JP7243075B2 - 塗料用ポリエステルウレタン樹脂、それを用いた組成物及び塗料 - Google Patents

塗料用ポリエステルウレタン樹脂、それを用いた組成物及び塗料 Download PDF

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Description

本発明は、塗料用ポリエステルウレタン樹脂に関し、具体的には、鉄、非鉄金属等の表面に塗膜を形成しうる塗料に用いるポリエステルウレタン樹脂及びこれを用いた組成物及び塗料に関する。
従来、金属板の塗装は、鋼板を加工、成形した後、箱型形状で行われていたが、塗装ラインの合理化、生産性の向上、公害防止、作業環境改善の諸問題を解決するために、平鋼板を塗装した後に成形、加工を行うプレコート塗装方式に移りつつある。この方式に使用されるプレコート鋼板は、屋根、壁等の建築材分野や冷凍庫、洗濯機、室外エアコン機等の家電分野に使用されている。プレコート鋼板は、塗装後、複雑な形状に加工されるため、高度な加工性が要求される。加工性とは、塗装後の平鋼板を折り曲げ等により種々の形状に加工した場合であっても、塗膜の損傷が少ないという性能を意味する。また一方では、成形加工物として使用する際には、塗膜硬度(耐キズ付性)、耐薬品性、耐食性等の性能が要求される、これらの性能を満たす上で、塗料中の樹脂には高度な技術が求められる。上記のプレコート塗料用樹脂には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等があるが、これらは加工性に課題があり、加工性と、塗膜硬度、耐薬品性、及び耐食性との両立化の点から、減圧下に縮重合させて得られる高分子量ポリエステル樹脂が主として使用されている。
しかし、これらの樹脂を用いた上塗り塗料のみにおいて、加工性、耐薬品性、耐食性等の総合性能が不十分な場合、密着性、耐食性に優れたプライマー塗料が併用されることが多い。中でも、ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物を変性した高分子量ポリエステル樹脂が密着性向上の点から多く使用されている(特許文献1及び2参照)。
また、近年の国内外の塗料市場では、大気汚染防止法の改訂、環境汚染問題の観点から、塗料中の揮発性有機化合物(以下、VOC:Volatile Organic Compounds)含有量を低減させることが求められており、ハイソリッド化が進むと考えられる。
特開平7-26201号公報 特開2010-132910号公報
特許文献1及び2に示されるようなビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物を変性した高分子量ポリエステル樹脂は、作業性及び塗装に適した粘度を得るため、固形分濃度が30~40%となるまで有機溶剤で溶解する必要がある。そのため、有機溶剤を多量に使用することを要し、ハイソリッド化に反する。塗料をハイソリッド化する手法としては、高分子量ポリエステル樹脂の分子量を低下させることが挙げられるが、そのようにすると塗膜の性能低下が懸念されるため、検討が進んでいないのが現状である。
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものである。すなわち、本発明の目的は、ハイソリッド化を実現しつつも、加工性及び耐薬品性に優れ、かつ、高い硬度を有する塗膜を形成しうることが可能な塗料用ポリエステルウレタン樹脂、及びそれを用いた組成物、塗料を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエステル樹脂と、イソシアネート化合物とを付加重合したポリエステルウレタン樹脂を用いることにより前記課題を解決することを見出した。すなわち、当該ポリエステルウレタン樹脂は、比較的低分子量で低粘度であり、多量の溶剤を要しないため低VOCであり、ハイソリッド化を実現することができる。また、特定のポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを付加重合、すなわちウレタン化することにより低分子量であっても性能低下を抑えることができる。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
(1)アルコール成分として、多価アルコール35~75モル%と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物25~65モル%とを含み、酸成分として、脂肪族ジカルボン酸0~50モル%と、芳香族ジカルボン酸50~100モル%とを含むポリエステル樹脂、及びイソシアネート化合物を付加重合してなり、
数平均分子量が4000~9500であり、固形分酸価が1.0~4.0mgKOH/gであり、かつ、ガラス転移温度が25~70℃である、塗料用ポリエステルウレタン樹脂。
(2)前記(1)に記載の塗料用ポリエステルウレタン樹脂と、溶剤と、を含む組成物。
(3)加熱残分が50%以上である、前記(2)に記載の組成物。
(4)前記(2)又は(3)に記載の組成物と、硬化剤と、を含む塗料。
本発明によれば、ハイソリッド化を実現しつつも、加工性及び耐薬品性に優れ、かつ、高い硬度を有する塗膜を形成しうることが可能な塗料用ポリエステルウレタン樹脂、及びそれを用いた組成物、塗料を提供することができる。
<塗料用ポリエステルウレタン樹脂>
本実施形態の塗料用ポリエステルウレタン樹脂(以下、単に「ポリエステルウレタン樹脂」とも呼ぶ。)は、アルコール成分として、多価アルコール35~75モル%と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物25~65モル%とを含む。また、酸成分として、脂肪族ジカルボン酸0~50モル%と、芳香族ジカルボン酸50~100モル%とを含むポリエステル樹脂、及びイソシアネート化合物を付加重合してなる。そして、数平均分子量が4000~9500であり、固形分酸価(以下、単に「酸価」とも呼ぶ。)が1.0~4.0mgKOH/gであり、かつ、ガラス転移温度が25~70℃である。
上述の通り、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解させるに当たり、高分子量のものほど多量の溶剤が必要であり、ハイソリッド化を図ることが困難となる。溶剤量を減らすには、低分子量のポリエステル樹脂を用いればよいが、そうすると加工性、塗膜硬度等の性能が低下することとなる。そこで、本実施形態のポリエステルウレタン樹脂においては、低分子量のポリエステル樹脂を用いつつも、当該ポリエステル樹脂をウレタン化することにより性能の向上を図り、かつ、使用する溶剤量を減らしている。つまり、本実施形態のポリエステルウレタン樹脂は、従来の高分子量のポリエステル樹脂と同等の塗膜性能とハイソリッド化との両立を図っている。また、ポリエステル樹脂をウレタン化することにより、基材(被塗装物)との相互作用により密着性が向上する。
以下、本実施形態の塗料用ポリエステルウレタン樹脂について説明するに当たり、まず、当該ポリエステルウレタン樹脂の原料となるポリエステル樹脂について説明する。
[ポリエステル樹脂]
本実施形態において、ポリエステル樹脂は、アルコール成分として、多価アルコール35~75モル%と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物25~65モル%とを含む。また、酸成分として、脂肪族ジカルボン酸0~50モル%と、芳香族ジカルボン酸50~100モル%とを含む。換言すると、当該ポリエステル樹脂は、前記アルコール成分と、前記酸成分とを特定の割合で重合してなる。以下に、各成分について説明する。
(アルコール成分)
本実施形態における多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の2価アルコールが挙げられる。さらに、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテル、トリメチロールプロパンポリオキシプロピレンエーテル、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレングリセリルエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル等の3価以上のアルコールが挙げられる。これらの中から1種、又はそれ以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態におけるビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物は、下記一般式で示される。
Figure 0007243075000001

(式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、p、qはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、2≦p+q≦4である。)
本実施形態において、多価アルコールは全アルコール成分に対して35~75モル%含み、40~70モル%が好ましく、45~70モル%がより好ましい。多価アルコールが35モル%未満の場合、加工性が低下し、他の性能との両立が不十分となる傾向にあり、75モル%を超える場合、耐薬品性、耐食性が不十分となる傾向にある。
一方、上記一般式で示されるビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物は全アルコール成分に対して25~65モル%含み、30~60モル%が好ましく、30~55モル%がより好ましい。ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が25モル%未満の場合、密着性、耐薬品性、耐食性が不十分となる傾向にあり、55モル%を超える場合、加工性が低下し、その他の性能の両立が不十分となる傾向にある。
(酸成分)
脂肪族ジカルボン酸としては、脂環族のものをも含み、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、テルペン-マレイン酸付加体等の不飽和ジカルボン酸、上記ジカルボン酸の無水物を挙げることができ、これらの中から1種又はそれ以上を使用することができる。衛生面、原料の入手等を考慮すると、好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸である。また、これらを1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、上記ダイマー酸は、炭素数18以上の不飽和脂肪族カルボン酸の二量体である。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及びこれらジカルボン酸の無水物等が挙げられる。また、これらを1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記酸成分以外の多価カルボン酸、これらの無水物及び誘導体等をさらに含有してもよい。上記酸成分以外の多価カルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル等のカルボン酸をアルキルエステル化したもの、ナトリウム-5-スルホイソフタル酸等のスルホン酸ナトリウム変性したものが挙げられる。
本実施形態において、脂肪族ジカルボン酸は1~50モル%含み、1~40モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。脂肪族ジカルボン酸が50モル%を超えると、加工性が向上する一方、硬度、耐薬品性が不十分となる傾向にある。
一方、芳香族ジカルボン酸は50~100モル%含み、60~100モル%が好ましく、70~100モル%がより好ましい。芳香族ジカルボン酸が50モル%未満では、得られるポリエステル樹脂が柔軟になり加工性が向上する一方、塗膜硬度、耐薬品性が低下するため、性能の両立が不十分な傾向にある。
本実施形態において、ポリエステル樹脂の数平均分子量は500~4500とすることが好ましい。分子量の下限は製造管理が困難になることを考慮し、上限は後述のポリエステルウレタン骨格中のウレタン結合濃度を低下させないことを考慮したものであり、これらの点から数平均分子量は750~2000とすることがより好ましい。なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した数平均分子量を指す。測定方法の詳細は後述する実施例において示す。
本実施形態において、ポリエステル樹脂の固形分酸価は1.0~3.0mgKOH/gとすることが好ましい。固形分酸価が1.0mgKOH/g未満では、密着性低下、顔料分散性低下の傾向にある。また固形分酸価が3.0mgKOH/gを超える場合では、耐水性、耐薬品性が不十分となる傾向にある。なお、本明細書において、固形分酸価は、ポリエステル樹脂又はポリエステルウレタン樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値である。測定方法の詳細は後述する実施例において示す。
本実施形態において、上記ポリエステル樹脂は、通常のエステル化反応、すなわち重縮合反応、又はエステル交換反応により製造することができ、反応は常圧、減圧のいずれでもよい。また、分子量及び酸価の調整は、適宜に減圧状態を調整して行えばよい。さらに、重縮合反応後に無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等の酸無水物による付加反応等の工程を行ってもよい。
反応終了後、通常、得られたポリエステル樹脂は溶剤に溶解し、樹脂溶液とする。溶剤としては希釈溶解可能な溶剤であれば制限なく使用することができる。例えば、トルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、メトキシプロピルアセテート等のエステル系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、セロソルブアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系の各種溶剤が挙げられる。
<ポリエステルウレタン樹脂>
本実施形態のポリエステルウレタン樹脂は、上記ポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)の末端水酸基と2価以上のイソシアネート化合物との付加重合によって得られる。すなわち、上記ポリエステル樹脂をウレタン化することで得られる。
[イソシアネート化合物]
本実施形態において、イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらイソシアネートの3量体化合物(イソシアヌレート、ビウレット、アダクト)等が挙げられる。これらの中から1種、又はそれ以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態のポリエステルウレタン樹脂の数平均分子量4000~9500である。数平均分子量が4000未満では、耐薬品性、加工性が低下する傾向にある。数平均分子量が9500を超える場合では、溶液粘度が高くなり、作業性に適した粘度を得るために溶剤使用量が多くなるため、ハイソリッド化には適さない。数平均分子量は4300~5800が好ましく、4500~5500がより好ましい。
本実施形態のポリエステルウレタン樹脂の固形分酸価は1.0~4.0mgKOH/gである。1.0mgKOH/g未満では、密着性低下、顔料分散性低下の傾向にある。また4.0mgKOH/gを超える場合では、耐水性、耐薬品性が不十分な傾向にある。固形分酸価は、1.0~3.0mgKOH/gが好ましく、1.3~2.7mgKOH/gがより好ましい。
本実施形態のポリエステルウレタン樹脂のガラス転移温度は、25~70℃である。ガラス転移温度が25℃未満では、耐薬品性、硬度が不十分にある傾向がある。70℃を超える場合では、加工性が不十分になる傾向がある。ガラス転移温度は、30~70℃が好ましく、35~65℃がより好ましい。なお、ガラス転移温度は、公知の方法(DSC等)により測定することができる。
本実施形態のポリエステルウレタン樹脂を製造する上で、上記ポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)以外の多価アルコール成分を併用してもよい。例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテル、トリメチロールプロパンポリオキシプロピレンエーテル、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレングリセリルエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル等の3価以上のアルコール、ジメリロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の1分子中に2価のアルコールと1価のカルボン酸を有する化合物等が挙げられる。また、これらの中から1種、又はそれ以上を組み合わせて使用できる。
本実施形態におけるポリエステルウレタン樹脂の製造方法としては、公知のウレタン化反応を適用することができる。
<組成物>
本実施形態の組成物は、上述の本実施形態の塗料用ポリエステルウレタン樹脂と、溶剤と、を含む。
既述の通り、本実施形態の塗料用ポリエステルウレタン樹脂は低分子量であるため低粘度であり、溶剤の使用量を低減することができる。従って、本実施形態の組成物においては、加熱残分を50%以上とすることができる。加熱残分は、55%以上とすることもでき、上限は通常60%である。なお、加熱残分とは、組成物を所定温度で所定時間乾燥させた場合において、乾燥後の組成物の質量を、乾燥前の組成物の質量で除し、100を乗じた値(質量%)である。具体的には、組成物1.0gを平底皿に量り取り、質量既知の針金を使って均一に広げ、135℃で1時間乾燥後、残渣及び針金の質量を量る。そして、残渣及び針金の質量から針金の質量を減じて乾燥後の固形分質量を算出し、その数値を乾燥前に質量(1.0g)で除し、100を乗じて算出される。
本実施形態の組成物に用いられる溶剤としては、上述の本実施形態のポリエステル樹脂の溶解に用いる溶剤が挙げられる。
本実施形態の組成物は、塗料として使用することができる。そして、塗料とした場合、上記の通り、溶剤の使用量を低減することができるため、低VOCでありハイソリッド化を実現することができる。
<塗料>
本実施形態の塗料は、上述の本実施形態の組成物と、硬化剤と、を含む。すなわち、本実施形態の塗料は、本実施形態のポリエステルウレタン樹脂と反応する硬化剤を配合することにより、塗膜としての加工性をさらに向上させることができる。本実施形態のポリエステルウレタン樹脂は、上述の通り、低分子量であり、従来の高分子量のものと比較して硬化剤と反応する官能基数が多いこと、及び立体障害が少ないことから、硬化剤との反応性に優れると考えられる。従って、得られる塗膜に適切な硬度を付与することができる。
[硬化剤]
本実施形態の塗料に用いる硬化剤としては、アミノ樹脂、イソシアネート化合物が候補として挙げられ、従来公知の材料を用いることができ、また、これらの中から1種、又はそれ以上を組み合わせて使用することができる。
アミノ樹脂としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とアルデヒド類との縮合反応物又はその一部もしくは全部がアルコキシ化した樹脂等が挙げられる。市販品としてはサイメル303、サイメル350(三井サイテック(株)製)、デラミンT-100S(富士化成工業(株)製)、ユ-バン120(三井化学(株)製)等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、前記イソシアネート化合物及びブロック化イソシアネート化合物が挙げられる。塗料化後の塗料貯蔵安定性の観点から、ブロック化イソシアネート化合物が望ましい。例えば、デスモジュールBL3175(住化バイエルウレタン株式会社製)、デスモサーム2170(住化バイエルウレタン株式会社製)等の市販品が挙げられる。
本実施形態の塗料において、硬化剤の含有量は、前記組成物100質量部に対して、 2~10質量部とすることが好ましく、3~7質量部とすることがより好ましい。
また、本実施形態の塗料には各種の添加剤や顔料を含有することができる。具体的には、硬化触媒、レベリング剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、防錆剤、酸化チタン等が挙げられる。これらの添加剤は、溶剤で希釈して混合すればよい。
以下、実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、各例中、「部」及び「%」は特記しない限り質量基準である。
[ポリエステル樹脂(A)の合成]
温度計、窒素導入管、還流脱水装置及び攪拌装置を備えたフラスコに、以下に示す多価アルコール成分をそれぞれ下記部数、以下に示す酸成分をそれぞれ下記部数、及び触媒としてジブチル錫オキシド0.6部を仕込んだ。次いで、加熱しつつ、原料が溶融して攪拌可能になった時点で攪拌を開始して150℃から230℃まで徐々に昇温させ230℃にて2時間保持した。この時に生成した縮合水は系外へ留出した。次に、系内を徐々に減圧していき、100mmHgまで減圧し10時間重縮合反応を行い、酸価1.8、水酸基価108、数平均分子量1400のポリエステル樹脂(A)を得た。
(多価アルコール成分)
エチレングリコール:336部
1,6-ヘキサンジオール:275部
BA-2グリコール(日本乳化剤株式会社製、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、水酸基価340mgKOH/g):1330部
(酸成分)
アジピン酸:510部
イソフタル酸:435部
テレフタル酸:435部
[ポリエステル樹脂(B)~(H)の合成]
ポリエステル樹脂(A)の構成成分である多塩基酸成分の種類又はその使用量、ジオール成分の種類又はその使用量を表1~2に示すように代えたこと以外はポリエステル樹脂(A)の合成と同様にしてポリエステル樹脂(B)~(H)を得た。それぞれの樹脂特性値を表1~2に示す。
Figure 0007243075000002
Figure 0007243075000003
[実施例1](ポリエステルウレタン樹脂(U-1)の合成)
温度計、窒素導入管、還流脱水装置及び攪拌装置を備えたフラスコにポリエステル樹脂(A)750部、TDI(トリレンジイソシアネート、東ソー株式会社製、商品名コロネートT-80)100部、溶剤として酢酸ブチル566部を仕込んだ。50℃以下にて原料が溶解するまで攪拌し、樹脂が溶解した時点で攪拌しながら50℃から100℃まで徐々に昇温させ100℃にて8時間保持した。反応液中のイソシアネート基が消失したことをIR装置により確認した後、反応終了し、70℃まで冷却し酢酸ブチル130部を加え1時間均一になるまで攪拌を続け、不揮発分55%のポリエステルウレタン樹脂溶液を得た。ポリエステルウレタン樹脂溶液の酸価1.0、水酸基価12.0、数平均分子量5200、樹脂固形分ガラス転移温度は35℃であった。
[実施例2~7、比較例1](ポリエステルウレタン樹脂(U-2)~(U-8)の合成)
実施例1において、ポリエステル樹脂及びイソシアネート化合物の種類又はその使用量を表3、4に示すように代えたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルウレタン樹脂溶液を得た。それぞれの樹脂特性値を表3、4に示す。
Figure 0007243075000004
Figure 0007243075000005
[比較例2]
温度計、窒素導入管、還流脱水装置及び攪拌装置を備えたフラスコに、以下に示す多価アルコール成分をそれぞれ下記部数、以下に示す酸成分をそれぞれ下記部数、及び触媒としてテトラブチルチタネート0.16部を仕込んだ。次いで、加熱しつつ、原料が溶融して攪拌可能になった時点で攪拌を開始して150℃から270℃まで徐々に昇温させ270℃にて2時間保持した。この時に生成した縮合水は系外へ留出した。次に、系内を徐々に減圧していき、3mmHgまで減圧し8時間重縮合反応を行った。その後、210℃以下まで冷却しソルベッソ150(東燃ゼネラル石油製)を1316部、シクロヘキサノン845部加え100℃で均一に樹脂を溶解し不揮発分(加熱残分)40%、酸価0.3、数平均分子量18000のポリエステル樹脂溶液を得た。樹脂固形分のガラス転移温度は30℃であった。
(多価アルコール成分)
エチレングリコール:123部
1,6-ヘキサンジオール:45部
BA-2グリコール(日本乳化剤株式会社製、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、水酸基価340mgKOH/g):715部
(酸成分)
セバシン酸:230部
イソフタル酸:250部
テレフタル酸:185部
[比較例3]
温度計、窒素導入管、還流脱水装置及び攪拌装置を備えたフラスコに、以下に示す多価アルコール成分をそれぞれ各部数、以下に示す酸成分をそれぞれ下記部数、及び触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込んだ。次いで、加熱しつつ、原料が溶融して攪拌できるようになったら攪拌を開始して150℃から250℃まで徐々に昇温させ250℃にて3時間保持した。この時に生成した縮合水は系外へ留出した。次に、系内を徐々に減圧していき、10mmHgまで減圧し12時間重縮合反応を行った。その後、210℃以下まで冷却しソルベッソ150(東燃ゼネラル石油製)を4500部加え、100℃で均一に樹脂を溶解し不揮発分(加熱残分)40%、酸価0.5、数平均分子量9000のポリエステル樹脂溶液を得た。樹脂固形分のガラス転移温度は30℃であった。
(多価アルコール成分)
エチレングリコール:175部
1,6-ヘキサンジオール:95部
BA-2グリコール(日本乳化剤株式会社製、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、水酸基価340mgKOH/g):1576部
(酸成分)
セバシン酸:496部
イソフタル酸:543部
テレフタル酸:408部
Figure 0007243075000006
得られたポリエステル樹脂及びポリエステルウレタン樹脂の樹脂特性値の測定は、下記の方法に従った。
(1)数平均分子量
数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)により、標準ポリスチレン検量線を用いて測定した。
(GPC測定条件)
装置:LaChrom L-2350(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
カラム:ゲルパックGL-A130-S,GL-A150-S,GL-A160-S (日立化成株式会社製)
溶離液:THF
測定温度:37℃
流速:2.0ml/min
(2)ガラス転移温度;
ポリエステルウレタン樹脂溶液をガラス基板上に薄くのばし、箱型乾燥機内にて130℃にて4時間溶剤を揮発させ、ポリエステルウレタン樹脂の固形分を得た。その固形分に対し以下の条件にてガラス転移温度を測定した。
(ガラス転移温度測定条件)
装置:熱分析装置DSC-60A PLUS(株式会社島津製作所製)
昇温速度:10℃/min
(3)酸価;
ポリエステル樹脂又はポリエステルウレタン樹脂(固形分又は溶液)を三角フラスコに秤量し、溶剤(イソプロピルアルコール/トルエン=1/2(容量比))約30mlを加えて溶解した。次に指示薬(1%フェノールフタレイン・エチルアルコール溶液)約2~3滴を加えて0.1mol/l水酸化カリウム溶液(アルコール性)で滴定し、薄紅色が消失した時を終点として、次式により算出した。また、樹脂溶液の固形分酸価は、次式で得られた樹脂溶液の酸価を加熱残分で除することで換算した。
酸価(mgKOH/g)=F×V/S
F:0.1mol/l水酸化カリウム溶液の係数(f×5.61)
V:0.1mol/l水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
S:試料採取量(g)
(4)水酸基価;
ポリエステル樹脂(固形分又は溶液)を三角フラスコに秤量し、アセチル化剤(無水酢酸20gにピリジンを加え100mlとしたもの)5mlを正確に加えて溶解した。約120℃に加熱したホットプレート上で30分間保温した後、純水1.2mlを加えて静かに振り、再度5分間保温した。室温まで冷却後、溶剤(イソプロピルアルコール/トルエン=1/2(容量比))約20mlと指示薬(1%フェノールフタレイン・エチルアルコール溶液)約2~3滴を加えて0.5mol/l水酸化カリウム溶液(アルコール性)で滴定し、薄紅色が消失しなくなった時を終点とした。本試験に並行して空試験を行い、次式により算出した。
水酸基価(mgKOH/g)=(A-B)×F/S+C
A:空試験の0.5mol/l水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
B:本試験の0.5mol/l水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
F:0.5mol/l水酸化カリウム溶液の係数(f×28.05)
S:試料の採取量(g)
C:同試料の酸価(mgKOH/g)
(5)粘度;
粘度計:E型(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV-25)
コーン形状:円錐円盤
温度:25℃
サンプルカップに試料0.7~1.0gを秤量し、注入して粘度計本体にセットした。次いで、測定する粘度値が安定したときの値を読み取った。
(6)加熱残分(質量NV);
ポリエステル樹脂溶液又はポリエステルウレタン樹脂溶液1.0gを平底皿に量り取り、質量既知の針金を使って均一に広げ、135℃で1時間乾燥後、残渣及び針金の質量を量った。そして、残渣及び針金の質量から針金の質量を減じて乾燥後の固形分質量を算出し、その数値を乾燥前に質量(1.0g)で除し、100を乗じて算出した。
[塗料の調製]
実施例又は比較例で得られた樹脂溶液と、アミノ樹脂としてサイメル303(三井サイテック株式会社)とを順に95/5(固形分質量比)で配合した。次に、CR95(石原産業株式会社製、チタン白)を樹脂固形分/CR95=45/55で配合した。さらに、ストロンチウムクロメートを樹脂固形分に対して2.5質量%、硬化触媒としてNacure5225(楠本化成株式会社製)を樹脂固形分に対して2.5質量%を加えた。次いで、高沸点石油炭化水素系溶剤で塗装に適した粘度になるまで希釈し、ペイントシェーカーにて高速分散させ均一な塗料を得た。
(1)試験板作製条件
上記のようにして得られた塗料を用い、下記基材に対して塗装し、焼付を行った。次いで、下記(2)に示す各試験を実施した。
基材:PB-N144処理鋼板(株式会社パルテック製、厚さ0.6mm)
塗装:アプリケータ(乾燥膜厚5~10μm)
焼付:板温230℃×60秒
(2)試験方法
(a)鉛筆硬度:JIS K5400に準じて測定した。
(b)加工性:試験片を180°折り曲げ、屈曲部のクラック(ワレ)有無を20倍ルーペにより観察し評価した。0Tは鋼鈑を1枚も挟まずに180度折り曲げた意味を指し、1Tは鋼鈑を1枚挟み180度折り曲げた意味を指す。
(c)耐アルカリ性:試験片を5質量%のNaOH水溶液中に48時間浸漬し、その後の塗膜のふくれ状態を下記の基準で評価した。
〈評価〉
5点…基材からのふくれなし
4点…5点と3点の中間の状態
3点…基材からのふくれわずかにあり
2点…3点と1点の中間の状態
1点…基材からのふくれ大
(d)耐酸性:試験片を5質量%の硫酸水溶液中に48時間浸漬し、その後の塗膜のふくれ状態を評価した。評価基準は耐アルカリ性と同様に判定した。
表3~4から明らかなように、実施例1~7のポリエステルウレタン樹脂は、高い固形分濃度(加熱残分)であり、かつ、低粘度であることから使用溶剤量を低減でき、低VOCでありハイソリッド化を実現可能であることが分かる。また、各実施例のポリエステルウレタン樹脂を用いた塗料用組成物から形成され得られた塗膜は、硬度、加工性、耐薬品性において優れた結果が得られており、優れた塗膜性能を有することが分かる。
一方、比較例1の塗料用組成物は高い固形分濃度であり使用溶剤量を低減できるが、得られた塗膜は、ガラス転移温度が低いため、加工性に優れる一方で、硬度、耐薬品性が劣っていた。
また、表5から、比較例2~3の塗膜は硬度、加工性、耐薬品性に優れる一方で、高分子量ポリエステル樹脂であるため、樹脂溶液の固形分濃度が低く、高粘度であり、さらに粘度を下げるために溶剤量を多く使用しなくてはならない。その結果、ハイソリッド化を実現することはできない。
[ポリエステル樹脂(I)の合成]
温度計、窒素導入管、還流脱水装置及び攪拌装置を備えたフラスコに、以下に示す多価アルコール成分をそれぞれ下記部数、以下に示す酸成分をそれぞれ下記部数、及び触媒としてジブチル錫オキシド1.2部を仕込んだ。次いで、加熱しつつ、原料が溶融して攪拌可能になった時点で攪拌を開始して150℃から250℃まで徐々に昇温させ250℃にて2時間保持した。この時に生成した縮合水は系外へ留出した。次に、系内を徐々に減圧していき、120mmHgまで減圧し10時間重縮合反応を行い、酸価2.6、水酸基価25.6、数平均分子量4300のポリエステル樹脂(I)を得た。
(多価アルコール成分)
エチレングリコール:243部
ネオペンチルグリコール:102部
BA-2グリコール(日本乳化剤株式会社、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、水酸基価340mgKOH/g):1556部
(酸成分)
アジピン酸:391部
イソフタル酸:593部
テレフタル酸:445部
[ポリエステル樹脂(J)~(K)、比較例4~5のポリエステル樹脂の合成]
ポリエステル樹脂(I)の構成成分である多塩基酸成分の種類又はその使用量、ジオール成分の種類又はその使用量を表6、表7に示すように代えたこと以外はポリエステル樹脂(I)と同様にしてポリエステル樹脂を得た。それぞれの樹脂特性値を表6、7に示す。
Figure 0007243075000007
Figure 0007243075000008
[実施例8]ポリエステルウレタン樹脂(U-1)の合成
温度計、窒素導入管、還流脱水装置及び攪拌装置を備えたフラスコにポリエステル樹脂(I)850部、TDI(トリレンジイソシアネート、東ソー株式会社製、商品名コロネートT-80)11部、溶剤として酢酸ブチル574部を仕込んだ。次いで、50℃以下にて原料が溶解するまで攪拌し、樹脂が溶解した時点で攪拌しながら50℃から90℃まで徐々に昇温させ90℃にて8時間保持した。反応液中のイソシアネート基が消失したことをIR装置により確認した後、反応終了し、70度まで冷却し酢酸ブチル130部を加え1時間均一になるまで攪拌を続け, 不揮発分55%のポリエステルウレタン樹脂溶液を得た。ポリエステルウレタン樹脂溶液の酸価1.4、水酸基価10.0、数平均分子量8200、樹脂固形分ガラス転移温度は34℃であった。
[実施例9~11]ポリエステルウレタン樹脂(U-2)~(U-4)の合成
実施例8において、ポリエステル樹脂及びイソシアネート化合物の種類又はその使用量を表8に示すように代えたこと以外は実施例8と同様にしてポリエステルウレタン樹脂溶液を得た。それぞれの樹脂特性値を表8に示す。
Figure 0007243075000009
得られたポリエステル樹脂及びポリエステルウレタン樹脂の樹脂特性値(数平均分子量、ガラス転移温度、酸価、水酸基価、及び粘度)の測定を、既述の方法により行った。
実施例8~11、比較例4~5で得られた樹脂溶液を用い、実施例1~7と同様にして塗料を調製し、基板に塗装して塗膜の評価を行った。
表7~8から明らかなように、実施例8~11のポリエステルウレタン樹脂は、高い固形分濃度(加熱残分)であり、かつ、低粘度であることから使用溶剤量を低減でき、低VOCでありハイソリッド化を実現可能であることが分かる。また、各実施例のポリエステルウレタン樹脂を用いた塗料用組成物から形成され得られた塗膜は、硬度、加工性、耐薬品性において優れた結果が得られており、優れた塗膜性能を有することが分かる。また、塗膜の密着性に劣る場合には耐薬品性試験にてふくれが生じる傾向にあるところ、実施例8~11においてはいずれも耐薬品性に優れることから密着性にも優れると考えられる。
一方、比較例4~5の樹脂溶液は高い固形分濃度であり、かつ、低粘度であるが、得られた塗膜は加工性、耐薬品性において実施例8~11及び比較例1~2に比べ劣る。

Claims (2)

  1. アルコール成分として、多価アルコール(但し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物を除く。)35~75モル%と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物25~65モル%とを含み、酸成分として、脂肪族ジカルボン酸0~50モル%と、芳香族ジカルボン酸50~100モル%とを含むポリエステル樹脂、及びイソシアネート化合物を付加重合してなり、
    数平均分子量が4000~9500であり、固形分酸価が1.0~4.0mgKOH/gであり、かつ、ガラス転移温度が25~70℃である、ポリエステルウレタン樹脂と、溶剤と、を含み、加熱残分が50%以上である、組成物。
  2. 請求項に記載の組成物と、硬化剤と、を含む塗料。
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