JP7243041B2 - 高圧ホースおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧ホースおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、高圧の内圧が繰り返し作用しても損傷し難く、耐久性を一段と向上させることができる高圧ホースおよびその製造方法に関するものである。
高圧ホースでは、高い内圧に耐えるために、例えば繊維補強材により形成されたスパイラル構造またはブレード構造の補強層が、内側ゴム層と外側ゴム層との間に介在している。この繊維補強材は、ホースを製造する際の加硫工程で加熱された後、収縮する。繊維補強材のいわゆる乾熱収縮率が大きい場合は、製造されたホースでの繊維補強材の乱れが大きくなる。繊維補強材が乱れて繊維補強材どうしのすき間が大きくなった領域では、過大な内圧が繰り返し作用すると、繊維補強材どうしのすき間に沿ってゴム層が損傷する不具合が発生し易くなる。
このような不具合を防止するホースが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、あえて乾熱収縮率の大きな補強糸を使用しつつ、スパイラル巻きに不均衡な糸すき間を生じさせない工夫をすることが提案され、或いは、ホースの成形時に内側ゴム層の外周に凹凸を形成することで、内側ゴム層の膨張圧に対して、内側ゴム層自体に逃げ場を設けることが提案されている(特許請求の範囲、段落0008、0009等)。しかしながら、特許文献1で提案されている方法では、製造されたホースでの繊維補強材の乱れを十分に抑制することができないことがあり、繊維補強材どうしのすき間に沿ってゴム層が損傷する不具合を防止するには改善の余地がある。
特開平11-325331号公報
本発明の目的は、高圧の内圧が繰り返し作用しても損傷し難く、耐久性を一段と向上させることができる高圧ホースおよびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の高圧ホースは、同軸状に積層された内側ゴム層および外側ゴム層と、前記内側ゴム層と前記外側ゴム層との間に同軸状に積層された単数または複数の補強層とを備えて、すべてのそれぞれの前記補強層が繊維補強材により形成されたスパイラル構造またはブレード構造である高圧ホースにおいて、すべてのそれぞれの前記補強層での前記繊維補強材の編組密度が100%超120%以下であり、かつ、前記繊維補強材の編組角度が54.0°以上56.0°以下であるとともに前記内側ゴム層の層厚が0.7mm以上1.4mm以下であり、前記繊維補強材として、撚り数が5~7回/cm、繊度が3300dtex以上5500dtex以下、乾熱収縮率が1.2%以下の繊維補強材が使用されていることを特徴とする。
上記目的を達成するため本発明の高圧ホースの製造方法は、同軸状に積層されている内側ゴム層と外側ゴム層との間に繊維補強材により形成されたスパイラル構造またはブレード構造の単数または複数の補強層が同軸状に積層されているホース成形体を成形し、すべてのそれぞれの前記補強層が前記繊維補強材により形成されている前記ホース成形体を加硫することにより、高圧ホースを製造する高圧ホースの製造方法において、前記ホース成形体を成形する際に、すべてのそれぞれの前記補強層における前記繊維補強材の編組密度を100%超にして、かつ、前記繊維補強材として、撚り数が5~7回/cm、繊度が3300dtex以上5500dtex以下、乾熱収縮率が1.2%以下の繊維補強材を使用し、製造した前記高圧ホースのすべてのそれぞれの前記補強層での前記繊維補強材の編組密度を100%超120%以下にして、かつ、前記繊維補強材の編組角度を54.0°以上56.0°以下にするとともに前記内側ゴム層の層厚を0.7mm以上1.4mm以下にすることを特徴とする。
本発明の高圧ホースによれば、単数または複数の補強層が内側ゴム層と外側ゴム層との間に同軸状に積層されているが、それぞれの補強層における繊維補強材の編組密度が100%超になっていて、従来の高圧ホースに比して高密度になっている。そのため、この高圧ホースに高圧の内圧が繰り返し作用しても、それぞれの補強層において維補強材どうしのすき間に沿ってゴム層が損傷する不具合が抑制される。これにより、高圧ホースが損傷し難くなり、耐久性を一段と向上させることが可能になっている。
本発明の高圧ホースの製造方法によれば、ホース成形体には単数または複数の補強層が内側ゴム層と外側ゴム層との間に同軸状に積層されているが、ホース成形体を成形する際に、それぞれの補強層における前記繊維補強材の編組密度を100%超にして、従来の高圧ホースに比して高密度にする。そのため、ホース成形体を加硫して製造された高圧ホースでは、高圧の内圧が繰り返し作用しても、それぞれの補強層において維補強材どうしのすき間に沿ってゴム層が損傷する不具合が抑制される。これにより、高圧ホースが損傷し難くなり、耐久性を一段と向上させることが可能になっている。
本発明の高圧ホースの実施形態を一部切開して側面視で模式的に例示する説明図である。 図1の高圧ホースを横断面視で模式的に例示する説明図である。 図1の高圧ホースの一部を縦断面視で拡大して模式的に例示する説明図である。 ホース成形体を横断面視で模式的に例示する説明図である。 図4の内側ゴム層を平面視で模式的に例示する説明図である。 図1の高圧ホースの製造工程を例示する説明図である。 高圧ホースの別の実施形態を一部切開して側面視で模式的に例示する説明図である。
以下、本発明の高圧ホースおよびその製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1~図3に例示する本発明の高圧ホース1の実施形態は、内周側から順に、内面層2(2a、2b)、補強層3(3a、3b)、外側ゴム層5が同軸状に積層されている。さらに、高圧ホース1の半径方向に隣り合って積層されている補強層3a、3bの間には、層間ゴム層6が介在した構造になっている。図面の一点鎖線CLは、ホース軸心を示している。この実施形態では内面層2は、樹脂層2aと、この樹脂層2aの外周面に同軸状に積層された内側ゴム層2bとで構成されている。樹脂層2aと内側ゴム層2bとは強固に接合されている。内面層2は内側ゴム層2bのみで構成されることもある。
この高圧ホース1は、使用内圧が例えば3MPa以上の高圧、或いは、さらに高圧の5MPa以上に設定されている。使用内圧の上限値は例えば10.0MPaである。ホース外径は例えば13mm以上20mm以下である。高圧ホース1を流れる流体は、作動油、冷媒、冷凍機油などを例示できる。
内面層2(樹脂層2a、内側ゴム層2b)および外側ゴム層5には、高圧ホース1に対する要求性能に応じて適切な材料が選択され、適切な層厚が設定される。使用する材質は特に限定されないが、樹脂層2aには例えばナイロン11、ナイロン6、ナイロン6-66、EVOH等が用いられる。ナイロンには可塑剤等が混合される。内側ゴム層2bには例えばブチルゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、塩素化ポリエチレン等が用いられて、その層厚は例えば0.6mm以上1.4mm以下である。外側ゴム層5には例えばEPDM、シリコーンゴム、天然ゴム、ブチルゴム、エチレンアクリルゴム等が用いられる。外側ゴム層5の層厚は例えば0.7mm以上1.4mm以下である。
層間ゴム層6の層厚はホース外径等によって異なるが、例えば0.1mm以上0.5mm以下である。層間ゴム層6は半径方向に隣り合って積層されている補強層3a、3b層どうしを接合させるとともに、それぞれの補強層3a、3bを形成している繊維補強材4どうしの緩衝材になっている。補強層3どうしの間に層間ゴム層6が介在してない場合も本発明の対象になる。
補強層3は繊維補強材4により形成されていて、高圧ホース1に要求される耐圧性能、曲げ性能等に基づいて、適切な材料や構造等が選択される。繊維補強材4としては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、66ナイロン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、綿繊維を使用する。これら繊維を単独で、または、複数種類を混合して繊維補強材4とすることができる。繊維補強材4の外径(厚さ)は、例えば0.2mm以上1.2mm以下である。
この実施形態では補強層3が2層であるが、例えば、1層或いは3層、4層などの複数に設定される。また、この実施形態では補強層3は、繊維補強材4をホース軸心CLに対して所定の編組角度aでスパイラルに巻き付けたスパイラル構造になっている。補強層3は、積層順に繊維補強材4の巻き付け方向が反対にされる。繊維補強材4の編組角度aは54.0°以上56.0°以下に設定されている。
図3に例示するように、それぞれの補強層3a、3bでは、繊維補強材4がホース長手方向(ホース軸心CLの延在方向)に実質的に等間隔で配列されているとともに、ホース半径方向に実質的に同じレベルで配列された状態になっている。繊維補強材4の横断面は、ホース半径方向に若干潰れた楕円形状になっている。
それぞれの補強層3a、3bでは、繊維補強材4の編組密度が100%超になっている。編組密度とは、それぞれの補強層3a、3bにおける繊維補強材4の面積割合を百分率で示すものであり、編組された(配列された)繊維補強材4どうしのすき間がゼロの場合は100%になる。
それぞれの補強層3a、3bに打ち込まれる繊維補強材4の本数がn本、繊維補強材4の1本当たりの太さがd、巻き付けピッチがP、編組角度がaの場合、n×d÷sin(a)=Pであれば編組密度は100%となり、n×d÷sin(a)>Pであれば編組密度は100%超になる。図3に例示するように、この実施形態では、繊維補強材4どうしが、ホース長手方向ですき間がない。さらに、隣り合う繊維補強材4どうしが重なり代Lを有して巻き付けられているので編組密度が100%超となっている。
繊維補強材4として、撚り数が3~7回/cm、繊度が3300dtex以上5500dtex以下、乾熱収縮率が1.2%以下の繊維補強材が使用されている。繊維補強材4はモノフィラメントでも複数の素線を撚り合せたマルチフィラメントでもよい。乾熱収縮率は、JIS L 1017:2002に規定された加熱後乾熱収縮率(B法)により測定された値である。
この高圧ホース1では、それぞれの補強層3a、3bにおける繊維補強材4の編組密度が100%超になっていて、従来の高圧ホースに比して高密度になっている。そのため、高圧ホース1に高圧の内圧が繰り返し作用しても、それぞれの補強層3a、3bでは、隣り合っている繊維補強材4どうしの間にすき間(亀裂)が生じ難い。それ故、それぞれの補強層3a、3bにおいて繊維補強材4どうしの間のすき間に沿ってゴム層2b、6、5が損傷する不具合が抑制される。これに伴い、高圧ホース1が損傷し難くなり、耐久性を一段と向上させることが可能になっている。
上記の不具合を抑制するには編組密度をより大きくすることが望ましいが、編組密度が過大になるとホース単位長さ当りの重量が大きくなり、また、高圧ホース1の柔軟性が悪化する。そのため、高圧ホース1におけるこの編組密度は例えば100%超130%以下、より好ましくは100%超120%以下にする。
また、繊維補強材4の撚り数が3回/cmよりも少ないと繊維補強材4と隣り合うゴムとの接着力が低下し耐久性が低下する。一方、撚り数が7回/cmよりも多いと繊維補強材4の繊維幅(糸幅)が小さくなり、編組密度が低下し耐久性が低下する。したがって、繊維補強材4の撚り数は3~7回/cmにすることが好ましい。
繊維補強材4の繊度が3300dtex未満であると繊維幅(糸幅)が小さくなり、編組密度が低下し耐久性が低下する。一方、繊度が5500dtex超になると外径が大きくなり、耐圧性能および耐久性が低下する。したがって、繊維補強材4の繊度は3300dtex以上5500dtex以下にすることが好ましい。
高圧ホース1に内圧を付与した際のホース長さの変化率を抑制する(例えば内圧5MPaで1.0%以上2.0%以下にする)には、繊維補強材4の編組角度を54.0°以上56.0°以下、より好ましくは54.7°以上55.5°以下にする。
繊維補強材4の編組角度が54.0°以上56.0°以下に設定されていても、高圧ホース1に内圧を付与した際のホース膨張量は内側ゴム層2bの層厚に依存する。ホース膨張量を抑制するには、繊維補強材4の編組角度を54.0°以上56.0°以下に設定するとともに、内側ゴム層2bの層厚を0.7mm以上1.4mm以下に設定するとよい。
本発明の高圧ホースの製造方法の手順は以下のとおりである。
製造工程の概略を言うと、図4に例示するように、同軸状に積層されている内側ゴム層2bと外側ゴム層5との間に繊維補強材4により形成されたスパイラル構造の単数または複数の補強層3が同軸状に積層されているホース成形体1Aを成形する。次いで、このホース成形体1Aを加硫することにより高圧ホース1を製造する。尚、本明細書では、ホース成形体1Aの加硫前と加硫後で、同じホース構成部材には同じ符号を付している。
例えば、押出機を用いて、内側ゴム層2bを構成するゴム材料を円筒形状に押し出して図5に例示する押出物2Aを成形し、この押出物2Aを内側ゴム層2bとして使用する。円筒形状の押出物2Aの外周面には筒軸方向に延在する凹部2Bが周方向に間隔をあけて複数配置されている。図4に例示するようにホース成形体1Aでは、それぞれの凹部2Bが、内側ゴム層2bと補強層3aと間で空隙2Cを形成している。
繊維補強材4には上述したように、撚り数が3~7回/cm、繊度が3300dtex以上5500dtex以下にした繊維補強材を使用する。また、加硫前の繊維補強材4の乾熱収縮率が過大であると、加硫後に繊維補強材4が大きく収縮して高圧ホース1におけるそれぞれの補強層3a、3bでの繊維補強材4の編組密度を100%超にすることが難しくなる。そのため、ホース成形体1Aを成形する際には、乾熱収縮率が1.2%以下の繊維補強材4を使用するとよい。
例えば、繊維補強材4を予め熱処理することにより乾熱収縮率を1.2%以下に低減させておく。上記の熱処理は、例えば、繊維補強材4に実質的にテンションを負荷しない条件下で、所定温度に加熱した状態を所定時間維持した後、常温に冷却する。この熱処理において加熱する上記の所定温度は、例えば、ホース成形体1Aの加硫温度(加硫最高温度)以上にするとよい。
このような内側ゴム層2b、繊維補強材4を用意しておき、図6に例示するように、前方移動するマンドレル7の外周側に順次、ホース構成部材を積層してホース成形体1Aを成形する。具体的には、まず、マンドレル7の外周面に樹脂層2a、未加硫の内側ゴム層2bを積層する。次いで、内面層2(内側ゴム層2b)の外周面に補強層3aを積層する。補強層3aは、補強層成形機8から繊維補強材4を繰り出しつつ,マンドレル7を中心にして補強層成形機8を回転させて成形して積層する。
次いで、補強層3aの外周面に未加硫の層間ゴム層6を積層する。次いで、層間ゴム層6の外周面に、補強層成形機8から繊維補強材4を繰り出しつつ,マンドレル7を中心にして補強層成形機8を回転させて補強層3bを成形して積層する。この時、補強層成形機8は、補強層3aを成形する場合とは反対方向に回転させる。
次いで、補強層3bの外周面に未加硫の外側ゴム層5を積層することにより、ホース成形体1Aを成形する。尚、繊維補強材4を積層する(巻き付ける)際のテンションは、従来方法と同じでよい。ホース成形体1Aを成形する際には、それぞれの補強層3a、3bにおける繊維補強材4の編組密度を100%超にする。
次いで、ホース成形体1Aの外周面に被覆部材9を積層した状態にする。被覆部材9には従来方法と同様、ポリメチルペンテン樹脂等を用いる。被覆部材9により被覆されたホース成形体1Aを、加硫缶または加硫槽の中で所定時間、所定の加硫温度で加熱してホース成形体1Aをスチーム加硫する。この加硫工程により、未加硫の内側ゴム層2b(内面層2)、層間ゴム層6および外側ゴム層5が加硫ゴムとなって、樹脂層2aおよび補強層3とともに一体化し、それぞれの空隙2Cは消滅する。その後、被覆部材9およびマンドレル7を除去することで、図1~3に例示する高圧ホース1が製造される。
この製造方法では、ホース成形体1Aを成形する際に、それぞれの補強層3a、3bにおける繊維補強材4の編組密度を100%超にして、従来の高圧ホースに比して高密度にしている。そのため、ホース成形体1Aを加硫して製造された高圧ホース1においてもそれぞれの補強層3a、3bにおける繊維補強材4の編組密度を100%超にし易くなっている。製造された高圧ホース1での繊維補強材4の編組密度をより確実に100%超にするために、ホース成形体1Aを成形する際の繊維補強材4の編組密度は110%以上にすることが好ましい。この時の編組密度の上限は例えば120%である。
この実施形態では、上述した熱処理を施して熱収縮率を1.2%以下に低減させた繊維補強材4を用いてホース成形体1Aの補強層3を形成している。そのため、ホース成形体1Aの加硫工程で加熱された繊維補強材4が、完成した高圧ホース1において過度に収縮することがない。そのため、加硫工程を経た高圧ホース1では、繊維補強材4の配列の乱れが生じるような収縮が一段と抑制されて、図3に例示するように繊維補強材4の乱れが少ない状態にするには益々有利になる。
繊維補強材4の乾熱収縮率を小さくするに連れて、加硫後の繊維補強材4の収縮を抑制して乱れを抑制するには有利になる。そこで、ホース成形体1Aを成形する際には、上述した熱処理を施すことによって、乾熱収縮率を1.2%以下、より好ましくは0.9%以下、さらに好ましくは0.1%以下に低減させた繊維補強材4を使用するとよい。
加硫後の繊維補強材4の収縮が抑制されているので、加硫前後の寸法安定性が向上する(ホース成形体1Aと高圧ホース1との間の寸法変化が小さくなる)。繊維補強材4の収縮に伴う、内面層2(内側ゴム層2b)の層厚減少を抑制できるので、内面層2とホース金具との間のシール性確保、ホース流通流体の漏出防止、内面層2の耐久性向上にもメリットがある。
本来的に乾熱収縮率が大きな材質であっても、予め熱処理をして熱収縮率を1.2%に低減できれば繊維補強材4として十分に使用することができる。これにより、繊維補強材4として使用可能な材質の選択肢が多くなる。
また、この実施形態では、ホース成形体1Aを成形する際に、内側ゴム層2bの外周面に凹部2Bを設けることで空隙2Cを有する仕様にしている。加硫工程では、未加硫ゴムの膨張と繊維補強材4の収縮が発生する。そのため、内側ゴム層2bには補強層3からの圧縮力が作用してそのゴムが流動(移動)しようとする。その際に、流動するゴムは空隙2Cに逃げ込めるので、補強繊維材4どうしの間から外周側に噴出することが回避される。それ故、ホース成形体1Aの加硫後での繊維補強材4の配列乱れが一段と発生し難くなる。
加硫工程での内側ゴム層2bに作用する膨張圧を十分に吸収するために、ホース成形体1Aでの内側ゴム層2bの横断面積に対してそれぞれの空隙2Cの合計横断面積の割合を10%以上に設定するとよい。この割合が大きくなると繊維補強材4の配列乱れが抑制される。
一方、この割合が20%超になると、製造された高圧ホース1での内側ゴム層2bの層厚が過小になる。これに伴い、高圧ホース1の水分透過性が悪化して、高圧ホース1の外部から内部に水分が透過し易くなる。そのため、ホース成形体1Aでの内側ゴム層2bの横断面積に対してそれぞれの空隙2Cの合計横断面積の割合は10%以上20%以下に設定するとよい。
本発明では内面層2の内周側に別の層(樹脂層など)を追加することもできるし、外側ゴム層5の外周側に別の層(樹脂層など)を追加することもできる。或いは、内面層2と外側ゴム層5との間に別の層(樹脂層など)を追加することもできる。
図7に例示する高圧ホース1の別の実施形態では、補強層3は繊維補強材4が編み目状に織り込まれたブレード構造になっている。それぞれの補強層3a、3bを形成する繊維補強材4は、ホース軸心CLに対して所定の編組角度aで編組されている。その他の構成は図1に例示した高圧ホース1と同様である。この高圧ホース1の製造方法は、補強層3をブレード構造にすることだけが図1に例示した高圧ホース1との相違点でり、その他は同様にすればよい。また、この高圧ホース1においても、図1に例示した高圧ホース1と同様のアレンジをすることができる。
表1に示す仕様のホース成形体を成形して同条件で加硫することにより図1に例示した構造の高圧ホースの試験サンプルを12種類(実施例1~4、比較例1~8)作製して、耐久性、水分透過性およびガス透過性を評価した。表1に示している項目以外はすべての試験サンプルで同じにした。内面層を構成する樹脂層はナイロン6でありホース成形体での層厚は0.1mm~0.2mm、内面層を構成する内側ゴム層はブチルゴムであった。評価結果を表1に示す。
耐久性試験は、それぞれの試験サンプルに対して、130℃程度の条件下で、5MPa程度の内圧を繰り返し付与して、ホースが破損するまでの内圧付与回数を測定した。この回数が多い程、耐久性が優れていることを示す。尚、実施例1~5、比較例8は60万回内圧を付与してもホースが破損しなかった。
水分透過性は、試験サンプルの両端開口を塞いで内部に空気を密封した状態にして試験サンプルを室温60℃、湿度90%RH以上の雰囲気にした恒温槽に入れて、試験サンプル内部の水分量を確認した。試験サンプル内部に透過した水分量が基準値よりも少ない場合を○で示し、基準値以上の場合を×で示した。
ガス透過性は、試験サンプルの内部に冷媒を充填して所定内圧を付与した状態を所定時間維持して、その間に試験サンプルを透過して試験サンプル外部に流出した量を確認した。流出した量が基準値よりも少なかった場合を○で示した。
Figure 0007243041000001
表1の結果から、実施例1~5は優れた耐久性を有していることが分かる。また、実施例1~5は実用に耐え得る水分透過性およびガス透過性を有していることが分かる。
1 高圧ホース
1A ホース成形体
2 内面層
2a 樹脂層
2b 内側ゴム層
2A 押出物
2B 凹部
2C 空隙
3(3a、3b) 補強層
4 繊維補強材
5 外側ゴム層
6 層間ゴム層
7 マンドレル
8 補強層成形機
9 被覆部材
CL ホース軸心

Claims (4)

  1. 同軸状に積層された内側ゴム層および外側ゴム層と、前記内側ゴム層と前記外側ゴム層との間に同軸状に積層された単数または複数の補強層とを備えて、すべてのそれぞれの前記補強層が繊維補強材により形成されたスパイラル構造またはブレード構造である高圧ホースにおいて、
    すべてのそれぞれの前記補強層での前記繊維補強材の編組密度が100%超120%以下であり、かつ、前記繊維補強材の編組角度が54.0°以上56.0°以下であるとともに前記内側ゴム層の層厚が0.7mm以上1.4mm以下であり、前記繊維補強材として、撚り数が5~7回/cm、繊度が3300dtex以上5500dtex以下、乾熱収縮率が1.2%以下の繊維補強材が使用されていることを特徴とする高圧ホース。
  2. 前記繊維補強材として、熱処理が施されることにより前記乾熱収縮率が0.1%以下に低減された繊維補強材が使用されている請求項1に記載の高圧ホース。
  3. 同軸状に積層されている内側ゴム層と外側ゴム層との間に繊維補強材により形成されたスパイラル構造またはブレード構造の単数または複数の補強層が同軸状に積層されているホース成形体を成形し、すべてのそれぞれの前記補強層が前記繊維補強材により形成されている前記ホース成形体を加硫することにより、高圧ホースを製造する高圧ホースの製造方法において、
    前記ホース成形体を成形する際に、すべてのそれぞれの前記補強層における前記繊維補強材の編組密度を100%超にして、かつ、前記繊維補強材として、撚り数が5~7回/cm、繊度が3300dtex以上5500dtex以下、乾熱収縮率が1.2%以下の繊維補強材を使用し、製造した前記高圧ホースのすべてのそれぞれの前記補強層での前記繊維補強材の編組密度を100%超120%以下にして、かつ、前記繊維補強材の編組角度を54.0°以上56.0°以下にするとともに前記内側ゴム層の層厚を0.7mm以上1.4mm以下にすることを特徴とする高圧ホースの製造方法。
  4. 前記繊維補強材として、熱処理が施されることにより前記乾熱収縮率を0.1%以下に低減させた繊維補強材を使用する請求項3に記載の高圧ホースの製造方法。
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