以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1(a)、(b)は、本実施形態を適用可能な記録装置10の斜視図および側面図である。図においてX方向は記録媒体の幅方向であり、Y方向は記録媒体の幅方向と直交する水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
記録装置10は、記録媒体Wに記録を行う本体1と、本体1を支持する脚部2と、本体1で記録され本体1の排出口1aから排出された記録媒体Wを載置または収容するスタッカ3とを備えている。本体1とスタッカ3とは、接離可能に構成されており、作業時以外では本体1とスタッカ3とを分けて配置することができる。
本体1は、ロール紙保持部160、161と、ロール紙保持部160、161より供給された記録媒体Wに対して記録を行う記録部5と、記録後の記録媒体Wを排出する排出口1aと、操作部4とを備える。ロール紙保持部160、161は、ロール状の記録媒体Wを回転可能に保持し、排出口1aが開口する本体1の正面側においてZ方向に並んで配置される。ロール紙の交換作業等を行う際、ユーザーは、スタッカ3を移動して本体1を正面側から開放し、ロール紙保持部160、161にアクセスすることができる。尚、下方に位置するロール紙保持部161については、ロール紙保持部160から供給されて記録部5によって記録された記録媒体Wを巻き取る機能を備えるようにしてもよい。
ロール紙保持部160、161から択一的に供給された記録媒体Wは、記録部5で記録が行われ、記録が完了した記録媒体Wは、記録部5の搬送方向下流に設けられたカッター6によって所定の位置で切断されて排出口1aから排出される。排出口1aには排出口ガイド1bが設けられており、排出口1aから排出された記録媒体Wをスタッカ3へと案内する。記録動作に伴って排出口1aから排出される記録媒体Wは、排出口ガイド1bを過ぎると自重により進行方向を-Z方向に変えて垂れ下がりスタッカ3で収容される。
スタッカ3は、薄く平坦で柔軟性がある布やプラスチックからなる可撓性部材であるシート状の受容体40を備え、受容体40によって排出口1aから排出される記録媒体Wを収容する。
本体1の正面側には、操作部4が設けられており、操作部4に設けられた各種スイッチをユーザーが操作することによって、記録媒体Wのサイズ指定やオンライン/オフラインの切り替え等の各種コマンドを入力することができる。
本実施形態では、2つのロール紙保持部160、161を備えた2段ロール紙構成を前提に説明するが、本発明は3つ以上のロール紙保持部を有する記録装置に適用してもよい。
図2は、本体1内部の骨格となるフレーム600の構造を示す図である。フレーム600は、不図示の記録ヘッドを搭載してX方向の紙幅方向に移動するキャリッジ601と、キャリッジ601をX方向に移動可能に支えるキャリッジステイ602と、を備えている。更にフレーム600は、記録ヘッドによって記録される記録媒体Wを支持するプラテン603と、プラテン603を支持するプラテンステイ604と、キャリッジステイ602やプラテンステイ604を両側部で支持する側部支持体610と、を備えている。側部支持体610は、レッグ612によって鉛直下方から支持されている。また、レッグ612の下部にはフット613が設けられている。フット613の正面に設けられた面2aは、使用時にスタッカ3が当接する面である。
本実施形態のように、記録装置の主要部である記録部や搬送部を両側から支える側部支持体610を、支柱となるレッグ612によって鉛直下方より支持することにより、側部支持体610の変形を抑え、記録部や搬送部の撓みを抑えることができる。
図3は、スタッカ3の構成を示す斜視図である。スタッカ3は、X方向に延在するバックステイユニット320と、バックステイユニット320の両端を鉛直下方から支持するステイレッグユニット310と、ステイレッグユニット310を更に鉛直下方から支持するフットユニット300とを含む。
バックステイユニット320はX方向に延在するバックステイ321と、バックステイ321上に配設されたガイドフラッパユニット180と、バックステイ321の両端に取付けられた2つのアッパーロッドベース322とを有する。2つのアッパーロッドベース322が2つのステイレッグユニット310にそれぞれ接続されることにより、バックステイユニット320全体がステイレッグユニット310によって支持される。
ステイレッグユニット310は、X方向に延在するステイ311と、Z方向に延在する2つのレッグ312とがコの字型に連結された一体構成を成している。ステイ310とレッグ312との2つの連結部はカバー313によって覆われている。
フットユニット300は、ステイレッグユニット310の設置面が配され、Y方向に延在する2つのフットフレーム302を有している。それぞれのフットフレーム302には、2個ずつのキャスター301が取り付けられ、スタッカ3全体がX方向およびY方向に移動可能である。また、それぞれのフットフレーム302には、サイドロッド11、接触部材303、及びロッド保持部材31が取り付けられている。
サイドロッド11は、フットフレーム302より斜め上方に延在し、その先端部は後述するフロントロッド20と接続する。また、サイドロッド11には、後述するアッパーロッド121を設置可能なロッドホルダ304が取り付けられている。
接触部材303は、フットフレーム302よりX方向の外側に水平に突出し、本体1の脚部2と当接して本体1との相対的な位置を規制する。ロッド保持部材31は、上面に設けられた凹部で後述するリアロッド30及びストッパーロッド35を保持する。
フロントロッド20、リアロッド30及びアッパーロッド121は、受容体40に設けられた穴袋にそれぞれ通された状態で、記録装置の所定箇所に設置される。
フロントロッド20は、両端に取り付けられた2つのフロントロッドサポート331を介してサイドロッド11に接続されて保持される。リアロッド30と、ストッパー36が取り付けられたストッパーロッド35は、ロッド保持部材31に設けられた凹部で保持される。アッパーロッド121は、アッパーロッドベース322の他、ロッドホルダ304に設置することが可能である。
本実施形態では、アッパーロッド121の設置位置によって、記録媒体Wを収容する受容体40の形状を様々に変化させることができる。
図4(a)および(b)は、本体1とスタッカ3との位置関係を示す図である。図4(a)は、スタッカ3が本体1から離れている状態を示した斜視図、図4(b)はスタッカ3が本体1と近接している状態を示した斜視図である。記録装置の使用に際し、図4(a)から図4(b)に移動させるとき、ユーザーはスタッカ3をキャスター301でX方向およびY方向に移動させ、スタッカ3の左右の接触部材303を本体1の脚部2の正面側の面2aに当接させる。これにより、本体1に対するスタッカ3のY方向の位置が決まる。
図5は、ガイドフラッパユニット180を示した斜視図である。X方向に延在するバックステイ321には、複数のガイドプレート400が設置され、夫々のガイドプレート400を土台として、ガイド184、シートガイドホルダ186、シートガイド185、フラッパ183が取り付けられている。シートガイドホルダ186は、シートガイド185を回動可能に保持している。
シートガイド185は、不図示のねじりコイルバネにより-Y方向側(本体1側)に付勢されている。複数のシートガイド185が本体1の前面に当接することにより、本体1から排出された記録媒体Wをスタッカ3に受け渡すためのパス連結部が形成される。
ガイド184において、シートガイドホルダ186と反対の側(Y方向側)にはフラッパ183が回動可能に取り付けられている。更に、複数のフラッパ183の先端には、X方向に延在するガイドロッド182が保持されている。このような構成のもと、ユーザーはガイドロッド182を手に取り、複数のフラッパ183を同時に回動させることが出来る。
なお、ガイド部材である個々のフラッパ183には、本体1の排出口1aから排出された記録媒体Wとの摩擦抵抗を抑え、記録媒体Wを所望の方向へ案内するためのリブが形成されている。フラッパ183の内部がリブ構成となっているため、フラッパ183は軽量化され、ユーザーは小さな力でフラッパ183を開閉することができる。
ここで、複数のシートガイド185にねじりコイルバネを配することの効果について簡単に説明する。本体1とスタッカ3とを接続する場合、ユーザーはフットユニット300に配された接触部材303を本体1の脚部2に当接させ、本体1に対するスタッカ3の位置決めを行う。このとき、接触部材303よりも鉛直上方に離れた位置にあるパス連結部では、多くの部品公差の影響が重なりY方向の相対距離がX方向の位置に応じてばらつくおそれが生じる。本実施形態のように、複数のシートガイド185のそれぞれにねじりコイルバネを配することにより、X方向の夫々の位置で部品公差を吸収し、X方向の全域に渡って良好な接触状態を得ることができる。
図6(a)および(b)は、フラッパ183を開いた状態と閉じた状態を示す図である。図6(a)はフラッパ183を開いた状態の側面図と部分拡大図であり、図6(b)は、フラッパ183を閉じた状態の側面図と部分拡大図である。
フラッパ183は、ユーザーがガイドロッド182を移動させることにより、回動中心189を軸として回動し図6(a)に示す開放位置と図6(b)に示す閉鎖位置との間を移動可能である。
図6(a)に示す開放位置において、ガイドプレート400は露出しており、排出口1aから排出される記録媒体Wは、フラッパ183、ガイド184、シートガイドホルダ186に囲まれたコの字型の受容空間188に案内される。
アッパーロッドベース322にアッパーロッド121が装着されている状態でフラッパ183を開放位置に移動する場合、フラッパ183は、先端がアッパーロッド121と当接することによって位置決めされる(図8(a)参照)。アッパーロッドベース322にアッパーロッド121が未装着の状態でもフラッパ183を開く場合がある。その際、フラッパ183は、ガイドロッド182の両端のキャップ部材181がアッパーロッドベース322の平面部322bに当接することで位置決めされる(図8(b)参照)。
図6(b)に示す閉鎖位置において、フラッパ先端部183aは本体1と接触し受容空間188を塞いでいる。フラッパ先端部183aは回動中心189の鉛直上方よりも本体1の側に傾き、フラッパ183全体が本体1に寄りかかっている。すなわち、付勢力を生成するためのバネ等の部品を用意することなく、フラッパ183とガイドロッド182の自重のみによって、フラッパ183と本体1とを適切に当接させることができる。
このような閉鎖位置において、排出口1aから排出される記録媒体Wは、フラッパ183の背面のリブに沿って鉛直下方に案内される。
図7(a)、(b)はフラッパ183とガイドロッド182の取り付け構成を示した斜視図および断面図である。図7(a)に示すように、フラッパ183とガイドロッド182は、これらにビス187を貫通することによって固定される。このとき、図7(b)に示すように、ビス187、フラッパ183、及びガイドロッド182の間には、隙間Tを設けた状態すなわち隙間T分の遊びを持たせた状態で固定される。このような隙間Tは、例えばビス187として段付きのものを用いることによって形成可能である。
ガイドロッド182とフラッパ183との間に隙間Tを設けることにより、フラッパ183を本体1やアッパーロッド121と当接させる際に、複数個のフラッパ183の先端部183aを、X方向の夫々の位置で適切に当接させることができる。
例えば、図8(a)のように開放位置にあるフラッパ183の先端183aをアッパーロッド121の支持面に載せる場合、隙間Tを設けていることで、X方向のいずれの位置のフラッパの先端部183aもアッパーロッド121に適切に当接させることができる。そのため、全てのフラッパ183を略同一角度に維持することができる。これにより、フラッパ183上に積載された記録媒体Wの荷重は、フラッパ先端部183aを介してアッパーロッド121の全域で均等に受けるため、積載時の耐荷重性を確保し、フラッパ183の破損を抑制することができる。
また図6(b)のように、フラッパ183の先端183aを本体1に当接させて閉鎖位置とする場合、隙間Tを設けていることで、X方向のいずれの位置のフラッパの先端部183aも本体1に当接させ受容空間188へのシートの進入を規制することができる。これにより、記録媒体Wがフラッパ先端部183aと本体1との隙間に入り込むことを防止することができる。
一方、図8(b)のように、アッパーロッドベース322にアッパーロッド121が未装着の状態でフラッパ183が開放位置にある場合、複数のフラッパ183は自重と遊びによってガイドロッド182からぶら下がった状態となる。従って、ガイドロッド182はフラッパ183の受け部183bよりも鉛直上方に突出し、排紙されたロール紙を、その幅方向に一様で連続なガイドロッド182で受けることができる。
図9(a)、(b)は、フラッパ183が開放位置にあるときの、記録媒体の排出状態を説明するための部分拡大側面図である。受容空間188は、ガイド184による第1規制面184aと、シートガイドホルダ186による第2規制面186bによって形成される。シートガイドホルダ186の、正面手前側(Y方向先端)には、突起186dが配されている。受容空間188において、鉛直方向の大きさV1は、フラッパ183に記録媒体Wを最大数載置した際の厚さと、記録媒体先端のカール量の最大値と、の合計より大きくなるように設計されている。ここで、カール量の最大値とは、記録媒体を鉛直下方向に垂らした状態で記録媒体Wの最下面から鉛直上方向に最大に反り返った記録媒体先端までの距離を示す。
記録媒体Wの先端カールは、ロール紙の芯となる紙管の径が小さいほど、又紙管に近い領域ほど大きくなる。例えば、一般的に多く使用される直径2inch(50.8mm)の芯に巻かれた厚さ0.1mmの普通紙においては、紙管に近い部分の先端を鉛直下方向に垂らしたとき、最下面から鉛直上方向に反り返った先端までの距離が10mmであったとする。本実施形態では、このようにカールした記録媒体が受容空間188に進入し、更に100枚積載可能なように、受容空間188の高さV1を設定する。すなわち、普通紙を100枚載置した場合の厚さ10mm(=100×0.1)と反り返り先端までの距離10mmを加算して、V1は20mm以上とする。
また、受容空間188の天井部分となる第2規制面186bのY方向の長さは、紙管の半径25.4mmより小さくなるように形成されている。更に突起186dの垂直方向の高さ、すなわち、第2規制面186bからの突出量は、使用が想定される記録媒体の最大の厚さよりも大きくなるように形成され、本実施形態では、普通紙の紙厚0.1mmより大きくなるよう形成されている。
排出口1aから排出されカールした記録媒体Wの先端は、図9(a)に示すように、受容空間188に進入する。記録媒体Wの先端は受容空間188の内壁に当接した後、後続する領域が排出されるのに伴ってY方向に向きを変えるが、突起186dに係止され進行が抑制される。その後は記録媒体Wの先端が固定された状態で後続する領域が排出され、画像の後端部で記録媒体Wは切断される。切断された記録媒体は、図9(b)に示すように、ガイド184及びフラッパ183に沿って保持される。このように、記録媒体Wの先端を係止する突起186dが設けられていることで、記録媒体Wの先端のカールが比較的強い場合でも、記録媒体Wを所定の位置に積載、保持することができる。
図10(a)および(b)は、アッパーロッド121がアッパーロッドベース322に設置された状態を示す側面図および拡大図である。
図10(a)に示すように、アッパーロッド121は、アッパーロッド121の両端に取り付けられたロッドキャップ172がアッパーロッドベース322の所定位置に嵌め込まれることにより設置される。詳細には、図10(b)に示すように、ロッドキャップ172の両側面に形成された凹部172aが、アッパーロッドベース322に形成された凸部322cと係合し位置決めされる。
ユーザーがアッパーロッド121に支持された記録媒体Wを取り出すとき、アッパーロッド121には設置位置から外れる方向の力が作用する。しかし、ロッドキャップ172の凹部172aとアッパーロッドベース322の凸部322cとの係合により、アッパーロッド121がアッパーロッドベース322から外れることはない。
この際、アッパーロッド121には矢印U方向へ回転しようとする力も作用するが、アッパーロッドベース322の回動規制面322eが、ロッドキャップ172の側面に当接して回転を阻止する。このため、記録媒体Wのサイズや積載量に関わらず、アッパーロッド121は図に示す姿勢を維持ことができる。但し、ユーザーがアッパーロッド121をアッパーロッドベース322から取り外す際の便宜も考慮し、本実施形態では回動規制面322eの長さLを対向する側面の長さMよりも短くしている。
また、ユーザーがロール状に巻かれた記録媒体をフラッパ183上に置いてしまうなど、アッパーロッド121に高荷重がかかった場合でも、凹部172aと凸部322cとの係合により、アッパーロッド122がアッパーロッドベース322から外れることはない。
図11(a)および(b)は、アッパーロッド121がアッパーロッドベース322に設置された状態において、記録媒体Wが排出される様子を示す斜視図および側面図である。アッパーロッド121は、フロントロッド20およびリアロッド30よりも鉛直上方に位置し、これらロッドに連結される受容体40は、アッパーロッド121を頂点とした山型形状を呈する。以下、このような受容体40の形態を第1受容形態と称す。
第1受容形態において、排出口1aから排出される記録媒体Wは、先端がフラッパ183に当接し位置決めされた後、記録面を下側にした状態で山型の受容体40に沿って排出され、切断後はフラッパ183と受容体40とに跨って積載される。
図11(a)および(b)では、既に排出された1枚目の記録媒体Wの上に、2枚目の記録媒体Wが排出され積載される様子を示している。ここに示した記録媒体Wは、比較的、搬送方向における長さが短い記録媒体であるため、後端部は、フロントロッド20よりも本体1に近い側に位置している。第1受容形態では、更にY方向における長さが長い記録媒体も積載可能であり、その場合、排出された記録媒体の後端部がフロントロッド20から下方に垂れ下がるようにして積載される。
排出口1aから排出された記録媒体Wの先端は、図9で説明したように、シートガイド185およびガイド184にガイドされ、受容空間188に入り突起186dで係止される。その後、記録媒体Wが排出されるのに伴い、記録媒体Wの湾曲したループ部をフラップ183からアッパーロッド121を介して受容体40へと移動させつつ山型の収容部に排出、積載される。このように、受容体40を山型にしてアッパーロッド121を頂点にフロントロッド20まで傾斜させることで、切断後の記録媒体Wの後端がアッパーロッド121からフロントロッド20に向かい易くなる。これによって、記録媒体Wの切断後の巻戻りを防止している。
なお、本実施形態では、記録媒体の先端位置を規定するフラッパ183およびカール規制機構である受容空間188を含むガイド184は、Y方向に4個配置されている。しかし、記録媒体Wの先端のY方向における両側部は、特にカールが強いため、両側部のカールを確実に規制するために、ガイド184を記録媒体Wの先端の両側部に対応する位置のそれぞれに配置してもよい。すなわち、カール規制機構である受容空間188が、使用が想定される記録媒体WのY方向における両側部に対応する2カ所に少なくとも設けられていればよい。
図12(a)は、第2受容形態の記録装置10を示した斜視図であり、図12(b)は、第2受容形態の記録装置10を示した側面図である。
第2受容形態ではアッパーロッド121がロッドホルダ304に配置されている。そのため柔軟性のある受容体40は、フロントロッド20からロッドホルダ304に配置されたアッパーロッド121を介してリアロッド30にかけて自重により弛んで湾曲し、排出された記録媒体Wを収容可能となっている。アッパーロッド121がロッドホルダ304に配置されているため、受容体40により形成される記録媒体Wを収容可能な空間は、Y方向に広く形成されている。
尚、本実施形態では、フラッパ183は開いた状態にあり、ガイドロッド182のキャップ部材181がアッパーロッドベース322の平面部322bに接地して、排出口1aと受容体40により形成された収容部との間に突き出た状態となっている。すなわち、記録媒体Wを収容する収容部は、フラッパ183に対してZ方向である鉛直方向下方に位置しており、フラッパ183の先端から垂れ下がる記録媒体Wが排出されて切断されると、収容部の受容体40で収容される。
第2受容形態では、図12(a)のように排出口1aから排出された記録媒体Wは、排出口ガイド1b及びシートガイド185にガイドされ、先端がフラッパ183に当接して、記録面を下側にした状態で、フラッパ183に支持される。その後、記録媒体Wが排出されるのに伴い、記録媒体Wの先端は受容空間188に入り、先端が受容空間188に規制された状態となる。更に記録媒体Wが排出されると、記録媒体Wは、フラッパ183に支えられながら、フラッパ183の先端部183aを変曲点にして鉛直下向きにループが形成され、先端部183aからループ状に垂れ下がる。このとき、先端部183aから下垂したループは、受容体40など他の部材に接触しない。その後、記録媒体Wは、ループ状態を保持したまま所定量排出されて切断されると、受容体40上に落下し緩やかに畳まれた状態で載置される。
このように、切断される前の記録媒体Wは、記録媒体Wの先端を含む先端側が、ガイド184からフラッパ183上に位置し、切断後に受容体40上に収容されて載置される。これは、切断前は記録媒体Wの後端が本体1によって保持されているため、記録媒体Wの重心がフラッパ183の先端部183aよりも本体1側にある。そのため、記録媒体Wが先端部183aを変曲点にして鉛直下向きに垂れ下がってループが形成された状態でも記録媒体Wの先端は落下することなく、ガイド184からフラッパ183上に位置する。そして、記録媒体Wが切断されると、記録媒体Wの後端が本体1によって保持されなくなり、記録媒体Wの重心がフラッパ183の先端部183aに対して、本体1とは反対側に遷移する。そのため、記録媒体Wはループの形成された中腹部付近から、自重により受容体40上へ落下し、ループ形状を維持したまま緩やかに畳まれた状態で収容される。
この場合、フラッパ183の上面である受け部183bは、水平または本体1や排出口1aから離れるにしたがって高くなる上り勾配であることが望ましい。なぜなら、下り勾配の場合、記録媒体Wがループを形成する際に、記録媒体Wの重心が本体1から離れる方向に移動しやすく、切断する前に記録媒体Wが受容体40に落下する虞がある。そこで本実施形態では、フラッパ183の上面である受け部183bがフラッパ183の先端部183aに向かって上り勾配を持つ構成としている。
尚、第2受容形態では、主に図面やポスター等で多く使用される普通紙及びコート紙のA0やB0などの定型サイズにおける使用を想定しているが、これらの定型サイズに限定するものではなく、また複数のサイズの記録媒体を同時に収容することができる。加えて第2受容形態は、汎用形態としての使用を想定しているため、上記の記録媒体以外にもアート紙やフィルム系、合成紙も収容可能である。
また、第2受容形態では、受容体40は、受容体40の最下点P2が、先端部183aから下垂するループの下端P1よりも本体1に近い位置あることが望ましい。或いは、最下点P2が下端P1よりも本体1から遠い位置にあるようにしてもよい。すなわち、最下点P2と下端P1との位置関係によって、下端P1の重力方向下方において受容体40、つまり収容部の内面が傾斜していることが望ましい。これにより、切断されループ形状を維持したまま落下した記録媒体Wは、受容体40により形成された傾斜面を利用して、効率的にループ形状を利用しながら緩やかに折り畳まれる。
図13(a)は、第1受容形態で搬送方向における長さが短い記録媒体Wが積載されたスタッカ3を示した側面図である。スタッカ3に搬送方向における長さが短い記録媒体Wが積載される場合、積載された記録媒体Wの重心Gは山型の頂点をなすアッパーロッド121の近傍となり、記録媒体Wの全領域が受容体40に載せられることから、記録媒体Wはスタッカ3から落下し難い。
図13(b)は、第1受容形態で搬送方向における長さが長い記録媒体Wが積載されたスタッカ3を示した側面図である。スタッカ3に搬送方向における長さが長い記録媒体Wが積載される場合、積載された記録媒体Wの重心Gは、山型の頂点をなすアッパーロッド121よりもフロントロッド20に近い位置となる。この場合、積載される記録媒体Wのフロントロッド20が支持する箇所では、記録媒体Wが矢印F方向に移動しようとする力が生じる。その結果、積載された記録媒体Wがスタッカ3から落下する虞がある。そこで、本実施形態では、アッパーロッド121とフロントロッド20の少なくとも一方に、記録媒体Wの表面に抵抗を生じさせる抵抗部材を設けている。
図14は、図13(b)の状態において積載された記録媒体Wの表面が、アッパーロッド121に設けられた抵抗部材から受ける抵抗力R1と、フロントロッド20に設けられた抵抗部材から受ける抵抗力R2とを示した図である。本実施形態では、第1受容形態でスタッカ3に搬送方向における長さが長い記録媒体Wが積載されると、記録媒体Wは、アッパーロッド121に設けられた抵抗部材からは抵抗力R1を受け、フロントロッド20に設けられた抵抗部材からは抵抗力R2を受ける。このように記録媒体Wが抵抗部材から抵抗力を受けることで、スタッカ3から落下するのを抑制することができる。以下、抵抗部材の詳細について説明する。
図15(a)は、抵抗部材800と抵抗部材800を取り付けるフロントロッド20の一部とを示した斜視図であり、図15(b)は、抵抗部材800を取り付けたスタッカ3を示した斜視図である。抵抗部材800は、抵抗面を備えた抵抗シート801と、取付け部材802から構成されており、取付け部材802は、フロントロッド20、アッパーロッド121の外形に対して相似的に大きな内側面を持つ略一様な厚さのモールド部材である。抵抗シート801は、取付け部材802の積載面側の平面部802aに粘着材により貼り付けられている。また、取付け部材802の抵抗シート801が設けられた側と対向する位置には、開口部が設けられており、この開口部を広げて取付け部材802を変形することでフロントロッド20に取り付けることができる。このように、抵抗部材800は、フロントロッド20、アッパーロッド121に着脱自在に構成されており、フロントロッド20、アッパーロッド121を把持することで位置決めされる。
なお、説明を容易にするために、図15(a)では受容体40を省略している。つまり、実際に抵抗部材800を取り付ける場合には、抵抗部材800とフロントロッド20、抵抗部材800とアッパーロッド121との間に受容体40がある。言い換えれば、抵抗部材800は、受容体40の上に設けられている。受容体40は、記録媒体Wの記録面と擦れても記録面に損傷を与えないように、摩擦係数の低い材料で形成されている。これに対し、抵抗部材800の抵抗シート801の表面は、受容体40の表面よりも摩擦係数が高くなるように構成されている。
抵抗部材800の開口部における開口長S1は、フロントロッド20の太さ方向の長さS2より短い。図15(b)のように、抵抗部材800はスタッカ3のフロントロッド20およびアッパーロッド121のX方向に、それぞれ3個ずつ取り付けられ、アッパーロッド121上のフラッパ183の間にそれぞれ配置している。本実施形態では3個ずつ取り付けているが、2個以下でも4個以上でもよい。取り付け部材802は、フロントロッド20、アッパーロッド121の外形より大きな相似形の内側面を持つため、取り付けた状態において、各ロッドのまわりを所定角度で回動可能となっている。
図16(a)は、第1受容形態において、ArchE1縦サイズの記録媒体Wが排出され、スタッカ3に積載される様子を示した斜視図である。図16(b)は、フロントロッド20に取り付けられた抵抗部材800と記録媒体Wとを示した断面図であり、図16(c)は、フロントロッド20に対して回動した抵抗部材800を示した断面図である。
図16(a)のように、ArchE1縦サイズの記録媒体Wがスタッカ3に積載される場合には、切断された記録媒体Wの後端部がフロントロッド20から垂れ下がるように積載される。積載される記録媒体Wが少ない場合、フロントロッド20に取り付けられた抵抗部材800は、図16(b)のように、コーナー部801aのみが記録媒体Wと接触する。コーナー部801aが記録媒体Wと接触することで、抵抗シート801の摩擦抵抗によって、積載された記録媒体Wがフロントロッド20から滑り落ちるのを抑制している。
積載される記録媒体Wが少ない場合、コーナー部801aのみでも記録媒体Wがフロントロッド20から滑り落ちるのを抑制することができる。しかし、積載される記録媒体Wの枚数が例えば100枚のように多い場合には、コーナー部801aのみでは、記録媒体Wがフロントロッド20から滑り落ちることがある。そこで、本実施形態では図16(c)のように、積載される記録媒体Wが矢印F方向に移動しようとする際の力を利用して、記録媒体Wの重さによって抵抗部材800が矢印F方向に所定の位置まで回動するように構成されている。
スタッカ3に記録媒体Wが複数枚積載され、フロントロッド20に設けられた抵抗部材800に所定の重さがかかると、抵抗部材800の弾性変形可能なモールド材の開口部が変形することで、抵抗部材800は矢印F方向に回動する。回動した抵抗部材800の開口部の開口長S1は、開口部が変形しても、フロントロッド20の対角長さS5を越えることはない。そのため抵抗部材800は、抵抗シート801のもう一方のコーナー部801bが記録媒体Wと接触するまで回動して止まる。本実施形態では抵抗部材800は、約25度回動して止まる。
記録媒体としてごく一般的な普通紙である坪量75g/m2の紙を使用し、記録媒体をスタッカ3に積載した場合、記録媒体Wは、フロントロッド20において曲率半径75mmで屈曲して下方に垂れ下がることがわかっている。このとき、抵抗部材800における抵抗シート801の曲率半径が、記録媒体Wの曲率半径75mmより小さいと、記録媒体Wとは点接触することになる。しかし、本実施形態では、コーナー部801aと801bとの間を平面としているため、回動することで記録媒体Wとは少なくとも2点で接触することができ、更に大きな抵抗力を生成することができる。なお、本実施形態ではコーナー部801aと801bとの間を平面としたが、これに限定するものでなく、曲率半径が75mmより大きければよい。
このように抵抗部材800が回動することで、抵抗シート801が記録媒体Wの移動に追従して回動し、記録媒体Wと両角部801aと801bが接触することで、高いブレーキ効果を得ることができる。
なお、取り付け部材802はモールド材に限定するものでなく、弾性体であればよくSUS板のような金属でもよい。またフロントロッド20が丸型で周方向に丸長穴があってC型の取付け部材で内側面に形成されたボスをその丸長穴に挿入して回動規制をしてもよい。
また、本実施形態のように、フロントロッド20に抵抗部材800を取り付ける構成とすることは、サイドロッド11の倒れ込みを抑えるという効果も得られる。以下具体的に説明する。
図17(a)から(c)は、フロントロッド20に抵抗部材を装着せずに、記録媒体Wを搭載するスタッカ3のフロントロッド20と受容体40とサイドロッド11とを示した図である。図のように抵抗部材を用いることなくスタッカ3に記録媒体Wを積載すると、積載された記録媒体Wから矢印F方向に力が加わり、受容体40の穴袋40aとフロントロッド20との接触部20aでスベリが生じる。その結果、受容体40の穴袋40aがフロントロッド20に対して反時計方向に移動し始め、受容体40がフロントロッド20に巻き付くことで、フロントロッド20とアッパーロッド121間の受容体40の長さが短くなる。これにより、フロントロッド20は矢印S4方向の力を受ける。
サイドロッド11と接続されたフロントロッド20は、図17(c)の状態で固定されているものではなく、サイドロッド11がサイドロッド支持部材61に寄りかかることで姿勢を維持している。そのため、受容体40がフロントロッド20に巻き付くことで、フロントロッド20に矢印S方向の力が働くと、フロントロッド20と接続されたサイドロッド11は本体1側に倒れてしまう。
しかし、本実施形態のように抵抗部材800を設けることで、受容体40がフロントロッド20に巻付くことはなく、フロントロッド20に矢印S方向への力が働かないことから、サイドロッド11が本体1側へ倒れるのを防止することができる。
図18(a)、(b)は、本実施形態の変形例のスタッカ3を示した斜視図である。抵抗部材800は、フロントロッド20に対して、受容体40を挟んで取り付けることを説明した。しかし、図18(a)、(b)に示すように、受容体40のフロントロッド20が入る穴袋に、抵抗部材800が露出する穴40aを設けて、抵抗部材800を直接フロントロッド20に取り付ける構成でもよい。
なお、受容形態が第1受容形態だけで、記録媒体がスタッカから落下するのを抑制する目的であれば、受容体40は用いなくてもよい。その場合、抵抗部材800における抵抗シート801の摩擦係数は、フロントロッド20の表面の摩擦係数よりも高い摩擦係数とする。その場合、抵抗部材800を別部材として設けなくてもよい。つまり、フロントロッド20の表面を部分的に摩擦係数の高くした状態にしてもよい。
また、抵抗部材800はフロントロッド20およびアッパーロッド121に対して脱着可能な構成である。第2受容形態ではアッパーロッド121がロッドホルダ304に移動される。このときアッパーロッド121に抵抗部材800が取付けられていると、アート紙やフィルム系、合成紙等のインク定着のしにくい記録媒体を収容すると、記録面が抵抗シート801に接触して傷がつくおそれがある。そこで抵抗部材800をアッパーロッド121から着脱可能にすることで、第2受容形態では抵抗部材800をアッパーロッド121から取り外すことで記録面に傷が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、抵抗部材800の表面における摩擦係数を高くしたが、これに限定するものではなく、記録媒体の表面に抵抗を生じさせるものであればよい。
このように、アッパーロッド121とフロントロッド20の少なくとも一方に、記録媒体の表面に抵抗を生じさせる抵抗部材を設ける。これによって、記録媒体Wがスタッカ3から落下するのを抑制することができる記録装置を実現することができる。