以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプリント装置10の(a)斜視図及び(b)側面図を示す。また、図2は、プリント装置10の受容体40を省略した(a)斜視図及び(b)正面図を示す。まず、図1及び2を参照して、本発明の一実施形態におけるプリント装置10の概略構成について説明する。
プリント装置10は、本体1と、本体1を支える脚部2と、脚部2に取り付けられたシートバスケット3(シート収容装置)とを有する。本体1は、長尺のシートが紙管に巻き回されて形成されたロールを回転可能に保持するロール保持部160、161を有する。ロール保持部160、161で保持されたロールは、巻き解かれてシートとして、給送機構(不図示)などを介してプリント部5に供給される。また、ロール保持部161(第2ロール保持部)は、ロール保持部160(第1ロール保持部)の下方に位置している。すなわち、ロール保持部160、161は、上下方向に並んで配置される。尚、下方に位置するロール保持部161については、ロール保持部160から供給されてプリントされたシートを巻き取ることが可能な機能を備えるようにしてもよい。
また、本体1は、ロール保持部160、161に収容されたロールから巻き解かれたプリント媒体であるシートWが搬送機構によって搬送され、搬送されたシートWに対してプリントするプリント部5を有する。尚、プリント部5によりプリントされ、排出口1aから排出されるまでの間にはカッタ6が設けられており、プリントされたシートは、所定の位置においてカッタ6によってカットされる。さらに、本体1は、プリントされたシートWを排出する排出口1aと、排出されたシートをシートバスケット3へガイドする排出口ガイド1bとを有する。プリント動作に伴って徐々に排出されるシートは、排出口ガイド1bを過ぎると自重により進行方向を下向きに変えて垂れ下がっていく。尚、ロール保持部160、161は、排出口1a及び排出口ガイド1bの下方に位置することとなり、これにより、2つのロール保持部160、161はプリント装置10の高さ方向における概ね中央位置に設けられることとなる。
ロール保持部160、161は、排出口1aが開口するプリント装置10の正面側に設けられている。これにより、例えば、シートバスケット3を移動した後に、プリント装置の正面側から本体1における筐体を開けて内部に設けられたロール保持部160にロールをセットすることができるようになる。また、プリント装置の正面側からロール保持部161にロールをセットすることができるようになる。これにより、ユーザーは、プリント装置を移動することなく、正面側からロールの交換作業を行うことができるようになり、当該作業によるユーザーへの負担が低減される。シートバスケット3の移動方法についての詳細は後述するが、図7に示す通り、ガイドフラッパ部180を簡単に取り外すことができ、これによりユーザーがロール保持部160、161にロールをセットすることが可能となる。
また、本体1は、操作部4を有し、操作部4に設けられた各種スイッチをユーザーが操作することによって、シートのサイズ指定やオンライン/オフラインの切り替え等の各種コマンドを入力することができる。尚、本実施形態は、2つのロール保持部を備えた2段ロール構成を前提に説明するが、本発明はそれに限らず、3つ以上のロール保持部を有するプリント装置に適用することもできる。また、3つ以上のロール保持部を有する場合には、少なくとも2つのロール保持部160、161を備えることとなる。
シートバスケット3は、プリント後にカッタ6によってカットされたシートを収容するものであり、薄く平坦で柔軟性がある布やプラスチックからなるシート状の受容体40を有する。この受容体40の一方の端部は、後述する受容体保持手段100によりトップロッド20に保持され、もう一方の端部はリアロッド30に保持されている。すなわち、トップロッド20及びリアロッド30は、受容体40の両端部のそれぞれを保持する保持部材として機能する。具体的には、トップロッド20は、排出口1aからみたシートの排出方向の下流側(本体1から離れた側)で受容体40の端部を保持し、リアロッド30は、排出方向の上流側(本体1に近い側)で受容体の40の端部を保持する。トップロッド20の両端は、連結手段12により2本のサイドロッド11のそれぞれと連結している。サイドロッド11は、サイドロッド支持部61を介してサイドロッド角度保持部60に保持されている。サイドロッド角度保持部60は脚部2に取り付けられている。また、中間ロッド121は、サイドロッド11に取り付けられた中間ロッド位置決め部材120によって位置決めされ、受容体40を支持する。すなわち、中間ロッド121は移動可能であり、受容体40の中間部を支持する支持部材として機能する。
また、シートバスケット3は、図2(a)及び2(b)に示すように、複数のシート突き当て部材170を有する。複数のシート突き当て部材170は、リアロッド30と並行して設けられた支持ロッド171に、シート幅方向(シートが排出される方向と交差(直交)する方向)に並んで設けられる。図3(a)は、シートバスケット3の第1のシート突き当て部を説明する斜視図であり、図2(a)の破線部IIIaの拡大図である。図示されるように、シート突き当て部材170は、リアロッド保持部材31によって保持されたリアロッド30と並行して設けられた支持ロッド171に設けられる。支持ロッド171は、支持ロッド保持部材172により保持され、サイドロッド角度保持部60上に設置される。シート突き当て部材170によって、受容体40にガイドされてきたプリント後のシートを受け止める第1のシート突き当て部が構成される。尚、こうしたシート突き当て部材170は、例えば、ロール保持部161よりもプリント装置の背面側(後方側)に位置している。すなわち、シートバスケット3は、ロール保持部161の重力方向の下方に位置する領域を含むように、シートを収容可能な収容部が形成されている。これにより、プリント装置10は、ロール保持部161の下方側の空間を収容部の一部として利用することができ、奥行き方向(前後方向)にコンパクトに構成されることとなる。詳細は後述するが、図3(b)〜(e)に示すような第1のシート突き当て部の変形例も考えられる。
図4は、シートバスケット3の受容体保持手段100を説明する斜視図である。受容体保持手段100は、トップロッド20に対して受容体40を取り付ける固定部材101によって構成される。トップロッド20は、3つの穴部20aを有し、受容体40も、これらの穴部20aに対応する位置に不図示の穴部を有する。固定部材101は、受容体40がトップロッド20の周囲を覆うような状態で、受容体40を挟むようにトップロッド20の穴部20aに不図示の軸を挿入してトップロッド20に対して受容体40が回転しないように取り付けられる。また、受容体40は、取り付けられた固定部材101を覆い隠す受容体余長部102を設けた状態で固定される。かかる構成によると、トップロッド20に対して受容体40を固定可能なのに加えて、排紙時にシートのプリント面が固定部材101に直接接触することにより生じるプリント画像へのコスレキズを防ぐことができる。
図5は、シートバスケット3の受容体巻取り手段110を説明する斜視図であり、トップロッド20の端部の部分拡大図である。受容体巻取り手段110は、受容体40を巻き取ることにより、受容体40の長さを変更する。受容体巻取り手段110は、ロッド係合部材111と、回転クラッチ112と、固定クラッチ113と、圧縮バネ116と、リリースボタン115と、ハウジング114とで構成される。ロッド係合部材111は、トップロッド20に回転できないように取り付けられており、回転クラッチ112が、ロッド係合部材111の凸部111aと回転可能に係合される。固定クラッチ113は、回転クラッチ112の鋸歯状部112aと対向する位置に同軸で同様の鋸歯状部113aを持つ。圧縮バネ116は、固定クラッチ113側に回転クラッチ112を付勢する。リリースボタン115は、圧縮バネ116に抗して回転クラッチ112をロッド係合部材111側に押すことを可能にする。ユーザーがリリースボタン115を押すことで、回転クラッチ112と固定クラッチ113とを離間させることができる。ハウジング114は、ロッド係合部材111を回転可能に、固定クラッチ113を回転不可で組み込む。また、ハウジング114は、後述するジョイント部材13によって、トップロッド20の中心軸方向周りの回転を規制された状態で、サイドロッド11に固定されている。また、上述したように、回転クラッチ112と固定クラッチ113とによって、受容体巻取り手段のクラッチ機構が構成される。
図6は、受容体巻取り手段110のクラッチ機構を説明する図であり、受容体巻取り手段110の部分断面図である。図6では、固定クラッチ113の鋸歯状部113aと回転クラッチ112の鋸歯状部112aとが噛み合っている状態にある。この状態からトップロッド20をY方向に回転させると、回転クラッチ112の鋸歯状部112aは、圧縮バネ116に抗して固定クラッチ113の鋸歯状部113aのテーパ面140を登る。すなわち、回転クラッチ112は、鋸歯状部の噛み合いが外れるように、固定クラッチ113から離れる方向に移動する。その結果、トップロッド20に受容体保持手段100によって取り付けられた受容体40を巻き取ることができる。また、鋸歯状部112a、113aのストッパ面150が噛み合うため、トップロッド20はY方向の逆方向には回転できない。すなわち、受容体40は、巻き取られた状態でロックされる。
このように、排出されたシートが受容体40上に載置されてもその重さで巻き取られた受容体40が元に戻ることはない。よって、ユーザーは任意の長さに受容体40の長さを調整して排紙収容に使用することができる。尚、受容体40の巻取りロックは、トップロッド20に巻付けた受容体40をリリースするリリースボタン115を押して回転クラッチ112を固定クラッチ113から離れる方向に移動させることで解除可能である。
ここでは図5の矢印Y方向の回転を巻取り方向としたが、クラッチの鋸歯状部のテーパ面140とストッパ面150の構成を変えて、逆回転方向に受容体を巻き取り、Y方向に回転できない構成としてもよい。或いは、両方向に巻取れる構成も可能である。さらに、圧縮バネの設定値を変えることで、操作負荷も調整可能である。さらに、受容体巻取り手段110は、トップロッド20側に限らずリアロッド30側に設けてもよいし、その両方に設けてもよい。
また、シートバスケット3は、ガイドフラッパ部180を有する。ここで、図7乃至10を参照して、ガイドフラッパ部180の詳細を説明する。尚、構成をわかりやすくするためにシートバスケット3における一部の構成を省略してある。図7は、ガイドフラッパ部180を説明する斜視図である。ガイドフラッパ部180は、複数のフラッパ183と、複数のフラッパ183のそれぞれが開閉可能に取り付けられた複数のガイド184と、複数のガイド184を保持するガイドロッド182とを有する。ガイド184は、後述するスライド板186を含み、シートの先端をガイドするガイド部として機能する。さらに、ガイド184は、フラッパ183を支持する支持部(第1支持部)としても機能している。また、ガイドロッド182(ロッド)の両端には、フック部材181が設けられている。それぞれのフック部材181を本体1の2か所の穴部1cに取り付ける構成にしているため、ガイドフラッパ部180は本体1に対して脱着可能である。
こうすることにより、ロール保持部160、161にセットされたロールの交換作業が容易になる。また、図7には、それぞれフラッパ183が取り付けられた4つのガイド184が示されているが、ガイド184の数はこれに限定されるものではない。ガイドフラッパ部180は、後述する受容形態に応じて1つまたは複数のガイド184を有することができる。
図8は、ガイドフラッパ部180の(a)複数のフラッパ183が閉じた状態と、(b)複数のフラッパ183の一部が開いた状態を示す斜視図である。尚、フラッパ183が開いた状態とは、後述するガイド184に形成された横向きの凹部が開放され、且つ、排出口1aから排出されるシートの先端部(先端から所定の長さの領域)を支えることが可能な位置にフラッパ183が位置する状態(第1状態)を表す。また、フラッパ183が閉じた状態とは、当該凹部がフラッパ183に覆われ、且つ、排出口1aから排出されるシートの先端部を支えることができない位置にフラッパ183が位置する状態(第2状態)を表す。
複数のフラッパ183のそれぞれが取り付けられた複数のガイド184は、シート幅方向に並んで配置されており、複数のフラッパ183はそれぞれ、矢印U方向に独立して個別に開閉可能である。複数のフラッパ183及び複数のガイド184は、プリント後のシートを受ける受け部の役割を果たす。受け部の詳細は後述する。こうすることにより、特許文献1のような複数の受け部材に連結されたハンドル部材は不要となり、特許文献1に対してより小さな力で複数のフラッパ183を操作することができる。
図9(a)〜(c)は、ガイドフラッパ部180のフラッパ183及びガイド184を示す拡大図である。具体的には、図9は、ガイドフラッパ部180の(a)フラッパ183が開いた状態を説明する斜視図、(b)フラッパ183が閉じた状態を説明する斜視図、及び(c)スライド板186が上げられた状態を説明する斜視図である。
ガイド184は、ガイドロッド182上に取り付けられ、ロール保持部161にセットされたロール162の外周に同心円となるようにガイド形状を形成している。特許文献1のようなハンドル部材が設けられていないため、ガイドフラッパ部180は、ロール保持部160とロール保持部161との間、且つ、ロール保持部160、161のより近傍に設けることができる。このような構成により省スペース化を図ることができる。また、ガイド184を本体1のより奥行き側に配置することができるため、ロール特有の本体1に近付く方向に先端がカールしたシートを使用する場合にも、シート先端を素直にシートバスケット3に導くことができる。すなわち、本実施形態によると、より確実にシート先端をシートバスケット3に導くことが可能になる。
図9(a)のようにフラッパ183が開いた状態では、シートガイド185の先端が本体1に接触している。こうすることにより、シートガイド185は、排紙時のシート先端を本体1側からガイド184側へ受け渡すためのガイドの役割を果たすことが可能である。一方、図9(b)のようにフラッパ183が閉じた状態では、フラッパ183の先端部183aが本体1に接触している。従って、この状態では、フラッパ183がシート先端のガイドの役割を果たすことが可能である。また、フラッパ183の両面には共に、突起形状(リブ)が形成されている。こうすることにより、フラッパ183とシートとの摩擦抵抗を低減させることができ、さらには、フラッパ183を軽量化することもできる。フラッパ183の軽量化により、より小さな力でフラッパ183を操作することができる。
また、フラッパ183の回動中心189は、フラッパ183に対して重力方向下方に設けられている。そして、回動中心189によって、フラッパ183は、閉じた状態ではフラッパ183の先端部183aが本体1に近くなり(当接し)、開いた状態では先端部183aが本体1から離間するようになされている。また、回動中心189は、ガイドフラッパ部180がロール保持部160、161の間に配置されたときに、ロール保持部160におけるロールの回転中心よりも下方であり、且つ、ロール保持部161におけるロールの回転中心よりも上方に位置することになる。従って、プリント装置10では、重力方向において、排出口1a、ロール保持部160におけるロールの回転中心、フラッパ183の回動中心189、ロール保持部161におけるロールの回転中心の順に配置される。すなわち、排出口1a、ロール保持部160におけるロールの回転中心、フラッパ183の回動中心189、ロール保持部161におけるロールの回転中心の順で高さが低くなるように配置される。さらに、フラッパ183の回動中心189は、フラッパ183が閉じた状態では、フラッパ183の先端部183aが、回動中心189より本体1に近くなるような位置に設けられている。
こうすることにより、フラッパ183の開閉構成において、フラッパ183が開いたときの位置決めのための突き当て面を回動軸周辺に設けるだけでフラッパ183を支持することができ、構成の簡略化が可能である。これに対して、特許文献1における受け部材の回動中心は、受け部材に対して重力方向上方に設けられている。従って、受け部材を概ね水平の状態で維持するときはロック機構のような複雑な構成が必要になる。このように、本実施形態によると、フラッパ183の開閉構成の簡略化というメリットが得られる。
このようにしてフラッパ183の開閉構成を簡略化することで、排出されたシートを受ける部材が小型化して、2つのロール保持部160、161の間の小さいスペースにガイド184を配置するようにした。さらに、複数のフラッパ183はそれぞれ独立して開閉可能な構成とした。これにより、シートバスケット3は、特許文献1の媒体受け部と比較して簡単な構成とすることができる。また、ロール保持部160、161を、プリント装置10の正面側の高さ方向における概ね中央位置に設けるようにした。このため、プリント装置10では、ロールの交換作業が比較的容易になるとともに、重心位置が低くなって安定して設置することができるようになる。また、詳細については後述するが、フラッパ183が設けられたガイド184の配置位置或いは個数を変更することで、種々のサイズのシートを仕分けて収容することが可能となる。
また、ガイド184は下端において、ガイド184内で上下にスライド昇降可能なスライド板186(スライド部材)を有する。スライド板186は、フラッパ183と同じように独立して操作することができる。図9(a)及び9(b)は、スライド板186をガイド184から引き下げた状態を表し、図9(c)は、スライド板186をガイド184内に上げて戻した状態を表す。スライド板186はシートの受け部を構成するために使用されるが、その詳細は後述する。尚、ガイド184は、フラッパ183をシートの幅方向において選択的に変更可能とするために、ガイドロッド182に対して、着脱可能な構成としてもよいし、幅方向に沿って移動可能な構成としてもよい。
図10(a)は、ガイドフラッパ部180の部分拡大側面図であり、フラッパ183が開いた状態にある。ガイド184には、第1規制面184a、第2規制面184b、及び第3規制面184cを含む横向きの凹部(規制部)が形成されている。また、凹部の上面(第2規制面184b)の開口近傍には、突起形状の凸部184d(すなわち、突起)が設けられている。第2規制面184bに対向する第3規制面184cは、排紙方向上流の一端から反対側の他端に向って下り勾配、且つ、ロール保持部161と同心の曲率となるように形成されている。また、ガイド184は、凸部184dの先端と、凸部184dの鉛直下方向の第3規制面184c(すなわち、凹部の下面)との間に隙間V1を有する。隙間V1は、シートを最大数載置した状態の厚さと、シート先端のカール量の最大値、すなわちシートを鉛直下方向に垂らした状態においてシートの最下面から鉛直上方向に最大に反り返ったシート先端までの距離との合計より大きくなるように形成されている。
一実施例においては、シート先端のカール量が大きく、且つ、一般的に多く使用される直径2inch(50.8mm)の紙管に巻かれた普通紙にて、最大載置枚数を100枚に設定している。この普通紙の1枚の厚さは0.1mmであり、100枚載置した場合の厚さは10mm(=100×0.1)である。また、シート先端のカール量の最大値(すなわち、シートの巻き始めの紙管に近い部分の先端を、鉛直下方向に垂らした状態の最下面から鉛直上方向に反り返ったシート先端までの距離)が10mmである。よって、一実施例では、隙間V1の間隔を20mm(=100×0.1+10mm)以上としている。また、第2規制面184bは、排紙方向(すなわち、シートの排出方向であり、凹部の奥行き方向)の長さが紙管半径(25.4mm)より小さくなるように形成されている。凸部184dの垂直方向の高さ(すなわち、凹部の上面からの突出量)は、使用が想定されるシートの最大の厚さよりも大きくなるように形成され、一実施例では、普通紙の紙厚0.1mmより大きくなるよう形成されている。
ここまで説明してきた受容体巻取り手段110及びガイドフラッパ部180の形態を組み合わせることにより、柔軟性のある受容体40は使用形態を変更することが可能となる。すなわち、プリントされた排出シートをシートバスケット3で受ける際に、ユーザーは種々の受容形態を選択することができ、プリント形態の多様化ニーズに応えるものである。以下に、種々の受容形態の詳細を説明する。
(第1受容形態)
図11は、第1受容形態に係るプリント装置の(a)斜視図、及び(b)側面図である。本実施形態では、中間ロッド121は、中間ロッド位置決め部材120の本体1に近い側に位置決めされている。図11(b)のように、中間ロッド121、トップロッド20、及びリアロッド30によって、柔軟性のある受容体40は「への字」の形態で保持され、これにより収容部を形成している。そして、スライド板186と受容体40との隙間V2が形成されるように、受容体巻取り手段110により受容体40の長さが調整されている。本実施形態では、受容体40の長さが調整されているが、受容体40を最も長く伸ばした状態で隙間V2を確保することで、途中で止めるなど受容体40の長さ調整の必要を無くすことも可能である。また、フラッパ183は、閉じた状態にある。スライド板186は、隙間V2を形成できるのであれば、上昇した状態でも降下した状態でもよい。
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。排出口1aから排出されるプリント後のシートW1は、排出口ガイド1b、フラッパ183、ガイド184及びスライド板186を介して、シート突き当て部材170(すなわち、第1のシート突き当て部)へガイドされる。シートW1は、カールしたその先端を本体1の方向に向けた状態でガイドされ、その先端がシート突き当て部材170に接触して止まる。その状態でシートW1が搬送され続けると、中間ロッド121を変曲点にして本体1から離れる側に、シートW1のループが形成される。その後、所定量搬送されてカットされたシートは、中間ロッド121を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で、シートW2のように受容体40上に載置される。
また、図3(b)〜(e)に、第1のシート突き当て部の変形例を示す。以下では、その構成と使用例について説明する。
図3(b)は、第1のシート突き当て部の変形例を示した拡大図である。第1のシート突き当て部は、シート突き当て部材170と受容体40とによって、横向きに凹の形状として形成されている。さらに、シート突き当て部材170のシートが突き当たる内側の側面(すなわち、内側側面)には、第1のシート突き当て部に進入したシートの先端部の鉛直上方への移動を規制した状態を保持可能な突起170aが一つ配設されている。また、図3(b)は、第1のシート突き当て部に複数のシートW1、W2、W3、W4が突き当たり、積載されている状態を示している。こうすることで、弱いカール(巻き癖)のシートの場合には、シート突き当て部材170の表面にシート先端が突き当たり、シート先端の鉛直上方への動きを止めることができる。また、強いカール(巻き癖)のシートの場合には、シートがカールにより丸くなろうとするので突き当て時に突起170aにシート先端を引掛けて止めることでシートの丸まりを防ぐことができる。そのため特に、巻き癖の強いシートや、紙管付近の巻き癖の強い部分に対して有効であり、本来は積載に不利な強いカールのシートでも多数の積載収容を実現できる。このとき、突起170aの高さを、使用され得る最大の紙厚に、使用され得る最大の枚数を乗じた値以上にすることで、所望のスタッカー仕様に合致した積載が可能である。本実施例では、代表的な普通紙の最大厚さ0.1mm×100枚を想定し、10mm以上の高さに設定した。さらに厚いシートを想定した場合や、さらなる多積載を狙う場合には、それに適合した高さにすればよい。さらに、想定を超える数のシートが送り込まれた場合でも、シート突き当て部材170の内側上面を突起170aよりもY方向に張り出すようにしておけば、突起170aで止められなかったシートをシート突き当て部材170の内側上面で止めることができる。
また、図3(b)では、突起170aは、シート突き当て部材170の内側側面に設けられているが、内側上面に設けるようにしてもよい。すなわち、突起170aは、シート突き当て部材170の内側側面と内側上面の少なくとも一方に設けられればよい。
図3(c)、(d)は、第1のシート突き当て部の別の変形例を示した拡大図である。図3(c)は、比較的弱いカールのシートの場合の突き当て状態を示し、図3(d)は、比較的強いカールのシートの場合の突き当て状態を示している。シート突き当て部材170の内側側面には、突起170aが鉛直方向において複数配置され、内側上面には、突起170aがシートの排出方向において複数配置され、シートの排出方向の下流側端部には突起部170bが形成されている。突起170aは、傾斜面を持つ鋸型形状を有する。シートW1、W2はカールにより丸くなろうとするので、突き当て時に突起170aにシート先端が引掛かって止まることでシートの丸まりを防ぐことができる。そのため特に、巻き癖の強いシートや、紙管付近の巻癖の強い部分に対して有効であり、本来は積載に不利な強いカールのシートでも多数の積載収容を実現できる。従って、複数の突起170aはシートW1、W2のカールを考慮し、どこに突き当たってもいいようにシート突き当て部材170の内側上面及び内側側面に配置されている。図3(d)のように、ロールの巻芯付近の強いカールのシートの場合においても大きな突起部170bがシート先端を止めることができる。すなわち、シート突き当て部材170の内側上面に設けられた突起の高さは、複数配置された突起の中でシートの排出方向において最も下流側の突起部170bを、他の突起170aより高く形成してもよい。また、突起170aは次に排出されるシートの先端が隣の突起170aまで到達しやすいように傾斜面を持つ鋸型形状を有する。このとき、複数の突起170aと突起部170bの高さの合計を、使用され得る最大の紙厚に、使用され得る最大の枚数を乗じた値以上にしておくことで、所望のスタッカー仕様に合致した積載が可能である。本実施例では、代表的な普通紙の最大厚さ0.1mm×100枚を想定し、合計で10mm以上の高さに設定した。さらに厚いシートを想定した場合や、さらなる多積載を狙う場合には、それに適合した高さにすればよい。
また、図3(c)、(d)では、シート突き当て部材170の内側上面及び内側側面の両方に突起170aが複数配置されているが、突起170aは、内側上面と内側側面の少なくとも一方に複数配置されればよい。
図3(e)は、第1のシート突き当て部のさらに別の変形例を示した拡大図である。上述した図3(c)、(d)のシート突き当て部では、複数の突起170aは同形状であったが、本変形例における複数の突起170aは、その高さが異なっている。すなわち、シート突き当て部材170の内側側面において、鉛直上方ほど、突起170aの高さが高くなるように形成してもよい。このような構成にすることで、次のような効果を得ることができる。ロールからカットされ排出されるシートは、徐々にカールが強くなる。そこで、シートの排出方向の下流側にいくほど突起170aの高さを高くすることで、シートの排出方向の上流側から下流側まで、より均一にシートを突き当てることができ、結果としてシートの積載量をより増やすことが可能となる。
このように、シートが内向きにカールしている場合、排出口から下がっていくシートの先端部は、第1のシート突き当て部に進入した後に突起170aに係合し、シートの先端部が突起170aに係合した状態で、シートの後続部分が排出口から排出されていく。
また、図3(e)では、シート突き当て部材170の内側側面に突起170aが複数配置されているが、内側上面に複数配置するようにしてもよい。すなわち、シート突き当て部材170の内側側面と内側上面の少なくとも一方に、突起170aが複数配置されればよい。
この第1受容形態は、比較的大きなサイズのシート(例えばA0縦)に適した形態である。本形態によると、シートのプリント面を下にした状態(フェイスダウン排紙)で、複数枚のシートを載置可能である。
(第2受容形態の第1実施例)
図12は、第2受容形態の第1実施例に係るプリント装置の(a)斜視図、及び(b)側面図である。本実施例に係るプリント装置は、前述の第1受容形態の状態から、受容体巻取り手段110により受容体40を巻き取ってその長さを短くし、受容体40と降下させた状態のスライド板186とを当接させて構成される。すなわち、受容体40は、スライド板186と当接するように張設される。従って、受容体40とスライド板186との隙間V2は無くなる。このように、受容体40がロール保持部161にセットされたロール162に干渉しないように、受容体40とスライド板186とを当接させる。これにより、シート突き当て部材170への排紙パス(収容路)を塞いで、第2のシート突き当て部190を形成している。すなわち、スライド板186は、受容体40に当接することによって、受容体40におけるシート突き当て部材170までのシートの収容路において、その中途位置にてシートの先端を支持する支持部(第2支持部)として機能する。このとき、スライド板186は、収容部の内面に相当する受容体40の上面に当接することとなる。尚、収容路とは、具体的には、中間ロッド121からリアロッド30までに設置された受容体40により形成され、収容路の下端にはシート突き当て部材170が位置している。また、本実施例では、第2のシート突き当て部190からトップロッド20までの構成によって収容部を形成することとなる。さらに、本実施例においてもフラッパ183は閉じた状態にある。また、受容体40は、スライド板186を上昇させた状態でガイド184と当接させてもよい。つまり、スライド板186と受容体40とは、相対的に当接及び離間可能であればよく、スライド板186が固定され、受容体40がその長さを調整する構成でもよいし、スライド板186が昇降し、受容体40がその長さが固定された構成としてもよい。
言い換えると、スライド板186は、受容体40に対して接離する方向に移動可能な移動部である。また、第2のシート突き当て部190は、受容体40におけるシートの収容方向の中途位置に形成された、シートの先端部を支える支持部である。すなわち、支持部は、長さの短いシートを収容する場合に、シートの先端の位置を調整するように形成される。また、支持部が形成されていない場合、シートの先端は、ガイド184(あるいはスライド板186)よりも下方に進んでいく。
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。排出口1aから排出されるプリント後のシートW1は、排出口ガイド1b、フラッパ183、ガイド184及びスライド板186を介して、第2のシート突き当て部190へガイドされる。シートW1は、カールしたその先端を本体1側に向けた状態でガイドされ、その先端が第2のシート突き当て部190に接触して止まる。すなわち、シートW1は、その先端部が第2のシート突き当て部190に支えられた状態となる。その状態でシートW1が搬送され続けると、シートW2からシートW3のように、中間ロッド121を変曲点にして本体1から離れる側に、シートのループが形成される。その後、所定量搬送されてカットされたシートは、中間ロッド121を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で、シートW4のように受容体40上に載置される。すなわち、第2のシート突き当て部は、シートの先端を支持する支持部として機能し、当該シートは当該支持部に支えられながら排出される。また、受容体巻取り手段110は、リアロッド30に設けてもよく、受容体40は、トップロッド20或いはリアロッド30のうちの少なくともどちらか一方に巻きつけられ、張設されればよい。
この第2受容形態の第1実施例は、前述の第1受容形態より小さなシート(例えばA1縦)に適した形態である。本実施例によると、シートのプリント面を下にした状態(フェイスダウン排紙)で、複数枚のシートを載置可能である。
(第2受容形態の第2実施例)
図13は、第2受容形態の第2実施例に係るプリント装置の(a)斜視図、及び(b)側面図である。また、図14は、図13のプリント装置の受容体折り畳み手段を説明する斜視図であり、図13(a)の破線部XIVの拡大図である。ここでは、前述した第2受容形態の第1実施例からの差分を説明する。
本実施例に係るプリント装置は、柔軟性のある受容体40を畳んで、その長さを調整することができるように構成される。図14に示すように、本実施例に係る受容体40は、端部に複数の穴部40aを有し、穴部40aをサイドロッド11の先端に設けられたジョイント部材13の引掛け部(不図示)に取り付けることができる。こうすることにより、受容体40を畳んでその長さを調整し、ガイド184或いはスライド板186と当接させることができる。受容体40の長さ調整方法はこの例に限らず、例えば、面ファスナーのように面的に脱着できる部材を受容体40に設けてもよい。また、受容体折り畳み手段は、リアロッド30に設けてもよく、受容体40は、トップロッド20或いはリアロッド30のうちの少なくともどちらか一方に折り畳んで取り付けられ、張設されればよい。
排紙時のシートの挙動は、前述した第1実施例と同様である。本実施例によると、前述した第1実施例における受容体巻取り手段110を省略することができるので、装置の構成を簡略化することができる。
(第2受容形態の第3実施例)
図15は、第2受容形態の第3実施例に係るプリント装置の側面図である。ここでは、前述した第2受容形態の第1実施例からの差分を説明する。本実施例に係るプリント装置は、図3(a)に示したリアロッド保持部材31の位置を、本体1の背面側に移動可能とするように構成される。リアロッド保持部材31を本体1の背面側に移動させることにより、受容体40が取り付けられたリアロッド30も移動させることができる。こうすることにより、受容体40が引っ張られ、結果的に第2受容形態の第1実施例において受容体40の長さを短くした場合と同様に、受容体40をスライド板186に当接させるように張設することができる。
あるいは、受容体40は、中間ロッド位置決め部材120によって移動可能な中間ロッド121を変曲点にして、スライド板186に当接するように張設され得る。
排紙時のシートの挙動は、前述した第2受容形態の第1実施例と同様である。本実施例によると、前述した第2受容形態の第1実施例における受容体巻取り手段110を省略することができるので、前述した第2受容形態の第2実施例と同様に、装置の構成を簡略化することができる。また、本実施例に係る構成を、前述した第2受容形態の第1実施例に係るプリント装置に組み合わせてもよい。
以上説明したように、本受容形態によると、より小規模な収容機構によってシートの先端の位置を調整することができ、長さの短いシートも収容可能な収容形態をとることができる。
(第3受容形態)
図16は、第3受容形態に係るプリント装置の(a)斜視図、及び(b)側面図である。本実施形態に係るプリント装置は、第2受容形態の第1実施例と比較して、フラッパ183が開いた状態にある。このとき、フラッパ183の先端部183aが中間ロッド121の近傍に位置し、図16(b)のように、第2のシート突き当て部190への排紙パスは塞がれている。中間ロッド121は、受容体40を介してシートを支持可能な支持部材として機能する。そして、シート受け部(収容部)が、開いた状態のフラッパ183と、トップロッド20から中間ロッド121に張設された受容体40とによって、「山型」を形成している。すなわち、開いた状態のフラッパ183の上面と、張設された受容体40の上面は「山型」を成す。また、後述するように、張設された受容体40は、シート受け部に載置されるシートの後端側を支持する支持部として機能する。
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。排出口1aから排出されるプリント後のシートW1の先端は、排出口ガイド1b、シートガイド185及びガイド184にガイドされ、ガイド184の凹部に突き当たり止まる。すなわち、ガイド184の凹部は、シートW1の先端を受け止め、シートW1の先端の位置を規制する。そして、シートW1の先端が当該凹部に規制された状態でシートW1が搬送され続けると、シートW1の先端部はフラッパ183に支えられながら排出される。そして、シートW2のように、中間ロッド121を変曲点にして本体1から離れる側にシートのループが形成される。その後、所定量搬送されてカットされたシートは、中間ロッド121を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で、シートW3のように載置される。すなわち、トップロッド20から中間ロッド121に張設された受容体40は、シートW3の後端側を支持する支持部として機能する。本実施形態は、前述した第1受容形態及び第2受容形態よりも小さいサイズのシート(例えばA1横及びA2横)に適している。本形態によると、プリント面を下にした状態(フェイスダウン排紙)で、複数枚のシートを載置可能である。
次に、再度図10(a)を参照して、先端のカールが強く、内向きにカールしているシートが排紙された場合の挙動について説明する。シートが内向きにカールしている場合、シートの先端部がガイド184の凹部に突き当たると、カールによりシート先端では本体1から離れる方向に丸まろうとする力が働く。よって、そのまま搬送され続けると、シートは先端から丸まってしまう。しかしながら、ガイド184の凹部の上面の開口近傍には、下方を向いた突起形状の凸部184dが設けられている。そのため、シートの先端部が、凹部に進入した後に突起形状の凸部184dに引っ掛かり、突起形状の凸部184dに係合する。シートは、シートの先端部が突起形状の凸部184dに係合された状態で排出口から排出されるため、シート先端の丸まりを抑制することができる。これに対して、特許文献1におけるシートの受け部材には丸まりを抑制する突起形状の凸部は設けられていないため、先端のカールが強く、内向きにカールしているシートが排紙された場合は載置収容不良が生じてしまう。このように、本実施例によると、先端のカールが強く、内向きにカールしているシートであっても載置収容ができる。
また、前述の隙間V1の間隔は、シートを最大数載置した状態の厚さと、シート先端のカール量の最大値との合計より大きくなるように形成されている。シート先端のカール量の最大値とは、シートを鉛直下方向に垂らした状態において最下面から鉛直上方向に最大に反り返ったシート先端までの距離である。こうすることにより、先端のカールが強いシートを最大数載置する場合においても、シート先端がガイド184の入口(隙間V1)でジャムを発生させることなく載置収容できる。
また、前述の通り、ガイド184は、第2規制面184bの排紙方向長さが紙管半径より小さくなるように形成されている。すなわち、凹部の奥行き方向における上面の長さが、未使用のシートが巻き回されたロールの内径より短くなるように形成されている。また、凸部184dの高さ(すなわち、凹部の上面からの突出量)は、使用が想定されるシートの最大の厚さより大きくなるよう形成されている。こうすることにより、先端のカールが強く、内向きにカールしているシートを載置する場合においても、シート先端がカールの中心線を超える前に凸部184dに確実に引っ掛かり、シートの丸まりを防止することができる。
また、例えば、図8(a)のように、フラッパ183及びカール規制機構(凹部)を含むガイド184は、シート幅方向に複数個配置されている。凹部は、複数のフラッパそれぞれに対応して設けられている。また、シート先端の幅方向における両側部は特にカールが強いため、両側部のカールを確実に規制するために、ガイド184をシート先端の両側部に対応する位置のそれぞれに配置してもよい。すなわち、カール規制機構である凹部が、使用が想定されるシートの幅方向における両側部に対応する2カ所に少なくとも設けられてよい。また、ガイド184は、着脱可能に設けられている。
さらに、図10(b)では、図10(a)のガイド184の別の実施例を示す。図10(a)の構成と異なり、図10(b)のガイド184には、図3の第1のシート突き当て部と同様に複数の突起184fが形成されている。具体的には、ガイド184の前述した各規制面(すなわち、内側上面及び内側側面)に複数の突起184fを形成し、シートの排出方向の下流側端部に最も高い突出部184gを設けている。この構成によると、ガイド184においても図3の第1のシート突き当て部と同様の効果を得ることができる。
(第4受容形態)
図17は、第4受容形態に係るプリント装置の(a)斜視図、及び(b)側面図である。尚、図17(a)では、理解を容易にするため、片方の中間ロッド位置決め部材120が省略されている。
第4受容形態に係るプリント装置では、第3受容形態と比較して、中間ロッド121がトップロッド20の近傍に移動されている。そのため、柔軟性のある受容体40が自重により弛んで湾曲し、シート全体を受容可能な袋状になっている。これにより、収容部が袋状に形成されることとなる。すなわち、シートバスケット3では、トップロッド20に一方の端部が固定され、中間ロッド121を経てリアロッド30に他方の端部が固定された受容体40は、自重により湾曲し、最も下方に位置する最下点P2は、リアロッド30よりも下方に位置する。また、中間ロッド121がトップロッド20側に移動しているため、受容体40により形成される空間は、奥行き方向(前後方向)で広く形成されている。尚、本形態では、フラッパ183は、開いた状態にあり、排出口1aと柔軟性のある受容体40により形成された収容部との間に突き出た状態となっている。すなわち、収容部は、開いた状態のフラッパ183の重力方向の下方に位置する領域を含むように構成されている。これにより、収容部におけるシートの収容空間は、フラッパ183の下に形成されることとなる。
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。前述した第3受容形態と同様に、排出口1aから排出されるシートW1の先端は、排出口ガイド1b及びシートガイド185にガイドされ、ガイド184の凹部における第1規制面184aに突き当たり止まる。そして、シートW1の先端が当該凹部に規制された状態でシートW1が搬送され続けると、シートW1はフラッパ183に支えられながらガイドされる。そして、シートW2のように、フラッパ183の先端部183aを変曲点にして鉛直下向きにシートのループが形成され、シートの後続部分が収容空間の中にループ状に垂れ下がっていく。このとき、先端部183aにおいて下垂したループは、受容体40など他の部材に接触しない。その後、このループ状態を保持したまま所定量搬送されてカットされたシートは、シートW3のように、袋状の受容体40内に落下し、緩やかに畳まれた状態で載置される。
ここで重要なのは、カット前はシートの先端を含む先端側が、ガイド184からフラッパ183上に位置し、カット後にシートが受容体40上に収容されて載置されることである。カット前はシートの後端が本体1によって保持されているため、シートの重心がフラッパ183の先端部183aよりも本体1側にある。そのため、シートが先端部183aを変曲点にして鉛直下向きに垂れ下がってループが形成された状態でも落下することなく、シートの先端側はガイド184からフラッパ183上に位置する。そして、シートがカットされると、シートの後端が本体1によって保持されなくなり、シートの重心がフラッパ183の先端部183aよりも本体1から離れる側に遷移する。そのため、シートはループの形成されたシート中腹部付近から、自重により受容体40上へ落下し、ループ形状を維持したまま緩やかに畳まれた状態で収容される。
この場合、フラッパ183の上面(シートの先端部を支持する支持面)は、水平または本体1や排出口1aから離れるにしたがって上り勾配であることが望ましい。なぜなら、下り勾配の場合、シートがループを形成する際にシートの重心が本体1から離れる方向に移動しやすく、カットする前にシートが受容体40に落下する虞があるからである。本実施例では、他の形態との整合性を考慮し、フラッパ183の上面がフラッパ183の先端に向かって上り勾配を持つ形状を採用している。
このように、シートバスケット3では、中間ロッド121がトップロッド20側に移動するとともに、フラッパ183の重力方向の下方を含む領域に、受容体40が袋状に形成された収容部が位置している。このため、フラッパ183の先端部183aから下垂するループを他の部材に干渉されることなく形成することができる。これに対して、特許文献1では、例えば、第1の受け部材と第2の受け部材とを概ね水平の状態とし、第2の受け部材の前方側に位置するアーム部と第1の受け部材との先端部との間でシート部材(受容体に相当)を弛ませて収容部を形成している。従って、特許文献1の技術では、第2の受け部材に支えられて排出されたシートは、収容部でループを形成することもあるが、このループは、アーム部及びシート部材に接触した状態となっている。そして、カットされたシートは、カールなどによって収容部に転げ落ちて収容される。このため、シートの剛性が低かったり、シートのカールが弱い場合などには、収容部においてシートが丸まって収容することができない。一方、シートバスケット3では、先端部183aにおいてループが他の部材に干渉されることなく下垂して形成されるため、シートがカットされると、ループ形状を維持したまま落下し、ループ形状を利用して緩やかに折り畳まれて収容される。このため、連続して収容されても、緩やかに折り畳まれたままの状態で載置される。これにより、シートバスケット3では、特許文献1の技術と比較して、収容部の高さ方向の空間を有効に利用することができ、シートをより多く収容することができ、シートのカールの度合いや長さによらず、確実に収容部に収容することができるようになる。尚、この第4受容形態では、主に図面やポスター等で多く使用される普通紙及びコート紙のA0やB0などの定型サイズにおける使用を想定しているが、これらの定型サイズに限定するものではなく、また複数のサイズのシートを同時に収容することができる。
ここで、フラッパ183の傾斜角度と、フラッパ183及びガイド184上に位置するシートの長さによるシートの落下状態について検討した実験結果を図18に示す。図中、長さLpは、ガイド184の凹部からフラッパ183の先端部183aまでの長さを表す。また、長さLは、ガイド184に形成された凹部に規制されたシートの先端から先端部183aを経て下垂したループの下端P1までの長さを表す。また、フラッパ183の傾斜角度θは、水平のときを「0°」とし、フラッパ183の上面の上り勾配の角度を表す。また、長さYは、先端部183a及びトップロッド20間の奥行き方向(前後方向)における長さ、すなわち、収容部の上方側先端部から先端部183aまでの水平方向の長さを表す。尚、長さLp、L、Y及び傾斜角度θについては、図17(b)に図示している。
長さLpが1/4Lよりも短いときには、カット前のシートの重心がフラッパ183の先端部183aより本体1から離れた側に位置し、フラッパ183及びガイド184上に位置するシートが、カット前に収容部に落下してしまう。このため、長さLpは長Lの1/4以上であることが望ましく、こうすることにより、カット前のシートの重心を先端部183aよりも本体1側にすることができる。
さらに、長さLpは、長さYよりも短くなることが望ましい。尚、長さYについては、収容するロールの紙管の外径(すなわち、ロールの内径)よりも短いときには、シートのカールなどによって、シートが収容部外に排出される虞がある。このため、長さYは、収容するロールの紙管の外径よりも長くすることが望ましく、こうすることにより、ループ状になったシートを収容部から外れることなく、受容体40上に収容することができる。
この第4受容形態では、受容体40を袋状に形成する際には、受容体40の最下点P2が先端部183aから下垂するループの下端P1よりも本体1側(後方側)に位置することが望ましい。或いは、最下点P2が下端P1よりも本体1から離れる側(前方側)に位置するようにしてよい。すなわち、最下点P2と下端P1との位置関係によって、下端P1の重力方向下方において受容体40、つまり、収容部の内面が傾斜することが望ましい。これにより、カットされ、ループ形状を維持したまま落下したシートは、受容体40により形成された傾斜面を利用して、効率的にループ形状を利用しながら緩やかに折り畳まれる。
(第5受容形態の第1実施例)
図19は、第5受容形態の第1実施例に係るプリント装置の(a)側面図、(b)上面図、及び(c)正面図である。尚、図19(c)の正面図では、受容体40後方の構成の理解を容易にするために受容体40を省略している。本実施例に係るプリント装置は、第2受容形態の第1実施例の状態から、排紙されるシートのサイズに応じてユーザーがそれぞれのスライド板186を昇降操作している。具体的には、図19(c)のように、複数のスライド板186a〜186dのうち、右端のスライド板186dを上昇させている。こうすることにより、部分的に第2のシート突き当て部190を開放し、所定幅より小さいシートを、シート突き当て部材170によって構成される第1のシート突き当て部へ搬送することができる。
次に排紙時のシートの挙動について説明する。尚、本実施例では、シートが排出口1aから排出される際の基準となる位置たるシート基準端(基準位置)をシート幅方向右側に設定している。上述したように、まず、ユーザーが排紙されるシートのサイズに応じて、シート幅方向右側から少なくとも1つ以上のスライド板186の昇降操作を行う。図19(c)では、右から1番目のスライド板186dを上昇させ、右から2、3、4番目のスライド板186a〜186cを降下させている。すなわち、降下したスライド板186a〜186c及び受容体40により、第2受容形態の第1実施例と同様の第2のシート突き当て部190が形成されている。
この状態で、図19(b)のように、所定幅より大きいシートW1(例えばA1縦以上)が排紙される場合、第2受容形態の第1実施例と同様に、シートの先端が第2のシート突き当て部190に突き当たる。その状態でシートが搬送され続けると、シートW1は、中間ロッド121を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で収容される。本実施例では、第2受容形態と比べて、シートの先端と第2のシート突き当て部190との接触箇所が少なく、収容時にシートを斜めにしようとする力が強くなる。しかしながら、中間ロッド位置決め部材120がガイドの役目を果たし、シートを斜めにしようとする力を最小限に抑えることができる。
一方、図20(a)(b)のように、所定幅より小さいシートW2(例えばA2縦以下)が排紙される場合、シートW2は、上昇したスライド板186dと受容体40との間に生じる隙間を通過する。さらにシートは、本体1の下方のシート突き当て部材170に突き当たり、受容体40上に載置される。こうすることにより、本実施例に係るプリント装置は、少ないユーザー操作にて異なるサイズのシートを仕分けつつ収容することができる。
本実施例は、上述したように、シート基準端をシート幅方向右側に設定して説明したが、それに限定されるものではない。例えば、シート基準端が、シート幅方向左側であればシート幅方向左側から、シート幅方向中央であればシート幅方向中央から少なくとも1つ以上のスライド板186の昇降操作を行ってもよい。また、収容路の中途位置において、スライド板186を受容体40と当接することにより第2のシート突き当て部190を形成するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、中途位置に受容体40に対して概ね垂直になるような部材を着脱可能な構成とし、必要に応じて当該部材を受容体40に取り付けることによって、当該部材にシートの先端が規制されて支持されるようにしてもよい。
また、本実施例では、上述したように、スライド板186を昇降操作して異なるサイズのシートを仕分けて収容するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、排紙されるシートのサイズに応じて、フラッパ183を開閉したり、着脱可能に設けられたガイド184を取り外すようにしてもよい。具体的には、上記シートW1、W2を収容する場合には、スライド板186a〜186cを有するガイド184のフラッパ183を開いた状態、スライド板186dを有するガイド184のフラッパ183を閉じた状態とする。または、スライド板186a〜186cを下降して受容体40と当接するとともに、スライド板186dを有するガイド184を取り外す。
(第5受容形態の第2実施例)
図21は、第5受容形態の第2実施例に係るプリント装置の(a)側面図、(b)上面図、及び(c)正面図である。尚、図21(c)の正面図では、受容体40後方の構成の理解を容易にするために受容体40を省略している。以下に、本実施例に係るプリント装置と、前述した第5受容形態の第1実施例に係るプリント装置との差分を説明する。本実施例に係るプリント装置には、図21(b)(c)のように、1つのガイド184が着脱可能に設けられている。ガイド184の配置場所は、所定幅より大きいシートW1(例えばA1縦以上)の幅より内側(図中紙面右側)、且つ、所定幅より小さいシートW2(例えばA2縦以下)の幅より外側(図中紙面左側)である。また、ガイド184は着脱可能であるため、シートのサイズに応じてユーザーが配置場所を変えることが可能である。
排紙時のシートの挙動については、前述した第5の実施形態の第1実施例と同様である。尚、本実施例ではガイド184について、着脱可能な構成としたが、シート幅方向に移動可能な構成とし、シートのサイズに応じてユーザーがガイド184を移動させる構成としてもよい。
(第5受容形態の第3実施例)
図22は、第5受容形態の第3実施例に係るプリント装置の(a)側面図、(b)上面図、及び(c)正面図である。尚、図22(c)の正面図では、受容体40後方の構成の理解を容易にするために受容体40を省略している。以下に、本実施例に係るプリント装置と、前述した第5受容形態の第1実施例に係るプリント装置との差分を説明する。本実施例に係るプリント装置には、図22(b)(c)のように、2つのガイド184e、184fが着脱可能に設けられている。ガイド184eは、所定幅より大きいシートW1(例えばA1縦以上)の幅より内側(図中紙面右側)、且つ、所定幅より小さいシートW2(例えばA2縦以下)の幅より外側(図中紙面左側)に設けられている。また、ガイド184fは、所定幅より小さいシートW2(例えばA2縦以下)のシート幅方向中央部Wcより右側に設けられている。所定幅より大きいシートW1(例えばA1縦以上)は、シートの先端が2つのガイド184e、184fに接触する。そして、前述した第5受容形態の第1実施例と同様に、中間ロッド121を変曲点にして外側(本体1から離れる側)に膨らみ、カットされるとプリント面を下にした状態で反転して収容される。一方、所定幅より小さいシートW2(例えばA2縦以下)は、中間ロッド121を変曲点にして外側に膨らむほどの長さがなく、左側のガイド184eにも接触しない。このため、シートの先端は右側のガイド184fにのみ接触するが、ガイド184fはシートのシート幅方向中央部Wcより右側に位置している。このため、シートは、ガイド184fとの接触点を中心にして、自重により一方向(図22(b)では時計回り)に回転しながら落下し、本体1の下方の受容体40上に収容される。尚、ガイド184fは、図23(a)(b)のように、所定幅より小さいシートW2のシート幅方向中央部Wcより左側に設けるようにしてもよい。この場合、ガイド184fに接触したシートW2は、接触点を中心にして他方向(図23(a)では反時計回り)に回転し落下する。
このように、第5受容形態では、独立してフラッパ183及びスライド板186が作動可能な1または複数のガイド184を、シートの幅に応じて設置或いは移動するようにした。これにより、プリント装置では、フラッパ183と共通する機能を有する第2の受け部材が連動する構成の特許文献1と比較して、より多種類のサイズのシートを仕分けて収容することができる。
尚、本実施例では、ガイド184e、184fが着脱可能な構成として説明したが、ガイド184e、184fが移動可能な構成の場合には、ガイド184fを、シートのサイズに応じてユーザーが移動させることとなる。また、本実施例では2つのガイド184e、184fを設けたが、これに限定されるものでもない。例えば、所定幅より小さいシートが通過できる一方で、大きなシートが通過せずにガイドに接触した後に、反転して収容されるのであれば、ガイド184を1つ或いは3つ以上設けてもよい。
上記した実施例は、シート収容装置が一体となったプリント装置を用いて説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、図24(a)(b)に示すように、本発明を適用可能なプリント装置200は、シートバスケット3を、本体201と接離可能な別体のシートバスケット203とすることもできる。かかるプリント装置200において、シートを収容し、載置するための機構は、これまでの実施例と同様である。また、シートバスケット203は、本体201から独立した台座部204によって保持されている。台座部204は、車輪205を備えてもよく、この場合、シートバスケット203の移動を簡単にすることができる。また、シートバスケット203は、収容されたシートを取り除くことなく、本体201から離間させることができる。シートバスケット203を本体201から離間させることにより、ロール保持部160、161にセットされたロール162の交換作業が容易になる。
プリント装置10におけるシートバスケット3は、プリント装置に限らず、画像読取装置などの種々のシート処理装置から排出されるシートを収容するようにしてもよい。また、プリント装置10では、ロールから巻き解かれたシート以外のシートを用いるようにしてもよい。さらに、フラッパ183を回動する構成としたが、これに限られるものではない。すなわち、フラッパ183は、排出口1aより排出されるシートの先端部を支えることが可能な位置、または、当該先端部を支えることのない位置に変更可能な構成であればよい。具体的には、例えば、シートの先端部を支える位置と支えることのない位置との間でスライドする構成としてもよい。このとき各フラッパ183は、それぞれ独立して作動することとなり、例えば、ガイド184に移動可能に配設される。
以上説明したように、本発明によると、排出されたプリント後のシートを収容するシート収容装置及び該シート収容装置を備えたプリント装置を提供することができる。