JP7242374B2 - 水処理システム、整流部材及び水処理システムの更新方法 - Google Patents
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Description
一般に、反応槽内に撹拌機を備える水処理システムにおいては、反応槽内の撹拌効率を高めるとともに、消費電力の低減などの省エネルギー化が求められている。
したがって、反応槽内に障害物がある水処理システムにおいて、撹拌機の台数を減らしても、障害物付近の十分な撹拌状態を維持できるようにすることが求められている。
すなわち、本発明は、以下の水処理システム、整流部材及び水処理システムの更新方法である。
この特徴によれば、整流部材の形状及び配置は、反応槽の底部の流速を基準として決定される。これにより、水処理システムは、反応槽内で必要な撹拌効率(流速)を安定して維持することが可能となる。
この特徴によれば、撹拌機を備え、障害物のある既設の反応槽に対して、障害物付近の被処理水の流れを整流する形状を有する整流部材を配置することが可能となる。これにより、反応槽内の撹拌機を障害物の両側に設けることなく、障害物付近を十分な撹拌状態とすることが可能となる。また、これにより、駆動する撹拌機の台数を減らしても、反応槽内の障害物付近を十分な撹拌状態とすることができる水処理システムを容易に形成することが可能となる。
本発明の水処理システムの更新方法によれば、障害物付近の流れを整流する整流部材を設けることで、駆動する撹拌機の台数を減らしても、反応槽全体における撹拌効率を維持することが可能となる。また、反応槽内で駆動する撹拌機の台数を元の台数よりも減らすことで、水処理システムのランニングコストや保守管理に係るコスト等を低減させることが可能となる。
本発明の水処理システムの更新方法によれば、複数の反応槽の間の壁を取り除いて反応槽を集約し、かつ駆動する撹拌機の台数を元の台数よりも減らすことで、水処理システムのランニングコストを低減することができる。また、このとき、反応槽間の壁の構造物を一部残すことで、反応槽の天井部を支える柱など、反応槽全体としての強度を維持することが可能となる。さらに、残った構造物付近の流れを整流する整流部材を設けることにより、駆動する撹拌機の台数を減らしても、反応槽全体における撹拌効率を維持することが可能となる。
(水処理システム)
図1は、本発明の実施態様の水処理システムの構造を示す概略説明図である。なお、図1(A)は、本実施態様における水処理システムの構造を示す斜視図であり、図1(B)は、本実施態様における水処理システムの構造を示す平面図である(図1(A)のx-y平面図)。
本実施態様に係る水処理システム1は、図1に示すように、被処理水Wを導入する反応槽2と、反応槽2内を撹拌する撹拌機3とを備えている。また、反応槽2内には障害物4が配されており、障害物4の近傍には整流部材5を備えている。なお、図1中の太線の矢印は、撹拌機3による被処理水Wの流れ(以下、単に「流れ」ともいう。)を示している。
本実施態様における撹拌機3は、図1に示したものに限定されるものではない。他の撹拌機3の例としては、例えば、反応槽2内の撹拌効率を上げるために、回転軸31に撹拌羽根32を複数段設けたものや、撹拌羽根32の外側にドラフトチューブを設けたものなどが挙げられる。
また、本実施態様の撹拌機3は、撹拌動力密度が低いものであることが好ましい。これにより、反応槽2内に設ける撹拌機3の台数を減らした場合、特にランニングコストを低減させることができる。
整流部材5は、撹拌機3により生じる障害物4付近の流れを整流するためのものである。また、整流部材5は、反応槽2内に配置されるものである。
図1に示すように、整流部材5は、障害物4の近傍に設けられ、撹拌機3からの強い流れが届きにくい箇所(撹拌機3から見て障害物4の裏側等)に流れを誘導するものである。
また、整流部材5を反応槽2内に配置する手段については特に限定されない。反応槽2の底部や障害物4に対して、ボルト、ねじなどの固定部材を用いて整流部材5を固定することや、整流部材5自体の重量を重くするか、整流部材5に対する重りを取り付けることで反応槽2の底部に沈降した状態を維持させることなどが挙げられる。
整流部材5の形状及び配置を決定する手段としては、例えば、後述する流速シミュレーションを利用することや、反応槽2の底部に流速計を設け、整流部材5を反応槽2内に設けた際の流速計の実測値から好適な整流部材5の組み合わせを決定することなどが挙げられる。
図2は、本実施態様の水処理システムにおける整流部材の別の態様を示す概略説明図である(図1(A)のx-y平面図)。例えば、図2(A)に示すように、整流部材5は、障害物4の近傍に曲板を設け、障害物4の周辺に流れを集約させるものとしてもよい。また、図2(B)に示すように、整流部材5は、障害物4に接するように三角柱を設けるものとしてもよい。このとき、流れ方向に対して障害物4の前後に整流部材5を設けることで、撹拌機3からの流れを障害物4の後ろ側にスムーズに誘導できるようにするものとしてもよい。
本実施態様における水処理システムについて、流速シミュレーションを行った。なお、流速シミュレーションは、市販の流体シミュレーション用ソフトを用いて行っている。
シミュレーションの対象とした水処理システムの構造は、上記図1で示した水処理システムの配置に基づくものとした。その結果を図3に示す。なお、図3(A)は、水処理システム1の側面図(図1(A)のx-z平面図)内に、中央速度分布を示したものである。また、図3(B)は、水処理システム1の平面図(図1(A)のx-y平面図)内に、底部速度分布を示したものである。
なお、図3及び図4に係る流速シミュレーションの条件は、本実施態様における水処理システム(図3)には整流部材を設け、比較例の水処理システム(図4)には整流部材がないこと以外については同一としている。
本発明の水処理システムの更新方法は、反応槽及び撹拌機を備える既設の水処理システムを、十分な撹拌状態を維持することができ、かつ撹拌機の台数を減らして、ランニングコストやメンテナンスに係るコストを低減することができる水処理システムに更新するものである。
図5及び図6は、本実施態様における水処理システムの更新に係る工程の説明図である。
なお、図5及び図6に示した水処理システムの構造について、図1に示した水処理システムの構造と同じものについては説明を省略する。
したがって、更新後の水処理システム10Aは、更新前の水処理システム100Aと比較して、駆動する撹拌機の台数を減らしたものとなる。これにより、撹拌機が本来持っている高い性能を十分に生かし、水処理システムの省エネルギー化が可能となる。また、撹拌機の台数を減らすことで、水処理システムに係るランニングコストの低減、及びメンテナンスに係るコストの低減が可能となる。
図7~図9は、本実施態様における水処理システムの更新に係る工程の説明図である。
なお、図7~図9に示した水処理システムの構造について、図1に示した水処理システムの構造と同じものについては説明を省略する。
ここで、一部の構造物4Aとは、反応槽20の天井部を支えるための柱など、反応槽20内に残す必要がある構造物を指すものであり、本実施態様の水処理システム1における障害物4に相当するものである。
なお、図7では、反応槽2Aと反応槽2Bの2つの反応槽を1つの反応槽20に集約するものについて説明しているが、集約対象となる反応槽の数はこれに限定されるものではない。また、反応槽2Aと反応槽2Bの間の壁を取り除いた際に、反応槽2Aと反応槽2B間を連通させるための連絡水路を設けるものとしてもよい。
したがって、更新後の水処理システム10Bは、更新前の水処理システム100Bと比較して、反応槽の面積が広くなり、かつ駆動する撹拌機の台数を減らしたものとなる。これにより、撹拌機が持つ高い性能を十分に生かし、水処理システムの省エネルギー化が可能となる。また、撹拌機の台数を減らすことで、水処理システムに係るランニングコストの低減、及びメンテナンスに係るコストの低減が可能となる。
これにより、駆動する撹拌機の台数を減らすことが可能となるとともに、撹拌機が持つ高い性能を十分に生かし、水処理システムの省エネルギー化が可能となる。また、撹拌機の台数を減らすことで、水処理システムに係る種々のコスト(ランニングコスト、保守管理に係るコスト等)を低減させることが可能となる。
これにより、区画壁を支える柱を残した状態で撹拌効率を維持することができる水処理システムに更新することが可能となる。また、この場合、区画壁を支える柱は残るため、反応槽に導入される被処理水の水量や性質によっては区画壁を戻して処理を行うことも可能となる。
Claims (5)
- 槽内に障害物のある反応槽と、
前記反応槽内の撹拌を行う撹拌機と、
前記撹拌機により生じる前記障害物付近の流れを整流する整流部材と、を備え、
前記障害物は、前記反応槽内に配置され、かつ撹拌効率を悪化させるものであり、
前記整流部材は、前記障害物の近傍に設けられ、前記反応槽の底面から垂直方向に20cm以上の大きさであることを特徴とする、水処理システム。 - 前記整流部材は、前記反応槽の底部の流速が所定の値となるように、形状及び配置が決定されることを特徴とする、請求項1に記載の水処理システム。
- 槽内に配置され、かつ撹拌効率を悪化させる障害物のある反応槽及び前記反応槽内の撹拌を行う撹拌機を備えた水処理システムに設けられる整流部材であって、
前記撹拌機により生じる前記障害物付近の流れを整流するための形状を有し、前記反応槽内の前記障害物の近傍に配置され、前記反応槽の底面から垂直方向に20cm以上の大きさであることを特徴とする、整流部材。 - 槽内に障害物のある反応槽内で複数の撹拌機による撹拌を行う水処理システムの更新方
法であって、
前記撹拌機により生じる前記障害物付近の流れを整流する整流部材を設置する整流部材
設置ステップと、
駆動する撹拌機の台数を、元の台数よりも少なくする撹拌機台数削減ステップとを備え、
前記障害物は、前記反応槽内に配置され、かつ撹拌効率を悪化させるものであり、
前記整流部材は、前記障害物の近傍に設けられ、前記反応槽の底面から垂直方向に20cm以上の大きさであることを特徴とする、水処理システムの更新方法。 - 近接した複数の反応槽内の各々で撹拌機による撹拌を行う水処理システムの更新方法で
あって、
前記反応槽間の壁を、一部の構造物を残した状態で取り除き、前記反応槽間を連通可能
とする槽壁撤去ステップと、
前記槽壁撤去ステップ後、残った前記構造物付近の流れを整流する整流部材を設置する
整流部材設置ステップと、
駆動する撹拌機の台数を、元の台数よりも少なくする撹拌機台数削減ステップとを備え、
前記整流部材は、前記構造物の近傍に設けられ、前記反応槽の底面から垂直方向に20cm以上の大きさであることを特徴とする、水処理システムの更新方法。
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