007250560000005
Figure 0007250560000006
(式(2)~(5)中、Rは、前記式(1)中のRと同義である。)
本発明により、紫外線照射時の耐クラック性に優れ、高い信頼性を有する紫外線発光装置を提供することができる。
本発明の紫外線発光装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の紫外線発光装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の紫外線発光装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の紫外線発光装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の紫外線発光装置の一例を示す模式上面図である。 本発明の紫外線発光素子の一例を示す模式断面図である。 製造例7にて得られたシラノール組成物の立体異性体割合を算出する際に用いた1H-NMRスペクトルを示す図である。 製造例10にて得られたシラノール組成物の立体異性体割合を算出する際に用いた1H-NMRスペクトルを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[紫外線発光装置]
本実施形態の紫外線発光装置は、
基体と、前記基体上に配置された紫外線発光素子と、を含む紫外線発光装置であって
前記紫外線発光装置の一部が、下記式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含む樹脂組成物から形成されている。
Figure 0007250560000007
(式(1)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、nは2~10の整数である。)
本実施形態において「紫外線発光装置の一部」とは、樹脂組成物が紫外線発光装置の一部として存在していれば、その場所については特に限定されず、例えば、以下の第1実施形態~第4実施形態において特定されている場所に存在する。なお、本発明には、以下の第1実施形態~第4実施形態を任意に組み合わせた形態も包含される。また、本実施形態の紫外線発光装置の製造方法としては、特に限定されず、例えば、後述する方法により製造することができる。但し、本実施形態の紫外線発光装置の製造方法は、後述する方法に限定されることはない。
[第1実施形態]
第1実施形態の紫外線発光装置1は、樹脂組成物2が、基体3と紫外線発光素子4との間に存在する形態である。図1中、符号5は電極を、符号6は金属バンプを示す。この場合、図1に示すとおり、樹脂組成物は、基体と紫外線発光素子の間に存在することで、機械的強度の向上や、耐湿度性の強化等のアンダーフィルとしての機能を有する。
第1実施形態においては、基体と紫外線発光素子の間に設けられた樹脂組成物が、紫外線照射に対する優れた耐クラック性を有しているため、アンダーフィルの機能低下を防止することができる。
第1実施形態の紫外線発光装置は、例えば、以下の方法により製造することができる。
紫外線発光素子が実装された基体に対して、樹脂組成物を紫外線発光素子の近傍に塗布し、毛細管現象を利用して紫外線発光素子と基体との間の隙間に樹脂組成物を満たす。低温で1段目の加熱をした後、次いで高温で2段目の加熱をする。1段目の加熱は溶媒の揮発を穏やかに進行させ、樹脂中に空孔等が生成するのを防ぐことを主な目的としており、2段目の加熱は溶媒を完全に蒸発させるとともに、樹脂組成物を硬化してアンダーフィルの強度および緻密性を高めることを主な目的としている。以上により、樹脂組成物が、基体と紫外線発光素子の間に存在する紫外線発光装置を製造することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態の紫外線発光装置1は、樹脂組成物2が紫外線発光素子4の側面又は上面の少なくとも一部を覆っている形態である。樹脂組成物2は、紫外線発光素子4の側面のみを覆っていても、上面のみを覆っていても、或いはその両面を覆っていてもよい。図2中、符号5は電極を、符号6は金属バンプを示す。この場合、図2に示すとおり、樹脂組成物は、紫外線発光素子の周囲に存在することで、耐湿度性の強化等の被覆層としての機能を有する。
第2実施形態においては紫外線発光素子の周囲を覆っている樹脂組成物が、紫外線照射に対する優れた耐クラック性を有しているため、耐湿度性や出力の低下を防止することができる。
第2実施形態の紫外線発光装置は、例えば、以下の方法により製造することができる。
紫外線発光素子が実装された基体に対して、樹脂組成物を紫外線発光素子上に塗布し、紫外線発光素子の上面と側面を樹脂組成物で満たす。次いで、第1実施形態と同様に、1段目及び2段目の加熱を実施する。以上により、樹脂組成物が紫外線発光素子の側面又は上面の少なくとも一部を覆っている形態の紫外線発光装置を製造することができる。
なお、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせる場合、第2実施形態における「紫外線発光素子周囲への被覆層形成」における1段目及び2段目の加熱は、第1実施形態における「アンダーフィル形成」における1段目及び2段目の加熱と同時に行ってもよい。つまり、「紫外線発光素子周囲への被覆層形成」における加熱工程を行う場合、上述した「アンダーフィル形成」における加熱工程を省略してもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態の紫外線発光装置1は、保護素子7をさらに含み、樹脂組成物2が基体3と保護素子7との間に存在する形態である。図3中、符号5は電極を、符号8は金錫体を示す。この場合、図3に示すとおり、樹脂組成物は、基体と保護素子の間に存在することで、機械的強度の向上や、耐湿度性の強化等のアンダーフィルとしての機能を有する。
第3実施形態においては、基体と保護素子の間に設けられた樹脂組成物が、紫外線照射に対する優れた耐クラック性を有しているため、アンダーフィルの機能低下を防止することができる。
第3実施形態の紫外線発光装置は、例えば、以下の方法により製造することができる。
保護素子が実装された基体に対して、樹脂組成物を保護素子の近傍に塗布し、毛細管現象を利用して、保護素子と基体との間の隙間に樹脂組成物を満たす。次いで、第1実施形態と同様に、1段目及び2段目の加熱を実施する。以上により、樹脂組成物が、基体と保護素子の間に存在する紫外線発光装置を製造することができる。
保護素子と基体との電気的な接続は、フリップチップ実装による金錫体での接合ではなく、フェイスアップ実装によるワイヤーでの接合でもよい。フェイスアップ実装の場合、樹脂組成物は保護素子を基体に固定するための接着層となる。樹脂組成物は紫外線照射後も接着力が維持され、保護素子の欠落などの異常が起こりにくくなる。
[第4実施形態]
第4実施形態の紫外線発光装置1は、基体3がキャビティ構造であり、基体3の上部には保護部材9が存在し、基体の壁部の上面と保護部材との間に樹脂組成物2が存在する形態である。図4中、符号5は電極を、符号6は金属バンプを示す。この場合、図4に示すとおり、樹脂組成物は、基体と保護部材の間に存在することで、接着剤としての機能を有する。
第4実施形態においては、基体の壁部の上面と保護部材との間に設けられた樹脂組成物が、紫外線照射に対する優れた耐クラック性を有しているため、接着剤としての接着強度の低下を防止することができる。
また、図5は、第4実施形態の紫外線発光装置を上部から見た概要図である。図5に示すとおり、樹脂組成物2は、基体の壁部の上面の全ての領域に存在していても(図5(A))、一部の領域のみに存在していても(図5(B))、どちらでもよい。接着性や耐湿度性の観点からは、基体と壁部の上面の全ての領域に存在していることが好ましい。ここで、全ての領域とは、100%である必要はなく、例えば、80%以上、好ましくは90%以上の領域に存在する。
第4実施形態の紫外線発光装置は、例えば、以下の方法により製造することができる。
紫外線発光素子が実装されたキャビティ構造の基体に対して、基体の壁部の上面に樹脂組成物を塗布し、保護部材を樹脂組成物の上から載せる。次いで、第1実施形態と同様に、1段目及び2段目の加熱を実施する。以上により、基体がキャビティ構造を有し、基体の上部には保護部材が存在し、基体の壁部の上面と保護部材との間に樹脂組成物が存在する紫外線発光装置を製造することができる。
[樹脂組成物]
本実施形態における紫外線発光装置は、基体と、前記基体上に配置された紫外線発光素子と、を含む紫外線発光装置であって
前記紫外線発光装置の一部が、下記式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含む樹脂組成物から形成されている。
Figure 0007250560000008
(式(1)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、nは2~10の整数である。)
上記樹脂組成物は、上記式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含むことにより、紫外線発光装置の形成材料に用いた際に高い出力と信頼性を実現できる。このため、本実施形態の樹脂組成物は、210nm以上300nm未満の深紫外光を発光する紫外線発光装置に好適に用いられる。
式(1)中、Rは、各々独立して、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。これにより、樹脂組成物は、一層高い出力と一層高い信頼性とを発現できる傾向にある。
式(1)中、nは、2~5であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。3であることが特に好ましい。これにより、主鎖骨格の柔軟性と剛直性のバランスが取れるため、紫外線照射による耐久性が発現する傾向にある。
式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)は、式(10)で表される環状シラノール(A10)、及びその脱水縮合物(A20)であることが好ましい。これにより、主鎖骨格の柔軟性と剛直性のバランスが取れるため、紫外線照射による耐久性が発現する傾向にある。
Figure 0007250560000009
式(10)中、Rは、前記式(1)中のRと同義である。
前記樹脂組成物は、3μmの厚みにおいて、ヘイズが5%以下であることが好ましい。シラノール組成物のヘイズが5%以下であることにより、硬化物としたときの透明性が高くなり、接着力に優れる傾向にある。前記樹脂組成物におけるヘイズを5%以下とする方法としては、例えば、式(1)で表される環状シラノール(A1)における異性体の割合を調整して結晶性の高い異性体の割合を低下させる方法や、組成物に含まれる金属量を抑える方法等が挙げられる。シラノール組成物のヘイズは、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。樹脂組成物のヘイズは、具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
前記樹脂組成物は、式(1)で表される環状シラノールの脱水縮合物を含む。式(1)で表される環状シラノールの脱水縮合物とは、式(1)で表される環状シラノールが有するシラノール基の少なくとも一つが、少なくとも一つの式(1)で表される別の環状シラノール分子における少なくとも一つのシラノール基と脱水縮合し、シロキサン結合を生成する反応により得られる化合物である。式(1)で表される環状シラノールの脱水縮合物は、例えば、模式的に以下の式(20)で表すことができる。
Figure 0007250560000010
式(20)中、4つのRは、前記式(1)中のRと同義である。であり、mは、2以上の整数である。環状シラノールにおける脱水縮合するシラノール基は、いずれのシラノール基であってもよい。このとき、式(20)で表される脱水縮合物においては、2分子以上の環状シラノール構造間で2以上のシロキサン結合が形成されていてもよい。
式(10)で表される環状シラノールの脱水縮合物としては、具体的には、以下の化合物が挙げられる。ただし、式(10)で表される環状シラノールの脱水縮合物は以下の化合物に限定されるものではない。
なお、以下の化合物における、環状シラノール骨格に対するヒドロキシ基(-OH)及びR基の配向は制限されない。また、以下の化合物におけるRは、各々独立して式(10)におけるR1~R4のいずれかである。さらに、以下の化合物におけるRの好ましい基としては、R1~R4基と同様の好ましい基を挙げることができる。
Figure 0007250560000011
Figure 0007250560000012
Figure 0007250560000013
Figure 0007250560000014
Figure 0007250560000015
式(10)で表される環状シラノールの脱水縮合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定によって算出した分子量が、好ましくは500~1,000,000であり、より好ましくは500~100,000であり、さらに好ましくは500~10,000である。
前記樹脂組成物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定において、前記脱水縮合物(A2)の面積が、前記環状シラノール(A1)及び前記脱水縮合物(A2)の総面積に対して、0%超過50%以下であることが好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定により求められる各化合物の面積は、シラノール組成物中の各化合物の含有量を表す。A2の面積が0%超過50%以下であることにより、シラノール組成物を製造する際に、粘度が高くなり過ぎず、有機溶媒や水を含むシラノール組成物から有機溶媒や水を除去しやすくなる傾向にある。A2の面積は、より好ましくは0%超過40%以下であり、さらに好ましくは0%超過25%以下である。A2の面積、すなわちA2の含有量は、例えば、樹脂組成物の製造において、ヒドロシラン化合物を酸化させ環状シラノールを得るとき、酸化反応後の精製により制御することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるA1及びA2の面積、すなわち、A1及びA2の含有量の測定は、具体的には実施例に記載の方法によって行うことができる。
前記樹脂組成物は、例えば、水又はアルコールの存在下で、ヒドロシラン化合物を酸化させること等によって調製することができる。ヒドロシラン化合物は、水素を含有する四置換テトラシクロシロキサンであればいずれも使用することができ、市販品を使用することができる。ヒドロシラン化合物は、好ましくは、以下の式(8)で表される四置換テトラシクロシロキサンである。
Figure 0007250560000016
式(8)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は、非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキルである。
環状ヒドロシラン化合物としては、具体的には、テトラメチルテトラシクロシロキサン等が挙げられる。一般的に、前記環状ヒドロシラン化合物は、ヒドロキシ又はアルコキシ官能基を有しないが、このような官能基は、酸化反応前に一定量含まれていてもよい。
ヒドロシラン化合物を酸化する方法としては、例えば、触媒及び/又は酸化剤を使用する方法等が挙げられる。触媒としては、例えば、Pd、Pt及びRh等の金属触媒を使用することができる。これらの金属触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの金属触媒は、炭素等の担体に担持されていてもよい。
酸化剤としては、例えば、ペルオキシド類等を使用することができる。ペルオキシド類としては、いずれも使用することができ、例えば、ジメチルジオキシランのようなオキシラン類等が挙げられる。
ヒドロシラン化合物を酸化する方法としては、反応性、及び反応後の触媒除去が容易であるとの観点から、Pd/炭素を用いることが好ましい。
水又はアルコールの存在下で、ヒドロシラン化合物を酸化させることによって調製される環状シラノールは、環状構造であるために、原料のSiH基の水素原子のシス、トランスに由来する、種々の異性体を含む。
前記式(8)で表される環状ヒドロシラン化合物は、クロロシランの加水分解や、ポリメチルシロキサンの平衡化重合反応により得られるが、シス、トランスに由来する異性体の割合を制御することは困難であるため、環状ヒドロシラン化合物中には様々なシス、トランスに由来した異性体が混在する。本実施形態における環状ヒドロシラン化合物のシス及びトランスとは、それぞれ、隣接する2つのヒドロキシ基又は隣接する2つのR基が環状シロキサン骨格に対し同じ配向であること(シス)、隣接する2つのヒドロキシ基又は隣接する2つのR基が環状シロキサン骨格に対し異なる配向であること(トランス)を指す。
上述の酸化反応により製造した環状シラノールに含まれる異性体としては、以下の式(2)で表されるall-cis型の環状シラノール(B1)が挙げられる。all-cis型の環状シラノール(B1)は、式(2)によって示されるように、すべてのヒドロキシ基及びR1~R4基が、それぞれ環状シロキサン骨格に対し同じ向きで配置する。
Figure 0007250560000017
式(2)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル、又は、非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキルである。
式(2)で表されるall-cis型の環状シラノール(B1)によって、環状ヒドロシラン化合物から酸化反応により合成した環状シラノールが白濁する傾向にある。この現象は、all-cis型の環状シラノール(B1)が結晶性を有するためであると考えられ、特に、保存中や、-30℃にて冷凍保管した場合に顕著である。結晶性が高い環状シラノールを除去することにより、シラノール組成物中で該シラノールが結晶化して析出することを防ぎ、透明性の高いシラノール組成物が得られ、透明性の高い硬化物も得ることができる。また、結晶性の高い環状シラノールを除去することにより、シラノール組成物の接着力が向上する傾向にある。
透明性の高いシラノール組成物を得る観点から、環状シラノール(B1)の割合を少なく抑えることが好ましい。
環状シラノール(B1)の割合を抑える方法としては、例えば、再結晶操作と結晶の除去とを組み合わせる方法等が挙げられる。
より具体的には、環状シラノールの合成で得られた生成物の良溶媒溶液に、貧溶媒を添加することにより、環状シラノール(B1)が結晶として析出する。析出した環状シラノール(B1)を除去し、可溶部の溶液を濃縮することにより、シラノール組成物中の環状シラノール(B1)の割合を抑え、透明性の高いシラノール組成物を得ることができる。
再結晶操作を行う際、透明性の高いシラノール組成物を得る観点から、冷却温度は10℃未満が好ましい。また、環状シラノールの収量向上の観点から、貧溶媒の量(体積)は、良溶媒の等量以上、20倍以下が好ましい。
良溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、エチレングリコール、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの良溶媒は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
貧溶媒としては、例えば、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、ジクロロメタン、キシレン等が挙げられる。これらの貧溶媒は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状シラノール(B1)の割合は、合成により得られた環状シラノールを1H-NMR測定することより算出することができる。具体的には、1H-NMR測定において、環状シラノール(B1)が有するR1~R4基に含まれる水素は、環状シラノールの他の異性体が有するR1~R4基中の水素に対して、最も高磁場側にて観測される。したがって、これらの水素の積分値から環状シラノール(B1)の割合を算出する。
ヒドロシラン化合物の酸化を行う際金属触媒を用いた場合、上述した再結晶操作により、不溶物残渣中に金属触媒中に含まれる遷移金属が残るため、結晶を除去する操作によって、ろ液中の遷移金属の割合を低減することができる。したがって、式(2)で表される環状シラノールを除くための操作によって、金属触媒が残留することに由来するシラノールの着色を低減することも可能となる。シラノール組成物の光透過性を高くする観点から、遷移金属の割合は、シラノール組成物の全重量に対し、1質量ppm未満であることが好ましい。遷移金属の割合は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。遷移金属としては、例えば、パラジウムが挙げられる。
また、ヒドロシラン化合物として式(8)で表される四置換テトラシクロシロキサンを原料に用いて酸化させた場合、得られるテトラヒドロキシ四置換テトラシクロシロキサンは、下記式(2)~(5)で表される環状シラノール(B1)~(B4)が混在してよく、好ましくは環状シラノール(B1)~(B4)からなる。
Figure 0007250560000018
Figure 0007250560000019
Figure 0007250560000020
Figure 0007250560000021
式(2)~(5)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は、非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基である。
環状シラノール(A10)は、下記式(2)~(5)で表される環状シラノール(B1)~(B4)を含有し、前記環状シラノール(B1)~(B4)の総量に対する前記環状シラノール(B2)の割合(モル%)をbとしたとき、0<b≦20を満たすことが好ましい。これにより、環状シラノールの結晶化が抑制されることにより光学的な透明性が向上する傾向にある。
割合bを0<b≦20とする方法としては、上述したように、例えば、再結晶操作と結晶の除去とを組み合わせる方法等が挙げられる。ヒドロシラン化合物としてテトラメチルテトラシクロシロキサンを原料に用いて酸化させた場合、得られるテトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサンの1H-NMRを測定した場合、4種類の異性体の6種類のピークが観測される(ここで、trans-trans-cisについては、3種類のピークが観測される。)。R1~R4基中の水素は、高磁場側から、all-cis(環状シラノール(B1))、trans-trans-cis(環状シラノール(B3))、trans-trans-cis(環状シラノール(B3))、cis-trans-cis(環状シラノール(B2))、all-trans(環状シラノール(B4))、trans-trans-cis(環状シラノール(B3))型の順に観測されるため、かかる水素の積分値から、前記環状シラノール(B1)~(B4)のそれぞれの割合を算出する。
式(3)で表される環状シラノール(B2)もまた結晶性を有するため、反応溶液に良溶媒を用いた場合、貧溶媒を添加することにより結晶として析出する。環状シラノール(B2)により、合成した環状シラノール(A1)が白濁する傾向にある。この現象は、cis-trans-cis型の環状シラノール(B2)が結晶性を有するためであると考えられ、特に、保存中や、-30℃にて冷凍保管した場合に顕著である。
透明性の高いシラノール組成物を得る観点から、環状シラノール(B2)の割合は、式(1)で表される環状シラノールに対して、好ましくは0%~50%であり、より好ましくは0%~40%であり、さらに好ましくは0~35%であり、よりさらに好ましくは0%以上35%未満である。
環状シラノール(B1)~(B4)の総量に対する前記環状シラノール(B1)の割合(モル%)をaとしたとき、0<a≦60を満たすことが好ましい。これにより、環状シラノールの結晶化が抑制されることにより光学的な透明性が向上する傾向にある。
割合bを0<a≦60とする方法としては、例えば、(B1)を公知の方法により合成し、混合する方法が挙げられる。
前記樹脂組成物は、上述したように、水又はアルコールの存在下で、ヒドロシラン化合物を酸化させることによって環状シラノールを調製し、当該環状シラノールの合成で得られた生成物の良溶媒溶液に貧溶媒を添加することによる再結晶、ろ過を経て、ろ過により得られる可溶部の溶液を濃縮することにより、好適に製造される。前記樹脂組成物の製造において、可溶部の溶液の濃縮は任意で行えばよく、可溶部の溶液そのものをシラノール組成物として使用してもよい。また、可溶部の溶液の濃縮では当該溶液に含まれるすべての溶媒を除去する必要はないため、前記樹脂組成物は、可溶部の溶液に含まれる溶媒の一部を留去して得られる粗濃縮物であってもよい。またさらに、前記樹脂組成物は、可溶部の溶液を濃縮した後に、溶媒で再希釈したものであってもよい。
以上のように、樹脂組成物の好ましい態様の一つは、溶媒を樹脂組成物である。溶媒を含む樹脂組成物における溶媒の量は、特に制限されないが、樹脂組成物全量に対し、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以下である。溶媒の量の下限値は特に限定されないが、通常1質量%以上である。
溶媒を含む樹脂組成物における溶媒としては、反応に使用した水及び/又はアルコール、再結晶時に使用した良溶媒及び貧溶媒等が挙げられる。溶媒としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、水、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、エチレングリコール、メチルエチルケトン、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、ジクロロメタン、キシレン等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独であってもよく、二種以上の組み合わせであってもよい。
前記樹脂組成物は、平均粒径1nm以上100nm以下のシリカ粒子をさらに含むことが好ましい。シリカ粒子の平均粒径が1nm以上であることにより、耐摩耗性に優れる傾向にある。また、シリカ粒子の粒径が100nm以下であることにより、透明分散性に優れる傾向にある。シリカ粒子の平均粒径は、好ましくは1nm以上50nm以下であり、より好ましくは2nm以上30nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上20nm以下である。シリカ粒子の平均粒径は、動的光散乱測定により測定することができる。
平均粒径1nm以上100nm以下のシリカ粒子としては、樹脂組成物の透明性を維持できれば、その形態は特に制限されない。シリカ粒子としては、通常の水性分散液の形態や、有機溶媒に分散させた形態で用いることができるが、樹脂組成物中に均一かつ安定に分散させる観点から、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカを用いることが好ましい。
シリカ粒子を分散させる有機溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、エチレングリコール、キシレン/ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
これらの中でも、シラノール組成物中にシリカ粒子を均一に分散させる観点から、シラノール組成物を溶解することができる有機溶媒を選択することが好ましい。
有機溶媒に分散させた形態のコロイダルシリカとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノールシリカゾルMA-ST、イソプロピルアルコールシリカゾルIPA-ST、n-ブタノールシリカゾルNBA-ST、エチレングリコールシリカゾルEG-ST、キシレン/ブタノールシリカゾルXBA-ST、エチルセロソルブシリカゾルETC-ST、ブチルセロソルブシリカゾルBTC-ST、ジメチルホルムアミドシリカゾルDBF-ST、ジメチルアセトアミドシリカゾルDMAC-ST、メチルエチルケトンシリカゾルMEK-ST、メチルイソブチルケトンシリカゾルMIBK-ST(以上、商品名、日産化学社製)等の市販品を用いることができる。
樹脂組成物が平均粒径1nm以上100nm以下のシリカ粒子をさらに含む場合、上述したように、水又はアルコールの存在下で、ヒドロシラン化合物を酸化することによって環状シラノールを調製し、当該環状シラノールの合成で得られた生成物の良溶媒溶液に貧溶媒を添加することによる再結晶、ろ過を経て、ろ過により得られる可溶部の溶液を濃縮し、さらに、平均粒径1nm以上100nm以下のシリカ粒子又はシリカ粒子分散液を添加することにより、好適に製造される。
樹脂組成物中の前記シリカ粒子の含有量は、樹脂組成物中の固形分の全量に対し、好ましくは10~80質量%であり、より好ましくは20~70質量%であり、さらに好ましくは30~60質量%である。
前記シリカ粒子の含有量が10質量%以上であることにより、得られる硬化物の耐摩耗性が優れる傾向にある。また、前記シリカ粒子の含有量が80質量%以下であることにより、得られる硬化物の透明性が優れる傾向にある。
ここで、樹脂組成物中の固形分の全量は、好ましくは環状シラノール(A1)と前記シリカ粒子との合計量である。
前記樹脂組成物は、下記式(6)で表される両末端シラノール変性シロキサンをさらに含むことが好ましい。これにより、応力緩和性が発現することで耐クラック性が向上する傾向にある。
Figure 0007250560000022
式(6)中、R'は、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分枝状の炭素数1~4のアルキル基、又は、非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、mは0~1000の整数である。
式(6)中、R'は、熱分解を抑制する観点から、好ましくは非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは非置換の炭素数1~2のアルキル基であり、さらに好ましくは非置換のメチル基である。
前記式(6)で表される両末端シラノール変性シロキサンの分子量は、環状シラノール(A1)との相溶性の観点から、好ましくは10000以下であり、より好ましくは5000以下であり、さらに好ましくは3500以下である。
また、前記式(6)で表される両末端シラノール変性シロキサンの分子量は、揮発を抑制する観点から、好ましくは200以上であり、より好ましくは300以上であり、さらに好ましくは400以上である。前記式(6)で表される両末端シラノール変性シロキサンの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
両末端シラノール変性シロキサンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンジオール-1,3-ジオール、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルジシロキサン-1,5-ジオール、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン-1,7-ジオール、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチルペンタシロキサン-1,9-ジオール、両末端ジオール変性ポリメチルジメチルジシロキサン等が挙げられる。
両末端シラノール変性シロキサンは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
両末端シラノール変性シロキサンとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、X21-5841、KF9701(以上信越化学製)、及びDMS-S12、DMS-S14、DMS-S15、DMS-S21、DMS-S27、DMS-S31、DMS-S32、DMS-S33、DMS-S35、DMS-S42、DMS-S45、DMS-S51(以上Gelest製)等が挙げられる。
樹脂組成物中の前記両末端シラノール変性シロキサンの含有量は、シラノール組成物量に対し、好ましくは1~80質量%であり、より好ましくは10~60質量%であり、さらに好ましくは15~50質量%である。前記両末端シラノール変性シロキサンの含有量の含有量が1質量%以上であることにより、得られる硬化物の耐クラック性が優れる傾向にある。また、前記両末端シラノール変性シロキサンの含有量の含有量が80質量%以下であることにより、得られる硬化物の透明性が優れる傾向にある。
前記樹脂組成物は、ナトリウム(Na)及びバナジウム(V)の合計含有割合が60ppm未満であることが好ましい。Na及びVの合計の含有割合が60ppm未満であることにより、保存安定性が向上する傾向にある。シラノール組成物中のNa原子及びV原子の合計の含有割合は、好ましくは20ppm以下であり、より好ましくは12ppm以下であり、さらに好ましくは2ppm以下であり、さらにより好ましくは1ppm以下である。また、前記樹脂組成物中のNa、Vのそれぞれの含有割合は、保存安定性の観点から、30ppm未満であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、6ppm以下であることがさらに好ましく、1ppm以下であることがさらにより好ましい。
樹脂組成物中のNa及びVの合計の含有割合を60ppm未満に制御する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、樹脂組成物を製造する際のろ過の工程において、粉末セルロースを濾過助剤として用いること等が挙げられる。粉末セルロースの市販品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、KCフロック W50GK(日本製紙製)、KCフロック W100-GK(日本製紙製)、セルロース粉末38μm(400mesh)通過(和光純薬製)等が挙げられる。シラノール組成物中のNa、Vの含有割合を60ppm未満にする方法としては、上述した方法の他にも、Na及びVを含有しない濾過助剤を用いる方法等が挙げられる。
樹脂組成物中のNa、Vの含有割合は、後述する実施例に記載された方法にしたがって測定することができる。
(硬化物)
式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含む樹脂組成物の硬化物は、当該樹脂組成物から形成される。上記硬化物は、硬化させること、すなわち、樹脂組成物に含まれるシラノール基(-Si-OH)の脱水縮合反応により、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成させることにより得られ、テトラヒドロフラン、トルエン等の溶媒に不溶なものである。
環状シラノールは、触媒非存在下で重合してもよく、触媒を添加して重合してもよい。環状シラノールの重合に使用される触媒は、環状シラノールの加水分解及び縮合反応を促進させる作用をする。触媒としては、酸触媒又はアルカリ触媒を使用することができる。
酸触媒としては、特に制限はないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、ホルム酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、オレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、p-アミノ安息香酸、及びp-トルエンスルホン酸等が好適に挙げられる。アルカリ触媒としては、特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水及び有機アミン等が好適に挙げられる。また、無機塩基が使用される場合には、金属イオンを含まない絶縁膜を形成するための組成物が使用される。酸触媒及びアルカリ触媒は、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒の添加量は、反応条件によって調節することができ、環状シラノールの水酸基1モルに対して、好ましくは0.000001~2モルである。添加量が環状シラノールの水酸基1モルに対して2モルを超える場合には、低濃度でも反応速度が非常に速いため分子量の調節が難しく、ゲルが発生しやすい傾向にある。
硬化物を得る際に、樹脂組成物に対し酸触媒及びアルカリ触媒を利用することにより、段階的に加水分解及び縮合反応することができる。具体的には、樹脂組成物を酸で加水分解及び縮合反応を行った後、塩基で再び反応させたり、あるいは、塩基で先に加水分解及び縮合反応を行って、再び酸で反応させたりして、硬化物を得ることができる。また、酸触媒とアルカリ触媒とで各々反応させた後、縮合物を混合して樹脂組成物として使用することもできる。
前記樹脂組成物を硬化させるとき、加熱してもよい。樹脂組成物を硬化させるときの温度は、特に制限はないが、好ましくは60~250℃であり、より好ましくは80~200℃である。前記樹脂組成物を硬化させる方法では、10分~48時間熱硬化させることが好ましい。
紫外線発光装置の一部に存在する樹脂組成物の硬化後の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10nm~1mmであり、より好ましくは10nm~100μmであり、さらに好ましくは10nm~20μmであり、特に好ましくは10nm~10μmである。樹脂組成物の硬化後の厚さが10nm以上であると、基体、紫外線発光素子、保護部材の凹凸の影響による空隙ができにくくなる為、高い密着性を示す傾向にあり、1mm以下であると、樹脂組成物内部応力に基づくクラックや剥離がおきにくくなる傾向にある。
[紫外線発光素子]
本実施形態における紫外線発光素子は、光取り出し効率の観点から、210nm以上300nm未満の深紫外光を発光する深紫外光発光素子であることが好ましい。紫外線発光装置を殺菌装置として用いる場合、紫外線発光素子の波長は、殺菌効率の観点から、好ましくは230~290nmであり、より好ましくは250~280nmであり、さらに好ましくは260~270nmである。
紫外線発光素子の構造は、特に制限されるものではない。具体的な項としては、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された多層膜(積層構造)を有する構造が挙げられる。紫外線発光素子は、上記多層膜部分を有するものであれば、特に制限されるものではないが、以下の構成からなることが好ましい。具体的には、基板、基板上に成長された前記多層膜、さらに多層膜上に形成された電極からなることが好ましい。つまり、基板上に、多層膜を成長させ、その後、多層膜上に電極を形成することにより、紫外線発光素子を製造することができる。
図6は、紫外線発光素子の一例を示す模式断面図である。紫外線発光素子4は、図6に示すように、基板10と、基板10上に形成された多層膜(N型半導体層11、発光層12、電子ブロック層13及びP型半導体層14)と、多層膜上に形成された電極(正極15a及び負極15b)と、を備える。
紫外線発光素子を製造する際、基板は、その上に多層膜を成長させるために使用される。紫外線発光素子は、基板上に多層膜を有する構造となり、フリップチップ接続を採用する際には、多層膜が存在しない反対側の面が光取出し面となる。
そのため、基板は、その表面に、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される単結晶層がエピタキシャル成長できるものであることが好ましい。具体的には、市販のサファイア、窒化アルミニウム(AlN)等であることが好ましい。その中でも、高品質の多層膜を形成することを考慮すると、基板は、窒化アルミニウム(AlN)単結晶により形成されていることが好ましい。
紫外線発光素子の光取出し面は、窒化アルミニウム単結晶により形成されていることが好ましい。これにより、結晶内での光の散乱、反射が抑制されるため、光取り出し効率が向上する傾向にある。
基板は、紫外光の透過性が低い場合は、研磨等により薄膜化してもよい。
また、基板の光取出し面には、光取出し効率を上昇させるため、後加工によって凹凸形状の微細な周期構造を付与してもよい。裏面の粗面の最大粗さRzが、10nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上10μm以下であることがより好ましい。この加工は、特に制限されるものではなく、例えばウェット・ドライエッチングやサンドブラストによる粗面化、ナノインプリントなどの公知の方法を採用することができる。
多層膜は、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される単結晶層を複数有し、前記基板上で成長することができる。次の各層に限定されるわけではないが、多層膜は、n型半導体層(n型層)、発光層、電子ブロック層、およびp型半導体層(p型層)がこの順で積層された積層構造を有することが好ましい。これら各層は単結晶層である。以下で説明する各層は、公知の方法で製造することができ、MOCVD法により製造することが好ましい。
n型AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)層は、n型不純物を含むことが好ましい。不純物としては特に限定されるものではないが、Si、Ge、Snなどが挙げられ、好ましくはSi、Geである。なお、基板とこのn型AlXGaYN層との間には、AlN、またはn型AlXGaYN層を形成するIII族窒化物と同組成のバッファ層を有していてもよい。
発光層は、量子井戸構造を有している。つまり、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される井戸層と障壁層から構成される。
障壁層は、井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなることが好ましい。発光層は、単一量子井戸構造であっても、多重量子井戸構造であってもよい。
電子ブロック層は、任意の層であるが、この電子ブロック層を設けることにより、n型層から供給される電子の、発光層から下記に詳述するp型層へのオーバーフローを抑制し、注入効率を高める効果を発揮する。電子ブロック層は、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される単結晶層である。また、電子ブロック層は、障壁層、および下記に詳述するp型クラッド層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなることが好ましい。また、この電子ブロック層中には、下記のp型AlXGaYN層で説明する不純物が含まれてもよい。
p型AlXGaYN層は、特に制限されるものではないが、複数層であることが好ましい。具体的には、p型クラッド層、p型コンタクト層から構成されることが好ましい。なお、p型コンタクト層上にp型電極(正電極)が形成される。
p型クラッド層は、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される単結晶層である。p型クラッド層の不純物としては、Mgが好適に挙げられる。
p型コンタクト層は、組成式AlXGaYN(但し、X、Yは、X+Y=1を満足する有理数である)で表される単結晶層である。p型コンタクト層の不純物としては、p型クラッド層と同様Mgが好適に挙げられる。p型コンタクト層の組成は、コンタクト特性の観点から、上記組成の中でも、GaNとすることが望ましい。ただし、GaNは波長365nmに吸収端を持つため、GaN層の膜厚が厚過ぎると、深紫外領域の光を透過しなくなる。一方、GaN層の膜厚が薄過ぎると十分に電流が拡がらず、紫外発光素子チップの電気特性が悪化するおそれがある。そのため、p型コンタクト層がGaNからなる場合であっても、膜厚は、1nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上30nm以下であることがより好ましい。
負電極は、n型AlXGaYN層の露出面に形成される。前記n型AlXGaYN層の露出面は、エッチングにより形成できる。エッチングの手法としては、反応性イオンエッチング、誘導結合プラズマエッチング等のドライエッチングが挙げられる。前記n型AlXGaYN層の露出面を形成後、エッチングのダメージを除去するため、酸またはアルカリの溶液で表面処理を施すことが好ましい。その後、前記n型AlXGaYN層の露出面にオーミック性を有する負電極を形成する。
電極のパターンニングは、公知の方法を採用できる。例えば、リフトオフ法を用いて実施できる。リフトオフ法で負電極金属を堆積する手法は、真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられるが、電極金属中の不純物を排除するため真空蒸着が好ましい。負電極に用いられる材料は、特に制限されるものではなく、例えば、Ti、Al、Rh、Cr、In、Ni、及びPt、Au等である。中でも、Ti、Al、Rh、Cr、Ni、Auを使用することが好ましい。これら負電極は、これらの金属の合金または酸化物を含む層を有する単層、又は多層構造であってもよく、オーミック性および反射率の観点から好ましい組み合わせは、Ti/Al/Ni/Auである。負電極金属を堆積後、n型層とのコンタクト性向上のため、300℃~1100℃の温度で5秒~3分間熱処理を施すことが好ましい。熱処理の温度、時間については、負電極の金属種、膜厚に応じて適宜最適な条件で実施すればよい。
正電極は、p型コンタクト層上に形成される。正電極のパターニングは、負電極のパターニング同様、リフトオフ法を用いることが好ましい。正電極に用いられる金属材料は、特に制限されるものではなく、例えば、Ni、Cr、Au、Mg、Zn、Rh及びPd等である。また、正電極は、これらの金属の合金または酸化物を含む層を有する単層、又は多層構造であってもよい、好ましい組み合わせは、Ni/Auである。
正電極の金属を堆積する方法は、負電極の形成と同様、真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられるが、電極金属中の不純物を排除するため真空蒸着が好ましい。正電極金属を堆積後、p型コンタクト層とのコンタクト性向上のため、200℃~800℃の温度で30秒~3分間熱処理を施すことが好ましい。熱処理の温度、時間については、正電極の金属種、膜厚に応じて適宜好適な条件で実施すればよい。
以上のような層を有する紫外線発光素子は、基板上に各層、電極を形成した後、スクライビング、ダイシング、レーザー溶断等の分離方法で分離して、1つの素子(チップ)とすることができる。本実施形態においては、切断前のウェハの状態のものを使用することもできるし、チップにしたものを使用することもできる。
[基体]
基体は、市販の発光素子パッケージに用いられるものを使用することができ、放熱性の観点から窒化アルミニウム焼結体や、アルミナ、金属製のものであることが好ましい。
基体上に紫外線発光素子を実装する方法としては特に限定されないが、例えば、以下の方法を用いることができる。
基体上に紫外線発光素子をフリップチップマウントし、基体表面に設けられた端子と紫外線発光素子に設けられた端子とを超音波により電気的に接続する。超音波を用いて電気的に接合する方法としてはGGI(Gold to Gold Interconnection)法を用いることができる。この接続方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
本実施形態の紫外線発光装置は、環境温度25℃、電流値350mAの条件において、100時間点灯した後の光出力比が0.9以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.95以上であることが更に好ましい。
本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
本発明における樹脂組成物及び製造例により得られる樹脂組成物(以下、シラノール組成物ともいう)の、物性の測定方法、特性の評価方法は以下のとおりである。
(塗布溶液の重量パーセント濃度の算出)
日本電子株式会社製ECZ400S、プローブはTFHプローブを用いて、以下のようにしてNMR測定を行った。
例えば、テトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサン及びその重合体のイソプロパノール溶液の場合は、テトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサン及びその重合体のイソプロパノール溶液0.1gに重アセトン1gを添加したサンプルを用いて、1H-NMRを測定した。なお、重溶媒の基準ピークを2.05ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
テトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサン及びその重合体の重量パーセント濃度は近似的に以下式にて算出できる。
テトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサン及びその重合体の重量パーセント濃度=(-0.1-0.3ppmの領域のSiに結合するメチル基のピーク積分比/12×304.51)/{(-0.1-0.3ppmの領域のSiに結合するメチル基のピーク積分比/12×304.51)+(3.7-4.1ppmの領域のイソプロパノールの炭素に結合する水素のピーク積分値/1×60.1)}
なお、前記式中、304.51はテトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサンの分子量、60.1はイソプロパノールの分子量を意味する。
(ヘイズの測定)
ヘイズは濁度計NDH5000W(日本電色工業製)を用い、JISK7136に基づき測定を行った。以下に具体的操作を示す。
シラノール組成物のヘイズは素ガラス基板5cm×5cm×0.7mm厚(テクノプリント社製)にシラノール組成物42wt%イソプロパノール溶液をバーコーターNo.40(アズワン製)にて塗布後、60℃1時間にて減圧下で乾燥し、ヘイズを測定した。なお、ヘイズ測定のブランクは素ガラス基板5cm×5cm×0.7mm厚(テクノプリント社製)のみを用いた。
硬化物のヘイズはシラノール組成物のヘイズ測定で作製したサンプルを常圧にて100℃2時間加熱することにより得られたサンプルを用いて測定した。
(膜厚の測定)
膜厚はヘイズの測定用に作製したサンプルを表面形状測定機計(製造所名:(株)小坂研究所型式:ET4000AK31製)にて測定し、膜厚を算出した。
(環状シラノール(A1)及び脱水縮合物(A2)のGPCによる面積%の測定)
シラノール組成物0.03gに対して、1.5mLの割合でテトラヒドロフランに溶解した溶液を測定試料とした。
この測定試料を用いて、東ソー社製HLC-8220GPCで測定した。
カラムは東ソー社製のTSKガードカラムSuperH-H、TSKgel SuperHM-H、TSKgel SuperHM-H、TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH1000を直列に連結して使用し、テトラヒドロフランを移動相として0.35ml/分の速度で分析した。
検出器はRIディテクターを使用し、American Polymer Standards Corporation製ポリメタクリル酸メチル標準試料(分子量:2100000、322000、87800、20850、2000、670000、130000、46300、11800、860)、及び1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(分子量240.5、東京化成製)を標準物質として、数平均分子量及び重量平均分子量を求め、p=0及び、p≧1のピークを特定し、環状シラノール(A1)及び脱水縮合物(A2)それぞれのピークの面積比を算出した。
(Na、Vの含有量、及び、遷移金属(Pd)の含有量)
ヒドロシロキサン酸化反応物にフッ硝酸を加えて密閉加圧酸分解後、試料をテフロン(登録商標)ビーカーに移し、加熱乾固させた。その後、試料に王水を加え、完全溶解した溶解液を20mLに定容し、ICP質量分析装置(Themo Fisher Scientifi社製 iCAP Qc)による試料中の金属割合の定量分析を行った。
1H-NMR測定を用いた環状シラノールの立体異性体割合の算出)
日本電子株式会社製ECZ400S、プローブはTFHプローブを用いて、以下のようにしてNMR測定を行った。
得られたシラノール組成物に生成物0.1g、及び重アセトン1gを添加し、1H-NMRを測定した。なお、重溶媒の基準ピークを2.05ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
ヒドロシラン化合物としてテトラメチルテトラシクロシロキサンを原料に用いて酸化させた場合、得られるテトラヒドロキシテトラメチルテトラシクロシロキサンの1H-NMRでは、0.04-0.95ppmの領域に4種類の異性体に由来する6種類のSiに結合するメチル基のピークが観測された。
メチル基の水素は、高磁場側から、all-cis型(0.057ppm)、trans-trans-cis型(0.064ppm)、trans-trans-cis型(0.067ppm)、cis-trans-cis型(0.074ppm)、all-trans型(0.080ppm)、trans-trans-cis型(0.087ppm)の順に観測された。Delta5.2.1(日本電子製)を用いて前記6つのピークに関してローレンツ変換による波形分離を行い、これらの水素のピーク強度から、環状シラノールのそれぞれの立体異性体割合を算出した。
(各立体異性体の調製)
・all-cis体(環状シラノール(B1))
Inorganic Chemistry Vol.49, No.2,2010の合成例に従って合成した。
・cis-trans-cis体(環状シラノール(B2))
実施例1にて得られた再結晶物を用いた。
・all-trans体(環状シラノール(B4))
実施例1にて作製したシラノール10wt%のテトラヒドロフラン及びジクロロメタン混合溶液をさらに濃縮し、シラノール20wt%となるまで濃縮した溶液を用いて、液体クロマトグラフィーを用いて立体異性体の分取を行った。
<液体クロマトグラフィーの条件>
装置 GLサイエンス製液体クロマトグラフィー
ポンプ :PU715
カラムオーブン :CO705
フラクションコレクラー :FC204YMC-PackSIL-06 φ30mm×250mm
溶離液 :Cyclohexane/EtoAc =60/40
流速 :40mL/min
注入量 :5mL
温度 :40℃
検出 :得られたフラクションをELSD測定にて評価し、検出した。
得られたall-trans体の溶離液を静置することでall-trans体の結晶が得られたため、濾別により回収した。
・trans-trans-cis体(環状シラノール(B3))
all-trans体と同様の方法にて得られた溶離液を濃縮後イソプロパノールに置換することで得た。
[製造例1]
(シラノール組成物の調製)
反応容器に、蒸溜水28g、テトラヒドロフラン(THF、和光純薬製)960mL、Pd/C(10%パラジウム-炭素、エヌ・イー ケムキャット社製)3.7gを入れて混合した後、反応容器の温度を5℃に維持した。
前記反応容器に1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン81g(東京化成製、D4Hとも記載する)を徐々に加え、2時間撹拌後、1H-NMRにてSiH基が消失するまでPd/C(10%パラジウム/炭素)1.8gずつ3回に分け、計17時間反応を行った。SiH基の消失は、反応液を、日本電子製NMR(ECZ400S)を用いて反応液1wt%濃度の重アセトン溶液で1H-NMRを測定し4~5ppmのSiH基の消失を確認した。
反応液に硫酸マグネシウム75gを添加し、5℃で30分撹拌後、セライトNo.545(和光純薬製)450gを、テトラヒドロフランを用いて漏斗へ充填した。続いて、反応液を、当該セライトを通過させ、テトラヒドロフラン1.5Lによってセライトを洗浄し、1,3,5,7-テトラヒドロキシ-1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン(以下、D4OHとも記載する)含有THF溶液2057gを得た。この溶液をエバポレーターで水浴15℃にて残量587g(649mL)となるまで濃縮し、テトラヒドロフラン217mLとジクロロメタン4.4Lとの混合溶媒中へ投じた。混合液を5℃で4時間静置後、析出した不溶物を減圧濾過し、結晶固体を22g回収した。可溶部のろ液6169gを減圧下で濃縮し、D4OH濃縮物(すなわち、ヒドロシロキサン酸化反応物)89gを得た。
さらに、D4OH濃縮物:両末端シラノール変性シロキサン:テトラヒドロフランが、質量比で、8:2:90となるように、D4OH濃縮物に両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製X21-5841、分子量1000)及びテトラヒドロフランを添加し、テトラヒドロフランをエバポレーターで留去後、シラノール組成物を得た。
得られたシラノール組成物を用いて、前記(ヘイズの測定)の方法にしたがってヘイズを測定した。また、all-trans型及びcis-trans-cis型の環状シラノールの割合を1H-NMRにより算出した。
さらに、上述のようにして、遷移金属Pdの含有量を算出した。
(シラノール組成物の硬化の確認、接着力の確認、及び硬化物の光透過率の測定)
前記(シラノール組成物の作製)で得られたシラノール組成物を、石英ガラス上にバーコーターNo.2を用いて3μm厚となるように塗布し、石英ガラスを載せ、80℃6時間、180℃6時間の温度プログラムで硬化させた。
硬化後に片方のガラス板のみを持ち上げ、ガラスが接着していることを確認後、得られた硬化物のヘイズを測定した。
[製造例2]
D4OH濃縮物:両末端シラノール変性シロキサン:テトラヒドロフランが、質量比で、6:4:90となるようにしたこと以外は、製造例1と同様にしてシラノール組成物を得て、同様に実験を行った。
[製造例3]
両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製X21-5841、分子量1000)を、両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製KF-9701、分子量3000)に替えたこと以外は、製造例1と同様にしてシラノール組成物を得て、同様に実験を行った。
[製造例4]
両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製X21-5841、分子量1000)を、両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製KF-9701、分子量3000)に替え、且つ、D4OH濃縮物:両末端シラノール変性シロキサン:テトラヒドロフランが、質量比で、6:4:90となるようにしたこと以外は、製造例1と同様にしてシラノール組成物を得て、同様に実験を行った。
[製造例5]
両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製X21-5841、分子量1000)を、両末端シラノール変性シロキサン(Gelest製DMS-S15、分子量2000~3500)に替えたこと以外は、製造例1と同様にしてシラノール組成物を得て、同様に実験を行った。
[製造例6]
両末端シラノール変性シロキサン(信越化学製X21-5841、分子量1000)を、両末端シラノール変性シロキサン(Gelest製DMS-S15、分子量2000~3500)に替え、且つ、D4OH濃縮物:両末端シラノール変性シロキサン:テトラヒドロフランが、質量比で、6:4:90となるようにしたこと以外は、製造例1と同様にしてシラノール組成物を得て、同様に実験を行った。
[製造例7]
(シラノール組成物の作製)
反応容器に、蒸溜水28g、テトラヒドロフラン(THF、和光純薬製)960mL、Pd/C(10%パラジウム-炭素、エヌ・イー ケムキャット社製)3.7gを入れて混合した後、反応容器の温度を5℃に維持した。
前記反応容器に、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン81g(東京化成製、D4Hとも記載する。)を徐々に加え、2時間撹拌後、1H-NMRにてSiH基が消失するまで前記Pd/C(10%パラジウム-炭素)を1.8gずつ3回に分けて加し、合計17時間反応を行った。
反応液を、日本電子製NMR(ECZ400S)を用いて反応液1質量%濃度の重アセトン溶液で1H-NMRを測定し、4~5ppmのSiH基の消失を確認した。
反応液に硫酸マグネシウム75gを添加し、5℃で30分撹拌後、セライトNo.545(和光純薬製)450gを、テトラヒドロフランを用いて漏斗へ充填した。続いて、反応液を、当該セライトを通過させ、テトラヒドロフラン1.5Lによってセライトを洗浄し、1,3,5,7-テトラヒドロキシ-1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン(以下、D4OHとも記載する。)含有THF溶液2057gを得た。
この溶液をエバポレーターで水浴15℃にて残量587g(649mL)となるまで濃縮し、テトラヒドロフラン4.4Lとジクロロメタン217mLとの混合溶媒中へ投じた。混合液を5℃で4時間静置後、析出した不溶物を減圧濾過し、結晶固体を22g回収した。可溶部のろ液6169gを減圧下で濃縮し、D4OH濃縮物(すなわち、ヒドロシロキサン酸化反応物)89gを得た。
さらに、D4OH濃縮物:シリカを、質量比が50:50となるように、D4OH濃縮物にシリカ粒子(MEKST-40、日産化学社製、粒径40nm)を添加し、さらに固形分濃度16質量%となるようにイソプロパノールを加えることによりシラノール組成物(イソプロパノール溶液)を得た。
得られたシラノール組成物を用いて前記(ヘイズの測定)の方法にしたがってヘイズを測定し、GPCの微分分子量分布曲線におけるピーク面積の測定を行った。また、all-cis型及びcis-trans-cis型の環状シラノールの割合を1H-NMRにより算出した。
また、上述のようにして、遷移金属Pdの含有量を算出した。
(シラノール組成物の硬化の確認、接着力の確認、及び硬化物の光透過率の測定)
前記(シラノール組成物の作製)で得られたシラノール組成物8.3gを、石英ガラス上にバーコーターNo.2を用いて3μm厚となるように塗布し、石英ガラスを載せ80℃6時間、180℃6時間の温度プログラムで硬化させた。
硬化後に片方のガラス板のみを持ち上げ、ガラスが接着していることを確認後、得られた硬化物のヘイズを測定した。
(硬化物の耐摩耗性評価)
10cm角、厚さ1ミリのポリカーボネート板(タキロン1600)にプライマーSHP470FT2050(モメンティブ製)をバーコーターNo.16(アズワン製)で塗布後、30℃30分、120℃30分オーブンで硬化し、2μmのプライマーを塗布したポリカーボネート板を得た。
前記ポリカーボネート板に、前記(シラノール組成物の作製)で得られたシラノール組成物を、バーコーターNo.16で前記プライマーを塗布したポリカーボネート板に塗布した後、100℃で2時間、次いで120℃で2時間、オーブンにて硬化することにより硬化板を得た。
得られた硬化板を、摩耗輪にCALIBRASE CS-10F(TABER INDUSTRIES製)を取り付けた101 TABER TYPE ABRASION TESTER(Yasuda製)を用いて、回転速度60rpmにて500回のテーバー摩耗試験を行った。
なお、すべての測定用サンプルは、テーバー摩耗試験を行う前に、摩耗輪をST-11 REFACEING STONE(TABER INDUSTRIES製)を用いて回転速度60rpmにて25回研磨を行った。
テーバー摩耗試験後の測定用サンプルを、HAZE METER NDH 5000SP(NIPPON DENSHOKU製)を用いて、Hazeの測定を行い、テーバー摩耗試験前後のHazeの増加分(ΔHaze(%))を算出した。
[製造例8]
D4OH濃縮物:シリカの質量比が75:25となるように(シリカ添加割合が25wt%である)シリカ粒子を添加したこと以外は、製造例7と同様の実験を行った。
[製造例9]
(シラノール組成物の作製)
反応容器に、蒸溜水28g、テトラヒドロフラン(THF、和光純薬製)960mL、Pd/C(10%パラジウム/炭素、エヌ・イー ケムキャット社製)3.7gを入れて混合した後、反応容器の温度を5℃に維持した。
前記反応容器に、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン81g(東京化成製、D4Hとも記載する。)を徐々に加え、2時間撹拌後、1H-NMRにてSiH基が消失するまで前記Pd/C(10%パラジウム/炭素)を1.8gずつ3回に分けて添加し、合計17時間反応を行った。
反応液を、日本電子製NMR(ECZ400S)を用いて反応液1質量%濃度の重アセトン溶液で1H-NMRを測定し、4~5ppmのSiH基の消失を確認した。
反応液に硫酸マグネシウム75gを添加し、5℃で30分撹拌後、濾過助剤として、粉末セルロースKCフロックW50GK(日本製紙製)450gを、テトラヒドロフランを用いて漏斗へ充填した。続いて、反応液を、当該粉末セルロースを通過させ、テトラヒドロフラン1.5Lによって粉末セルロースを洗浄し、1,3,5,7-テトラヒドロキシ-1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン(以下、D4OHとも記載する。)含有THF溶液2057gを得た。
この溶液をエバポレーターで水浴15℃にて残量587g(649mL)となるまで濃縮し、テトラヒドロフラン4.4Lとジクロロメタン217mLとの混合溶媒中へ投じた。混合液を5℃で4時間静置後、析出した不溶物を減圧濾過し、結晶固体を22g回収した。可溶部のろ液6169gを減圧下で濃縮し、ヒドロシロキサン酸化反応物であるシラノール組成物(89g)を得た。
得られたシラノール組成物を用いて前記(ヘイズの測定)の方法にしたがってヘイズを測定し、GPCの微分分子量分布曲線におけるピーク面積の測定を行った。
また、all-trans型及びcis-trans-cis型の環状シラノールの割合を1H-NMRにより算出した。Na、Vの含有量、及び遷移金属(Pd)の含有量の測定を上記のようにして行った。
(シラノール組成物の硬化確認、及び接着力の確認、硬化物の光透過率の測定)
前記(シラノール組成物の調製)で得られたシラノール組成物8.3gを、石英ガラス上にバーコーターNo.2を用いて3μm厚となるように塗布し、これにさらに石英ガラスをのせ、80℃6時間、180℃6時間の温度プログラムで硬化させた。硬化後に片方のガラス板のみを持ち上げ、石英ガラスが接着していることを確認した。
[製造例10]
(シラノール組成物の調製)
反応容器に、蒸溜水28g、テトラヒドロフラン(和光純薬製)960mL、Pd/C(10%パラジウム/炭素、エヌ・イー ケムキャット社製)3.7gを入れて混合した後、反応容器の温度を5℃に維持した。
前記反応容器に1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン81g(東京化成製、D4Hとも記載する)を徐々に加え、2時間撹拌後、1H-NMRにてSiH基が消失するまでPd/C(10%パラジウム/炭素)1.8gずつ3回に分け、計17時間反応を行った。SiH基の消失は、反応液を、日本電子製NMR(ECZ400S)を用いて反応液1wt%濃度の重アセトン溶液で1H-NMRを測定し、4~5ppmに存在するSiH基の消失を確認した。
反応液に硫酸マグネシウム75gを添加し、5℃で30分撹拌した。セライトNo.545(和光純薬製)450gを、テトラヒドロフランを用いて漏斗へ充填した。続いて、反応液を、当該セライトを通過させ、テトラヒドロフラン1.5Lによってセライトを洗浄し、1,3,5,7-テトラヒドロキシ-1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン(以下、D4OHとも記載する)含有THF溶液2057gを得た。この溶液をエバポレーターで水浴15℃にて残量587g(649mL)となるまで濃縮し、テトラヒドロフラン4.4Lとジクロロメタン217mLとの混合溶媒中へ投じた。混合液を5℃で4時間静置後、析出した不溶物を減圧濾過し、結晶固体を22g回収した。可溶部のろ液6169gを減圧下で濃縮し、シラノール組成物10wt%のテトラヒドロフラン及びジクロロメタン混合溶液となるまで濃縮した。シラノール組成物10wt%のテトラヒドロフラン及びジクロロメタン混合溶液10gを1gまで減圧下で濃縮後、再度100gのイソプロパノールを添加した。さらに、再度減圧下で濃縮を行い、所定の濃度のシラノール組成物(イソプロパノール溶液)を作製した。
得られたシラノール組成物を用いてヘイズ等の物性を評価した。また、環状シラノールの立体異性体割合を1H-NMRにより算出した。図11に1H-NMRスペクトルを示す。
[製造例11]
製造例10にて作製したシラノール組成物(イソプロパノール溶液)に、前記(各立体異性体の調製)にて調製したall-trans体(環状シラノール(B4))を加え、all-trans体比率を43%としたこと以外は、製造例10と同様の実験を行った。
[製造例12]
製造例10にて作製したシラノール組成物(イソプロパノール溶液)に、前記(各立体異性体の調製)にて調製したall-trans体(環状シラノール(B4))を加え、all-trans体比率を56%としたこと以外は、製造例10と同様の実験を行った。
[製造例13]
製造例10にて作製したシラノール組成物(イソプロパノール溶液)に、前記(各立体異性体の調製)にて調製したall-cis体(環状シラノール(B1))を加え、all-cis体比率を31%としたこと以外は、製造例10と同様の実験を行った。
[製造例14]
製造例10にて作製したシラノール組成物(イソプロパノール溶液)に、前記(各立体異性体の調製)にて調製したall-cis体(環状シラノール(B1))を加え、all-cis体比率を41%としたこと以外は、製造例10と同様の実験を行った。
[製造例15]
製造例10にて作製したシラノール組成物(イソプロパノール溶液)に、前記(各立体異性体の調製)にて調製したtrans-trans-cis体(環状シラノール(B3))を加え、trans-trans-cis体比率を66%としたこと以外は、製造例10と同様の実験を行った。
[製造例16]
製造例10の再結晶温度を-40℃としたこと以外は、製造例10と同様の実験を行った。図12に1H-NMRスペクトルを示す。
[製造例17]
D4OH濃縮物に両末端シラノール変性シロキサン及びテトラヒドロフランを混合しなったこと以外は、製造例1と同様の実験を行った。
[実施例1]
(構造A)
紫外線発光素子を基体にフリップチップ実装した後、上記製造例1で得られた樹脂組成物を紫外線発光素子の近傍に塗布し、毛細管現象を利用して、紫外線発光素子と基体との間の隙間に樹脂組成物を満たした。60℃で加熱(1段目の加熱)し、次いで100℃で加熱(2段目の加熱)することで、図1で示される樹脂組成物が基体と紫外線発光素子との間に存在する紫外線発光装置を得た。
(構造B)
紫外線発光素子を基体にフリップチップ実装した後、上記製造例1で得られた樹脂組成物を紫外線発光素子上に塗布し、紫外線発光素子の上面と側面を樹脂組成物で満たした。60℃で加熱(1段目の加熱)し、次いで100℃で加熱(2段目の加熱)することで、図2で示される樹脂組成物が前記紫外線発光素子の側面及び上面を覆っている紫外線発光装置を得た。
(構造C)
紫外線発光素子を基体にフリップチップ実装した後、さらに保護素子を金錫体を介して基体に接続した。上記製造例1で得られた樹脂組成物を保護素子の近傍に塗布し、毛細管現象を利用して、保護素子と基体との間の隙間に樹脂組成物を満たした。60℃で加熱(1段目の加熱)し、次いで100℃で加熱(2段目の加熱)することで、図3で示される樹脂組成物が基体と保護素子との間に存在する紫外線発光装置を得た。
(構造D)
紫外線発光素子をキャビティ構造を有する基体にフリップチップ実装した後、上記製造例1で得られた樹脂組成物を基体の壁部の上面に塗布し、保護部材を樹脂組成物の上から載せた。60℃で加熱(1段目の加熱)し、次いで100℃で加熱(2段目の加熱)することで、図4で示される基体の壁部の上面と保護部材との間に樹脂組成物が存在する紫外線発光装置を得た。
構造A~Dの紫外線発光装置を、下記に従って評価した。評価結果を表1に示す。
(紫外線発光素子及び保護素子のアンダーフィルの耐クラック性)
発光素子の連続発光装置を用いて、環境温度25℃、電流値350mAにおいて、1000時間連続駆動させた。その後、樹脂組成物のクラック発生を断面SEMにて観察した。加速電圧は5kV、倍率は1000倍で観察した。500nm以上のクラックが見られなかったものを○、見られたものを×とした。
(被覆層の耐クラック性)
発光素子の連続発光装置を用いて、環境温度25℃、電流値350mAにおいて、1000時間連続駆動させた。その後、樹脂組成物のクラック発生を断面SEMにて観察した。加速電圧は5kV、倍率は1000倍で観察した。500nm以上のクラックが見られなかったものを○、見られたものを×とした。
(保護部材(Lid)の接着剤の耐クラック性)
発光素子の連続発光装置を用いて、環境温度25℃、電流値350mAにおいて、1000時間連続駆動させた。その後、上面から保護部材越しに樹脂組成物のクラック発生をマイクロスコープにて観察した。目視でクラックの有無を判断し、クラックが見られなかったものを〇、見られたものを×とした。
(保護部材の接着シェア強度)
EIAJ-ED-4703に準拠して測定される剪断強度を接着シェア強度とした。接着シェア強度は、連続通電前および350mA1000時間の連続通電後について評価した。表中には、5デバイスの測定結果において、その最小値と最大値を記載した。
[実施例2~実施例17]
製造例1の樹脂組成物の代わりに製造例2~17の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により紫外線発光装置を製造し、各評価を行った。評価結果を表1及び2に示す。
[比較例1]
製造例1の樹脂組成物の代わりにエポキシ樹脂(協立化学産業ワールドロック社製 5921)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により紫外線発光装置を製造し、各評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
製造例1の樹脂組成物の代わりにシリコーンゴム(信越シリコーン社製 KE-182)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により紫外線発光装置を製造し、各評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
製造例1の樹脂組成物の代わりにフッ素エラストマー(信越化学社製 SIFEL)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により紫外線発光装置を製造し、各評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0007250560000023
Figure 0007250560000024

Claims (6)

  1. 基体と、前記基体上に配置された紫外線発光素子と、を含む紫外線発光装置であって
    前記紫外線発光装置の一部が、下記式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含む樹脂組成物から形成されており、
    前記樹脂組成物が、前記基体と前記紫外線発光素子との間に存在する、
    紫外線発光装置。
    Figure 0007250560000025
    (式(1)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、nは2~10の整数である。)
  2. 基体と、前記基体上に配置された紫外線発光素子と、を含む紫外線発光装置であって
    前記紫外線発光装置の一部が、下記式(1)で表される環状シラノール(A1)及びその脱水縮合物(A2)を含む樹脂組成物から形成されており、
    前記樹脂組成物が前記紫外線発光素子の側面又は上面の少なくとも一部を覆っている、紫外線発光装置。
    Figure 0007250560000026
    (式(1)中、Rは、各々独立して、フッ素原子、アリール基、ビニル基、アリル基、フッ素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は非置換の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基であり、nは2~10の整数である。)
  3. 前記紫外線発光装置は保護素子をさらに含み、前記樹脂組成物が前記基体と前記保護素子との間に存在する、請求項1又は2に記載の紫外線発光装置。
  4. 前記基体はキャビティ構造を有し、基体の上部には保護部材が存在し、前記基体の壁部の上面と前記保護部材との間に前記樹脂組成物が存在する、請求項1~のいずれか一項に記載の紫外線発光装置。
  5. 前記式(1)で表される環状シラノール(A1)が、下記式(10)で表される環状シラノール(A10)である、
    請求項1~のいずれか1項に記載の紫外線発光装置。
    Figure 0007250560000027
    (式(10)中、Rは、前記式(1)中のRと同義である。)
  6. 前記環状シラノール(A10)が、下記式(2)~(5)で表される環状シラノール(B1)~(B4)であり、前記環状シラノール(B1)~(B4)の総量に対する前記環状シラノール(B2)の割合(モル%)をbとしたとき、0<b≦20を満たす、
    請求項に記載の紫外線発光装置。
    Figure 0007250560000028
    Figure 0007250560000029
    Figure 0007250560000030
    Figure 0007250560000031
    (式(2)~(5)中、Rは、前記式(1)中のRと同義である。)
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