JP7241001B2 - 着色コート層用塗料およびその塗装方法 - Google Patents

着色コート層用塗料およびその塗装方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用着色コート層用塗料、及び該塗料を用いた塗装方法、詳しくは、該塗料を用いたツートーン塗装方法に関する。
自動車の塗装膜は、一般に、主に防錆のための電着塗装によるプライマー塗装、プライマー塗装膜と上塗り塗装膜との密着性の向上や平滑性の向上等を目的とする中塗り塗装、及び上塗り塗装を順次行うことによって形成される。また、自動車の塗装は、外観を美しくするだけでなく、別の車両と区別し識別する目的で、車体をツートーンに塗装することがある。例えばパトカーのように、白黒ツートーンに塗装する場合は、中塗り塗装後、車体全体を白色ベース塗料で塗装し、次いでクリア塗料を塗布することによって上塗り塗装膜を形成した後、車体の上側部分をマスキングして、下側部分を黒色ベース塗料及びクリア塗料の順に塗装して上塗り塗装膜を形成する。
自動車の塗装工程のうち、上塗り塗装は車体に光沢感、平滑感、及び肉持ち感等の美観を与え、その商品価値を向上させるために行われる。そして、この美観を長期に渡って維持するため、上塗り塗装膜は、耐候性、耐水性、耐溶剤性及び耐衝撃性等に優れる必要がある。
このような上塗り塗装に使用する塗料には、一般に、塗装仕上り性が良好であり、耐候性等の塗膜性能にも優れた熱硬化性のアクリル樹脂やポリエステル等の樹脂塗料が使用される。具体的には、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂で架橋するメラミン樹脂硬化型樹脂を主剤とする塗料が使用される。
ところで、近年、酸性雨が森林を衰退させたり、コンクリート中のカルシウム成分を溶かして道路を傷める等の問題が報告されている。風雨に晒される自動車車体の上塗り塗装膜についても、酸性雨による劣化が問題となっている。メラミン樹脂硬化型の塗料による上塗り塗装膜では、メラミン樹脂と水酸基含有アクリル樹脂とが架橋してエーテル結合を形成しているため、長期間酸性雨に触れると、エーテル結合が加水分解してシミや変色等が発生したり、さらには塗膜の破壊へと進行する可能性もある。
自動車塗装用の塗料として、特許文献1には、(A)特定の脂肪族スルホン酸化合物又は脂肪族スルホン酸化合物のアミン塩、(B)一分子中にカルボキシ基、カルボン酸無水物基及びアルキルビニルエーテル化合物でブロック化されたカルボキシ基の官能基から選ばれる少なくとも一種を有する化合物、(C)特定のオルガノシリケートおよび/またはその縮合物、(D)一分子中にエポキシ基および/またはアルコキシシリル基を有する樹脂、及び(E)酸化アルミニウムゾル、酸化ケイ素ゾル、酸化ジルコニウムゾル及び酸化アンチモンゾルの中から選ばれる少なくとも一種の無機酸化物ゾルの分散体であって、かつ、不揮発成分が、アクリル系重合体で包含されたコア/シェル構造を有する複合体である分散体を含有してなる耐汚染性塗料組成物が開示されている。この耐汚染性塗料組成物からなる上塗り塗料を被塗装体に塗装して、例えば140℃で30分間、乾燥炉内で加熱すると、塗料組成物に含まれるカルボキシ基とエポキシ基とが反応して、酸エポキシ架橋結合を形成する。この酸エポキシ架橋結合は、酸による加水分解が起こりにくいため、前記耐汚染性塗料組成物を上塗り塗装したクリア塗装膜は、耐酸性雨性等の耐候性が向上する。
しかしながら、前記上塗り塗料の塗布後の架橋反応を高温下に行うと、上塗り塗料中に含まれる着色料と分散体との親和性がなくなり、クリア塗装膜に凝集した顔料が析出してしまうという問題があった。このため、クリア塗装膜中に均一に分散できる顔料の量はせいぜい0.1pwcと少なく、所望の隠蔽性を有する着色クリア塗膜を形成するには、上塗り塗装の工程を2回以上重ねて行う必要があり、設備や塗装工程の生産性の問題がある。
一方、設備上の理由により、例えば、ルーフを黒色とするツートーン塗装の場合、ルーフを黒色ベース塗料で塗装した後、クリア塗料の塗布工程を省略して、ルーフ部分をマスキングし、マスキングしていない部分に他色のベース塗料を塗布し、クリア塗料を塗布することがある。このような塗装方法では、ルーフにはクリア塗装膜がなく、黒色ベース塗装膜が最外層となるため、車体に充分な耐候性を持たせることができない。このような事情に応えるため、隠蔽性を備えながら、優れた耐候性を有し、さらに、ベース塗料およびクリア塗料の機能を併せ持つ上塗り塗料の開発が要望されていた。
特許第3797468号公報
本発明は、被塗装物上にベース塗料で塗装した後、さらにクリア塗膜を形成しなくても、酸性雨に対する耐性を向上させることができるベース塗装用塗料および該塗料を用いた塗装方法を提供することを目的とする。
本発明の着色コート層用塗料は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とからなる多官能性樹脂、または、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂と、顔料と、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する分散剤とを含有することを特徴とする。
すなわち、本発明では、多官能性樹脂と同じ官能基を二対有する分散剤を用いることで、分散剤中のカルボキシ基およびエポキシ基と、多官能性樹脂中のカルボキシ基およびエポキシ基が相互作用して、分散剤および多官能性樹脂が良好に混ざり合う。このため、顔料を着色コート層用塗料中に均一に分散させることができる。
本発明の塗装方法は、被塗装物上に着色トップコート層を形成する方法であり、前記着色トップコート層が、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とからなる多官能性樹脂、または、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂と、顔料と、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する分散剤とを含有する着色コート層用塗料を用いて形成されることを特徴とする。
前記構成を有する着色コート層用塗料を被塗装物に塗布後、乾燥炉で加熱すると、カルボキシ基およびエポキシ基が架橋して、酸エポキシ結合を形成し、顔料を樹脂中に均一に分散した状態で塗装が完成する。
前記塗装方法は、前記被塗装物上の一部に前記着色コート層用塗料を塗布して着色トップコート層を形成する工程1と、前記被塗装物上の一部に形成した前記着色トップコート層上にマスキング層を形成する工程2と、前記マスキング層上および前記マスキング層を形成していない前記被塗装物上に第2着色塗料を塗布して第2着色層を形成する工程3と、前記第2着色層上にトップクリア層を形成する工程4と、前記マスキング層の設けられた部分を剥離することにより、ツートーン塗装を完成する工程5とを有することが好ましい。
本発明によれば、多官能性樹脂が有する官能基と同じ官能基を二対、すなわち、カルボキシ基およびエポキシ基を持つ分散剤を用いることにより、分散剤および多官能性樹脂が相互作用して良好に混ざり合い、着色コート層用塗料中、顔料を均一に分散させることができる。このような着色コート層用塗料を用いて被塗物を塗装すれば、加熱乾燥時に多官能性樹脂中のカルボキシ基およびエポキシ基と、分散剤中のカルボキシ基およびエポキシ基とが架橋して酸エポキシ結合を形成し、顔料が均一に分散した外塗り塗装膜を形成することができる。このような着色コート層用塗料をベース塗料として用いれば、クリア塗料を塗布しなくても、外観に優れた上塗り塗装を完成できるため、外塗り工程を省略することができる。
また、カルボキシ基-エポキシ基間の酸エポキシ架橋結合は、酸による加水分解反応が起こり難い。よって、本発明の着色コート層用塗料を用いれば、酸性雨等に対する耐性に優れたベース塗装膜またはクリア塗装膜を形成することができる。
図1は、多官能性樹脂および分散剤の間に顔料が入り込み、加熱後、顔料が、酸エポキシ結合の隙間に取り込まれる様子を表す図である。 図2は、本発明の塗装方法の一実施形態である、被塗装物に着色コート層用塗料を塗布してワントーン塗装をする作業工程フローである。 図3は、本発明の塗装方法の他の実施形態である、被塗装物に着色コート層用塗料を塗布した後、着色トップコート層をマスキングし、マスキングしていない部分に第2着色塗料を塗布し、マスキング材を剥がすツートーン塗装の作業工程フローである。 図4は、実施例1および比較例1で、耐性雨エッチング試験の効果を比較するグラフである。 図5は、参考例1の基準塗料と実施例1の着色コート層用塗料との粘度変化率を比較するグラフである。
本発明の着色コート層用塗料は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とからなる多官能性樹脂、または、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂と、顔料と、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する分散剤とを含有する。本発明の着色コート層用塗料は、カルボキシ基およびエポキシ基を持つ多官能性樹脂と、顔料と、カルボキシ基およびエポキシ基を持つ分散剤とからなる。
なお、本発明において、着色コート層用塗料は、ベース塗料およびクリア塗料などの上塗り塗料をいう。
前記多官能性樹脂の一実施形態は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂である。
1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂は、具体的には、分子中にカルボキシ基と水酸基とを有するアクリル系共重合体である。前記アクリル系共重合体は、アクリル系単量体を主成分とし、該アクリル系単量体と、カルボキシ基を有する単量体と、水酸基を有する単量体とを共重合して得られる。
アクリル系単量体には、メチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ラウリルアクリレートおよび2-エチルブチルアクリレート等のアクリル酸の炭素数1~24のアルキルエステル類、ならびに、メチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレートおよびステアリルメタクリレート等のメタクリル酸の炭素数1~24のアルキルエステル類が挙げられる。これらのうち、n-ブチルアクリレートおよびn-ブチルメタクリレート等、炭素原子数の比較的小さいものが好ましい。
カルボキシ基を有する単量体は、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸が一般的であるが、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびイタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸を用いてもよい。
水酸基を有する単量体には、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびN-ジヒドロキシエチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等が好ましい。
なお、前記単量体の他に、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドおよび酢酸ビニル等も適宜組み合わせて用いてもよい。
1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂は、前記単量体成分を共重合して得られ、その数平均分子量(Mn)は、通常1,000~200,000、好ましくは2,000~100,000である。数平均分子量(Mn)が1,000未満であると、充分に硬化した樹脂塗膜を形成できないことがある。一方、数平均分子量(Mn)が200,000を超えると、樹脂の溶解性が低下して、塗料の粘度が高くなり調製が困難となることがある。
次に、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂は、具体的には、分子中にエポキシ基と水酸基とを有するアクリル系共重合体であり、前記1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と酸-エポキシ硬化型樹脂を形成する。
1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂は、例えば、エポキシ基を有する単量体と、前記アクリル系単量体とを共重合して得てもよい。
前記エポキシ基を有する単量体には、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメタクリレートおよびアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、通常1,000~100,000、好ましくは1,500~100,000である。
1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とで、一方の平均分子量をやや大きくして、他方の平均分子量をやや小さくしてもよい。これにより、アクリル樹脂の相溶性を高め、両樹脂の相互の架橋反応が良好に進行する。
前記多官能性樹脂の他の実施形態は、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂である。
前記いずれの多官能性樹脂においても、そのエポキシ当量は200~1000程度、好ましくは250~500である。エポキシ当量が200未満であると、カルボキシ基との反応が局部的に過剰となり、塗膜の硬化時に歪が生じる虞がある。一方、エポキシ当量が1000を超えると、架橋密度が不足して、実用上充分な塗膜の硬化性を得ることが困難になることがある。なお、このエポキシ当量は、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
前記一の実施形態に係る1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とからなる多官能性樹脂と、他の実施形態に係る1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂とは、いずれか一方を用いてもよいし、両方を混合して用いてもよい。
顔料には、公知の着色顔料が用いられる。塗料中に着色顔料が含まれることで、塗膜表面の微細な凹凸を隠蔽することができる。
着色顔料は、アゾレーキ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料および金属錯体等の有機顔料系、並びに黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタンおよびカーボンブラック等の無機顔料系のいずれでもよい。
着色コート層用塗料中の着色顔料の濃度(pwc)は、通常1~20質量%、好ましくは2~10質量%である。
なお、「pwc」とは、Pigment Weight Concentration(顔料重量濃度)のことであり、塗料固形分に対する顔料の質量濃度をいう。
前記多官能性樹脂および分散剤の合計に対して、顔料の添加量は、通常1~27質量%、好ましくは2~12質量%である。顔料の添加量が27質量%を超えると、顔料の一部が酸エポキシ結合の隙間に取り込まれず、塗装膜中の分散性を損なうことがある。一方、顔料の添加量が1質量%に満たないと、塗装膜に必要な着色または隠蔽性を付与できないことがある。
1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上有する分散剤には、例えば、塩基性ポリアクリル酸樹脂等のスルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩等がある。また、これらの対イオンには、ナトリウム塩、カリウム塩及びトリエタノールアミン塩のほかに、構造中にエステル結合をもつアルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。これらのうち、塩基性ポリアクリル酸樹脂等のカルボン酸塩およびリン酸塩等が好ましく、塩基性ポリアクリル酸樹脂のリン酸エステル塩がより好ましい。
前記分散剤は、多官能性樹脂と同様に、カルボキシ基およびエポキシ基を有する。前記多官能性樹脂と同じ官能基を二対有することで、分散剤中のカルボキシ基およびエポキシ基と、多官能性樹脂中のカルボキシ基およびエポキシ基とが相互作用して、分散剤と多官能性樹脂とが良好に混ざり合う。このため、分散剤が顔料粒子を安定的かつ均一に取り込み、顔料を着色コート層用塗料中で均一に分散させることができる。このような塗料を被塗装物に塗布後、乾燥炉で加熱すると、カルボキシ基およびエポキシ基が架橋して酸エポキシ結合を形成し、顔料が樹脂中に均一に分散された状態で塗装が完成する。図1は、多官能性樹脂および分散剤の間に顔料が入り込み、加熱後、顔料が、酸エポキシ結合の隙間に取り込まれる様子を表している。
分散剤の添加量は、前記多官能性樹脂に対して、通常3~65質量%、好ましくは5~35質量%である。分散剤の添加量が65質量%を超えると、紫外線劣化しやすいことがある。一方、分散剤の添加量が3質量%に満たないと、塗装膜において顔料が均一に分散できないことがある。
本発明の塗装方法は、前記着色コート層用塗料を用いて被塗装物上に着色トップコート層を形成する方法である。
被塗装物は、例えば、鉄板、鋼鉄板、アルミニウムおよびステンレス鋼等である。例えば、被塗装物が自動車の鉄板等である場合、該鉄板上に予めプライマー層を形成してもよい。プライマー層は、電着塗装により車体の表面に形成する塗料や樹脂の膜であり、防食性や中塗り塗装膜との密着性を確保する役割を有する。
本発明の塗装方法では、被塗装物に着色コート層用塗料を塗布した後、該着色コート層用塗料を室温または加温下に乾燥させる。これにより、水性媒体が蒸発すると共に、カルボキシ基とエポキシ基とが架橋反応して、塗料が硬化する。
なお、被塗装物に着色コート層用塗料を塗布する方法は、限定されるものではなく、刷毛塗り塗装、ロール塗装、またはスプレー塗装等、公知の方法を用いることができる。
本発明の塗装方法の一実施形態は、自動車の車体にプライマー層を形成し、中塗り塗料を塗布した後、室温または加温下に乾燥させ、中塗り塗装膜上に、本発明に係る着色コート層用塗料を塗布して、室温または加温下に乾燥させてワントーン塗装をする方法である(図2)。
中塗り塗料には、通常、水溶性若しくは水分散性の樹脂成分と、硬化剤と、前記顔料とを含有する公知の塗料、または、有機溶剤に分散させた樹脂成分と硬化剤とを含有する公知の塗料が用いられる。樹脂成分には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂またはポリウレタン樹脂等の水性樹脂、具体的にはカルボキシ基を有するアクリル樹脂またはポリエステル樹脂等が用いられる。硬化剤は、例えば、メラミン樹脂、ブロックポリイソシアネート等である。
なお、中塗り塗装膜は、衝撃吸収の役割を有する。また、クリア塗装膜を補完する役割を併せ持っていてもよい。
本発明の塗装方法の他の実施形態は、前記被塗装物上の一部に前記着色コート層用塗料を塗布して着色トップコート層を形成する工程1と、前記被塗装物上の一部に形成した前記着色トップコート層上にマスキング層を形成する工程2と、前記マスキング層上および前記マスキング層を形成していない前記被塗装物上に第2着色塗料を塗布して第2着色層を形成する工程3と、前記第2着色層上にトップクリア層を形成する工程4と、前記マスキング層の設けられた部分を剥離して、ツートーン塗装を完成する工程5とを有する。具体的な実施形態は、自動車の車体にプライマー層を形成し、中塗り塗料を塗布した後、ルーフ部に本発明に係る着色コート層用塗料を塗布し(工程1)、室温または加温下に乾燥させ、該ルーフ部をマスキングし(工程2)、本発明に係る第2着色塗料を車体全面に塗布し、室温または加温下に乾燥させ(工程3、4)、マスキング層の設けられた部分を剥がすことにより、ツートーン塗装をする方法である(工程5)。上塗り塗料として、着色コート層用塗料を塗布した後、公知のクリア塗料をさらに塗布してもよい(図3)。
ここで、着色トップコート層は、ベース塗装膜またはクリア塗装膜、すなわち、上塗り塗装膜と同義である。第2着色塗料とは、前記着色コート層用塗料とは異なる顔料を含む着色コート層用塗料であり、該第2着色塗料を塗布した塗装膜を第2着色層という。
なお、クリア塗料には、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂等と、ブロックポリイソシアネート、メラミン樹脂および尿素樹脂などの架橋剤と、その他の添加剤とを、有機溶剤または水に溶解または分散させた塗料が用いられる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
〔実施例1〕
多官能性樹脂、分散剤および顔料の合計に対して、溶剤を10質量%添加して均一に混合した着色コート層用塗料を調製した。
多官能性樹脂、分散剤、顔料および溶剤は下記に示すとおりである。
(i)多官能性樹脂
数平均分子量(Mn)が4000、酸価が150mgKOH/gのカルボキシ基含有化合物溶液50%と、数平均分子量(Mn)が3000、エポキシ基含有量が2.5mmol/gのポリエポキシド樹脂溶液50%との混合物
なお、前記カルボキシ基含有化合物溶液および前記ポリエポキシド樹脂溶液は、それぞれ、カルボキシ基含有化合物およびポリエポキシド樹脂にソルベント100(ソルベントナフサ;三協化学(株)製)を添加して、均一に混合した10%溶液である。
(ii)分散剤
塩基性ポリアクリル酸樹脂、リン酸エステル塩
(iii)顔料
カーボンブラック
〔比較例1〕
実施例1において、分散剤として、酸性ポリアクリル酸樹脂、硫酸エステル塩を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、着色コート層用塗料を調製した。
〔参考例1〕
実施例1において、顔料を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、コート層用塗料を調製した。
[着色コート層用塗料の評価]
(1)耐酸性雨性
前記着色コート層用塗料を、電着塗装された基板上に塗布した後、乾燥させて、15cm×7cmの大きさの試験片を作製した。前記試験板にpH1.0の硫酸500μLを垂らし、IHオーブンにて80℃で30分間、加熱して塗膜を形成した後、塗膜のエッチング深さを表面粗さ計サーフテストSJ210((株)ミツトヨ製)を用いて評価した。
実施例1では、エッチング深さは0μmであり、比較例1では、エッチング深さは0.6μmであった。実施例1の着色コート層用塗料では、分散剤として、塩基性ポリアクリル酸樹脂のリン酸エステル塩が使用されたため、該分散剤と多官能性樹脂との間に形成された酸エポキシ結合中にカーボンブラックが取り込まれて均一性が向上し、耐酸性雨を含む耐候性が向上したものと考えられる。一方、比較例1の着色コート層用塗料は、カーボンブラックの分散性に劣るために、試験片に着色コート層用塗料が疎らに塗布されることとなり、耐酸性雨が不充分であった。
(2)分散安定性
参考例1の顔料を含まない塗料(基準)と、実施例1の顔料を混合した塗料を60℃で16時間放置した後、それぞれの塗料の粘度変化率を評価した。粘度はJIS5600-2-2に規定されたストマー粘度計法を用いてKU値(コンシステンシーを示す数値)を算出した。
基準塗料に対して、増粘の程度が10%以下のとき、問題なしと判断した。
参考例1および実施例1ともに、経時的に粘度が上昇していたが、実施例1は、参考例1と比較し粘度の増加率が10%以下であった。

Claims (3)

  1. 1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とからなる多官能性樹脂、または、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂と、
    顔料と、
    1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する分散剤とを含有することを特徴とする着色コート層用塗料。
  2. 被塗装物上に着色トップコート層を形成する塗装方法において、
    前記着色トップコート層が、
    1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する樹脂とからなる多官能性樹脂、または、1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する多官能性樹脂と、
    顔料と、
    1分子中にカルボキシ基とエポキシ基とをそれぞれ1個以上を有する分散剤とを含有する着色コート層用塗料を用いて形成されることを特徴とする塗装方法。
  3. 前記被塗装物上の一部に前記着色コート層用塗料を塗布して着色トップコート層を形成する工程1と、
    前記被塗装物上の一部に形成した前記着色トップコート層上にマスキング層を形成する工程2と、
    前記マスキング層上および前記マスキング層を形成していない前記被塗装物上に第2着色塗料を塗布して第2着色層を形成する工程3と、
    前記第2着色層上にトップクリア層を形成する工程4と、
    前記マスキング層の設けられた部分を剥離することにより、ツートーン塗装を完成する工程5と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載の塗装方法。
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