JP7239140B2 - ろ過膜、ろ過膜の製造方法及び表面処理剤 - Google Patents

ろ過膜、ろ過膜の製造方法及び表面処理剤 Download PDF

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Description

本発明は、ろ過膜、ろ過膜の製造方法及び表面処理剤に関する。
海水淡水化施設では、逆浸透膜が用いられている。逆浸透膜のろ過膜は、長期間の使用に伴って、膜の目詰まり(すなわち、膜ファウリング)により透水性能が低下する他、膜を定期的に洗浄することによって、脱塩率が低下する。透水性能や脱塩率が低下した逆浸透膜の多くは、廃棄されて焼却又は埋め立てされており、近年の地球環境保護の観点から好ましくなかった。廃棄された逆浸透膜の一部を、膜エレメントごと用排水処理に転用される場合も見られるが、微生物の付着により膜表面にバイオフィルムが形成することで透水性能が著しく低下する「バイオファウリング」が急速に進行することが、廃棄された逆浸透膜のリサイクルやリユースを妨げる大きな課題となっていた。
これまでバイオファウリングの抑制のために、ろ過膜の表面を次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤で洗浄することが行われている。しかしながら、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を用いた逆浸透膜の洗浄は、逆浸透膜に多用されているポリアミド系ろ過膜の表面性状を酸化劣化させ、脱塩率をさらに低下させる原因となるため、逆浸透膜では利用が限られる。膜表面に耐バイオフィルム形成機能を逆浸透膜に付与するために、ろ過膜の表面に、耐バイオフィルム性能を有するカチオン性高分子の層を形成させた研究も存在する(特許文献1)。しかしながら、特許文献1のカチオン性高分子は、ろ過膜の表面に吸着により付着しているので付着力が弱く、淡水化操業中に、膜表面に常時かかる強いクロスフロー水流によりカチオン性高分子がろ過膜表面から分離し、カチオン性高分子の効果が長続きしないことが課題となっている。
ろ過膜の表面とポリマーとが、化学反応により結合している逆浸透膜がある(特許文献2)。化学反応とは具体的には直接的又は間接的な共有結合のこととされている。かかる逆浸透膜は、強固な共有結合よりポリマーがクロスフロー水流により分離するおそれは少ない。しかしながら、化学反応の処理は、スパイラル型のような膜エレメントに組み込む前の逆浸透膜に限られ、一旦、膜エレメントに組み込まれた逆浸透膜を化学反応させることはできない。よって、特許文献2の技術は、ろ過膜の表面を次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤で洗浄した後のろ過膜に適用することはできなかった。
特開2006-110520号公報 特開2016-101582号公報
本発明は、上述の問題を有利に解決するものであり、逆浸透膜のファウリングを脱塩率の低下を伴わずに効果的に抑制し、さらには廃棄された膜に対してもその効果を付与でき、それによって廃棄された逆浸透膜を用排水処理にリユースやリサイクルできる、ろ過膜、ろ過膜の製造方法及び表面処理剤を提供することを目的とする。
本発明のろ過膜は、ポリアミド系ろ過膜と、該ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面に固着されたカチオンポリマー層と、を備えたものである。
本発明のろ過膜においては、上記ポリアミド系ろ過膜と上記カチオンポリマー層とが、少なくとも水素結合により固着されていることが好ましい。また、上記ポリアミド系ろ過膜が、表面にカルボキシル基及びアミド基のうちの少なくとも一つの官能基を有するものであることが好ましい。さらに、上記カチオンポリマー層に重ねて、機能性粒子層を備えることが、より好ましい。上記機能性粒子層は、抗菌性ナノ粒子であることが好ましい。また、ろ過膜は、逆浸透膜又は限外ろ過膜にできる。
本発明のろ過膜の製造方法は、ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面に、酸化剤を接触させた後にカチオンポリマーを含む液状の表面処理剤を被覆して上記ポリアミド系ろ過膜の表面上に上記カチオンポリマー層を固着させることを特徴とする。
本発明のろ過膜の製造方法においては、上記カチオンポリマー層上に、機能性粒子層を形成することが好ましい。
本発明の表面処理剤は、ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面にカチオンポリマー層を固着させるための表面処理剤であって、カチオンポリマーを含む処理液を有することを特徴とする。
本発明の表面処理剤においては、上記カチオンポリマーを含む処理液と、機能性粒子を含む処理剤とを有することが好ましく、当該機能性粒子が、抗菌性ナノ粒子であることが好ましい。
本発明によれば、逆浸透膜のファウリングを脱塩率の低下を伴わずに効果的に抑制し、さらには廃棄された膜に対してもその効果を付与でき、それによって廃棄された逆浸透膜を用排水処理にリユースやリサイクルでき、ひいては使用済みの膜エレメント中のろ過膜の性能を復活させ、製品を長寿命化させ、商品価値を向上させることができる。
実施例における膜表面のゼータ電位を示すグラフである。 実施例における脱塩率を示すグラフである。 実施例におけるフラックスを示すグラフである。
以下、本発明のろ過膜、ろ過膜の製造方法及び表面処理剤の実施形態について、より具体的に説明する。
[ろ過膜]
(実施形態1)
本発明のろ過膜の一実施形態は、ポリアミド系ろ過膜と、該ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面に固着されたカチオンポリマー層と、を備えたものである。
ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面にカチオンポリマーが層状に固着されていることにより、このカチオンポリマー自体が、ポリアミド系ろ過膜の保護層となり、酸化処理や膜ファウリングによるポリアミド系ろ過膜の性能低下を抑制することができる。また、後で詳しく述べるようにカチオンポリマー層に重ねて機能性粒子層を形成させることもでき、この場合、機能性粒子としての例えば抗菌性ナノ粒子を、カチオンポリマー層上に静電力により付着させることにより、バイオファウリングをより抑制することができる。
ろ過膜は、膜ファウリングが問題となる限外ろ過膜や逆浸透膜(ナノろ過膜を含む)を主要な対象とする。ポリアミド系ろ過膜は、限外ろ過膜や逆浸透膜に用いられる公知のろ過膜であって、ポリアミド系の材料を用いることができ、例えば芳香族ポリアミドや無機材料を含んだ複合ポリアミド膜等を用いることができる。
ポリアミド系ろ過膜の一表面に、カチオンポリマー層が固着されている。ここにいう固着とは、ファンデルワールス力による吸着の場合を超える付着力を有することをいう。カチオンポリマー層が固着されていることにより、カチオンポリマーが吸着されている従来技術のろ過膜に比べて、カチオンポリマー層が強固に付着している。したがって、ろ過膜を含む膜エレメントが取り付けられた膜モジュールの使用中に、例えばクロスフロー水流により、カチオンポリマー層や、さらには当該カチオンポリマー層上に付着している機能性粒子が、ポリアミド系ろ過膜から分離することを抑制することができる。
ポリアミド系ろ過膜とカチオンポリマー層との固着は、両層が少なくとも一部は水素結合されることにより実現される。
水素結合により固着されるために、ポリアミド系ろ過膜は、表面にカルボキシル基及びアミド基のうちの少なくとも一つの官能基を有するものであることが好ましい。ポリアミド系ろ過膜の表面にカルボキシル基及びアミド基のうちの少なくとも一つの官能基を有することは、XPS等により確認することができる。カルボキシル基及びアミド基のうちの少なくとも一つの官能基を有するためには、ポリアミド系ろ過膜の表面が酸化処理されることが好ましい。
この酸化処理は、より具体的には、ポリアミド系ろ過膜又はそれを組み込んだ膜エレメントを、酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液に浸漬させることにより実施することができる。また、ポリアミド系ろ過膜が組み込まれた膜エレメントを膜モジュールに取り付けた後は、次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液を、当該膜モジュールに接触させることにより実施できる。酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウムに限定されず、過酸化水素、過マンガン酸カリウム水溶液などで処理することもできる。
ポリアミド系ろ過膜を次亜塩素酸ナトリウム等で酸化処理すると、ポリアミド系ろ過膜が加水分解されて表面にカルボキシル基が形成される。これらのカルボキシル基と、カチオンポリマー層の正の電荷を有するアミン基とが水素結合することにより、ポリアミド系ろ過膜とカチオンポリマー層とが固着されるのである。酸化処理をするほど、ポリアミド系ろ過膜表面が加水分解され、カルボキシル基の量が増えるので、カチオンポリマー層をより強固に固着することができる。酸化処理後のポリアミド系ろ過膜とカチオンポリマー層とが水素結合していることは、酸化処理の進行に伴って膜表面のゼータ電位が減少したにもかかわらず、カチオンポリマーを被覆させた後には膜表面ゼータ電位が増大したことによって確認することができる。静電気力が主な固着力となる場合には、膜表面のゼータ電位が減少するに伴って、被覆されるカチオンポリマーの量も低下し、ゼータ電位も低減するが、膜表面を酸化したポリアミド系ろ過膜の場合には、ゼータ電位と関係なく酸化の程度が進むに伴って固着するカチオンポリマーの量が増大する傾向が観察された。
膜モジュールを用いた海水淡水化等の操業中は、通常、次亜塩素酸ナトリウムを用いた洗浄により、膜ファウリングを抑制することが行われている。この通常の洗浄によりポリアミド系ろ過膜の表面を酸化することができる。したがって、洗浄された後のポリアミド系ろ過膜は、必ずしも別途に酸化処理を実施する必要はない。このことは、ポリアミド系ろ過膜を膜エレメントに組み込み、さらに膜モジュールとして実際のろ過操業を行った後のろ過膜であっても、ろ過膜洗浄とろ過膜表面へのカチオンポリマーの形成により、本実施形態のろ過膜の構成とすることができることを意味し、更に、脱塩率が低下して廃棄又は下水処理に転用されるようなろ過膜であっても、そのろ過膜表面へのカチオンポリマーの形成により、本実施形態発明のろ過膜の構成とすることができることを意味する。
また、ポリアミド系ろ過膜のみからなる従来のろ過膜は、洗浄により脱塩率が低下していたのに対して、本実施形態のろ過膜は、ろ過膜の表面に固着されたカチオンポリマーが、より小さい膜孔を形成し、ろ過膜表面構造をより緻密にして洗浄直後に比べて脱塩率を高めることができる。
カチオンポリマーは、分子構造にアミンなどの正の電荷を有する官能基を含むポリマーのことをいい、ゲル電気泳動において負の電極に向けて移動するポリマーであることが好ましい。カチオンポリマーは、例えば、ポリエチレンイミン、PDMA(メタクリルアミドプロピルアンモニウムクロリド・ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル等)等を1種又は2種以上を挙げることができる。なかでも、ポリエチレンイミンは、最も電荷密度が高いポリマーであるために好ましい。
(実施形態2)
本発明のろ過膜の別の実施態様においては、上述したカチオンポリマー層に重ねて、機能性粒子層を備えている。ろ過膜が、機能性粒子層を最表層に備えることにより、この最表層の機能性粒子が、その機能を発揮させることかでき、例えば抗菌性ナノ粒子の場合は抗菌性を発揮させて、ろ過膜の寿命を延長させることができる。
また、機能性粒子は、負の帯電をしていることが多い。したがって、カチオンポリマー層に機能性粒子層を形成することにより、カチオンポリマー層の正の電荷と、機能性粒子層の負の電荷とが、静電力で付着する。この機能性粒子層の静電力による付着力は、ポリアミド系ろ過膜に直接、機能性粒子層を付着させる場合に比べて大きい。その理由は、ポリアミド系ろ過膜の表面は、負に帯電している傾向にあり、特に酸化処理後のポリアミド系ろ過膜表面は、カルボキシル基やアミド基が形成されているので、負の帯電量が大きいことから、直接に付着させようとしても、負の帯電をしている機能性粒子が付着し難いからである。よって、本実施形態において、カチオンポリマー層は、いわば機能性粒子層を静電的に付着させるためのバインダー層としての効果を有し、最表層の機能性粒子層を確実に付着させることができる。機能性粒子は、粒径が小さいほど好ましい。例えば5~500nm程度の粒径の機能性粒子が好ましい。
機能性粒子層は、好ましくは抗菌性ナノ粒子を含む。ろ過膜が、抗菌性ナノ粒子を含む機能性粒子層を最表層に備えることにより、この抗菌性ナノ粒子が微生物の付着を抑制するので、バイオファウリングを抑制することができ、ひいては、ろ過膜の寿命を延ばすことができる。
抗菌性ナノ粒子は、銅ナノ粒子、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、ニッケルナノ粒子、カーボンナノチューブ粒子等を例示することができる。これらの粒子はいずれも負の帯電をする粒子である。
[製造方法]
本発明のろ過膜の製造方法の実施形態は、ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面に、カチオンポリマーを含む液状の表面処理剤を被覆して前記ポリアミド系ろ過膜の表面上に前記カチオンポリマー層を固着させる。好ましくは、当該カチオンポリマー層上に、機能性粒子層を形成する。
ポリアミド系ろ過膜に、カチオンポリマーを固着させるには、酸化処理後の又は表面が酸化されているポリアミド系ろ過膜又はそれを組み込んだ膜エレメントを、カチオンポリマーを含む溶液中に浸漬させることにより実施することができる。また、ポリアミド系ろ過膜が組み込まれた膜エレメントを膜モジュールに取り付けた後は、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤により酸化処理をした後に、カチオンポリマーを含む溶液を、当該膜モジュールに接触させることにより実施できる。
機能性粒子層の形成は、より具体的には、カチオンポリマー層を形成したポリアミド系ろ過膜又はそれを組み込んだ膜エレメントを、機能性粒子を分散させた液に浸漬させることにより実施することができる。また、ポリアミド系ろ過膜が組み込まれた膜エレメントを膜モジュールに取り付けた後は、機能性粒子を分散させた液を、当該膜モジュールに接触させることにより実施できる。
[表面処理剤]
本発明の表面処理剤の一実施形態は、ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面にカチオンポリマー層を固着させるための表面処理剤であって、カチオンポリマーを含む処理液を有する。このカチオンポリマーを含む処理液を、本明細書では後述の処理剤と区別して「第1処理剤」ともいう。
カチオンポリマーは、前述したように正の電荷を有するポリマーのことをいい、ゲル電気泳動において負の電極に向けて移動するポリマーであることが好ましい。カチオンポリマーは、例えば、ポリエチレンイミン、PDMA(メタクリルアミドプロピルアンモニウムクロリド・ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル等)等を1種又は2種以上を挙げることができる。なかでも、ポリエチレンイミンは、最も電荷密度が高いポリマーであるために好ましい。
カチオンポリマーを含む処理液は、その後に希釈するカチオンポリマーそのものの液でもよいし、カチオンポリマーが溶媒で希釈された液でもよい。例えばポリエチレンイミンを、純水とイソプロピルアルコールとの1:1溶媒に加えて濃度1%(W/v)にすることができる。希釈したときのカチオンポリマーの好ましい濃度は0.1~5%である。
本発明の表面処理剤の別の実施形態は、上述の第1処理剤と、機能性粒子を含む処理剤(上述の第1処理剤と区別して「第2処理剤」ともいう。)との二剤からなるものとすることができる。
機能性粒子は、前述した銅ナノ粒子、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、ニッケルナノ粒子、カーボンナノチューブ粒子等を例示することができる。
第2処理剤は、例えばその後に懸濁させる銅ナノ粒子そのものでもよいし、銅ナノ粒子を、純水に懸濁させた懸濁液でもよい。懸濁液の濃度は例えば0.01%(W/v)とすることができる。機能性粒子の好ましい濃度は粒子によって異なるが、一般的には0.0001~0.1%である。
(実験1)
海水用逆浸透膜(ポリアミドろ過膜)に500ppmのNaOClを用いて表面酸化した。この表面酸化の際に酸化の程度を種々に変えて、脱塩率がそれぞれ85%、75%及び65%の複数の逆浸透膜の試料を用意した。
酸化後の当該逆浸透膜を、純水とイソプロピルアルコールとの1:1(容積比)の溶媒にポリエチレンイミン(Mw25000、Mn10000)を加えて濃度1%(w/v)とした70℃の溶液に60min浸漬させて、ポリエチレンイミン層を膜表面に固着させたろ過膜を得た。かかるろ過膜の表面の化学構造をFT-IRで調べた。また、膜表面ゼータ電位を測定した。さらに、脱塩率を調べた。
FT-IRの計測の結果、ポリエチレンイミンをコーティングした膜では、3265cm-1のアミン基の吸収ピークが出現し、遊離アミン基が膜表面に付着されたことを示した。それにより、ポリエチレンイミンが付着されたことが確認できた。
図1に、膜表面ゼータ電位を測定した結果をグラフで示す。なお、図1において膜表面ゼータ電位は、各試料3個の平均値である。図1から、酸化処理を未処理の試料(脱塩率99%)に比べて、酸化処理をして脱塩率が、それぞれ85%、75%及び65%だった各試料は、酸化処理後(図1中に「NaClO」と表記)は膜表面のゼータ電位が減少したにもかかわらず、カチオンポリマーを被覆させた後(図1中に「NaClO+PEI」と表記)は膜表面ゼータ電位が増大しており、ポリエチレンイミンのアミン基が、水素結合によりポリアミドろ過膜のカルボキシル基と接合していることが分かった。
(実験2)
海水用逆浸透膜(ポリアミドろ過膜)に500ppmのNaOClを用いて表面酸化して脱塩率が、それぞれ95%、85%、75%、65%及び45%だった各試料の膜表面に、ポリエチレンイミンを実験1と同様にして固着させた。次に、ポリエチレンイミンを固着後のろ過膜を、純水中に銅ナノ粒子(粒径25nm)を加えて超音波振動で分散させた23℃の懸濁液(濃度0.01wt%)中に30min浸漬して銅ナノ粒子層を表面に付着させたろ過膜を得た。かかるろ過膜の脱塩率を調べた結果を図2にグラフで示す。
図2から、ポリアミドイミン層を形成したろ過膜(図2中に「CuNPs-改質前」と表記)の脱塩率に比べて、さらに銅ナノ粒子層を形成したろ過膜(図2中に「CuNPs-改質後」と表記)の脱塩率が高かった。
(実験3)
上述した実験2のポリアミドイミン層を形成したろ過膜と、さらに銅ナノ粒子層を形成したろ過膜との各々について、フラックスを調べた結果を図3に示す。図3からポリアミドイミン層を形成したろ過膜(図3中に「CuNPs-改質前」と表記)に比べて、さらに銅ナノ粒子層を形成したろ過膜(図3中に「CuNPs-改質後」と表記)は、フラックスが増加していた。
以上、本発明のろ過膜、ろ過膜の製造方法及び表面処理剤を実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施例や図面の記載に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能であることは言うまでもない。

Claims (8)

  1. 表面が酸化されたポリアミド系ろ過膜と、該ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面に固着されたカチオンポリマー層と、該カチオンポリマー層に重ねた機能性粒子層と、を備えたことを特徴とするろ過膜。
  2. 前記ポリアミド系ろ過膜と前記カチオンポリマー層とが、少なくとも水素結合により固着されている請求項1記載のろ過膜。
  3. 前記ポリアミド系ろ過膜が、表面にカルボキシル基及びアミド基のうちの少なくとも一つの官能基を有するものである請求項1又は2記載のろ過膜。
  4. 前記機能性粒子が、抗菌性ナノ粒子である請求項1~3のいずれか一項に記載のろ過膜。
  5. 逆浸透膜又は限外ろ過膜である請求項1~4のいずれか一項に記載のろ過膜。
  6. ポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面に、酸化剤を接触させて酸化した後にカチオンポリマーを含む液状の表面処理剤を被覆して前記ポリアミド系ろ過膜の表面上に前記カチオンポリマー層を固着させ、前記カチオンポリマー層上に、機能性粒子層を形成することを特徴とするろ過膜の製造方法。
  7. 表面が酸化されたポリアミド系ろ過膜の少なくとも一表面にカチオンポリマー層を固着させるための表面処理剤であって、カチオンポリマーを含む処理液と、機能性粒子を含む処理剤と、を有することを特徴とする表面処理剤。
  8. 前記機能性粒子が、抗菌性ナノ粒子である請求項7記載の表面処理剤。
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