以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具における障子の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記障子の厚さ方向を意味する。
図1は、建具1を屋外側から見た姿図である。図2は、建具1を屋内側から見た姿図である。図3は、上障子5及び下障子6が開いた状態を示す斜視図である。図4は、建具1の縦断面図である。図5Aは、建具1の上下方向における中央部の横断面図である。図5Bは、建具1の上下方向における下側部分の横断面図である。図6は、建具1の突出部材7912を示す平面図である。図7は、建具1の要部縦断面図である。図8は、建具1において下障子6がガイドされている様子を示す斜視図である。図9は、建具1においてストッパ46により被アーム部ガイド647が保持されている様子を示す斜視図である。図14は、建具1の被アーム部ガイド647の部分を示す斜視図である。
建具1は、勝手口ドア等のドアである。建具1は、建物に形成された開口に納められる。建具1は、建物の開口に取り付けられる固定枠体20と、固定枠体20に開閉可能に嵌め込まれる戸体4と、を備える。
固定枠体20は、上下の横枠としての固定上枠21及び固定下枠22と、左右の縦枠としての吊元側の固定縦枠23及び戸先側の固定縦枠24により矩形に枠組みされる。
戸体4は、スイング框体40と、スイング框体40に嵌め込まれる第1障子としての上障子5、及び、第2障子としての下障子6とを備える。
スイング框体40は、上下の横枠としてのスイング上框41及びスイング下框42と、左右の縦框としての吊元側のスイング縦框43及び戸先側のスイング縦框44により矩形に枠組みされる。
戸先側のスイング縦框44は、高さ方向の略中央部にドアノブ8aを備える(図1及び図2)。また、戸先側のスイング縦框44は、図2に示すように、屋内側のドアノブ8aの上下に配置される錠の開閉を行うためのサムターン8b,8cを備える。サムターン8b,8cを回転させることで、図示しないデットボルトを操作して建具1を施錠できる。
上障子5は、第1框体としての框体50と、框体50に嵌め込まれて固定されたガラス55と、を備える。框体50は、上框51と、下框52と、吊元側の縦框53及び戸先側の縦框54と、により矩形に框組みされる。
下障子6は、第2框体としての框体60と、框体60に嵌め込まれて固定されたガラス65と、を備える。框体60は、上框61と、下框62と、吊元側の縦框63及び戸先側の縦框64と、により矩形に框組みされる。
上障子5及び下障子6は、採風窓を構成する。具体的には、下障子6は、スイング框体40内において見込方向且つ上下方向に移動可能、又は、見付方向に移動可能に設けられている。即ち、下障子6を屋内側に引きながら引き上げているときには、下障子6は、見込方向(屋内の方向)且つ見付方向(上方向)に移動しており、その後に、下障子6を上方へ引き上げているときには、下障子6は、上下方向にのみ移動する。上障子及び下障子は、いわゆるフラットスライド構造を備える。即ち、上障子5と下障子6とにより構成される採風窓が閉鎖された状態では、下障子6は、上障子5の下方の同一平面内に配置される。
建具1は、スイング縦框43及びスイング縦框44に沿って、上障子5を下方向に、下障子6を上方向にそれぞれ移動させて屋外と屋内とを連通させて採風することができる。框体60の上框61は、戸先側と吊元側の両端に配置され、下障子6を閉鎖状態に固定するためのスライドロック8dを有する。
戸体4は、屋内側からドアノブ8aを把持して反時計回り回動し、図示しないデットボルトを操作しつつ、戸先側のスイング縦框44を屋外側に押し出して、戸体4をピポットヒンジ(図示しない)の軸芯の回りに回動させることで開放することができる。
建物は、図示しない外壁材と、内壁材と、開口部の四周に渡って設けられた内装材と、を有する。また、建物は、外壁材と内壁材との間の開口部に沿って配置された図示しないフレーム材を有する。
図4に示すように、ガラス55は、屋内側の板ガラス551と、屋外側の板ガラス552と、これら2枚の板ガラスの間に配置された中間ガラス553と、これら3枚の板ガラスで挟持されたスペーサ554と、を備える複層ガラスであり、優れた断熱性を有する。ガラス65も、屋内側の板ガラス651と、屋外側の板ガラス652と、これら2枚の板ガラスの間に配置された中間ガラス653と、これら3枚の板ガラスで挟持されたスペーサ654と、を備える複層ガラスであり、優れた断熱性を有する。
固定上枠21は、固定上枠本体211を有する。固定上枠本体211は、屋外側に配置される固定金属上枠213と、固定金属上枠213の屋内側に配置される固定樹脂上枠214と、を含んで構成される。
固定金属上枠213は、中空部を有するホロー構造である。固定金属上枠213は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成された固定金属上枠垂設部213aを有する。固定樹脂上枠214は、固定金属上枠垂設部213aの屋内側に取り付けられる。固定金属上枠垂設部213aの下端の屋外側には、気密材213bが取り付けられる。
固定金属上枠213は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、固定金属上枠213は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
固定樹脂上枠214は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、固定樹脂上枠214は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
スイング上框41は、スイング金属上框411と、スイング金属上框411の屋内側に配置されるスイング樹脂上框412と、を含んで構成される。
スイング金属上框411は、中空部を有するホロー構造である。スイング金属上框411は、屋外側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング金属上框垂設部411aを有する。スイング金属上框垂設部411aの下端の屋内側には、気密材411bが取り付けられる。スイング樹脂上框412は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成るめされたスイング樹脂上框垂設部412aを有する。スイング樹脂上框垂設部412aの下端の屋内側には、モヘア部材412bが取り付けられる。スイング樹脂上框412は、屋内側において気密材213bと当接する。スイング上框41は、スイング金属上框垂設部411a及びスイング樹脂上框垂設部412aによって形成される下方に開放した溝41aを有する。
スイング金属上框411は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、スイング金属上框411は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
スイング樹脂上框412は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、スイング樹脂上框412は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
上框51は、金属上框511を含んで構成される。金属上框511は、屋外側において気密材411bと当接する。また、金属上框511は、屋内側において、モヘア部材412bに当接する。上框51は、下方に開口して形成される溝51aを有し、ガスケット51bを介してガラス55の上端縁を挟持する。
下框52は、金属下框521を含んで構成される。下框52は、上方に開口して形成される溝52aを有し、ガスケット52bを介してガラス55の下端縁を挟持する。
金属上框511及び金属下框521は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、金属上框511及び金属下框521は、アルミニウムを押出成形することで得られる。金属下框521は、下框52の屋外側の見付け面から下方向に延びる下方延出部5211を有している。
上框61は、金属上框611と、金属上框611の屋内側に配置される樹脂上框612と、を含んで構成される。金属上框611は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出した金属上框立設部611aを有する。樹脂上框612は、金属上框立設部611aの屋内側に係合される。樹脂上框612は、下障子6を屋内側に引いてから引き上げるための取手としての役割を有する。上框61は、下方に開口して形成される溝61aを有し、ガスケット61bを介してガラス65の上端縁を挟持する。
下框62は、金属下框621と、金属下框621の屋内側に配置される樹脂下框622と、を含んで構成される。樹脂下框622は、金属下框621の屋内側に係合される。下框62は、上方に開口して形成される溝62aを有し、ガスケット62bを介してガラス65の下端縁を挟持する。
金属上框611及び金属下框621は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、金属上框611及び金属下框621は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
樹脂上框612及び樹脂下框622は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、樹脂上框612及び樹脂下框622は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
スイング下框42は、スイング金属下框421と、スイング金属下框421の屋内側に配置されるスイング樹脂下框422と、を含んで構成される。
スイング金属下框421は、中空部を有するホロー構造である。スイング金属下框421は、屋外側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング金属下框立設部421aを有する。スイング金属下框立設部421aの上端の屋内側には、気密材421bが取り付けられる。気密材421bは、金属下框621の屋外側と当接する。気密材421bの内部には、空気層が形成されている。スイング樹脂下框422は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング樹脂下框立設部422aを有する。スイング下框42は、スイング金属下框立設部421a及びスイング樹脂下框立設部422aによって形成される上方に開放した溝42aを有する。
また、スイング下框42の溝42aの底部には、気密材42bが取り付けられる。気密材42bは、金属下框621の下端に当接する。気密材42bは中空の構成を有している。気密材42b、及び、気密材421bにより、下障子6の屋外側と屋内側とが気密とされ、建具1は、優れた断熱性を有する。
スイング金属下框421は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、スイング金属下框421は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
スイング樹脂下框422は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、スイング樹脂下框422は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
固定下枠22は、固定下枠本体221を有する。固定下枠本体221は、屋外側に配置される固定金属下枠223と、固定金属下枠223の屋内側に配置される固定樹脂下枠224と、を含んで構成される。
固定金属下枠223は、中空部を有するホロー構造である。固定金属下枠223は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成された固定金属下枠立設部223aを有する。固定樹脂下枠224は、固定金属下枠立設部223aの上側に取り付けられる。固定樹脂下枠224の屋外側には、気密材224aが取り付けられる。気密材224aは、スイング樹脂下框422に当接する。
固定金属下枠223は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、固定金属下枠223は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
固定樹脂下枠224は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、固定樹脂下枠224は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
図5Aに示すように、吊元側の固定縦枠23は、固定縦枠本体231を有する。固定縦枠本体231は、屋外側に配置される固定金属縦枠233と、固定金属縦枠233の屋内側に配置される固定樹脂縦枠234と、を含んで構成される。
固定金属縦枠233は、中空部を有するホロー構造である。固定金属縦枠233は、屋内側の端部から戸先側に延出して形成された固定金属縦枠横設部233aを有する。固定樹脂縦枠234は、固定金属縦枠横設部233aに取り付けられる。固定樹脂縦枠234の先端の屋外側には、気密材234aが取り付けられる。
固定金属縦枠233は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、固定金属縦枠233は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
固定樹脂縦枠234は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、固定樹脂縦枠234は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
吊元側のスイング縦框43は、スイング金属縦框431と、スイング金属縦框431の屋内側に配置されるスイング樹脂縦框432と、を含んで構成される。
スイング金属縦框431は、中空部を有するホロー構造である。スイング金属縦框431は、屋外側の端部から戸先側に延出して形成されたスイング金属縦框横設部431aを有する。スイング金属縦框横設部431aの先端の屋内側には、気密材431bが取り付けられる。
スイング縦框43は、スイング金属縦框横設部431a及びスイング樹脂縦框432の戸先側の部分によって形成され戸先側に開放した溝43b、ガイド溝43a、及び、図示しないアーム部ガイド溝(スイング縦框44のアーム部ガイド溝44d(図7等参照)に対して左右対称形状でスイング縦框43に形成されたアーム部ガイド溝)を有する。溝43bは、上障子5を見付方向に移動させる際、即ち、上障子5を下方向に移動させる際、また下方向に移動させた上障子5を元の状態に戻す際に、上障子5の吊元側の縦框53から突出した後述の吊り金具57を案内する。
より具体的には、スイング縦框43は、スイング樹脂縦框432によって溝43bよりも屋外側に形成され且つ戸先側に開放したガイド溝43aを有する。ガイド溝43aは、下障子6を見付方向に移動させる際、即ち、下障子6を上方向に移動させる際、また上方向に移動させた下障子6を元の状態に戻す際に、下障子6の吊元側の縦框63から突出した図示しないガイド(戸先側ではガイド643(図14参照))を案内する。また、ガイド溝43aに沿って、アーム部ガイド溝44d(図8等参照)が形成されている。アーム部ガイド溝44dは、下障子6を見付方向に移動させる際、即ち、図4においては図示しない下障子6を上方向に移動させる際、また上方向に移動させた下障子6を元の状態に戻す際に、後述の被アーム部ガイド647を案内する。なお、図8においては、説明の便宜上、ガラス65の図示を省略している。
更に、吊元側のスイング縦框43の上部は、ガイド溝43aの内部に配置される図示しない滑車を有する。滑車は、上障子5及び下障子6に一端部及び他端部が接続されて、上障子5及び下障子6を繋ぐ線状部材としてのワイヤ648が引っ掛けられる。これにより、上障子5及び下障子6が連動することが可能になる。
スイング金属縦框431は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、スイング金属縦框431は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
スイング樹脂縦框432は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、スイング樹脂縦框432は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
図5Aに示すように、縦框53は、金属縦框531と、金属縦框531の屋内側に配置される樹脂縦框532と、を含んで構成される。金属縦框531は、屋外側において気密材431bと当接する。縦框53は、戸先側に開口して形成される溝53aを有し、ガスケット53bを介してガラス55の側端縁を挟持する。
更に、縦框53は、吊元側に突出した吊り金具57を有する。吊り金具57は、上障子5を下方向に移動させる際、また下方向に移動させた上障子5を元の状態に戻す際に、スイング縦框43に形成された溝43bによって案内される。
金属縦框531は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、金属縦框531は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
樹脂縦框532は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、樹脂縦框532は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
図5Bに示すように、縦框63は、樹脂縦框632を有している。縦框63は、戸先側に開口して形成される溝63aを有し、ガスケット63bを介してガラス65の側端縁を挟持する。
また、縦框63は、吊元側に突出したガイド643(図14参照)を有する。ガイド643は、下障子6を上方向に移動させる際、また上方向に移動させた下障子6を元の状態に戻す際に、ガイド溝44aによって案内される。ガイド643には長円形状を有するアーム部646の一端部が接続されている。アーム部646は、ガイド643の軸心を中心として回転可能に支持されている。アーム部646の他端部には、被アーム部ガイド647が接続されている。被アーム部ガイド647には、周方向に1周する溝が形成されており、溝には、ワイヤ648が掛けられている。また、アーム部646の一端部側の部分には、L字形状の板状の框固定金具644の一端部側の部分が固定されている。框固定金具644の他端部側の部分は、下障子6の縦框64の下端部に固定されている。
樹脂縦框632は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、樹脂縦框632は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
ドアノブ8aは、戸先側のスイング縦框44を貫通して配置される。
サムターン8bは、図示しないデットボルトを見付方向に進退させる。
戸先側の固定縦枠24、スイング縦框44、縦框54については、それぞれ吊元側の固定縦枠23、スイング縦框43、縦框53と同様の構成について対応する符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
戸先側の固定縦枠24は、図示しないデットボルトの挿入される図示しない受け部を有する。また、戸先側の固定縦枠24は、ドアノブ8aによって操作される図示しないラッチボルトの受け部と、サムターン8cによって操作される図示しないデットボルトの図示しない受け部も有する。
続いて、本実施形態において下障子6を上方向へ押し上げる構成について詳細に説明する。
ガイド溝44aは、図7に示すように、円弧状部44a-1と直線状部44a-2とを有している。円弧状部44a-1は、ガイド溝44aの下端部を構成し、直線状部44a-2は、円弧状部44a-1の上端部よりも上側のガイド溝44aの部分を構成している。直線状部44a-2の下端部と円弧状部44a-1の上端部との接続部分は、段差や折れ曲がる角部が生じておらず、滑らかに接続されている。円弧状部44a-1は、所定の値を有する一の半径を有しており、複数種類の半径を有してはいない。円弧状部44a-1は、単体の部品として構成された樹脂製の溝形成部品441に形成された円弧状の溝により構成されている。被アーム部ガイド647を案内するアーム部ガイド溝44dは、直線状部44d-2のみを有している。
図7等に示すように、ガイド溝44aの底部には、付勢部材としてのばね441aがガイド溝44aに沿って配置されて設けられている。下障子6が閉じられる際には、下障子6が下方向へ移動してきて、ガイド溝44a内を移動してきたガイドピンとしてのガイド643がばね441aの上端部に当接し、ばね441aが圧縮され、下障子6が閉じられる。
このように、下障子6が閉じられた状態のときには、ばね441aは圧縮されているため圧縮ばねを構成し、ガイド643を鉛直方向に対して所定の角度をなす方向(ガイド溝44aに沿った方向)へ押圧する。下障子6を閉鎖状態に固定していたスライドロック8dを解錠させることにより下障子6の固定が解除されると、圧縮されているばね441aの付勢力によりガイド643と一体で下障子6がガイド溝44aに沿って屋内側の上方向へ押圧され押し上げられる。このとき、ばね441aの付勢力により、見込方向において下障子6の上框61が上障子の5の下框52に対向する位置まで下障子6は押し上げられる。
前述のように、スイング縦框44は、吊元側のスイング縦框43と同様の構成を有しているため、ガイド溝43aの底部にもガイド溝44aの底部と同様に図示しないばねが、ガイド溝44aに沿って配置されて設けられており、図示しないガイドを、鉛直方向に対して所定の角度をなす方向(ガイド溝43aに沿った方向)へ押圧する。
続いて、本実施形態において下障子6を鉛直方向に屋内側へ押し出す構成について詳細に説明する。上記のように、図6に示すように、下障子6の上面には突出部材791と、突出部材支持部792とが設けられている。
突出部材支持部792は、下障子6の上面に固定されて設けられており、左右両端に見込み方向に延びる側壁部7921がそれぞれ設けられている。スライドロック8dにより下障子6が施錠された状態のときには、側壁部7921の先端部は、金属下框521の下方延出部5211(図4参照)に当接している。
突出部材791は、側壁部7921の間に配置されて設けられている。突出部材791は、側壁部7921にガイドされる被ガイド部7911と、被ガイド部7911の突出端部において台形状に被ガイド部7911よりも見付け方向に広がる先端当接部7912とを備えている。被ガイド部7911が側壁部7921にガイドされることにより、突出部材791は、側壁部7921に沿って、見込み方向へ、即ち、下障子6の上框61から上障子5の下框52に対して進退可能に、突出部材支持部792に支持されている。
突出部材支持部792の後端部と突出部材791との間には、圧縮ばね7913が設けられている。圧縮ばね7913は、突出部材791を見込み方向屋外側、即ち、下障子6の上框61から上障子5の下框52に向かう方向へ付勢しており、これにより、突出部材791は、下障子6の上框61の屋外側の見付け面から屋外側へ突出している。圧縮ばね7913による付勢力は、下障子6施錠/解錠の切換えを行う施錠機構としてのスライドロック8dにより下障子6が施錠された状態から解錠されたときに、上障子5の下方の同一平面内に配置されていた下障子6を、上障子5よりも屋内側へ突出した状態とすることが可能な強度である。即ち、スライドロック8dにより下障子6が解錠されたときに、圧縮ばねによる付勢力により、側壁部7921の先端部は、下方延出部5211を押すことにより相対的に屋内側へ下框52を押して下方延出部5211から離間させ、上障子5の下方の同一平面内に配置されていた下障子6を、上障子5よりも屋内側へ突出した状態とする。
そして、突出部材791の突出端部である先端当接部2912が、下障子6の上框61から屋外側である上障子5の下框52へ向かって突出する最大突出量L1は、見込み方向において上框61と下框52とが対向するときの上框61と下框52との間の隙間L2よりも小さい。
続いて、本実施形態におけるワイヤ648の長さを調整する調整部としての吊り金具57について詳細に説明する。図10は、建具1の吊り金具57を示す屋外側から見た斜視図である。図11は、建具1の吊り金具57を示す屋内側から見た斜視図である。図12は、建具1の吊り金具57のワイヤ係止部572が最も下側に位置している状態を示す斜視図である。
吊り金具57は、上障子5の左右両下端部にそれぞれ固定されて設けられている。吊り金具57において、ワイヤ648の一端部を上障子5に対して相対的に上下に変位させることによって、吊り金具57と下障子6の被アーム部ガイド647との間のワイヤ648の長さを調節可能である。上障子5の左右両下端部の吊り金具57は左右対称形状に形成されているため、一方の吊り金具57についてのみ説明し、他方の吊り金具57については説明を省略する。
図10に示すように、吊り金具57は、調整基部571と、ワイヤ係止部572と、ねじ573と、カバー部材574とを備えている。
調整基部571は、金属製で板状に形成されている。調整基部571の長手方向における先端部5711における幅は、基部5712よりも幅が狭く形成されており、当該先端部5711は、貫通孔に図示しないねじが貫通されて上障子5の下端部に固定される。調整基部571の基部側の端部には、貫通孔が形成されており、当該貫通孔、及び、後述のカバー部材574の被固定部に形成された貫通孔にねじ5713が螺合することにより、カバー部材574が調整基部571に固定される。
調整基部571の基部側の端部よりも調整基部571の先端部寄りの部分の一部は、基部側の端部から離れるにつれて上方向に傾斜する傾斜部5715を有している。傾斜部5715には、調整基部571の長手方向に長い長孔5716が形成されており、ねじ573の頭部が下側に位置する位置関係でねじ573が貫通している。ねじ573の先端寄りの部分は、ワイヤ係止部572の下側部5721に形成された貫通孔5724に螺合している。
ワイヤ係止部572は、側方視で略コの字形状に形成された金属製の板状部材により構成されており、下側部5721と側部5722と上側部5723とを有している。下側部5721は、下側部5721の貫通孔5724にねじ573が螺合しているため、調整基部571の傾斜部5715に平行に傾斜する位置関係を有している。側部5722は、下側部5721の上端部から上方に延びており、上側部5723は、側部5722の上端部から側部5722に直交する方向である水平方向へ延びている。上側部5723の延出端部には、U字形状の切り欠き部5726が形成されている。切り欠き部5726には、切り欠き部5726の幅よりも直径大きな図示しない球形状部材が端部に取り付けられたワイヤ648が通され、当該球形状部材は、切り欠き部5726の下側に配置される。従ってワイヤ648は、切り欠き部5726を通して上方向へ延びて滑車に至る。
カバー部材574は、一体成型された樹脂製の上壁5741と、屋外側壁5742と、障子側壁5743と、被固定部5744とを有しており、全体として略箱形状に形成され、ワイヤ係止部572を覆っている。U字形状の切り欠き部5726が形成されたワイヤ係止部572の上側部の延出端部は、カバー部材574に覆われておらず、カバー部材574から突出し、調整基部571の側面に対向する位置まで延びている。被固定部5744は、調整基部571の基部側の端部を覆っており、前述のように、被固定部5744の貫通孔、及び、調整基部571の基部側の端部の貫通孔にねじ5713が螺合することにより、被固定部5744が調整基部571に固定される。
被固定部5744の端縁部は、調整基部571の端縁部に覆いかぶさるようにして調整基部571の端縁部から水平方向に突出している。この突出する部分は、金属製の調整基部571がスイング縦框44に直接当接した状態で摺動することを防止する。また、障子側壁5743の側方の端部の下部5746は、調整基部571に覆いかぶさるようにして延出し、延出する端部は、調整基部571の縁部よりも水平方向に突出して調整基部571の側面に対向する位置まで延びている。この突出する部分は、金属製の調整基部571がスイング縦框44に直接当接した状態で摺動することを防止する。
また、図11に示すように、屋外側壁5742の下部には、屋外側に突出する係止部5747が設けられている。係止部5747は、平面視でT字形状に形成されており、その下端部は、水平の板状に形成されている。屋外側壁5742と係止部5747の突出端部との間に、溝44bを形成するスイング縦框44の摺動壁443を挟むようにして、屋外側壁5742と係止部5747とにより構成される部分は、摺動壁443に係合している。この係合により、溝44bに沿って形成された摺動壁443に対して係止部5747は摺動する。
図11に示すように、カバー部材574においては、屋外側壁5742と障子側壁5743とは直接接続されておらず、屋外側壁5742と障子側壁5743との間には切り欠き5748が形成されている。切り欠き5748には、上障子5が調整基部571に固定されているときに、上障子5の端縁部が係合する。また、屋外側壁5742の内面には、屋外側へ延びる移動方向規制部5749が設けられている。移動方向規制部5749によって、移動方向規制部5749と障子側壁5743との間の隙間が所定の幅とされることにより、ワイヤ係止部572が上下方向にのみ移動可能とされ、調整基部571の長手方向には移動が規制される。このため、調整基部571の傾斜部5715の長孔、及び、ワイヤ係止部572の貫通孔に螺合するねじ573の頭部を回転させることにより、ワイヤ係止部572は上下するが、これに伴い、ねじ573は、ワイヤ係止部572の下側部に形成された長孔に沿って移動する。
即ち、ねじ573を締めてゆくことにより、ねじ573の軸方向にワイヤ係止部572の下側部5721が移動してねじ573の頭部に接近しようとするが、ワイヤ係止部572の側部は、上下方向にのみ移動可能に移動方向規制部5749によって移動が規制されているため、ねじ573が傾斜部5715に形成された長孔に沿って傾斜部5715の下方向へ移動する。これによりワイヤ係止部572は、下方向へ移動し、滑車を介したワイヤ係止部572の上側部5723と被アーム部ガイド647との間のワイヤ648の長さが短くなるように調整される。
逆に、ねじ573を緩めてゆくことにより、ねじ573の軸方向にワイヤ係止部572の下側部が移動してねじの頭部から離れようとするが、ワイヤ係止部572の側部は、上下方向にのみ移動可能に移動方向規制部5749によって移動が規制されているため、ねじがワイヤ係止部572の下側部に形成された長孔に沿って傾斜部5715の上方向へ移動する。これによりワイヤ係止部572は、上方向へ移動し、滑車を介したワイヤ係止部572の上側部と被アーム部ガイド647との間のワイヤ648の長さが長くなるように調整される。
このようにねじ573を締めたり緩めたりする際には、ドライバが用いられてねじ573が回転させられるが、調整基部571の傾斜部5715が傾斜しておりこれに伴いねじが傾斜しているため、ドライバを斜めにした状態でねじ573を回転させることが可能である。
続いて、本実施形態におけるストッパ46について詳細に説明する。図13は、建具1のストッパ46を示す斜視図である。
ストッパ46は、アーム部ガイド溝44dと溝44bとを上下に区画するように設けられてスイング縦框44に固定されている。ストッパ46は、スイング縦框43にも左右対称形状の構成で設けられているが、左右対称形状であること以外の構成は同一であるため、説明を省略する。
ストッパ46は、一体成形された樹脂製の保持部461と、上側規制部462と、ワイヤ挿通部463とを有している。
保持部461は、下側に開口する略C字形状に形成され、外郭はコの字形状に形成されており、略C字形状と外郭との間には、中空部4611が形成されている。略C字形状の部分に下側からアーム部ガイド溝44dに沿って移動してきた被アーム部ガイド647が係合して、下障子6の上方向への移動が規制される。
上側規制部462は、保持部461の上端部のスイング縦框44側の部分に接続されており、上方向に延びている。上側規制部462の下部は、図示しないねじの頭部を挿通するための半円柱形状の凹部4621と、ねじを貫通させてスイング縦框44に固定するための板状のねじ被固定部4622とを有している。
上側規制部462の上部は、吊り金具57が上方向から当接して下方向への移動を規制する。上側規制部462は、中空の四角柱状の部分4624と下方向へ一段下がった部分4625とを有しており、これらは、凹部4621が形成されている上側規制部462の部分及びねじ被固定部4622の上部に一体的に接続されている。
ワイヤ挿通部463は、水平な位置関係とされた長方形状の板状に形成されており,ねじ被固定部4622の上端部と一段下がった部分4625の側面とに一体的に接続されている。ワイヤ挿通部463のスイング縦框44側とは反対側の端部には、上下方向に貫通する切り欠き4631が形成されている。切り欠き4631の最も奥側の部分は、円形に広がっており、この部分には、被アーム部ガイド647と滑車との間のワイヤ648の部分が挿通される。
保持部461は、建具1の施工前に、戸体4が搬送されるときには、被アーム部ガイド647が略C字形状の部分に係合することにより被アーム部ガイド647を保持する。また、吊り金具57を上側規制部462の上部に当接させた状態とする。そして、例えば、テープ等でこれらを覆うようにしてこれらがこの位置から外れないように固定した状態として、戸体4は搬送される。また、建具1の施工時には、テープ等は外されるが、保持部461は、図9に示すように、被アーム部ガイド647を保持した状態のまま施工が行われる。
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、前記第2障子としての下障子6の上框61には、下障子6を屋内側へ付勢する付勢部材としての突出部材791が設けられている。これにより、上障子5及び下障子6の閉鎖時には、上障子5と下障子6とは同一平面上に位置するいわゆるフラットスライド構造を有する戸体4において、スライドロック8dにより下障子6が施錠された状態から解錠されたときに、上障子5の下方の同一平面内に配置されていた下障子6を、上障子5よりも屋内側へ突出した状態とすることが可能となる。このため、下障子6の開き方をイメージすることが容易となり、容易に下障子6を開くことが可能となる。
また、付勢部材は、前記付勢部材が設けられている下障子6の上框61から上障子5の下框52に対して進退可能な突出部材791により構成される。また、突出部材791は、下障子6の上框61の上面に設けられている。これにより、突出部材791によって上障子5の下框52を押すことにより、下障子6の上框61を屋内側へ押し出すことが可能となる。
また、突出部材791の突出端部が、下障子6の上框61の屋外側の端面(見付面)から屋外側へ突出する最大突出量L1は、見込み方向において下障子6の上框61が上障子5の下框52に対向するときの上框61と下框52との間の隙間L2よりも小さい。これにより、突出部材791が上障子5の下框52に当たって下障子6を上方向に上げることができないことを防止することが可能となる。
また、下障子6の上框61から前記突出部材791を突出させる方向へ付勢するばね7913を備え、前記ばね7913による付勢力は、下障子6の施錠/解錠の切換えを行うスライドロック8dにより下障子6が施錠された状態から解錠されたときに、下障子6を上障子5よりも屋内側へ突出した状態とすることが可能な強度である。これにより、スライドロック8dにより下障子6が施錠された状態から解錠されたときに、上障子5の下方の同一平面内に配置されていた下障子6を、上障子5よりも屋内側へ突出した状態とすることを確実とする。
また、本実施形態では、下障子6を上方へ付勢する付勢部材としての圧縮ばねであるばね441aが設けられている。これにより、下障子6の開放を容易に行うことが可能となる。
また、ばね441aは、下障子6と一体で上下方向への移動するガイドピンとしてのガイド643をガイドするガイド溝44aに沿って配置され、前記ガイド643を上方へ押圧する。これにより、上障子5及び下障子6の閉鎖時に、上障子5と下障子6とが同一平面上に位置するいわゆるフラットスライド構造を有する戸体4において、下障子6を上げて開く方向をイメージすることが容易となる。
また、ガイド溝44aの下部は、鉛直方向に対して所定の角度をなす方向へ延びる円弧状部を有し、ばね441aは、前記円弧状部44a-1に配置され、前記ガイド643を鉛直方向に対して所定の角度をなす方向へ押圧する。これにより下障子6が開く方向へガイド643をばね441aにより付勢して、下障子6がなめらかに開くようにすることが可能となる。
また、ばね441aは、見込方向において下障子6の上框61が上障子5の下框52に対向する位置まで下障子6を押し上げることが可能な付勢力を有する。これにより、下障子6は、鉛直方向に上げることが可能な位置まで、ばね441aによって押し上げられるため、人の手によって容易に下障子6開くことが可能となる。
また、ガイド643は、下障子6の左右両端に設けられ、各前記ガイド643は、一対形成されたガイド溝44aにそれぞれ係合してガイドされ、ばね441aは、一対の前記ガイド溝44aにそれぞれ沿って配置されている。これにより、左右バランスよく、ばね441aはガイド643を付勢することができ、下障子6をスムーズに押し上げることが可能となる。
また、本実施形態では、前記調節部としての吊り金具57は、前記ワイヤ648の一端部が係止されるワイヤ係止部572と、前記ワイヤ648の一端部から前記滑車に向かって延びる前記ワイヤ648の延出方向に対して所定のなす角度に指向する位置関係で前記ワイヤ係止部572に対して螺合するねじ573と、前記ねじ573を支持する調整基部571と、を備え、前記ねじ573を回転させることにより、前記ワイヤ係止部572が前記ワイヤ648の延出方向に移動して前記ワイヤ648の長さが調節される。
これにより、ねじ573を回転させてワイヤ648の長さを調整する際に、ねじ573が、前記ワイヤ648の一端部から前記滑車に向かって延びる前記ワイヤ648の延出方向に対して所定のなす角度に指向する位置関係で前記ワイヤ係止部572に対して螺合するため、ドライバ等をワイヤ648の延びる方向に対して斜めにした位置関係でねじ573を回転させることが可能となる。このため、スイング縦框44等にドライバを握る手が当接して回転しにくくなることを回避することが可能となる。この結果、ドライバ等の操作を容易とすることが可能となる。
また、前記カバー部材574は、前記ワイヤ係止部572が前記ワイヤ648の延出方向に沿って移動するように、前記ワイヤ648の延出方向に対して交差する方向への前記ワイヤ係止部572の移動を規制する移動方向規制部5749を有する。これにより、ワイヤ係止部572が上下方向に移動可能となり、上下方向に対して所定の角度をなす方向に斜めに移動することを規制することが可能となる。
また、調整基部571は、基部平板部である先端部5711及び基部5712と、先端部5711に対して傾斜して延びる傾斜部5715とを有し、前記ねじ573は、前記傾斜部5715に形成された長孔5716を貫通し、前記長孔5716内を移動可能である。これにより、ねじを長孔5716内において移動可能とすることで、ワイヤ係止部572が移動方向規制部5749により規制されることと相まって、ワイヤ係止部572が上下方向に移動可能となり、上下方向に対して所定の角度をなす方向に斜めに移動することを回避することが可能となる。
また、カバー部材574の一端部は、先端部5711及び基部5712により構成される基部平板部の一端部の上面から前記上面に沿って突出して前記上面を覆う。また、カバー部材574の他端部は、先端部5711及び基部5712により構成される基部平板部の上面から前記上面に沿った方向へ突出する。これにより、調整基部571がスイング縦框44等と摺動することを防止することが可能となる。また、調整基部571に対してカバー部材574が回転することを防止する。
また、ワイヤ係止部572及び前記ねじ573を覆うカバー部材574の一部には、上障子5の端縁部が係合する切り欠き5748が形成されている。これにより、切り欠き5748に上障子5の端縁部が係合する。この結果、吊り金具57を上障子5に対して強固に固定することが可能となる。
また、本実施形態では、前記枠体としてのスイング縦框44に設けられ、上下方向における所定の位置において下障子6の上方への移動を規制する移動規制部材としてのストッパ46を備える。これにより、下障子6に固定されるガイド643がガイド溝44aに沿って移動することを規制することが可能となる。これにより、建具1の施工時に、ガイド643と吊り金具57との上下の位置関係が反転してしまうことを防止することが可能となり、また、ガイド643と滑車との間のワイヤ648の部分と、滑車と吊り金具57との間のワイヤ648の部分とが絡ることを抑制することが可能となる。
また、ストッパ46には、切り欠き4631が形成され、前記切り欠き4631には、前記ワイヤ648が配置されている。これにより、ストッパ46においてワイヤ648の動きを阻害することを防止することが可能となる。また、切り欠き4631においてワイヤ648を支持することが可能となり、ワイヤ648が意図しない位置に移動して絡むことを抑制することが可能となる。
また、ストッパ46は、被アーム部ガイド647を一時的に保持する保持部461を有する。これにより、戸体4の搬送中にガイド643を保持部461に固定することが可能となる。この結果、建具1の施工時に、吊り金具57の移動を規制することも可能となり、ワイヤ648が弛んで絡まることをより確実に抑制することが可能となる。
また、切り欠き4631よりも下側に前記保持部461が位置している。これにより、切り欠き4631を通して、保持部461に保持されたガイド643に固定されたワイヤ648を滑車側に通すことが可能となる。これにより、ガイド643を保持部461に保持することと相まって、ワイヤ648の位置を切り欠き4631により所定の位置とすることで、ワイヤ648が弛んで絡まることをより確実に抑制することが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、建具1は、採風窓を有するドアにより構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、建具は、上げ下げ窓により構成されてもよい。
また、上記実施形態では、上障子5、下障子6は、それぞれ3枚の板ガラスを備える複層ガラスであったが、この構成に限定されない。少なくとも下障子は、3枚以上の枚数を有する複層ガラスを備えていればよい。
また、上記実施形態では、付勢部材として圧縮ばね441が用いられたが、これに限定されない。また、吊り金具の構成は、本実施形態における吊り金具57の構成に限定されない。また、移動規制部の構成は、本実施形態におけるストッパ46の構成に限定されない。また、ワイヤ648を上方向に引くことより下障子6を上方向に引き上げる構成を有していてもよい。
また、上記実施形態では、下障子6に、下障子6を屋内側へ付勢する付勢部材としての突出部材791が設けられていたが、この構成に限定されない。即ち、第1障子としての上障子5と第2障子としての下障子6との少なくとも一方の框には、下障子6を屋内側へ付勢する付勢部材が設けられていればよい。例えば、付勢部材は、第1障子としての上障子5に設けられていてもよい。また、例えば、突出部材791は、下障子6の上框61の上面に設けられていたが、他の部分に設けられていてもよい。
具体的には、例えば、図15、図16示すように、下障子6施錠/解錠の切換えを行う施錠機構としての左右のスライドロック8dに進退可能にそれぞれ設けられていてもよい。図15は、建具1の突出部材791を示す斜視図である。図16は、建具1の突出部材791を示す平面図である。
なお、図15、図16においては、図2の左側のスライドロック8dに突出部材791を設けた構成を図示したが右側のスライドロック8dは左側のスライドロック8dに対して左右対称形状に構成されているため、説明を省略する。
スライドロック8dは、基体81dと、操作部85dと、ラッチ部材82dと、を備えている。基体81dは、下障子6の上框61の上面に平行な略平板状部811dと、略平板状部811dから上方向に立ち上がる操作部ガイド部812dと、操作部ガイド部812dのスイング縦框43の端部(図15における操作部ガイド部812dの右側の端部)において上下方向に延びる端部延出部813dとを有している。
ラッチ部材82dは、略平板状部811dの下側及び操作部ガイド部812dの屋内側(図15における操作部ガイド部812dの奥側)において、スイング縦框43とスイング縦框44とを結ぶ方向(図15における右下と左上とを結ぶ方向)に延びる金属製の部材により構成されている。
操作部85dは、操作部ガイド部812dの屋内側(図15における操作部ガイド部812dの奥側)に設けられており、操作部ガイド部812dにガイドされることにより、スイング縦框43とスイング縦框44とを結ぶ方向(図15における右下と左上とを結ぶ方向)に移動可能に支持されている。操作部85dは、ラッチ部材82dと一体的に移動可能に固定されている。
操作部85dのスイング縦框43の方向(図15の右下方向)への移動に伴い、ラッチ部材82dの端部が、端部延出部813dよりもスイング縦框43の方向(図15の右下方向)へ突出して、スイング縦框43に形成された被係合部分に係合し、スライドロック8dによる下障子6施錠が行われる。逆に、操作部85dのスイング縦框44の方向(図15の左上方向)への移動に伴い、ラッチ部材82dの端部が、端部延出部813dよりもスイング縦框44の方向(図15の左上方向)へ後退して、図15に示すように端部延出部813dよりから図15の右下方向へ突出していない状態となり、スライドロック8dによる下障子6解錠が行われる。
突出部材791は、突出部材支持部792Aとともに、略平板状部811dの上面に設けられている。突出部材支持部792Aは、下障子6の上面に一体成形されて設けられており、左右両端に見込み方向に延びる側壁部7921Aがそれぞれ設けられている。突出部材791は、側壁部7921Aの間に配置されて設けられている。被ガイド部7911が側壁部7921Aにガイドされることにより、突出部材791は、側壁部7921Aに沿って、見込み方向へ、即ち、下障子6の上框61から上障子5の下框52に対して進退可能に、突出部材支持部792Aに支持されている。
突出部材支持部792Aの後端部と突出部材791との間には、圧縮ばね7913が設けられている。圧縮ばね7913は、突出部材791を見込み方向屋外側、即ち、下障子6の上框61から上障子5の下框52に向かう方向へ付勢しており、これにより、突出部材791は、下障子6の上框61の屋外側の見付け面から屋外側へ突出している。
また、例えば、突出部材791、突出部材支持部792、突出部材支持部792Aに代えて、図17に示すような板ばね791Bが用いられてもよい。図17は、建具1の板ばね791Bを示す要部縦断面図である。
具体的には、板ばね791Bは、板状の金属部材が折り曲げられて構成されており、ばね被固定部7911Bと、折り返し部7912Bと、当接部7913Bと、を有している。ばね被固定部7911Bは、金属上框611の金属上框立設部611aに固定されている。ばね被固定部7911Bの下端部は屋外側(図17における左側)へ折り曲げられて屋外側へ延びて折り返し部7912Bが構成され、途中から上方向へ折り曲げられ且つ上端部が屋内側(図17における右側)へ折り返されて当接部7913Bが構成されている。
また、金属下框521の下面には、被押圧部材5213が設けられている。被押圧部材5213は板状の金属部材がL字形状に折り曲げられて構成されている。被押圧部材5213の上側部分は、金属下框521の下面に固定されている。被押圧部材5213の下側部分は、下方向に折り曲げられており、当該下側の部分には、図17に示すように、板ばね791Bの当接部7913の上端部が当接可能である。
施錠機構としてのスライドロック8dにより下障子6が施錠された状態のときには、図17に示すように、板ばね791Bの当接部7913Bの上端部が、被押圧部材5213の下側部分に当接し、板ばね791Bの当接部791が屋内側へ折り曲げられて、板ばね791Bは、屋外側へ被押圧部材5213の下側部を付勢している。スライドロック8dにより下障子6が解錠されると、屋内側へ折り曲げられていた板ばね791Bの当接部7913が被押圧部材5213の下側部分を屋外側へ押圧することにより、相対的に上框61が屋内側へ押されて下框52よりも屋内側へ突出した状態となる。以上の構成により、付勢部材を板ばね791Bにより簡単に構成することが可能となる。
また、板ばね791Bに代えて、図18に示す板ばね791Cが用いられてもよい。
図18は、建具1の板ばね791Cを示す要部縦断面図である。
板ばね791Cは、板状の金属部材が折り曲げられて構成されており、ばね被固定部7911Cと、折り返し部7912Cと、当接部7913Cと、を有している。ばね被固定部7911Cは、金属上框611の金属上框立設部611aに固定されている。ばね被固定部7911Cの上端部は屋外側(図18における左側)へ折り曲げられて屋外側へ延びて折り返し部7912Cが構成され、途中から下方向へ折り曲げられ且つ下端部が屋内側(図18における右側)へ折り返されて当接部7913Cが構成されている。
施錠機構としてのスライドロック8dにより下障子6が施錠された状態のときには、図18に示すように、板ばね791Cの当接部7913Cの下端部が、金属下框521の下端部に当接し、板ばね791Cの当接部791が屋内側へ折り曲げられて、板ばね791Cは、屋外側へ金属下框521の下端部を付勢している。スライドロック8dにより下障子6が解錠されると、屋内側へ折り曲げられていた板ばね791Cの当接部7913が、金属下框521の下端部を屋外側へ押圧することにより、相対的に上框61が屋内側へ押されて下框52よりも屋内側へ突出した状態となる。
また、板ばね791Cに代えて、図19に示す板ばね791Dが用いられてもよい。
図19は、建具1の板ばね791Dを示す要部縦断面図である。
板ばね791Dは、板状の金属部材が折り曲げられて構成されており、ばね被固定部7911Dと、折り返し部7912Dと、当接部7913Dと、を有している。ばね被固定部7911Dは、金属上框611の金属上框立設部611aに固定されている。ばね被固定部7911Dの上端部は屋外側(図19における左側)へ折り曲げられて屋外側へ延びて折り返し部7912Dが構成され、途中から上方向へ折り曲げられ且つ上端部が屋内側(図19における右側)へ折り返されて当接部7913Dが構成されている。
施錠機構としてのスライドロック8dにより下障子6が施錠された状態のときには、図18に示すように、板ばね791Dの当接部7913Dの上端部が、金属下框521の側部に当接し、板ばね791Dの当接部791が屋内側へ折り曲げられて、板ばね791Dは、屋外側へ金属下框521の側部を付勢している。スライドロック8dにより下障子6が解錠されると、屋内側へ折り曲げられていた板ばね791Dの当接部7913が、金属下框521の側部を屋外側へ押圧することにより、相対的に上框61が屋内側へ押されて下框52よりも屋内側へ突出した状態となる。
また、付勢部材としての上述の、突出部材791、板ばね791B、791C、791Dは上框61の金属上框立設部611aに固定されていたが、この構成に限定さない。例えば、付勢部材は、第1障子としての上障子5の下框52に設けられていてもよく、上框61と下框52との両方に設けられていてもよい。