JP7246178B2 - 電気化学セル - Google Patents
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Description
このように、金属製の正極ケース及び負極ケースで外装体が画成され、外装体の収容部に電極体が非水電解質とともに内包されている。
特許文献2に記載の電気化学セルは、電極体と、第1部材および第2部材を重ね合わせて形成される外装体とを備えている。この外装体に、前記電極体を収容する収容部と、該収容部の外周において、前記第1部材および第2部材が融着された状態で前記収容部の外周に沿って折り曲げられた封止部を有している。また、第1部材と第2部材について金属と樹脂のラミネート構造を採用するか、一方を金属と樹脂のラミネート構造とし、他方を金属板から構成している。
このボタン形電気化学セルにおいて、外装体を樹脂層とアルミニウム層のラミネート構造とした場合、軽量化できる利点を有する。しかし、ラミネート構造では樹脂層の端部にアルミニウム層が露出する構造となるので、アルミニウムの露出部分が外部端子やアースなどに接触するおそれがある。ここで、リチウムイオン電池などにおいてアルミニウムがリチウムに対し還元電位以下になると、アルミニウムとリチウムの合金化反応を起こすおそれがあり、合金化反応により外装体の一部を損傷する懸念があった。
例えば、電極端子の周囲は外装体に貫通孔を形成して電極端子を外部に露出させる構造となるので、貫通孔の内周側の部分では必然的に樹脂層の端部からアルミニウム層が露出する部分となる。
図6に示すようにラミネート構造の容器状の外装体100の内部に電極体101と電解液102が収容され、電極体101から延出された引出端子103が電極板105に接続され、電極板105の上面中央に電極端子106が取り付けられている。
外装体100は内部側から順に樹脂層107とアルミニウム製の金属層108と樹脂層109からなる3層構造であり、外装体100の一部に形成された貫通孔110の内側に位置するように電極板105と電極端子106が設けられている。なお、図6では電極端子106の周囲部分のみ表示しているので容器状の外装体100はその一部分のみ記載され、電極体101についても一部分のみが表示されている。
ここで、貫通孔110の内面側には金属層108の端面が露出されているので、この部分が外部端子やアースなどと接触して短絡するおそれがあり、Al製の金属層108がLiに対して還元電位となるおそれがある。これに加え、図6に示すように内部側の樹脂層107に傷等の損傷部分112が存在し、電解液102が金属層108に到達することがあると、金属層108が損傷し、場合によっては外装体100の損傷に繋がるおそれを有している。
このため、金属層を含むラミネート構造の外装体を用いた電気化学セルにおいて金属層の短絡を防止できる。金属層の短絡を防止できるので、金属層の還元電位以下への電位降下を防止でき、外装体の一部に仮に傷などが生じて金属層と電解液が接触したとしても金属層の損傷を防止できる。
電極端子周りの外装体の貫通孔において、ラミネート構造の外装体の金属層が露出していたとして、絶縁フィルムの延出部を有効利用し、効率的に金属層露出部を覆い隠すことができる。
また、電極端子の外周部と貫通孔の内周部との間に絶縁フィルムの延出部が挟持された構成にすると、延出部が貫通孔の内周面を覆った状態で確実に保持されるので、信頼性の高い絶縁構造を提供できる。
樹脂層とAlまたはAl合金からなる金属層とのラミネート構造であれば、外装体として液密性、気密性、軽量性に優れ、電解液を収容する小型の電気化学セル用の外装体として優れる。
なお、以下の説明では、円盤状に形成されたボタン形、コイン形またはシリンダ形の電気化学セルとして、非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を例に挙げて説明する。
また、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更し表示しているため、各部材の相対的な大きさが図面に示す形態に限らないのは勿論である。
図1は第1実施形態に係る電池の斜視図、図2は第1実施形態に係る電池の部分断面斜視図、図3は同電池の分解斜視図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の電池(電気化学セル)1は、いわゆるボタン形の電池である。電池1は、電極体2と、電極体2に含浸される電解液(電解質溶液:図示せず)と、電極体2を収容した外装体10とを備えている。
また、外装体10は、有底筒状の第1容器17と、有底筒状の第2容器18とを備えている。第1容器17および第2容器18は、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。以下、第1容器17および第2容器18の中心軸を図2に示すように中心軸Oと呼称し、中心軸Oに沿う方向を軸方向と呼称し、中心軸Oに直交する方向を径方向と呼称する。なお、中心軸Oは収容部12の中心軸となる。
融着層17bは、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成される。ポリオレフィンとして以下の材質を適宜選択できる。ポリオレフィンとしては、高圧法低密度ポリエチレンや低圧法高密度ポリエチレン、インフレーションポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、直鎖状短鎖分岐ポリエチレンなどの材質を使用できる。保護層17cは、上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどを用いて形成される。融着層17bおよび保護層17cは、それぞれ金属シート17aとの間に接合層を介して、熱融着または接着剤により接合されている。
第1底壁部21の内面には、第1シーラントリング(絶縁フィルム)24を介して円板状のステンレス鋼板などの鋼板からなる負極電極板25が熱融着されている。第1シーラントリング24は、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成された、シーラントフィルムをリング状にしたものである。
第2周壁部32は、収容部12の外周12aを形成する。
第2底壁部31には、中央に丸孔型の第2貫通孔35が形成されている。第2貫通孔35は、中心軸Oと同軸に形成されている。
第2底壁部31の内面には、第2シーラントリング(絶縁フィルム)37を介してステンレス鋼板などの鋼板からなる正極電極板38が熱融着されている。第2シーラントリング37は、第1シーラントリング24と同様に、熱可塑性樹脂により形成されている。
正極電極板38はステンレス鋼板、もしくはAl板またはAl合金板からなることが好ましい。
正極電極端子39はNi板あるいはNiにCrやMo、Coなどを添加したNi合金板、あるいは、ステンレス鋼板、Fe板、あるいはCu板からなることが好ましい。また、接触抵抗の低減のために、上述のようなNi板や各種Ni合金板にAuメッキを施すことができ、ステンレス鋼板、Fe板、あるいはCu板にNiメッキを施して用いることもできる。
即ち、正極電極端子39は、Ni板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる。
そして、第2シーラントリング37の内周縁の一部が延出部37aとして第2貫通孔35の内周部と正極電極端子39の外周部との間に引き込まれて挟まれるように延出され、延出部37aの先端が第2貫通孔35の外側開口部まで到達されている。
なお、この構造は、溶接により正極電極板38と正極電極端子39を一体化しておき、外装体18の内面側の第2貫通孔35まわりに第2シーラントリング37を沿わせた状態から、熱をかけながら正極電極端子39を第2貫通孔35に挿入することにより形成することができる。加熱により軟化した第2シーラントリング37の内周部を引き延ばしつつ正極電極端子39とともに第2貫通孔35に挿入することで図4(B)に示す延出部37aを設けた構造を実現できる。
なお、延出部37aについては正極電極端子39の全周に隙間無く存在していることが好ましいが、多少の隙間をあけて間欠的に形成されていても良い。その方が第2貫通孔35に引き込むように延在させやすい。
以上のように構成された負極電極3と正極電極4をそれぞれ交互につづら折り構造として重ねることで、図2または図3に示す電極体2が構成されている。
負極電極3を構成する負極集電体は、本実施形態では、例えばCu、Ni及びステンレス等の金属材料から構成されている。そして、これらの金属材料からなる負極側の引出電極が負極集電体から延在され、負極電極板25に電気的に接続されている。また、正極電極4を構成する正極集電体は、本実施形態では、AlまたはAl合金から構成され、この正極集電体から延びる正極側の引出電極4aがAlまたAl合金から形成されている。引出電極4aは正極電極板38に電気的に接続されている。
正極電極端子39は、外部端子の接触を受けるので、溶接部によって正極電極板38に確実に接合されていることが好ましい。
本実施形態において、正極端子39は、第2貫通孔35の内径よりも若干小さな外径を有する円板形状であり、その厚さは、第2シーラントリング37の厚さと第2底壁部31の厚さを合計した厚さに相当する。このため、図4(B)に示すように正極電極端子39は第2貫通孔35を挿通して第2底壁部31の外面に露出する貫通電極とされている。
また、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間に第2シーラントリング37の内周縁の延出部37aが引き込まれ、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間の間隙が延出部37aにより閉じられている。
この延出部37aは、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間に挟まれるように延出され、第2貫通孔35の外側開口部周縁まで延在され、第2貫通孔35の内周面を覆っている。
このため、電解液に含まれるLiに対し金属層18aが還元電位以下になることがなく、仮に保護層18cに傷や亀裂が生じて電解液が金属層18aに触れることがあっても金属層18aが損傷することがない。このため、仮に内部に亀裂等の欠陥があっても外装体10の破損につながらない構造を提供できる。
よって、電池1を小形にできる。
第2周壁部32は、第1周壁部22の内側で、かつ、折曲部33の内側に配置されている。また、折曲部33は、第1周壁部22の内側に配置されている。折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とが熱融着されている。
折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とを熱融着する手段として、例えばヒータやレーザーなどの熱源を用いる熱融着が挙げられる。また、折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とは、熱融着の他に、例えば超音波溶接を用いる融着などが適用可能である。
封止部15は、収容部12の外側に円筒状に形成され、かつ、収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。収容部12の外周12aは、第2周壁部32で形成される。封止部15は、平面視において、円形に形成されている。
また、第1容器17および第2容器18の融着層が薄肉に形成されることにより、第1容器17および第2容器18の金属シート間の隙間が小さく抑えられる。これにより、封止部15から外装体10の内部に水が浸入することを一層良好に抑えることができる。
なお、この例では電極板に電極端子を溶接し、その後に電極体の引出電極を溶接する順で説明したが、電極端子と引出電極を溶接する順序は逆であっても良く、どちらが先でも差し支えない。
この作業により、図4(B)に示す構造の如く、第2貫通孔35の内周部に露出している金属層17aの端面を絶縁体である第2シーラントリング37の延出部37aにより覆い隠す構造を実現できる。この構造であれば、第2貫通孔35の内周部に位置する金属層17aの端面を外部端子やアースなどに短絡させることのない構造を提供できる。
なお、加熱した正極電極端子39を用い、第2シーラントリング27の内周部を介し第2貫通孔35に挿通するのみの作業で上述の絶縁構造を実現できるので、上述の絶縁構造は容易に製造できる効果がある。
また、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間に第2シーラントリング37の延出部37aを挟持した構成にすると、延出部37aが第2貫通孔35の内周面を覆った状態で確実に保持されるので、信頼性の高い絶縁構造を提供できる。
第2貫通孔35を有する第2底壁部31の内面に第2シーラントリング37Aが溶着され、第2シーラントリング37Aの下方に正極電極板38Aが溶着されている。正極電極板38の上面には正極電極端子39Aが溶接されているが、正極電極端子39Aは正極電極板38と第2シーラントリング37Aの間に挟まれるように配置されている。
このため、先に説明した短絡の問題があり、正極電極端子39Aと金属層17aの短絡のおそれもある。この点において、図4(B)に示す構造であれば、これら短絡の問題を生じ難い絶縁性の高い構造を提供できる。
これに対し、図4(B)に示す構造では、融着層に強制的に傷を付けて電解液をAl製の金属層に接触させた状態で充放電を20時間繰り返しても液漏れは生じない。
また、図4(B)に示す構造では、第2シーラントリング37の延出部37aが正極電極端子39周りの第2貫通孔35内周を閉じるので、外部からの水分の侵入防止効果も奏する。外装体10で覆った構造の電池1において、水分の侵入経路は第2底壁部31と第2シーラントリング37の界面であり、この界面を経路とする水分の侵入を延出部37aが防止する。このため、図4(B)に示す構造は水分浸入を防止する面においても優れた構造となる。
ここで、正極電極板38の形状は平板状に限らず、中央部に電極端子の一部を兼ねるように円板状の凸部を設け、この凸部を延長するように先の正極電極端子39より薄い円板状の正極電極端子を設けた構造としても良い。また、正極電極端子39の形状は円板状に限らず、円錐台形状であっても良い。
また、先に説明した実施形態では、負極電極3と正極電極4について、いずれも円板状の電極本体を複数、帯状の連結部を介して接続し、数珠繋ぎ状に接続したものをつづら折りして交互積層した電極体2を適用した。
しかし、本発明の電気化学セルにおいて、電極体2の構造はつづら折り構造に限るものではなく、セパレーターを介し負極電極と正極電極を積層し巻回した構造の電極体を採用することもできる。この構造の電極体であっても、電極体の一側に設けた正極側の引出電極を正極電極板38に接続し、電極体の他側に設けた負極側の引出電極を負極電極板25に接続することで本発明の電気化学セルに適用できる。
10…外装体、12…収容部、12a…収容部の外周、15…封止部、
17…第1容器、17a…金属層、17b…融着層(樹脂層)、
17c…保護層(樹脂層)、18…第2容器、18a…金属層、
18b…融着層(樹脂層)、18c…保護層(樹脂層)、21…第1底壁部、
22…第1周壁部、23…第1貫通孔、
24…第1シーラントリング(絶縁フィルム:絶縁体)、25…負極電極板、
26…負極電極端子(貫通電極)、31…第2底壁部、
32…第2周壁部(収容部の外周)、35…第2貫通孔、
37…第2シーラントリング(絶縁フィルム:絶縁体)、37a…延出部、
38…正極電極板、39…正極電極端子(貫通電極)。
Claims (5)
- 第1容器と第2容器から構成される外装体と、前記外装体の内部に収容された正極電極および負極電極からなる電極体を備えた電気化学セルであり、
前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方が樹脂層と金属層のラミネート構造からなり、
前記第1容器と前記第2容器に形成された貫通孔の内側に前記正極電極あるいは前記負極電極に接続された電極板が絶縁フィルムを介し配置され、
前記ラミネート構造からなる、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方の容器において、前記電極板の前記貫通孔側に、前記絶縁フィルムの厚さと前記第1容器の底壁部または前記第2容器の底壁部の厚さの合計厚さに相当する厚さを有する電極端子が、前記絶縁フィルムを貫通して前記貫通孔に挿入するように設けられ、
前記電極端子の外周部において前記貫通孔の内周部との間に前記絶縁フィルムの延出部が前記電極端子の外周面を取り囲むように介挿され、該延出部により、前記ラミネート構造からなる、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方に形成されている前記貫通孔の内周面が被覆され、前記電極端子と前記貫通孔の間の隙間を前記延出部が塞ぐとともに前記延出部が前記電極端子と前記貫通孔の間から外部に露出されたことを特徴とする電気化学セル。 - 前記電極端子の外周部と前記貫通孔の内周部との間に前記絶縁フィルムの延出部が挟持されたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
- 前記金属層がAlまたはAl合金からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学セル。
- 前記電極板が金属板からなり、前記電極端子がNi板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
- 前記第1容器と前記第2容器がいずれも底壁部と周壁部を有し、前記第1容器の周壁部と前記第2容器の周壁部が重ね合わされて融着され、前記外装体が構成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
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