JP7242972B2 - 窒化ケイ素粉末、及び窒化ケイ素焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素粉末、及び窒化ケイ素焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、窒化ケイ素粉末、及び窒化ケイ素焼結体の製造方法に関する。
窒化ケイ素は、強度、硬度、靭性、耐熱性、耐食性、耐熱衝撃性等に優れた材料であることから、ダイカストマシン及び溶解炉等の各種産業用の部品、及び自動車部品等に利用されている。また、窒化ケイ素は、高温における機械的特性にも優れることから、高温強度、高温クリープ特性が求められるガスタービン部品に用いることが検討されている。
窒化ケイ素焼結体には、熱伝導率及び機械的特性の更なる向上が求められている。例えば、特許文献1では、常温における熱伝導率が100~300W/(m・K)であり、常温における3点曲げ強度が600~1500MPaであることを特徴とする窒化珪素質焼結体が記載されている。
特開2004-262756号公報
熱伝導率及び機械的特性の向上には、窒化ケイ素焼結体の原料として、窒化ケイ素の一次粒子の凝集が低減された窒化ケイ素粉末を用いることが有効であると考えられる。そこで、本開示は、窒化ケイ素の一次粒子の凝集が十分に抑制されている窒化ケイ素粉末を提供する。また、本開示は、このような窒化ケイ素粉末を用いることによって、優れた性状を有する窒化ケイ素焼結体の製造方法を提供する。
本開示は、一つの側面において、窒化ケイ素の一次粒子を含み、レーザー回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定される体積基準の粒子径分布が、第1ピークと、第1ピークよりも大きい粒子径領域に第2ピークとを有し、第1ピークと第2ピークとの間の頻度の最低高さ及び第1ピークの高さを、それぞれH0及びH1としたときに、H1/H0が1.6以上である、窒化ケイ素粉末を提供する。
上記粒子径分布において、第1ピークよりも大きい粒子径領域にある第2ピークは、第1ピークで示される粒子径を有する一次粒子が凝集して構成される凝集粒子が窒化ケイ素粉末に含まれることを示している。そして、凝集が進行すると、第1ピークと第2ピークの間の頻度が大きくなって第1ピークと第2ピークの境界がなくなりピークが一体化する。上記窒化ケイ素粉末では、第1ピークと第2ピークとの間の谷底、すなわち頻度の最低高さH0に対する第1ピークの高さH1の比(H1/H0)が所定値以上である。このような窒化ケイ素粉末は、窒化ケイ素粉末における凝集粒子の含有割合が低い。このため、窒化ケイ素の一次粒子の凝集が十分に抑制されている。このような窒化ケイ素粉末は、窒化ケイ素焼結体の原料として好適に用いることができる。
上記粒子径分布において、最低高さH0における粒子径d0と第1ピークにおける粒子径d1との差が0.6μm以下であってよい。このような窒化ケイ素粉末は、第1ピークの粒子径範囲が狭く、粒子径分布がシャープである。したがって、窒化ケイ素焼結体の原料として用いたときに、十分に緻密化された窒化ケイ素焼結体を得ることができる。
第2ピークの粒子径d2と第1ピークの粒子径d1との差は2.0μm以下であってよい。このような窒化ケイ素粉末は、第1ピークと第2ピークの粒子径の差が小さいため、生成した凝集粒子が円滑に解砕されて一次粒子となりやすい。このため、凝集粒子に対する一次粒子の割合が十分に高い。したがって、窒化ケイ素焼結体の原料として用いたときに、十分に緻密化された窒化ケイ素焼結体を得ることができる。
120℃で測定される窒化ケイ素粉末の水分率が0.4質量%以下であってよい。これによって、窒化ケイ素粒子が経時的に凝集することを十分に抑制することができる。
上記粒子径分布における第1ピークの粒子径d1は0.2~1.0μmであってよい。また、第2ピークの粒子径d2は1.5μmを超え且つ4.0μm未満であってよい。このような窒化ケイ素粉末を窒化ケイ素焼結体の原料に用いると、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率及び機械的特性を一層高水準にすることができる。
窒化ケイ素粉末の平均粒子径は0.8~1.8μmであってよい。このような窒化ケイ素粉末を窒化ケイ素焼結体の原料に用いると、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率及び機械的特性を一層高水準にすることができる。
窒化ケイ素粉末の表面酸素量は3.0質量%以下であってよい。これによって、窒化ケイ素粉末に含まれる二酸化ケイ素等の酸化物の含有量が低くなり、水分を吸着し難くなる。これによって、長期間保管したときの一次粒子の凝集を十分に抑制することができる。
水と1:1の質量比で混合して得られるスラリーの25℃における粘度(30rpm)が10Pa・s以下であってよい。このような窒化ケイ素粉末は、一次粒子の凝集が抑制されているため、窒化ケイ素焼結体を製造したときに十分に緻密化することができる。したがって、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率及び機械的特性を一層高水準にすることができる。
本開示は、一つの側面において、上述の窒化ケイ素粉末を含む焼結原料を用いて窒化ケイ素焼結体を得る工程を有する、窒化ケイ素焼結体の製造方法を提供する。この製造方法で得られる窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素粒子の凝集が十分に抑制されている窒化ケイ素粉末を含む焼結原料を用いる。このため、窒化ケイ素焼結体の微細組織の均一性を向上することができる。これによって、熱伝導率及び機械的特性に優れるとともに、性状のばらつきが低減された窒化ケイ素焼結体を得ることができる。
窒化ケイ素の一次粒子の凝集が十分に抑制されている窒化ケイ素粉末を提供することができる。また、このような窒化ケイ素粉末を用いることによって、優れた性状を有する窒化ケイ素焼結体の製造方法を提供することができる。
レーザー回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定される窒化ケイ素粉末の体積基準の粒子径分布の一例を示す図である。 実施例1の粒子径分布の測定結果を示す図である。 比較例2の粒子径分布の測定結果を示す図である。 各実施例及び各実施例のH1/H0とスラリーの粘度との関係を示すグラフである。
以下、本開示の一実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。
本実施形態に係る窒化ケイ素粉末は、窒化ケイ素の一次粒子を含む。この他に、この一次粒子が凝集している凝集粒子を含んでよい。また、一次粒子及び凝集粒子は、表面に二酸化ケイ素等の酸化物を有していてよい。窒化ケイ素粉末における窒化ケイ素の純度は98質量%以上であってよく、99質量%以上であってもよい。
図1は、レーザー回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定される窒化ケイ素粉末の体積基準の粒子径分布の一例を示す図である。横軸は、対数目盛の粒子径[μm]であり、縦軸は頻度[体積%]である。本開示における粒子径分布は、JIS Z 8825:2013「粒子径解析-レーザー回折・散乱法」に記載の方法に準拠して測定される。測定の際、前処理として超音波分散を行う。具体的には、500mLの容器に60mgの窒化ケイ素粉末を計り取る。これに、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムの20%水溶液(20mL)と水(200g)を入れて測定試料を得る。この測定試料が入った容器を、シャープ株式会社製の超音波分散機にセットし、1分間の超音波分散を行う。このような前処理で得られた分散液を用いて、粒子径分布測定を行う。粒子径分布測定には、ベックマンコールター社製のLS-13 320(商品名)を用いる。測定条件としては、粒子屈折率を2.2、溶媒の屈折率を1.33とする。
上述の条件で測定される粒子径分布は、第1ピーク10と、第1ピーク10よりも大きい粒子径領域に第2ピーク20とを有する。第1ピーク10は、窒化ケイ素の一次粒子の粒子径を示している。第1ピーク10(一次粒子)の粒子径d1は、0.2~1.0μmであってよい。粒子径d1の下限は、製造の容易性の観点から、0.3μmであってよく、0.4μmであってよく、0.5μmであってもよい。粒子径d1上限は、焼結性向上の観点から、0.9μmであってよく、0.8μmであってよく、0.7μmであってもよい。
第2ピーク20は、一次粒子、及び一次粒子が凝集して構成される凝集粒子の粒子径を示している。第2ピーク20(頂点)の粒子径d2は1.5μmを超え且つ4.0μm未満であってよい。粒子径d2の下限は、焼結性向上の観点から、1.6μmであってよく、1.7μmであってよく、1.8μmであってもよい。粒子径d2の上限は、焼結性向上の観点から、3.5μmであってよく、3.0μmであってよく、2.5μmであってもよい。
第1ピーク10と第2ピーク20との間の谷底30の粒子径d0は、1.0μmを超え且つ1.5μm以下であってよい。粒子径d0の下限は1.1μmであってよい。粒子径d0の上限は1.3μmであってよい。粒子径d0を含む第1ピーク10と第2ピーク20の間の粒子径範囲には、粒子径分布測定装置(ベックマンコールター社製、商品名:LS-13 320)の検出器が切り替わる粒子径が含まれる。したがって、一次粒子と凝集粒子の境界を明瞭にするとともに、凝集粒子のうち比較的小径であるものがどのくらい含まれているかの指標を取得することができる。粒子径d0は、検出器が切り替わる粒子径であってよい。
粒子径分布における第1ピーク10及び谷底30のベースラインからの高さをそれぞれH0及びH1としたときに、H1/H0が1.6以上である。このように、谷底30の最低高さH0に対する第1ピークの高さH1の比(H1/H0)が所定値以上である窒化ケイ素粉末は、凝集していない窒化ケイ素の一次粒子の割合が十分に高い。このような窒化ケイ素粉末は焼結性に優れるため、窒化ケイ素焼結体の原料として好適に用いることができる。凝集粒子を一層低減する観点から、H1/H0は、1.7以上であってよく、1.75以上であってもよい。H1/H0の上限は、調製の容易性の観点から、2.5であってよく、2.0であってもよい。H1/H0は、例えば、窒化ケイ素粉末を製造する際の粉砕工程における粉砕条件、及び、分級工程における分級条件等によって調整することができる。
最低高さH0の頻度は、0.1~6.0体積%であってよく、1.0~5.0体積%であってもよい。第1ピークの高さH1は、4.0~8.0体積%であってよく、4.8~7.0体積%であってもよい。H1及びH0は、例えば、窒化ケイ素粉末を製造する際の粉砕工程における粉砕条件、及び、分級工程における分級条件等によって調整することができる。
最低高さH0、すなわち谷底30の粒子径d0と第1ピーク10の粒子径d1との差(d0-d1)は0.6μm以下であってよく、0.55μm以下であってよく、0.5μm以下であってもよい。このような窒化ケイ素粉末は、第1ピーク10の粒子径範囲が狭く、粒子径分布がシャープである。したがって、窒化ケイ素焼結体の原料として用いたときに、十分に緻密化された窒化ケイ素焼結体を得ることができる。差(d0-d1)の下限は、製造の容易性の観点から、0.1μmであってよく、0.2μmであってもよい。
第2ピークの粒子径d2と第1ピーク10の粒子径d1との差(d2-d1)は2.0μm以下であってよく、1.5μm以下であってよく、1.4μm以下であってもよい。このような窒化ケイ素粉末は、第1ピーク10と第2ピークの粒子径の差が小さいため、一旦生成した凝集粒子が円滑に解砕されて一次粒子となりやすい。このため、凝集粒子に対する一次粒子の割合が十分に高い。したがって、窒化ケイ素焼結体の原料として用いたときに、十分に緻密化された窒化ケイ素焼結体を得ることができる。差(d2-d1)の下限は、製造の容易性の観点から、0.4μmであってよく、0.6μmであってもよい。
粒子径分布より求められる窒化ケイ素粉末の平均粒子径(D50、メディアン径)は、0.8~1.8μmであってよい。このような窒化ケイ素粉末を窒化ケイ素焼結体の原料として用いれば、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率及び機械的特性を一層高水準にすることができる。同様の観点から、平均粒子径は1.0~1.6μmであってよく、1.1~1.5μmであってもよい。
窒化ケイ素粉末のBET比表面積の上限値は、例えば、5.0~9.0m/gであってよく、6.0~8.0m/gであってよく、6.4~7.5m/gであってもよい。窒化ケイ素粉末のBET比表面積は、例えば、窒化ケイ素粉末の製造時における粉砕条件等を変えることで調整してもよい。本開示におけるBET比表面積は、JIS Z 8830:2013「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に記載の方法に準拠し、窒素ガスを使用してBET一点法によって測定される値である。
窒化ケイ素粉末の表面酸素量は、3.0質量%以下であってよく、2.5質量%以下であってよく、2.2質量%以下であってもよい。窒化ケイ素粉末の表面酸素量が上記範囲内であると、窒化ケイ素焼結体を製造した際の粒界相をより十分に低減することができる。窒化ケイ素粉末の表面酸素量は、0.2質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってもよい。窒化ケイ素粉末の表面酸素量が上記範囲内であると、窒化ケイ素粉末を焼成したときの粒成長を促進することができる。
本開示における「表面酸素量」は以下の手順で求められる。測定には市販の酸素・窒素分析装置を用いる。測定手順は以下のとおりである。測定用の試料を、ヘリウムガスの雰囲気中、8℃/秒の昇温速度で20℃から2000℃まで昇温する。昇温に伴って脱離する酸素を赤外線吸収法によって検知する。昇温当初は、窒化ケイ素粉末の表面に結合している酸素が脱離する。更に加熱し、温度が1400℃近傍に到達すると、窒化ケイ素が分解し始める。窒化ケイ素が分解すると、窒素が検出される。これ以降、窒化ケイ素粉末の内部にある酸素が脱離する。このため、窒素が検出し始めてから検出される酸素は、内部酸素量に相当する。したがって、窒素が検出され始める前までに検出され、定量された酸素量が、本開示における表面酸素量となる。
120℃で測定される窒化ケイ素粉末の水分率は、0.4質量%以下であってよく、0.3質量%以下であってよく、0.2質量%以下であってもよい。120℃で測定される窒化ケイ素粉末の水分率を低くすることによって、窒化ケイ素の一次粒子の凝集を抑制することができる。窒化ケイ素粉末の水分率は、製造の容易性の観点から、0.05質量%以上であってよく、0.1質量%以上であってもよい。
500℃で測定される窒化ケイ素粉末の水分率は、0.5質量%以下であってよく、0.4質量%以下であってよく、0.3質量%以下であってもよい。このように500℃で測定される窒化ケイ素粉末の水分率が低い窒化ケイ素粉末は、高い純度を有する。このため、例えば窒化ケイ素焼結体を作製したときの熱伝導率及び機械的特性を一層高くすることができる。
本開示における「120℃で測定される水分率(水分率1)」及び「500℃で測定される水分率(水分率2)」は、それぞれ以下の手順で求められる。水分率1は、空の秤量瓶を秤量した後、窒化ケイ素粉末のサンプルを5g投入して、秤量瓶とサンプルの合計重量を測定する。これを120℃に設定された乾燥機にて3時間乾燥する。乾燥後、秤量瓶ごとデシケーターに入れ、冷却する。その後、秤量して、サンプルの重量減少量をサンプルの初期重量で割る。この値が水分率1である。
水分率2は、カール・フィッシャー水分計を用いて測定する。測定方法としては空の試料ボードを燃焼管にセットして500℃まで昇温を行ない、ブランク測定を行う。その後、窒化ケイ素粉末のサンプルを装置の試料ボードに0.9~1.0g計り取り、燃焼管にセットする。500℃まで昇温を行なって水分量を分析し、初期重量で割る。この値が水分率2である。
窒化ケイ素粉末と水とを、1:1の質量比で混合して得られるスラリーの25℃における粘度(30rpm)は、10Pa・s以下であってよく、8.0Pa・s以下であってよく、6.0Pa・s以下であってよく、5.0Pa・s以下であってもよい。このように低い粘度を有するスラリーは、固形分である窒化ケイ素粉末の分散性に優れる。このため、湿式成形プロセスで窒化ケイ素焼結体を製造したときに、窒化ケイ素焼結体の性状のばらつきを十分に低減することができる。したがって、高い熱伝導率及び機械的特性を有する窒化ケイ素焼結体を安定的に製造することができる。
同様の理由により、窒化ケイ素粉末と水とを、1:1の質量比で混合して得られるスラリーの25℃における粘度(60rpm)は、6.0Pa・s以下であってよく、5.0Pa・s以下であってよく、4.0Pa・s以下であってよく、3.0Pa・s以下であってもよい。
製造コスト低減の観点から、上記スラリーの25℃における粘度(30rpm)は、1.0Pa・s以上であってよく、2.0Pa・s以上であってもよい。同様の観点から、上記スラリーの25℃における粘度(60rpm)は、0.5Pa・s以上であってよく、1.0Pa・s以上であってもよい。
スラリーの粘度は、窒化ケイ素の一次粒子の凝集状態によって変化する。すなわち、窒化ケイ素の一次粒子の凝集が抑制された窒化ケイ素粉末であれば、スラリーの粘度を低くすることができる。したがって、スラリーの粘度を低くすることが可能な窒化ケイ素粉末を用いれば、乾式成形プロセスであっても、窒化ケイ素焼結体の性状のばらつきを十分に低減することができる。したがって、いずれのプロセスであっても、高い熱伝導率及び機械的特性を有する窒化ケイ素焼結体を安定的に製造することができる。
本開示における「スラリーの粘度」は、以下の手順で測定される。水と窒化ケイ素粉末とを1:1の質量比で配合し、容器下部に粉末が沈殿しない状態になるまで手動で撹拌する。これによって、水中に窒化ケイ素粉末を分散させる。調製したスラリーの粘度を、市販のB型粘度計を用いて測定する。粘度の測定は、25℃において、所定の回転速度(30rpm、及び60rpm)で行う。B型粘度計としては、東機産業株式会社製のTVB-10(商品名)を用いることができる。
上述の窒化ケイ素粉末の製造方法の一例を以下に説明する。本例の窒化ケイ素粉末の製造方法は、ケイ素粉末を、窒素と、水素及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種と、を含む雰囲気下で焼成して焼成物を得る焼成工程と、上記焼成物を乾式粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、上記粉砕物を乾式分級する分級工程と、を有する。
ケイ素粉末としては、酸素濃度の低いケイ素粉末を用いてもよい。ケイ素粉末の酸素濃度は、例えば、0.40質量%以下であってよく、0.30質量%以下であってよく、0.20質量%以下であってもよい。ケイ素粉末の酸素濃度を上記範囲内とすることで、得られる窒化ケイ素粉末の内部における酸素量をより低減できる。ケイ素粉末の酸素濃度の下限値は、例えば、0.10質量%であってよく、0.15質量%であってもよい。ケイ素粉末の酸素濃度は、例えば、0.10~0.40質量%であってよい。なお、ケイ素粉末の酸素濃度は、赤外線吸収法によって測定することができる。
ケイ素粉末は、市販の物を用いてよく、反応によって調製したものを用いてもよい。ケイ素粉末の酸素濃度が高い場合には、例えば、フッ化水素酸を含む前処理液を用いて、ケイ素粉末に結合する酸素量を低減することができる。この場合、フッ化水素酸を含む前処理液を用いてケイ素粉末を前処理し、酸素濃度が0.4質量%であるケイ素粉末を得る前処理工程を更に有していてもよい。
前処理液は、フッ化水素酸を含んでよい。前処理液は、例えば、塩酸等の酸との混酸であってもよく、フッ化水素酸のみからなっていてもよい。前処理工程における前処理液の温度は、例えば、40~80℃であってよい。また、前処理液とケイ素粉末との接触時間は、例えば、1~10時間であってよい。
焼成工程では、ケイ素粉末を、窒素と、水素及びアンモニアからなる群より選択される少なくも一種と、を含む混合雰囲気下で焼成して窒化ケイ素を含む焼成物を得る。混合雰囲気における水素及びアンモニアの合計の含有量は、混合雰囲気全体を基準として、例えば、10~40体積%であってよい。焼成温度は、例えば、1100~1450℃であってよく、1200~1400℃であってもよい。焼成時間は、例えば、30~100時間であってよい。
粉砕工程では、焼成工程で得られた上記焼成物を乾式で粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程は、粗粉砕と微粉砕というように複数段階に分けて行ってもよい。例えば、粉砕工程は、ボールミル粉砕工程及び振動ミル粉砕工程の2つの工程を含んでよい。焼成物を粉砕し、粒度を調整することによって、後の分級工程を円滑に行うことができる。
ボールミル粉砕工程における容器へのボールの充填率は、30~70体積%であってよい。容器へのボールの充填率の下限は、容器の容積を基準として、例えば、50体積%であってよく、60体積%であってもよい。容器へのボールの充填率の上限は、容器の容積を基準として、例えば、65体積%であってもよい。
ボールミル粉砕工程における粉砕処理の時間(粉砕時間)は、5~15時間であってよく、8~12時間であってもよい。これによって、過剰な粉砕を抑制しつつ、凝集粒子を十分に細かくすることができる。
ボールミル粉砕工程で得られた粉砕物を、振動ミル粉砕工程によってさらに粉砕してよい。振動ミル粉砕工程における容器へのボールの充填率は、50~80体積%であってよく、60~75体積%であってもよい。振動ミル粉砕工程における粉砕処理の時間(粉砕時間)は、8~20時間であってよく、12~17時間であってもよい。これによって、過剰な粉砕を抑制しつつ、凝集粒子を十分に細かくすることができる。また、分級工程の処理効率をより向上することができる。
分級工程では、粉砕工程によって得られた上記粉砕物を乾式で分級して、所望の粒子径分布を有する窒化ケイ素粉末を得る。例えば、凝集粒子の少なくとも一部を排除して窒化ケイ素粉末の粒子径分布を調整することができる。乾式分級は、気流分級等によって行うことができる。気流分級器は、二次空気を用いる旋回気流式のものを用いて分級することができる。このような気流分級器としては、例えば、日本ニューマチック工業株式会社製のDS-10(商品名)を用いてよい。
気流分級器の運転条件の一例は以下のとおりである。一次空気圧力(入口圧力)は、例えば、0.2~0.8MPaであってよく、0.3~0.7MPaであってもよい。一次空気量は、1~4m/minであってよく、2~3m/minであってもよい。二次空気取り込み口のクリアランスは、25~45mmであってよく、30~40mmであってもよい。このような条件で分級することによって、粉砕工程で十分に粉砕されない凝集粒子を、粗粒として高精度に除去することができる。
上述の範囲で、二次空気取り込み口のクリアランスを大きくして空気量を増やすと混合比(粉体/空気量)が小さくなって、微粉側の凝集粒子の比率を小さくすることができる。すなわち、微粉として回収される窒化ケイ素粉末に含まれる凝集粒子の割合を小さくすることができる。上述の範囲で、二次空気取り込み口のクリアランスを小さくして空気量を減らすと混合比(粉体/空気量)が小さくなって、微粉側の凝集粒子の比率を大きくなる。すなわち、微粉として回収される窒化ケイ素粉末に含まれる凝集粒子の割合が大きくなる。
分級工程前の粉砕粉の全量に対する、分級後(粗粒除去後)の窒化ケイ素粉末の比率は、40~60質量%であってよく、45~55質量%であってよい。この比率を低くすれば、凝集粒子の含有割合を一層低くすることができる。すなわち、ピークの高さの比(H1/H0)を一層小さくすることができる。一方、上記比率を高くすれば、窒化ケイ素粉末の製造コストを低減できる。
以上の工程によって、本実施形態の窒化ケイ素粉末を製造することができる。ただし、上述の製造方法は一例であり、これに限定されない。本実施形態の窒化ケイ素粉末は、凝集粒子が低減されていることから、焼結性に優れる。このため、窒化ケイ素粉末は焼結原料に用いてもよい。
窒化ケイ素焼結体の製造方法の一実施形態は、上述の窒化ケイ素粉末を含む焼結原料を成形して焼成する工程を有する。
焼結原料は、窒化ケイ素粉末の他に、酸化物系焼結助剤を含んでもよい。酸化物系焼結助剤としては、例えば、Y3、MgO及びAl等が挙げられる。焼結原料における酸化物系焼結助剤の含有量は、例えば、3~10質量%であってよい。
上記工程では、上述の焼結原料を例えば3.0~30MPaの成形圧力で加圧して成形体を得る。成形体は一軸加圧して作製してもよいし、CIPによって作製してもよい。また、ホットプレスによって成形しながら焼成してもよい。成形体の焼成は、窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行ってよい。焼成時の圧力は、0.7~1MPaであってよい。焼成温度は1860~2100℃であってよく、1880~2000℃であってもよい。当該焼成温度における焼成時間は6~20時間であってよく、8~16時間であってよい。焼成温度までの昇温速度は、例えば1.0~10.0℃/時間であってよい。
得られる窒化ケイ素焼結体は、粗粒が低減されており、均一性に優れる微細組織を有する。また、十分に緻密な組織を有するため、熱伝導率及び機械的特性に優れる。また、粒子の大きさの変動が低減されているため、窒化ケイ素焼結体の性状のばらつきを低減することができる。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。また、上述した各実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明する。ただし、本開示は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<窒化ケイ素粉末の調製>
ケイ素粉末を用いて成形体(嵩密度:1.4g/cm)を作製した。得られた成形体を電気炉内に静置し、1400℃で60時間焼成し、窒化ケイ素を含む焼成体を作製した。焼成時の雰囲気として、窒素と水素との混合ガス(NとHとを標準状態における体積比で80:20となるように混合した混合ガス)を供給した。得られた焼成体を粗粉砕した後、ボールミルで乾式粉砕した。ボールミルによる粉砕では、容器に対するボールの充填率を60体積%とし、粉砕時間を8時間とした。更に振動ミルにて乾式粉砕した、容器に対するボールの充填率を70体積%とし、粉砕時間を15時間とした。
乾式粉砕して得られた窒化ケイ素粉末を、分級器(日本ニューマチック工業株式会社製、商品名:DS-10)を用いて分級した。分級条件は、以下のとおりとした。
一次空気圧力:0.4MPa
一次空気量:2m/min
二次空気取り込み口のクリアランス:30mm
分級によって、窒化ケイ素粉末から粗粒(凝集粒子)を除去した。分級前の窒化ケイ素粉末の全質量を基準とする、分級後の窒化ケイ素粉末の質量比率は、43質量%であった。この分級後の窒化ケイ素粉末とは、粗粒(凝集粒子)を除去して得られた窒化ケイ素粉末を意味する。以下の実施例及び比較例でも同様である。このようにして得られた窒化ケイ素粉末を、以下のとおり評価した。
<粒子径分布の測定>
レーザー回折・散乱法によって窒化ケイ素粉末の粒子径分布を測定した。測定は、JIS Z 8825:2013「粒子径解析-レーザー回折・散乱法」に記載の方法に準拠して行った。粒子径分布の測定は、500mLの容器に60mgの窒化ケイ素粉末を計り取った。これに、分散剤として、ヘキサメタリン酸ナトリウムの20%水溶液(2mL)と水(200g)を配合した。この容器を、シャープ株式会社製の超音波分散機に、分散液の収容部分が全て浸漬されるようにセットし、1分間の超音波分散を行った。超音波分散後の試料を用いて上述の粒子径分布測定を行った。測定した粒子径分布は、図2に示すとおりであった。
図2に示すとおり、粒子径分布では2つのピークが検出された。粒子径が小さい方を第1ピーク、及び、粒子径が大きい方を第2ピークと称する。第1ピークと第2ピークの間の谷底の粒子径d0と当該谷底における頻度(最低高さH0)は、表1に示すとおりであった。また、第1ピークの粒子径d1と頻度(高さH1)、最低高さH0に対する高さH1の比(H1/H0)、粒子径d0と粒子径d1の差(d0-d1)、第2ピークの粒子径d2、及び粒子径d2と粒子径d1の差(d2-d1)は表1に示すとおりであった。平均粒子径(メディアン径:D50)は表2に示すとおりであった。
<BET比表面積の測定>
BET比表面積は、JIS Z 8803:2013に準拠し、窒素ガスを使用してBET一点法により測定した。結果は表2に示すとおりであった。
<表面酸素量の測定>
表面酸素量は、酸素・窒素分析装置(株式会社堀場製作所製、装置名:EMGA-920)を用いて測定した。具体的には、窒化ケイ素粉末を、ヘリウム雰囲気中、昇温速度8℃/秒で20℃から2000℃まで加熱し、窒素が検出される前までの酸素量を定量することで測定した。結果は表2に示すとおりであった。
<水分率(120℃)の測定>
空の秤量瓶を秤量した後、窒化ケイ素粉末のサンプルを5g投入し、合計の重量を秤量した。これを120℃に設定した乾燥機内で3時間乾燥した。乾燥後、秤量瓶ごとデシケーターに入れて冷却した。その後、秤量を行い、サンプルの重量減少量をサンプルの初期重量で割った。この値を120℃で測定される水分率とした。結果は表2に示すとおりであった。
<水分率(500℃)の測定>
カール・フィッシャー水分計を準備した。空の試料ボードを燃焼管にセットして500℃まで昇温を行ない、ブランク測定を行った。その後、窒化ケイ素粉末のサンプルを装置の試料ボードに0.9~1.0g計り取り、燃焼管にセットした。500℃まで昇温を行なって水分量を分析し、初期重量で割った。この値を500℃で測定される水分率とした。結果は表2に示すとおりであった。
<スラリー粘度の測定>
水と窒化ケイ素粉末とを1:1の質量比で配合し、手動で容器下部に粉末が沈殿しない状態になるまで撹拌してスラリーを調整した。調製したスラリーの25℃における粘度をB型粘度計(東機産業株式会社製、商品名:TVB-10)を用いて測定した。測定は30rpmと60rpmで行った。結果は、表2に示すとおりであった。
(実施例2)
分級条件を、以下のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ケイ素粉末を調製した。分級前の窒化ケイ素粉末の全質量を基準とする、分級後の窒化ケイ素粉末の質量比率は、45質量%であった。得られた窒化ケイ素粉末について、実施例1と同様の各測定を行った。結果は表1及び表2に示すとおりであった。
一次空気圧力:0.4MPa
一次空気量:2m/min
二次空気取り込み口のクリアランス:35mm
(実施例3)
分級条件を、以下のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ケイ素粉末を調製した。分級前の窒化ケイ素粉末の全質量を基準とする、分級後の窒化ケイ素粉末の質量比率は、48質量%であった。得られた窒化ケイ素粉末について、実施例1と同様に各測定を行った。結果は表1及び表2に示すとおりであった。
一次空気圧力:0.4MPa
一次空気量:2m/min
二次空気取り込み口のクリアランス:40mm
(比較例1)
分級条件を、以下のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ケイ素粉末を調製した。分級前の窒化ケイ素粉末の全質量を基準とする、分級後の窒化ケイ素粉末の質量比率は、62質量%であった。得られた窒化ケイ素粉末について、実施例1と同様に各測定を行った。結果は表1及び表2に示すとおりであった。
一次空気圧力:0.4MPa
一次空気量:2m/min
二次空気取り込み口のクリアランス:55mm
(比較例2)
分級条件を、以下のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ケイ素粉末を調製した。分級前の窒化ケイ素粉末の全質量を基準とする、分級後の窒化ケイ素粉末の質量比率は、64質量%であった。得られた窒化ケイ素粉末について、実施例1と同様に各測定を行った。結果は表1及び表2に示すとおりであった。測定した粒子径分布は、図3に示すとおりであった。
一次空気圧力:0.2MPa
一次空気量:1m/min
二次空気取り込み口のクリアランス:55mm
(比較例3)
分級条件を、以下のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ケイ素粉末を調製した。分級前の窒化ケイ素粉末の全質量を基準とする、分級後の窒化ケイ素粉末の質量比率は、65質量%であった。得られた窒化ケイ素粉末について、実施例1と同様に各測定を行った。結果は表1及び表2に示すとおりであった。
一次空気圧力:0.2MPa
一次空気量:1m/min
二次空気取り込み口のクリアランス:60mm
Figure 0007242972000001
Figure 0007242972000002
各実施例の窒化ケイ素粉末は、水中の分散性が良好であり、各比較例の窒化ケイ素粉末を用いた場合よりも、スラリーの粘度を低減できることが確認された。図4は、各実施例及び各比較例のピーク比(H1/H0)と、スラリーの粘度との関係を示すグラフである。各実施例の窒化ケイ素粉末を用いれば、低粘度のスラリーを調製することができる。このような窒化ケイ素粉末を用いることによって、性状のばらつきが十分に低減された窒化ケイ素焼結体を製造することができる。
本開示によれば、窒化ケイ素の一次粒子の凝集が十分に抑制されている窒化ケイ素粉末が提供される。また、このような窒化ケイ素粉末を用いることによって、優れた性状を有する窒化ケイ素焼結体の製造方法が提供される。
10…第1ピーク、20…第2ピーク、30…谷底。

Claims (9)

  1. 窒化ケイ素の一次粒子を含み、
    レーザー回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定される体積基準の粒子径分布が、第1ピークと、第1ピークよりも大きい粒子径領域に第2ピークとを有し、
    前記第1ピークと前記第2ピークとの間の頻度の最低高さ及び前記第1ピークの高さを、それぞれH0及びH1としたときに、H1が4.0~8.0体積%、且つH1/H0が1.6以上であり、
    前記粒子径分布において、前記最低高さH0における粒子径d0と前記第1ピークにおける粒子径d1との差が0.6μm以下であり、
    表面酸素量が0.5質量%以上である、窒化ケイ素粉末。
  2. 前記第2ピークの粒子径d2と前記第1ピークの粒子径d1との差が2.0μm以下である、請求項1に記載の窒化ケイ素粉末。
  3. 窒化ケイ素の一次粒子を含み、
    レーザー回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定される体積基準の粒子径分布が、第1ピークと、第1ピークよりも大きい粒子径領域に第2ピークとを有し、
    前記第1ピークと前記第2ピークとの間の頻度の最低高さ及び前記第1ピークの高さを、それぞれH0及びH1としたときに、H1が4.0~8.0体積%、且つH1/H0が1.6以上であり、
    前記第2ピークの粒子径d2と前記第1ピークの粒子径d1との差が2.0μm以下であり、
    表面酸素量が0.5質量%以上である、窒化ケイ素粉末。
  4. 窒化ケイ素の一次粒子を含み、
    レーザー回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定される体積基準の粒子径分布が、第1ピークと、第1ピークよりも大きい粒子径領域に第2ピークとを有し、
    前記第1ピークと前記第2ピークとの間の頻度の最低高さ及び前記第1ピークの高さを、それぞれH0及びH1としたときに、H1が4.0~8.0体積%、且つH1/H0が1.6以上であり、
    前記第1ピークの粒子径d1は0.2~1.0μmであり、前記第2ピークの粒子径d2は1.5μmを超え且つ4.0μm未満であり、
    表面酸素量が0.5質量%以上である、窒化ケイ素粉末。
  5. 120℃で測定される水分率が0.4質量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の窒化ケイ素粉末。
  6. 平均粒子径は0.8~1.8μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の窒化ケイ素粉末。
  7. 前記表面酸素量は3.0質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の窒化ケイ素粉末。
  8. 1:1の質量比で水と混合して得られるスラリーの25℃における粘度(30rpm)が10Pa・s以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の窒化ケイ素粉末。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の窒化ケイ素粉末を含む焼結原料を用いて窒化ケイ素焼結体を得る工程を有する、窒化ケイ素焼結体の製造方法。
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