JP7304788B2 - 電気化学セル - Google Patents
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Description
近年、この種の電気化学セルとして、電極体を内部に収容する外装体にラミネートフィルムを用いる、いわゆるラミネートタイプの電気化学セルが知られている。このラミネートタイプの電気化学セルは、小型且つ形状自由度が高く、さらに高容量化に繋がる電気化学セルとして知られている。
電極体は、セパレータを介して互い違いに積層された負極電極と正極電極とを備えた構造とされている。負極電極は、負極端子タブを有しており、例えば負極側の電極板として機能する銅プレート等に接続される。同様に、正極電極は、正極端子タブを有しており、例えば正極側の電極板として機能するアルミニウムプレート等に接続される。
例えば、リチウムイオン電池の場合、充電時に、正極電極側から負極電極側に移動してきたリチウムイオンがリチウム金属として負極電極の表面に析出する、いわゆる電析と呼ばれる現象が生じることがある。この場合において、例えばリチウム金属が負極電極の端縁に集中して針状に析出する可能性がある。従って、正極電極の外形形状よりも負極電極の外形形状の方が小さい場合には、針状に析出したリチウム金属がセパレータを突き抜けて正極電極に達し、これによって内部短絡を招くおそれがあった。
そのため、このような内部短絡の発生を抑制するために、正極電極の外形形状よりも負極電極の外形形状の方が大きく形成されている場合が多い。
通常、負極端子タブは、その根元側を基点として折り返されることで、セパレータを介して正極電極に対向配置されない状態で銅プレート等に接続される。しかしながら、適切な折り返しがされない等、何等かの理由によって、上述のように負極端子タブがセパレータを介して正極電極に対向配置されてしまう場合がある。この場合には、先に述べた場合と同様に、負極端子タブに針状にリチウム金属が析出し、セパレータを突き抜けて正極電極に達してしまう可能性があった。従って、内部短絡を招いてしまうおそれがあり、改善の余地があった。
これにより、積層電極体の収容時、仮に負極端子タブの一部がセパレータを介して正極接続片の外側に配置されるような状態になっていたとしても、延長テープ部を利用して、負極端子タブがセパレータに直接的に接触してしまうことを防止することができる。そのため、負極端子タブが接触する可能性がある領域を、延長テープ部を利用して保護することができる。従って、例えば充電時に、負極端子タブに針状にリチウム金属が析出したとしても、リチウム金属がセパレータを突き抜けるような不都合が生じることを、延長テープ部を利用して防止することができる。そのため、内部短絡の可能性を低減することができ、安全性が向上した電気化学セルとすることができる。
さらに、正極電極及び負極電極を捲回することで積層電極体としているので、例えば積層電極体を突出部のない扁平状に捲回した状態で、外装体の内部に高密度で収容することができる。従って、形状自由度の向上化を図ることができると共に、電気化学セル全体の体積に対する積層電極体が占める体積比率を向上することができ、体積効率が向上したラミネートタイプの電気化学セルとすることができる。
なお、図7及び図8では、セパレータ30の厚みを無視してハッチングで図示している。さらに図7では、負極電極20側から見た電極体2を図示している。
図9に示すように、正極電極10は、捲回前における展開した状態において第1方向L1に沿って延びる帯状に形成された正極集電体11と、正極集電体11の両面に形成された図示しない正極活物質層と、を備えている。
なお、本実施形態では、第1方向L1における他方のエンド位置に位置している正極本体12を、1段目の正極本体12と称し、正極端子タブ14が形成されている正極本体12に向けて順に2段目、3段目、4段目、5段目、6段目、7段目、8段目の正極本体12と称する。従って、正極端子タブ14が形成されている正極本体12は、8段目の正極本体12に相当する。
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料及び金属微粉等が挙げられる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料が挙げられる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料が挙げられる。
負極集電体21は、例えば銅、ニッケル及びステンレス等の金属材料で厚みの薄いシート状に形成され、複数の負極本体22及び複数の負極接続片23を備えている。負極本体22は、正極本体12と同様に円板状に形成され、第1方向L1に一列に並ぶように間隔をあけて配置されている。図示の例では、負極本体22の数は正極本体12の数に対応して8個とされている。ただし、負極本体22の数は8個に限定されるものではなく、正極本体12の数に対応して適宜変更して構わない。
なお、本実施形態では、第1方向L1における他方のエンド位置に位置している負極本体22を、1段目の負極本体22と称し、負極端子タブ24が形成されている負極本体22に向けて順に2段目、3段目、4段目、5段目、6段目、7段目、8段目の負極本体22と称する。従って、負極端子タブ24が形成されている負極本体22は、8段目の負極本体22に相当する。
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料及び金属微粉等が挙げられる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料が挙げられる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料が挙げられる。
具体的には図11に示すように、正極端子タブ14と負極端子タブ24とが互いに逆側に配置されるように正極電極10及び負極電極20をそれぞれ第1方向L1に沿って配置すると共に、1段目の正極本体12と1段目の負極本体22とを重ね合わせる。次いで、互いに重ね合わせた1段目の正極本体12及び負極本体22を起点として、正極電極10及び負極電極20を同じ方向に繰り返し捲回する。これにより、正極本体12と負極本体22とを交互に重ね合わせるように積層方向Zに積層することができ、図4及び図7に示す電極体2とすることができる。
なお、正極端子タブ14は、8段目の正極本体12との接続部分を基点として折り返された状態で収容される。同様に、負極端子タブ24は、8段目の負極本体22との接続部分を基点として折り返された状態で収容される。
図7及び図8に示すように、電極体2のうち最外周側に配置された8段目の正極本体12を、セパレータ30を介して覆うように貼着され、この正極本体12の捲回状態を維持する第1絶縁テープ40と、最外周側に配置された8段目の負極本体22を、セパレータ30を介して覆うように貼着され、この負極本体22の捲回状態(積層状態)を維持する第2絶縁テープ45と、を備えている。
同様に、第2絶縁テープ45は、8段目の負極本体22の外縁部を跨った状態で、8段目の負極本体22の下層に位置するセパレータ30に対しても貼着されている。これにより、第2絶縁テープ45を利用して、8段目の負極本体22の捲回状態を維持することができ、負極電極20の巻き解けを防止することが可能とされている。
内側樹脂層52は、外装体3における内層として機能するものであって、例えばポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いて形成される。ポリオレフィンとしては、例えば高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)や低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)、インフレーションポリプロピレン(IPP)フィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(L-LDPE、メタロセン触媒仕様)の何れかの材質を用いることができる。特に、ポロプロピレン樹脂が好ましい。
外側樹脂層53は、外装体3における外層として機能するものであって、例えば上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等を用いて形成される。
第1封止筒部58は、周壁部56を径方向の外側から囲む筒状に形成されている。なお、第1封止筒部58の下端部は、周壁部56の下端部に一体に連なるように形成されている。つまり、第1封止筒部58は、周壁部56を上方に向けて折り返すことで形成されている。
なお、金属層61、内側樹脂層62及び外側樹脂層63の材質等は、第1ラミネート部材50における金属層51、内側樹脂層52及び外側樹脂層53と同様である。また、図1、図2及び図4では、金属層61、内側樹脂層62及び外側樹脂層63の図示を省略している。
これら第1電極板70、第2電極板71、第1電極端子板73、第2電極端子板74、第1シーラントフィルム75及び第2シーラントフィルム76は、外装体3の内部に電極体2と共に収容されている。
第1電極板70は、電極体2における正極電極10の8段目の正極本体12に重なって配置されていると共に、電極体2側を向いた下面に正極端子タブ14が例えば超音波溶接等により溶着されている。これにより、第1電極板70は正極電極10に一体に接続されている。
第1シーラントフィルム75は、第1ラミネート部材50における頂壁部57の内側樹脂層52及び第1電極板70の上面に対してそれぞれ熱溶着されている。これにより、第1電極板70は、第1シーラントフィルム75を介して第1ラミネート部材50の頂壁部57に対して熱溶着されている。
なお、第1シーラントフィルム75は、例えばポレオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、或いはポリプロピレン製の不織布等で形成されている。
第2シーラントフィルム76は、第2ラミネート部材60における底壁部66の内側樹脂層62及び第2電極板71の下面に対してそれぞれ熱溶着されている。これにより、第2電極板71は、第2シーラントフィルム76を介して第2ラミネート部材60の底壁部66に対して熱溶着されている。
なお、第2シーラントフィルム76は、第1シーラントフィルム75と同様に、例えばポレオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、或いはポリプロピレン製の不織布等で形成されている。
上述のように構成された二次電池1によれば、図2に示すように、第1電極板70に固着されている第1電極端子板73が外部に露出し、第2電極板71に固着されている第2電極端子板74が外部に露出しているので、これら第1電極端子板73及び第2電極端子板74をそれぞれ外部接続端子として機能させることができる。
これにより、第1電極端子板73及び第2電極端子板74を利用して、二次電池1を使用することが可能となる。
さらに、外装体3の全体がラミネートフィルムで形成されている必要はなく、少なくとも一部がラミネートフィルムで形成されていれば良い。
Z…積層方向
1、80…二次電池(電気化学セル)
2…電極体(積層電極体)
3…外装体
4…絶縁テープ
10…正極電極
12…正極本体
13…正極接続片
14…正極端子タブ
20…負極電極
22…負極本体
23…負極接続片
24…負極端子タブ
40…第1絶縁テープ
41…延長テープ部
45…第2絶縁テープ
Claims (3)
- セパレータを介して互いに重ね合わされた正極電極及び負極電極を有する積層電極体と、
前記積層電極体に貼着された絶縁テープと、
ラミネートフィルムで形成され、前記積層電極体を内部に収容する外装体と、を備え、
前記正極電極は、前記積層電極体の積層方向に沿って配置された複数の正極本体と、複数の前記正極本体同士を接続する正極接続片と、複数の前記正極本体の1つに一体に形成された正極端子タブと、を備え、
前記負極電極は、前記積層電極体の積層方向に沿って配置された複数の負極本体と、複数の前記負極本体同士を接続する負極接続片と、複数の前記負極本体の1つに一体に形成された負極端子タブと、を備え、
前記積層電極体は、前記正極本体と前記負極本体とが前記積層方向に交互に積層されると共に、前記正極端子タブが形成された前記正極本体及び前記負極端子タブが形成された前記負極本体が最外周側に配置されるように形成され、
前記絶縁テープは、
最外周側に配置された前記正極本体を、前記セパレータを介して覆うように貼着され、該正極本体の積層状態を維持する第1絶縁テープと、
最外周側に配置された前記負極本体を、前記セパレータを介して覆うように貼着され、該負極本体の積層状態を維持する第2絶縁テープと、を備え、
前記第1絶縁テープは、最外周側に配置された前記正極本体と、最外周側に配置された前記負極本体よりも1層内側に配置された正極本体とを繋ぐ前記正極接続片を、前記セパレータを介して覆うように貼着された延長テープ部を備えていることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項1に記載の電気化学セルにおいて、
前記延長テープ部は、最外周側に配置された前記正極本体と、最外周側に配置された前記負極本体よりも1層内側に配置された正極本体とを繋ぐ前記正極接続片を、前記セパレータを介して全面に亘って覆うように貼着されている、電気化学セル。 - 請求項1又は2に記載の電気化学セルにおいて、
複数の前記正極本体は、展開状態で第1方向に沿って配置され、
前記正極端子タブは、複数の前記正極本体のうち、前記第1方向における一方の端部位置に位置する正極本体に形成され、
複数の前記負極本体は、展開状態で前記第1方向に沿って配置され、
前記負極端子タブは、複数の前記負極本体のうち、前記第1方向における一方の端部位置に位置する負極本体に形成され、
前記積層電極体は、前記第1方向に沿って重ね合わせた前記正極電極及び前記負極電極を同じ方向に繰り返し捲回されることで形成されている、電気化学セル。
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